(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005477
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】発電量予測装置、発電量予測方法および発電量予測プログラム
(51)【国際特許分類】
H02S 50/00 20140101AFI20240110BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20240110BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
H02S50/00
H02J3/00 170
H02J3/38 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105669
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】山本 誠司
(72)【発明者】
【氏名】浅尾 芳久
【テーマコード(参考)】
5F151
5F251
5G066
【Fターム(参考)】
5F151KA10
5F251KA10
5G066AA03
5G066HB06
(57)【要約】
【課題】太陽光発電システムにおける発電量をより正確に予測する。
【解決手段】発電量予測装置は、所定時刻における各発電部の発電量のうちの最大値である最大発電量を取得する取得部と、前記発電部ごとに、前記最大発電量に対する前記所定時刻における前記発電部の発電量の割合を算出し、複数の日を含む第1の期間における前記割合の統計値を算出する統計値算出部と、対象日時の気象条件の予測結果を用いて、前記対象日時における前記最大発電量の予測値である予測最大発電量を取得する予測部と、前記予測最大発電量および前記発電部ごとの前記統計値に基づいて、前記対象日時における前記発電部ごとの予測発電量を算出する予測発電量算出部とを備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池パネルを含む複数の発電部を備える太陽光発電システムにおける発電量を予測する発電量予測装置であって、
所定時刻における前記各発電部の発電量のうちの最大値である最大発電量を取得する取得部と、
前記発電部ごとに、前記取得部により取得された前記最大発電量に対する前記所定時刻における前記発電部の発電量の割合を算出し、複数の日を含む第1の期間における前記割合の統計値を算出する統計値算出部と、
対象日時の気象条件の予測結果を用いて、前記対象日時における前記最大発電量の予測値である予測最大発電量を取得する予測部と、
前記予測部により取得された前記予測最大発電量、および前記統計値算出部により算出された前記発電部ごとの前記統計値に基づいて、前記対象日時における前記発電部ごとの発電量の予測値である予測発電量を算出する予測発電量算出部とを備える、発電量予測装置。
【請求項2】
前記発電量予測装置は、さらに、
複数の日を含む第2の期間における前記最大発電量と、前記太陽光発電システムにおける気象条件の実績データとを用いて、前記最大発電量を予測するための予測式または学習モデルを作成する作成部を備え、
前記予測部は、前記対象日時の気象条件の予測結果および前記作成部により作成された前記予測式または前記学習モデルを用いて、前記予測最大発電量を取得する、請求項1に記載の発電量予測装置。
【請求項3】
前記第1の期間および前記第2の期間は、互いに同じ期間である、請求項2に記載の発電量予測装置。
【請求項4】
前記予測部は、日射量および気温を含む前記気象条件の予測結果を用いて、前記予測最大発電量を取得する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発電量予測装置。
【請求項5】
前記第1の期間は、過去の年における前記対象日時と同じ日時を含む期間である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発電量予測装置。
【請求項6】
前記予測発電量算出部は、前記対象日時における前記発電部ごとの前記予測発電量の合計値を算出する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発電量予測装置。
【請求項7】
前記取得部は、1日のうちの複数の所定時刻における前記最大発電量を含む第1の時系列データを取得し、
前記統計値算出部は、前記発電部ごとに、前記所定時刻における前記最大発電量に対する同じ前記所定時刻における前記発電部の発電量の割合を算出し、前記第1の期間における前記複数の所定時刻にそれぞれ対応する複数の前記統計値を含む第2の時系列データを算出し、
前記予測部は、対象日における前記複数の所定時刻の気象条件の予測結果を用いて、前記複数の所定時刻の各々における前記予測最大発電量を取得し、
前記予測発電量算出部は、前記予測部により取得された前記各予測最大発電量および前記統計値算出部により算出された前記第2の時系列データに基づいて、前記対象日の前記複数の所定時刻における前記発電部ごとの前記予測発電量を算出する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発電量予測装置。
【請求項8】
太陽電池パネルを含む複数の発電部を備える太陽光発電システムにおける発電量を予測する発電量予測装置、における発電量予測方法であって、
所定時刻における前記各発電部の発電量のうちの最大値である最大発電量を取得するステップと、
前記発電部ごとに、取得した前記最大発電量に対する前記所定時刻における前記発電部の発電量の割合を算出し、複数の日を含む第1の期間における前記割合の統計値を算出するステップと、
対象日時の気象条件の予測結果を用いて、前記対象日時における前記最大発電量の予測値である予測最大発電量を取得するステップと、
取得した前記予測最大発電量、および算出した前記発電部ごとの前記統計値に基づいて、前記対象日時における前記発電部ごとの発電量の予測値である予測発電量を算出するステップとを含む、発電量予測方法。
【請求項9】
太陽電池パネルを含む複数の発電部を備える太陽光発電システムにおける発電量を予測する発電量予測装置、において用いられる発電量予測プログラムであって、
コンピュータを、
所定時刻における前記各発電部の発電量のうちの最大値である最大発電量を取得する取得部と、
前記発電部ごとに、前記取得部により取得された前記最大発電量に対する前記所定時刻における前記発電部の発電量の割合を算出し、複数の日を含む第1の期間における前記割合の統計値を算出する統計値算出部と、
対象日時の気象条件の予測結果を用いて、前記対象日時における前記最大発電量の予測値である予測最大発電量を取得する予測部と、
前記予測部により取得された前記予測最大発電量、および前記統計値算出部により算出された前記発電部ごとの前記統計値に基づいて、前記対象日時における前記発電部ごとの発電量の予測値である予測発電量を算出する予測発電量算出部、
として機能させるための、発電量予測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発電量予測装置、発電量予測方法および発電量予測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽光発電システムにおける発電量を予測する技術が提案されている。
【0003】
たとえば、特許文献1(特開2015-35520号公報)には、以下のような推定方法が開示されている。すなわち、推定方法は、太陽光発電システムによる発電電力を推定するための推定方法であって、発電電力を推定しようとしている推定対象時における推定対象時日射量、及び前記推定対象時における推定対象時気温を取得する取得ステップと、前記推定対象時日射量、及び前記推定対象時気温から、下記式(1)に基づいて、前記推定対象時における推定発電電力を演算する演算ステップとを含む。
推定発電電力=日射量×f(日射量,気温)・・・(1)
ただし、式(1)中、f(日射量,気温)は、日射量及び気温を変数として含んだ関数を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術を超えて、太陽光発電システムにおける発電量をより正確に予測することが可能な技術が望まれる。
【0006】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、太陽光発電システムにおける発電量をより正確に予測することが可能な発電量予測装置、発電量予測方法および発電量予測プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の発電量予測装置は、太陽電池パネルを含む複数の発電部を備える太陽光発電システムにおける発電量を予測する発電量予測装置であって、所定時刻における前記各発電部の発電量のうちの最大値である最大発電量を取得する取得部と、前記発電部ごとに、前記取得部により取得された前記最大発電量に対する前記所定時刻における前記発電部の発電量の割合を算出し、複数の日を含む第1の期間における前記割合の統計値を算出する統計値算出部と、対象日時の気象条件の予測結果を用いて、前記対象日時における前記最大発電量の予測値である予測最大発電量を取得する予測部と、前記予測部により取得された前記予測最大発電量、および前記統計値算出部により算出された前記発電部ごとの前記統計値に基づいて、前記対象日時における前記発電部ごとの発電量の予測値である予測発電量を算出する予測発電量算出部とを備える。
【0008】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える発電量予測装置として実現され得るだけでなく、発電量予測装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得たり、発電量予測装置を含む発電量予測システムとして実現され得る。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、太陽光発電システムにおける発電量をより正確に予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の実施の形態に係る太陽光発電システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施の形態に係るPCSユニットの構成を示す図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施の形態に係る集電ユニットの構成を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施の形態に係る太陽電池ユニットの構成を示す図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施の形態に係る発電量予測システムの構成を示す図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施の形態に係る発電量予測システムにおける監視装置の構成を示す図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施の形態に係る発電量予測装置の構成を示す図である。
【
図8】
図8は、本開示の実施の形態に係る発電量予測装置における最大値取得部により作成される最大発電量データDmaxの一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本開示の実施の形態に係る発電量予測装置における統計値算出部により算出される割合データDRの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、本開示の実施の形態に係る発電量予測装置における統計値算出部により作成される中央値データDmedの一例を示す図である。
【
図11】
図11は、本開示の実施の形態に係る発電量予測装置における予測発電量算出部により算出される予測発電量Pvの一例を示す図である。
【
図12】
図12は、本開示の実施の形態に係る発電量予測装置が最大発電量データDmaxおよび割合データDRの作成を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【
図13】
図13は、本開示の実施の形態に係る発電量予測装置が予測気温データDPtおよび予測日射量データDPsの作成を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【
図14】
図14は、本開示の実施の形態に係る発電量予測装置が予測発電量Pxの算出を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
【0012】
(1)本開示の実施の形態に係る発電量予測装置は、太陽電池パネルを含む複数の発電部を備える太陽光発電システムにおける発電量を予測する発電量予測装置であって、所定時刻における前記各発電部の発電量のうちの最大値である最大発電量を取得する取得部と、前記発電部ごとに、前記取得部により取得された前記最大発電量に対する前記所定時刻における前記発電部の発電量の割合を算出し、複数の日を含む第1の期間における前記割合の統計値を算出する統計値算出部と、対象日時の気象条件の予測結果を用いて、前記対象日時における前記最大発電量の予測値である予測最大発電量を取得する予測部と、前記予測部により取得された前記予測最大発電量、および前記統計値算出部により算出された前記発電部ごとの前記統計値に基づいて、前記対象日時における前記発電部ごとの発電量の予測値である予測発電量を算出する予測発電量算出部とを備える。
【0013】
このように、発電部ごとに、各発電部の発電量のうちの最大発電量に対する発電部の発電量の割合の、第1の期間における統計値を算出し、対象日時における最大発電量の予測値および発電部ごとの当該統計値に基づいて、対象日時における発電部ごとの予測発電量を算出する構成により、発電部ごとに、最大発電量を基準とした発電量の統計値を用いて予測発電量を算出することができるので、発電部ごとの発電量の傾向を考慮して、より正確な予測発電量を算出することができる。したがって、太陽光発電システムにおける発電量をより正確に予測することができる。
【0014】
(2)上記(1)において、前記発電量予測装置は、さらに、複数の日を含む第2の期間における前記最大発電量と、前記太陽光発電システムにおける気象条件の実績データとを用いて、前記最大発電量を予測するための予測式または学習モデルを作成する作成部を備えてもよく前記予測部は、前記対象日時の気象条件の予測結果および前記作成部により作成された前記予測式または前記学習モデルを用いて、前記予測最大発電量を取得してもよい。
【0015】
このような構成により、対象日時におけるより正確な予測最大発電量を取得することができる。
【0016】
(3)上記(2)において、前記第1の期間および前記第2の期間は、互いに同じ期間であってもよい。
【0017】
このような構成により、季節性の気象条件、太陽電池パネルの劣化および汚れ等の条件が統計値の算出結果に与える影響と、当該条件が予測式または学習モデルの作成に与える影響とを一致させることができるので、統計値および予測式または学習モデルを用いて、より正確な予測発電量を算出することができる。
【0018】
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、前記予測部は、日射量および気温を含む前記気象条件の予測結果を用いて、前記予測最大発電量を取得してもよい。
【0019】
気象条件の中でも日射量および気温が発電量に与える影響は特に大きいところ、このような構成により、気象条件に応じたより正確な予測最大発電量を取得することができる。
【0020】
(5)上記(1)から(4)のいずれかにおいて、前記第1の期間は、過去の年における前記対象日時と同じ日時を含む期間であってもよい。
【0021】
このような構成により、1年周期での季節性の気象条件等の影響による発電量の変化の傾向を示す統計値を用いて、対象日時における発電部ごとの予測発電量をより正確に算出することができる。
【0022】
(6)上記(1)から(5)のいずれかにおいて、前記予測発電量算出部は、前記対象日時における前記発電部ごとの前記予測発電量の合計値を算出してもよい。
【0023】
このような構成により、太陽光発電システム全体の発電量を外部の装置に通知することができる。
【0024】
(7)上記(1)から(6)のいずれかにおいて、前記取得部は、1日のうちの複数の所定時刻における前記最大発電量を含む第1の時系列データを取得してもよく、前記統計値算出部は、前記発電部ごとに、前記所定時刻における前記最大発電量に対する同じ前記所定時刻における前記発電部の発電量の割合を算出し、前記第1の期間における前記複数の所定時刻にそれぞれ対応する複数の前記統計値を含む第2の時系列データを算出してもよく、前記予測部は、対象日における前記複数の所定時刻の気象条件の予測結果を用いて、前記複数の所定時刻の各々における前記予測最大発電量を取得してもよく、前記予測発電量算出部は、前記予測部により取得された前記各予測最大発電量および前記統計値算出部により算出された前記第2の時系列データに基づいて、前記対象日の前記複数の所定時刻における前記発電部ごとの前記予測発電量を算出してもよい。
【0025】
このように、複数の所定時刻における最大発電量を含む第1の時系列データを取得し、複数の統計値を含む第2の時系列データを算出する構成により、所定時刻ごとに最大発電量の取得および統計値の算出を行う構成と比べて、処理負荷を軽減することができる。
【0026】
(8)本開示の実施の形態に係る発電量予測方法は、太陽電池パネルを含む複数の発電部を備える太陽光発電システムにおける発電量を予測する発電量予測装置、における発電量予測方法であって、所定時刻における前記各発電部の発電量のうちの最大値である最大発電量を取得するステップと、前記発電部ごとに、取得した前記最大発電量に対する前記所定時刻における前記発電部の発電量の割合を算出し、複数の日を含む第1の期間における前記割合の統計値を算出するステップと、対象日時の気象条件の予測結果を用いて、前記対象日時における前記最大発電量の予測値である予測最大発電量を取得するステップと、取得した前記予測最大発電量、および算出した前記発電部ごとの前記統計値に基づいて、前記対象日時における前記発電部ごとの発電量の予測値である予測発電量を算出するステップとを含む。
【0027】
このように、発電部ごとに、各発電部の発電量のうちの最大発電量に対する発電部の発電量の割合の、第1の期間における統計値を算出し、対象日時における最大発電量の予測値および発電部ごとの当該統計値に基づいて、対象日時における発電部ごとの予測発電量を算出する方法により、発電部ごとに、最大発電量を基準とした発電量の統計値を用いて予測発電量を算出することができるので、発電部ごとの発電量の傾向を考慮して、より正確な予測発電量を算出することができる。したがって、太陽光発電システムにおける発電量をより正確に予測することができる。
【0028】
(9)本開示の実施の形態に係る発電量予測プログラムは、太陽電池パネルを含む複数の発電部を備える太陽光発電システムにおける発電量を予測する発電量予測装置、において用いられる発電量予測プログラムであって、コンピュータを、所定時刻における前記各発電部の発電量のうちの最大値である最大発電量を取得する取得部と、前記発電部ごとに、前記取得部により取得された前記最大発電量に対する前記所定時刻における前記発電部の発電量の割合を算出し、複数の日を含む第1の期間における前記割合の統計値を算出する統計値算出部と、対象日時の気象条件の予測結果を用いて、前記対象日時における前記最大発電量の予測値である予測最大発電量を取得する予測部と、前記予測部により取得された前記予測最大発電量、および前記統計値算出部により算出された前記発電部ごとの前記統計値に基づいて、前記対象日時における前記発電部ごとの発電量の予測値である予測発電量を算出する予測発電量算出部、として機能させるためのプログラムである。
【0029】
このように、発電部ごとに、各発電部の発電量のうちの最大発電量に対する発電部の発電量の割合の、第1の期間における統計値を算出し、対象日時における最大発電量の予測値および発電部ごとの当該統計値に基づいて、対象日時における発電部ごとの予測発電量を算出する構成により、発電部ごとに、最大発電量を基準とした発電量の統計値を用いて予測発電量を算出することができるので、発電部ごとの発電量の傾向を考慮して、より正確な予測発電量を算出することができる。したがって、太陽光発電システムにおける発電量をより正確に予測することができる。
【0030】
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0031】
<構成および基本動作>
[太陽光発電システムの構成]
図1は、本開示の実施の形態に係る太陽光発電システムの構成を示す図である。
【0032】
図1を参照して、太陽光発電システム401は、4つのPCSユニット80と、キュービクル6とを備える。キュービクル6は、銅バー73を含む。
【0033】
図1では、4つのPCSユニット80を代表的に示しているが、さらに多数または少数のPCSユニット80が設けられてもよい。
【0034】
図2は、本開示の実施の形態に係るPCSユニットの構成を示す図である。
【0035】
図2を参照して、PCSユニット80は、4つの集電ユニット60と、PCS8とを備える。PCS8は、銅バー7と、電力変換部9とを含む。
【0036】
図2では、4つの集電ユニット60を代表的に示しているが、さらに多数または少数の集電ユニット60が設けられてもよい
【0037】
図3は、本開示の実施の形態に係る集電ユニットの構成を示す図である。
【0038】
図3を参照して、集電ユニット60は、4つの太陽電池ユニット74と、集電箱71とを含む。集電箱71は、銅バー72を有する。
【0039】
図3では、4つの太陽電池ユニット74を代表的に示しているが、さらに多数または少数の太陽電池ユニット74が設けられてもよい。
【0040】
図4は、本開示の実施の形態に係る太陽電池ユニットの構成を示す図である。
【0041】
図4を参照して、太陽電池ユニット74は、4つの発電部78A,78B,78C,78Dと、接続箱76とを含む。以下、発電部78A,78B,78C,78Dの各々を発電部78とも称する。発電部78は、太陽電池パネル79を有する。接続箱76は、銅バー77を有する。
【0042】
図4では、4つの発電部78を代表的に示しているが、さらに多数または少数の発電部78が設けられてもよく、たとえば20個の発電部78が設けられてもよい。
【0043】
発電部78は、この例では4つの太陽電池パネル79が直列接続されたストリングである。
【0044】
図4では、1つの発電部78に対して、4つの太陽電池パネル79を代表的に示しているが、さらに多数または少数の太陽電池パネルが設けられてもよい。
【0045】
太陽光発電システム401では、複数の発電部78からの出力ライン1および集約ライン2,5すなわち電力線が、
図2に示すPCS8に電気的に接続される。
【0046】
PCS8において、電力変換部9は、たとえば、各発電部78において発電された直流電力を出力ライン1、銅バー77、集約ライン5、銅バー72、集約ライン2、銅バー7および内部ライン3経由で受けると、受けた直流電力を交流電力に変換して集約ライン4へ出力する。
【0047】
集約ライン4は、電力変換部9に接続された第1端と、銅バー73に接続された第2端とを有する。
【0048】
キュービクル6において、各PCS8における電力変換部9から各集約ライン4へ出力された交流電力は、銅バー73を介して系統へ出力される。
【0049】
[発電量予測システムの構成]
図5は、本開示の実施の形態に係る発電量予測システムの構成を示す図である。
【0050】
図5を参照して、発電量予測システム301は、太陽光発電システム401に用いられる。発電量予測システム301は、発電量予測装置161と、複数の監視装置111と、複数の収集装置151とを含む。
【0051】
図5では、1つの集電ユニット60に対応して設けられた4つの監視装置111を代表的に示しているが、1つの集電ユニット60に対応してさらに多数または少数の監視装置111が設けられてもよい。
【0052】
発電量予測システム301では、子機である監視装置111におけるセンサの情報が、親機である収集装置151へ定期的または不定期に伝送される。
【0053】
監視装置111は、たとえば集電ユニット60に設けられている。より詳細には、監視装置111は、4つの太陽電池ユニット74にそれぞれ対応して4つ設けられている。各監視装置111は、たとえば、対応の出力ライン1および集約ライン5に電気的に接続されている。
【0054】
監視装置111は、対応の太陽電池ユニット74における発電部78を監視する。たとえば、監視装置111は、対応の太陽電池ユニット74における各出力ライン1の電流をセンサにより計測する。また、たとえば、監視装置111は、対応の太陽電池ユニット74における各出力ライン1の電圧をセンサにより計測する。
【0055】
収集装置151は、各監視装置111からの監視結果を収集する。収集装置151は、たとえばPCS8の近傍に設けられている。より詳細には、収集装置151は、PCSユニット80に対応して設けられ、信号線46を介してPCS8における銅バー7に電気的に接続されている。収集装置151は、対応のPCSユニット80における集電ユニット60に設けられた監視装置111からの監視結果を収集する。
【0056】
監視装置111および収集装置151は、集約ライン2,5を介して電力線通信(PLC:Power Line Communication)を行うことにより情報の送受信を行う。
【0057】
より詳細には、各監視装置111は、所定の計測周期Cmに従う計測タイミングにおいて、対応の出力ライン1の電流および電圧を計測し、計測結果を含む監視結果を送信する。
【0058】
収集装置151は、集約ライン2,5経由で情報を送受信することが可能である。具体的には、収集装置151は、たとえば、信号線46および集約ライン2,5を介して監視装置111と電力線通信を行い、監視装置111からの監視結果を受信する。
【0059】
収集装置151は、たとえばVPN(Virtual Private Network)を介して、発電量予測装置161と情報の送受信を行う。
【0060】
[監視装置の構成]
図6は、本開示の実施の形態に係る発電量予測システムにおける監視装置の構成を示す図である。
図6では、接続箱76の内部がより詳細に示されている。
【0061】
図6を参照して、出力ライン1の各々は、プラス側出力ライン1pと、マイナス側出力ライン1nとを含む。集約ライン5は、プラス側集約ライン5pと、マイナス側集約ライン5nとを含む。銅バー77は、プラス側銅バー77pと、マイナス側銅バー77nとを含む。
【0062】
図示しないが、
図3に示す集電箱71における銅バー72は、プラス側集約ライン5pおよびマイナス側集約ライン5nにそれぞれ対応して、プラス側銅バー72pおよびマイナス側銅バー72nを含む。
【0063】
プラス側出力ライン1pは、対応の発電部78に接続された第1端と、プラス側銅バー77pに接続された第2端とを有する。マイナス側出力ライン1nは、対応の発電部78に接続された第1端と、マイナス側銅バー77nに接続された第2端とを有する。
【0064】
プラス側集約ライン5pは、プラス側銅バー77pに接続された第1端と、集電箱71におけるプラス側銅バー72pに接続された第2端とを有する。マイナス側集約ライン5nは、マイナス側銅バー77nに接続された第1端と、集電箱71におけるマイナス側銅バー72nに接続された第2端とを有する。
【0065】
監視装置111は、取得部11と、通信部14と、4つの電流センサ16と、電圧センサ17と、記憶部18とを備える。なお、監視装置111は、出力ライン1の数に応じて、さらに多数または少数の電流センサ16を備えてもよく、たとえば20個の電流センサ16を備えてもよい。
【0066】
監視装置111は、たとえば、発電部78の近傍に設けられている。具体的には、監視装置111は、たとえば、計測対象の出力ライン1が接続された銅バー77が設けられた接続箱76の内部に設けられている。なお、監視装置111は、接続箱76の外部に設けられてもよい。
【0067】
監視装置111は、たとえば、プラス側集約ライン5pおよびマイナス側集約ライン5nとそれぞれプラス側電源線26pおよびマイナス側電源線26nを介して電気的に接続されている。以下、プラス側電源線26pおよびマイナス側電源線26nの各々を、電源線26とも称する。
【0068】
取得部11は、発電部78の電流の計測結果を取得する。より詳細には、取得部11は、電流センサ16により計測された出力ライン1の出力電流を示す計測結果を取得する。また、取得部11は、電圧センサ17により計測された出力ライン1の出力電圧を示す計測結果を取得する。
【0069】
具体的には、電流センサ16は、たとえば、ホール素子タイプの電流プローブである。電流センサ16は、発電部78とPCS8との間に接続され、監視装置111の図示しない電源回路から受けた電力を用いて、対応のマイナス側出力ライン1nを通して流れる電流を、計測周期Cmに従う計測タイミングごとに計測し、計測結果を取得部11へ出力する。なお、電流センサ16は、プラス側出力ライン1pを通して流れる電流を計測してもよい。
【0070】
電圧センサ17は、出力ライン1の出力電圧を計測する。より詳細には、電圧センサ17は、プラス側銅バー77pおよびマイナス側銅バー77n間の電圧を、計測周期Cmに従う計測タイミングごとに計測し、計測結果を取得部11へ出力する。
【0071】
取得部11は、たとえば、複数の電流センサ16および電圧センサ17から受けた各々の計測結果、複数の電流センサ16および電圧センサ17の各々の計測時刻、ならびに対応する電流センサ16および電圧センサ17の各々のID等を含む監視結果を、記憶部18に保存する。
【0072】
通信部14は、集約ライン2,5を介した電力線通信を、複数の監視装置111からの監視結果を収集する収集装置151と行うことが可能である。具体的には、通信部14は、たとえば、記憶部18に保存されている最新の監視結果を定期的または不定期に取得し、取得した監視結果に監視装置111のIDを含めて、PCS8経由で収集装置151へ送信する。
【0073】
収集装置151は、各監視装置111から監視結果を受信する。より詳細には、収集装置151は、各監視装置111から受信した複数の監視結果に収集装置151のIDを含めて、収集装置151のIDを含む当該複数の監視結果を発電量予測装置161へ送信する。
【0074】
[発電量予測装置の構成]
図7は、本開示の実施の形態に係る発電量予測装置の構成を示す図である。
【0075】
図7を参照して、発電量予測装置161は、監視結果取得部31と、気象情報取得部32と、発電実績算出部33と、最大値取得部34と、統計値算出部35と、作成部36と、予測部37と、予測発電量算出部38と、記憶部39とを備える。最大値取得部34は、取得部の一例である。監視結果取得部31、気象情報取得部32、発電実績算出部33、最大値取得部34、統計値算出部35、作成部36、予測部37および予測発電量算出部38の一部または全部は、たとえば、1または複数のプロセッサを含む処理回路(Circuitry)により実現される。記憶部39は、たとえば上記処理回路に含まれる不揮発性メモリである。
【0076】
たとえば、発電量予測装置161の機能の一部または全部は、クラウドコンピューティングによって提供される。すなわち、発電量予測装置161は、複数のクラウドサーバ等によって構成される。なお、発電量予測装置161は、クラウドサーバ等によって構成される代わりに、たとえば収集装置151に内蔵されてもよい。
【0077】
発電量予測装置161は、太陽光発電システム401における発電量を予測する。たとえば、発電量予測装置161は、対象日TDにおける所定の処理時刻tpにおいて、当該処理時刻tpの1時間半後の時刻である対象時刻txにおける各発電部78の発電量を予測する。たとえば、対象日TDは、毎日である。また、たとえば、処理時刻tpは、8時半から15時半までの期間における30分間隔の時刻であり、対象時刻txは、10時から17時までの期間における30分間隔の時刻である。一例として、対象時刻txは、10時から17時までの、毎時ゼロ分および毎時30分である。なお、対象日TDは、毎日でなくてもよく、たとえば1週間のうちの所定の曜日であってもよい。
【0078】
(監視結果取得部)
監視結果取得部31は、各監視装置111から送信された監視結果を収集装置151およびVPN経由で受信する。監視結果取得部31は、受信した複数の監視結果を記憶部39に保存する。
【0079】
(気象情報取得部)
気象情報取得部32は、定期的に、現在時刻から所定時間後までの気象の予測結果を示す気象情報を取得する。たとえば、気象情報取得部32は、気象情報として、メソ数値予報モデル(MSM:Meso Scale Model)GPV(Grid Point Value)を一般財団法人気象業務支援センターから取得する。メソ数値予報モデルGPVは、39時間後まで1時間単位での、日本近郊における5kmの格子領域ごとの気象予測データを含む。当該気象予測データは、気温、および水平面における全天日射量等の気象の予測結果を示す。
【0080】
メソ数値予報モデルGPVは、一般財団法人気象業務支援センターにより3時間ごとに更新される。気象情報取得部32は、メソ数値予報モデルGPVが更新されるたびに、更新されたメソ数値予報モデルGPVを一般財団法人気象業務支援センターから取得し、取得したメソ数値予報モデルGPVを記憶部39に保存する。
【0081】
なお、気象情報取得部32は、メソ数値予報モデルGPVの代わりに、またはメソ数値予報モデルGPVに加えて、他の気象情報を取得する構成であってもよい。
【0082】
(発電実績算出部)
発電実績算出部33は、発電部78ごとに、対象時刻txにおける発電部78の発電量の実績値である発電実績値Pを算出する。
【0083】
たとえば、記憶部39には、収集装置151のIDと、監視装置111のIDと、電流センサ16のIDと、発電部78のIDと、PCS8のIDとの対応関係を示す対応テーブルTa1が保存されている。
【0084】
発電実績算出部33は、監視結果取得部31により記憶部39に保存された対象時刻txの監視結果および対応テーブルTa1を参照して、当該監視結果に含まれる電流センサ16ごとの計測結果と、当該監視結果に1つ含まれる電圧センサ17の計測結果とを乗じることにより、対象時刻txにおける発電部78ごとの発電実績値Pを算出する。発電実績算出部33は、算出した発電部78ごとの発電実績値Pを、発電部78のIDに対応付けて記憶部39に保存する。
【0085】
(最大値取得部)
最大値取得部34は、対象時刻txにおける各発電部78の発電量のうちの最大値である最大発電量Pmaxを取得する。より詳細には、最大値取得部34は、対象時刻txにおける各発電部78の発電実績値Pを記憶部39から取得し、取得した各発電実績値Pのうちの最大値である最大発電量Pmaxを抽出する。
【0086】
図8は、本開示の実施の形態に係る発電量予測装置における最大値取得部により作成される最大発電量データDmaxの一例を示す図である。
図8は、最大値取得部34により作成される2021年5月1日の最大発電量データDmaxを示している。
【0087】
図8を参照して、最大値取得部34は、たとえば1日ごとに、1日のうちの各対象時刻txにおける各発電部78の発電実績値Pを記憶部39から取得し、取得した各発電実績値Pから各対象時刻txにおける最大発電量Pmaxを抽出し、抽出した各最大発電量Pmaxを含む最大発電量データDmaxを作成する。最大発電量データDmaxは、第1の時系列データの一例である。最大値取得部34は、作成した最大発電量データDmaxを記憶部39に保存する。なお、「第1の」「第2の」の記載は、優先順位を意味するものではない。
【0088】
最大発電量データDmaxは、上述したように、太陽光発電システム401における複数の発電部78の発電実績値Pの中から、対象時刻txごとに最も大きい発電実績値Pを抽出することにより作成されるものであり、太陽電池パネル79の汚れおよび影の影響による発電効率の低下量が小さい、太陽光発電システム401において最も発電効率が高い仮想的な発電部78による疑似的な発電実績値Pを示す時系列データである。
【0089】
(統計値算出部)
統計値算出部35は、発電部78ごとに、対象時刻txにおける最大発電量Pmaxに対する、当該対象時刻txにおける発電部78の発電量の割合Rを算出する。
【0090】
図9は、本開示の実施の形態に係る発電量予測装置における統計値算出部により算出される割合データDRの一例を示す図である。
図9は、統計値算出部35により作成される、発電部78ごとの2021年5月1日の割合データDRを示している。
【0091】
図9を参照して、統計値算出部35は、たとえば1日ごとに、1日のうちの各対象時刻txにおける各発電部78の発電実績値Pおよび同じ日の最大発電量データDmaxを記憶部39から取得し、発電部78ごとに、各対象時刻txにおける発電実績値Pを同じ対象時刻txにおける最大発電量Pmaxで除した割合Rを算出する。統計値算出部35は、発電部78ごとに、各対象時刻txにおける割合Rを含む割合データDRを作成し、作成した割合データDRを記憶部39に保存する。
【0092】
統計値算出部35は、発電部78ごとに、複数の日を含む算出対象期間Tmにおける割合Rの中央値Pmedを算出する。算出対象期間Tmは、第1の期間の一例である。中央値Pmedは、統計値の一例である。
【0093】
たとえば、算出対象期間Tmは、過去の年における、対象日TDの対象時刻txと同じ日時を含む期間である。一例として、算出対象期間Tmは、対象日TDの1年前の日の2週間前の日から、対象日TDの1年前の日の2週間後の日までの29日間の期間である。すなわち、算出対象期間Tmは、対象日TDの1年前の日と、対象日TDの1年前の日の直前の2週間と、対象日TDの1年前の日の直後の2週間とを含む期間である。
【0094】
図10は、本開示の実施の形態に係る発電量予測装置における統計値算出部により作成される中央値データDmedの一例を示す図である。
図10は、統計値算出部35により対象日TDである2022年5月2日の前日に作成される、発電部78Aの中央値データDmedを示している。
【0095】
図10を参照して、統計値算出部35は、対象日TDの前日における所定の作成タイミングT1において、発電部78ごとに、当該対象日TDに対応する算出対象期間Tmにおける複数の対象時刻txにそれぞれ対応する複数の中央値Pmedを含む中央値データDmedを作成する。中央値データDmedは、第2の時系列データの一例である。作成タイミングT1は、たとえば22時30分である。
【0096】
具体的には、統計値算出部35は、当該対象日TDに対応する算出対象期間Tmにおける発電部78Aの割合データDRを記憶部39から取得し、取得した各割合データDRに基づいて、対象時刻txごとに算出対象期間Tmにおける割合Rの中央値Pmedを算出する。統計値算出部35は、算出した各中央値Pmedを含む、発電部78Aの中央値データDmedを作成する。統計値算出部35は、同様にして、発電部78A以外の各発電部78の中央値データDmedを作成する。
【0097】
統計値算出部35は、発電部78ごとに作成した中央値データDmedを記憶部39に保存する。
【0098】
(作成部)
作成部36は、複数の日を含む作成対象期間Tcにおける最大発電量Pmaxと、太陽光発電システム401における気象条件の実績データとを用いて、最大発電量Pmaxを予測するための予測式Fを作成する。作成対象期間Tcは、第2の期間の一例である。
【0099】
たとえば、算出対象期間Tmおよび作成対象期間Tcは、互いに同じ期間である。すなわち、作成対象期間Tcは、算出対象期間Tmと同じく、対象日TDの1年前の日の2週間前の日から、対象日TDの1年前の日の2週間後の日までの29日間の期間である。
【0100】
たとえば、作成部36は、対象日TDの前日における所定の作成タイミングT2において、当該対象日TDに対応する作成対象期間Tcにおける最大発電量Pmaxと、太陽光発電システム401における気象条件の実績データとを用いて、予測式Fを作成する。作成タイミングT2は、たとえば22時30分である。
【0101】
より詳細には、作成部36は、気象条件の実績データとして、1日ごとに、対象時刻txにおける、気温の計測結果である実測気温Mt、および太陽電池パネル79の受光面と平行な面における全天日射量の計測結果である実測全天日射量Msを取得する。たとえば、作成部36は、太陽光発電システム401における太陽電池パネル79の近傍に設けられた図示しない温度計および日射計から実測気温Mtおよび実測全天日射量Msを取得する。当該日射計は、受光部が太陽電池パネル79の受光面と平行になるように配置される。作成部36は、温度計および日射計から実測気温Mtおよび実測全天日射量Msを取得するたびに、取得した実測気温Mtおよび実測全天日射量Msを記憶部39に蓄積する。
【0102】
なお、作成部36は、太陽電池パネル79の受光面と平行ではない面における全天日射量の計測結果に基づいて、実測全天日射量Msを算出する構成であってもよい。より詳細には、作成部36は、受光部が太陽電池パネル79の受光面と平行ではない日射計から全天日射量の計測結果を取得し、取得した全天日射量の計測結果に基づいて、太陽電池パネル79の受光面と平行な面における実測全天日射量Msを算出する。また、作成部36は、太陽光発電システム401における一部の太陽電池パネル79の受光面が他の太陽電池パネル79の受光面と平行ではない場合、受光面の傾斜角および方位角が一致する太陽電池パネル79ごとに実測全天日射量Msを取得または算出する構成であってもよい。また、作成部36は、気象条件の実績データとして、温度計および日射計から実測気温Mtおよび実測全天日射量Msを取得する代わりに、気象庁のデータベースから実測気温Mtおよび実測全天日射量Msを取得する構成であってもよい。
【0103】
作成部36は、対象日TDの前日における作成タイミングT2が到来すると、当該対象日TDに対応する作成対象期間Tcにおける最大発電量データDmax、実測気温Mtおよび実測全天日射量Msを記憶部39から取得する。そして、作成部36は、作成対象期間Tcにおける実測気温Mtおよび実測全天日射量Msを説明変数として用い、かつ作成対象期間Tcにおける最大発電量データDmaxに含まれる最大発電量Pmaxを目的変数として用いて重回帰分析を行うことにより、予測式Fを作成する。作成部36は、作成した予測式Fを記憶部39に保存する。
【0104】
(予測部)
予測部37は、対象日時の気象条件の予測結果を用いて、対象日時における最大発電量Pmaxの予測値である予測最大発電量PRmaxを取得する。
【0105】
たとえば、予測部37は、日射量および気温を含む気象条件の予測結果を用いて、予測最大発電量PRmaxを取得する。
【0106】
より詳細には、記憶部39には、太陽光発電システム401が設けられる発電所の所在地の緯度および経度、太陽電池パネル79の傾斜角および方位角、ならびに発電所の所在地における時間帯ごとの太陽の仰角および方位角等を示す発電所情報が保存されている。
【0107】
予測部37は、気象情報取得部32により記憶部39にメソ数値予報モデルGPVが保存されると、当該メソ数値予報モデルGPVから、記憶部39における発電所情報が示す発電所の所在地に最も近い格子領域の気象予測データを抽出する。具体的には、予測部37は、メソ数値予報モデルGPVから、発電所の所在地を含む格子領域の気象予測データを抽出する。
【0108】
ここで、上述したように、メソ数値予報モデルGPVは、3時間ごとに気象情報取得部32により取得されて記憶部39に保存され、39時間後まで1時間単位での気象予測データを含む。
【0109】
予測部37は、抽出した複数の気象予測データが示す1時間単位の時系列の気温の予測結果を、30分単位の予測結果となるように補間することにより、対象時刻txにおける予測気温Ptを示す予測気温データDPtを作成する。たとえば、予測部37は、気象情報取得部32により記憶部39にメソ数値予報モデルGPVが保存されると、次の対象時刻txから当該対象時刻txの3時間後の時刻までの期間における30分ごとの予測気温Ptを示す予測気温データDPtを作成する。
【0110】
また、予測部37は、抽出した複数の気象予測データが示す1時間単位の時系列の全天日射量の予測結果を、30分単位の予測結果となるように補間することにより、対象時刻txにおける全天日射量を算出する。そして、予測部37は、算出した対象時刻txにおける全天日射量、発電所情報が示す太陽電池パネル79の傾斜角および方位角、ならびに発電所情報が示す太陽の仰角および方位角に基づいて、対象時刻txにおける、太陽電池パネル79の受光面と平行な面における全天日射量である予測全天日射量Psを示す予測日射量データDPsを作成する。たとえば、予測部37は、気象情報取得部32により記憶部39にメソ数値予報モデルGPVが保存されると、次の対象時刻txから当該対象時刻txの3時間後の時刻までの期間における30分ごとの予測全天日射量Psを示す予測日射量データDPsを作成する。
【0111】
予測部37は、作成した予測気温データDPtおよび予測日射量データDPsを記憶部39に保存する。予測部37は、気象情報取得部32により記憶部39にメソ数値予報モデルGPVが保存されるたびに、予測気温データDPtおよび予測日射量データDPsを作成し、記憶部39における予測気温データDPtおよび予測日射量データDPsを、新たに作成した予測気温データDPtおよび予測日射量データDPsに更新する。
【0112】
たとえば、予測部37は、発電所の所在地がメソ数値予報モデルGPVにおける複数の格子領域にまたがっている場合、発電所の所在地を含む複数の格子領域の気象予測データをそれぞれ抽出する。予測部37は、抽出した各気象予測データに基づいて、格子領域ごとに太陽電池パネル79の受光面と平行な面における全天日射量を算出し、格子領域ごとに算出した全天日射量の平均値を用いて予測日射量データDPsを作成する。また、予測部37は、抽出した各気象予測データが示す気温の平均値を用いて予測気温データDPtを作成する。
【0113】
たとえば、予測部37は、対象日時の気象条件の予測結果および作成部36により作成された予測式Fを用いて、予測最大発電量PRmaxを取得する。
【0114】
また、たとえば、予測部37は、対象日TDにおける複数の対象時刻txの気象条件の予測結果を用いて、当該複数の対象時刻txの各々における予測最大発電量PRmaxを取得する。
【0115】
より詳細には、予測部37は、対象日TDにおける処理時刻tpが到来すると、記憶部39における予測気温データDPtおよび予測日射量データDPsから、当該処理時刻tpの1時間半後の対象時刻txにおける予測気温Ptおよび予測全天日射量Psを取得し、取得した予測気温Ptおよび予測全天日射量Psを説明変数として予測式Fに入力することにより、当該対象時刻txにおける最大発電量Pmaxの予測値である予測最大発電量PRmaxを取得する。
【0116】
予測部37は、対象日TDにおいて、処理時刻tpが到来するたびに、当該処理時刻tpの1時間半後の対象時刻txにおける予測最大発電量PRmaxを取得し、取得した予測最大発電量PRmaxを予測発電量算出部38へ出力する。
【0117】
(予測発電量算出部)
予測発電量算出部38は、予測部37により取得された予測最大発電量PRmax、および統計値算出部35により算出された発電部78ごとの中央値Pmedに基づいて、対象日時における発電部78ごとの発電量の予測値である予測発電量Pvを算出する。
【0118】
たとえば、予測発電量算出部38は、予測部37により取得された対象時刻txごとの予測最大発電量PRmaxおよび統計値算出部35により作成された中央値データDmedに基づいて、対象日TDの複数の対象時刻txにおける発電部78ごとの予測発電量Pvを算出する。
【0119】
図11は、本開示の実施の形態に係る発電量予測装置における予測発電量算出部により算出される予測発電量Pvの一例を示す図である。
図11は、予測発電量算出部38により算出される、対象日TDである2022年5月1日における各発電部78の予測発電量Pvを示している。
【0120】
図11を参照して、予測発電量算出部38は、予測部37から対象時刻txにおける予測最大発電量PRmaxを受けて、記憶部39における各中央値データDmedから、当該対象時刻txにおける各発電部78の中央値Pmedを取得する。予測発電量算出部38は、受けた予測最大発電量PRmaxと、取得した各中央値Pmedとの積を、当該対象時刻txにおける各発電部78の予測発電量Pvとして算出する。
【0121】
たとえば、予測発電量算出部38は、対象日時における発電部78ごとの予測発電量Pvの合計値を算出する。
【0122】
より詳細には、予測発電量算出部38は、算出した発電部78ごとの予測発電量Pvの和を、太陽光発電システム401における発電量の予測値である予測発電量Pxとして算出する。
【0123】
予測発電量算出部38は、算出した予測発電量Pxを示す予測結果を、電力広域運営推進機関(OCCTO)へ通知する。なお、予測発電量算出部38は、予測結果を電力広域運営推進機関(OCCTO)へ通知する代わりに、予測結果を音声または表示により太陽光発電システム401の管理者へ通知する構成であってもよい。
【0124】
[動作の流れ]
図12は、本開示の実施の形態に係る発電量予測装置が最大発電量データDmaxおよび割合データDRの作成を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。発電量予測装置161は、たとえば1日ごとに、
図12に示すフローチャートの処理を実行する。
【0125】
図12を参照して、まず、発電量予測装置161は、1日のうちの各対象時刻txにおける各発電部78の発電実績値Pを記憶部39から取得する。本実施の形態では、発電量予測装置161は、10時から17時までの、毎時ゼロ分および毎時30分である対象時刻txにおける発電実績値Pを記憶部39から取得する(ステップS11)。
【0126】
次に、発電量予測装置161は、取得した各発電実績値Pから各対象時刻txにおける最大発電量Pmaxを抽出し、抽出した各最大発電量Pmaxを含む最大発電量データDmaxを作成する(ステップS12)。
【0127】
次に、発電量予測装置161は、取得した各発電実績値Pおよび作成した最大発電量データDmaxを用いて、発電部78ごとに、各対象時刻txにおける発電実績値Pを同じ対象時刻txにおける最大発電量Pmaxで除した割合Rを含む割合データDRを作成する(ステップS13)。
【0128】
次に、発電量予測装置161は、作成した最大発電量データDmaxおよび割合データDRを記憶部39に保存する(ステップS14)。
【0129】
次に、発電量予測装置161は、翌日に対応する算出対象期間Tmにおける各発電部78の割合データDRを記憶部39から取得し、取得した各割合データDRに基づいて、発電部78ごとに、複数の対象時刻txにそれぞれ対応する複数の中央値Pmedを含む中央値データDmedを作成する(ステップS15)。
【0130】
次に、発電量予測装置161は、翌日に対応する作成対象期間Tcにおける最大発電量データDmax、実測気温Mtおよび実測全天日射量Msを記憶部39から取得し、取得した実測気温Mtおよび実測全天日射量Msを説明変数として用い、かつ取得した最大発電量データDmaxに含まれる最大発電量Pmaxを目的変数として用いて重回帰分析を行うことにより、予測式Fを作成する(ステップS16)。
【0131】
次に、発電量予測装置161は、作成した中央値データDmedおよび予測式Fを記憶部39に保存する(ステップS17)。
【0132】
なお、上記ステップS15とS16との順番は、上記に限らず、順番を入れ替えてもよい。また、上記ステップS11,S12,S13,14とS15,S16,S17との順番は、上記に限らず、順番を入れ替えてもよい。
【0133】
図13は、本開示の実施の形態に係る発電量予測装置が予測気温データDPtおよび予測日射量データDPsの作成を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。発電量予測装置161は、たとえば3時間周期で、
図13に示すフローチャートの処理を実行する。
【0134】
図13を参照して、まず、発電量予測装置161は、メソ数値予報モデルGPVを一般財団法人気象業務支援センターから取得する(ステップS21)。
【0135】
次に、発電量予測装置161は、メソ数値予報モデルGPVから、発電所の所在地を含む格子領域の気象予測データを抽出する(ステップS22)。
【0136】
次に、発電量予測装置161は、抽出した気象予測データが示す時系列の気温の予測結果を補間することにより、対象時刻txにおける予測気温Ptを示す予測気温データDPtを作成する(ステップS23)。
【0137】
次に、発電量予測装置161は、抽出した気象予測データが示す時系列の全天日射量の予測結果を補間することにより、対象時刻txにおける全天日射量を算出する。そして、発電量予測装置161は、算出した全天日射量、発電所情報が示す太陽電池パネル79の傾斜角および方位角、ならびに発電所情報が示す太陽の仰角および方位角に基づいて、対象時刻txにおける予測全天日射量Psを示す予測日射量データDPsを作成する(ステップS24)。
【0138】
次に、発電量予測装置161は、作成した予測気温データDPtおよび予測日射量データDPsを記憶部39に保存する(ステップS25)。
【0139】
なお、上記ステップS23とS24との順番は、上記に限らず、順番を入れ替えてもよい。
【0140】
図14は、本開示の実施の形態に係る発電量予測装置が予測発電量Pxの算出を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【0141】
図14を参照して、まず、発電量予測装置161は、対象日TDにおける処理時刻tpを待ち受け(ステップS31でNO)、対象日TDにおける処理時刻tpが到来すると(ステップS31でYES)、記憶部39における予測気温データDPtおよび予測日射量データDPsから当該処理時刻tpの1時間半後の対象時刻txにおける予測気温Ptおよび予測全天日射量Psを取得する(ステップS32)。
【0142】
次に、発電量予測装置161は、取得した予測気温Ptおよび予測全天日射量Psを説明変数として予測式Fに入力することにより、当該対象時刻txにおける予測最大発電量PRmaxを取得する(ステップS33)。
【0143】
次に、発電量予測装置161は、記憶部39における各中央値データDmedから、当該対象時刻txにおける各発電部78の中央値Pmedを取得する(ステップS34)。
【0144】
次に、発電量予測装置161は、予測最大発電量PRmaxと、取得した各中央値Pmedとの積を、当該対象時刻txにおける各発電部78の予測発電量Pvとして算出する(ステップS35)。
【0145】
次に、発電量予測装置161は、算出した発電部78ごとの予測発電量Pvの和を、太陽光発電システム401における発電量の予測値である予測発電量Pxとして算出する(ステップS36)。
【0146】
次に、発電量予測装置161は、算出した予測発電量Pxを示す予測結果を、電力広域運営推進機関(OCCTO)へ通知する(ステップS37)。
【0147】
次に、発電量予測装置161は、新たな処理時刻tpの到来を待ち受ける(ステップS31でNO)。
【0148】
なお、本開示の実施の形態に係る発電量予測装置161では、予測部37は、気象情報取得部32により記憶部39にメソ数値予報モデルGPVが保存されるたびに、気象予測データの抽出および予測全天日射量Psの算出を行い、予測気温データDPtおよび予測日射量データDPsを作成する構成であるとしたが、これに限定するものではない。予測部37は、予測気温データDPtおよび予測日射量データDPsを作成する代わりに、発電量予測装置161以外の装置により作成された予測気温データDPtおよび予測日射量データDPsを当該装置から受信する構成であってもよいし、太陽光発電システム401の管理者から予測気温データDPtおよび予測日射量データDPsを受け付ける構成であってもよい。
【0149】
また、本開示の実施の形態に係る発電量予測装置161では、予測部37は、発電所の所在地がメソ数値予報モデルGPVにおける複数の格子領域にまたがっている場合、格子領域ごとに抽出した各気象予測データが示す気温の平均値を用いて予測気温データDPtを作成し、格子領域ごとの全天日射量の平均値を用いて予測日射量データDPsを作成する構成であるとしたが、これに限定するものではない。予測部37は、発電所の所在地がメソ数値予報モデルGPVにおける複数の格子領域にまたがっている場合、格子領域ごとに、予測気温データDPtおよび予測日射量データDPsを作成する構成であってもよい。この場合、たとえば、作成部36は、発電所の所在地を含む格子領域ごとに、予測式Fを作成する。
【0150】
また、本開示の実施の形態に係る発電量予測装置161は、作成部36を備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。発電量予測装置161は、作成部36を備えない構成であってもよい。この場合、予測部37は、発電量予測装置161の外部における他の装置から予測式Fを取得し、取得した予測式Fを用いて予測最大発電量PRmaxを取得する。
【0151】
また、本開示の実施の形態に係る発電量予測装置161では、作成部36は、対象日TDの前日における作成タイミングT2において予測式Fを作成する構成であるとしたが、これに限定するものではない。作成部36は、対象日TDの頻度に関わらず、1週間毎、1か月毎、季節毎、1年毎、または不定期に予測式Fを作成する構成であってもよい。また、作成部36は、発電量予測装置161が設置されてから1年と2週間が経過したときに1回のみ予測式Fを作成する構成であってもよい。これらの場合、作成対象期間Tcは、たとえば、予測式Fの作成予定日の1年前の日の2週間前の日から、当該作成予定日の1年前の日の2週間後の日までの29日間の期間である。予測部37は、作成部36により作成された最新の予測式Fを用いて、予測最大発電量PRmaxを取得する。
【0152】
また、本開示の実施の形態に係る発電量予測装置161では、作成部36は、最大発電量Pmaxを予測するための予測式Fを作成する構成であるとしたが、これに限定するものではない。作成部36は、予測式Fの代わりに、作成対象期間Tcにおける最大発電量Pmaxと、太陽光発電システム401における気象条件の実績データとを用いて、最大発電量Pmaxを予測するための学習モデルを作成する構成であってもよい。より詳細には、作成部36は、たとえば、ニューラルネットワークに対して、実測気温Mt、実測全天日射量Msおよび最大発電量Pmaxを学習データとして用いて、予測最大発電量PRmaxを出力できるように機械学習させることにより学習モデルを作成する。作成部36は、予測式Fの場合と同様に、対象日TDの前日、1週間毎、1か月毎、季節毎、1年毎、または不定期に、学習モデルを作成または更新する構成であってもよい。また、作成部36は、発電量予測装置161が設置されてから1年と2週間が経過したときに1回のみ学習モデルを作成する構成であってもよい。これらの場合、予測部37は、予測気温Ptおよび予測全天日射量Psを当該学習モデルに与えることにより、予測最大発電量PRmaxを得る。また、作成部36は、当該学習モデルを作成する代わりに、発電量予測装置161以外の装置により作成された当該学習モデルを当該装置から受信する構成であってもよい。
【0153】
また、本開示の実施の形態に係る発電量予測装置161では、算出対象期間Tmおよび作成対象期間Tcは、互いに同じ期間であるとしたが、これに限定するものではない。算出対象期間Tmおよび作成対象期間Tcは、一部が重複する期間であってもよいし、互いに重複しない期間であってもよい。また、算出対象期間Tmおよび作成対象期間Tcは、互いに異なる長さの期間であってもよい。
【0154】
また、本開示の実施の形態に係る発電量予測装置161では、予測部37は、日射量および気温を含む気象条件の予測結果を用いて、予測最大発電量PRmaxを取得する構成であるとしたが、これに限定するものではない。また、予測部37は、日射量および気温の一方または両方を含まない気象条件の予測結果を用いて、予測最大発電量PRmaxを取得する構成であってもよい。
【0155】
また、本開示の実施の形態に係る発電量予測装置161では、算出対象期間Tmおよび作成対象期間Tcは、過去の年における、対象日TDの対象時刻txと同じ日時を含む期間であるとしたが、これに限定するものではない。算出対象期間Tmおよび作成対象期間Tcは、たとえば、対象日TDの1か月前から当該対象日TDの前日までの期間であってもよい。
【0156】
より詳細には、統計値算出部35は、対象日TDの前日における作成タイミングT1において、発電量予測装置161が設置されてから1年と2週間を経過していない場合、当該対象日TDの1か月前から当該対象日TDの前日までの算出対象期間Tmにおける割合データDRに基づいて、各発電部78の中央値データDmedを作成する。また、たとえば、統計値算出部35は、発電量予測装置161が設置されてから1か月が経過するまでは、中央値データDmedの作成を行わない。
【0157】
作成部36は、対象日TDの前日における所定の作成タイミングT2において、発電量予測装置161が設置されてから1年と2週間を経過していない場合、当該対象日TDの1か月前から当該対象日TDの前日までの作成対象期間Tcにおける最大発電量Pmaxと、太陽光発電システム401における気象条件の実績データとを用いて、予測式Fを作成する。また、たとえば、作成部36は、発電量予測装置161が設置されてから1か月が経過するまでは、予測式Fの作成を行わない。
【0158】
また、本開示の実施の形態に係る発電量予測装置161では、予測発電量算出部38は、予測発電量Pxを算出する構成であるとしたが、これに限定するものではない。予測発電量算出部38は、予測発電量Pxの算出を行わない構成であってもよい。この場合、予測発電量算出部38は、発電部78ごとに算出した予測発電量Pvを示す予測結果を、太陽光発電システム401の管理者または他の装置へ通知する。
【0159】
また、本開示の実施の形態に係る発電量予測装置161では、統計値算出部35は、対象日TDの前日における作成タイミングT1において、対象時刻txごとの中央値Pmedを算出し、算出した中央値Pmedを含む中央値データDmedを作成する構成であるとしたが、これに限定するものではない。統計値算出部35は、作成タイミングT1において中央値データDmedを作成する代わりに、対象日TDの対象時刻txにおいて中央値Pmedを算出する構成であってもよい。
【0160】
また、本開示の実施の形態に係る発電量予測装置161では、統計値算出部35は、発電部78ごとに、算出対象期間Tmにおける割合Rの中央値Pmedを算出する構成であるとしたが、これに限定するものではない。統計値算出部35は、中央値Pmedの代わりに、算出対象期間Tmにおける割合Rの平均値等の、中央値Pmed以外の統計値を算出する構成であってもよい。
【0161】
ところで、太陽光発電システムにおける発電量をより正確に予測することが可能な技術が望まれる。
【0162】
より詳細には、太陽光発電システムにおいて、発電機会を損失することなく、発電量不足によるペナルティを回避するために、約1時間半後の発電量を正確に予測することが望まれる。
【0163】
特許文献1に記載の技術は、一部の太陽電池パネルが季節性の影の中に入った場合において、影の影響を考慮した発電量の予測を行うことができず、発電量を正確に予測することができない場合がある。
【0164】
これに対して、本開示の実施の形態に係る発電量予測装置161では、最大値取得部34は、対象時刻txにおける各発電部78の発電量のうちの最大値である最大発電量Pmaxを取得する。統計値算出部35は、発電部78ごとに、最大値取得部34により取得された最大発電量Pmaxに対する対象時刻txにおける発電部78の発電量の割合Rを算出し、算出対象期間Tmにおける割合Rの中央値Pmedを算出する。予測部37は、対象日時の気象条件の予測結果を用いて、対象日時における最大発電量Pmaxの予測値である予測最大発電量PRmaxを取得する。予測発電量算出部38は、予測部37により取得された予測最大発電量PRmax、および統計値算出部35により算出された発電部78ごとの中央値Pmedに基づいて、対象日時における発電部78ごとの発電量の予測値である予測発電量Pvを算出する。
【0165】
このように、発電部78ごとに、各発電部78の発電量のうちの最大発電量Pmaxに対する発電部78の発電量の割合Rの、算出対象期間Tmにおける中央値Pmedを算出し、対象日時における最大発電量Pmaxの予測値および発電部78ごとの中央値Pmedに基づいて、対象日時における発電部78ごとの予測発電量Pvを算出する構成により、発電部78ごとに、最大発電量Pmaxを基準とした発電量の中央値Pmedを用いて予測発電量Pvを算出することができるので、発電部78ごとの発電量の傾向を考慮して、より正確な予測発電量Pvを算出することができる。したがって、太陽光発電システムにおける発電量をより正確に予測することができる。
【0166】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0167】
上述の実施形態の各処理(各機能)は、1または複数のプロセッサを含む処理回路(Circuitry)により実現される。上記処理回路は、上記1または複数のプロセッサに加え、1または複数のメモリ、各種アナログ回路、各種デジタル回路が組み合わされた集積回路等で構成されてもよい。上記1または複数のメモリは、上記各処理を上記1または複数のプロセッサに実行させるプログラム(命令)を格納する。上記1または複数のプロセッサは、上記1または複数のメモリから読み出した上記プログラムに従い上記各処理を実行してもよいし、予め上記各処理を実行するように設計された論理回路に従って上記各処理を実行してもよい。上記プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、およびASIC(Application Specific Integrated Circuit)等、コンピュータの制御に適合する種々のプロセッサであってよい。なお、物理的に分離した上記複数のプロセッサが互いに協働して上記各処理を実行してもよい。たとえば、物理的に分離した複数のコンピュータのそれぞれに搭載された上記プロセッサがLAN(Local Area Network)、WAN (Wide Area Network)、およびインターネット等のネットワークを介して互いに協働して上記各処理を実行してもよい。上記プログラムは、外部のサーバ装置等から上記ネットワークを介して上記メモリにインストールされても構わないし、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、および半導体必須メモリ等の記録媒体に格納された状態で流通し、上記記録媒体から上記メモリにインストールされても構わない。
【0168】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
太陽電池パネルを含む複数の発電部を備える太陽光発電システムにおける発電量を予測する発電量予測装置であって、
所定時刻における前記各発電部の発電量のうちの最大値である最大発電量を取得する取得部と、
前記発電部ごとに、前記取得部により取得された前記最大発電量に対する前記所定時刻における前記発電部の発電量の割合を算出し、複数の日を含む第1の期間における前記割合の統計値を算出する統計値算出部と、
対象日時の気象条件の予測結果を用いて、前記対象日時における前記最大発電量の予測値である予測最大発電量を取得する予測部と、
前記予測部により取得された前記予測最大発電量、および前記統計値算出部により算出された前記発電部ごとの前記統計値に基づいて、前記対象日時における前記発電部ごとの発電量の予測値である予測発電量を算出する予測発電量算出部とを備え、
前記統計値算出部は、前記統計値として、前記発電部ごとに、前記第1の期間における前記割合の中央値を算出する、発電量予測装置。
【0169】
[付記2]
太陽電池パネルを含む複数の発電部を備える太陽光発電システムにおける発電量を予測する発電量予測装置であって、
処理回路を備え、
前記処理回路は、
所定時刻における前記各発電部の発電量のうちの最大値である最大発電量を取得し、
前記発電部ごとに、取得した前記最大発電量に対する前記所定時刻における前記発電部の発電量の割合を算出し、複数の日を含む第1の期間における前記割合の統計値を算出し、
対象日時の気象条件の予測結果を用いて、前記対象日時における前記最大発電量の予測値である予測最大発電量を取得し、
取得した前記予測最大発電量、および算出した前記発電部ごとの前記統計値に基づいて、前記対象日時における前記発電部ごとの発電量の予測値である予測発電量を算出する、発電量予測装置。
【符号の説明】
【0170】
1 出力ライン
1p プラス側出力ライン
1n マイナス側出力ライン
2,4,5 集約ライン
3 内部ライン
5p プラス側集約ライン
5n マイナス側集約ライン
6 キュービクル
7 銅バー
8 PCS
9 電力変換部
11 取得部
14 通信部
16 電流センサ
17 電圧センサ
18 記憶部
26 電源線
26p プラス側電源線
26n マイナス側電源線
31 監視結果取得部
32 気象情報取得部
33 発電実績算出部
34 最大値取得部
35 統計値算出部
36 作成部
37 予測部
38 予測発電量算出部
39 記憶部
46 信号線
60 集電ユニット
71 集電箱
72,73,77 銅バー
74 太陽電池ユニット
76 接続箱
77p プラス側銅バー
77n マイナス側銅バー
78,78A,78B,78C,78D 発電部
79 太陽電池パネル
80 PCSユニット
111 監視装置
151 収集装置
161 発電量予測装置
301 発電量予測システム
401 太陽光発電システム
Dmax 最大発電量データ
DR 割合データ
Dmed 中央値データ