(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054736
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】豚舎、およびそれを利用した養豚方法
(51)【国際特許分類】
A01K 1/00 20060101AFI20240410BHJP
【FI】
A01K1/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161158
(22)【出願日】2022-10-05
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】322009549
【氏名又は名称】黒濱 武仁
(74)【代理人】
【識別番号】100129159
【弁理士】
【氏名又は名称】黒沼 吉行
(72)【発明者】
【氏名】黒濱 武仁
【テーマコード(参考)】
2B101
【Fターム(参考)】
2B101AA04
2B101AA05
2B101EA08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】豚舎の大型化を回避し、断熱・暖房設備、給水・給餌器などの各種設備を、より効率的に配設可能とし、より効率的なウィーン・トゥ・フィニッシュ(WtoF)およびオールイン・オールアウト(AI・AO)を実現化できる新たな豚舎技術を提供する。
【解決手段】先行離乳子豚群を収容する床面積とされた第1WtoF部屋4が設けられ、該第1WtoF部屋4と開閉可能な第1可動壁40を介して隣接され、該第1可動壁40を開き、連通された場合に、該第1WtoF部屋4と合算した床面積が該先行肥育豚群を収容する床面積とされた交番肥育部屋5が設けられ、該交番肥育部屋5に対し、当該先行離乳子豚群と同じ頭数の後続離乳子豚群を収容する床面積が確保された第2WtoF部屋6が、第2可動壁60を介して開閉可能に隣接されたWtoFユニットが少なくとも1つ屋内に設置されたものとしてなる豚舎2である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定頭数の先行離乳子豚群を収容する床面積が確保された第1WtoF部屋が設けられ、該第1WtoF部屋と合算した床面積が、前記先行離乳子豚群の頭数と同じ頭数の先行肥育豚群を収容する床面積とされた交番肥育部屋が、当該第1WtoF部屋と交番肥育部屋とを、閉じて密閉、開いて連通可能な第1可動壁を介して開閉可能に隣接され、該交番肥育部屋に対し、当該先行離乳子豚群と同じ頭数の後続離乳子豚群を収容する床面積が確保された第2WtoF部屋が、当該交番肥育部屋と第2WtoF部屋を、閉じて密閉、開いて連通可能な第2可動壁を介して開閉可能に隣接され、当該第1WtoF部屋、交番肥育部屋および第2WtoF部屋の3個の部屋が1個のWtoFユニットをなし、該WtoFユニットの少なくとも1つが屋内に設置されたものとしてなることを特徴とする豚舎。
【請求項2】
一定頭数の先行離乳子豚群を収容する床面積が確保された第1WtoF部屋が設けられ、該第1WtoF部屋と合算した床面積が、前記先行離乳子豚群の頭数と同じ頭数の先行肥育豚群を収容する床面積とされた交番肥育部屋が、当該第1WtoF部屋と交番肥育部屋とを、閉じて密閉、開いて連通可能な第1可動壁を介して開閉可能に隣接され、該交番肥育部屋に対し、当該先行離乳子豚群と同じ頭数の後続離乳子豚群を収容する床面積が確保された第2WtoF部屋が、当該交番肥育部屋と第2WtoF部屋を、閉じて密閉、開いて連通可能な第2可動壁を介して開閉可能に隣接され、当該第1WtoF部屋、交番肥育部屋および第2WtoF部屋の3個の部屋が1個のWtoFユニットをなし、該WtoFユニットの少なくとも1つが屋内に設置され、先行離乳子豚群および後続離乳子豚群の収容床面積を合理的に抑制しながら、ウィーン・トゥ・フィニッシュ(WtoF)およびオールイン・オールアウト(AI・AO)が可能なものとされた豚舎。
【請求項3】
30ないし2400頭の一定頭数の先行離乳子豚群を収容する床面積が確保された第1WtoF部屋が設けられ、該第1WtoF部屋と合算した床面積が、前記先行離乳子豚群の頭数と同じ頭数の先行肥育豚群を収容する床面積とされた交番肥育部屋が、当該第1WtoF部屋と交番肥育部屋とを、閉じて密閉、開いて連通可能な第1可動壁を介して開閉可能に隣接され、該交番肥育部屋に対し、当該先行離乳子豚群と同じ頭数の後続離乳子豚群を収容する床面積が確保された第2WtoF部屋が、当該交番肥育部屋と第2WtoF部屋を、閉じて密閉、開いて連通可能な第2可動壁を介して開閉可能に隣接され、当該第1WtoF部屋、交番肥育部屋および第2WtoF部屋の3個の部屋が1個のWtoFユニットをなし、該WtoFユニットの少なくとも1つが屋内に設置されたものとしてなることを特徴とする豚舎。
【請求項4】
第1WtoF部屋および第2WtoF部屋が、夫々0.30ないし0.72m2/頭の床面積に設定され、且つ、第1WtoF部屋および交番肥育部屋と、交番肥育部屋および第2WtoF部屋とが、夫々0.7ないし1.2m2/頭の床面積に設定された、請求項1ないし請求項3何れか一記載の豚舎。
【請求項5】
第1WtoF部屋および第2WtoF部屋の夫々の一部に、子豚育成用の断熱設備および暖房設備が設けられた補助居住房が設けられたものとしてなる請求項1ないし請求項4何れか一記載の豚舎。
【請求項6】
第1WtoF部屋と交番肥育部屋との間に設けられた第1隔壁の一方と他方とに合計少なくとも2つの第1可動壁が設けられ、交番肥育部屋と第2WtoF部屋との間に設けられた第2隔壁の一方と他方とに合計少なくとも2つの第2可動壁が設けられ、全ての第1可動壁が開かれ、全ての第2可動壁が閉じられた場合に、第2WtoF部屋に隣接する区画が仕切り柵に囲まれて出荷豚房となる第1WtoF部屋用の可変出荷豚房が、一方の第2可動壁に臨むと共に、豚舎外に開閉可能な出荷経路を有して設けられ、全ての第2可動壁が開かれ、全ての第1可動壁が閉じられた場合に、第1WtoF部屋に隣接する区画が仕切り柵に囲まれて出荷豚房となる第2WtoF部屋用の可変出荷豚房が、一方の第1可動壁に臨むと共に、豚舎外に開閉可能な出荷経路を有して設けられ、当該第1WtoF部屋用の可変出荷豚房と第2WtoF部屋用の可変出荷豚房との間に配され、他方の第1可動壁および他方の第2可動壁に臨む入り口、当該第1WtoF部屋用の可変出荷豚房に臨む自動開閉送出ゲート、当該第2WtoF部屋用の可変出荷豚房に臨む自動開閉送出ゲート、当該入り口と各動開閉送出ゲートとの間に配され肥育豚の体重を自動計測する体重計測部、肥育豚が出荷体重に達している場合に、当該第1WtoF部屋用または第2WtoF部屋用の可変出荷豚房の何れか出荷豚房とされたがわの自動開閉送出ゲートを開き、肥育豚が一頭通過する毎に自動閉鎖し、また、肥育豚が未だ出荷体重に達していない場合に、当該第1WtoF部屋用または第2WtoF部屋用の可変出荷豚房の何れか出荷豚房とされず、一方の第1可動壁かまたは一方の第2可動壁かの何れか開かれたがわの自動開閉送出ゲートを開き、肥育豚が一頭通過する毎に自動閉鎖するよう制御される自動選別部が設けられた自動体重計測・選別装置を有し、当該第1WtoF部屋内および第2WtoF部屋の夫々に給餌器または給水器の少なくとも何れか一方が設けられ、全ての第1可動壁が開かれ、且つ全ての第2可動壁が閉じられ、当該自動体重計測・選別装置の一方の自動開閉送出ゲートが、出荷豚房とされた当該第1WtoF部屋用の可変出荷豚房に臨み、他方の自動開閉送出ゲートが、開かれた一方の第1可動壁に臨むものとされた場合に、当該一方の第1可動壁に臨む自動体重計測・選別装置の他方の自動開閉送出ゲートと、当該第1WtoF部屋内に設けられた給餌器または給水器の何れか一方との間か、または、同給餌器または給水器の何れか一方と、他方の第1可動壁に臨む当該自動体重計測・選別装置の入り口との間かの何れか一方に、同自動体重計測・選別装置を通過しないと第1WtoF部屋内の給餌器または給水器の何れか一方に到達できないよう通行方向を規制するワンウェイ・ゲートが設けられた仕切り柵を有するものとされ、さらに、全ての第1可動壁が閉じられ、且つ全ての第2可動壁が開かれ、当該自動体重計測・選別装置の他方の自動開閉送出ゲートが、出荷豚房とされた当該第2WtoF部屋用の可変出荷豚房に臨み、一方の自動開閉送出ゲートが、開かれた一方の第2可動壁に臨むものとされた場合に、当該一方の第2可動壁に臨む自動体重計測・選別装置の一方の自動開閉送出ゲートと、当該第2WtoF部屋内に設けられた給餌器または給水器の何れか一方との間か、または、同給餌器または給水器の何れか一方と、開かれた他方の第2可動壁に臨む当該自動体重計測・選別装置の入り口との間かの何れか一方に、同自動体重計測・選別装置を通過しないと第2WtoF部屋内の給餌器または給水器の何れか一方に到達できないよう通行方向を規制するワンウェイ・ゲートが設けられた仕切り柵を有するものとされた請求項1ないし請求項5何れか一記載の豚舎。
【請求項7】
第1可動壁および第2可動壁を密閉閉鎖し、第1WtoF部屋、交番肥育部屋および第2WtoF部屋の夫々を独立した部屋とし、該第1WtoF部屋に一定頭数の3ないし15kg/頭の先行離乳子豚群を収容し子豚育成を開始し、該先行離乳子豚群が体重45ないし60kgの/頭の先行肥育豚群となったとき、第1可動壁を自由通行可能に開き、該第1WtoF部屋と交番肥育部屋とを繋ぎ、1個の肥育部屋をなすものとして先行肥育豚群の肉豚肥育を開始し、該先行肥育豚群の肉豚肥育の開始と同時期に、当該第2WtoF部屋に一定頭数の3ないし15kg/頭の後続離乳子豚群を収容して子豚育成を開始し、体重110kg/頭以上に達した当該先行肥育豚群の全頭を出荷し、該第1WtoF部屋および交番肥育部屋を洗浄・消毒すると共に該第1可動壁を密閉閉鎖した上、該第1WtoF部屋に一定頭数の3ないし15kg/頭の新たな先行離乳子豚群を収容して子豚育成を開始し、当該後続離乳子豚群が体重45ないし60kg/頭の後続肥育豚群となったとき、第2可動壁を自由通行可能に開き、当該第2WtoF部屋と交番肥育部屋とを繋ぎ、1個の肥育部屋をなすものとして該後続肥育豚群の肉豚肥育を開始し、体重110kg/頭以上に達した該後続肥育豚群の全頭を出荷し、当該第2WtoF部屋および交番肥育部屋を洗浄・消毒すると共に該第2可動壁を密閉閉鎖した上、同第2WtoF部屋に一定頭数の新たな後続離乳子豚群を収容して子豚育成を開始し、以上の一連の行程を永続的に繰り返すようにした構成を特徴とする、前記請求項1ないし請求項6何れか一記載の豚舎を利用した養豚方法。
【請求項8】
第1可動壁および第2可動壁を密閉閉鎖し、第1WtoF部屋、交番肥育部屋および第2WtoF部屋の夫々を独立した部屋とし、該第1WtoF部屋に一定頭数の先行離乳子豚群を収容して子豚育成を開始し、該先行離乳子豚群の子豚育成を開始から11ないし14週後に、当該第2WtoF部屋に一定頭数の後続離乳子豚群を収容して子豚育成を開始し、当該先行離乳子豚群が子豚育成の開始から11ないし14週後に先行肥育豚群となり、第1可動壁を自由通行可能に開き、該第1WtoF部屋と交番肥育部屋とを繋ぎ、1個の肥育部屋をなすものとして該先行肥育豚群の肉豚肥育を開始し、該先行肥育豚群の肉豚肥育を開始してから11ないし14週(子豚育成の開始から22ないし28週)経過するまでの間に、同先行肥育豚群の全頭を出荷し、該第1WtoF部屋および交番肥育部屋を洗浄・消毒すると共に該第1可動壁を密閉閉鎖した上同第1WtoF部屋に一定頭数の新たな先行離乳子豚群を収容して子豚育成を開始し、当該後続離乳子豚群が子豚育成の開始から11ないし14週後に後続肥育豚群となり、第2可動壁を自由通行可能に開き、該第2WtoF部屋と交番肥育部屋とを繋ぎ、1個の肥育部屋をなすものとして該後続肥育豚群の肉豚肥育を開始し、該後続肥育豚群の肉豚肥育を開始してから11ないし14週(子豚育成の開始から22ないし28週)経過するまでの間に、同後続肥育豚群の全頭を出荷し、当該第2WtoF部屋および交番肥育部屋を洗浄・消毒すると共に該第2可動壁を密閉閉鎖した上、同第2WtoF部屋に一定頭数の新たな後続離乳子豚群を収容して子豚育成を開始し、以上の一連の行程を永続的に繰り返すようにした構成を特徴とする、前記請求項1ないし請求項6何れか一記載の豚舎を利用した養豚方法。
【請求項9】
第1可動壁および第2可動壁を密閉閉鎖し、第1WtoF部屋、交番肥育部屋および第2WtoF部屋の夫々を独立した部屋とし、該第1WtoF部屋に一定頭数の3ないし15kg/頭の先行離乳子豚群を収容して子豚育成を開始し、該先行離乳子豚群が、子豚育成を開始してから11ないし14週後に、体重が45ないし60kg/頭の先行肥育豚群となったとき、第1可動壁を自由通行可能に開き、該先行肥育豚群の肉豚肥育を開始し、該先行肥育豚群の肉豚肥育の開始と同時期に、当該第2WtoF部屋に一定頭数の3ないし15kg/頭の後続離乳子豚群を収容して子豚育成を開始し、体重が110kg/頭以上に達した当該先行肥育豚から順に出荷し、肉豚肥育を開始してから11ないし14週(子豚育成の開始から22ないし28週)経過するまでの間に同先行肥育豚群の全頭の出荷を終え、当該第1WtoF部屋および交番肥育部屋を洗浄・消毒すると共に該第1可動壁を密閉閉鎖した上、該第1WtoF部屋に一定頭数の3ないし15kg/頭の新たな先行離乳子豚群を収容して子豚育成を開始し、当該後続離乳子豚群の子豚育成を開始してから11ないし14週経過し、体重が45ないし60kg/頭の後続肥育豚群となったとき、第2可動壁を自由通行可能に開き、当該第2WtoF部屋と交番肥育部屋とを繋ぎ、1個の肥育部屋をなすものとして該後続肥育豚群の肉豚肥育を開始し、体重が110kg/頭以上に達した該後続肥育豚から順に出荷し、肉豚肥育を開始してから11ないし14週(子豚育成の開始から22ないし28週)経過するまでの間に同後続肥育豚群の全頭の出荷を終え、当該第2WtoF部屋および交番肥育部屋を洗浄・消毒すると共に該第2可動壁を密閉閉鎖した上、同第2WtoF部屋に一定頭数の3ないし15kg/頭の新たな後続離乳子豚群を収容して子豚育成を開始し、以上の一連の行程を永続的に繰り返すようにした構成を特徴とする、前記請求項1ないし請求項6何れか一記載の豚舎を利用した養豚方法。
【請求項10】
全ての第2可動壁を閉じ、全ての第1可動壁を開き、該第1WtoF部屋と交番肥育部屋とを繋ぎ、1個の肥育部屋をなすものとし先行肥育豚群の肉豚肥育を行う工程中に、該先行肥育豚群が出荷体重に達する直前まで、該第1WtoF部屋および交番肥育部屋の全域を往来できるよう各部の開閉柵を開いた状態を維持し、該先行肥育豚群が出荷体重に達する頃に、第1WtoF部屋用の可変出荷豚房の開閉柵を閉じて出荷豚房とし、自動体重計測・選別装置を起動すると共にワンウェイ・ゲートを、当該自動体重計測・選別装置を通過しないと給餌器または給水器の何れか一方に到達できないよう通行方向を規制するようにし、また、全ての第1可動壁を閉じ、全ての第2可動壁をを開き、第2WtoF部屋と交番肥育部屋とを繋ぎ、1個の肥育部屋をなすものとし後続肥育豚群の肉豚肥育を行う工程中に、該後続肥育豚群が出荷体重に達する直前まで、該第2WtoF部屋と交番肥育部屋の全域を往来できるよう各部の開閉柵を開いた状態を維持し、該後続肥育豚群が出荷体重に達する頃に、第2WtoF部屋用の可変出荷豚房の開閉柵を閉じて出荷豚房とし、自動体重計測・選別装置を起動すると共にワンウェイ・ゲートを、当該自動体重計測・選別装置を通過しないと給餌器または給水器の何れか一方に到達できないよう通行方向を規制するようにし、肥育豚の空腹感や喉の渇きなどの生理現象を伴う移動を利用し、1日に複数回、当該自動体重計測・選別装置を通過するよう誘導し、出荷体重に達した肥育豚を出荷豚房とされた可変出荷豚房に自動的に誘導、選別するようにした、前記請求項6記載の豚舎を利用した養豚方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、離乳後の子豚育成期ないし肉豚肥育期に渡ってウィーン・トゥ・フィニッシュ(WtoF)およびオールイン・オールアウト(AI・AO)の養豚を可能とする豚舎技術に関連するものであり、特に、床面積および付帯する生産設備をより効率的に利用し、より生産効率に優れた豚舎を建築、提供する分野は勿論のこと、その建築資材の輸送、保管、組み立ておよび設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、当該豚舎を利用した養豚方法の実施、およびその養豚方法技術の提供に及ぶ技術分野など、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
我が国の養豚業界における一般的な大・中規模農場は、種豚舎、分娩豚舎、離乳豚舎および肥育豚舎からなり、離乳子豚は、分娩豚舎から離乳豚舎へ移動され、該離乳豚舎で子豚育成を経て肥育豚となった後に、該離乳豚舎から肥育豚舎へ移動され、該肥育豚舎で出荷体重まで肥育された上、出荷されることとなるが、こうした従来型の養豚農場、および、それを利用した養豚方法では、豚の成長の過程で分娩豚舎から離乳豚舎への移動、および、離乳豚舎から肥育豚舎への移動が不可欠であり、その都度の移動のストレス、および、移動後の群れ同士の合流によるストレスやそれに起因する闘争など、様々なストレスを受けるため、回復に時間を要し、その間成長が一時的に停滞してしまい、生産効率が悪化してしまう上、日齢(週令)が異なる群れの合流による感染症の予防が困難になってしまうという欠点があった。
【0003】
こうした、豚舎間の移動や群れ同士の合流などによるストレスの軽減や感染症を予防する技術として、離乳子豚が、離乳と同時に分娩豚舎から離乳兼肥育用の豚舎に移され、そのまま出荷まで移動させられることなく飼養されるように、ウィーン・トゥ・フィニッシュ(WtoF)およびオールイン・オールアウト(AI・AO)の技術を可能とする豚舎が近年採用されるようになってきているが、10kg未満で離乳される子豚を、約120kgの出荷体重の豚にも対応できる大きな豚舎に入れることから、離乳子豚の子豚育成期間に必要とされる豚房床面積が、従来型の離乳豚舎に比べて大きくなり、施設費用の負担が課題となっていた。
【0004】
(従来の技術)
こうした状況を反映し、その打開策となるような提案もこれまでに散見されない訳ではない。
例えば、下記の特許文献1(1)に提案されているものに代表されるように、多頭飼育用の大部屋(大豚房)と、その大部屋(大豚房)に連接させた発育不良豚用と肥満豚用との2つの小部屋(小豚房)よりなり、前記大部屋(大豚房)と各小部屋(小豚房)との間に管理者によって開閉される鉄格子などの透視可能な扉を設け、且つその大部屋(大豚房)と各小部屋(小豚房)との連接部分に便所と給水器とを設置すると共に、その大部屋(大豚房)および各小部屋(小豚房)内に夫々給餌器を設けてなり、離乳子豚群を大部屋(大豚房)に収容し、成長に伴い発育不良の豚を発育不良豚用の小部屋(小豚房)に移し、透視可能な扉を閉じて隔離し、また、肥満の豚を肥満豚用の小部屋(小豚房)に移し、透視可能な扉を閉じて隔離し、大部屋(大豚房)の豚の頭数を減らし、一頭当たりの床面積を大きく確保できるようにしながら、ウィーン・トゥ・フィニッシュ(WtoF)を可能とする抱き合わせ豚舎や、同特許文献1(2)に見られるような、中央通路を挟んで該通路の一方がわに多頭飼育用大部屋(大豚房)を設けると共に、他方がわに発育不良豚用と肥満豚用との2つの小部屋(小豚房)を設け、該各部屋(豚房)の通路と反対がわに便所を設けて両側集尿方式にすると共に中央通路より入気するようにし、該中央通路より従来型の豚舎に比べて側壁の数が減少し、建設費が安くなる上、該中央通路沿いに給水、給餌が可能となり、管理が容易となり、便所を両側集尿方式にしたため、便所から発生する有毒ガスが豚舎内に留まるのを防止可能とした抱き合わせ豚舎などが散見される。
【0005】
しかし、前者特許文献1(1)、および後者特許文献1(2)などに示されているような抱き合わせ豚舎は、ウィーン・トゥ・フィニッシュ(WtoF)を可能とするものであるが、オールイン・オールアウト(AI・AO)を前提とした構造とはなっておらず、豚舎内では、日齢差のある豚が接触するものとなっているから疾病の問題が発生するリスクが高く、無理にオールイン・オールアウト(AI・AO)を行うと、小分けされた多数の部屋が必要となり、建築コストが上昇し、管理コストが高騰してしまうという欠点を残すものであった。
【特許文献1】(1)特公昭50-33943号公報 (2)実開昭61-139172号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のあるウィーン・トゥ・フィニッシュ(WtoF)を可能とする各豚舎は、離乳子豚群の離乳育成期間、ないし肥育豚群となってから肉豚肥育期間を経て出荷体重に達し、出荷豚群となるまでの間に渡り、離乳子豚の当初から肥育豚と同等の床面積を確保せざるを得ず、豚舎の大型化が必須のものとなってしまう上、離乳子豚の育成に必須となる断熱・暖房設備を離乳・肥育用の部屋の全体に設置するには、従来型の豚舎よりも多くの設備費を要するものとなり、また、離乳・肥育用の部屋の一部を離乳子豚の育成に必要な床面積を囲むよう仕切り柵などで仕切り、その範囲内のみに、断熱・暖房設備を設置して暖房設備の設置費用およびその稼働に要する光熱費を抑制できたとしても、離乳子豚群が肥育豚群となるまでの間、仕切り柵で仕切られた余りとなる床面積が有効に利用できるものとはならず、無駄な空間となってしまうという欠点を残すものであり、こうした従来型の豚舎の欠点を解消し、豚舎の大型化を回避して断熱・暖房設備、給水・給餌器などの各種設備を、より効率的に配設可能とし、さらに、当該従来型の豚舎が開発された当初は、豚の発育のバラツキが大きく、オールイン・オールアウト(AI・AO)の飼育を効率的に行える環境ではなかったが、現在では品種改良によって豚の発育のバラツキが改善され、オールイン・オールアウト(AI・AO)による効率的な飼育が可能となって来ているという事情もあり、ウィーン・トゥ・フィニッシュ(WtoF)およびオールイン・オールアウト(AI・AO)を実現化すると共に、必要となる床面積を効率的に削減し、建築・設備費用および光熱費や保守管理のためのランニングコストを大幅に削減できる新規の豚舎、およびそれを利用した新規な養豚方法の開発の可能性を痛感するに至ったものである。
【0007】
(発明の目的)
そこで、この発明は、豚舎の大型化を回避し、断熱・暖房設備、給水・給餌器などの各種設備を、より効率的に配置可能とし、より効率的なウィーン・トゥ・フィニッシュ(WtoF)およびオールイン・オールアウト(AI・AO)を実現化できる新たな豚舎技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡って幾多の試行錯誤を繰り返した上、新たに建築費用を投じて新型の豚舎の試作、および、新たな養豚方法の実験を行った結果、今回、遂に新規な構造の豚舎、およびそれを利用した新規な養豚方法を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の豚舎は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、一定頭数の先行離乳子豚群を収容する床面積が確保された第1WtoF部屋が設けられ、該第1WtoF部屋と合算した床面積が、前記先行離乳子豚群の頭数と同じ頭数の先行肥育豚群を収容する床面積とされた交番肥育部屋が、当該第1WtoF部屋と交番肥育部屋とを、閉じて密閉、開いて連通可能な第1可動壁を介して開閉可能に隣接され、該交番肥育部屋に対し、当該先行離乳子豚群と同じ頭数の後続離乳子豚群を収容する床面積が確保された第2WtoF部屋が、当該交番肥育部屋と第2WtoF部屋を、閉じて密閉、開いて連通可能な第2可動壁を介して開閉可能に隣接され、当該第1WtoF部屋、交番肥育部屋および第2WtoF部屋の3個の部屋が1個のWtoFユニットをなし、該WtoFユニットの少なくとも1つが屋内に設置された構成を要旨とする豚舎である。
【0009】
この基本的な構成からなる豚舎は、その表現を変えて示すならば、一定頭数の先行離乳子豚群を収容する床面積が確保された第1WtoF部屋が設けられ、該第1WtoF部屋と合算した床面積が、前記先行離乳子豚群の頭数と同じ頭数の先行肥育豚群を収容する床面積とされた交番肥育部屋が、当該第1WtoF部屋と交番肥育部屋とを、閉じて密閉、開いて連通可能な第1可動壁を介して開閉可能に隣接され、該交番肥育部屋に対し、当該先行離乳子豚群と同じ頭数の後続離乳子豚群を収容する床面積が確保された第2WtoF部屋が、当該交番肥育部屋と第2WtoF部屋を、閉じて密閉、開いて連通可能な第2可動壁を介して開閉可能に隣接され、当該第1WtoF部屋、交番肥育部屋および第2WtoF部屋の3個の部屋が1個のWtoFユニットをなし、該WtoFユニットの少なくとも1つが屋内に設置され、先行離乳子豚群および後続離乳子豚群の収容床面積を合理的に抑制しながら、ウィーン・トゥ・フィニッシュ(WtoF)およびオールイン・オールアウト(AI・AO)が可能なものとされた構成からなる豚舎となる。
【0010】
より具体的には、30ないし2400頭の一定頭数の先行離乳子豚群を収容する床面積が確保された第1WtoF部屋が設けられ、該第1WtoF部屋と合算した床面積が、前記先行離乳子豚群の頭数と同じ頭数の先行肥育豚群を収容する床面積とされた交番肥育部屋が、当該第1WtoF部屋と交番肥育部屋とを、閉じて密閉、開いて連通可能な第1可動壁を介して開閉可能に隣接され、該交番肥育部屋に対し、当該先行離乳子豚群と同じ頭数の後続離乳子豚群を収容する床面積が確保された第2WtoF部屋が、当該交番肥育部屋と第2WtoF部屋を、閉じて密閉、開いて連通可能な第2可動壁を介して開閉可能に隣接され、当該第1WtoF部屋、交番肥育部屋および第2WtoF部屋の3個の部屋が1個のWtoFユニットをなし、該WtoFユニットの少なくとも1つが屋内に設置された構成からなる豚舎となる。
【0011】
(関連する発明)
上記したこの発明の基本をなす豚舎に関連し、この発明には、それを利用した養豚方法も包含している。
即ち、第1可動壁および第2可動壁を密閉閉鎖し、第1WtoF部屋、交番肥育部屋および第2WtoF部屋の夫々を独立した部屋とし、該第1WtoF部屋に一定頭数の3ないし15kg/頭の先行離乳子豚群を収容し子豚育成を開始し、該先行離乳子豚群が体重45ないし60kgの/頭の先行肥育豚群となったとき、第1可動壁を自由通行可能に開き、該第1WtoF部屋と交番肥育部屋とを繋ぎ、1個の肥育部屋をなすものとして先行肥育豚群の肉豚肥育を開始し、該先行肥育豚群の肉豚肥育の開始と同時期に、当該第2WtoF部屋に一定頭数の3ないし15kg/頭の後続離乳子豚群を収容して子豚育成を開始し、体重110kg/頭以上に達した当該先行肥育豚群の全頭を出荷し、該第1WtoF部屋および交番肥育部屋を洗浄・消毒すると共に該第1可動壁を密閉閉鎖した上、該第1WtoF部屋に一定頭数の3ないし15kg/頭の新たな先行離乳子豚群を収容して子豚育成を開始し、当該後続離乳子豚群が体重45ないし60kg/頭の後続肥育豚群となったとき、第2可動壁を自由通行可能に開き、当該第2WtoF部屋と交番肥育部屋とを繋ぎ、1個の肥育部屋をなすものとして該後続肥育豚群の肉豚肥育を開始し、体重110kg/頭以上に達した該後続肥育豚群の全頭を出荷し、当該第2WtoF部屋および交番肥育部屋を洗浄・消毒すると共に該第2可動壁を密閉閉鎖した上、同第2WtoF部屋に一定頭数の新たな後続離乳子豚群を収容して子豚育成を開始し、以上の一連の行程を永続的に繰り返すようにした、この発明の基本をなす前記豚舎を利用した養豚方法である。
【0012】
この養豚方法を、表現を変えて示すと、第1可動壁および第2可動壁を密閉閉鎖し、第1WtoF部屋、交番肥育部屋および第2WtoF部屋の夫々を独立した部屋とし、該第1WtoF部屋に一定頭数の先行離乳子豚群を収容して子豚育成を開始し、該先行離乳子豚群の子豚育成を開始から11ないし14週後に、当該第2WtoF部屋に一定頭数の後続離乳子豚群を収容して子豚育成を開始し、当該先行離乳子豚群が子豚育成の開始から11ないし14週後に先行肥育豚群となり、第1可動壁を自由通行可能に開き、該第1WtoF部屋と交番肥育部屋とを繋ぎ、1個の肥育部屋をなすものとして該先行肥育豚群の肉豚肥育を開始し、該先行肥育豚群の肉豚肥育を開始してから11ないし14週(子豚育成の開始から22ないし28週)経過するまでの間に、同先行肥育豚群の全頭を出荷し、該第1WtoF部屋および交番肥育部屋を洗浄・消毒すると共に該第1可動壁を密閉閉鎖した上同第1WtoF部屋に一定頭数の新たな先行離乳子豚群を収容して子豚育成を開始し、当該後続離乳子豚群が子豚育成の開始から11ないし14週後に後続肥育豚群となり、第2可動壁を自由通行可能に開き、該第2WtoF部屋と交番肥育部屋とを繋ぎ、1個の肥育部屋をなすものとして該後続肥育豚群の肉豚肥育を開始し、該後続肥育豚群の肉豚肥育を開始してから11ないし14週(子豚育成の開始から22ないし28週)経過するまでの間に、同後続肥育豚群の全頭を出荷し、当該第2WtoF部屋および交番肥育部屋を洗浄・消毒すると共に該第2可動壁を密閉閉鎖した上、同第2WtoF部屋に一定頭数の新たな後続離乳子豚群を収容して子豚育成を開始し、以上の一連の行程を永続的に繰り返すようにした、この発明の基本をなす前記豚舎を利用した養豚方法ということができる。
【0013】
この養豚方法を、より具体的に示すと、第1可動壁および第2可動壁を密閉閉鎖し、第1WtoF部屋、交番肥育部屋および第2WtoF部屋の夫々を独立した部屋とし、該第1WtoF部屋に一定頭数の3ないし15kg/頭の先行離乳子豚群を収容して子豚育成を開始し、該先行離乳子豚群が、子豚育成を開始してから11ないし14週後に、体重が45ないし60kg/頭の先行肥育豚群となったとき、第1可動壁を自由通行可能に開き、該先行肥育豚群の肉豚肥育を開始し、該先行肥育豚群の肉豚肥育の開始と同時期に、当該第2WtoF部屋に一定頭数の3ないし15kg/頭の後続離乳子豚群を収容して子豚育成を開始し、体重が110kg/頭以上に達した当該先行肥育豚から順に出荷し、肉豚肥育を開始してから11ないし14週(子豚育成の開始から22ないし28週)経過するまでの間に同先行肥育豚群の全頭の出荷を終え、当該第1WtoF部屋および交番肥育部屋を洗浄・消毒すると共に該第1可動壁を密閉閉鎖した上、該第1WtoF部屋に一定頭数の3ないし15kg/頭の新たな先行離乳子豚群を収容して子豚育成を開始し、当該後続離乳子豚群の子豚育成を開始してから11ないし14週経過し、体重が45ないし60kg/頭の後続肥育豚群となったとき、第2可動壁を自由通行可能に開き、当該第2WtoF部屋と交番肥育部屋とを繋ぎ、1個の肥育部屋をなすものとして該後続肥育豚群の肉豚肥育を開始し、体重が110kg/頭以上に達した該後続肥育豚から順に出荷し、肉豚肥育を開始してから11ないし14週(子豚育成の開始から22ないし28週)経過するまでの間に同後続肥育豚群の全頭の出荷を終え、当該第2WtoF部屋および交番肥育部屋を洗浄・消毒すると共に該第2可動壁を密閉閉鎖した上、同第2WtoF部屋に一定頭数の3ないし15kg/頭の新たな後続離乳子豚群を収容して子豚育成を開始し、以上の一連の行程を永続的に繰り返すようにした、この発明の基本をなす前記豚舎を利用した養豚方法ということができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のとおり、この発明の豚舎およびそれを利用した養豚方法によれば、従来型の離乳豚舎および肥育豚舎を使用する場合には、従来型のウィーン・トゥ・フィニッシュ(WtoF)およびオールイン・オールアウト(AI・AO)の豚舎に比べ、建設面積を小さく抑えることはできるが、豚舎間の移動など飼育員の作業性が悪いという欠点があり、また、従来型のウィーン・トゥ・フィニッシュ(WtoF)およびオールイン・オールアウト(AI・AO)豚舎は、飼育員の作業性は改善されるが、建設面積が大きくなり、建築費用および設備費が嵩むという欠点を残すものであったが、この発明のWtoFユニットを備えた豚舎を建設した場合には、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、豚舎の床面積を凡そ3/4に削減することが可能であり、しかも離乳子豚群を収容する第1WtoF部屋および第2WtoF部屋を、肥育豚群を肥育する際に連結する交番肥育部屋と別に設けているから、子豚育成に要する断熱材や暖房施設などの設置範囲を第1WtoF部屋および第2WtoF部屋に留め、しかも肉豚肥育に必要となる体重計などの設備を交番肥育部屋に設置されたものとすることにより、第1WtoF部屋および第2WtoF部屋の肥育豚群が肉豚肥育用の設備を、期間をずらして共用でき、豚舎の建築コストおよび維持、管理コストを大幅に削減することが可能となる上、飼育員の飼育作業に要する工数を従来型のウィーン・トゥ・フィニッシュ(WtoF)およびオールイン・オールアウト(AI・AO)豚舎の場合と略同等に抑制でき、離乳後の子豚は、この発明の豚舎に移動した後は、出荷まで豚舎間の移動の必要が無く、移動に伴うストレスを最小限に留めることができる上、第1WtoF部屋に収容された先行離乳子豚群は、出荷体重の先行肥育豚群に成長するまでの間、他の群れと合流することがなく、密に隔離された状態が保たれ、第2WtoF部屋に収容された後続離乳子豚群もまた、出荷体重の後続肥育豚群に成長するまでの間、他の群れと合流することがなく、密に隔離された状態が維持されるから、ウィーン・トゥ・フィニッシュ(WtoF)およびオールイン・オールアウト(AI・AO)をより効率的に達成し、他の群れとの合流による闘争の発生を無くすと共に、感染症の発生をより効果的に防止することができ、格段に経済的且つ高品質な養豚を実現化できるという秀でた特徴が得られるものである。
【0015】
加えて、30ないし2400頭の一定頭数の先行離乳子豚群を収容する床面積が確保された第1WtoF部屋が設けられ、該WtoF部屋と合算した床面積が、当該先行離乳子豚群の頭数と同じ頭数の先行肥育豚群を収容する床面積とされた交番肥育部屋が設けられ、当該先行離乳子豚群と同じ頭数の後続離乳子豚群を収容する床面積が確保された第2WtoF部屋が設けられた、この発明の豚舎およびそれを利用した養豚方法によれば、30頭以上を収容することによってより経済的な飼育を可能とし、先行離乳子豚群および後続離乳子豚群の収容頭数をさらに増加するほど経済的効果を高めることができるものであるが、収容数が2400頭を超えると、豚舎の建築コストが高騰し、経済的な養豚が不可能となってしまうという欠点を生じるが、こうした欠点を解消し、最大限に経済的効果が高められ、より効率的な養豚を実現化できるものとなる。
【0016】
そして、第1WtoF部屋、および第2WtoF部屋が、夫々0.35ないし0.72m2/頭の床面積に設定され、且つ、第1WtoF部屋および交番肥育部屋と、交番肥育部屋、および第2WtoF部屋とが、夫々0.7ないし1.2m2/頭の床面積に設定された、この発明の豚舎によれば、最小限度の床面積で最大の養豚効果が得られるものとすることができ、より生産性に優れた豚舎を、より狭い敷地により低価格にて建築することができるという効果を発揮するものとなる。
さらに、第1WtoF部屋、および第2WtoF部屋の夫々の一部に、子豚育成用の断熱設備および暖房設備が設けられた補助居住房が設けられたものとしてなる、この発明の豚舎によれば、従来型のウィーン・トゥ・フィニッシュ(WtoF)およびオールイン・オールアウト(AI・AO)の豚舎に比べ、子豚育成用の断熱設備および暖房設備を大幅に節減することができ、より経済的に建設および維持管理できるものとなる。
【0017】
また、肥育豚群の肥育中に、体重計測部および自動選別部を有した自動体重計測・選別装置を通過しなければ、給餌器または給水器の何れか一方に到達できないように配されたワンウェイ・ゲートが設けられた仕切り柵を有するこの発明の豚舎によれば、肥育豚の空腹か喉の渇きの何れか一方の生理現象に伴い、給餌器または給水器の何れか一方を求めて移動する間に当該自動体重計測・選別装置体重計に入り、同体重計測部によって自動的に体重が計測され、同自動選別部によって出荷体重に達した肥育豚が、各可変出荷豚房の中、出荷豚房とされた可変出荷豚房に自動的に誘導され、未だ出荷体重に達していない肥育豚は、第1可動壁または第2可動壁の中の何れか開かれた一方に誘導され、こうして出荷残となった肥育豚は、空腹か喉の乾きの少なくとも何れか一方により、餌か水の何れか一方を求めてワンウェイ・ゲートを通り、給餌器または給水器の何れか一方に到達し、再び、空腹か喉が乾くかの何れかの状態となった肥育豚は、給餌器または給水器の何れか一方を求めて当該自動体重計測・選別装置体重計に入るという移動を、1日に複数回繰り返すこととなり、飼育員の補助、誘導を要さずに、出荷体重に達した肥育豚が、ストレスを受けること無く出荷豚房とされた可変出荷豚房に自動的に集合されるものとなり、飼育員の出荷作業の工数を大幅に削減できるものとなる。
【0018】
第1WtoF部屋に一定頭数の3ないし15kg/頭の先行離乳子豚群を収容し子豚育成を開始し、該先行離乳子豚群が体重45ないし60kgの/頭の先行肥育豚群となったとき、第1可動壁を自由通行可能に開き、該第1WtoF部屋と交番肥育部屋とを繋ぎ、1個の肥育部屋をなすものとし先行肥育豚群の肉豚肥育を開始し、該先行肥育豚群の肉豚肥育の開始と同時期に、当該第2WtoF部屋に一定頭数の3ないし15kg/頭の後続離乳子豚群を収容し子豚育成を開始し、体重110kg/頭以上に達した当該先行肥育豚群の全頭を出荷するようにした、この発明の豚舎を利用した養豚方法によれば、従来型の離乳舎で20ないし40kg/頭(約30kg/頭)まで飼養した後、肥育舎へ移動して体重110kg/頭以上に達するまで肥育してから出荷する従来型の養豚方法に比較して、離乳から出荷までの間の豚舎間の移動を無くし、別の群れとの合流や、週令差の大きな群れとの合流などを無くし、不要なストレスやそれによる闘争などの発生を防止できると共に、感染症の発生を防止し、より効率的な養豚を実現化できるものとなる。
【0019】
第1WtoF部屋に一定頭数の先行離乳子豚群を収容し子豚育成を開始し、該先行離乳子豚群の子豚育成を開始から11ないし14週後に、当該第2WtoF部屋に一定頭数の後続離乳子豚群を収容し子豚育成を開始し、当該先行離乳子豚群が子豚育成の開始から11ないし14週後に先行肥育豚群となり、第1可動壁を自由通行可能に開き、該第1WtoF部屋と交番肥育部屋とを繋ぎ、1個の肥育部屋をなすものとし該先行肥育豚群の肉豚肥育を開始し、該先行肥育豚群の肉豚肥育を開始してから11ないし14週(子豚育成の開始から22ないし28週)経過した後、同先行肥育豚群の全頭を出荷するようにした、この発明の豚舎を利用した養豚方法によれば、先行離乳子豚群の子豚育成の開始時期と、後続離乳子豚群の子豚育成の開始時期とを11ないし14週ずらすことにより、先行肥育豚群の肉豚肥育中に交番肥育部屋を利用し、後続肥育豚群の肉豚肥育が開始される直前に、先行肥育豚群の全頭出荷を終えたタイミングとなり、当該交番肥育部屋を洗浄、消毒し、同交番肥育部屋を利用して該後続肥育豚群の肉豚肥育を開始することができるものとなるから、先行肥育豚群と後続肥育豚群とが交互に該交番肥育部屋を利用し、同交番肥育部屋の凡そ一個分の床面積を削減し、小型化されたWtoFユニットとすることができ、豚舎の建築費用およびそれに不随する設備費用を格段に削減した上、従来型のウィーン・トゥ・フィニッシュ(WtoF)およびオールイン・オールアウト(AI・AO)の豚舎と同等の生産効率を達成できるものとなる。
【0020】
第1可動壁および第2可動壁を密閉閉鎖し、第1WtoF部屋、交番肥育部屋および第2WtoF部屋の夫々を独立した部屋とし、該第1WtoF部屋に一定頭数の3ないし15kg/頭の先行離乳子豚群を収容し子豚育成を開始し、該先行離乳子豚群が、子豚育成を開始してから11ないし14週後に、体重が45ないし60kg/頭の先行肥育豚群となったとき、第1可動壁を自由通行可能に開き、該先行肥育豚群の肉豚肥育を開始し、該先行肥育豚群の肉豚肥育の開始と同時期に、当該第2WtoF部屋に一定頭数の3ないし15kg/頭の後続離乳子豚群を収容し子豚育成を開始し、当該先行肥育豚群の肉豚肥育を開始してから体重が110kg/頭以上に達した当該先行肥育豚から順に出荷し、肉豚肥育を開始してから11ないし14週(子豚育成の開始から22ないし28週)経過するまでの間に同先行肥育豚群の全頭の出荷を終えるようにした、この発明の豚舎を利用した養豚方法によれば、従来型のウィーン・トゥ・フィニッシュ(WtoF)およびオールイン・オールアウト(AI・AO)の豚舎に比較して、より床面積を削減した豚舎の中で、同等の養豚環境を実現化することができるから、一段と低建築コスト且つ低ランニングコストの養豚技術を実現化できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
豚舎は、離乳子豚を収容し、出荷体重に成長するまで離乳・肥育可能とする機能を分担し、第1WtoF部屋、交番肥育部屋および第2WtoF部屋からなるWtoFユニットを少なくとも1つ備えたものとしなければならず、より具体的には後述する実施例にも示すように、第1WtoF部屋と交番肥育部屋とを閉じて密閉、開いて連通可能な第1可動壁を介して開閉可能に隣接され、該交番肥育部屋に対し第2WtoF部屋を閉じて密閉、開いて連通可能な第2可動壁を介して開閉可能に隣接されたものとしなければならず、表現を変えて示すならば、養豚農場の敷地内に検疫舎、種豚舎、分娩舎、出荷口および糞・尿処理設備などと共に設置されたものとするのが良く、養豚に留まらず、その他の家畜や動物の離乳ないし肥育をする畜舎とすることが可能である。
【0022】
また、大型農場では、例えば第一のサイトに、検疫舎、種豚舎、分娩舎および糞尿処理設備からなる繁殖部門が設置され、別の第二のサイトに、この発明の豚舎および糞尿処理設備からなる肥育部門が設置され、それら第一および第二のサイトが連携して養豚するものとされたものとすることが可能であり、さらにまた、糞尿処理設備を独立した別の専用施設に設置したものなど、様々な形態の農場とすることができるが、如何なる形態を採用した農場にあっても、この発明の豚舎を設置することが可能である。
【0023】
WtoFユニットは、この発明の豚舎を利用した養豚方法を実現化可能とする機能を分担し、この発明の養豚方法を実施するのに必要な第1WtoF部屋、交番肥育部屋および第2WtoF部屋の組み合わせからなるものであり、1棟の豚舎内に少なくとも1つ設けられたものとしなければならず、1棟の豚舎内に複数のWtoFユニットが設置されたものとすることができ、1つのWtoFユニットは、その第1WtoF部屋、交番肥育部屋および第2WtoF部屋が、平面視でL,N,T,U,Y字形の何れかに配列されたものとすることができる外、後述する実施例にも示すように、交番肥育部屋を第1WtoF部屋と第2WtoF部屋とによってサンドイッチされ、直線状(平面視I字形)に配置された長屋状のものとするのが良い。
【0024】
第1WtoF部屋は、一定頭数の先行離乳子豚群を収容し、該先行離乳子豚群の子豚育成を可能とすると共に、これら先行離乳子豚群が先行肥育豚群に成長した場合には、第1可動壁が開放され繋がれた交番肥育部屋と共に床面積を拡大し、当該一定頭数の先行肥育豚群を肥育可能とする機能を担い、一定頭数の先行離乳子豚群を収容する床面積が確保されたものであって、しかも該第1WtoF部屋と合算した床面積が、前記先行離乳子豚群の頭数と同じ頭数の先行肥育豚群を収容する床面積とされた交番肥育部屋が、当該第1WtoF部屋と交番肥育部屋とを閉じて密閉、開いて連通可能な第1可動壁を介して開閉可能に隣接または通路などを通じて接続されたものとしなければならず、当該第1WtoF部屋は、冬期の子豚育成に必要となる断熱・暖房設備を備えたものとするのが望ましく、後述する実施例にも示すように、子豚育成用の断熱設備および暖房設備が設けられた補助居住房が設置されたものとすることができる。
【0025】
交番肥育部屋は、第1WtoF部屋に収容された先行離乳子豚群が先行肥育豚群に成長した場合に、第2可動壁が閉じられ、第1可動壁が開放されると該第1WtoF部屋と繋がり、当該先行肥育豚群の肥育に適した床面積が確保された大きな部屋を形成可能とし、また、第2WtoF部屋に収容された後続離乳子豚群が後続肥育豚群に成長した場合に、第1可動壁が閉じられ、第2可動壁が開放されると該第2WtoF部屋と繋がり、当該後続肥育豚群の肥育に適した床面積が確保された大きな部屋を形成可能とする機能を分担し、第1WtoF部屋と合算した床面積が、前記先行離乳子豚群の頭数と同じ頭数の先行肥育豚群を収容する床面積とされ、且つ、第2WtoF部屋と合算した床面積が、前記前記先行離乳子豚群の頭数と同じ頭数の後続肥育豚群を収容する床面積とされたものとすべきであり、後述する実施例にも示す通り、肉豚肥育用の豚房、自動体重計測・選別装置、第1WtoF部屋用の可変出荷豚房および第2WtoF部屋用の可変出荷豚房を有するものとするのが良い。
【0026】
第1可動壁は、第1WtoF部屋および交番肥育部屋を開閉可能に密閉閉鎖可能とする機能を担い、閉鎖された状態では、第1WtoF部屋と交番肥育部屋との間を豚が行き来することは出来ず、しかも殆ど通気されず、部屋を跨ぐ豚同士の接触も不可能なものとされ、病原体の空気感染や、豚同士が鼻を接触させて病原体を移してしまうことなどを確実に防止するものとしなければならず、例えば、樹脂製や木製、金属製などのパネルや扉などとすることができ、必要な場合には、作業員の目線の高さに、透明樹脂フィルム製や透明樹脂パネル製などの密閉窓が設けられ、隣室の豚の様子を目視確認可能としたものとすることができる。
【0027】
第2WtoF部屋は、一定頭数の後続離乳子豚群を収容し、該後続離乳子豚群の子豚育成を可能とすると共に、該後続離乳子豚群が後続肥育豚群に成長した場合には、第1可動壁が閉じられ、第2可動壁が開放され繋がれた交番肥育部屋と共に床面積を拡大し、当該一定頭数の後続肥育豚群を肥育可能とする機能を担い、一定頭数の後続離乳子豚群を収容する床面積が確保されたものであって、しかも該第2WtoF部屋と合算した床面積が、前記後続離乳子豚群の頭数と同じ頭数の後続肥育豚群を収容する床面積とされた交番肥育部屋が、当該第2WtoF部屋と交番肥育部屋とを、閉じて密閉、開いて連通可能な第2可動壁を介して開閉可能に隣接または通路などを通じて接続されたものとしなければならず、第1WtoF部屋に収容された先行離乳子豚群と同じ一定頭数の後続離乳子豚群を収容する床面積が確保されたものとすべきであり、冬期の子豚育成に必要となる断熱・暖房設備を備えたものとするのが望ましく、後述する実施例にも示すように、子豚育成用の断熱設備および暖房設備が設けられた補助居住房が設置されたものとすることができる。
【0028】
第2可動壁は、第2WtoF部屋および交番肥育部屋を開閉可能に密閉閉鎖可能とする機能を担っており、閉鎖された状態では、第2WtoF部屋と交番肥育部屋との間を豚が行き来することは出来ず、しかも殆ど通気されず、部屋を跨ぐ豚同士の接触も不可能なものとされ、病原体の空気感染や、豚同士が鼻を接触させて病原体を移してしまうことなどを確実に防止するものとしなければならず、例えば、樹脂製や木製、金属製などのパネルや扉などとすることができ、必要な場合には、作業員の目線の高さに、透明樹脂フィルム製や透明樹脂パネル製などの密閉窓が設けられ、隣室の豚の様子を目視確認可能としたものとすることができる。
【0029】
第1WtoF部屋および第2WtoF部屋の夫々に設けられた断熱設備は、厳冬期にも子豚の成育に適した室内温度を確保できるよう豚舎内外間を断熱する機能を担うものであり、屋根、釣り天井、内側壁または外側壁の何れかの一部ないし全体の何れかに断熱材が設けられたものとしなければならず、例えば、グラスウール、ロックウール、セルロースファイバー、インシュレーションボードなどの鉱物繊維系、フェノールフォーム、硬質ウレタンフォーム、押出法ポリスチレンフォーム、ビーズ法ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォームなどの発泡プラスチック系、再生ポリエステル素材、羊毛断熱素材、炭化発泡コルク、真空断熱材、アルミニウム遮熱シートなどの自然素材、リサイクル素材、新素材などからなる断熱材とすることができ、また、WtoFユニットおよび第2WtoF部屋の夫々に設けられた暖房設備は、厳冬期にも子豚の成育に適した温度を確保できるよう部屋内の子豚を集中的に暖める機能を分担し、第1WtoF部屋および第2WtoF部屋の少なくとも一部を暖房できるよう、エアコン、オイルヒーター、マルチダイナミックヒーター、パネルヒーター、石油ファンヒーター、石油ストーブ、ガスファンヒーター、電気ストーブ、スチームヒーター、床暖房その他の暖房器具が設置されたものとすることができる外、加湿器や除湿機などの湿度調整設備が設けられたものとするのが良い。
当該断熱設備および暖房設備は、後述する実施例にも示すように、第1WtoF部屋および第2WtoF部屋の夫々に設けられた補助居住房にのみ設置されたものとすることができる外、外気温のままであっても子豚が健全に成育できる程度に温暖な地域に建設された豚舎の場合には、該断熱設備および暖房設備が全く設置されていないものとすることができる。
【0030】
第1隔壁の出入り口および第1可動壁と、第2隔壁の出入り口および第2可動壁とが閉鎖状態にあっては、豚の通行を阻止するのは勿論のこと、空気の流れを止め、病原体の通過を阻止する機能を分担し、大気圧を受けたり、換気扇などによる強制的な空気の減圧や加圧を受けたりした場合にも、第1WtoF部屋と交番肥育部屋との間、また、交番肥育部屋と第2WtoF部屋との間で空気が流通しない状態の気密性を確保可能なものとするのが望ましいが、第1隔壁および第1可動壁の設備を低廉な構造のものとした実験の結果、若干の空気の漏れを甘受するものとした場合であっても実質的に病原体の空気感染を効果的に防止できることが判明した為、完璧な密閉度を期するほど厳密でなくとも良く、僅かな隙間があるなど比較的気密性の低い閉鎖構造に留まるものとすれば、設備費用を抑制できるという利点が得られるものとなる。
【0031】
しかしながら、当該第1可動壁および第2可動壁は、閉鎖状態にあって厳密に密閉されたものとすることができることから、その具体例について触れておくこととする。例えば、夫々の出入り口の開口縁に段差部が設けられ、該段差部に沿って弾性樹脂製や天然繊維製などのシール材が介在され、第1可動壁または第2可動壁の何れか一方が、嵌合且つ密閉状に閉鎖されるものとすることができる外、それら出入り口と、第1可動壁または第2可動壁の何れか一方の外周縁との間に、不用意に開放しないよう仮固定可能な仮止め用の鈎やバックルなどのロック手段が設けられたものとしたり、粘着テープなどによる目張りによって密着、密閉状態とされるものとしたりすることができる。
【0032】
また、第1隔壁の出入り口および第1可動壁と、第2隔壁の出入り口および第2可動壁とは、後述する実施例にも示しているとおり、床面がバリアフリーとなる平面状に形成されたものとすることができる外、床面に多少の段差があっても離乳子豚か肥育豚かを問わず、それを乗り越えて移動することが可能であるから、例えば、各出入り口の床面に7ないし8cm程度の高さの段差がある場合にも、支障なく利用することが可能であり、したがって、豚が通過する各出入り口には、その開口全周縁に沿って段差部が設けられ、その無端状の周縁に対して、各可動壁の外周縁が嵌合された状態に閉鎖される構造のものとすることが可能である。
【0033】
離乳子豚群は、母豚から離乳した子豚の群れであり、より具体的に示すと、分娩豚舎において誕生後、3週(18ないし25日)間に亘り授乳を受け、体重が3ないし15kg/頭まで成長した子豚の一定数の群れであるということができ、第1WtoF部屋の子豚収容数(許容数)と同じかまたはそれ未満かの何れか一方の頭数の子豚群ということができ、先行離乳子豚群は、後続離乳子豚群より、先行離乳子豚群に11ないし14週遅れて、離乳した子豚の群れであり、第2WtoF部屋の子豚収容数(許容数)と同じかまたはそれ未満かの何れか一方の頭数の子豚群ということができ、表現を変えて示すならば、第1WtoF部屋に収容する先行離乳子豚群の頭数は、第1WtoF部屋と交番肥育部屋に収容可能な先行肥育豚群の頭数と同じか、それ未満とすべきであり、また、第2WtoF部屋に収容する後続離乳子豚群の頭数は、第2WtoF部屋と交番肥育部屋に収容可能な後続肥育豚群の頭数と同じか、それ未満とすべきであると云うことが出来る。しかしながら、当該第1WtoF部屋および第2WtoF部屋の夫々の子豚収容数は、生産数にブレが生じてしまった場合には、予定の子豚収容数(許容数)を超える頭数の離乳子豚群を収容せざるを得ない場合も有り得るので、厳密に頭数を制限することができないというのが実情であり、したがって、厳密には先行離乳子豚群および後続離乳子豚群の頭数は、当該一定数を超えてしまう場合もある。
【0034】
また、離乳子豚群は、表現を変えて示すと、分娩豚舎において分娩後、3週(18ないし25日)間に亘って授乳を受け、少なくとも3kg/頭以上、具体的には、体重が3ないし8kg/頭、または、4ないし15kg/頭、より具体的には6kg/頭前後に成長した子豚の一定数の群れであるということができ、体重が3kg/頭未満では、離乳飼育が困難であり、子豚の健康のため、できるだけ4kg/頭以上となってから離乳飼育を開始するのが望ましく、8kg/頭(となる日齢)を超えて授乳を続けると、母豚が疲弊し分娩舎の回転率が悪化してしまうという問題を生じてしまう外、母豚は分娩後2日間ほど初乳を出し、該初乳からもらう抗体(免疫物質)は、夫々の疾病によって異なるが、生後16~24日くらいで切れてしまものであって、該初乳後の常乳にも薄く抗体が混ざっているから、母乳を飲んでいる間は子豚の安全が確保され、母乳を飲んでいない状態で分娩舎に子豚を残しておくと、子豚の免疫が切れ、母豚が汚した豚舎から子豚に病気が移ってしまう虞が有ることから、離乳と同時に母豚は繁殖豚舎へ、子豚は離乳舎へ移動するのが肝要であり、こうした母豚の疲弊や子豚の疾病などを防ぐため離乳日齢の上限を決めると、自ずと子豚の体重も8kg/頭前後となる。
【0035】
しかしながら、欧州では、アニマルウェルフェア(動物愛護)の法整備が進み、離乳日齢が28日齢以上になっており、これに従えば、離乳体重も10kg/頭くらいか、それを超えて11ないし14kg/頭に達する可能性も無いわけではない。さらに言及すると、子豚が15kg/頭を超えて離乳し、本発明の豚舎のWtoFユニットに移動されることは、イレギュラーな事態を除き基本的にあり得ないことであるということができ、該イレギュラーな事態とは、例えば、急に疾病が侵入しその対応のために一時的に豚の移動を停止することや、離乳・移動の直前に本発明の豚舎で急な工事が必要になったときなどに、止むを得ず子豚の移動を停止し、その間に成長が進んでしまったと云うような場合である。
【0036】
さらにまた、第1WtoF部屋または第2WtoF部屋に収容する頭数は、大群飼育を30頭未満で行うことは効率的にも経済的にも合理性を欠くものであり、少なくとも30頭を超える豚の肥育が望ましいものであり、また、2400頭を超えると、豚舎が大型化し過ぎてしまい、強度や屋根の大きさが問題となり、かえって建築コストが高騰してしまう虞があり、より具体的には、大きな屋根を支える太い柱が必要となり、各パーツが大きくなることから、輸送の都合上、工場製造および現場組立ができなくなってしまうという事情がある外、自動体重計測・選別装置(オートソーター)の対応頭数は通常上限が500頭前後であり、2台並列で使うとなると、1群は1000頭になり、アメリカでは、柵の形状を工夫して、1つの部屋に2群を収容し、自動体重計測・選別装置(オートソーター)を交互に使うというウィーン・トゥ・フィニッシュ(WtoF)豚舎もあり、したがって、群の最大サイズは、現実的には1000頭、工夫をすると2000頭になり得ることから、現実的に可能な上限は多少の増減を考慮すると2400頭となることが予想される。
現在の建築費の経済性(費用対効果)を考慮すると、この発明の豚舎に収容する現実的な頭数は100~500頭とするのが妥当と思われるが、建築コストの課題を克服すれば、この発明の豚舎に収容する頭数は上限が2400頭となり、収容頭数の範囲は30ないし2400頭とすることが可能である。
【0037】
この発明の基本をなす豚舎またはそのWtoFユニットの技術的思想は、豚以外の動植物の飼育にも応用可能であり、例えば、豚以外の陸上動物、両生動物、水生動物などの動物または昆虫などの飼育や、植物や海藻類の栽培などに応用することが可能であり、より具体的には、この発明のWtoFユニットの第1WtoF部屋、交番肥育部屋および第2WtoF部屋の3個の部屋に相当する水槽や檻、敷地、水域などの何れかのスペースが屋外に設置されたものや、屋内に配設されものなどとすることが可能であり、さらに具体的には、例えば魚介類の養殖などに応用することができる。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図面は、この発明の豚舎、およびそれを利用した養豚方法の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
【
図2】第1可動壁および第2可動壁を交互に開放するWtoFユニットを示す平面図である。
【
図3】第1可動壁および第2可動壁の配置が変更されたWtoFユニットを示す平面図である。
【
図4】1つのWtoFユニットが設置された豚舎を示す平面図である。
【
図5】2つのWtoFユニットが設置された豚舎を示す平面図である。
【
図6】この発明の豚舎が設置された大規模農場を示す平面図である。
【
図7】従来型の大規模農場に、この発明の豚舎が増設されたものを示す平面図である。
【
図8】この発明の豚舎が設置された中・小規模農場を示す平面図である。
【
図9】この発明の豚舎を利用した養豚方法を示すフローチャートである。
【
図10】この発明の豚舎を利用した養豚方法をより具体的に示すフローチャートである。
【実施例0039】
図1および
図2に示す事例は、一定頭数の先行離乳子豚群を収容する床面積とされた第1WtoF部屋4が設けられ、該第1WtoF部屋4と開閉可能な第1可動壁40,40を介して隣接され、該第1可動壁40,40を開き、連通された場合に、該第1WtoF部屋4と合算した床面積が一定頭数の先行肥育豚群を収容する床面積とされた交番肥育部屋5が設けられ、該交番肥育部屋5に対し、当該先行離乳子豚群と同じ頭数の後続離乳子豚群を収容する床面積が確保された第2WtoF部屋6が、当該交番肥育部屋5と第2WtoF部屋6を、第2可動壁60,60を介して開閉可能に隣接され、当該第1WtoF部屋4、交番肥育部屋5および第2WtoF部屋6の3個の部屋が1個のWtoFユニット3をなし、該WtoFユニット3の少なくとも1つが屋内に設置されたものとしてなるこの発明の豚舎における代表的な一実施例を示すものである。
【0040】
それら各図からも明確に把握できるとおり、この発明の豚舎2には、第1WtoF部屋4と第2WtoF部屋6との間に交番肥育部屋5がサンドイッチされた配置関係とされた1個のWtoFユニット3が設置され、該WtoFユニット3は、第1WtoF部屋4、第1可動壁40,40、交番肥育部屋5、第2WtoF部屋6および第2可動壁60,60を有し、当該第1WtoF部屋4は、30ないし2400頭の一定頭数の先行離乳子豚群を収容する0.30ないし0.72m2/頭の床面積が確保されたものとなっており、より具体的には、例えば360頭の先行離乳子豚群を収容する0.56m2/頭、即ち、200m2/360頭の面積に設定されたものとなっている。第1WtoF部屋4(第2WtoF部屋6)の床面積が0.30m2/頭未満では離乳子豚を45ないし60kg/頭まで快適に育成することができず、0.72m2/頭を超えると、畜舎2の建築コストが高騰してしまうことになる。
【0041】
交番肥育部屋5は、天井から床まで密閉状とされた第1隔壁41を介して隣接配置され、同第1隔壁41の水平方向の両端には、床面に段差のない所謂バリアフリー形状の出入り口DW,DWが開口され、各出入り口DW,DWには、夫々気密を確保するよう密閉状に閉鎖可能な第1可動壁40,40が装着されており、より具体的には、該出入り口DWに対し、それよりも大きな面積の平板状をなす第1可動壁40が、全周囲に弾性樹脂製のシール材を有し、気密状に設置、および、取り外して開放可能に装着されたものか、または、該出入り口DWに略一致する平板状をなした第1可動壁40が、その上および左右の外周縁に、当該出入り口DWの床面を除いた上および左右の開口縁に嵌合する段差を有して水平切断した場合の断面が概略凸形状とされた上、全周囲に弾性樹脂製のシール材が設けられ、水平方向の一端にヒンジを有した扉とされ、該第1可動壁40が気密状に閉鎖、および、開放可能に装着され、閉鎖状に仮止め可能なロック機構を備えたものかの何れか一方とされている。
また、当該出入り口DW,DWの床面には、7ないし8cm程度の段差が設けられたものとすることが可能であり、その床面の段差部分を利用して、第1可動壁40,40の床面がわが嵌合状に閉鎖される構造のものとすることが可能である。
【0042】
交番肥育部屋5は、第1WtoF部屋4と合算した床面積が、30ないし2400頭の一定頭数の前記先行離乳子豚群と同じ頭数の先行肥育豚群を収容する0.7ないし1.2m2/頭の床面積とされたものとなっており、より具体的には、例えば360頭の先行肥育豚群を収容する1.00m2/頭、即ち、360m2/360頭の面積に設定され、この場合の交番肥育部屋5の単独の床面積は、第1WtoF部屋4+交番肥育部屋5の床面積から第1WtoF部屋4を差し引いた床面積であるから、交番肥育部屋5の床面積は、第1WtoF部屋4+交番肥育部屋5の床面積-第1WtoF部屋4の床面積となり、160m2となる。第1WtoF部屋4(第2WtoF部屋6)に交番肥育部屋5を加えた床面積が、0.7m2/頭未満の場合には、体重が110kg/頭以上に達した肥育豚が快適に過ごせる面積ではなく、また、1.2m2/頭を超えると、豚舎2の建築コストが大きくなり過ぎるという欠点を生じるものである。
[数1]
360m2-200m2=160m2
【0043】
また、第2WtoF部屋6は、交番肥育部屋5を挟み、当該第1WtoF部屋4とは反対がわであって、第1隔壁41に対し、該交番肥育部屋5の室内空間を挟み対称(左右対称)形状をなして対峙する、第2隔壁61を介して隣接配置され、該第2隔壁61は、天井から床まで密閉状とされ、その水平方向の両端には、床面に段差のない、所謂バリアフリー形状の出入り口DW,DWが開口され、各出入り口DW,DWには、夫々気密を確保するよう密閉状に閉鎖可能な第2可動壁60,60が装着されており、より具体的には、該出入り口DWに対し、それよりも大きな面積の平板状をなす第2可動壁60が、全周囲に弾性樹脂製のシール材を有し、気密状に設置、および、取り外して開放可能に装着されたもの、または、該出入り口DWに略一致する平板状をなした第2可動壁60が、その上および左右の外周縁に、当該出入り口DWの床面を除いた上および左右の開口縁に嵌合する段差を有して水平切断した場合の断面が概略凸形状とされた上、全周囲に弾性樹脂製のシール材が設けられ、水平方向の一端にヒンジを有した扉とされ、該第2可動壁60が気密状に閉鎖および開放可能に装着されたものの何れか一方とされている。
そして、第2WtoF部屋6は、当該第1WtoF部屋4と同じ床面積とされ、30ないし2400頭の一定頭数の後続離乳子豚群を収容する0.30ないし0.72m2/頭の床面積が確保されるようにしたものであり、より具体的には、例えば360頭の後続離乳子豚群を収容する0.56m2/頭、即ち、200m2/360頭の面積に設定されたものとなっている。
【0044】
(実施例1の作用・効果)
以上のとおりの構成からなるこの発明の豚舎2を利用した養豚方法は、
図1、
図2および
図9に示すように、当該豚舎2のWtoFユニット3の使用を開始するとき、第1WtoF部屋4、交番肥育部屋5および第2WtoF部屋6の洗浄・消毒を行った後、第1可動壁40,40および第2可動壁60,60を密閉閉鎖し(a)、第1WtoF部屋4、交番肥育部屋5および第2WtoF部屋6の夫々を独立した部屋とし、該第1WtoF部屋4に360頭の3ないし8kg/頭(または、4ないし15kg/頭)、より具体的には6kg/頭の先行離乳子豚群を収容し(b)、該先行離乳子豚群の子豚育成を開始する(c)。
【0045】
該先行離乳子豚群が、子豚育成を開始してから11ないし14週後に、当該第2WtoF部屋6に360頭の3ないし8kg/頭(または、4ないし15kg/頭)、より具体的には6kg/頭の後続離乳子豚群を収容するようにし(d)、同後続離乳子豚群の子豚育成を開始し(e)、該先行離乳子豚群が、子豚育成を開始してから11ないし14週後に、体重が45ないし60kg/頭の先行肥育豚群となったとき(f)、第1可動壁40,40を開き、先行肥育豚群が出入り口DW,DWを通じて第1WtoF部屋4と交番肥育部屋5との間を自由に行き来可能とし(g)、該先行肥育豚群の肉豚肥育を開始する(h)。
表現を変えると、離乳子豚群は、体重が45ないし60kg/頭の先行肥育豚群となるのに子豚育成を開始してから11ないし14週必要であって全肥育期間(22ないし28週)の半分の時期に、自ずと子豚の体重が45ないし60kg/頭に達し(f)、この時期に第1可動壁40,40を開く(g)のが望ましいといえる。
【0046】
当該先行肥育豚群の肉豚肥育を開始(h)してから体重110kg/頭以上、より具体的には、例えば110ないし130kg/頭に達した先行肥育豚から順次出荷して行き、最終的に11ないし14週(子豚育成の開始から22ないし28週)経過するまでに、該先行肥育豚群の全頭の出荷を完了する(k)、当該第1WtoF部屋4および交番肥育部屋5を洗浄・消毒(m)した上、該第1可動壁40,40を密閉閉鎖し(n)、該第1WtoF部屋4に360頭の3ないし8kg/頭(または、4ないし15kg/頭)、より具体的には6kg/頭の新たな先行離乳子豚群を収容し(p)、新たな先行離乳子豚群の子豚育成を開始する(q)。
肥育豚群は、体重110/頭未満では肉質の評価が下がり、また、130kg/頭を超えた場合にも肉質の評価が上がらないものである。
【0047】
当該後続離乳子豚群の子豚育成を開始してから11ないし14週経過し、体重が45ないし60kg/頭の後続肥育豚群となった(r)とき、当該第2可動壁60,60を開き、出入り口DW,DWを自由通行可能とするよう当該第2WtoF部屋6と交番肥育部屋5とを繋いで1個の肥育部屋をなすものとし(s)、該後続肥育豚群の肉豚肥育を開始し(t)、該後続肥育豚群の肉豚肥育を開始してから体重110kg/頭以上、より具体的には例えば110ないし130kg/頭に達した後続肥育豚から順次出荷して行き、最終的に11ないし14週(子豚育成の開始から22ないし28週)経過するまでに、該後続肥育豚群の全頭の出荷を完了する(v)。
【0048】
その後、当該第2WtoF部屋6および交番肥育部屋5を洗浄・消毒し(w)すると共に、各第2可動壁60,60を密閉閉鎖した(x)上、該第2WtoF部屋6に360頭の3ないし8kg/頭(または、4ないし15kg/頭)、より具体的には6kg/頭の新たな後続離乳子豚群を収容し(y)、該新たな後続離乳子豚群の子豚育成を開始する(z)という工程を経た後、再度、当該新たな先行離乳子豚群が、子豚育成を開始してから11ないし14週後に、体重が45ないし60kg/頭の先行肥育豚群となったとき(f)の段階から、同じ工程を永続的に繰り返し、先行離乳子豚群の全頭と後続離乳子豚群の全頭との夫々を11ないし14週置き毎に交互に収容し、肉豚肥育を開始してから11ないし14週後に先行肥育豚群の全頭と後続肥育豚群の全頭とを交互に出荷するようにするものである。
【0049】
以上のようなこの発明の豚舎2を利用した養豚方法によれば、従来型のウィーン・トゥ・フィニッシュ(WtoF)およびオールイン・オールアウト(AI・AO)の豚舎によって360頭の離乳子豚群を肥育豚群となるまで肥育する場合には、例えば324m2/360頭(0.9m2/頭)を要するのに対して、当該豚舎2のWtoFユニット3を利用した養豚方法によれば、例えば243m2/360頭(0.68m2/頭)に留めることができ、より床面積を効率的に利用できるから、敷地の確保および豚舎2の建築・設備コストを大幅に削減することができる。
交番肥育部屋5は、1/2幅の位置に中仕切り柵PFが設置され、同交番肥育部屋5の内がわとなる当該廊下HLに面する幅方向の一側の長さ方向範囲に渡って2枚以上、例えば4枚の開閉柵(出荷経路)52,52,……を有した側仕切り柵51で仕切られた中廊下50が配され、該中廊下50と当該中仕切り柵PFとの間には、第1WtoF部屋4の隣に配された第2WtoF部屋6用の可変出荷豚房53、および、第2WtoF部屋6の隣に配された第1WtoF部屋4用の可変出荷豚房54が出荷仕切り柵55を挟み隣合わせに配され、該出荷仕切り柵55の側仕切り柵51との交叉位置には、中廊下50に臨む入り口が設けられ、肥育豚の体重を自動計測する体重計測部を有し、肥育豚が出荷体重に達している場合に、当該第1WtoF部屋4用または第2WtoF部屋6用の可変出荷豚房53,54の何れか出荷豚房53(54)とされたがわに開き、肥育豚が一頭通過する毎に閉鎖する自動開閉送出ゲートと、肥育豚が未だ出荷体重に達していない場合に、当該第1WtoF部屋4用または第2WtoF部屋6用の可変出荷豚房53,54の中(うち)、当該肉豚肥育用の豚房57に繋がるよう当該中仕切り柵PFの開閉柵GF,GFが交番肥育部屋5内に開かれた何れか一方がわに開き、肥育豚が一頭通過する毎に閉鎖する自動開閉送出ゲートとを有し、それら各自動開閉送出ゲートを自動制御する自動選別部が設けられた自動体重計測・選別装置56が配され、当該側仕切り柵51の4枚の開閉柵(出荷経路)52,52,……の中(うち)、2枚が当該第2WtoF部屋6用の可変出荷豚房53に面し、別の2枚が第1WtoF部屋4用の可変出荷豚房54に面するものとされ、また、当該中仕切り柵PFには、第2WtoF部屋6用の可変出荷豚房53に面する2枚の開閉柵GF,GF、および、第1WtoF部屋4用の可変出荷豚房54に面する2枚の開閉柵GF,GFが夫々設けられ、該中仕切り柵PFと、廊下HLとは反対がわの外壁SWとの間の空間が肉豚肥育用の豚房57とされている。
そして、当該第1WtoF部屋4と交番肥育部屋5とを気密状に仕切る第1隔壁41の、交番肥育部屋5の中廊下50、および、肉豚肥育用の豚房57に面する2箇所には、夫々出入り口DW,DWが開口され、各出入り口DW,DWには、夫々第1可動壁40,40が開閉可能且つ気密状に閉鎖するよう設けられており、各第1可動壁40,40が開かれ(後述する第2可動壁60,60が閉じられ)、当該第1WtoF部屋4と交番肥育部屋5とが接続された場合には、第1WtoF部屋4用の可変出荷豚房54が出荷豚房54として利用され、当該第2WtoF部屋6用の可変出荷豚房53は、その開閉柵GF,GFが開かれ、肉豚肥育用の豚房57の一部として利用されるものとなり、また、当該第2WtoF部屋6と交番肥育部屋5とを気密状に仕切る第2隔壁61の、交番肥育部屋5の中廊下50、および、肉豚肥育用の豚房57に面する2箇所には、夫々出入り口DW,DWが開口され、各出入り口DW,DWには、夫々第2可動壁60,60が開閉可能且つ気密状に閉鎖するよう設けられており、各第2可動壁60,60が開かれ、当該1可動壁40,40が閉じられ、当該第2WtoF部屋6と交番肥育部屋5とが接続された場合には、第2WtoF部屋6用の可変出荷豚房53が出荷豚房53として利用され、当該第1WtoF部屋4用の可変出荷豚房54は、その開閉柵GF,GFが開かれ、肉豚肥育用の豚房57の一部として利用されるものとされている。
第2WtoF部屋6は、当該第1WtoF部屋4と出荷仕切り柵55を挟み線対称の形状とされており、同第2WtoF部屋6の1/2幅の位置には、中仕切り柵PFが、4つの通路PG,PG,……を確保するよう間隔を隔てて配され、各通行口PG,PG,……には、一方通行柵(ワンウェイ・ゲート)OW,OW,……が設置され、該中仕切り柵PFに仕切られた幅方向の一方がわに複数の給餌器・給水器FE,FE,……が配されており、各通行口PG,PG,……に設置された一方通行柵(ワンウェイ・ゲート)OW,OW,……は、何れも給餌器・給水器FE,FE,……が配されていないがわから、給餌器・給水器FE,FE,……が配されているがわへのみ通過でき、逆方向へは移動できないよう設置されている。
第1WtoF部屋4と交番肥育部屋5との間の第1隔壁41に設けられた第1可動壁40,40は、合計2枚設けられ、その中の1枚は、交番肥育部屋5の中廊下50に面して開口された出入り口DWに対し着脱(開閉)可能に設置され、該出入り口DWから外された第1可動壁40は、廊下HLがわの壁に沿って立て掛け、倒れないよう仮固定して収納状態とするか、または、廊下HLに搬出し、壁に沿って立て掛け、倒れないよう仮固定して収納状態とするかして保管し、その他の1枚の第1可動壁40は、交番肥育部屋5の肉豚肥育用の豚房57に面する1/2ないし2/3の幅範囲に渡って開設された出入り口DWに設置され、同出入り口DWを開閉可能なものとされている。
第2WtoF部屋6と交番肥育部屋5との間の第2隔壁61に設けられた第2可動壁60,60は、合計2枚設けられ、その中の1枚は、交番肥育部屋5の中廊下50に面して開口された出入り口DWに対し着脱(開閉)可能に設置され、該出入り口DWから外された第1可動壁40は、廊下HLがわの壁に沿って立て掛け、倒れないよう仮固定して収納状態とするか、または、廊下HLに搬出し、壁に沿って立て掛け、倒れないよう仮固定して収納状態とするかして保管し、その他の1枚の第1可動壁60は、交番肥育部屋5の肉豚肥育用の豚房57に面する1/2ないし2/3の幅範囲に渡って開設された出入り口DWに設置され、同出入り口DWを開閉可能なものとされている。
当該出入り口DW,DW,……の夫々の幅は、豚がストレス無く通れる開口寸法が確保され、しかも、密閉された状態に閉じることが可能な形状および寸法のものであればよく、それらの条件が満たされれば、開口形状および寸法に大きな制限を受けることはない。
中廊下50の自動体重計測・選別装置56の入り口に臨む位置には、該自動体重計測・選別装置56の入り口と第2WtoF部屋6用の可変出荷豚房53に面する側仕切り柵51の開閉柵52との間の位置と、該出荷仕切り柵55の自動体重計測・選別装置56の入り口と第1WtoF部屋4用の可変出荷豚房54に面する側仕切り柵51の開閉柵52との間位置との夫々に移動、設置され、第1WtoF部屋4の開放された第1可動壁40か、または、第2WtoF部屋6の開かれた第2可動壁60かの何れか一方と通じて当該中廊下50に進入した肥育豚を当該自動体重計測・選別装置56の入り口へと導く誘導柵58が設けられ、しかも該誘導柵58は、閉じられた第1可動壁40か、または、閉じられた第2可動壁60かの何れか一方との間となる中廊下50の一部を出荷豚房とされた何れか一方の可変出荷豚房53(54)からの出荷経路を確保する柵を兼ねたものとなる。
第1WtoF部屋4は、30ないし2400頭の一定頭数の先行離乳子豚群を収容する0.30ないし0.72m2/頭の床面積が確保されたものであり、より具体的には、例えば360頭の先行離乳子豚群を収容する0.56m2/頭、即ち、200m2/360頭の面積に設定されたものとなっている。
当該第1WtoF部屋4と交番肥育部屋5とは、2枚の第1可動壁40,40を有する第1隔壁41を介して隣接配置され、該第1WtoF部屋4と交番肥育部屋5とを合算した床面積が、30ないし2400頭の一定頭数の前記先行離乳子豚群と同じ頭数の先行肥育豚群を収容する0.7ないし1.2m2/頭の床面積とされたものとなっており、より具体的には、例えば360頭の先行肥育豚群を収容する1.00m2/頭、即ち、360m2/360頭の面積に設定され、この場合の交番肥育部屋5の床面積は、第1WtoF部屋4+交番肥育部屋5の床面積から第1WtoF部屋4を差し引いた床面積であるから、交番肥育部屋5の床面積は、第1WtoF部屋4+交番肥育部屋5の床面積-第1WtoF部屋4の床面積となり、約160m2となる。
[数1]
360m2-200m2=160m2
また、第2WtoF部屋6は、交番肥育部屋5を挟み、当該第1WtoF部屋4とは反対がわであって、該交番肥育部屋5に対し、2枚の第2可動壁60,60を有する第2可動壁60を介して隣接配置され、当該第1WtoF部屋4と同じ床面積とされ、30ないし2400頭の一定頭数の後続離乳子豚群を収容する0.30ないし0.72m2/頭の床面積が確保されたものであり、より具体的には、例えば360頭の後続離乳子豚群を収容する0.56m2/頭、即ち、200m2/360頭の面積に設定されたものとなっている。
該先行離乳子豚群が、子豚育成を開始してから11ないし14週後に、当該第2WtoF部屋6に、例えば360頭の3ないし8kg/頭(または、4ないし15kg/頭)、より具体的には6kg/頭の後続離乳子豚群を収容し(d)、該後続離乳子豚群の子豚育成を開始し(e)、当該先行離乳子豚群が、子豚育成を開始してから11ないし14週後に、体重が45ないし60kg/頭の先行肥育豚群となったとき(f)、第2WtoF部屋6用の可変出荷豚房53の開閉柵52,52を開き、該第2WtoF部屋6用の可変出荷豚房53、および、第1WtoF部屋4用の可変出荷豚房54の全ての開閉柵GF,GF,……を開き、当該第1WtoF部屋4と中廊下50との間の第1可動壁40、および、該第1WtoF部屋4と肉豚肥育用の豚房57との間の第1可動壁40の双方を開き、当該第1WtoF部屋4と交番肥育部屋5との間を自由に移動可能な状態とする(g)と共に、該先行肥育豚群の肉豚肥育を開始する(h)。
先行肥育豚群の肉豚肥育が開始(h)されると、当該第1WtoF部屋4と交番肥育部屋5との間を自由に移動しながら該第1WtoF部屋4の給餌器・給水器FE,FE,……で飲食し、肥育が進み、先行肥育豚の体重が110kg/頭に近づいた頃を見計らい、当該誘導柵58を、自動体重計測・選別装置56の入り口と、第1WtoF部屋4用の可変出荷豚房54に面する側仕切り柵51の開閉柵52との間に設置し、第1WtoF部屋4用の可変出荷豚房54の全ての開閉柵GF,GF,……を閉じ、同第1WtoF部屋4用の可変出荷豚房54を、第1WtoF部屋4、肉豚肥育用の豚房57、および、同肉豚肥育用の豚房57に開閉柵GF,GF,……を開いて繋げられた第2WtoF部屋6用の可変出荷豚房53との間を行きできないよう囲み出荷豚房とし、当該自動体重計測・選別装置56を起動して肥育(h)を継続する。
先行肥育豚は、該第1WtoF部屋4の給餌器・給水器FE,FE,……で飲食しながら、当該第1WtoF部屋4、第2WtoF部屋6用の可変出荷豚房53および肉豚肥育用の豚房57の間を移動する間に、出入り口DWを超えて中廊下50を通り、当該誘導柵58に誘導されて自ら自動体重計測・選別装置56の入り口に入ることとなり、この際、体重計測部が自動的に体重を計測し、その体重が110kg/頭以上、より具体的には110ないし130kg/頭に達しているのを検知すると、自動選別部が、第1WtoF部屋4用の可変出荷豚房54に通じる自動開閉送出ゲートを開き、同第1WtoF部屋4用の可変出荷豚房54に先行肥育豚自らが移動するものとなり、該先行肥育豚の通過後に該自動開閉送出ゲートが閉じ、第1WtoF部屋4用の可変出荷豚房54に集合した先行肥育豚を飼育員が開閉柵(出荷経路)52,52を通じて順次出荷し、また、未だ体重が110kg/頭以上に達していない場合には、第2WtoF部屋6用の可変出荷豚房53を含む肉豚肥育用の豚房57に通じる自動開閉送出ゲートが開き、先行肥育豚自ら第2WtoF部屋6用の可変出荷豚房53を含む肉豚肥育用の豚房57に移動し、喉の渇きや空腹になった先行肥育豚は、自ら第1WtoF部屋4へと移動し、各通行口PG,PG,……の一方通行柵(ワンウェイ・ゲート)OW,OW,……を通じて給餌器・給水器FE,FE,……に行って飲食し、再び中廊下50を通り自動体重計測・選別装置56を通過するという行動を、各先行肥育豚が各々、平均で4回/日程度、自ら繰り返す状態を維持しながら肥育を継続し(j)、当該先行肥育豚群の肉豚肥育を開始してから11ないし14週(子豚育成の開始から22ないし28週)経過するまでの間に、体重110kg/頭以上、より具体的には110ないし130kg/頭に達した先行肥育豚から順に全ての先行肥育豚が体重110kg/頭以上、より具体的には110ないし130kg/頭に達して出荷を完了する(k)。
このように出荷を完了する(k)時期となっても、実際には稀に発育の遅れた肥育豚が出てしまうことがあり、こうした場合は、体重が出荷体重の110kg/頭以上に達していないまま構わず出荷してしまうのが作業上効率的であるが、通常よりも低い市場価値となってしまうという欠点があり、これを回避するため、この発明の豚舎とは別に小な出荷残豚舎(病気の豚を収容する病豚舎を兼ねている場合もある)を設け、そこに移動して延長飼育することが可能であるが、この場合には、オールイン・オールアウト(AI・AO)ではなくなり、一部が例外的に連続的に飼育されるものとなり、また、出荷体重の110kg/頭以上に達していない先行肥育豚を例外的に、別のWtoFユニット3の他の肥育豚群(例えば、出荷が進みスペース的に空きが生じた別のWtoFユニット3の第1WtoF部屋4および交番肥育部屋5か、または、第2WtoF部屋6および交番肥育部屋5かの何れか一方など、出荷直前の日齢の近い豚同士を混ぜる場合のみ、疾病の問題も出ず、体格も似ていることからケンカも起きない。)に合流させて肥育を継続するようにすることが可能であり、この場合にもオールイン・オールアウト(AI・AO)ではなくなってしまうが、このように出荷間近の一部の先行肥育を後続肥育豚群に混在させた場合に、病原体を移したり、闘争が発生したりするような問題は起きないから、より高品質の豚を出荷するのに有効であり、この飼育法は、後述する後続肥育豚群が出荷を完了する(k,v)時期に達した場合に、例外的に発育の遅れている後続肥育豚に対しても同様に対応し、110kg/頭以上に達するまで肥育を継続するよう飼育した後に出荷するようにすることが可能である。
前述のように、出荷を完了する(k,v)段階にて出荷残豚を他の部屋に混ぜる場合について、より具体的に示すならば、出荷残豚は、1~2生産ロット若い方の部屋に移動するのが良く、通常1ロットは1週間なので、1~2週間若い豚の部屋に移動することとなり、グループシステムを採用している農場の場合は、1生産ロットが2・3・4・5週間になるから、次の生産ロットの部屋に移動する形となり、例えば、同一のWtoFユニット3内の第1WtoF部屋4および交番肥育部屋5から、同第2WtoF部屋6および交番肥育部屋5へ出荷残豚を移動すべきではなく、また、逆に同一のWtoFユニット3内の第2WtoF部屋6および交番肥育部屋5から、同第1WtoF部屋4および交番肥育部屋5へ出荷残豚を移動すべきでもない。
前述の如く、複数棟のこの発明の豚舎1,1,……か、または、複数のこの発明包含されるWtoFユニット3,3,……かの少なくとも何れか一方を有する農場1である場合、出荷残豚のWtoFユニット3とは別のWtoFユニット3の1~2週間若い豚の第1WtoF部屋4および交番肥育部屋5か、または、第2WtoF部屋6および交番肥育部屋5かの何れか一方の部屋に混ぜるのが良い。
その後、当該第1WtoF部屋4および交番肥育部屋5を洗浄・消毒する(m)と共に、第1可動壁40,40を閉鎖し、その出入り口DWを密閉し(n)、該第1WtoF部屋4に360頭の3ないし8kg/頭(または、4ないし15kg/頭)、より具体的には6kg/頭の新たな先行離乳子豚群を収容し(p)、新たな先行離乳子豚群の子豚育成を開始し(q)、当該後続離乳子豚群の子豚育成を開始してから11ないし14週経過し、体重が45ないし60kg/頭の後続肥育豚群となったとき(r)、当該第1WtoF部屋4用の可変出荷豚房54の開閉柵52,52を開き、該第1WtoF部屋4用の可変出荷豚房54、および、第2WtoF部屋6用の可変出荷豚房53の全ての開閉柵GF,GF,……を開き、当該第2WtoF部屋6と中廊下50との間の第2可動壁60、および、該第2WtoF部屋6と肉豚肥育用の豚房57との間の第2可動壁60の双方を開き、当該第2WtoF部屋6と交番肥育部屋5との間を自由に移動可能な状態とする(s)と共に、該後続肥育豚群の肉豚肥育を開始する(t)。
後続肥育豚群の肉豚肥育が開始(t)されると、当該第2WtoF部屋6と交番肥育部屋5との間を自由に移動しながら該第2WtoF部屋6の給餌器・給水器FE,FE,……で飲食し、肥育が進み、後続肥育豚群の体重が110kg/頭に近づいた頃を見計らい、当該誘導柵58を、自動体重計測・選別装置56の入り口と、第2WtoF部屋6用の可変出荷豚房53に面する側仕切り柵51の開閉柵52との間に設置し、第2WtoF部屋6用の可変出荷豚房53の全ての開閉柵GF,GF,……を閉じ、同第2WtoF部屋6用の可変出荷豚房53を、第2WtoF部屋6、肉豚肥育用の豚房57、および、同肉豚肥育用の豚房57に開閉柵GF,GF,……を開いて繋げられた第1WtoF部屋4用の可変出荷豚房54との間を行きできないよう囲み出荷豚房とし、当該自動体重計測・選別装置56を起動して肥育を継続(t)する。
後続肥育豚群は、該第2WtoF部屋6の給餌器・給水器FE,FE,……で飲食しながら、当該第2WtoF部屋6、第1WtoF部屋4用の可変出荷豚房54および肉豚肥育用の豚房57の間を移動する間に、出入り口DWを超えて中廊下50を通り、当該誘導柵58に誘導されて自ら自動体重計測・選別装置56の入り口に入ることとなり、この際、体重計測部が自動的に体重を計測し、その体重が110kg/頭以上、より具体的には110ないし130kg/頭に達しているのを検知すると、自動選別部が、第2WtoF部屋6用の可変出荷豚房53に通じる自動開閉送出ゲートを開き、同第2WtoF部屋6用の可変出荷豚房53に後続肥育豚自らが移動するものとなり、該後続肥育豚の通過後に該自動開閉送出ゲートが閉じ、第2WtoF部屋6用の可変出荷豚房53に集合した後続肥育豚を飼育員が開閉柵(出荷経路)52,52を通じて順次出荷し、また、未だ体重が110kg/頭以上に達していない場合には、第1WtoF部屋4用の可変出荷豚房54を含む肉豚肥育用の豚房57に通じる自動開閉送出ゲートが開き、後続肥育豚自ら第1WtoF部屋4用の可変出荷豚房54を含む肉豚肥育用の豚房57に移動し、喉の渇きや空腹になった後続肥育豚は、自ら第2WtoF部屋6へと移動し、各通行口PG,PG,……の一方通行柵(ワンウェイ・ゲート)OW,OW,……を通じて給餌器・給水器FE,FE,……に行って飲食し、再び中廊下50を通り、自動体重計測・選別装置56を通過するという行動を、各後続肥育豚が各々、平均で4回/日程度、自ら繰り返す状態を維持しながら肥育を継続し(u)、当該後続肥育豚群の肉豚肥育を開始してから11ないし14週(子豚育成の開始から22ないし28週)経過するまでの間に、体重110kg/頭以上、より具体的には110ないし130kg/頭に達した後続肥育豚から順に全ての後続肥育豚が体重110kg/頭以上、より具体的には110ないし130kg/頭に達して出荷を完了する(v)。
その後、使用済みとなった当該第2WtoF部屋6および交番肥育部屋5を洗浄・消毒する(w)と共に、当該第2可動壁60,60を閉鎖し、各出入り口DW,DWを密閉し(x)、該第2WtoF部屋6に360頭の3ないし8kg/頭(または4ないし15kg/頭)、より具体的には6kg/頭の新たな後続離乳子豚群を収容し(y)、該新たな後続離乳子豚群の子豚育成を開始し(z)、それ以後、再度、当該新たな先行離乳子豚群が、子豚育成を開始してから11ないし14週後に、体重が45ないし60kg/頭の先行肥育豚群となったとき(f)の段階から、同じ工程を永続的に繰り返すようにするものである。