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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054712
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20240410BHJP
【FI】
E02F9/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161122
(22)【出願日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺田 俊一
(72)【発明者】
【氏名】杉口 貴志
(72)【発明者】
【氏名】中村 勝
(72)【発明者】
【氏名】末吉 寛敬
(57)【要約】
【課題】旋回フレームに搭載される蓄電装置を適切に配置できる作業機械を提供する。
【解決手段】ハイブリッドショベルは、旋回フレーム50と、旋回フレーム50に搭載された蓄電器アセンブリ70と、旋回フレーム50に搭載されたカウンタウェイト80とを備えている。カウンタウェイト80には、下面から上方へ向けて凹んだ凹部が形成されている。蓄電器アセンブリ70の少なくとも一部は、凹部内に配置されている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械であって、
旋回フレームと、
前記旋回フレームに搭載され、前記作業機械の動力源とする蓄電装置と、
前記旋回フレームに搭載されたカウンタウェイトとを備え、
前記カウンタウェイトには、下面から上方へ向けて凹んだ凹部が形成されており、
前記蓄電装置の少なくとも一部は前記凹部内に配置されている、作業機械。
【請求項2】
前記旋回フレームの、前記蓄電装置の下方の位置に、開口が形成されており、
前記旋回フレームに対して着脱可能であって、前記旋回フレームに取り付けられた状態で前記開口を覆う、カバーをさらに備える、請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
平面視において前記蓄電装置の一部は前記凹部外に配置されている、請求項1または請求項2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記旋回フレームは、左右方向に離れて配置された一対の縦板を有し、
前記蓄電装置は、前記一対の縦板の前記左右方向の外側に配置されている、請求項1または請求項2に記載の作業機械。
【請求項5】
熱交換器と、
前記熱交換器に送風する送風機と、
前記熱交換器と前記蓄電装置とを接続する冷却ホースとをさらに備える、請求項1または請求項2に記載の作業機械。
【請求項6】
前記蓄電装置は、前記熱交換器の直後方に配置されている、請求項5に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2014-134055号公報(特許文献1)には、カウンタウェイトが内部に空間を有し、この空間に蓄電装置と蓄電装置を冷却する冷却装置とを配置した、ハイブリッド式油圧ショベルが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-134055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
旋回フレームを備える作業機械において、より多くの機器を旋回フレームに搭載できるようにするため、旋回フレーム上の限られたスペースに効率的に機器を配置することが求められている。
【0005】
本開示では、旋回フレームに搭載される蓄電装置を適切に配置できる作業機械が提案される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る作業機械は、旋回フレームと、旋回フレームに搭載され、作業機械の動力源とする蓄電装置と、旋回フレームに搭載されたカウンタウェイトとを備えている。カウンタウェイトには、下面から上方へ向けて凹んだ凹部が形成されている。蓄電装置の少なくとも一部は凹部内に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示に従った作業機械によれば、蓄電装置を旋回フレーム上に適切に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ハイブリッドショベルの斜視図である。
図2】ハイブリッドショベルのシステム構成を概念的に示す概略ブロック図である。
図3】旋回フレームの斜視図である。
図4】旋回フレームに搭載された蓄電器アセンブリの斜視図である。
図5】カウンタウェイトの斜視図である。
図6】旋回フレームにカウンタウェイトを搭載した状態の斜視図である。
図7】旋回フレームにカウンタウェイトを搭載した状態の平面図である。
図8】旋回フレームにカウンタウェイトを搭載した状態を下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図に基づいて説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。実施形態から任意の構成が抽出され、それらが任意に組み合わされることも、当初から予定されている。
【0010】
<全体構成>
実施形態においては、作業機械の一例としてハイブリッドショベル100について説明する。図1は、実施形態に基づく作業機械の一例としてのハイブリッドショベル100の斜視図である。
【0011】
図1に示されるように、ハイブリッドショベル100は、本体1と、油圧により作動する作業機2とを有している。本体1は、旋回体3と、走行体5とを有している。走行体5は、一対の履帯5Crと、走行モータ5Mとを有している。ハイブリッドショベル100は、履帯5Crの回転により走行可能である。走行モータ5Mは、走行体5の駆動源として設けられている。走行モータ5Mは、油圧により作動する油圧モータである。走行体5は車輪(タイヤ)を有していてもよい。
【0012】
旋回体3は、走行体5の上に配置され、かつ走行体5により支持されている。旋回体3は、旋回軸RXを中心として走行体5に対して旋回可能である。旋回軸RXは、旋回体3の旋回中心となる、上下方向に延びる仮想の直線である。旋回体3は、旋回軸RXを中心として地面に対して旋回可能である。
【0013】
旋回体3は、運転室4(キャブ)を有している。運転室4内には、オペレータが着座する運転席4Sが設けられている。オペレータ(乗員)は、運転室4に搭乗して、作業機2の操作、走行体5に対する旋回体3の旋回操作、および走行体5によるハイブリッドショベル100の走行操作が可能である。
【0014】
旋回体3は、エンジンフード9を有している。エンジンフード9は、機械室を覆っている。機械室には、図2に示されるエンジン20、発電電動機21、油圧ポンプ25、後述する冷却装置90などが配置されている。旋回体3は、機械室の後方に、カウンタウェイト80を有している。カウンタウェイト80は、採掘時などにおいて車体のバランスをとるために旋回体3の後部に配置された重りである。カウンタウェイト80は、外装カバーによって覆われている。
【0015】
旋回体3は、旋回フレーム50を有している。旋回フレーム50は、走行体5の上方に配置されており、走行体5に対して旋回自在に設けられている。作業機2、運転室4およびカウンタウェイト80は、旋回フレーム50に搭載されており、旋回フレーム50の上面に配置されている。ハイブリッドショベル100は、旋回体3を走行体5に対して相対的に旋回させるための、旋回装置を備えている。旋回装置は、旋回フレーム50に支持された旋回電気モータ24(図2)、スイングサークルなどを含んでいる。
【0016】
作業機2は、旋回体3に搭載されている。作業機2は、ブーム6と、アーム7と、バケット8とを有している。ブーム6は、本体1(走行体5および旋回体3)に回転可能に接続されている。具体的にはブーム6の基端部は、ブームフートピン13を支点として旋回フレーム50に回転可能に接続されている。
【0017】
アーム7は、ブーム6に回転可能に接続されている。具体的にはアーム7の基端部は、ブームトップピン14を支点としてブーム6の先端部に回転可能に接続されている。
【0018】
バケット8は、アーム7に回転可能に接続されている。具体的にはバケット8の基端部は、アームトップピン15を支点としてアーム7の先端部に回転可能に接続されている。バケット8は、作業機2の先端に取付可能なアタッチメントの一例である。作業の種類に応じて、アタッチメントが、ブレーカ、グラップル、またはリフティングマグネットなどに付け替えられる。ハイブリッドショベル100は、作業機2の先端に、複数種類のアタッチメントを選択的に取付可能とされている。
【0019】
実施形態のハイブリッドショベル100においては、作業機2を基準として各部の位置関係について説明する。
【0020】
作業機2のブーム6は、旋回体3に対して、ブームフートピン13を中心に回転移動する。旋回体3に対して回転するブーム6の特定の部分、たとえばブーム6の先端部が移動する軌跡は円弧状であり、その円弧を含む平面が特定される。ハイブリッドショベル100を平面視した場合に、当該平面は直線として表される。この直線の延びる方向が、本体1の前後方向、または旋回体3の前後方向であり、以下では単に前後方向ともいう。本体1の左右方向(車幅方向)、または旋回体3の左右方向とは、平面視において前後方向と直交する方向であり、以下では単に左右方向ともいう。ブームフートピン13は、左右方向に延びている。本体1の上下方向、または旋回体3の上下方向とは、前後方向および左右方向によって定められる平面に直交する方向であり、以下では単に上下方向ともいう。
【0021】
前後方向において、本体1から作業機2が突き出している側が前方向であり、前方向と反対方向が後方向である。前方向を視て左右方向の右側、左側がそれぞれ右方向、左方向である。上下方向において地面のある側が下側、空のある側が上側である。
【0022】
前後方向とは、運転室4内の運転席4Sに着座したオペレータの前後方向である。左右方向とは、運転席4Sに着座したオペレータの左右方向である。上下方向とは、運転席4Sに着座したオペレータの上下方向である。運転席4Sに着座したオペレータに正対する方向が前方向であり、運転席4Sに着座したオペレータの背後方向が後方向である。運転席4Sに着座したオペレータが正面に正対したときの右側、左側がそれぞれ右方向、左方向である。運転席4Sに着座したオペレータの足元側が下側、頭上側が上側である。
【0023】
図1および以下の図面においては、前後方向をX軸、左右方向をY軸、上下方向をZ軸で示している。
【0024】
作業機2は、ブームシリンダ10と、アームシリンダ11と、バケットシリンダ12とをさらに有している。ブームシリンダ10の一端は旋回体3に接続され、他端はブーム6に接続されている。ブーム6は、ブームシリンダ10により本体1に対して駆動可能である。この駆動により、ブーム6は、ブームフートピン13を支点として旋回体3に対して上下方向に回転可能である。
【0025】
アームシリンダ11の一端はブーム6に接続され、他端はアーム7に接続されている。アーム7は、アームシリンダ11によりブーム6に対して駆動可能である。この駆動により、アーム7は、ブームトップピン14を支点としてブーム6に対して上下方向または前後方向に回転可能である。
【0026】
バケットシリンダ12の一端はアーム7に接続され、他端はバケットリンク17に接続されている。バケット8は、バケットシリンダ12によりアーム7に対して駆動可能である。この駆動により、バケット8は、アームトップピン15を支点としてアーム7に対して上下方向に回転可能である。
【0027】
ブームシリンダ10、アームシリンダ11およびバケットシリンダ12の各々は、油圧シリンダであり、油圧により駆動する。
【0028】
<システム構成>
図2は、実施形態に基づくハイブリッドショベル100のシステム構成を概念的に示す概略ブロック図である。図2に示されるように、ハイブリッドショベル100は、エンジン20、発電電動機21、インバータ22、キャパシタ23、旋回電気モータ24、油圧ポンプ25、コントロールバルブ28、およびコントローラ30を備えている。
【0029】
エンジン20は、作業機2の動作の駆動源である。エンジン20は、走行体5によるハイブリッドショベル100の走行の駆動源である。エンジン20は、内燃機関であり、たとえばディーゼルエンジンである。エンジン20の出力の制御は、シリンダ内に噴射する燃料量を調整することで行われる。この調整は、エンジン20の燃料噴射ポンプに付設されたガバナ20Aがコントローラ30によって制御されることで行われる。エンジン20の出力軸は、発電電動機21の駆動軸に連結されている。
【0030】
発電電動機21は、エンジン20で発生した駆動力で発電する発電機として作動する。発電電動機21は、キャパシタ23への蓄電補充と、旋回加速時の旋回電気モータ24への電力供給とを行う。また、発電電動機21は、キャパシタ23に蓄えられた電気エネルギーで駆動される電動機(モータ)として作動する。発電電動機21は、キャパシタ23から放電された電気エネルギーを、作業中にエンジン20を加速するときのアシストに活用する。発電電動機21は、たとえば、構造が簡素で耐熱性に優れるSR(Switched Reluctance)モータであってもよい。
【0031】
インバータ22は、発電電動機21、キャパシタ23および旋回電気モータ24間の電流および電圧を変換し制御する。インバータ22は、コントローラ30から出力される制御指令値に従って、発電電動機21、キャパシタ23および旋回電気モータ24を制御する。インバータ22は、直流電源線を介して、キャパシタ23に電気的に接続されている。
【0032】
キャパシタ23は、電力を蓄える蓄電器である。キャパシタ23は、たとえば電気二重層キャパシタである。キャパシタ23は、発電電動機21が発電した電力を蓄電し、また発電電動機21に電力を供給する。電気エネルギーを効率よく瞬時に蓄電および放電することを可能にするために、キャパシタ23が採用されている。キャパシタ23に替えて、またはキャパシタ23に加えて、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池などの二次電池が用いられてもよい。
【0033】
インバータ22は、キャパシタ23から放電される電力を、旋回電気モータ24に供給する。旋回電気モータ24は、キャパシタ23に蓄えられた電気エネルギーで、旋回体3を駆動する。キャパシタ23に蓄えられた電気エネルギー、および発電電動機21で発生した電力で、旋回体3を駆動している。旋回電気モータ24は、旋回体3の旋回が減速するときに発生するエネルギーを電気エネルギーとして回収し、キャパシタ23に蓄電する。旋回電気モータ24は、たとえば、PM(Permanent Magnet)モータであってもよい。
【0034】
油圧ポンプ25の駆動軸は、発電電動機21を介して、エンジン20の出力軸に連結されている。エンジン20で発生した駆動力により、油圧ポンプ25が駆動する。油圧ポンプ25は、圧油を吐出する。油圧ポンプ25は、作業機2の駆動および走行体5の走行に用いる作動油を供給する。油圧ポンプ25は、駆動源としてのエンジン20に接続され、エンジン20によって駆動される油圧機器の一例である。油圧機器はまた、図1にも示されるブームシリンダ10、アームシリンダ11、バケットシリンダ12および走行モータ5Mを含んでいる。
【0035】
油圧ポンプ25は、可変容量型油圧ポンプであってもよい。油圧ポンプ25は、可変斜板を有する斜板式油圧ポンプであってもよい。可変斜板の角度は、コントローラ30から出力される制御指令値に従って、斜板駆動部25Aにより無段階で連続的に制御される。斜板駆動部25Aは、たとえばソレノイドである。
【0036】
タンク26は、油圧ポンプ25が利用する油を蓄えるタンクである。タンク26内に貯留された油が、油圧ポンプ25の駆動によってタンク26から吸い出され、コントロールバルブ28に供給される。圧力センサ27は、油圧ポンプ25の吐出する作動油の圧力(ポンプ吐出圧)を検知する。圧力センサ27の検知したポンプ吐出圧を示す検知信号が、圧力センサ27からコントローラ30に入力される。
【0037】
コントロールバルブ28は、ブームシリンダ10、アームシリンダ11、バケットシリンダ12および走行モータ5Mのそれぞれの作動油の供給量を調整するそれぞれの操作弁を有している。コントローラ30から出力される制御指令値に従って各操作弁が作動することにより、油圧アクチュエータ、すなわちブームシリンダ10、アームシリンダ11、バケットシリンダ12および走行モータ5Mに対する作動油の供給量が調整される。作動油は、油圧アクチュエータを作動するために、その油圧アクチュエータに供給される油である。
【0038】
ハイブリッドショベル100は、オペレータによって操作される操作装置を備えている。具体的には、操作装置は、旋回操作装置41と、作業機操作装置42と、走行操作装置43とを含んでいる。旋回操作装置41と、作業機操作装置42と、走行操作装置43とは、運転室4内に配置されている。
【0039】
旋回操作装置41は、旋回体3の旋回動作のために操作される。旋回操作装置41は、たとえば操作レバーである。旋回操作検出部41Aは、旋回操作装置41の操作量を検出する。旋回操作装置41が操作レバーの場合、旋回操作検出部41Aは、操作レバーの中立位置からの傾きの方向および角度を検出する。旋回操作検出部41Aは、検出信号をコントローラ30に出力する。検出信号に基づいてコントローラ30がインバータ22を制御することにより、旋回電気モータ24が駆動して、旋回体3が旋回動作する。
【0040】
作業機操作装置42は、作業機2の動作のために操作される。作業機操作装置42は、たとえば操作レバーである。作業機操作検出部42Aは、作業機操作装置42の操作量を検出する。作業機操作装置42が操作レバーの場合、作業機操作検出部42Aは、操作レバーの中立位置からの傾きの方向および角度を検出する。作業機操作検出部42Aは、検出信号をコントローラ30に出力する。検出信号に基づいてコントローラ30がコントロールバルブ28を制御することにより、ブームシリンダ10、アームシリンダ11およびバケットシリンダ12が適宜伸縮して、作業機2が動作する。
【0041】
走行操作装置43は、走行体5の動作のために操作される。走行操作装置43は、たとえば操作ペダルである。走行操作検出部43Aは、走行操作装置43の操作量を検出する。走行操作装置43が操作ペダルの場合、走行操作検出部43Aは、操作ペダルの踏み込み量を検出する。走行操作検出部43Aは、検出信号をコントローラ30に出力する。検出信号に基づいてコントローラ30がコントロールバルブ28を制御することにより、走行モータ5Mが駆動して、走行体5が走行する。
【0042】
運転室4内において、運転席4Sの右方に右側操作レバーが配置され、運転席4Sの左方に左側操作レバーが配置される。右側操作レバーの前後方向への操作に応じてブーム6の下げ動作および上げ動作が行われ、右側操作レバーの左右方向への操作に応じてバケット8の掘削方向およびダンプ方向への動作が行われてもよい。左側操作レバーの左右方向への操作に応じてアーム7のダンプ方向および掘削方向への動作が行われ、左側操作レバーの前後方向への操作に応じて旋回体3の右旋回および左旋回が行なわれてもよい。
【0043】
1つの操作レバーが、旋回操作装置41としての機能と、作業機操作装置42の一部機能とを有していてもよい。旋回操作装置41と作業機操作装置42とは、別々の操作装置であってもよく、一体の操作装置であってもよい。同じ一つの操作装置が、旋回体3の旋回動作のために操作され、かつ、旋回体3の旋回以外の動作のために操作されてもよい。
【0044】
旋回操作検出部41A、作業機操作検出部42Aおよび走行操作検出部43Aは、たとえばポテンショメータなどの変位センサであってもよい。旋回操作装置41、作業機操作装置42および走行操作装置43は、図2においては電気方式の操作装置として例示されるが、パイロット油圧方式の操作装置であってもよい。
【0045】
入力部45は、オペレータによって操作される。入力部45の操作により生成された信号は、コントローラ30に出力される。入力部45は、操作ボタン、操作スイッチ、タッチパネルなどを有していてもよい。入力部45に入力される情報は、たとえば、作業機2の先端に取り付けられたアタッチメントの種類を含み、また、旋回体3の旋回動作の動作モードを含む。旋回動作の動作モードには、作業効率を向上させるために高速で旋回するモードと、吊り荷の揺れを低減させるために低速で旋回するモードとが含まれる。
【0046】
コントローラ30は、ハイブリッドショベル100全体の動作を制御するコントローラであり、CPU(Central Processing Unit)、不揮発性メモリ、タイマなどを含んで構成されている。コントローラ30は、ハイブリッドショベル100に搭載されている。コントローラ30は、ハイブリッドショベル100の外部に配置されていてもよい。コントローラ30は、ハイブリッドショベル100の作業現場に配置されてもよく、ハイブリッドショベル100の作業現場から離れた遠隔地に配置されてもよい。ハイブリッドショベル100と、ハイブリッドショベル100の外部に配置されたコントローラ30とが、ハイブリッドショベル100の制御システムを構成してもよい。
【0047】
<旋回フレーム50>
図3は、旋回フレーム50の斜視図である。旋回フレーム50は、センタフレーム51と、左デッキフレーム61と、右デッキフレーム66とを有している。
【0048】
センタフレーム51は、旋回フレーム50における左右方向の中央に位置している。センタフレーム51は、ベースプレート52と、一対の縦板53,54とを有している。ベースプレート52は、板状の部材である。ベースプレート52は、前後方向に延びかつ左右方向に延びている。
【0049】
縦板53,54は、上下方向に立てられた板により構成されている。縦板53,54は、前後方向に沿って配置されている。右の縦板53は、ベースプレート52の右側縁の近傍において、ベースプレート52に固定されている。左の縦板54は、ベースプレート52の左側縁の近傍において、ベースプレート52に固定されている。縦板53,54は、ベースプレート52に対して直交して設けられている。縦板53,54は、車両の幅方向に間隔を空けて配置されている。縦板53,54は、左右方向に離れて配置されている。縦板53,54は、車両の左右方向に互いに距離を隔てて配置されている。縦板53,54は前後方向に延びている。
【0050】
センタフレーム51の前端部には、作業機2の基端部を支持するセンタブラケット55が形成されている。縦板53,54には、作業機2を上下方向に作動可能にするブームフートピン13用の孔が形成されている。作業機2は、縦板53,54の間に装着されている。作業機2は、上下方向に作動可能な状態で、センタブラケット55に取り付けられている。縦板53,54は、センタブラケット55から後方に離れるに従ってその上下方向の寸法が小さくなるように、傾斜している。
【0051】
左デッキフレーム61は、センタフレーム51の左側の側方に位置している。左デッキフレーム61は、センタフレーム51に溶接により固定されており、センタフレーム51と一体構造に形成されている。左デッキフレーム61は、前後方向に延びるサイドプレート62を有している。左デッキフレーム61の後方に、旋回フレーム50の構成部品が配置されていない開口63が形成されている。左の縦板54の後端の左側に、開口63が形成されている。
【0052】
右デッキフレーム66は、センタフレーム51の右側の側方に位置している。右デッキフレーム66は、センタフレーム51に溶接により固定されており、センタフレーム51と一体構造に形成されている。右デッキフレーム66は、前後方向に延びるサイドプレート67を有している。
【0053】
右の縦板53に、エンジンマウント56,57が固定されている。エンジンマウント56,57は、縦板53よりも右方に配置されている。エンジンマウント56,57は、縦板53の右面に固定されている。エンジンマウント56,57は、右デッキフレーム66上に配置されている。
【0054】
左の縦板54に、エンジンマウント58,59が固定されている。エンジンマウント58,59は、縦板54よりも右方に配置されており、右の縦板53と左の縦板54との間に配置されている。エンジンマウント58,59は、縦板54の右面に固定されている。エンジンマウント58,59は、センタフレーム51上に配置されている。
【0055】
エンジンマウント56~59の上面は、ベースプレート52と平行に延びている。エンジンマウント56~59の上面は、XY平面と平行である。
【0056】
エンジン20(図2)は、旋回フレーム50のうち、左右方向の中央に位置するセンタフレーム51の、後部に搭載されている。重量の大きいエンジン20は、センタブラケット55に取り付けられた作業機2との重量バランスを考慮して、センタブラケット55から離れかつカウンタウェイト80(図1)に近い、旋回フレーム50の後方端に配置されている。エンジン20を収容する機械室は、旋回体3の後部に設けられている。エンジン20は、エンジンマウント56~59に搭載されている。エンジン20は、エンジンマウント56~59を介して、センタフレーム51に搭載されている。
【0057】
図4は、旋回フレーム50に搭載された蓄電器アセンブリ70の斜視図である。蓄電器アセンブリ70は、図2に示されるキャパシタ23などの蓄電器、または蓄電池を、少なくとも含んでいる。蓄電器アセンブリ70は、ハイブリッドショベル100の動力源とする蓄電装置の一例に対応する。蓄電器アセンブリ70は、インバータ22に代表される他の電気機器を含んでいてもよい。インバータ22とキャパシタ23とを一体のアセンブリにすることで、インバータ22とキャパシタ23とを接続する高圧配線を短くでき、コストを低減できる。
【0058】
蓄電器アセンブリ70は、左デッキフレーム61の後方に配置されている。蓄電器アセンブリ70は、左の縦板54の左方に配置されている。蓄電器アセンブリ70は、一対の縦板53,54の間には配置されておらず、一対の縦板53,54の左右方向の外側に配置されている。蓄電器アセンブリ70は、図3に示される開口63の上方に配置されている。蓄電器アセンブリ70の下方の位置に、開口63が形成されている。
【0059】
蓄電器アセンブリ70の下方に、カバー64が配置されている。カバー64は、旋回フレーム50に対して着脱可能に構成されている。カバー64が旋回フレーム50に取り付けられている状態で、カバー64は、開口63を覆っている。カバー64が開口63を塞ぐように旋回フレーム50に取り付けられることにより、蓄電器アセンブリ70は、カバー64によって下方から覆われている。カバー64は、蓄電器アセンブリ70の下面に対向して下面を覆うように配置されている。
【0060】
蓄電器アセンブリ70は、カバー64とは別体の構造として旋回フレーム50に支持されてもよい。蓄電器アセンブリ70の下面とカバー64とが離れていてもよい。または、蓄電器アセンブリ70は、カバー64の上面に搭載されて、蓄電器アセンブリ70の下面とカバー64とが接触または近接していてもよい。
【0061】
<カウンタウェイト80>
図5は、カウンタウェイト80の斜視図である。カウンタウェイト80は、たとえば、鋼板を組み立てて形成した箱の中に屑鉄およびコンクリートなどを入れて固めることにより形成されている。
【0062】
カウンタウェイト80は、下面81と、上面82と、前面83とを有している。下面81は、カウンタウェイト80の表面のうち、カウンタウェイト80が旋回フレーム50に搭載された状態で下方を向く面である。下面81は、前後方向に延びかつ左右方向に延びる平面である。下面81は、XY平面と平行である。上面82は、カウンタウェイト80の表面のうち、カウンタウェイト80が旋回フレーム50に搭載された状態で上方を向く面である。前面83は、カウンタウェイト80の表面のうち、カウンタウェイト80が旋回フレーム50に搭載された状態で前方を向く面である。
【0063】
カウンタウェイト80には、下面81から上方へ向けて窪んだ嵌合部84,85が形成されている。嵌合部84,85は、互いに左右方向に距離を隔てて形成されている。
【0064】
カウンタウェイト80にはまた、凹部86が形成されている。カウンタウェイト80が下面81から前面83に亘って凹状に切り欠かれて、前方を向く前面83に凹部86が形成されている。凹部86の下側が、下面81に開口している。凹部86は、下面81から上方へ向けて凹状に凹んだ形状を有している。凹部86の前側が、前面83に開口している。凹部86は、前面83から後方へ向けて凹状に凹んだ形状を有している。
【0065】
凹部86は、カウンタウェイト80の、左右方向における左端部に形成されている。凹部86は、嵌合部85の左側に形成されている。凹部86が形成されているので、カウンタウェイト80は、その左下部分を切り欠いた形状とされている。図5に示されるカウンタウェイト80では、嵌合部85と凹部86とが連通しており連続的に形成されているが、嵌合部85と凹部86とは左右方向に離れていてもよい。
【0066】
カウンタウェイト80は、凹部86の天井面を構成する天井面87と、凹部86の右側の側壁面を構成する右側面88とを有している。天井面87は、図5においては下面81と平行な平面状に形成されているが、下面81と非平行であってもよく、非平面であってもよい。右側面88は、図5においてはXZ平面と平行な平面であるが、XZ平面に対して傾いていてもよく、非平面であってもよい。
【0067】
カウンタウェイト80の後面は、外装カバー99で覆われている。外装カバー99は、ハイブリッドショベル100の後側の表面を構成しており、滑らかに湾曲した形状を有している。図5に示されるカウンタウェイト80では、前面83から後面にまで亘って凹部86が形成されており、凹部86の後方に外装カバー99の前面が図示されているが、カウンタウェイト80が凹部86の後側の側壁面を構成する背面を有していてもよい。
【0068】
<カウンタウェイト80に対する蓄電器アセンブリ70の配置>
図6は、旋回フレーム50にカウンタウェイト80を搭載した状態の斜視図である。カウンタウェイト80は、一対の縦板53,54の後端部に搭載される。カウンタウェイト80は、旋回フレーム50上に載せ置かれて、旋回フレーム50に固定される。縦板53,54は、カウンタウェイト80を支持する一対の支持梁として機能する。
【0069】
嵌合部84は、縦板53を収容可能に設けられている。嵌合部85は、縦板54を収容可能に設けられている。カウンタウェイト80が旋回フレーム50に搭載された状態で、縦板53は嵌合部84の内部に嵌め込まれ、縦板54は嵌合部85の内部に嵌め込まれている。カウンタウェイト80を旋回フレーム50に搭載した状態では、嵌合部85に収容されている縦板54の左側に、凹部86が存在する。
【0070】
縦板54の左方に配置されている蓄電器アセンブリ70は、その後側の一部分が凹部86内に配置されている。蓄電器アセンブリ70の少なくとも一部は、凹部86内に配置されている。
【0071】
図7は、旋回フレーム50にカウンタウェイト80を搭載した状態の平面図である。図7には、旋回フレーム50と、旋回フレーム50に搭載されているカウンタウェイト80および蓄電器アセンブリ70とに加えて、図2に示されるエンジン20、発電電動機21および油圧ポンプ25が模式的に図示されており、また冷却装置90が模式的に図示されている。
【0072】
エンジン20は、旋回フレーム50に搭載されている。カウンタウェイト80は、エンジン20の後方において、旋回フレーム50に搭載されている。エンジン20を収容する機械室は、旋回フレーム50の後部に設けられている。旋回フレーム50は、機械室の床部分を形成している。図1に示すエンジンフード9は、機械室の天井部分を形成している。カウンタウェイト80は、機械室の後方に配置されている。カウンタウェイト80の前面83は、機械室の後側の壁面を形成している。
【0073】
発電電動機21および油圧ポンプ25は、旋回フレーム50に搭載されている。発電電動機21は、エンジン20の右側に配置されている。油圧ポンプ25は、発電電動機21の右側に配置されている。エンジン20、発電電動機21および油圧ポンプ25は、左右方向にこの順で並べられて配置されている。エンジン20、発電電動機21および油圧ポンプ25は、パワーユニットを構成している。
【0074】
冷却装置90は、熱交換器91と、ファン92とを有している。ファン92は、エンジン20の左隣に配置されており、熱交換器91に対向して配置されている。ファン92は、熱交換器91に送風を行う送風機の一例に対応する。ファン92の回転により、左から右へ熱交換器91を通過して流れる空気流が発生する。ファン92の発生する空気流は、熱交換器91、ファン92、エンジン20の順に流れる。
【0075】
熱交換器91は、冷却対象流体から空気流へ放熱させることにより、冷却対象流体を冷却する。冷却対象流体は、エンジン20の冷却水を含み、油圧ポンプ25から油圧アクチュエータに供給される作動油を含む。熱交換器91は、エンジン20の冷却水を冷却するラジエータを含み、作動油を冷却するオイルクーラを含む。
【0076】
蓄電器アセンブリ70は、熱交換器91の直後方に配置されている。蓄電器アセンブリ70は、エンジン20の左方に配置されている。エンジン20と蓄電器アセンブリ70との間に、エンジン20と蓄電器アセンブリ70との配置空間を隔てる壁が設置されていてもよい。
【0077】
冷却ホース93は、熱交換器91と蓄電器アセンブリ70とを接続している。冷却水などの冷媒が冷却ホース93を経由して蓄電器アセンブリ70に供給されて、蓄電器アセンブリ70が冷却される。冷媒は、熱交換器91と蓄電器アセンブリ70とを循環している。蓄電器アセンブリ70の発生する熱を受けて温度が上昇した冷媒は、熱交換器91に戻される。熱交換器91において冷媒が空気に放熱して、再び冷媒の温度が低下する。
【0078】
平面視において、蓄電器アセンブリ70の一部は、凹部86外に配置されている。蓄電器アセンブリ70は、その前側の一部分が凹部86外に配置されている。図7に示されるように、上方からの平面視において、蓄電器アセンブリ70の前側の一部分が視認可能である。蓄電器アセンブリ70の後側の部分は、カウンタウェイト80に覆われており、上方からは見えなくなっている。
【0079】
図8は、旋回フレーム50にカウンタウェイト80を搭載した状態を下方から見た斜視図である。図8では、旋回フレーム50からカバー64が取り外されている。カバー64を取り外すとともに蓄電器アセンブリ70の旋回フレーム50への固定を解除することで、図8中の矢印ARに示されるように、蓄電器アセンブリ70を下方へ移動させることが可能になる。蓄電器アセンブリ70を上方から吊り支持した状態で蓄電器アセンブリ70の固定を解除して、開口63(図3)を経由して蓄電器アセンブリ70を吊り降ろすことができる。
【0080】
または、蓄電器アセンブリ70をたとえば油圧リフターで下方から支持した状態で蓄電器アセンブリ70の固定を解除して、その状態で油圧リフターを下げることによって、開口63を経由して蓄電器アセンブリ70を下方へ移動させてもよい。このように蓄電器アセンブリ70を下方へ移動させる場合には、蓄電器アセンブリ70は、平面視においてその全部が凹部86内に配置されていても構わない。蓄電器アセンブリ70を下方へ移動させる場合には、凹部86は、カウンタウェイト80の下面81に開口していればよく、カウンタウェイト80の前面83に必ずしも開口していなくてもよい。
【0081】
<作用および効果>
上述した説明と一部重複する記載もあるが、本実施形態の特徴的な構成および作用効果についてまとめて記載すると、以下の通りである。
【0082】
図5に示されるように、カウンタウェイト80には、下面81から上方へ向けて凹んだ凹部86が形成されている。図6,7に示されるように、蓄電器アセンブリ70は、旋回フレーム50に搭載されている。蓄電器アセンブリ70の一部は、凹部86内に配置されている。
【0083】
カウンタウェイト80に下側が開口した凹部86を形成することで、カウンタウェイト80の内部に、機器を配置可能な空間が形成される。この凹部86内に蓄電器アセンブリ70を配置することで、旋回フレーム50上の、蓄電器アセンブリ70の配置に必要なスペースが低減される。旋回フレーム50に搭載される蓄電器アセンブリ70を適切に配置することで、旋回フレーム50上の限られたスペースに効率的に機器を配置することができ、より多くの機器を旋回フレーム50に搭載することが可能になる。
【0084】
蓄電器アセンブリ70を凹部86内に配置することにより、蓄電器アセンブリ70を、旋回フレーム50の後端により近く配置できる。ハイブリッドショベル100の旋回体3においては、前部に作業機2が配置されるので、後部にカウンタウェイト80を置いて前後方向の重量バランスを取るようにしている。重量物である蓄電器アセンブリ70は、カウンタウェイト80内に配置されている。蓄電器アセンブリ70は、旋回フレーム50の旋回軸RXよりも後方に置かれる。このように配置された蓄電器アセンブリ70は、前後方向の重量バランスを取る役割を果たせる。これにより、カウンタウェイト80の重量を低減することが可能になる。
【0085】
カウンタウェイト80と蓄電器アセンブリ70とを別々の構造にすることで、カウンタウェイト80と蓄電器アセンブリ70とを、別々に旋回フレーム50に取り付けまたは旋回フレーム50から取り外すことが可能になる。ハイブリッドショベル100の輸送時に、カウンタウェイト80を吊り上げて旋回フレーム50から取り外すときの、取り扱いが容易になる。カウンタウェイト80を取り外した状態で、蓄電器アセンブリ70を旋回フレーム50に搭載したままにでき、蓄電器アセンブリ70に配線を接続した状態に保つことができるので、取扱性がより向上する。
【0086】
図3,4に示されるように、旋回フレーム50の、蓄電器アセンブリ70の下方の位置に、開口63が形成されている。カバー64は、旋回フレーム50に対して着脱可能であって、旋回フレーム50に取り付けられた状態で開口63を覆う。カバー64を旋回フレーム50から取り外すことによって、蓄電器アセンブリ70を、開口63を経由させて下方に移動させることが可能になる。これにより、蓄電器アセンブリ70の交換が容易になる。カウンタウェイト80を旋回フレーム50に搭載したままで蓄電器アセンブリ70を交換することが可能になり、作業性を向上することができる。
【0087】
図7に示されるように、平面視において蓄電器アセンブリ70の一部が凹部86外に配置されている。これにより、蓄電器アセンブリ70を上方から吊ることが可能になる。蓄電器アセンブリ70を吊り支持した状態でカバー64を取り外し、開口63を経由させて蓄電器アセンブリ70を下方へ吊り降ろすことが可能になる。したがって、蓄電器アセンブリ70の交換時の作業性をさらに向上できる。
【0088】
図4に示されるように、蓄電器アセンブリ70は、一対の縦板53,54の左右方向の外側に配置されている。ハイブリッドショベル100では、一対の縦板53,54によってエンジン20が支持され、縦板53,54の間にエンジン20が配置される。加えて、カウンタウェイト80も、一対の縦板53,54によって支持される。蓄電器アセンブリ70を縦板53,54の左右方向の外側に配置することで、蓄電器アセンブリ70の配置スペースを確保することができる。また、蓄電器アセンブリ70がサイドプレート62の近くに配置されるので、旋回体3の側方の外装カバーの後部の一部を取り外すことで、容易に蓄電器アセンブリ70にアクセスすることが可能になる。
【0089】
図7に示されるように、蓄電器アセンブリ70は、エンジン20の左方に配置されている。蓄電器アセンブリ70は、ファン92の左方に配置されている。左右方向において、蓄電器アセンブリ70とエンジン20との間に、ファン92が介在している。蓄電器アセンブリ70は、ファン92の発生する空気流の方向において、ファン92よりも上流側に配置されている。このような配置にすることで、エンジン20の発生する熱が蓄電器アセンブリ70に伝達されることが抑制される。したがって蓄電器アセンブリ70の雰囲気温度が高くなることが抑制される。
【0090】
図7に示されるように、ハイブリッドショベル100は、熱交換器91と、熱交換器91に送風するファン92と、熱交換器91と蓄電器アセンブリ70とを接続する冷却ホース93とをさらに備えている。蓄電器アセンブリ70に、冷媒を冷却ホース93を経由させて供給することができ、蓄電器アセンブリ70を内部から効率的に冷却できる。蓄電器アセンブリ70を空冷式としないことで、凹部86内の蓄電器アセンブリ70に冷却風を供給しなくてもよく、蓄電器アセンブリ70の配置の自由度を向上できる。
【0091】
図7に示されるように、蓄電器アセンブリ70は、熱交換器91の直後方に配置されている。このような配置にすることで、冷却ホース93の長さを短くすることができ、蓄電器アセンブリ70の冷却構造をコンパクトな構造にすることができる。
【0092】
上記の実施形態では、蓄電器アセンブリ70が左の縦板54の左方に配置されている例について説明した。この例に限られず、蓄電器アセンブリ70は、右の縦板53の右方に配置されていてもよい。蓄電器アセンブリ70は、左の縦板54の左方と、右の縦板53の右方と、の両方に配置されていてもよい。蓄電器アセンブリ70は、一対の縦板53,54の左右方向の両外側に分割されて配置されていてもよい。
【0093】
上記の実施形態では、作業機械の一例として、油圧機器の駆動源としてエンジン20を備えるとともに旋回体3を旋回電気モータ24で駆動させるハイブリッドショベル100について説明した。ショベルは、エンジン(内燃機関)を備えなくてもよい。ショベルは、旋回体3の旋回、走行体5による走行、および作業機2の動作の駆動源がいずれも電動機であり、当該電動機は蓄電器に蓄えられた電気エネルギーにより駆動される、電動ショベルであってもよい。
【0094】
作業機械は、ショベルに限られない。旋回フレームを備え、旋回フレームにカウンタウェイトが搭載される作業機械であれば、実施形態の思想を適用可能である。たとえば作業機械は、クレーンであってもよい。
【0095】
<付記>
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
【0096】
(付記1)
作業機械であって、
旋回フレームと、
前記旋回フレームに搭載され、前記作業機械の動力源とする蓄電装置と、
前記旋回フレームに搭載されたカウンタウェイトとを備え、
前記カウンタウェイトには、下面から上方へ向けて凹んだ凹部が形成されており、
前記蓄電装置の少なくとも一部は前記凹部内に配置されている、作業機械。
【0097】
(付記2)
前記旋回フレームの、前記蓄電装置の下方の位置に、開口が形成されており、
前記旋回フレームに対して着脱可能であって、前記旋回フレームに取り付けられた状態で前記開口を覆う、カバーをさらに備える、付記1に記載の作業機械。
【0098】
(付記3)
平面視において前記蓄電装置の一部は前記凹部外に配置されている、付記1または付記2に記載の作業機械。
【0099】
(付記4)
前記旋回フレームは、左右方向に離れて配置された一対の縦板を有し、
前記蓄電装置は、前記一対の縦板の前記左右方向の外側に配置されている、付記1から付記3のいずれか1つに記載の作業機械。
【0100】
(付記5)
熱交換器と、
前記熱交換器に送風する送風機と、
前記熱交換器と前記蓄電装置とを接続する冷却ホースとをさらに備える、付記1から付記4のいずれか1つに記載の作業機械。
【0101】
(付記6)
前記蓄電装置は、前記熱交換器の直後方に配置されている、付記5に記載の作業機械。
【0102】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0103】
1 本体、2 作業機、3 旋回体、4 運転室、5 走行体、9 エンジンフード、20 エンジン、21 発電電動機、22 インバータ、23 キャパシタ、24 旋回電気モータ、25 油圧ポンプ、28 コントロールバルブ、30 コントローラ、50 旋回フレーム、51 センタフレーム、52 ベースプレート、53,54 縦板、55 センタブラケット、56~59 エンジンマウント、61 左デッキフレーム、62,67 サイドプレート、63 開口、64 カバー、66 右デッキフレーム、70 蓄電器アセンブリ、80 カウンタウェイト、81 下面、82 上面、83 前面、84,85 嵌合部、86 凹部、87 天井面、88 右側面、90 冷却装置、91 熱交換器、92 ファン、93 冷却ホース、99 外装カバー、100 ハイブリッドショベル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8