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特開2024-54732報知装置、報知システムおよびエレベーターシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054732
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】報知装置、報知システムおよびエレベーターシステム
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20240410BHJP
【FI】
B66B3/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161153
(22)【出願日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】八木田 啓史
【テーマコード(参考)】
3F303
【Fターム(参考)】
3F303CB25
3F303CB35
3F303DB26
3F303DC25
(57)【要約】
【課題】乗客どうしの距離が近くなることを抑制できる報知装置、報知システムおよびエレベーターシステムを提供する。
【解決手段】報知装置は、かごの床面に設けられた圧電検出装置が床面に存在する物体から受ける圧力を示す信号を圧電検出装置から受信する受信部と、受信部が受信した圧電検出装置からの信号に基づいてかごの内部に存在する乗客の位置を特定し、床面の領域を分割して設定された複数の区画のうち互いに隣り合わない複数の第1区画および複数の区画のうち第1区画でない1以上の第2区画のいずれかに乗客が位置することを検出する位置検出部と、位置検出部が検出した結果に基づいて、乗客が位置している第2区画が存在すると判定し、かつ乗客が位置していない第1区画が存在すると判定した場合に、第1区画に移動するよう促す旨をかごの内部に報知させる第1報知指令を作成する報知部と、を備えた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターのかごの床面に設けられた圧電検出装置が前記床面に存在する物体から受ける圧力を示す信号を前記圧電検出装置から受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記圧電検出装置からの信号に基づいて前記かごの内部に存在する乗客の位置を特定し、前記床面の領域を分割して設定された複数の区画のうち互いに隣り合わない複数の第1区画および前記複数の区画のうち前記第1区画でない1以上の第2区画のいずれかに乗客が位置することを検出する位置検出部と、
前記位置検出部が検出した結果に基づいて、前記1以上の第2区画のうち乗客が位置している第2区画が存在すると判定し、かつ前記複数の第1区画のうち乗客が位置していない第1区画が存在すると判定した場合に、前記第1区画に移動するよう促す旨を前記かごの内部に報知させる第1報知指令を作成する報知部と、
を備えた報知装置。
【請求項2】
前記報知部は、前記位置検出部が検出した結果に基づいて、前記1以上の第2区画のうち乗客が位置している第2区画が存在すると判定し、かつ前記複数の第1区画の全てに乗客が位置していると判定した場合に、前記かごから降車することを促す旨を前記かごの内部に報知させる第2報知指令を作成する請求項1に記載の報知装置。
【請求項3】
前記受信部は、前記かごのドアが開状態および閉状態のいずれであるかを示す信号を受信し、
前記報知部は、前記受信部が受信した信号に基づいて前記かごのドアが開状態である場合には前記第1報知指令を作成しない請求項1に記載の報知装置。
【請求項4】
前記受信部が前記圧電検出装置から受信した信号に基づいて前記かごの内部に存在する乗客が向く方向を判定する方向判定部、
を更に備え、
前記報知部は、前記方向判定部が判定した結果に基づいて、前記かごの内部に存在する乗客のうち規定方向を向いていない乗客が存在すると判定した場合に、前記規定方向を向くことを促す旨を前記かごの内部に報知させる第3報知指令を作成する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の報知装置。
【請求項5】
前記方向判定部は、前記圧電検出装置からの信号に基づいて、乗客の足が前記圧電検出装置に与える圧力の範囲を第1圧力範囲と前記第1圧力範囲よりも面積の狭い第2圧力範囲とに分割し、前記第2圧力範囲の位置から前記第1圧力範囲の位置への方向を乗客が向く方向であると判定する請求項4に記載の報知装置。
【請求項6】
エレベーターのかごの床面に設けられ、前記床面に存在する物体から圧力を受けた場合、圧力を受けたことを示す信号を送信する圧電検出装置と、
前記圧電検出装置から圧力を受けたことを示す信号を受信し、当該信号に基づいて前記かごの内部に存在する乗客の位置を特定し、前記床面の領域を分割して設定された複数の区画のうち互いに隣り合わない複数の第1区画および前記複数の区画のうち前記第1区画でない1以上の第2区画のいずれかに乗客が位置することを検出し、前記1以上の第2区画のうち乗客が位置している第2区画が存在すると判定した場合かつ前記複数の第1区画のうち乗客が位置していない第1区画が存在すると判定した場合に、前記第1区画に移動するよう促す旨を前記かごの内部に報知させる第1報知指令を作成する報知装置と、
を備えた報知システム。
【請求項7】
前記圧電検出装置は、
圧力を検出する検出面をそれぞれ有し、前記床面において前記検出面が上を向くように並べられた複数の圧電検出器と、
前記複数の圧電検出器のいずれかが圧力を検出した場合、当該圧電検出器が圧力を検出したことを示す信号を前記報知装置に送信する伝送器と、
を備える請求項6に記載の報知システム。
【請求項8】
前記検出面の面積は、前記第1区画および前記第2区画の面積よりも小さく、
前記第1区画は、前記複数の圧電検出器のうちいくつかの圧電検出器の領域に設定され、
前記第2区画は、前記第1区画が設定されていない残りの前記複数の圧電検出器のうちいつくかの圧電検出器の領域に設定される請求項7に記載の報知システム。
【請求項9】
前記圧電検出装置は、
前記床面に設けられ、圧力を受けた場合に電圧を変化させる繊維で作られた布地と、
前記布地の繊維の電圧の変化に基づいて前記布地において圧力を受けた位置を検出し、前記布地が圧力を受けたことを示す信号と当該圧力を受けた位置を示す信号とを前記報知装置に送信する伝送器と、
を備える請求項6に記載の報知システム。
【請求項10】
かごと、
前記かごに設けられ、前記かごの内部の乗客に情報を報知する報知器と、
エレベーターのかごの床面に設けられ、前記床面に存在する物体から圧力を受けた場合、圧力を受けたことを示す信号を送信する圧電検出装置と、
前記圧電検出装置から圧力を受けたことを示す信号を受信し、当該信号に基づいて前記かごの内部に存在する乗客の位置を特定し、前記床面の領域を分割して設定された複数の区画のうち互いに隣り合わない複数の第1区画および前記複数の区画のうち前記第1区画でない1以上の第2区画のいずれに乗客が位置するかを検出し、前記1以上の第2区画のうち乗客が位置している第2区画が存在すると判定した場合かつ前記複数の第1区画のうち乗客が位置していない第1区画が存在すると判定した場合に、前記第1区画に移動するよう促す旨を前記かごの内部に報知させる第1報知指令を作成する報知装置と、
を備えたエレベーターシステム。
【請求項11】
前記かごのドアが開状態および閉状態のいずれであるかを検知するドア検知器、
を更に備え、
前記報知装置は、前記ドア検知器が検知した結果に基づいて前記かごのドアが開状態である場合には前記第1報知指令を作成しない請求項10に記載のエレベーターシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、報知装置、報知システムおよびエレベーターシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エレベーターシステムを開示する。当該エレベーターシステムによれば、乗客は、かごの床面に割り振られた領域に誘導され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-237530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
飛沫感染の恐れがある感染症の拡大を防止する観点から、乗客どうしが離れた状態でかごに乗車することが望ましい。しかしながら、特許文献1に記載のエレベーターシステムにおいて、誘導された乗客が誘導位置まで移動したかどうかが考慮されない。このため、乗客どうしの距離が近くなる恐れがある。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされた。本開示の目的は、乗客どうしの距離が近くなることを抑制できる報知装置、報知システムおよびエレベーターシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る報知装置は、エレベーターのかごの床面に設けられた圧電検出装置が床面に存在する物体から受ける圧力を示す信号を圧電検出装置から受信する受信部と、受信部が受信した圧電検出装置からの信号に基づいてかごの内部に存在する乗客の位置を特定し、床面の領域を分割して設定された複数の区画のうち互いに隣り合わない複数の第1区画および複数の区画のうち第1区画でない1以上の第2区画のいずれかに乗客が位置することを検出する位置検出部と、位置検出部が検出した結果に基づいて、1以上の第2区画のうち乗客が位置している第2区画が存在すると判定し、かつ複数の第1区画のうち乗客が位置していない第1区画が存在すると判定した場合に、第1区画に移動するよう促す旨をかごの内部に報知させる第1報知指令を作成する報知部と、を備えた。
【0007】
本開示に係る報知システムは、エレベーターのかごの床面に設けられ、床面に存在する物体から圧力を受けた場合、圧力を受けたことを示す信号を送信する圧電検出装置と、圧電検出装置から圧力を受けたことを示す信号を受信し、当該信号に基づいてかごの内部に存在する乗客の位置を特定し、床面の領域を分割して設定された複数の区画のうち互いに隣り合わない複数の第1区画および複数の区画のうち第1区画でない1以上の第2区画のいずれかに乗客が位置することを検出し、1以上の第2区画のうち乗客が位置している第2区画が存在すると判定した場合かつ複数の第1区画のうち乗客が位置していない第1区画が存在すると判定した場合に、第1区画に移動するよう促す旨をかごの内部に報知させる第1報知指令を作成する報知装置と、を備えた。
【0008】
本開示に係るエレベーターシステムは、かごと、かごに設けられ、かごの内部の乗客に情報を報知する報知器と、エレベーターのかごの床面に設けられ、床面に存在する物体から圧力を受けた場合、圧力を受けたことを示す信号を送信する圧電検出装置と、圧電検出装置から圧力を受けたことを示す信号を受信し、当該信号に基づいてかごの内部に存在する乗客の位置を特定し、床面の領域を分割して設定された複数の区画のうち互いに隣り合わない複数の第1区画および複数の区画のうち第1区画でない1以上の第2区画のいずれに乗客が位置するかを検出し、1以上の第2区画のうち乗客が位置している第2区画が存在すると判定した場合かつ複数の第1区画のうち乗客が位置していない第1区画が存在すると判定した場合に、第1区画に移動するよう促す旨をかごの内部に報知させる第1報知指令を作成する報知装置と、を備えた。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、報知装置は、圧電検出装置からの信号に基づいて、乗客が位置している第2区画が存在すると判定し、かつ乗客が位置していない第1区画が存在すると判定した場合、第1区画に移動するよう促す旨を報知させる第1報知指令を作成する。このため、乗客どうしの距離が近くなることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1におけるエレベーターシステムが適用される建築物の構成図である。
図2】実施の形態1におけるエレベーターシステムの圧電検出装置の上面図である。
図3】実施の形態1におけるエレベーターシステムの圧電検出装置の上面図である。
図4】実施の形態1におけるエレベーターシステムのブロック図である。
図5】実施の形態1におけるエレベーターシステムの報知システムの処理の概要を説明するためのフローチャートである。
図6】実施の形態1におけるエレベーターシステムの報知装置のハードウェア構成図である。
図7】実施の形態2おけるエレベーターシステムのブロック図である。
図8】実施の形態2におけるエレベーターシステムの圧電検出装置の概要を示す図である。
図9】実施の形態2におけるエレベーターシステムの報知システムの処理の概要を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示を実施するための形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略される。
【0012】
実施の形態1.
図1は実施の形態1におけるエレベーターシステムが適用される建築物の構成図である。
【0013】
図1のエレベーターシステム1は、建築物2に設けられる。昇降路3は、建築物2の各階を貫く。機械室4は、昇降路3の直上に設けられる。複数の乗場5の各々は、建築物2の各階に設けられる。複数の乗場5の各々は、昇降路3に対向する。図1には、複数の乗場5のうちの1つが示される。
【0014】
巻上機6は、機械室4に設けられる。主ロープ7は、巻上機6に巻き掛けられる。かご8は、昇降路3の内部に設けられる。かご8は、主ロープ7の一側に吊るされる。釣合おもり9は、昇降路3の内部に設けられる。釣合おもり9は、主ロープ7の他側に吊るされる。
【0015】
かご8には、かごドア10とドア検知器11と報知器12とが設けられる。かごドア10は、かご8の出入口に設けられる。ドア検知器11は、かごドア10の上方に設けられる。ドア検知器11は、かごドア10の閉状態および開状態を検知し得る。例えば、報知器12は、スピーカーである。報知器12は、かご8の内側に設けられる。
【0016】
制御盤13は、機械室4に設けられる。制御盤13は、巻上機6とかご8に設けられた機器とに電気的に接続される。制御盤13は、エレベーターシステム1を全体的に制御し得る。
【0017】
エレベーターシステム1は、報知システム20を備える。報知システム20は、かご8の内部における乗客どうしのソーシャルディスタンスを確保するよう促す、即ち、乗客どうしの距離が規定の距離より離れるよう促す旨の報知を行う情報を作成する。報知システム20は、圧電検出装置21と報知装置22とを備える。
【0018】
圧電検出装置21は、かご8の床面に設けられる。例えば、圧電検出装置21は、かご8の床面の全体に敷かれる。圧電検出装置21は、床面である上面に接する物体から受ける圧力を検出し得る。圧電検出装置21は、圧力を検出した位置を示す信号を発信し得る。
【0019】
圧電検出装置21の上面には、複数のマーカ23が設けられる。例えば、複数のマーカ23は、圧電検出装置21の上面に描かれた図形である。具体的には、複数のマーカ23は、「こちらに乗ってください」等の、乗客の立ち位置を指定する旨が記載された図形である。複数のマーカ23は、互いに規定の距離だけ離れて配置される。
【0020】
なお、複数のマーカ23は、圧電検出装置21の上面に置かれたマットでもよい。例えば、複数のマーカ23には、乗客の立ち位置を指定する旨が記載される。この場合、圧電検出装置21は、複数のマーカ23を介して上面に接する物から受ける圧力を検出し得る。
【0021】
例えば、報知装置22は、機械室4に設けられる。報知装置22は、制御盤13と電気的に接続される。図示されないが、報知装置22は、圧電検出装置21と電気的に接続される。
【0022】
エレベーターシステム1が通常運行する場合、巻上機6は、制御盤13からの指令に基づいて回転駆動する。主ロープ7は、巻上機6の回転に追従して移動する。かご8と釣合おもり9とは、主ロープ7の移動に追従して互いに反対方向に昇降する。かご8が乗場5に到着した場合、かごドア10は、開く。ドア検知器11は、かごドア10の開状態を示す信号を制御盤13に送信する。報知装置22は、制御盤13を介して、かごドア10の開状態を示す信号を受信する。
【0023】
その後、複数の乗客がかご8に乗車する。制御盤13は、かご8を次の乗場5へ移動させる制御を行う。具体的には、制御盤13は、かごドア10を閉めた後、巻上機6を回転させる。
【0024】
かごドア10が閉まった場合、ドア検知器11は、かごドア10の閉状態を示す信号を制御盤13に送信する。報知装置22は、制御盤13を介して、かごドア10の閉状態を示す信号を受信する。報知装置22がかごドア10の閉状態を示す信号を受信した場合、報知システム20は、乗客どうしの距離が規定の距離より離れているか否か、即ち、乗客がソーシャルディスタンスを保っているか否かを判定する。
【0025】
具体的には、圧電検出装置21は、複数の乗客の各々から受ける圧力の位置を示す信号を報知装置22に送信する。複数のマーカ23の上のいずれかが空いている状態で複数のマーカ23の上に立っていない乗客が存在する場合、報知装置22は、圧電検出装置21から受信した信号に基づいて、当該乗客がソーシャルディスタンスを保っていないと判定する。この場合、報知装置22は、マーカ23の上に移動することを促す旨を報知させる第1報知指令を制御盤13に送信する。制御盤13は、第1報知指令を受信した場合、スピーカーである報知器12に「マーカの上へ移動してください」等の音声を報知させる。
【0026】
全てのマーカ23の上に乗客が存在する状態でマーカ23の上に立っていない乗客が存在する場合、報知装置22は、圧電検出装置21から受信した信号に基づいて、かご8の内部にいる乗客の数がソーシャルディスタンスを保つことに適した数を超えていると判定する。この場合、報知装置22は、次の乗場5でかご8から降車することを促す旨を報知させる第2報知指令を制御盤13に送信する。制御盤13は、第2報知指令を受信した場合、報知器12に「マーカに乗れない方は降車をお願いいたします」等の音声を報知させる。
【0027】
次に、図2を用いて、圧電検出装置21を説明する。
図2は実施の形態1におけるエレベーターシステムの圧電検出装置の上面図である。なお、図2において複数のマーカ23の図示が省略される。
【0028】
図2に示されるように、圧電検出装置21は、複数の圧電検出器21aと伝送器21bとを備える。
【0029】
例えば、複数の圧電検出器21aの各々は、薄型の圧電センサーである。例えば、圧電検出器21aは、一辺が2cmの正方形状の検出面を有する。検出面に圧力が生じた場合、圧電検出器21aは、電流を流す。図2に示されるように、複数の圧電検出器21aは、かご8の床面に隙間なく敷き詰められる。即ち、複数の圧電検出器21aは、かご8の床面をなす。複数の圧電検出器21aは、各々の設置位置に応じて複数の区画に分けられる。
【0030】
図示されないが、例えば、伝送器21bは、かご8の床下に設けられる。伝送器21bは、報知装置22と電気的に接続される。伝送器21bは、複数の圧電検出器21aと電気的に接続される。伝送器21bは、圧電検出器21aからの電流を検出し得る。伝送器21bは、複数の圧電検出器21aのうちの1つの圧電検出器21aからの電流を検出した場合、当該圧電検出器21aが圧力を検出したことを示す信号を伝送器21bに送信する。なお、伝送器21bは、かご8の上部に設けられてもよい。
【0031】
次に、図3を用いて、圧電検出装置21に設定された区画を説明する。
図3は実施の形態1におけるエレベーターシステムの圧電検出装置の上面図である。
【0032】
図3に示されるように、かご8の床面である複数の圧電検出器21aは、複数の区画に分けられる。複数の区画は、第1区画S1と第2区画S2とを有する。例えば、複数の圧電検出器21aは、9つの正方形からなる区画に分けられて設定される。即ち、複数の圧電検出器21aは、3行かつ3列の格子状に分けられて設定される。この場合、9つの区画は、4つの第1区画と5つの第2区画からなる。例えば、1つの区画は、一辺が50cmの正方形状である。
【0033】
第1区画S1は、図3における斜線で示される区画である。具体的には、4つの第1区画S1は、9つの区画のうちの4隅の区画である。複数の第1区画S1は、互いに隣り合わない。即ち、2つの第1区画S1は、同じ辺を共有しない。なお、2つの第1区画S1は、斜め方向に隣り合ってもよい。即ち、2つの第1区画S1は、頂点を共有してもよい。
【0034】
複数の第1区画S1は、それぞれ規定の距離よりも離れている。ここで、2つの第1区画S1の距離とは、ある第1区画S1の中心と別の第1区画S1の中心との距離である。規定の距離は、かご8の内部においてソーシャルディスタンスを確保することができる距離が設定される。例えば、規定の距離は、1mである。
【0035】
第2区画S2は、複数の区画のうち第1区画S1ではない区画である。例えば、第2区画S2は、2つの第1区画S1の間に位置するよう設定される。
【0036】
図3には図示されない複数のマーカ23は、複数の第1区画S1の内側にそれぞれ設けられる。即ち、マーカ23の位置は、第1区画S1の位置に対応する。
【0037】
次に、図4を用いて、報知装置22を説明する。
図4は実施の形態1におけるエレベーターシステムのブロック図である。
【0038】
図4に示されるように、報知装置22は、受信部24と位置検出部25と報知部26とを備える。
【0039】
受信部24は、制御盤13からエレベーターシステム1の制御情報を受信する。例えば、受信部24は、ドア検知器11の出力信号を制御盤13から受信する。受信部24は、圧電検出装置21の伝送器21bから信号を受信する。
【0040】
位置検出部25は、受信部24が伝送器21bから受信した信号に基づいて、当該信号に対応する圧電検出器21aの位置を特定する。位置検出部25は、当該信号に対応する圧電検出器21aのかご8の床面における位置を特定する。即ち、乗客が圧電検出器21aに乗ることで当該圧電検出器21aから信号が出力された場合、位置検出部25は、かご8の床面における当該乗客の位置を特定する。
【0041】
位置検出部25は、特定した乗客の位置が第1区画および第2区画のうちいずれの区画であるかを検出する。かご8の内部に複数の乗客が存在する場合、位置検出部25は、当該複数の乗客のそれぞれについて乗客が位置する区画を検出する。
【0042】
例えば、いずれかの第1区画に属する圧電検出器21aからの信号を受信部24が受信した場合、位置検出部25は、当該第1区画に乗客が位置することを検出する。
【0043】
報知部26は、位置検出部25が検出した乗客の位置の情報に基づいて、第1報知指令または第2報知指令を作成する。具体的には、報知部26は、第2区域に乗客が位置するか否かを判定する。報知部26は、第2区域に乗客が位置すると判定した場合、複数の第1区画のうち乗客が位置しない第1区画が存在するか否かを判定する。報知部26は、乗客が位置しない第1区画が存在すると判定した場合、第1報知指令を作成する。報知部26は、乗客が位置しない第1区画が存在しない、即ち、全ての第1区画に乗客が位置すると判定した場合、第2報知指令を作成する。報知部26は、第1報知指令または第2報知指令を作成した場合、作成した指令を制御盤13に送信する。
【0044】
報知部26は、受信部24が受信したドア検知器11の出力信号に基づいて、図4には図示されないかごドア10が閉状態であるか否かを判定する。報知部26は、かごドア10が閉状態でないと判定した場合、第1報知指令を作成しない。具体的には、例えば、報知部26は、かごドア10が閉状態でないと判定した場合、第2区画にするか否かを判定する動作を行わない。
【0045】
次に、図5を用いて、報知システム20が行う処理を説明する。
図5は実施の形態1におけるエレベーターシステムの報知システムの処理の概要を説明するためのフローチャートである。
【0046】
図5において、報知システム20は、かご8が乗場5に到着した情報を制御盤13から受信した場合に、フローチャートで示される処理を開始する。
【0047】
ステップS01において、報知システム20は、かごドア10が閉状態であるか否かを判定する。
【0048】
ステップS01で、かごドア10が閉状態でないと判定した場合、報知システム20は、ステップS01の動作を繰り返す。
【0049】
ステップS01で、かごドア10が閉状態であると判定した場合、報知システム20は、ステップS02の動作を行う。ステップS02において、報知システム20は、第2区画に乗客が位置するか否かを判定する。
【0050】
ステップS02で、第2区画に乗客が位置しないと判定した場合、報知システム20は、フローチャートで示される処理を終了する。
【0051】
ステップS02で、第2区画に乗客が位置すると判定した場合、報知システム20は、ステップS03の動作を行う。ステップS03において、報知システム20は、複数の第1区画のうち乗客が位置しない第1区画が存在するか否かを判定する。
【0052】
ステップS03で、乗客が位置しない第1区画が存在すると判定した場合、報知システム20は、ステップS04の動作を行う。ステップS04において、報知システム20は、第1報知指令を作成し、制御盤13に送信する。その後、報知システム20は、フローチャートで示される処理を終了する。
【0053】
ステップS03で、複数の第1区画のうち乗客が位置しない第1区画が存在しないと判定した場合、即ちすべての第1区画に乗客が位置すると判定した場合、報知システム20は、ステップS05の動作を行う。ステップS05において、報知システム20は、第2報知指令を作成し、制御盤13に送信する。その後、報知システム20は、フローチャートで示される処理を終了する。
【0054】
以上で説明した実施の形態1によれば、エレベーターシステム1は、かご8と報知器12と報知システム20とを備える。報知システム20は、圧電検出装置21と報知装置22とを備える。報知装置22は、受信部24と位置検出部25と報知部26とを備える。報知装置22は、圧電検出装置21からの信号に基づいて、乗客が位置している第2区画S2が存在すると判定し、かつ乗客が位置していない第1区画S1が存在すると判定した場合に、第1区画S1に移動するよう促す旨を報知器12に報知させる第1報知指令を作成する。例えば、当該報知を聞いた乗客は、ソーシャルディスタンスが確保できる位置へ移動する。このため、乗客どうしの距離が近くなることを抑制できる。
【0055】
また、報知装置22は、乗客が位置している第2区画S2が存在すると判定し、かつすべての第1区画S1に乗客が位置していると判定した場合、第2報知指令を作成する。第2報知指令は、かご8から降車することを促す旨を報知させる指令である。このため、適切な距離を取ることができない人数の利用者がかご8で移動し続けることを抑制することができる。その結果、乗客どうしの距離が近くなることを抑制できる。
【0056】
また、エレベーターシステム1は、ドア検知器11を備える。ドア検知器11は、かご8のドアの状態を示す信号を報知装置22に送信する。報知装置22は、かご8のドアが開状態である場合には、第1報知指令を作成しない。このため、乗客がかご8へ乗車またはかご8から降車している途中に、報知がなされることを抑制できる。その結果、無用な報知を行うことを抑制できる。
【0057】
なお、報知部26は、図5のフローチャートにおけるステップS01の動作は、ステップS02の前ではなく、ステップS03の後であってステップS04の前に行われてもよい。この際、報知装置22は、かご8のドアが開状態でないと判定した場合、第1報知指令を作成する。報知装置22は、かご8のドアが開状態であると判定した場合、第1報知指令を作成せずに、フローチャートの処理を終了する。また、ステップS01の動作は、ステップS03の後であってステップS05の前に行われてもよい。この際、報知装置22は、かご8のドアが開状態でないと判定した場合、第2報知指令を作成する。報知装置22は、かご8のドアが開状態であると判定した場合、第2報知指令を作成せずに、フローチャートを終了する。
【0058】
また、圧電検出装置21は、複数の圧電検出器21aと伝送器21bとを備える。このため、圧電検出装置21は、圧電検出器21aで検出した圧力を伝送器21bによって信号として送信することができる。
【0059】
また、圧電検出器21aの検出面の面積は、第1区画S1および第2区画S2の面積よりも小さい。第1区画S1は、複数の圧電検出器21aのうちいくつかの領域に設定される。第2区画S2は、第1区画S1が設定されていない残りの複数の圧電検出器21aのうちいくつかの領域に設定される。このため、乗客が第1区画S1または第2区画S2に位置することを検出する精度を向上できる。
【0060】
なお、圧電検出装置21は、圧力を検出するスマート布地でもよい。具体的には、圧電検出装置21は、布地と伝送器とを備えてもよい。当該布地は、圧力を受けた場合、電圧を変化させる繊維によって作成される。布地は、かご8の床面に設けられる。伝送器は、布地の繊維の電圧の変化に基づいて、布地において圧力が加えられた位置を検出する。伝送器は、布地が圧力を受けたことを示す信号と布地が圧力を受けた位置を示す信号とを報知装置22に送信する。このため、圧電検出装置21を安価に設けることができる。
【0061】
なお、報知器12は、情報を表示するディスプレイを有してもよい。
【0062】
なお、複数のマーカ23は、圧電検出装置21の上面に置かれたマットでもよい。例えば、複数のマーカ23には、乗客の立ち位置を指定する旨が記載される。この場合、圧電検出装置21は、複数のマーカ23を介して上面に接する物から受ける圧力を検出し得る。
【0063】
なお、報知装置22は、制御盤13の内部に設けられてもよい。
【0064】
なお、報知部26は、図5のフローチャートにおけるステップS01の動作は、ステップS02の前ではなく、ステップS03の後であってステップS04の前に行われてもよい。この際、報知装置22は、かご8のドアが開状態でないと判定した場合、第1報知指令を作成する。報知装置22は、かご8のドアが開状態であると判定した場合、第1報知指令を作成せずに、フローチャートの処理を終了する。また、ステップS01の動作は、ステップS03の後であってステップS05の前に行われてもよい。この際、報知装置22は、かご8のドアが開状態でないと判定した場合、第2報知指令を作成する。報知装置22は、かご8のドアが開状態であると判定した場合、第2報知指令を作成せずに、フローチャートを終了する。
【0065】
次に、図6を用いて、報知装置22を構成するハードウェアの例を説明する。
図6は実施の形態1におけるエレベーターシステムの報知装置のハードウェア構成図である。
【0066】
報知装置22の各機能は、処理回路により実現し得る。例えば、処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える。例えば、処理回路は、少なくとも1つの専用のハードウェア200を備える。
【0067】
処理回路が少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える場合、報知装置22の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、少なくとも1つのメモリ100bに格納される。少なくとも1つのプロセッサ100aは、少なくとも1つのメモリ100bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、報知装置22の各機能を実現する。少なくとも1つのプロセッサ100aは、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。例えば、少なくとも1つのメモリ100bは、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等である。
【0068】
処理回路が少なくとも1つの専用のハードウェア200を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。例えば、報知装置22の各機能は、それぞれ処理回路で実現される。例えば、報知装置22の各機能は、まとめて処理回路で実現される。
【0069】
報知装置22の各機能について、一部を専用のハードウェア200で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。例えば、第1報知指令を制御盤13に送信する機能については専用のハードウェア200としての処理回路で実現し、第1報知指令を制御盤13に送信する機能以外の機能については少なくとも1つのプロセッサ100aが少なくとも1つのメモリ100bに格納されたプログラムを読み出して実行することにより実現してもよい。
【0070】
このように、処理回路は、ハードウェア200、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで報知装置22の各機能を実現する。
【0071】
実施の形態2.
図7は実施の形態2おけるエレベーターシステムのブロック図である。なお、実施の形態1の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0072】
図7に示されるように、実施の形態2において、報知装置22は、方向判定部27を更に備える。報知装置22は、図7には示されないかご8の内側の乗客に対して、規定方向を向くよう促す第3報知指令を報知させる指令を作成する。例えば、規定方向は、かご8の側面のうちかごドア10が設けられた側面を向く方向である。
【0073】
方向判定部27は、受信部24が伝送器21bから受信した信号に基づいて、かご8の乗客が向く方向を判定する。具体的には、方向判定部27は、伝送器21bからの信号に基づいて、規定の足判定距離よりも距離が近い2つの圧力範囲を特定する。その後、方向判定部27は、2つの圧力範囲のうち面積の広い第1圧力範囲を特定する。方向判定部27は、2つの圧力範囲のうち面積の狭い第2圧力範囲を特定する。
【0074】
方向判定部27は、第2圧力範囲の位置から第1圧力範囲の位置への方向を、当該2つの圧力範囲に対応する乗客が向く方向であると判定する。
【0075】
報知部26は、方向判定部27が判定した乗客の方向の情報に基づいて、第3報知指令作成する。具体的には、報知部26は、方向判定部27が判定した乗客の方向の情報に基づいて、かご8の乗客のうち規定方向ではない方向を向いている乗客が存在するか否かを判定する。規定方向ではない方向を向いている乗客が存在すると判定した場合、報知部26は、第3報知指令を作成する。この場合、報知部26は、第3報知指令を制御盤13に送信する。
【0076】
制御盤13は、第3報知指令を受信した場合、報知器12に「飛沫が飛散することを防止するため、ドアの方向を向いてください」等の音声を報知させる。
【0077】
次に、図8を用いて、方向判定部27が方向を判定する例を説明する。
図8は実施の形態2におけるエレベーターシステムの圧電検出装置の概要を示す図である。なお、図8では、伝送器21bおよび報知装置22の図示が省略される。
【0078】
図8には、足型Xが示される。足型Xは、乗客の片足の靴底の形状を表す。
【0079】
複数の圧電検出器21aのうちいくつかは、足型Xの範囲において乗客の片足から圧力を受ける。複数の圧電検出器21aのうち、当該圧力を検出した圧電検出器21aが斜線で示される。伝送器21bは、斜線で示された圧電検出器21aに対応する信号を報知装置22に送信する。
【0080】
報知装置22における方向判定部27は、伝送器21bからの信号に基づいて、乗客が複数の圧電検出器21aに与える圧力である足型Xが示す範囲を第1圧力範囲Yと第2圧力範囲Zとに分割する。具体的には、例えば、方向判定部27は、圧力を検出した圧電検出器21aの数が多い方の圧力範囲を第1圧力範囲Yとして特定する。方向判定部27は、圧力を検出した圧電検出器21aの数が少ない方の圧力範囲を第2圧力範囲Zとして特定する。
【0081】
その後、方向判定部27は、第2圧力範囲Zの位置から第1圧力範囲Yの位置への方向dを、当該圧力範囲に対応する乗客が向く方向であると判定する。
【0082】
次に、図9を用いて、実施の形態2において報知システム20が行う処理を説明する。
図9は実施の形態2におけるエレベーターシステムの報知システムの処理の概要を説明するためのフローチャートである。
【0083】
図9に示されるフローチャートのステップS11からステップS15において行われる動作は、図5のフローチャートのステップS01からステップS05において行われる動作と同じである。
【0084】
ステップS12で第2区画に乗客が位置しないと判定した場合、ステップS14の動作を行った場合、またはステップS15の動作を行った場合、報知システム20は、ステップS16の動作を行う。
【0085】
ステップS16において、報知システム20は、かご8の乗客のうち規定方向ではない方向を向いている乗客が存在するか否かを判定する。
【0086】
ステップS16で、規定方向ではない方向を向いている乗客が存在しないと判定した場合、報知システム20は、フローチャートで示される処理を終了する。
【0087】
ステップS16で、規定方向ではない方向を向いている乗客が存在すると判定した場合、報知システム20は、ステップS17の動作を行う。ステップS17において、報知システム20は、第3報知指令を作成し、制御盤13に送信する。その後、報知システム20は、フローチャートで示される処理を終了する。
【0088】
以上で説明した実施の形態2によれば、報知装置22は、方向判定部27を更に備える。報知装置22は、乗客が向く方向を判定する。報知装置22は、規定方向を向いていない乗客が存在すると判定した場合、規定方向を向くことを促す旨を報知させる第3報知指令を作成する。飛沫感染の恐れがある感染症の拡大を防止する観点から、乗客は、互いに向かい合わないようかご8に乗車することが望ましい。報知装置22は、乗客どうしが向かい合わないような方向を向くよう乗客に促すことができる。このため、感染症の拡大を抑制することができる。
【0089】
また、報知装置22は、第1圧力範囲と第2圧力範囲とを特定する。報知装置22は、第1圧力範囲の位置と第2圧力範囲の位置とに基づいて、乗客が向く方向を判定する。このため、報知装置22は、圧電検出装置21からの信号に基づいて正確に乗客の向く方向を判定することができる。
【0090】
なお、方向判定部27は、2つ圧力範囲が離れていない1つの圧力範囲である場合でも、当該1つの圧力範囲を2つの圧力範囲に分解し、第1圧力範囲と第2圧力範囲とを特定してもよい。
【0091】
以上の説明をまとめると、本開示に係る技術の取りうる構成は、以下に付記として示す各構成などを含む。
(付記1)
エレベーターのかごの床面に設けられた圧電検出装置が前記床面に存在する物体から受ける圧力を示す信号を前記圧電検出装置から受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記圧電検出装置からの信号に基づいて前記かごの内部に存在する乗客の位置を特定し、前記床面の領域を分割して設定された複数の区画のうち互いに隣り合わない複数の第1区画および前記複数の区画のうち前記第1区画でない1以上の第2区画のいずれかに乗客が位置することを検出する位置検出部と、
前記位置検出部が検出した結果に基づいて、前記1以上の第2区画のうち乗客が位置している第2区画が存在すると判定し、かつ前記複数の第1区画のうち乗客が位置していない第1区画が存在すると判定した場合に、前記第1区画に移動するよう促す旨を前記かごの内部に報知させる第1報知指令を作成する報知部と、
を備えた報知装置。
(付記2)
前記報知部は、前記位置検出部が検出した結果に基づいて、前記1以上の第2区画のうち乗客が位置している第2区画が存在すると判定し、かつ前記複数の第1区画の全てに乗客が位置していると判定した場合に、前記かごから降車することを促す旨を前記かごの内部に報知させる第2報知指令を作成する付記1に記載の報知装置。
(付記3)
前記受信部は、前記かごのドアが開状態および閉状態のいずれであるかを示す信号を受信し、
前記報知部は、前記受信部が受信した信号に基づいて前記かごのドアが開状態である場合には前記第1報知指令を作成しない付記1または付記2に記載の報知装置。
(付記4)
前記受信部が前記圧電検出装置から受信した信号に基づいて前記かごの内部に存在する乗客が向く方向を判定する方向判定部、
を更に備え、
前記報知部は、前記方向判定部が判定した結果に基づいて、前記かごの内部に存在する乗客のうち規定方向を向いていない乗客が存在すると判定した場合に、前記規定方向を向くことを促す旨を前記かごの内部に報知させる第3報知指令を作成する付記1から付記3のいずれか一項に記載の報知装置。
(付記5)
前記方向判定部は、前記圧電検出装置からの信号に基づいて、乗客の足が前記圧電検出装置に与える圧力の範囲を第1圧力範囲と前記第1圧力範囲よりも面積の狭い第2圧力範囲とに分割し、前記第2圧力範囲の位置から前記第1圧力範囲の位置への方向を乗客が向く方向であると判定する付記4に記載の報知装置。
(付記6)
エレベーターのかごの床面に設けられ、前記床面に存在する物体から圧力を受けた場合、圧力を受けたことを示す信号を送信する圧電検出装置と、
前記圧電検出装置から圧力を受けたことを示す信号を受信し、当該信号に基づいて前記かごの内部に存在する乗客の位置を特定し、前記床面の領域を分割して設定された複数の区画のうち互いに隣り合わない複数の第1区画および前記複数の区画のうち前記第1区画でない1以上の第2区画のいずれかに乗客が位置することを検出し、前記1以上の第2区画のうち乗客が位置している第2区画が存在すると判定した場合かつ前記複数の第1区画のうち乗客が位置していない第1区画が存在すると判定した場合に、前記第1区画に移動するよう促す旨を前記かごの内部に報知させる第1報知指令を作成する報知装置と、
を備えた報知システム。
(付記7)
前記圧電検出装置は、
圧力を検出する検出面をそれぞれ有し、前記床面において前記検出面が上を向くように並べられた複数の圧電検出器と、
前記複数の圧電検出器のいずれかが圧力を検出した場合、当該圧電検出器が圧力を検出したことを示す信号を前記報知装置に送信する伝送器と、
を備える付記6に記載の報知システム。
(付記8)
前記検出面の面積は、前記第1区画および前記第2区画の面積よりも小さく、
前記第1区画は、前記複数の圧電検出器のうちいくつかの圧電検出器の領域に設定され、
前記第2区画は、前記第1区画が設定されていない残りの前記複数の圧電検出器のうちいつくかの圧電検出器の領域に設定される付記7に記載の報知システム。
(付記9)
前記圧電検出装置は、
前記床面に設けられ、圧力を受けた場合に電圧を変化させる繊維で作られた布地と、
前記布地の繊維の電圧の変化に基づいて前記布地において圧力を受けた位置を検出し、前記布地が圧力を受けたことを示す信号と当該圧力を受けた位置を示す信号とを前記報知装置に送信する伝送器と、
を備える付記6に記載の報知システム。
(付記10)
かごと、
前記かごに設けられ、前記かごの内部の乗客に情報を報知する報知器と、
エレベーターのかごの床面に設けられ、前記床面に存在する物体から圧力を受けた場合、圧力を受けたことを示す信号を送信する圧電検出装置と、
前記圧電検出装置から圧力を受けたことを示す信号を受信し、当該信号に基づいて前記かごの内部に存在する乗客の位置を特定し、前記床面の領域を分割して設定された複数の区画のうち互いに隣り合わない複数の第1区画および前記複数の区画のうち前記第1区画でない1以上の第2区画のいずれに乗客が位置するかを検出し、前記1以上の第2区画のうち乗客が位置している第2区画が存在すると判定した場合かつ前記複数の第1区画のうち乗客が位置していない第1区画が存在すると判定した場合に、前記第1区画に移動するよう促す旨を前記かごの内部に報知させる第1報知指令を作成する報知装置と、
を備えたエレベーターシステム。
(付記11)
前記かごのドアが開状態および閉状態のいずれであるかを検知するドア検知器、
を更に備え、
前記報知装置は、前記ドア検知器が検知した結果に基づいて前記かごのドアが開状態である場合には前記第1報知指令を作成しない付記10に記載のエレベーターシステム。
【符号の説明】
【0092】
1 エレベーターシステム、 2 建築物、 3 昇降路、 4 機械室、 5 乗場、 6 巻上機、 7 主ロープ、 8 かご、 9 釣合おもり、 10 かごドア、 11 ドア検知器、 12 報知器、 13 制御盤、 20 報知システム、 21 圧電検出装置、 21a 圧電検出器、 21b 伝送器、 22 報知装置、 23 マーカ、 24 受信部、 25 位置検出部、 26 報知部、 27 方向判定部、 100a プロセッサ、 100b メモリ、 200 ハードウェア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9