(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054761
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】光学部材、面光源装置、及び表示装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20240410BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20240410BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20240410BHJP
F21V 9/40 20180101ALI20240410BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20240410BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240410BHJP
【FI】
F21S2/00 481
F21V5/00 530
F21V5/04 650
F21V9/40 400
G02F1/13357
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161203
(22)【出願日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】関戸 雅幸
(72)【発明者】
【氏名】金井 喜洋
(72)【発明者】
【氏名】西川 麻理衣
【テーマコード(参考)】
2H391
3K244
【Fターム(参考)】
2H391AA03
2H391AB04
2H391AB34
2H391AC24
2H391AC25
2H391AC32
2H391EA14
2H391EA21
3K244AA01
3K244BA07
3K244BA48
3K244CA02
3K244DA01
3K244DA13
3K244GA01
3K244GA03
3K244GA04
3K244GA05
3K244GC01
3K244GC12
3K244GC29
(57)【要約】 (修正有)
【課題】発光面の明るさを改善する。
【解決手段】面光源装置20は、第1シート40及び第2シート50をこの順で含む。第1シート40は、一次光を吸収して二次光を放出する波長変換剤を含む。第2シート50は、第1層および第2層をこの順で含む。第1層は、第1シートと第2層との間に位置する。0°の入射角で第2シートに入射する特定波長の光についての第1層の透過率は、30°の入射角で第2シートに入射する特定波長の光についての第1層の透過率より小さい。30°の入射角で第2シートに入射する特定波長の光についての第1層の透過率は、60°の入射角で第2シートに入射する特定波長の光についての第1層の透過率より小さい。第2層は、回折光学素子と、複数の単位光学要素を含む光学要素部と、の少なくとも一方を含む。光学要素部は、複数の単位光学要素によって、第2シートの凹凸な面を構成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1シート及び第2シートをこの順で備え、
前記第1シートは、一次光を吸収して二次光を放出する波長変換剤を含み、
前記第2シートは、第1層および第2層をこの順で含み、
前記第1層は、前記第1シートと前記第2層との間に位置し、
0°の入射角で前記第2シートに入射する特定波長の光についての前記第1層の透過率は、30°の入射角で前記第2シートに入射する前記特定波長の光についての前記第1層の透過率より小さく、
30°の入射角で前記第2シートに入射する前記特定波長の光についての前記第1層の前記透過率は、60°の入射角で前記第2シートに入射する前記特定波長の光についての前記第1層の透過率より小さく、
前記第2層は、回折光学素子と、複数の単位光学要素を含む光学要素部と、の少なくとも一方を含み、
前記光学要素部は、前記複数の単位光学要素によって、前記第2シートの凹凸な面を構成する、光学部材。
【請求項2】
前記第2シートは、前記第1シートと前記第1層との間に位置する第3層を含み、
前記第3層は、回折光学素子と、複数の第2単位光学要素を含む第2光学要素部と、の少なくとも一方を含み、
前記第2光学要素部は、前記複数の第2単位光学要素によって、前記第2シートの凹凸な面を構成する、請求項1に記載の光学部材。
【請求項3】
第1シート及び第2シートをこの順で備え、
前記第1シートは、一次光を吸収して二次光を放出する波長変換剤を含み、
前記第2シートは、第1層および第2層をこの順で含み、
前記第1層は、前記第1シートと前記第2層との間に位置し、
前記第2シートの透過率は、0°の入射角で前記第2シートに入射する特定波長の光についてよりも、30°の入射角で前記第2シートに入射する前記特定波長の光について、大きくなり、
前記第2シートの透過率は、30°の入射角で前記第2シートに入射する特定波長の光についてよりも、60°の入射角で前記第2シートに入射する前記特定波長の光について、大きくなり、
前記第2層は、回折光学素子と、複数の単位光学要素を含む光学要素部と、の少なくとも一方を含み、
前記光学要素部は、前記複数の単位光学要素によって、前記第2シートの凹凸な面を構成する、光学部材。
【請求項4】
前記第2シートは、前記第1シートと前記第1層との間に位置する第3層を含み、
前記第3層は、回折光学素子と、複数の第2単位光学要素を含む第2光学要素部と、の少なくとも一方を含み、
前記第2光学要素部は、前記複数の第2単位光学要素によって、前記第2シートの凹凸な面を構成する、請求項3に記載の光学部材。
【請求項5】
60°の入射角で前記第2シートに入射する波長550nmの光についての前記第2シートの透過率は、50%以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の光学部材。
【請求項6】
60°の入射角で前記第2シートに入射する波長650nmの光についての前記第2シートの透過率は、50%以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の光学部材。
【請求項7】
0°の入射角で前記第2シートに入射する波長550nmの光についての前記第2シートの透過率は、30°の入射角で前記第2シートに入射する波長550nmの光についての前記第2シートの透過率より小さく、
30°の入射角で前記第2シートに入射する波長550nmの光についての前記第2シートの前記透過率は、60°の入射角で前記第2シートに入射する波長550nmの光についての前記第2シートの透過率より小さい、請求項1~4のいずれか一項に記載の光学部材。
【請求項8】
0°の入射角で前記第2シートに入射する波長650nmの光についての前記第2シートの透過率は、30°の入射角で前記第2シートに入射する波長650nmの光についての前記第2シートの透過率より小さく、
30°の入射角で前記第2シートに入射する波長650nmの光についての前記第2シートの前記透過率は、60°の入射角で前記第2シートに入射する波長650nmの光についての前記第2シートの透過率より小さい、請求項1~4のいずれか一項に記載の光学部材。
【請求項9】
前記単位光学要素は、錐体形状の凸部又は凹部である、請求項1~4のいずれか一項に記載の光学部材。
【請求項10】
前記特定波長は、430nm以上500nm以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の光学部材。
【請求項11】
請求項1~4のいずれか一項に記載された光学部材と、
前記光学部材に対面する光源と、を備える、面光源装置。
【請求項12】
前記光学部材と重ねられた反射型偏光板を更に備え、
前記光学部材は、前記光源および前記反射型偏光板の間に位置する、請求項11に記載の面光源装置。
【請求項13】
前記光学部材と重ねられた光学シートを更に備え、
前記光学部材は、前記光源および前記光学シートの間に位置する、請求項11に記載の面光源装置。
【請求項14】
請求項11に記載の面光源装置と、
前記面光源装置と重ねられた表示パネルと、を備える、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学部材、面光源装置、及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、発光面を有した面光源装置を開示している。特許文献1の面光源装置は、直下型の装置である。特許文献1の面光源装置は、複数の光源および光学部材を含む。光学部材は、発光面に直交する方向に複数の光源と対面している。光学部材は、光源側からの順で、誘電体多層膜および波長変換シートを含む。光源は青色の光を放出する。誘電体多層膜での青色光の透過率は、入射角が増加するにつれて、増加する。波長変換シートは、波長変換機能を有する。波長変換シートは、光源光を吸収し、光源光とは異なる波長の光を放出する。特許文献1に記載された面光源装置では、入射角依存の透過特性を有した誘電体多層膜により、明るさの面内分布を均一化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の面光源装置では、発光面の明るさが十分でないという不具合があった。本開示は、発光面の明るさ改善を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施の形態による第1の光学部材は、
第1シート及び第2シートをこの順で備え、
前記第1シートは、一次光を吸収して二次光を放出する波長変換剤を含み、
前記第2シートは、第1層および第2層をこの順で含み、
前記第1層は、前記第1シートと前記第2層との間に位置し、
0°の入射角で前記第2シートに入射する特定波長の光についての前記第1層の透過率は、30°の入射角で前記第2シートに入射する前記特定波長の光についての前記第1層の透過率より小さく、
30°の入射角で前記第2シートに入射する前記特定波長の光についての前記第1層の前記透過率は、60°の入射角で前記第2シートに入射する前記特定波長の光についての前記第1層の透過率より小さく、
前記第2層は、回折光学素子と、複数の単位光学要素を含む光学要素部と、の少なくとも一方を含み、
前記光学要素部は、前記複数の単位光学要素によって、前記第2シートの凹凸な面を構成する。
【0006】
本開示の一実施の形態による第2の光学部材は、
第1シート及び第2シートをこの順で備え、
前記第1シートは、一次光を吸収して二次光を放出する波長変換剤を含み、
前記第2シートは、第1層および第2層をこの順で含み、
前記第1層は、前記第1シートと前記第2層との間に位置し、
前記第2シートの透過率は、0°の入射角で前記第2シートに入射する特定波長の光についてよりも、30°の入射角で前記第2シートに入射する前記特定波長の光について、大きくなり、
前記第2シートの透過率は、30°の入射角で前記第2シートに入射する特定波長の光についてよりも、60°の入射角で前記第2シートに入射する前記特定波長の光について、大きくなり、
前記第2層は、回折光学素子と、複数の単位光学要素を含む光学要素部と、の少なくとも一方を含み、
前記光学要素部は、前記複数の単位光学要素によって、前記第2シートの凹凸な面を構成する。
【0007】
本開示の一実施の形態による面光源装置は、
本開示の一実施の形態による第1及び第2の光学部材のいずれかと、
前記光学部材に対面する光源と、を備える。
【0008】
本開示の一実施の形態による表示装置は、
本開示の一実施の形態による面光源装置のいずれかと、
前記面光源装置と重ねられた表示パネルと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、発光面を明るくできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施の形態を説明するための図であって、表示装置および面光源装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示された面光源装置の縦断面図であって、面光源装置に含まれ得る光学部材および光源基板を示している。
【
図3】
図3は、
図2に示された光源基板を示す平面図であって、複数の光源の配置の一例を示している。
【
図4】
図4は、
図2に示された光源基板を示す断面図であって、光源基板の構成の一例を示している。
【
図5】
図5は、
図2に示された光学部材に含まれ得る第1シートの一例を示す断面図である。
【
図6A】
図6Aは、
図2に示された光学部材に含まれ得る第2シートの一例を示す断面図である。
【
図6B】
図6Bは、
図2に示された光学部材に含まれ得る第2シートの他の例を示す断面図である。
【
図7】
図7は、
図6A及び
図6Bに示された第2シートに含まれ得る第1層の光学特性の一例を示すグラフである。
【
図8A】
図8Aは、
図6Aおよび
図6Bに示された第2シートの第2層又は第3層に含まれ得る光学要素部の一例を示す平面図であって、光学要素部に含まれ得る単位光学要素の配置を示している。
【
図9A】
図9Aは、
図6Aおよび
図6Bに示された第2シートの第2層又は第3層に含まれ得る光学要素部の他の例を示す平面図であって、光学要素部に含まれ得る単位光学要素の配置を示している。
【
図10】
図10は、
図2に示された面光源装置に含まれ得る光学シートの一例を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、光学部材の第2シートの一変形例を示す断面図である。
【
図13】
図13は、光学部材の第2シートの他の変形例を示す断面図である。
【
図14】
図14は、実施例1に係る第2シートの透過スペクトルを示すグラフである。
【
図15】
図15は、実施例2に係る第2シートの透過スペクトルを示すグラフである。
【
図16】
図16は、実施例3に係る第2シートの透過スペクトルを示すグラフである。
【
図17】
図17は、比較例1に係る第2シートの透過スペクトルを示すグラフである。
【
図18】
図18は、比較例2に係る第2シートの透過スペクトルを示すグラフである。
【
図19】
図19は、実施例及び比較例の評価結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の一実施の形態は、次の[1]~[13]に関する。
【0012】
[1] 第1シート及び第2シートをこの順で備え、
前記第1シートは、一次光を吸収して二次光を放出する波長変換剤を含み、
前記第2シートは、第1層および第2層をこの順で含み、
前記第1層は、前記第1シートと前記第2層との間に位置し、
0°の入射角で前記第2シートに入射する特定波長の光についての前記第1層の透過率は、30°の入射角で前記第2シートに入射する前記特定波長の光についての前記第1層の透過率より小さく、
30°の入射角で前記第2シートに入射する前記特定波長の光についての前記第1層の前記透過率は、60°の入射角で前記第2シートに入射する前記特定波長の光についての前記第1層の透過率より小さく、
前記第2層は、回折光学素子と、複数の単位光学要素を含む光学要素部と、の少なくとも一方を含み、
前記光学要素部は、前記複数の単位光学要素によって、前記第2シートの凹凸な面を構成する、光学部材。
【0013】
[2] 第1シート及び第2シートをこの順で備え、
前記第1シートは、一次光を吸収して二次光を放出する波長変換剤を含み、
前記第2シートは、第1層および第2層をこの順で含み、
前記第1層は、前記第1シートと前記第2層との間に位置し、
0°の入射角で前記第2シートに入射する特定波長の光についての前記第2シートの透過率は、30°の入射角で前記第2シートに入射する前記特定波長の光についての前記第2シートの透過率より小さく、
30°の入射角で前記第2シートに入射する前記特定波長の光についての前記第2シートの前記透過率は、60°の入射角で前記第2シートに入射する前記特定波長の光についての前記第2シートの透過率より小さく、
前記第2層は、回折光学素子と、複数の単位光学要素を含む光学要素部と、の少なくとも一方を含み、
前記光学要素部は、前記複数の単位光学要素によって、前記第2シートの凹凸な面を構成する、光学部材。
【0014】
[3] 前記第2シートは、前記第1シートと前記第1層との間に位置する第3層を含み、
前記第3層は、回折光学素子と、複数の第2単位光学要素を含む第2光学要素部と、の少なくとも一方を含み、
前記第2光学要素部は、前記複数の第2単位光学要素によって、前記第2シートの凹凸な面を構成する、[1]又は[2]の光学部材。
【0015】
[4] 60°の入射角で前記第2シートに入射する波長550nmの光についての前記第2シートの透過率は、50%以上である、[1]~[3]のいずれかの光学部材。
【0016】
[5] 60°の入射角で前記第2シートに入射する波長650nmの光についての前記第2シートの透過率は、50%以上である、[1]~[4]のいずれかの光学部材。
【0017】
[6] 0°の入射角で前記第2シートに入射する波長550nmの光についての前記第2シートの透過率は、30°の入射角で前記第2シートに入射する波長550nmの光についての前記第2シートの透過率より小さく、
30°の入射角で前記第2シートに入射する波長550nmの光についての前記第2シートの前記透過率は、60°の入射角で前記第2シートに入射する波長550nmの光についての前記第2シートの透過率より小さい、[1]~[5]のいずれかの光学部材。
【0018】
[7] 0°の入射角で前記第2シートに入射する波長650nmの光についての前記第2シートの透過率は、30°の入射角で前記第2シートに入射する波長5650nmの光についての前記第2シートの透過率より小さく、
30°の入射角で前記第2シートに入射する波長650nmの光についての前記第2シートの前記透過率は、60°の入射角で前記第2シートに入射する波長650nmの光についての前記第2シートの透過率より小さい、[1]~[6]のいずれかの光学部材。
【0019】
[8] 前記単位光学要素は、錐体形状の凸部又は凹部である、[1]~[7]のいずれかの光学部材。
【0020】
[9] 前記特定波長は、430nm以上500nm以下である、[1]~[8]のいずれかの光学部材。
【0021】
[10] [1]~[9]のいずれかの光学部材と、
前記光学部材に対面する光源と、を備える、面光源装置。
【0022】
[11] 前記光学部材と重ねられた反射型偏光板を更に備え、
前記光学部材は、前記光源および前記反射型偏光板の間に位置する、[10]の面光源装置。
【0023】
[12] 前記光学部材と重ねられた光学シートを更に備え、
前記光学部材は、前記光源および前記光学シートの間に位置する、[10]又は[11]の面光源装置。
【0024】
[13] [10]~[12]のいずれかの面光源装置と、
前記面光源装置と重ねられた表示パネルと、を備える、表示装置。
【0025】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。一部の図において示された構成等は、他の図において省略され得る。
【0026】
本明細書において、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に限定されることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈する。
【0027】
本明細書において、「シート」、「フィルム」および「板」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて互いから区別されない。例えば、「光学シート」は、光学フィルム又は光学板と呼ばれる部材等と呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
【0028】
本明細書において、シート状(シート状、板状)の部材の法線方向とは、対象となるシート状(フィルム状、板状)の部材のシート面への法線または垂線と平行な方向のことを指す。「シート面(フィルム面、板面)」とは、対象となるシート状(フィルム状、板状)の部材を全体的且つ大局的に見た場合において対象となるシート状部材(フィルム状部材、板状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。
【0029】
本明細書において、あるパラメータに関して複数の上限値の候補及び複数の下限値の候補が挙げられている場合、そのパラメータの数値範囲は、任意の1つの上限値の候補と任意の1つの下限値の候補とを組み合わせることによって構成されてもよい。一例として、「パラメータBは、A1以上でもよく、A2以上でもよく、A3以上でもよい。パラメータBは、A4以下でもよく、A5以下でもよく、A6以下でもよい。」との記載について検討する。この例において、パラメータBの数値範囲は、A1以上A4以下でもよく、A1以上A5以下でもよく、A1以上A6以下でもよく、A2以上A4以下でもよく、A2以上A5以下でもよく、A2以上A6以下でもよく、A3以上A4以下でもよく、A3以上A5以下でもよく、A3以上A6以下でもよい。
【0030】
方向の関係を図面間で明確にするため、いくつかの図面は、共通する符号を付した矢印により第1方向D1、第2方向D2および第3方向D3を共通する方向として示す。矢印の先端側が各方向の第1側である。矢印の先端とは逆側が各方向の第2側である。例えば
図2に示すように、円の中に×を設けた記号は、図面の紙面に直交する方向に沿って紙面の奥に向かう矢印を示す。例えば
図3に示すように、円の中に点を設けた記号は、図面の紙面に直交する方向に沿って紙面から手前に向かう矢印を示す。
【0031】
「抑制」とは、実現や発生等をおさえとどめることや、実現や発生等を妨げることを意味する。「抑制」とは、実現や発生等を完全に防止することだけでなく、実現や発生等の可能性を低減することや実現や発生等を起こりにくくすること等も意味する。
【0032】
図1~
図16は、一実施の形態を説明するための図である。
図1は、光学部材30の一適用例としての面光源装置20および表示装置10を概略的に示す斜視図である。表示装置10は、例えば動画、静止画、文字情報、或いはこれらの組み合わせで構成された映像を表示してもよい。表示装置10は、室内又は屋外において、広告、プレゼンテーション、テレビジョン映像、各種情報の表示等、様々の用途に使用されてもよい。表示装置10は、例えば車載用の液晶表示装置として使用されてもよい。
図1に示された表示装置10は、発光面20aを含む面光源装置20と、発光面20aに対面する表示パネル15と、を含んでいる。
【0033】
図2は、面光源装置20の一具体例を示す縦断面図である。
図2に示すように、面光源装置20は、主要な構成要素として、光源23と、光源23から放出された光の光路を調整する光学部材30と、を含んでいる。光学部材30は、光源23に正対している。光学部材30は、シート状である。光学部材30は、その法線方向に光源23と対面している。光学部材30は、光源23から放出された光を拡散する拡散部材である。光学部材30は、光源23の配置に起因した照度の面内バラツキを効果的に抑制できる。光学部材30での拡散によって、光学部材30の出光面である第2面30b上の各位置での照度、或いは、第2面30bの近傍に位置する第2面30bと平行な仮想の受光面上の各位置での照度が効果的に均一化され得る。
【0034】
以下、一実施の形態における表示装置10、面光源装置20および光学部材30について、図示された具体例を参照しながら、説明する。
【0035】
図1に示すように、表示パネル15は、第3方向D3に面光源装置20と重ねられている。表示パネル15は、面光源装置20の発光面20aに対面して配置されている。表示パネル15は、第3方向D3における面光源装置20とは反対側、すなわち第1側を向く面として、映像が表示される表示面15aを含んでいる。図示された例において、表示パネル15は、平板状である。表示パネル15は、第3方向D3に直交する第1方向D1および第2方向D2に広がっている。表示パネル15は、第3方向D3から観察して、矩形形状である。第1方向D1及び第2方向D2は直交している。
【0036】
表示パネル15は、例えば透過型の液晶表示パネルとして構成される。面光源装置20から入射した光の一部が、液晶表示パネルとしての表示パネル15を透過することによって、表示面15aに映像が表示される。表示パネル15は、液晶材料を有する液晶層を含んでいる。表示パネル15の光透過率は、液晶層に印加される電界の強度に応じて変化する。
【0037】
面光源装置20は発光面20aを含んでいる。光が発光面20aから放出される。面光源装置20は、直下型のバックライトでもよい。面光源装置20は、光源23および光学部材30を含んでいる。第3方向D3への投影において、光学部材30と重なる領域内に光源23が設けられている。
【0038】
図2に示された面光源装置20は、光源基板22及び光制御部材18を含んでいる。光源基板22は、光源23を含んでいる。光制御部材18は、光学部材30を含んでいる。光制御部材18は、光源23からの光の光路を制御する。光制御部材18は、第1面18a及び第2面18bを含む。第1面18aは、第3方向D3における第2側を向く。第2面は、第3方向D3における第1側を向く。図示された例において、面光源装置20は、光源23を含む光源基板22、光学部材30、第1光学シート81、第2光学シート82および反射型偏光板85を含んでいる。図示された例において、光制御部材18は、第1面18aから第2面18bに向けた順番で、光学部材30、第1光学シート81、第2光学シート82及び反射型偏光板85を含んでいる。光源基板22、光学部材30、第1光学シート81、第2光学シート82および反射型偏光板85は、シート状である。光源基板22、光学部材30、第1光学シート81、第2光学シート82および反射型偏光板85は、第1方向D1および第2方向D2に広がっている。光源基板22、光学部材30、第1光学シート81、第2光学シート82および反射型偏光板85は、第3方向と平行な法線方向を有する。
【0039】
光源基板22は、光源23および支持基板25を含んでいる。図示された例において、光源基板22は、第3方向D3からの観察において矩形形状を有している。
【0040】
光源23は、光を放出る発光素子を有する。発光素子は、LEDと表記される発光ダイオードでもよい。発光ダイオードの寸法は特に限定されない。光源23の像を目立たなくさせる観点から、光源23は、小型の発光ダイオード、例えばミニLEDやマイクロLEDでもよい。
図3に示された第3方向D3からの観察において四角形形状を有する光源23の一辺の長さWL1,WL2は、0.5mm以下でもよく、0.2mm以下でもよい。
【0041】
光源23の発光波長は、面光源装置20の用途に応じて適宜選択され得る。光源23から放出された光は、一次光LAとして後述の波長変換剤47に吸収される。したがって、光源23の発光波長は、波長変換剤47の光学特性に応じて適宜選択され得る。図示された例において、光源23は、青色光を放出する。光源23から放出される光の波長は、430nm以上500nm以下でもよい。
【0042】
光源23の配光特性は、特に限定されない。光源23の配光特性は、ランバーシアン配光でもよい。第3方向D3に光軸が沿っている光源23の発光光度分布において、第3方向D3以外の方向にピーク光度が得られるようにしてもよい。例えばJP6299811Bに開示されたバッドウイング配光を、光源23が有してもよい。光源23は、一例として、発光素子のみによって構成されてもよい。光源23は、発光素子に加え、発光素子からの配光を調節するカバーやレンズ等の光学要素を含んでもよい。
【0043】
図示された面光源装置20のように、光源基板22は複数の光源23を含んでもよい。光源23の数量は、面光源装置20の用途や発光面20aの面積等に応じて適宜選択される。複数の光源23は、第3方向D3に垂直な面上において、二次元配列されてもよい。二次元配列とは、非平行な二以上の方向に光源23等の対象物が配列されていることを意味する。光源23の配置に起因した明るさのむらを抑制する観点から、複数の光源23は、規則的に配置されてもよい。光源23の規則的な配置の一例として、ハニカム配列や正方配列を採用してもよい。ハニカム配列において、互いに60°傾斜する三つの方向のそれぞれに一定のピッチで光源23が配置され得る。正方配列において、互いに直交する二つの方向のそれぞれに一定のピッチで光源23が配置され得る。
【0044】
図3に示すように、複数の光源23は、互いに直交する第1方向D1および第2方向D2のそれぞれに一定のピッチで配置されてもよい。第1方向D1への光源23の配置ピッチPL1および第2方向D2への光源23の配置ピッチPL2は同一でもよい。配置ピッチPL1および配置ピッチPL2は異なってもよい。第1方向D1および第2方向D2は、それぞれ、矩形状をなす面光源装置20および光学部材30の側縁とそれぞれ平行でもよい。配置ピッチPL1および配置ピッチPL2は、それぞれ、0.2mm以上10mm以下でもよい。
【0045】
次に、複数の光源23とともに光源基板22を構成する支持基板25について説明する。支持基板25は、第3方向D3における第2側から複数の光源23を支持している。支持基板25はシート状である。支持基板25は、光源23に電力を供給する回路を含んでもよい。支持基板25は、光を反射して光学部材30へ向ける光反射性を有してもよい。
【0046】
図4に示された支持基板25は、シート状の基板本体26と、基板本体26上に設けられた反射層27および配線29と、を含んでいる。基板本体26は、第1方向D1および第2方向D2に広がっている。基板本体26は絶縁性を有してもよい。基板本体26は、樹脂フィルム、たとえはポリエチレンテレフタレート製フィルムでもよい。配線29は、光源23と電気的に接続している。配線29は、はんだ等を介して、光源23の図示しない端子と電気的に接続している。基板本体26および反射層27が絶縁性を有している場合、
図4に示すように、配線29は、基板本体26および反射層27の間に位置してもよい。
【0047】
反射層27は、基板本体26に積層されている。反射層27は、光学部材30に対面している。反射層27は、基板本体26上における光源23が配置されていない領域を覆っている。反射層27は、光源23で発光される特定波長の光に対して又は面光源装置20での発光に用いられる光に対して、反射性を有する。反射層27での反射は、鏡面反射とも呼ばれる正反射でもよく、拡散反射でもよく、さらに異方性拡散反射でもよい。拡散反射性を有する反射層27は、二酸化ケイ素等の白色粒子を含有した白色反射層を含んでもよい。反射層27は、基板本体26上に積層された金属層でもよいし、反射型の回折光学素子でもよい。
【0048】
図2に示すように、光学部材30は、第1面30a及び第2面30bを含んでいる。第1面30a及び第2面30bは第3方向D3に対向する。第1面30aは、第3方向D3における第2側を向く。第1面30aは、光制御部材18の入光面である第1面18aを構成してもよい。第2面30bは、第3方向D3における第1側を向く。光学部材30は、第1面30aから第2面30bに向けた順で、第1シート40及び第2シート50を含む。第1シート40及び第2シート50は第3方向D3に重ねられている。図示された例において、第1シート40及び第2シート50は、共に、第1方向D1及び第2方向D2に広がっている。図示された例において、第1シート40が光学部材30の第1面30aを構成している。図示された例において、第2シート50が光学部材30の第2面30bを構成している。
【0049】
第1シート40及び第2シート50は、互いに接合していてもよい。第1シート40及び第2シート50は、単に接触しているだけであって接合していなくてもよい。第1シート40及び第2シート50は、互いから離れていてもよい。
【0050】
図2及び
図5に示すように、第1シート40は、第1面40a及び第2面40bを含んでいる。第1面40a及び第2面40bは第3方向D3に対向する。第1面40aは、第3方向D3における第2側を向く。第2面30bは、第3方向D3における第1側を向く。図示された例において、第1面40aは光学部材30の入光面である第1面30aを構成している。第1シート40は波長変換剤47を含んでいる。波長変換剤47は、一次光LAを吸収して、一次光LAとは異なる波長の二次光LBを放出する。二次光LBの波長は、一次光LAの波長より長くてもよい。一次光LAの波長は、430nm以上500nm以下でもよい。二次光LBの波長は、500nmより長く780nm以下でもよい。
【0051】
図5に示された例において、第1シート40は、第1面40aから第2面40bに向けた順で、第1バリア層41、波長変換層45、及び第2バリア層42を含んでいる。第1バリア層41、波長変換層45、及び第2バリア層42は、第3方向D3にこの順で重ねられている。第1バリア層41、波長変換層45、及び第2バリア層42は、第3方向D3おける第1側から第2側へ向けて、この順で配置されている。第1バリア層41、波長変換層45、及び第2バリア層42は、シート状である。第1バリア層41、波長変換層45、及び第2バリア層42は、第1方向D1および第2方向D2に広がっている。
【0052】
図5に示された例において、波長変換層45は、第1面45a及び第2面45bを含んでいる。第1面45aは第3方向D3における第2側を向く。第2面45bは第3方向D3における第1側を向く。波長変換層45は、第1面45aにおいて第1バリア層41に接合している。波長変換層45は、第2面45bにおいて第2バリア層42に接合している。
【0053】
波長変換層45は、波長変換剤47を保持する母材部46を含んでもよい。母材部46は、樹脂でもよい。母材部46を構成する樹脂として、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂組成物の硬化物、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が例示される。電離放射線硬化性樹脂組成物として、電子線硬化性樹脂組成物、紫外線硬化性樹脂組成物等が例示される。
【0054】
波長変換剤47は、或る波長の一次光LAを吸収し、一次光LAの波長とは異なる波長を有した二次光LBを放出する。波長変換剤47として、量子ドットや蛍光体を用いてもよい。一次光LAの波長は、光源23から放出される光の波長でもよい。すなわち、光源23から放出される光は、或る波長の一次光LAを含んでもよい。
【0055】
量子ドット(Quantum dot)は、半導体のナノメートルサイズの微粒子である。量子ドットは、1種の半導体化合物を含んでもよい。量子ドットは、2種以上の半導体化合物を含んでもよい。量子ドットは、コアシェル型構造を有してもよい。コアシェル型構造は、半導体化合物からなるコアと、該コアと異なる半導体化合物からなるシェルと、を含んでもよい。
【0056】
量子ドットのコアの材料として、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSeおよびHgTeのようなII-VI族半導体化合物が例示される。量子ドットのコアの材料として、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaAs、GaP、GaN、GaSb、InN、InAs、InP、InSb、TiN、TiP、TiAsおよびTiSbのようなIII-V族半導体化合物も例示される。量子ドットのコアの材料として、Si、GeおよびPbのようなIV族半導体等の半導体化合物又は半導体を含有する半導体結晶も例示される。
【0057】
コアシェル型の量子ドットを用いる場合、シェルを構成する半導体として、コアを形成する半導体化合物よりもバンドギャップの高い材料を用いてもよい。この場合、励起子がコアに閉じ込められ、量子ドットの発光効率を向上できる。このようなバンドギャップの大小関係を有するコアシェル構造(コア/シェル)として、CdSe/ZnS、CdSe/ZnSe、CdSe/CdS、CdTe/CdS、InP/ZnS、Gap/ZnS、Si/ZnS、InN/GaN、InP/CdSSe、InP/ZnSeTe、InGaP/ZnSe、InGaP/ZnS、Si/AlP、InP/ZnSTe、InGaP/ZnSTe、InGaP/ZnSSe等が例示される。
【0058】
量子ドットの大きさは、所望する二次光LBの波長を考慮して調節される。量子ドットは粒子径が小さくなるにつれて、エネルギーバンドギャップが大きくなる。結晶サイズが小さくなるにつれて、量子ドットの発光は青色側へ、つまり、高エネルギー側へとシフトする。量子ドットの大きさを変化させることにより、二次光LBの波長を調節できる。量子ドットの平均粒子径は、20nm以下でもよく、0.5nm以上20nm以下でもよく、1nm以上10nm以下でもよい。量子ドットの形状、分散状態等は、透過型電子顕微鏡(TEM)により特定される。量子ドットの結晶構造、粒子径は、X線結晶回折(XRD)により特定される。
【0059】
波長変換層45は、波長変換剤47として、放出波長の異なる複数の量子ドットを含んでもよい。各量子ドットの含有量を調節することによって、面光源装置20から出射する光の色を調節することができる。
図5に示された例において、波長変換剤47は、第1変換剤47Aおよび第2変換剤47Bを含んでいる。第1変換剤47A及び第2変換剤47Bは、互いに異なる大きさを有している。第1変換剤47A及び第2変換剤47Bは、互いに異なる波長の光を放出する。
【0060】
一具体例として、光源23は、430nm以上500nm以上の波長を有した青色光を放出してもよい。第1変換剤47Aは、光源23からの一次光LAを吸収して、500nm以上600nm以上の波長を有した緑色光を、第1二次光LB1として、放出してもよい。第2変換剤47Bは、光源23からの一次光LAを吸収して、600nm以上750nm以上の波長を有した赤色光を、第2二次光LB2として、放出してもよい。この例によれば、第1二次光LB1、第2二次光LB2、および波長変換層45で波長変換されなかった一次光LAの加法混色により、面光源装置20の発光面20aは種々の色を再現できる。第1変換剤47A及び第2変換剤47Bの含有量を調節することによって、面光源装置20が白色光を放出できる。
【0061】
波長変換層45は、透過光を拡散させる光拡散成分を含んでいてもよい。光拡散成分は、母材部46内に分散していてもよい。光拡散成分として、金属化合物、気体を含有した多孔質物質、金属化合物を周囲に保持した樹脂ビーズ、白色微粒子、単なる気泡が例示される。
【0062】
第1バリア層41は、波長変換層45の第1面45aに接合している。第1バリア層41は、第1面40aを構成している。第2バリア層42は、波長変換層45の第2面45bに接合している。第2バリア層42は、第2面40bを構成している。第1バリア層41及び第2バリア層42は、酸素や水分から波長変換剤47を保護する機能を有する。
【0063】
第1バリア層41及び第2バリア層42は、酸素バリア性を有してもよい。この例において、第1バリア層41及び第2バリア層42の酸素透過率は、23℃、相対湿度90%の条件下において、1.0×10-1cc/m2/day/atm以下でもよく、1.0×10-2cc/m2/day/atm以下でもよい。酸素透過率は、酸素ガス透過率測定装置(MOCON社製、OX-TRAN 2/21)を用いて測定され得る。
【0064】
第1バリア層41及び第2バリア層42は、水蒸気バリア性を有してもよい。この例において、第1バリア層41及び第2バリア層42の水蒸気透過率は、40℃、相対湿度90%の条件下において、1.0×10-1g/m2/day以下でもよく、1.0×10-2g/m2/day以下でもよい。水蒸気透過率は、水蒸気透過率測定装置(DELTAPERM(Technolox社製))を用いて測定され得る。
【0065】
第1バリア層41及び第2バリア層42は、バリア性を発現し得る材料を用いて、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相成長(PVD)法や、化学気相成長(CVD)法等の蒸着法、又は、ロールコートやスピンコート等のコーティング法によって作製され得る。材料として、無機酸化物、金属、ゾルゲル材料等を用いてもよい。無機酸化物として、酸化ケイ素(SiOx)、酸化アルミニウム(AlnOm)、酸化チタン(TiO2)、酸化イットリウム、酸化ホウ素(B2O3)、酸化カルシウム(CaO)、酸化窒化炭化ケイ素(SiOxNyCz)等が例示される。金属としては、Ti、Al、Mg、Zr等が例示される。ゾルゲル材料として、シロキサン系ゾルゲル材料が例示される。
【0066】
図2、
図6A及び
図6B図に示すように、第2シート50は、第1面50a及び第2面50bを含んでいる。第1面50a及び第2面50bは第3方向D3に対向する。第1面50aは、第3方向D3における第2側を向く。第2面50bは、第3方向D3における第1側を向く。図示された例において、第2面50bは、第2シート50の第2面50bを構成している。図示された例において、第2面50bは、光学部材30の出光面となる第2面30bを構成している。
【0067】
第2シート50は、第1面50aから第2面50bに向けた順で、第1層55及び第2層60を含む。第1層55及び第2層60は第3方向D3に重ねられている。図示された例において、第1層55及び第2層60は、共に、第1方向D1及び第2方向D2に広がっている。
【0068】
第1層55は、第1面55a及び第2面55bを含んでいる。第1面55a及び第2面55bは第3方向D3に対向する。第1面55aは、第1面50aを構成している。第1層55は、第2面50bにおいて、第2層60に接合している。
【0069】
第1層55の透過特性および反射特性は、入射角依存性を有している。第1層55の透過率及び反射率は、入射角に依存して変化する。第1層55は、選択透過層や選択反射層とも表記できる。入射角は、光が入射するシート状等の部材の法線方向に対して入射光の進行方向がなす角度(°)を意味する。出射角は、光が出射するシート状等の部材の法線方向に対して出射光の進行方向がなす角度(°)を意味する。
【0070】
0°の入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第1層55の透過率は、0°より大きい或る入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第1層55の透過率よりも、小さくてもよい。第1層55の透過率は、0°の入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についてよりも、0°より大きい或る入射角で第2シート50に入射する特定波長の光について、大きくてもよい。すなわち、第2シート50に垂直入射する特定波長光についての第1層55の透過率は、少なくとも或る一つの斜め方向から第2シート50に入射する特定波長光についての第1層55の透過率よりも、小さくてもよい。0°の入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第1層55の反射率は、0°より大きい或る入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第1層55の反射率よりも、大きくてもよい。第1層55の反射率は、0°の入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についてよりも、0°より大きい或る入射角で第2シート50に入射する特定波長の光について、小さくてもよい。すなわち、第2シート50に垂直入射する特定波長光についての第1層55の反射率は、少なくとも或る一つの斜め方向から第2シート50に入射する特定波長光についての第1層55の反射率よりも、大きくてもよい。
【0071】
0°の入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第1層55の透過率、30°の入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第1層55の透過率、及び60°の入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第1層55の透過率は、この順で大きくなっていってもよい。0°、10°、20°、30°、40°、50°及び60°の入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第1層55の透過率は、入射角の増加にともない、しだいに大きくなってもよい。0°の入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第1層55の反射率、30°の入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第1層55の反射率、及び60°の入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第1層55の反射率は、この順で小さくなっていってもよい。0°、10°、20°、30°、40°、50°及び60°の入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第1層55の反射率は、入射角の増加にともない、しだいに小さくなってもよい。
【0072】
第1層55は、種々の透過特性および反射特性を有してもよい。
【0073】
図7は、第1層55の光学特性の一例を示すグラフである。
図7に示すように、第2シート50への入射角が絶対値で0°以上30°以下である特定波長の光の第1層55での透過率は、15%未満でもよく、8%未満でもよく、3%未満でもよい。第2シート50への入射角が絶対値で0°以上50°以下である特定波長の光の第1層55での透過率は、15%未満でもよく、10%未満でもよく、5%未満でもよい。
【0074】
第2シート50への入射角が絶対値で0°以上30°以下である特定波長の光の第1層55での反射率は、85%以上でもよく、92%以上でもよく、97%以上でもよい。第2シート50への入射角が絶対値で0°以上50°以下である特定波長の光の第1層55での反射率は、85%以上でもよく、90%以上でもよく、95%以上でもよい。
【0075】
図7に示すように、絶対値で60°以上70°以下となる或る入射角で第2シート50に入射する特定波長の光の第1層55での透過率は50%でもよい。第2シート50への入射角の絶対値が0°以上65°以下となる範囲で増加するにつれて、特定波長の光の第1層55での透過率が大きくなってもよい。第2シート50への入射角の絶対値が増加するにつれて、特定波長の光の第1層55での透過率が大きくなってもよい。
【0076】
絶対値で60°以上70°以下となる或る入射角で第2シート50に入射する特定波長の光の第1層55での反射率は50%でもよい。第2シート50への入射角の絶対値が0°以上65°以下となる範囲で増加するにつれて、特定波長の光の第1層55での反射率が小さくなってもよい。第2シート50への入射角の絶対値が増加するにつれて、特定波長の光の第1層55での反射率が小さくなってもよい。
【0077】
ここで説明した第1層55の光学特性は、第1層55の第1面55aが第3方向D3に直交し、第1面55aおよび第2面55bが空気層に隣接していることを想定している。
【0078】
特定波長の光とは、面光源装置20や光学部材30の用途に応じて適宜設定できる。光源23から射出する光を、特定波長の光としてもよい。特定波長の光を可視光としてもよい。「可視光」とは、波長380nm以上波長780nm以下の光を意味する。
【0079】
第1層55及び第2シート50の反射率(%)、並びに第1層55及び第2シート50の透過率(%)は、JIS Z 8722:2009に準拠して測定された値とする。反射率の測定では、JIS Z 8722:2009に規定された一光路の分光測光器を用いる方法bを採用する。特定の入射角での反射率を測定する際の照射及び受光の幾何条件は、当該入射角を選定することを除き、JIS Z8722:2009に規定された幾何条件dを採用する。特定の入射角での透過率を測定する際の照射及び受光の幾何条件は、当該入射角を選定することを除き、JIS Z8722:2009に規定された幾何条件fを採用する。
【0080】
第1層55としては、反射率の入射角依存性および透過率の入射角依存性を有するものであれば、特に限定されない。第1層55は、誘電体多層膜56、反射型の体積ホログラム、コレステリック液晶構造層、再帰反射フィルム、反射型の回折光学素子を含んでもよい。誘電体多層膜は、反射特性および透過特性の設計自由度が比較的高い点において優れる。
図7に示された光学特性は、誘電体多層膜56の光学特性の一例である。
【0081】
第1層55を構成する誘電体多層膜56は、交互に積層された屈折率の異なる低屈折率層および高屈折率層を含んでもよい。低屈折率層および高屈折率層は、無機化合物の層でもよいし、樹脂層でもよい。誘電体多層膜56を構成する多層膜は、片面に又は両面に、保護フィルムを有してもよい。保護フィルムの材料は、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートでもよい。保護フィルムの厚みは5μm以上でもよい。誘電体多層膜の製造方法として、共押出法等が採用されてもよい。具体的には、JP2008-200861Aに記載の積層フィルムの製造方法を採用してもよい。誘電体多層膜として、市販の積層フィルムを用いてもよい。市販の誘電体多層膜として、東レ株式会社製のピカサス(登録商標)や、3M社製のESR等が例示される。
【0082】
図6A及び
図6B図に示すように、第2層60は、第1面60aおよび第2面60bを含む。第1面60a及び第2面60bは第3方向D3に対向する。第1面60aは、第3方向D3における第2側を向く。第2面60bは、第3方向D3における第1側を向く。第2層60は、第1面60aにおいて、第1層55に接合している。図示された例において、第2面60bは、第2シート50の出光面である第2面50bを構成している。図示された例において、第2面60bは、光学部材30の出光面である第2面30bを構成している。第2面60bは凹凸面61を含んでいる。
【0083】
第2層60は、光学要素部60Xを含んでもよい。光学要素部60Xは、各々が凸部63又は凹部64として形成された複数の単位光学要素65を含んでいる。
図6Aおよび
図6Bに示された例において、第2層60は光学要素部60Xによって構成されている。単位光学要素65は、屈折や反射等によって光の進行方向を変化させる要素である。単位光学要素65は、単位形状要素、単位プリズム、単位レンズと呼ばれる要素を含む概念である。単位光学要素65は、第2面60bを構成している。単位光学要素65は、凹凸面61を構成している。単位光学要素65は、三角錐、四角錐、六角錐等の多四角錐形状でもよく、円錐形状でもよく、楕円錐形状でもよい。
【0084】
図6Aに示された光学要素部60Xは、シート状の本体部62と、本体部62上に設けられた複数の凸部63と、を含んでいる。
図6Aに示された例において、複数の凸部63は、隙間無く隣接して設けられてもよい。
図6Bに示された光学要素部60Xは、複数の凹部64を設けられた本体部62を含んでいる。
図6Bに示された例において、複数の凹部64は、隙間無く隣接して設けられてもよい。
【0085】
図6Aおよび
図6Bに示すように、単位光学要素65は、要素面66を含んでいる。要素面66は第3方向D3に対して傾斜している。この要素面66によって単位光学要素65が画成されている。凹凸面61は、単位光学要素65の要素面66によって構成されている。
【0086】
後述する第3層70の構成と区別するため、第2層60に関する光学要素部、凹凸面、本体部、単位光学要素、及び要素面に「第1」を付して、第1光学要素部、第1凹凸面、第1本体部、第1単位光学要素、及び第1要素面と、呼ぶこともある。
【0087】
第1凹凸面61の光学特性は、第1単位光学要素65の第1要素面66の傾斜角に影響を受ける。したがって、第1単位光学要素65の断面形状は、面光源装置20や光学部材30に要求される光学特性に基づいて、適宜調節され得る。一つの第1単位光学要素65に含まれる複数の第1要素面66の傾斜角が互いに異なってもよいし、同一でもよい。第1光学要素部60Xが、形状および向きの少なくとも一方において異なる第1単位光学要素65を含んでもよいし、互いに同一の第1単位光学要素65のみを含んでもよい。
【0088】
後述するように、光、とりわけ二次光LBの第2面50bでの反射を抑制する観点から、第1要素面66の傾斜角度θ66の上限及び下限を決定してもよい。この例において、第1要素面66の傾斜角度θ66は、5°以上でもよく、10°以上でもよく、15°以上でもよい。第1要素面66の傾斜角度θ66は、75°以下でもよく、60°以下でもよく、50°以下でもよい。
図6A及び
図6Bに示すように、第1要素面66の傾斜角度θ66は、第1要素面66の法線方向NDと第3方向D3との間の角度(°)であり、0°以上90°未満の値となる。
【0089】
図6Aおよび
図6Bに示された例と異なり、第1要素面66がいくらか湾曲してもよい。第1単位光学要素65が、半球状等の球の一部分の外形状を有してもよいし、回転楕円体の一部分の外形状を有してもよい。
【0090】
複数の第1単位光学要素65は、二次元配列されてもよい。二次元配列とは、非平行な二以上の方向に第1単位光学要素65等の対象物が配列されていることを意味する。したがって、第1単位光学要素65は、二以上の方向に分散してもよい。この例によれば、第1光学要素部60Xに含まれる第1単位光学要素65の第1要素面66は、種々の方向を向く。結果として、第1光学要素部60Xは、二次元配列された第1単位光学要素65によって、光を種々の方向に誘導できる。つまり、非平行な複数の方向へ光を誘導することができ、照度の面内分布を効果的に均一化できる。各第1単位光学要素65は、第3方向D3と平行な軸線を中心として回転対称に構成されていてもよい。例えば、各第1単位光学要素65は、第3方向D3と平行な軸線を中心として3回転対称、4回対称又は6回対称に構成されてもよい。
【0091】
複数の第1単位光学要素65は、不規則に配列されてもよいし、規則的に配列されてもよい。複数の第1単位光学要素65を規則的に配列することによって、第1光学要素部60Xの設計を容易化できる。複数の第1単位光学要素65を規則的に配列することによって、第1単位光学要素65を隙間無く敷き詰めることが容易となる。
【0092】
第3方向D3からの観察における第1単位光学要素65の寸法が大きいと、第1単位光学要素65の形状に起因した明るさのムラが視認されやすくなる。このような不具合を防止する観点から、第1単位光学要素65の積層方向D3に垂直な方向への最大長さは、1.5mm以下でもよく、1mm以下でもよく、0.5mm以下でもよい。第1単位光学要素65の配列ピッチは、0.001mm以上1.5mm以下でもよい。更に、面光源装置20に適用した際に光学部材30の第2面30b上での照度の面内分布を効果的に均一化する観点から、第1単位光学要素65の配列ピッチは、0.005mm以上1mm以下でもよく、0.01mm以上0.5mm以下でもよい。第1単位光学要素65の第3方向D3への高さ又は深さは、0.005mm以上0.5mm以下でもよく、0.01mm以上0.25mm以下でもよい。
【0093】
図8A及び
図8Bは、第1光学要素部60Xに含まれる第1単位光学要素65の一具体例を示している。
図8A及び
図8Bに示された例において、複数の第1単位光学要素65の配置は、正方配列となっている。複数の第1単位光学要素65は、第1方向D1に一定のピッチで配置されている。複数の第1単位光学要素65は、第2方向D2にも一定のピッチで配置されている。第1方向D1への配置ピッチと、第2方向D2への配置ピッチは、同一でもよいし、異なってもよい。
図8A及び
図8Bに示された例において、複数の第1単位光学要素65は隙間無く敷き詰められている。図示された例において、第1方向D1への配置ピッチと、第2方向D2への配置ピッチは、互いに同一となっている。
【0094】
第1単位光学要素65を第1方向D1及び第2方向D2に傾斜した方向に配置してもよい。例えば、
図8Cに示された例において、複数の第1単位光学要素65は、第1方向D1に対して±45°傾斜した二つの方向に一定のピッチで配置されている。
図8Bに示された第1単位光学要素65に対して、
図8Cの配置を適用できる。この例によれば、第1要素面66が第1方向D1に対して±45°傾斜した二つの方向に向き、この二つの方向に光を広げることができる。
【0095】
図9Aおよび
図9Bは、第1光学要素部60Xに含まれる第1単位光学要素65の他の具体例を示している。
図9A及び
図9Bに示された第1光学要素部60Xでは、底面が同一形状である第1単位光学要素65が、四つの向きで配列されている。結果として、底面の形状及び向きが同一となる複数の第1単位光学要素65は、第1方向D1及び第2方向D2のそれぞれに一定のピッチで配列されている。二つの方向への配列ピッチは、同一でもよいし、異なっていてもよい。
【0096】
図示された例において、二つの各方向への配列ピッチは同一となっている。第1単位光学要素65は、底面が直角二等辺三角形形状となっている三角錐形状を有している。二つの第1単位光学要素65は、二等辺三角形形状の底辺が互いに対面するようにして、配置されている。底辺が対面する二つの第1単位光学要素65からなる組が、第1方向D1及び第2方向D2に配列されている。各第1単位光学要素65は、直角二等辺三角形形状の等辺が第1方向D1及び第2方向D2に延びるように、配置されている。図示された例において、一組の二つの第1単位光学要素65の底辺の向きと、当該一組の二つの第1単位光学要素65と第1方向D1に隣り合う他の一組の二つの第1単位光学要素65の底辺の向きは、異なる。一組の二つの第1単位光学要素65の底辺の向きと、当該一組の二つの第1単位光学要素65と第2方向D2に隣り合う他の一組の二つの第1単位光学要素65の底辺の向きは、異なる。
【0097】
図9Bに示された第1単位光学要素65は、
図9Aに示された配列と異なる配列にて配列されてもよい。例えば、
図9Cに示すように、複数の第1単位光学要素65は、第1方向D1に対して±45°傾斜した二つの方向に配列されてもよい。この例において、第1単位光学要素65の底面をなす直角二等辺三角形形状の等辺は、第1方向D1に対して±45°傾斜した二つの方向に延びてもよい。第1単位光学要素65の底面をなす直角二等辺三角形形状の底辺は、第1方向D1又は第2方向D2に延びてもよい。
【0098】
第1層55と同様に、第2シート50の透過特性および反射特性は、入射角依存性を有してよい。第2シート50の反射率および透過率は、入射角に依存して変化してもよい。
【0099】
0°の入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第2シート50の透過率は、0°より大きい或る入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第2シート50の透過率よりも、小さくてもよい。0°の入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第2シート50の反射率は、0°より大きい或る入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第2シート50の反射率よりも、大きくてもよい。
【0100】
0°の入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第2シート50の透過率、30°の入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第2シート50の透過率、及び60°の入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第2シート50の透過率は、この順で大きくなっていってもよい。0°、10°、20°、30°、40°、50°及び60°の入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第2シート50の透過率は、入射角の増加にともない、しだいに大きくなってもよい。第2シート50に入射する特定波長の光についての第2シート50の透過率は、入射角の増加にともない、しだいに大きくなってもよい。
【0101】
0°の入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第2シート50の反射率、30°の入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第2シート50の反射率、及び60°の入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第2シート50の反射率は、この順で小さくなっていってもよい。0°、10°、20°、30°、40°、50°及び60°の入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第2シート50の反射率は、入射角の増加にともない、しだいに小さくなってもよい。第2シート50に入射する特定波長の光についての第2シート50の反射率は、入射角の増加にともない、しだいに小さくなってもよい。
【0102】
以上の第2シート50に関する反射特性及び透過特性は、光源23からの光と同様に、第1面50aを入射面とし且つ第2面50bを出射面としている。
【0103】
図2に示すように、面光源装置20は、光学部材30と重ねられた第1光学シート81、第2光学シート82および反射型偏光板85を含んでいる。
【0104】
第1光学シート81および第2光学シート82は、入射光に対して、反射、屈折、回折等の光学作用を及ぼす。第1光学シート81および第2光学シート82は、光学部材30や面光源装置20の用途に対して適切な機能を有してもよい。
【0105】
図10は、第1光学シート81及び第2光学シート82の一具体例を示している。
図10に示された第1光学シート81及び第2光学シート82は、複数の線状に延びる単位プリズム84を含むプリズムシートである。プリズムシートは、シート状の本体部83と、本体部83上に設けられた複数の単位プリズム84と、を含んでいる。単位プリズム84は、複数の単位プリズム84の配列方向と直交する方向に直線状に延びてもよい。すなわち、第1光学シート81及び第2光学シート82は、単位プリズム84がリニア配列されたプリズムシートである。
【0106】
図10に示された、リニア配列された単位プリズム84は、主として、単位プリズム84の配列方向および第3方向D3の両方に平行な面内での輝度角度分布を調整する。したがって、第1光学シート81及び第2光学シート82は、単位プリズム84の配列方向が非平行となるようにして、光学部材30に組み込まれてもよい。例えば、第1光学シート81の単位プリズム84の配列方向が、第2光学シート82の単位プリズム84の配列方向と直交してもよい。
図10に示されたプリズムシートは、米国3M社から入手可能な「BEF」(登録商標)でもよい。
【0107】
反射型偏光板85は、一方の直線偏光成分を透過させ、他方の直線偏光成分を反射する。反射型偏光板85によれば、表示パネル15の面光源装置20側に位置する偏光板を透過し得る直線偏光成分の光を選択的に透過させることができる。反射型偏光板85で反射された光は、その後の反射等によって、偏光状態を変化させて反射型偏光板85へ再度入射し得る。これにより、光源23から放出された光の利用効率を向上できる。反射型偏光板85は、米国3M社から入手可能な「DBEF」(登録商標)でもよい。反射型偏光板85は、韓国Shinwa Intertek社から入手可能な高輝度偏光シート「WRPS」や、ワイヤーグリッド偏光子等でもよい。
【0108】
次に、以上の構成を有する面光源装置20で面状光を生成する際の作用について説明する。
【0109】
図2に示すように、光源23が一次光LAを放出する。一次光LAは、一例として、青色光である。青色の一次光LAの波長は、430nm以上500nm以下でもよい。光源23から放出された光L21は、光学部材30へと向かう。
図5に示すように、光源23からの一次光LAは、光学部材30の第1シート40に入射する。
【0110】
図5に示すように、第1シート40は、第3方向D3における第2側から、第1バリア層41、波長変換層45、及び第2バリア層42を含んでいる。第1シート40に入射した光は、第1バリア層41を透過して波長変換層45に進む。
【0111】
図5に示すように、波長変換層45は波長変換剤47を含んでいる。波長変換層45内を進む光の一部は、波長変換剤47に衝突する。波長変換剤47は、光源23から放出された一次光LAを吸収して、波長の異なる二次光LBを放出する。図示された例において、波長変換層45は、第1変換剤47Aおよび第2変換剤47Bを含んでいる。第1変換剤47Aは、青色の一次光LAの一部L51を吸収して、緑色の第1二次光LB1を放出する。第2変換剤47Bは、青色の一次光LAの一部L52を吸収して、赤色の第2二次光LB2を放出する。
図5に示すように、一次光LAの一部L53は、波長変換剤47に入射せず、第2面60bへ到達する。
【0112】
波長変換層45を通過した光は、第2バリア層42を更に透過して、第1シート40から出射する。
【0113】
第1シート40を透過した光は、第2シート50に向かう。第2シート50は、第3方向D3における第2側から、第1層55及び第2層60を含んでいる。光源23からの一次光LAは、第2シート50の第1層55に入射する。第1層55の透過率は第2シート50への入射角に依存している。一例として、第2シート50は、次に説明する反射特性や透過特性を有してもよい。
【0114】
0°より大きい或る入射角で第2シート50に入射する一次光LAについての第1層55の反射率は、0°の入射角で第2シート50に入射する一次光LAについての第1層55の反射率より小さい。第1層55の反射率は、0°の入射角で第2シート50に入射する一次光LAについてよりも、0°より大きい或る入射角で第2シート50に入射する一次光LAについて、小さい。0°より大きい或る入射角で第2シート50に入射する一次光LAについての第1層55の透過率は、0°の入射角で第2シート50に入射する一次光LAについての第1層55の透過率より大きい。第1層55の透過率は、0°の入射角で第2シート50に入射する一次光LAについてよりも、0°より大きい或る入射角で第2シート50に入射する一次光LAについて、大きい。
【0115】
0°の入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第1層55の反射率、30°の入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第1層55の反射率、及び60°の入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第1層55の反射率は、この順で小さくなっていってもよい。0°、10°、20°、30°、40°、50°及び60°の入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第1層55の反射率は、入射角の増加にともない、しだいに小さくなってもよい。0°の入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第1層55の透過率、30°の入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第1層55の透過率、及び60°の入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第1層55の透過率は、この順で大きくなっていってもよい。0°、10°、20°、30°、40°、50°及び60°の入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第1層55の透過率は、入射角の増加にともない、しだいに大きくなってもよい。
【0116】
光源23と第3方向D3に対面する領域と、当該領域の近傍となる周囲の領域と、を直上領域とする。この直上領域には、多量の一次光LAが光源23から直接入射する。直上領域への一次光LAの入射角は比較的小さくなる。第1層55の上記光学特性を及ぼされる特定波長の光は、一次光LAを含んでもよい。光源23から放出されて第1層55に進んだ一次光LAとしての光L21,L22は、直上領域において、高い反射率にて反射される。直上領域において、光L21,L22は、低い透過率にて第1層55を透過する。これにより、直上領域において発光面20aが明るくなり過ぎることを抑制できる。
【0117】
第1層55で反射した一次光LAとしての光L21,L22は、
図2に示すように、第1シート40を透過して光源基板22に向かう。この光L21,L22は、例えば光源基板22の反射層27等での反射により、第3方向D3における進行方向を折り返す。光L21,L22は、第1シート40を透過して、再度第2シート50に向かう。このような光L21は、第1シート40内の拡散成分により、第3方向D3に対して大きく傾斜した方向に進み得る。このような光L22は、反射層27での拡散反射により、第3方向D3に対して大きく傾斜した方向に進み得る。
図2に示すように、第1層55への再入射光L21,L22は、第3方向D3に直交する第1方向D1や第2方向D2に光源23から離れた位置において、光学部材30に再入射する。これにより、第2シート50への再入射光L21,L22は、第3方向D3に直交する方向に光源23から離れた離間領域において、第1層55を透過できる。これにより、離間領域において、発光面20aが暗くなり過ぎることを抑制できる。
【0118】
以上に説明した入射角に応じた第1層55の選択透過性により、光源23の配置に応じた明るさの面内バラツキを抑制できる。これにより、第1層55の第2面55b上の各位置での照度を効果的に均一化できる。
【0119】
第1層55の選択反射性および選択透過性は、特定波長の光に及ぼされる。誘電体多層膜56や回折光学素子等からなる多くの第1層55において、特定波長の光に及ぼされる光学特性と、特定波長以外の光に対して及ぼされる光学特性は異なる。誘電体多層膜56等からなる第1層55は、特定波長よりも長波長の光に対して選択反射性や選択透過性を発現しにくい。したがって、図示された例において、誘電体多層膜56等からなる第1層55は、赤色光や緑色光に対して選択反射性や選択透過性を発現しない。赤色光や緑色光に関し、第2シート50への入射角に応じた第1層55の透過率や反射率の変動は僅かとなり得る。この点を考慮して、上述した例において、波長変換層45に含有される波長変換剤47の量を少なくしてもよい。波長変換剤47の含有量を少なくすることにより、一次光LAに起因した明るさの面内分布を十分に均一化した後に、一次光LAを二次光LBに波長変換できる。波長変換剤47の含有量を低減しながら、一次光LA及び二次光LBに起因した明るさの面内バラツキや、一次光LA及び二次光LBに起因した色の面内バラツキを抑制できる。
【0120】
以上により、第2面55b上における明るさを十分に均一化でき、第2面55b上における色を十分に均一化できる。また、第2層60の厚みを薄くできるので、光学部材30及び面光源装置20の厚みを十分に薄く維持できる。
【0121】
更に、一次光LAの進行方向と第3方向D3との間の角度は、光源23の直上となる直上領域において、小さくなり易い。一次光LAの進行方向と第3方向D3との間の角度は、光源23から第3方向D3に直交する方向に離れた離間領域において、大きくなり易い。この傾向から、直上領域において、第1シート40内での一次光LAの光路長は、短くなる。したがって、直上領域において、一次光LAが波長変換剤47によって波長変換される確率は低くなる。離間領域において、第1シート40内での一次光LAの光路長は、長くなる。したがって、離間領域において、一次光LAが波長変換剤47によって波長変換される確率は高くなる。これにより、色の面内バラツキを抑制できる。
【0122】
波長変換剤47を含む第1シート40は、第3方向D3において、光源基板22と選択反射機能を有した第2シート50との間に位置する。すなわち、第1シート40は、明るさの面内分布を均一化させるための一次光LAの循環光路内に位置している。したがって、第1シート40への波長変換剤47の含有量を低減できる。
【0123】
第1層55を透過した光は、第2層60に入射する。第2層60は複数の第1単位光学要素65を含んでいる。第2層60は、第2シート50の第2面50b及び光学部材30の第2面30bに第1凹凸面61を付与している。第1凹凸面61は、第1単位光学要素65の第1要素面66によって構成されている。
図6Aに示すように、光L61は、第1凹凸面61を通過することによって、第1層55及び光学部材30から出射する。光L61は、第1凹凸面61での屈折によって進行方向を曲げる。
【0124】
以上のようにして、一次光LA、第1二次光LB1及び第2二次光LB2を含む光L21,L22(
図2参照)が、光学部材30から第3方向D3における第1側に出射し得る。光学部材30から出射した光L21,L22は、第1光学シート81、第2光学シート82および反射型偏光板85を透過して、面光源装置20の発光面20aから出射する。このようにして、面光源装置20の発光面20aが発光する。
【0125】
ところで、従来の面光源装置において、発光面が暗くなるといった不具合が生じていた。従来の面光源装置は、光源及び光学部材を含んでいた。光学部材は、光源側からの順で、入射角依存の透過特性及び反射特性を有した第2シートと、波長変換剤を含んだ第1シートと、を含んでいた。本件発明者らは、まず、光学部材における第1シート及び第2シートの配置を交換してみた。すなわち、波長変換剤を含んだ第1シートと、入射角依存の透過特性及び反射特性を有した第2シートと、を光源側からこの順で含む面光源装置を本件発明者らは検討した。第1シート及び第2シートの配置を交換した面光源装置において、光源に起因した明るさの面内バラツキを解消するため、第2シートの第1シートに対面する面に単位光学要素による凹凸面を設けた。この入光側の凹凸面により明るさの面内バラツキを抑制できた。発光面の明るさについては、第1シート及び第2シートの配置を交換することによっていくらか改善できた。しかしながら、表示装置等への適用において、発光面は十分な明るさとならなかった。
【0126】
本実施の形態による面光源装置20において、第2シート50は、入射角依存の透過特性及び反射特性を有する第1層55に加え、第2層60を更に含む。第1層55は、第3方向D3における第1シート40及び第2層60の間に位置する。第2層60は、複数の第1単位光学要素65を含む第1光学要素部60Xを含む。第1光学要素部60Xは、複数の第1単位光学要素65によって、第2シート50の第1凹凸面61を構成する。第1凹凸面61は、光学部材30のいわゆる出光面を構成する。
【0127】
本実施の形態による面光源装置20によれば、後述の実施例でも実証されているように、明るさの面内バラツキを十分に抑制しながら、光学部材30の第2面30b及び面光源装置20の発光面20aを十分に明るくできた。本件発明者らが確認したところ、発光面20aが明るくなるといった作用効果が得られる理由は、二次光LBについての第2シート50の透過率が十分に高くなっていることにあると考えられた。二次光LBについての第2シート50の透過率が低い場合、二次光LBは第2シート50で反射または吸収される。吸収は、光源光の損失となる。二次光LBは、反射する際にも、二次光LBの一部が損失する。誘電体多層膜56等からなる第1層55を用いる場合、一次光LAよりも長波長となる二次光LBについての透過率及び反射率は、第2シート50への入射角に応じて大きく変動しない。すなわち、照度の面内バラツキ抑制を目的として、二次光LBを第1層55で選択反射することは想定されていない。このような想定において、二次光LBついての第2シート50の反射率を一定以上とする必要はない。二次光LBついての第2シート50の透過率は高くてもよい。二次光LBについての第2シート50の透過率を十分に高くすることによって、二次光LBの利用効率を改善できる。これにともなって光源23からの光の利用効率が改善され、発光面20aを十分に明るくできた。
【0128】
具体的な構成として、本実施の形態による光学部材30において、第2層60は、第2面60bを構成する第1光学要素部60Xを含んでいる。第1光学要素部60Xは複数の第1単位光学要素65含んでいる。第1光学要素部60Xは、複数の第1単位光学要素65の第1要素面66によって、第2シート50の第1凹凸面61を構成する。この第1凹凸面61によれば、
図6Aに示すように、第3方向D3に対して傾斜した方向に進む二次光LBの第1要素面66への入射角を小さくできる。これにより、二次光LBが第1要素面66において反射することを抑制できる。とりわけ、二次光LBが第1要素面66において全反射することを抑制できる。複数の第1単位光学要素65によって構成された第1凹凸面61によれば、二次光LBについての透過率を高くできる。二次光LBの利用効率を改善することによって、発光面20aを明るくできる。
【0129】
一方、第2層60が設けられていなかった場合、
図6Aに鎖線で示すように、光L62は、第2シートの平坦な第2面において反射し易く、全反射することもある。すなわち、第2層60を含まない第2シートを用いた場合、二次光LBについての第2シートの反射率が上昇し、これにともなって二次光LBついての第2シートの透過率が低下していたと推測される。二次光LBの反射損失を原因として二次光LBの利用効率が低下し、発光面が暗くなっていた。
【0130】
明るさの面内バラツキ抑制及び色の面内バラツキ抑制を考慮して、二次光LBとしての緑色光や赤色光についての透過特性も、一次光LAとしての青色光ついての透過特性と同様としてもよい。具体的には、第2シート50は、緑色光について、次の光学特性を有してもよい。ここで緑色光の光とは、波長550nmの光としてもよい。
【0131】
・60°の入射角で第2シート50に入射する緑色光についての第2シート50の透過率は、50%以上でもよい。
・60°の入射角で第2シート50に入射する緑色光についての第2シート50の反射率は、50%未満でもよい。
・0°の入射角で第2シート50に入射する緑色光についての第2シート50の透過率は、0°より大きい或る入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第2シート50の透過率よりも、小さくてもよい。
・0°の入射角で第2シート50に入射する緑色光についての第2シート50の反射率は、0°より大きい或る入射角で第2シート50に入射する緑色光についての第2シート50の反射率よりも、大きくてもよい。
・0°の入射角で第2シート50に入射する緑色光についての第2シート50の透過率は、30°の入射角で第2シート50に入射する緑色光についての第2シート50の透過率よりも小さく、且つ、30°の入射角で第2シート50に入射する緑色光についての第2シート50の透過率は、60°の入射角で第2シート50に入射する緑色光についての第2シート50の透過率よりも小さくてもよい。すなわち、第2シート50の透過率は、0°の入射角で第2シート50に入射する緑色光についてよりも、30°の入射角で第2シート50に入射する緑色光について、大きく、且つ、第2シート50の透過率は、30°の入射角で第2シート50に入射する緑色光についてよりも、60°の入射角で第2シート50に入射する緑色光について、大きくてもよい。
・0°、10°、20°、30°、40°、50°及び60°の入射角で第2シート50に入射する緑色光についての第2シート50の透過率は、入射角の増加にともない、しだいに大きくなってもよい。
・第2シート50に入射する緑色光についての第2シート50の透過率は、入射角の増加にともない、しだいに大きくなってもよい。
・0°の入射角で第2シート50に入射する緑色光についての第2シート50の反射率は、30°の入射角で第2シート50に入射する緑色光についての第2シート50の反射率より大きく、且つ、30°の入射角で第2シート50に入射する緑色光についての第2シート50の反射率は、60°の入射角で第2シート50に入射する緑色光についての第2シート50の反射率より大きくてもよい。すなわち、第2シート50の反射率は、0°の入射角で第2シート50に入射する緑色光についてよりも、30°の入射角で第2シート50に入射する緑色光について、小さく、且つ、第2シート50の反射率は、30°の入射角で第2シート50に入射する緑色光についてよりも、60°の入射角で第2シート50に入射する緑色光について、小さくてもよい。
・0°、10°、20°、30°、40°、50°及び60°の入射角で第2シート50に入射する緑色光についての第2シート50の反射率は、入射角の増加にともない、しだいに小さくなってもよい。
・第2シート50に入射する緑色光についての第2シート50の反射率は、入射角の増加にともない、しだいに小さくなってもよい。
【0132】
波長変換層45に波長変換剤47が均一に分散していると、一次光LAの光量が多い直上領域において、離間領域よりも、二次光LBの生成量が多くなり易い。すなわち、二次光LBとしての緑色光に起因した明るさは、直上領域において離間領域よりも、明るくなり易い。また、二次光LBが波長変換剤47から放出される方向は、一次光LAが波長変換剤47に入射する方向と一致しないものの、一次光LAの入射方向を中心とした範囲内で分散する。すなわち、二次光LBの進行方向は、一次光LAの進行方向と同様に、直上領域において、第3方向D3に対して比較的小さな角度をなし易い。二次光LBの進行方向は、一次光LAの進行方向と同様に、離間領域において、第3方向D3に対して比較的大きな角度をなし易い。したがって、上述した緑色光についての第2シート50の透過特性及び反射特性によれば、緑色光に起因した明るさの面内バラツキを抑制できる。結果として、色の面内バラツキも抑制できる。
【0133】
第2シート50は、赤色光について、次の光学特性を有してもよい。ここで赤色光の光とは、波長650nmの光としてもよい。
【0134】
・60°の入射角で第2シート50に入射する赤色光についての第2シート50の透過率は、50%以上でもよい。
・60°の入射角で第2シート50に入射する赤色光についての第2シート50の反射率は、50%未満でもよい。
・0°の入射角で第2シート50に入射する赤色光についての第2シート50の透過率は、0°より大きい或る入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第2シート50の透過率よりも、小さくてもよい。
・0°の入射角で第2シート50に入射する赤色光についての第2シート50の反射率は、0°より大きい或る入射角で第2シート50に入射する赤色光についての第2シート50の反射率よりも、大きくてもよい。
・0°の入射角で第2シート50に入射する赤色光についての第2シート50の透過率は、30°の入射角で第2シート50に入射する赤色光についての第2シート50の透過率よりも小さく、且つ、30°の入射角で第2シート50に入射する赤色光についての第2シート50の透過率は、60°の入射角で第2シート50に入射する赤色光についての第2シート50の透過率よりも小さくてもよい。すなわち、第2シート50の透過率は、0°の入射角で第2シート50に入射する赤色光についてよりも、30°の入射角で第2シート50に入射する赤色光について、大きく、且つ、第2シート50の透過率は、30°の入射角で第2シート50に入射する赤色光についてよりも、60°の入射角で第2シート50に入射する赤色光について、大きくてもよい。
・0°、10°、20°、30°、40°、50°及び60°の入射角で第2シート50に入射する赤色光についての第2シート50の透過率は、入射角の増加にともない、しだいに大きくなってもよい。
・第2シート50に入射する赤色光についての第2シート50の透過率は、入射角の増加にともない、しだいに大きくなってもよい。
・0°の入射角で第2シート50に入射する赤色光についての第2シート50の反射率は、30°の入射角で第2シート50に入射する赤色光についての第2シート50の反射率より大きく、且つ、30°の入射角で第2シート50に入射する赤色光についての第2シート50の反射率は、60°の入射角で第2シート50に入射する赤色光についての第2シート50の反射率より大きくてもよい。すなわち、第2シート50の反射率は、0°の入射角で第2シート50に入射する赤色光についてよりも、30°の入射角で第2シート50に入射する赤色光について、小さく、且つ、第2シート50の反射率は、30°の入射角で第2シート50に入射する赤色光についてよりも、60°の入射角で第2シート50に入射する赤色光について、小さくてもよい。
・0°、10°、20°、30°、40°、50°及び60°の入射角で第2シート50に入射する赤色光についての第2シート50の反射率は、入射角の増加にともない、しだいに小さくなってもよい。
・第2シート50に入射する赤色光についての第2シート50の反射率は、入射角の増加にともない、しだいに小さくなってもよい。
【0135】
波長変換層45に波長変換剤47が均一に分散していると、一次光LAの光量が多い直上領域において、離間領域よりも、二次光LBの生成量が多くなり易い。すなわち、二次光LBとしての赤色光に起因した明るさは、直上領域において離間領域よりも、明るくなり易い。また、二次光LBが波長変換剤47から放出される方向は、一次光LAが波長変換剤47に入射する方向と一致しないものの、一次光LAの入射方向を中心とした範囲内で分散する。すなわち、二次光LBの進行方向は、一次光LAの進行方向と同様に、直上領域において、第3方向D3に対して比較的小さな角度をなし易い。二次光LBの進行方向は、一次光LAの進行方向と同様に、離間領域において、第3方向D3に対して比較的大きな角度をなし易い。したがって、上述した赤色光についての第2シート50の透過特性及び反射特性によれば、赤色光に起因した明るさの面内バラツキを抑制できる。結果として、色の面内バラツキも抑制できる。
【0136】
上述してきた本実施の形態において、面光源装置20は、第1シート40及び第2シート50をこの順で含む。第1シート40は、一次光LAを吸収して二次光LBを放出する波長変換剤47を含む。第2シート50は、第1層55及び第2層60をこの順で含む。第1層55は、第1シート40と第2層60との間に位置する。第2層60は、複数の第1単位光学要素65を含む第1光学要素部60Xを含む。第1光学要素部60Xは、複数の第1単位光学要素65によって、第2シート50の凹凸な第2面50bを構成する。0°の入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第1層55の透過率、30°の入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第1層55の透過率、及び60°の入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第1層55の透過率は、この順で大きくなっていってもよい。0°の入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第2シート50の透過率、30°の入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第2シート50の透過率、及び60°の入射角で第2シート50に入射する特定波長の光についての第2シート50の透過率は、この順で大きくなっていってもよい。このような本実施の形態によれば、光源23の配置に起因した明るさの面内バラツキを抑制しながら、発光面20aの明るさを十分に明るくできる。また、第2層60の厚みを薄くできるので、面光源装置20の厚みを十分に薄く維持できる。
【0137】
具体例を参照しながら一実施の形態を説明してきたが、上述の具体例が一実施の形態を限定しない。上述した一実施の形態は、その他の様々な具体例で実施でき、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、追加等を行うことができる。
【0138】
以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した具体例と同様に構成され得る部分について、上述の具体例における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用い、重複する説明を省略する。
【0139】
図11に示すように、第1シート40及び第2シート50が接合されていてもよい。
図11に示された例において、第1シート40及び第2シート50は、接合層32を介して接合されている。接合層32は、第3方向D3において、第1シート40及び第2シート50の間に位置している。接合層32は、第1シート40及び第2シート50の両方に接合している。接合層32を用いることにより、第1シート40の第2面40bが空気層と隣接しない。接合層32を用いることにより、第2シート50の第1面50aが空気層と隣接しない。したがって、第2面40b及び第1面50aが隣接する部分と形成する界面の屈折率差を小さくできる。これにより、第2面40b及び第1面50aでの意図しない反射を抑制できる。光の利用効率を改善して、発光面20aを明るくできる。接合層32は、アクリル樹脂、エキポシ樹脂、ポリエステル樹脂等の種々の接着材や粘着材を用いて形成され得る。接合層32の第3方向D3に沿った厚みは、例えば、1μm以上50μm以下でもよい。
【0140】
光学部材30は、上述した具体例に限定されない。
図12に示すように、第2シート50は、第1シート40と第1層55との間に位置する第3層70を含んでもよい。第3層70は、光を拡散させる拡散機能を有している。第3層70による拡散によって、光源23の位置に起因した明るさの面内バラツキを抑制できる。第3層70は、第1面70a及び第2面70bを含む。第1面70a及び第2面70bは第3方向D3に対向する。第1面70aは、第3方向D3における第2側を向く。第2面70bは、第3方向D3における第1側を向く。第3層70は、第2面70bにおいて、第1層55に接合している。図示された例において、第1面70aは、第2シート50の第1面50a、及び第1シート40の入光面である第1面40aを構成してもよい。第1面70aは第2凹凸面71を含んでいる。
【0141】
第3層70は、第2光学要素部70Xを含んでもよい。第2光学要素部70Xは、各々が凸部73又は凹部74として形成された複数の第2単位光学要素75を含んでいる。
図12に示された例において、第3層70は第2光学要素部70Xによって構成されている。第2単位光学要素75は、屈折や反射等によって光の進行方向を変化させる要素である。第2単位光学要素75は、単位形状要素、単位プリズム、単位レンズと呼ばれる要素を含む概念である。第2単位光学要素75は、第1面70aを構成している。第2単位光学要素75によって、第2凹凸面71が構成されている。
【0142】
図12に示された第2光学要素部70Xは、シート状の第2本体部72と、第2本体部72上に設けられた複数の凸部73と、を含んでいる。
図12に示された例において、複数の凸部73は、隙間無く隣接して設けられてもよい。第2光学要素部70Xは、複数の凹部を設けられた第2本体部72を含んでもよい。複数の凹部は、隙間無く隣接して設けられてもよい。
【0143】
図12に示すように、第2単位光学要素75は第2要素面76を含んでいる。第2要素面76は第3方向D3に対して傾斜している。この第2要素面76によって第2単位光学要素75が画成されている。第2凹凸面71は、第2単位光学要素75の第2要素面76によって構成されている。
【0144】
第2凹凸面71の光学特性は、第2単位光学要素75の第2要素面76の傾斜角に影響を受ける。したがって、第2単位光学要素75の断面形状は、面光源装置20や光学部材30に要求される光学特性に基づいて、適宜調節され得る。一つの第2単位光学要素75に含まれる複数の第2要素面76の傾斜角が互いに異なってもよいし、同一でもよい。第2光学要素部70Xが、形状および向きの少なくとも一方において異なる第2単位光学要素75を含んでもよいし、互いに同一の第2単位光学要素75のみを含んでもよい。
【0145】
光源23の配置に起因した明るさの面内バラツキを抑制する観点から、第2要素面76の傾斜角度θ76の上限及び下限を決定してもよい。この例において、第2要素面76の傾斜角度θ76は、5°以上でもよく、10°以上でもよく、15°以上でもよい。第2要素面76の傾斜角度θ76は、75°以下でもよく、60°以下でもよく、50°以下でもよい。
図12に示すように、第2要素面76の傾斜角度θ76は、第2要素面76の法線方向ND2と第3方向D3との間の角度(°)であり、0°以上90°未満の値となる。
【0146】
第2光学要素部70Xは、上述した第1光学要素部60Xの構成と同様の構成を有してもよい。例えば、第2単位光学要素75の配列方法、配列ピッチ、形状、寸法、材料等は、第1単位光学要素65について既に説明した配列方法、配列ピッチ、形状、寸法、材料等と同一にしてもよい。第2光学要素部70Xは、第1層55の第3方向D3における第1側ではなく第1層55の第3方向D3における第2側に位置することを除き、
図8A、
図8B、
図8C、
図9A、
図9B、及び
図9Cに示した構成を有してもよい。更に、第3層70を含む第2シート50は、上述した第2シート50の透過特性および反射特性を有してもよい。
【0147】
別の変形例として、第2層60は、第1光学要素部60Xに代えて又は第1光学要素部60Xに加えて、回折光学素子60Yを含んでもよい。同様に、第3層70は、第2光学要素部70Xに代えて又は第2光学要素部70Xに加えて、回折光学素子70Yを含んでもよい。
図13に示すように、第2層60は回折光学素子60Yからなってもよい。第3層70は回折光学素子70Yからなってもよい。回折光学素子60Y,70Yは、入射光に対して回折作用を及ぼす素子である。回折光学素子60Y,70Yは、ホログラム素子でもよい。所望する光学特性を実現するための回折特性を有した回折光学素子60Y,70Yは、比較的容易に設計され得る。
【0148】
回折光学素子60Y,70Yは、計算機合成ホログラム(CGH:Computer Generated Hologram)でもよい。計算機合成ホログラムは、任意の回折特性を実現する回折構造をコンピュータ上で計算することによって作製される。計算機合成ホログラムを回折光学素子60Y,70Yとして採用することによって、光源や光学系を用いた物体光及び参照光の生成や、露光によるホログラム記録材料への干渉縞の記録が不要となる。例えば所望する光拡散性を実現するための回折特性を有した凹凸面61,71を、コンピュータでの演算によって特定することができる。特定された構造を、例えば樹脂賦型により形成することで、計算機合成ホログラムとしての回折光学素子60Y,70Yを、簡易な手順にて低コストで作製することができる。
【0149】
回折光学素子60Y,70Yは、位相変調型のホログラムでもよい。回折光学素子60Y,70Yは、振幅変調型のホログラムでもよい。回折光学素子60Y,70Yは、計算機合成ホログラムに限られない。回折光学素子60Y,70Yは、例えば体積ホログラムでもよい。
【0150】
第2層60及び第3層70は、第1層55上に形成されてもよい。第2層60及び第3層70は、接着層や粘着層からなる接合層を用いて第1層55に接合されてもよい。
【0151】
面光源装置20の光制御部材18から、第1光学シート81、第2光学シート82および反射型偏光板85の一以上を省略してもよい。光制御部材18は、何らかの機能を期待された部材を更に含んでもよい。
【実施例0152】
以下、実施例を用いて上述した一実施の形態示をより詳細に説明するが、上述した一実施の形態は以下の実施例に限定されるものではない。
【0153】
実施例1~3及び比較例1、2の面光源装置を次のように製造した。
【0154】
<実施例1>
実施例1の面光源装置は、
図2~
図6Aの構成を有していた。面光源装置は、光源を含む光源基板、光学部材、第1光学シート、第2光学シートおよび反射型偏光板を含んでいた。支持基板は、酸化チタンを含有した白色の反射層を有していた。支持基板の反射層での反射は、反射率95%の拡散反射とした。光源は、
図3に示すように、支持基板上に正方配列で配列した。光源の第1方向への配列ピッチPL1は6mmとした。第1方向へ垂直な第2方向への光源の配列ピッチPL2は6mmとした。各光源として、450nmを中心波長として青色光を射出する発光ダイオードを用いた。この発光ダイオードの平面形状は、0.2mm×0.4mmとなる長方形形状であった。発光ダイオードの側辺が第1方向及び第2方向に沿うように、発光ダイオードを支持基板上に配置した。光源の光学部材に対面する面から光学部材の入光側面までの第3方向D3に沿った距離を0.5mmとした。
【0155】
実施例1の面光源装置において、光学部材は、
図2に示すように、第1シート及び第2シートを、第3方向D3における第2側から第1側へ向けてこの順で含んでいた。第1シートは、昭和電工マテリアルズから入手可能なQF-6000を用いた。第1シートは、第1変換剤及び第2変換剤を含んでいた。第1変換剤は、波長450nmの光を吸収して、緑色光を放出した。第2変換剤は、波長450nmの光を吸収して、赤色光を放出した。
【0156】
第2シート50は、
図6Aに示すように、第1層及び第2層を、第3方向D3における第2側から第1側へ向けてこの順で含んでいた。第1層は誘電体多層膜とした。第1層を構成する誘電体多層膜の透過特性及び反射特性は、
図7に示された透過特性及び反射特性と同傾向を有していた。第2層は第1光学要素部とした。第1光学要素部は、硬化前の紫外線硬化性樹脂組成物を型と第1層との間に供給し、型と第1層との間で硬化させることによって、成形した。
【0157】
第1光学要素部は、第1本体部と、第1本体部上に配列された凸部としての第1単位光学要素と、を含んでいた。第1光学要素部は、
図9A及び
図9Bを参照して説明した形状や配列等の構成を有する第1単位光学要素を含んでいた。
図9Bに示すように、第1単位光学要素は、三角錐形状の凸部であった。第1単位光学要素は、三つの第1要素面を含んでいた。三角錐形状の底面は、直角二等辺三角形形状であった。
図9Aに示すように、同一形状の第1単位光学要素を、底面の向きを四種類に変化させて、第1本体部の面上に隙間無く敷き詰めた。第1単位光学要素の要素面は、底面をなす直角二等辺三角形形状の等辺から延び出た等辺要素面と、底面をなす直角二等辺三角形形状の底辺から延び出た底辺要素面と、を含んでいた。底面をなす直角二等辺三角形形状の等辺をなす二辺の長さは、それぞれ、0.1mmとした。各等辺要素面の傾斜角θ66は45°であった。底辺要素面の傾斜角θ66は45°であった。要素面の傾斜角θ66は、
図6Aに示すように、要素面への法線方向と第3方向との間の角度であって、0°以上90°未満の値となる。等辺要素面及び底辺要素面によって、光学部材の出光面となる第1凹凸面が構成されていた。
【0158】
第1光学シートおよび第2光学シートとして、3M社から入手可能な輝度上昇フィルムBEF(登録商標)を二枚用いた。第1光学シートについては、プリズムの長手方向が第2方向に延びていた。第2光学シートについては、プリズムの長手方向が第1方向に延びていた。反射型偏光板として、3M社から入手可能な輝度上昇フィルムDBEF(登録商標)を用いた。
【0159】
<実施例2>
実施例2は、光学部材の第2シートが第3層を含んでいることにおいて、上述した実施例1と異なっていた。実施例2は、第3層以外において、上述した実施例1と同一の構成を有していた。実施例2において、光学部材は、
図12に示すように、第3層、第1層及び第2層を、第3方向D3における第2側から第1側へ向けてこの順で含んでいた。第3層は第2光学要素部とした。第2光学要素部は、硬化前の紫外線硬化性樹脂組成物を型と第1層との間に供給し、型と第1層との間で硬化させることによって、成形した。
【0160】
第2光学要素部は、第2本体部と、第2本体部上に配列された凸部としての第2単位光学要素と、を含んでいた。第2光学要素部は、
図9A及び
図9Bを参照して説明した形状や配列等の構成を有する第2単位光学要素を含んでいた。
図9Bに示すように、第2単位光学要素は、三角錐形状の凸部であった。第2単位光学要素は、三つの要素面を含んでいた。三角錐形状の底面は、直角二等辺三角形形状であった。
図9Aに示すように、同一形状の第2単位光学要素を、底面の向きを四種類に変化させて、第2本体部上に隙間無く敷き詰めた。第2単位光学要素の要素面は、底面をなす直角二等辺三角形形状の等辺から延び出た等辺要素面と、底面をなす直角二等辺三角形形状の底辺から延び出た底辺要素面と、を含んでいた。底面をなす直角二等辺三角形形状の等辺をなす二辺の長さは、それぞれ、0.1mmとした。各等辺要素面の傾斜角θ76は16.5°であった。底辺要素面の傾斜角θ76は16.5°であった。要素面の傾斜角は、
図12に示すように、要素面への法線方向と第3方向との間の角度であって、0°以上90°未満の値となる。等辺要素面及び底辺要素面によって、第2シートの入光面となる第2凹凸面が構成されていた。
【0161】
<実施例3>
実施例3は、光学部材に含まれる第2シートの第2層において、上述した実施例2と異なっていた。実施例3は、第2層以外において、上述した実施例2と同一の構成を有していた。実施例3において、第2シートは、
図12に示すように、第3層、第1層及び第2層を、第3方向D3における第2側から第1側へ向けてこの順で含んでいた。
【0162】
第1光学要素部は、第1本体部と、第1本体部上に配列された凸部としての第1単位光学要素と、を含んでいた。第1光学要素部は、
図8B及び
図8Cを参照して説明した形状や配列等の構成を有する第1単位光学要素を含んでいた。
図8Bに示すように、第1単位光学要素は、正四角錐形状の凸部であった。第1単位光学要素は、四つの第1要素面を含んでいた。
図8Cに示すように、同一形状の第1単位光学要素を、第1方向に±45°傾斜する二つの方向に、一定のピッチで配列した。第1単位光学要素を第2本体部上に隙間無く敷き詰めた。底面をなす正方形の一辺の長さは、0.05mmとした。各第1要素面の傾斜角θ66は45°であった。第1要素面によって、光学部材の出光面となる第1凹凸面が構成されていた。
【0163】
<比較例1>
比較例1は、光学部材の第2シートから第2層を省いた点において、上述した実施例1と異なっていた。比較例1は、第2層以外において、上述した実施例1と同一の構成を有していた。比較例1において、第2シートは、誘電体多層膜である第1層のみを含んでいた。
【0164】
<比較例2>
比較例2は、光学部材の第2シートから第2層を省いた点において、上述した実施例2と異なっていた。比較例2は、第2層以外において、上述した実施例2と同一の構成を有していた。比較例2において、第2シートは、第3層及び第1層を、第3方向D3における第2側から第1側へ向けてこの順で含んでいた。
【0165】
<評価1>
第2シートの透過率を調節した。透過率は、日本分光株式会社製の紫外可視近赤外分光光度計V-670を用いて測定した。透過率を測定する際の入射角は0°、30°及び60°とした。透過率の測定に用いた波長は、380nm以上780nm以下の可視光域を含む波長域にて、1nm毎に変化させた。実施例1の第2シートに関する透過特性を
図14に示す。実施例2の第2シートに関する透過特性を
図15に示す。実施例3の第2シートに関する透過特性を
図16に示す。比較例1の第2シートに関する透過特性を
図17に示す。比較例2の第2シートに関する透過特性を
図18に示す。波長450nmの光についての第2シートの透過率、波長550nmの光についての第2シートの透過率、及び波長650nmの光についての第2シートの透過率を、
図19の表1に示す。
【0166】
図17に示された透過特性は、比較例1の第2シートを構成し且つ実施例1~3及び比較例2の第2シートに含まれた誘電体多層膜の透過特性である。
図14~
図16に示された実施例1~3において、60°の入射角で第2シートに入射した波長550nmの光についての第2シートの透過率は、50%以上となった。
図14~
図16に示された実施例1~3において、60°の入射角で第2シートに入射した波長650nmの光についての第2シートの反射率は、50%未満となった。
図14に示された実施例3において、0°の入射角で第2シートに入射した波長550nmの光についての第2シートの透過率、30°の入射角で第2シートに入射した波長550nmの光についての第2シートの透過率、及び60°の入射角で第2シートに入射した波長550nmの光についての第2シートの透過率は、この順でしだいに大きくなっていった。
図14に示された実施例3において、0°の入射角で第2シートに入射した波長650nmの光についての第2シートの透過率、30°の入射角で第2シートに入射した波長650nmの光についての第2シートの透過率、及び60°の入射角で第2シートに入射した波長650nmの光についての第2シートの透過率は、この順でしだいに大きくなっていった。
【0167】
<評価2>
実施例1~3及び比較例1、2の面光源装置について、光源を発光した状態で、面光源装置の発光面の明るさと、発光面における明るさの面内バラツキを評価した。明るさの評価基準および明るさの面内バラツキの評価基準は、以下の通りとした。発光面における明るさに関する評価結果を
図19の表1における「評価1」に示す。発光面における明るさの面内バラツキに関する評価結果を
図19の表1における「評価2」に示す。
(評価1:明るさ)
B:実製品で不合格となる程度に暗かった。
A:実製品で合格となる程度に明るかった。
AA:実製品で合格となる程度であって、評価Aよりも明るかった。
(評価2:明るさの面内バラツキ)
B:実製品で不合格となる程度に明るさの面内バラツキが生じており、光源の位置が視認された。
A:実製品で合格となる程度に明るさの面内バラツキが抑制されていた。
AA:実製品で合格となる程度であって、評価Aよりも明るさの面内分布が均一であった。
D1:第1方向、D2:第2方向、D3:第3方向、LA:一次光、LB:二次光、θ66:傾斜角θ66、θ76:傾斜角θ76、10:表示装置、15:表示パネル、15a:表示面、20:面光源装置、20a:発光面、22:光源基板、23:光源、25:支持基板、26:基板本体、27:反射層、29:配線、18:光制御部材18、18a:第1面18a、18b:第2面18b、30:光学部材、30a:第1面、30b:第2面、32:接合層、40:第1シート、40a:第1面、40b:第2面、41:第1バリア層、42:第2バリア層、45:波長変換層、45a:第1面、45b:第2面、46:母材部、47:波長変換剤、47A:第1変換剤、47B:第2変換剤、50:第2シート、50a:第1面、50b:第2面、55:第1層、55a:第1面、55b:第2面、56:誘電体多層膜、60:第2層、60X:第1光学要素部、60Y:回折光学素子、60a:第1面、60b:第2面、61:第1凹凸面、62:第1本体部、63:凸部、64:凹部、65:第1単位光学要素、66:第1要素面、70:第3層、70X:第2光学要素部、70Y:回折光学素子、70a:第1面、70b:第2面、71:第2凹凸面、72:第2本体部、73:凸部、74:凹部、75:第2単位光学要素、76:第2要素面、81:光学シート、82:光学シート、85:反射型偏光板