(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054728
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】船舶推進器
(51)【国際特許分類】
B63H 20/32 20060101AFI20240410BHJP
F16H 57/023 20120101ALI20240410BHJP
F16H 57/038 20120101ALI20240410BHJP
B63H 20/14 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
B63H20/32 100
F16H57/023
F16H57/038
B63H20/14 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161148
(22)【出願日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100149009
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 稔久
(72)【発明者】
【氏名】猿渡 公隆
(72)【発明者】
【氏名】野間 暁裕
(72)【発明者】
【氏名】森 政成
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雄資
(72)【発明者】
【氏名】影山 浩明
(72)【発明者】
【氏名】室内 忍
【テーマコード(参考)】
3J063
【Fターム(参考)】
3J063AA23
3J063AB04
3J063AB52
3J063AC01
3J063BA03
3J063BB41
3J063CB17
3J063CB41
3J063CB58
3J063CD16
(57)【要約】
【課題】船舶推進器において、サーキュレータをケースに固定する構成を提供すること。
【解決手段】船舶推進器は、第1ギアと、第2ギアと、第3ギアと、サーキュレータと、ケースと、取付部材と、を備える。第2ギアは、第1ギアと噛み合う。第3ギアは、第1ギアと噛み合っており、第2ギアと同軸に配置され、第2ギアと向き合う。サーキュレータは、第2ギアと第3ギアとの間に配置される。ケースは、第1ギアと第2ギアと第3ギアとサーキュレータとが配置される内部空間と、サーキュレータが取り付けられる取付穴と、を有する。取付部材は、取付穴に挿入され、サーキュレータをケースに取り付ける。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ギアと、
前記第1ギアと噛み合う第2ギアと、
前記第1ギアと噛み合っており、前記第2ギアと同軸に配置され、前記第2ギアと向き合う第3ギアと、
前記第2ギアと前記第3ギアとの間に配置されるサーキュレータと、
前記第1ギアと前記第2ギアと前記第3ギアと前記サーキュレータとが配置される内部空間と、前記サーキュレータが取り付けられる取付穴と、を有するケースと、
前記取付穴に挿入され、前記サーキュレータを前記ケースに取り付ける取付部材と、を備えた、
船舶推進器。
【請求項2】
前記ケースは、
前記内部空間を含むギアケース部と、
前記ギアケース部から下方に延びたスケグと、を有し、
前記取付穴は、前記ギアケース部から前記スケグまで形成されている、
請求項1に記載の船舶推進器。
【請求項3】
前記取付穴の内周面には雌ネジ形状が形成され、
前記取付部材の少なくとも先端部には、雄ネジ形状が形成され、
前記取付部材は、前記サーキュレータを貫通して前記取付穴に挿入されており、
前記取付部材の前記雄ネジ形状は前記取付穴の前記雌ネジ形状と螺合している、
請求項1に記載の船舶推進器。
【請求項4】
駆動源と、
前記駆動源に接続され、第1軸線方向に延びる第1シャフトと、
前記第1軸線方向に交差する第2軸線方向に延びる第2シャフトと、
クラッチ機構と、を更に備え、
前記第1ギアは、前記第1シャフトに接続されており、
前記第2ギアは、前記第2シャフトと同軸に配置され、前記第2シャフトに対して回転可能であり、
前記第3ギアは、記第2シャフトと同軸に配置され、前記第2シャフトに対して回転可能であり、前記第2軸線方向において前記第2ギアと向かい合い、
前記クラッチ機構は、前記第2ギアと前記第2シャフトとの係合と開放、及び、前記第3ギアと前記第2シャフトとの係合と開放を切り換え、
前記取付穴は、前記第2シャフトよりも下方に配置され、前記第1軸線方向と平行、且つ前記第2シャフトに対して垂直に形成されている、
請求項1に記載の船舶推進器。
【請求項5】
駆動源と、
前記駆動源に接続され、第1軸線方向に延びる第1シャフトと、
前記第1軸線方向に交差する第2軸線方向に延びる第2シャフトと、
クラッチ機構と、を更に備え、
前記第1ギアは、前記第1シャフトに接続されており、
前記第2ギアは、前記第2シャフトと同軸に配置され、前記第2シャフトに対して回転可能であり、
前記第3ギアは、記第2シャフトと同軸に配置され、前記第2シャフトに対して回転可能であり、前記第2軸線方向において前記第2ギアと向かい合い、
前記クラッチ機構は、前記第2ギアと前記第2シャフトとの係合と開放、及び、前記第3ギアと前記第2シャフトとの係合と開放を切り換え、
前記サーキュレータは、
前記第2軸線方向に延び、前記第2シャフトが通る中央孔と、
前記中央孔から径方向外方へ延び、前記第1ギアが配置される開口と、
前記中央孔を形成し、前記第2軸線方向に沿って視て円弧状の内周面と、
前記内周面の径方向外側に配置され、前記第2軸線方向に沿って視て円弧状の外周面と、
前記内周面から前記外周面まで貫通する第1貫通穴と、を有し、
前記取付部材は、前記第1貫通穴を貫通して前記取付穴に挿入されている、
請求項3に記載の船舶推進器。
【請求項6】
前記サーキュレータは、
前記取付穴に対向する第1開口と、前記第1開口と反対側の第2開口とを含む第2貫通穴を有し、前記第2貫通穴に前記取付部材が配置されるサーキュレータ本体と、
前記第2貫通穴の前記第2開口を塞ぐように前記サーキュレータ本体に締結され、前記取付穴および前記第2貫通穴に配置された前記取付部材の前記第2開口からの移動を規制する規制部材と、
前記サーキュレータ本体に前記規制部材を締結する締結部材と、を有する、
請求項1に記載の船舶推進器。
【請求項7】
駆動源と、
前記駆動源に接続され、第1軸線方向に延びる第1シャフトと、
前記第1軸線方向に交差する第2軸線方向に延びる第2シャフトと、
前記第2シャフトに取り付けられるプロペラと、
クラッチ機構と、を更に備え、
前記第1ギアは、前記第1シャフトに接続されており、
前記第2ギアは、前記第2シャフトと同軸に配置され、前記第2シャフトに対して回転可能であり、
前記第3ギアは、記第2シャフトと同軸に配置され、前記第2シャフトに対して回転可能であり、前記第2軸線方向において前記第2ギアと向かい合い、
前記クラッチ機構は、前記第2ギアと前記第2シャフトとの係合と開放、及び、前記第3ギアと前記第2シャフトとの係合と開放を切り換え、
前記サーキュレータ本体は、前記第2軸線方向に沿った締結穴を有し、
前記規制部材は、前記第2軸線方向に沿い、前記締結穴よりも前記プロペラ側に配置された第3貫通穴を有し、
前記締結部材は、前記プロペラ側から前記第3貫通穴および前記締結穴に挿入されている、
請求項6に記載の船舶推進器。
【請求項8】
前記サーキュレータは、金属によって形成されている、
請求項1に記載の船舶推進器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶推進器に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶推進器には、駆動源の動力が、互いに異なる方向に延びる第1シャフトと第2シャフトとによって伝達されるものがある。船舶推進器は、第1シャフトから第2シャフトへの回転の伝達方向を切り換えるためのギア機構を備えている。例えば、特許文献1の船外機は、駆動軸と、ピニオンギアと、前ベベルギアと、後ベベルギアと、クラッチと、プロペラ軸とを備えている。ピニオンギアは、駆動軸に接続されている。前ベベルギアと後ベベルギアとは、互いに向かい合って配置されており、それぞれピニオンギアに噛み合っている。前ベベルギアと後ベベルギアとは、プロペラ軸と同軸に配置されており、プロペラ軸に対して回転可能である。ピニオンギアと前ベベルギアと後ベベルギアとはケース内に配置されており、ケース内には潤滑油が充填されている。
【0003】
クラッチは、前ベベルギアとプロペラ軸との係合と解放、及び、後ベベルギアとプロペラ軸との係合と解放を切り換える。例えば、クラッチは、前ベベルギアをプロペラ軸に係合させ、後ベベルギアをプロペラ軸から解放する。それにより、駆動軸の回転が、プロペラ軸に前進方向に伝達される。また、クラッチは、後ベベルギアをプロペラ軸に係合させ、前ベベルギアをプロペラ軸から解放する。それにより、駆動軸の回転が、プロペラ軸に後進方向に伝達される。
【0004】
上記の船外機では、前ベベルギアと後ベベルギアとは、互いに反対の方向に回転している。そのため、前ベベルギアの回転による潤滑油の流れと、後ベベルギアの回転による潤滑油の流れとが衝突することで、前ベベルギア及び後ベベルギアの回転に対して抵抗が生じる。
【0005】
このため、特許文献1には、前ベベルギアと後ベベルギアの間にサーキュレータを配置し、前ベベルギアの回転による潤滑剤の流れと、後ベベルギアの回転による潤滑剤の流れが衝突することを抑制する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前ベベルギアと後ベベルギアの間の狭いスペースにサーキュレータを配置する必要があり、固定方法に課題があった。
【0008】
本開示の目的は、船舶推進器において、サーキュレータをケースに固定する構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1の態様に係る船舶推進器は、第1ギアと、第2ギアと、第3ギアと、サーキュレータと、ケースと、取付部材と、を備える。第2ギアは、第1ギアと噛み合う。第3ギアは、第1ギアと噛み合っており、第2ギアと同軸に配置され、第2ギアと向き合う。サーキュレータは、第2ギアと第3ギアとの間に配置される。ケースは、第1ギアと第2ギアと第3ギアとサーキュレータとが配置される内部空間と、サーキュレータが取り付けられる取付穴と、を有する。取付部材は、取付穴に挿入され、サーキュレータをケースに取り付ける。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、ケースに取付穴を設けることで、取付部材を用いてサーキュレータをケースに取り付けることができる。また、ケース自体に取付穴を設けているため、第2ギアと第3ギアの間の限られたスペースにおいてサーキュレータをケースに固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態1に係る船舶推進器の側面図である。
【
図5A】第2軸線方向から見たケース内の断面図である。
【
図6】サーキュレータのケースへの取り付け方法を示す斜視図である。
【
図7】サーキュレータのケースへの取り付け方法を示す側断面図である。
【
図8】サーキュレータのケースへの取り付け方法を示す平断面図である。
【
図9A】実施形態2に係る船舶推進器のケース内の断面図である。
【
図13】サーキュレータのケースへの取り付け方法を示す斜視図である。
【
図14】サーキュレータのケースへの取り付け方法を示す側断面図である。
【
図15】実施形態2の変形例のサーキュレータを説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
以下、図面を参照して、実施形態1の船舶推進器1について説明する。
図1は、実施形態1に係る船舶推進器1の側面図である。本実施形態に係る船舶推進器1は、船外機である。船舶推進器1は、ブラケット8を介して船の船尾に取り付けられる。
【0013】
船舶推進器1は、駆動源2と、第1シャフト3と、第2シャフト4と、シフト機構5とを含む。駆動源2は、例えば内燃エンジンを含む。或いは、駆動源2は、電動モータを含んでもよい。第1シャフト3は、駆動源2に接続されている。第1シャフト3は、第1軸線方向Z1に延びている。本実施形態において、第1軸線方向Z1は、船舶推進器1の上下方向である。駆動源2は、クランク軸6を含む。クランク軸6は、第1軸線方向Z1に延びている。第1シャフト3は、クランク軸6に接続されている。
【0014】
第2シャフト4は、第2軸線方向X1に延びている。第2軸線方向X1は、第1軸線方向Z1に交差する方向である。第2軸線方向X1は、船舶推進器1の前後方向である。第2シャフト4は、シフト機構5を介して、第1シャフト3に接続されている。第2シャフト4にはプロペラ7が取り付けられる。プロペラ7は、駆動源2において発生するトルクによって回転する。それにより、プロペラ7は、船を推進させるスラストを発生させる。
【0015】
船舶推進器1は、カウル10と、ハウジング11と、ケース12と、を含む。駆動源2は、カウル10内に配置されている。ハウジング11は、カウル10の下方に配置される。ケース12は、ハウジング11の下方に配置される。第1シャフト3は、ハウジング11とケース12とを通って配置されている。
【0016】
図2は、ケース12内のシフト機構5の断面図である。
図1および
図2に示すように、ケース12は、ギアケース部22と、スケグ23と、を含む。
図2に示すように、ギアケース部22は、シフト機構5が配置される内部空間S0を有している。スケグ23は、ギアケース部22から下方に延びる。
【0017】
内部空間S0内には、潤滑油が充填されている。シフト機構5は、第1ギア13と、第2ギア14と、第3ギア15と、クラッチ機構16とを含む。第1ギア13は、第1シャフト3に接続されている。第1ギア13は、第1シャフト3の下端に固定されており、第1シャフト3と共に回転する。第2ギア14と第3ギア15とは、第1ギア13と噛み合っている。第1~第3ギア13-15は、例えばベベルギアである。
【0018】
第2ギア14は、軸受17を介して、ケース12に回転可能に支持されている。第3ギア15は、第2軸線方向X1において第2ギア14と向かい合っている。第3ギア15は、軸受18を介して、ケース12に回転可能に支持されている。第3ギア15は、第2ギア14と逆方向に回転する。第2シャフト4は、第2ギア14と第3ギア15とを通って、第2軸線方向X1に延びている。第2ギア14と第3ギア15とは、第2シャフト4と同軸に配置されている。第2シャフト4は、軸受19を介して、第2ギア14に支持されている。第2ギア14と第3ギア15とは、第2シャフト4に対して回転可能である。
【0019】
クラッチ機構16は、第2ギア14と第2シャフト4との係合と解放、及び、第3ギア15と第2シャフト4との係合と解放を切り換える。クラッチ機構16は、例えばドッグクラッチである。ただし、クラッチ機構16は、ドッグクラッチと異なる種類のクラッチであってもよい。クラッチ機構16は、第2シャフト4と共に回転する。クラッチ機構16は、第1ギア13の下方に配置されている。クラッチ機構16は、第2軸線方向X1において、第2ギア14と第3ギア15との間に配置されている。
【0020】
クラッチ機構16は、第2軸線方向X1に移動可能である。クラッチ機構16には、シフトシャフト21が接続されている。シフトシャフト21は、図示しないシフトアクチュエータに接続されている。シフトシャフト21は、電気的に制御されるシフトアクチュエータによって、第2軸線方向X1に移動する。或いは、シフトシャフト21は、シフトロッドに接続されてもよい。シフトシャフト21は、手動で動作するシフトロッドによって、第2軸線方向X1に移動してもよい。
【0021】
詳細には、クラッチ機構16は、
図2に示す中立位置と、第1位置と、第2位置とに移動可能である。クラッチ機構16は、第1位置において、第2ギア14と噛み合う。クラッチ機構16は、第1位置において、第2ギア14と第2シャフト4とを係合させ、第3ギア15を第2シャフト4から解放する。それにより、第1ギア13の回転は、第2ギア14を介して、第2シャフト4に伝達される。第3ギア15は、第2シャフト4に対して空転する。その結果、第2ギア14と第2シャフト4とは、第1回転方向に回転する。
【0022】
クラッチ機構16は、第2位置において、第3ギア15と噛み合う。クラッチ機構16は、第2位置において、第3ギア15と第2シャフト4とを係合させ、第2ギア14を第2シャフト4から解放する。それにより、第1ギア13の回転は、第3ギア15を介して、第2シャフト4に伝達される。第2ギア14は、第2シャフト4に対して空転する。その結果、第3ギア15と第2シャフト4とは、第2回転方向に回転する。第2回転方向は、第1回転方向とは逆の方向である。
【0023】
クラッチ機構16は、中立位置において、第2ギア14と第3ギア15とのいずれとも噛み合わない。従って、第2ギア14と第3ギア15とは、共に第2シャフト4に対して空転する。そのため、第1ギア13の回転は、第2シャフト4に伝達されない。なお、第1回転方向が前進方向であり、第2回転方向が後進方向であってもよい。或いは、第1回転方向が後進方向であり、第2回転方向が前進方向であってもよい。
【0024】
船舶推進器1は、サーキュレータ30を含む。サーキュレータ30は、ケース12の内部空間S0内に配置されている。サーキュレータ30は、金属製であり、例えばアルミニウムによって作成されている。
図3及び
図4は、サーキュレータ30の斜視図である。
図5Aは、第2軸線方向X1から見たケース12内の断面図である。
図3から
図5Aに示すように、サーキュレータ30は、隔壁31と、第1流路32と、第2流路33とを含む。
【0025】
隔壁31は、第2軸線方向X1から見て、円弧状の外形を含む。隔壁31は、内部空間S0内において第2ギア14と第3ギア15との間に配置される。隔壁31は、
図2に示すように、内部空間S0を、第1空間S1と第2空間S2とに区画する。第1空間S1には、第2ギア14が配置される。第2空間S2には、第3ギア15が配置される。
【0026】
隔壁31は、
図3および
図4に示すように、中央孔34と、開口35と、第1壁部36と、第2壁部37と、第3壁部38とを含む。中央孔34は、第2軸線方向X1に隔壁31を通って延びる。クラッチ機構16は、中央孔34内に配置される。第2シャフト4は、中央孔34を通って配置されている。開口35は、中央孔34から径方向外方へ延びている。開口35は、第1軸線方向Z1へ延びている。詳細には、開口35は、中央孔34から上方へ延びている。第1ギア13は、開口35内に配置される。
【0027】
第1~第3壁部36-38は、中央孔34の径方向外方に配置されている。第1~第3壁部36-38は、第2軸線方向X1において第2ギア14及び第3ギア15と向かい合う。第1壁部36は、円弧状の形状を有する。第1壁部36の中心角は、180度よりも大きい。第1壁部36は、隔壁31の中心よりも上方まで延びている。
【0028】
第2壁部37は、隔壁31の周方向において、開口35と第1壁部36との間に配置されている。第2壁部37は、円弧状の形状を有する。第2壁部37の中心角は、第1壁部36の中心角よりも小さい。第3壁部38は、
図5Aに示すように、第3軸線方向Y1において、第2壁部37と反対に配置されている。第3軸線方向Y1は、第2軸線方向X1から見て第1軸線方向Z1に直交する方向である。第3軸線方向Y1は、船舶推進器1の左右方向である。第3壁部38は、隔壁31の周方向において、開口35と第1壁部36との間に配置されている。開口35は、第2壁部37と第3壁部38との間に配置されている。第3壁部38は、円弧状の形状を有する。第3壁部38の中心角は、第1壁部36の中心角よりも小さい。
【0029】
図3に示すように、第1壁部36は、第1凹溝39を含む。第1凹溝39は、第2ギア14と向かい合う。第1凹溝39は、第1壁部36の表面から、第2軸線方向X1に凹んでいる。
図2に示すように、第1凹溝39は、曲面状の形状を有する。第1凹溝39は、第1壁部36の周方向に沿って延びる。第1凹溝39は、第2ギア14の回転方向に沿って延びる。
【0030】
図4に示すように、第1壁部36は、第2凹溝40を含む。第2凹溝40は、第1壁部36において第1凹溝39と反対の面に配置されている。第2凹溝40は、第3ギア15と向かい合う。第2凹溝40は、第1壁部36の表面から、第2軸線方向X1に凹んでいる。
図2に示すように、第2凹溝40は、曲面状の形状を有する。第2凹溝40は、第1壁部36の周方向に沿って延びる。第2凹溝40は、第3ギア15の回転方向に沿って延びる。
【0031】
第1流路32は、第2軸線方向X1にサーキュレータ30を貫通している。第1流路32は、第1空間S1と第2空間S2とを連通させる。第1流路32は、第2軸線方向X1に延びる第2シャフト4の中心線A1よりも第1ギア13側に位置する。すなわち、第1流路32は、第2シャフト4の中心線A1よりも上方に位置する。第1流路32は、第1壁部36と第2壁部37との間に配置されている。第1流路32の少なくとも一部は、第1軸線方向Z1において、第1ギア13と第2シャフト4の中心線A1との間に配置される。
【0032】
図5Aに示すように、第1流路32は、第2軸線方向X1から見て、サーキュレータ30の周方向において開口35と仮想線L1との間に配置される。仮想線L1は、第2シャフト4の中心線A1を通り、第2軸線方向X1から見て第3軸線方向Y1に延びる。
図2から
図4に示すように、第1流路32は、第1入口41と第1出口42とを含む。
【0033】
第1入口41は、第1空間S1に連通する。第1入口41は、第2軸線方向X1において第2ギア14と向かい合う。第1出口42は、第2空間S2に連通する。第1出口42は、第2軸線方向X1において第3ギア15と向かい合う。
図3に示すように、第1流路32は、第1上面43と、第1底面44と、第1側面45とを含む。第1上面43は、上方に向かって凹んだ曲面状の形状を有する。第1底面44は、上方に向かって凸に湾曲した曲面状の形状を有する。第1側面45は、中央孔34と第1流路32との間に配置される。
【0034】
第2軸線方向X1から見て、第2流路33は、第1軸線方向Z1に延びる対称軸に対して、第1流路32の反対側に位置している。第2流路33は、第1流路32と対称な形状を有する。第2流路33は、第2軸線方向X1にサーキュレータ30を貫通している。第2流路33は、第1空間S1と第2空間S2とを連通させる。第2流路33は、第2シャフト4の中心線A1よりも第1ギア13側に位置する。すなわち、第2流路33は、第2シャフト4の中心線A1よりも上方に位置する。
【0035】
第2流路33は、第1壁部36と第3壁部38との間に配置されている。第2流路33の少なくとも一部は、第1軸線方向Z1において、第1ギア13と第2シャフト4の中心線A1との間に配置される。
図5Aに示すように、第2流路33は、第2軸線方向X1から見て、サーキュレータ30の周方向において開口35と仮想線L1との間に配置される。
【0036】
第2流路33は、第2入口51と第2出口52とを含む。第2入口51は、第2空間S2に連通する。第2入口51は、第2軸線方向X1において第3ギア15と向かい合う。第2出口52は、第1空間S1に連通する。第2出口52は、第2軸線方向X1において第2ギア14と向かい合う。
図5Aに示すように、第2流路33は、第2上面53と、第2底面54と、第2側面55とを含む。第2上面53は、上方に向かって凹んだ曲面状の形状を有する。第2底面54は、上方に向かって凸に湾曲した曲面状の形状を有する。第2側面55は、中央孔34と第2流路33との間に配置される。
【0037】
サーキュレータ30は、ケース12の内部空間S0を、隔壁31によって、第2ギア14が配置される第1空間S1と、第3ギア15が配置される第2空間S2とに区画する。それにより、第2ギア14の回転による潤滑油の流れと、第3ギア15の回転による潤滑油の流れとが衝突することが抑えられる。このため、駆動トルクの損失が抑えられる。それにより、駆動トルクの伝達効率が向上する。サーキュレータ30を金属によって形成することによって、熱伝導性を向上し、潤滑油の温度上昇を低減することができる。
【0038】
サーキュレータ30は、
図5Aに示すように、中央孔34を形成し、第2軸線方向X1に沿って視て円弧状の内周面30aと、内周面30aの外側に配置され、第2軸線方向X1に沿って視て円弧状の外周面30bと、内周面30aから外周面30bまで貫通する貫通穴60(第1貫通穴の一例)と、を含む。
【0039】
貫通穴60は、
図2に示すように、第1シャフト3に対向するように配置されている。貫通穴60は、中央孔34の周囲の内周面30aから第1軸線方向Z1に沿って下方に向かって外周面30bまで形成されている。貫通穴60は、
図3および
図4に示すように、開口35に対向するように、開口35の下方に配置されている。貫通穴60は、中心線A1を通り第1軸線方向Z1と平行な仮想線L2に沿って形成されている。
【0040】
図5Bは、
図5Aの部分拡大図である。貫通穴60は、
図5Bに示すように、大径部61と、小径部62と、を含む。大径部61は、内周面30a側に形成されている。大径部は、
図5Bに示すように円柱形状である。大径部61は、内周面30aの表面から形成されている。小径部62は、大径部61に繋がっている。小径部62は、大径部61の底面61aから外周面30bまで形成されている。小径部62は、円柱形状である。小径部62は、大径部61よりも内径が小さい。小径部62と大径部61の中心軸は、仮想線L2上に配置されている。小径部62は、大径部61のスケグ23側に配置されている。
【0041】
ケース12には、ボルト71(取付部材の一例)が挿入される取付穴63が形成されている。取付穴63は、
図5Aおよび
図5Bに示すように、中心線A1を通り第1軸線方向Z1と平行な仮想線L2に沿って形成されている。取付穴63は、第2軸線方向X1に対して垂直に形成されている。取付穴63は、貫通穴60と中心軸が一致するように配置されている。取付穴63は、第2シャフト4よりも下方に配置されている。取付穴63は、ギアケース部22の内面22aからスケグ23まで形成されている。スケグ23は、ケース12の第3軸線方向Y1における中央から下方に延びている。取付穴63の少なくとも一部がスケグ23に形成されている。取付穴63の内周面には、雌ネジ形状が形成されている。取付穴63は、スケグ23の肉厚を利用して形成されている。
【0042】
図5Bに示すように、貫通穴60の内側にはカラー72が配置されている。カラー72は、
図5Bに示すように、筒部72aと、筒部72aの一端に配置されたフランジ部72bと、を有する。フランジ部72bは、大径部61に配置される。筒部72aは、小径部62の内側に挿入される。筒部72aの外径は、小径部62の内径と概ね同じ大きさに形成されている。筒部72aは、ギアケース部22の内面22aに接触している。筒部72aの長さは、小径部62よりも長く形成されている。
【0043】
図5Bに示すように、ボルト71が内周面30aからカラー72の筒部72aの内側を通って、取付穴63に挿入されている。ボルト71の少なくとも先端は、雄ネジ形状を有しており、雄ネジ形状が取付穴63の内周面の雌ネジ形状と螺合している。ボルト71のヘッド71aは、大径部61内に収まっており、内周面30aから突出していない。ボルト71のヘッド71aは、カラー72のフランジ部72bに当接している。ボルト71は、カラー72を、ギアケース部22の内面22aに固定する。サーキュレータがギアケース部22の内面22aから離れる方向に移動すると、フランジ部72bがサーキュレータ30の底面61aに当接する。内周面30aに固定されているカラー72のフランジ部72bと、ギアケース部22の内面22aとによって、サーキュレータ30の移動が規制されている。
【0044】
このように、ケース12に形成された取付穴63に貫通穴60を介してボルト71が挿入されているため、サーキュレータ30をケース12の内側であって、第2ギア14と第3ギア15の間に固定することができる。
【0045】
次に、サーキュレータ30のケース12への取り付け方法について説明する。
図6は、サーキュレータ30のケース12への取り付け方法を説明するための外観図である。
図7は、サーキュレータ30のケース12への取り付け方法を説明するための側面図である。
【0046】
図6に示すように、ケース12のプロペラ7側に設けられている開口12aから第2軸線方向X1に沿ってサーキュレータ30が挿入される。サーキュレータ30をケース12内に挿入する際には、
図7に示すように、第1ギア13および第2ギア14がケース12のギアケース部22に配置されている。この状態で、サーキュレータ30が開口12aから第2軸線方向X1に沿ってスライドしてケース12内に挿入される。サーキュレータ30は、貫通穴60と取付穴63が対向するような位置に配置される。
【0047】
次に、カラー72がケース12内に挿入され、
図5Bおよび
図7に示すように、貫通穴60内に配置される。次に、ボルト71がケース12内に挿入され、貫通穴60に配置されたカラー72の内側に挿入される(
図7の矢印参照)。
【0048】
図8は、ケース12を第1軸線方向Z1に沿って視た内部構成図である。
図8には、レンチ200が示されている。
図8に示すように、レンチ200等の治具を開口12aから挿入して、レンチ200によってボルト71を締めこみ、ボルト71を取付穴63に挿入して取付穴63と螺合させる。
【0049】
次に、クラッチ機構16および第3ギア15が、ケース12内に挿入され、第2ギア14および第3ギア15に挿入されるように第2シャフト4がケース12内に挿入される。
図7には、開口12aを介してケース12内に挿入される第3ギア15が図示されている。
【0050】
以上説明したように、プロペラ7側に設けられた開口12aからサーキュレータ30を挿入し、固定することができるため、容易にサーキュレータ30をケース12に固定することができる。また、ボルト71によって締結しているため、組立性および分解性を向上することができる。
【0051】
(実施形態2)
次に、本開示の実施形態2における船舶推進器について説明する。本実施形態2の船舶推進器は、実施形態1の船舶推進器とサーキュレータの構成が異なっている。
【0052】
図9Aは、ケース12内の第1ギア13、第2ギア14、第3ギア15およびサーキュレータ130を示す断面図である。
図9Bは、
図9Aの部分拡大図である。
図10および
図11は、本実施形態2のサーキュレータ130を示す斜視図である。
【0053】
本実施形態2のサーキュレータ130は、実施形態1のサーキュレータ30と外形は概ね同じであるが、サーキュレータ30と異なって2つの部材によって形成されている。
【0054】
サーキュレータ130は、サーキュレータ30と同様に、
図10および
図11に示すように、隔壁31、第1流路32、および第2流路33を含む。隔壁31は、中央孔34と、開口35と、第1壁部36と、第2壁部37と、第3壁部38とを含む。第1流路32は、第1入口41と第1出口42と、第1上面43と、第1底面44と、第1側面45とを含む。第2流路33は、第2入口51と、第2出口52と、第2上面53と、第2底面54と、第2側面55とを含む。第2上面53、第2底面54および第2側面55は、図示を省略する。
【0055】
図12は、サーキュレータ130の分解斜視図である。サーキュレータ130は、サーキュレータ本体81と、規制部材82と、を含む。
【0056】
サーキュレータ本体81は、第1壁部36の一部に形成された切り欠き部83を有しており、切り欠き部83に規制部材82が嵌まり込む。切り欠き部83は、中心線A1の周方向における第1壁部36の中央に設けられている。切り欠き部83は、第1シャフト3に対向するように配置されている。切り欠き部83は、内周面30a、第2凹溝40、および外周面30bが切り欠かれて形成されている。なお、
図10に示すように、第1凹溝39は切り欠かれておらず、サーキュレータ本体81に設けられている。切り欠き部83は、
図12に示すように、第1側面91と、第2側面92と、第3側面93と、底面94と、を有する。
【0057】
第1側面91と第2側面92は、切り欠き部83の第3軸線方向Y1における内側面を形成する。第1側面91および第2側面92は互いに対向して平行に配置されている。第1側面91と第2側面92は、第1軸線方向Z1および第2軸線方向X1の各々に対して平行に配置されている。第1側面91は、切り欠き部83の第2壁部37側の側面である。第2側面92は、切り欠き部83の第3壁部38側の側面である。第1側面91と第2側面92は、第2凹溝40から第2軸線方向X1に沿って配置されている。第1側面91と第2側面92は、第2凹溝40から第1凹溝39までは形成されておらず、サーキュレータ30の第2軸線方向X1に沿った幅の途中まで形成されている。
【0058】
第3側面93は、第1側面91の第1凹溝39側の端と、第2側面92の第1凹溝39側の端との間を繋ぐ。第3側面93は、第2軸線方向X1に対して垂直に配置されている。サーキュレータ本体81は、第3側面93から第2軸線方向X1に沿って締結穴95を有している。締結穴95は、
図9Bに示すように、第3側面93から第1凹溝39まで第1壁部36を貫通して形成されている。
【0059】
底面94は、第1軸線方向Z1に対して垂直に配置されている。底面94は、第1側面91の外周面30b側の端と第2側面92の外周面30b側の端と第3側面93の外周面30b側の端とを繋ぐように配置されている。底面94は、第3側面93から第2軸線方向X1に沿って配置されている。底面94は、第3側面93から第2凹溝40側に向かって形成されているが、第2凹溝40までは形成されていない。サーキュレータ本体81は、底面94から第1軸線方向Z1に沿って外周面30bまで形成された貫通穴96(第2貫通穴の一例)を含む。貫通穴96は、
図9Bに示すように、外周面30bに第1開口96bを有し、底面94に第2開口96aを有する。第1開口96bは、取付穴63に対向する。第2開口96aは、貫通穴96の第1開口96bとは反対側に配置されている。後述するが、貫通穴96には、ピン111(取付部材の一例)が挿入される。
【0060】
規制部材82は、切り欠き部83に嵌合する形状である。規制部材82は、
図12に示すように、第1側面101と、第2側面102と、後面103と、前面104と、上面105と、底面106と、を含む。
【0061】
第1側面101は、規制部材82が切り欠き部83に嵌められた状態において、切り欠き部83の第1側面91と対向する。第2側面102は、規制部材82が切り欠き部83に嵌められた状態において、切り欠き部83の第2側面92と対向する。第1側面101と第2側面102は、互いに平行に配置されている。第1側面101と第2側面102は、第3軸線方向Y1に並んで配置されている。第1側面91と第2側面92は、第1軸線方向Z1および第2軸線方向X1の各々に対して平行に配置されている。
【0062】
後面103は、規制部材82が切り欠き部83に嵌められた状態において第2凹溝40の一部を構成する。後面103は、第1側面101の後端と第2側面102の後端を繋ぐように配置されている。後面103には、凹部103aが形成されている。この凹部103aには、後述するがボルト112(締結部材の一例)のヘッド112aが嵌まり込む。
【0063】
前面104は、後面103と対向するように配置されている。前面104は、第1側面101の前端と第2側面102の前端を繋ぐように配置されている。前面104は、規制部材82が切り欠き部83に嵌められた状態において第3側面93と対向する。
【0064】
上面105は、規制部材82が切り欠き部83に嵌められた状態において内周面30aの一部を構成する。上面105は、第1側面101の上端と、第2側面102の上端と、後面103の上端と、前面104の上端とを繋ぐ。
【0065】
底面106は、規制部材82が切り欠き部83に嵌められた状態において外周面30bの一部を構成する。底面106は、上面105と対向して配置されている。底面106は、第1側面101の下端と、第2側面102の下端と、後面103の下端と、前面104の下端とを繋ぐ。底面106は、第1底面部106aと、第2底面部106bと、を含む。第1底面部106aは、底面106のうち前面104側の部分である。第2底面部106bは、底面106のうち後面103側の部分である。規制部材82が切り欠き部83に嵌められた状態において、第1底面部106aは、
図9Bに示すように、切り欠き部83の底面94上に配置される。第2底面部106bは、外周面30bの一部を構成し、内面22a上に配置される。
【0066】
規制部材82は、
図9Bに示すように、後面103から前面104まで形成された貫通穴107(第3貫通穴の一例)を有する。貫通穴107は、後面103の凹部103aの底面から前面104まで形成されている。規制部材82が切り欠き部83に嵌められた状態において、貫通穴107は、サーキュレータ本体81の締結穴95と中心軸が一致するように配置される。サーキュレータ本体81の切り欠き部83に規制部材82を嵌めた状態において、貫通穴107を介してボルト112が締結穴95に挿入される。ボルト112の先端には雄ネジ形状が形成されており、雌ネジ形状が形成されている締結穴95と螺合する。ボルト112のヘッド112aは、後面103の凹部103aに嵌まり込む。
【0067】
図9Bに示すように、ピン111がサーキュレータ本体81の貫通穴96を介して取付穴63に挿入されている。ピン111の長さは、取付穴63よりも長く、貫通穴96に達している。ピン111の長さは、取付穴63と貫通穴96の和以下であり、貫通穴96の第2開口96aから突出しない長さに設定されている。本実施形態2では、取付穴63には、雌ネジ形状が形成されていない。
【0068】
サーキュレータ本体81の切り欠き部83に規制部材82が嵌め込まれた状態では、規制部材82の第2底面部106bは、内面22aに配置され、第1底面部106aが切り欠き部83の底面94上に配置される。このように規制部材82によって、貫通穴96の第2開口96aが塞がれるため、ピン111の内部空間S0側への移動が規制される。
【0069】
次に、サーキュレータ130のケース12への取り付け方法について説明する。
図13は、サーキュレータ30のケース12への取り付け方法を説明するための外観図である。
図14は、サーキュレータ30のケース12への取り付け方法を説明するための側面図である。
【0070】
図13に示すように、ケース12のプロペラ7側に設けられている開口12aから第2軸線方向X1に沿ってサーキュレータ本体81が挿入される。サーキュレータ本体81をケース12内に挿入する際には、
図14に示すように、第1ギア13および第2ギア14がケース12のギアケース部22に配置されている。この状態で、サーキュレータ本体81が開口12aから第2軸線方向X1に沿ってスライドしてケース12内に挿入される。サーキュレータ本体81は、貫通穴60と取付穴63が対向するように内面22a上に配置される。
【0071】
次に、ピン111がサーキュレータ本体81の貫通穴60に通され、ケース12に形成された取付穴63に挿入される。
【0072】
次に、規制部材82が開口12aから第2軸線方向X1に沿ってスライドしてケース12内に挿入され、サーキュレータ本体81の切り欠き部83に嵌合される。
【0073】
次に、貫通穴107を介してボルト112が締結穴95に挿入される。ボルト112を開口12a側から挿入するため、ドライバー等の工具も開口12aから挿入し、ボルト112を締めることができる。
【0074】
次に、クラッチ機構16および第3ギア15が、ケース12内に挿入され、第2ギア14および第3ギア15に挿入されるように第2シャフト4がケース12内に挿入される。
【0075】
以上のように、サーキュレータ130をギアケース部22に固定することができる。このように、プロペラ7側に設けられた開口12aからサーキュレータ30を挿入し、固定することもできるため、容易にサーキュレータ30をケース12に固定することができる。
【0076】
以上説明した本実施形態2に係る船舶推進器1では、プロペラ7側からボルト112を締めることができるため、工具のアクセス性が高く、組付け確認の視認性も向上する。ボルト112の抜け止めのクリップ等が必要となっても作業性が高い。ケース12へのサーキュレータ本体81の固定がピン111による固定のみのため、サーキュレータ本体81のケース12に対する位置決めを容易に行うことができる。また、ボルト112によって締結しているため、組立性および分解性を向上することができる。
【0077】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0078】
上記実施形態1では、ボルト71の外側にカラー72を配置したが、カラー72を配置せずに、ボルト71だけが貫通穴60に挿入されてもよい。カラー72の代わりに、ボルト71のヘッド71aとサーキュレータ30の間にワッシャが配置されてもよい。
【0079】
上記実施形態2では、貫通穴107にボルト112が直接挿入されているが、カラーまたはワッシャがボルト112とサーキュレータ130との間に配置されていてもよい。
【0080】
上記実施形態1ではボルト71を用い、実施形態2ではボルト112を用いたが、ネジを用いてもよく、締結することができれば、特に限定されるものではない。
【0081】
上記実施形態2では、ピン111の移動が規制部材82の第1底面部106aで規制されているが、これに限らず、例えば、ボルト112で規制されてもよい。
図15は、ピン111の移動がボルト112で規制される構成の断面図である。このような構成では、規制部材82の第1底面部106aから貫通穴107まで貫通穴108が形成されている。ピン111は、取付穴63、貫通穴96、および貫通穴108に亘って配置されている。ピン111の上方向への移動は、貫通穴107に挿入されているボルト112によって規制される。
【0082】
船舶推進器1は、船外機に限らず、変更されてもよい。例えば、船舶推進器1は、船内外機、或いは、ジェット推進器であってもよい。サーキュレータ30、130の形状は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、第2壁部37と第3壁部38とは省略されてもよい。その場合、第1壁部36の周方向における一方の端部と第1ギア13との間の空間が、第1流路32として用いられてもよい。また、第1壁部36の周方向における他方の端部と第1ギア13との間の空間が、第2流路33として用いられてもよい。
【0083】
隔壁31の形状は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、第1凹溝39と第2凹溝40とは、省略されてもよい。第1流路32及び第2流路33の形状は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、第1上面43と第2上面53は、平坦な形状であってもよい。第1底面44と第2底面54は、平坦な形状であってもよい。
【0084】
第1流路32と第2流路33との一方、或いは両方が省略されてもよい。この場合も、第2ギア14の回転による潤滑油の流れと、第3ギア15の回転による潤滑油の流れとが衝突することが抑えられる。それにより、駆動トルクの損失が抑えられる。それにより、駆動トルクの伝達効率が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明によれば、船舶推進器において、サーキュレータをケースに固定する構成を提供することができる。
【符号の説明】
【0086】
1:船舶推進器、2:駆動源、3:第1シャフト、4:第2シャフト、5:シフト機構、6:クランク軸、7:プロペラ、8:ブラケット、10:カウル、11:ハウジング、12:ケース、12a:開口、13:第1ギア、13-15:第3ギア、14:第2ギア、15:第3ギア、16:クラッチ機構、17:軸受、18:軸受、19:軸受、21:シフトシャフト、22:ギアケース部、22a:内面、23:スケグ、30:サーキュレータ、30a:内周面、30b:外周面、31:隔壁、32:第1流路、33:第2流路、34:中央穴、34a:内周面、35:開口、36:第1壁部、36-38:第3壁部、37:第2壁部、38:第3壁部、39:第1凹溝、40:第2凹溝、41:第1入口、42:第1出口、43:第1上面、44:第1底面、45:第1側面、51:第2入口、52:第2出口、53:第2上面、54:第2底面、55:第2側面、60:貫通穴、61:大径部、61a:底面、62:小径部、63:取付穴、71:ボルト、71a:ヘッド、72:カラー、72a:筒部、72b:フランジ部、81:サーキュレータ本体、82:規制部材、83:切り欠き部、91:第1側面、92:第2側面、93:第3側面、94:底面、95:締結穴、96:貫通穴、96b:第1開口、96a:第2開口、101:第1側面、102:第2側面、103:後面、103a:凹部、104:前面、105:上面、106:底面、106a:第1底面部、106b:第2底面部、107:貫通穴、111:ピン、112:ボルト、112a:ヘッド、130:サーキュレータ、200:レンチ