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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054774
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】ウェアラブルデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/02 20060101AFI20240410BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
A61B5/02 310L
A61B5/02 310N
A61B5/11 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161221
(22)【出願日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅 竜貴
(72)【発明者】
【氏名】笠井 隆
(72)【発明者】
【氏名】吉田 光伸
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
【Fターム(参考)】
4C017AA02
4C017AA09
4C017AB06
4C017AC03
4C017FF15
4C038VA04
4C038VB03
4C038VB31
4C038VC20
(57)【要約】
【課題】生体情報を検出する際、違和感を生じさせることなく、装着性に優れたウェアラブルデバイスを提供する。
【解決手段】ゴーグル10には、被験者の顔に接するフォーム52に表面材により被覆した圧電センサ20が設けられており、圧電センサ20は、顔に沿って配置されると共に、眼窩上動脈64及び滑車上動脈66に交差されている。このため、ゴーグル10では、圧電センサ20を用いて心拍や顔の表情の変化を検出できる。また、人の頭部に装着されるゴーグル10に圧電センサ20を配置しているので、生体情報を検出するために圧電センサ20の優れた装着性が得られ、違和感を生じさせることもない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が外力によって変位する可撓性を有する一対の電極及び圧電体を備え、変位されることで前記圧電体が変位され、前記圧電体の変位に応じて前記一対の電極間の電位差に変化が生じるようにされた長尺状の圧電デバイスと、
変位されることで前記圧電デバイスが変位されるように前記圧電デバイスを被覆する緩衝部材と、
前記圧電デバイスが前記緩衝部材に被覆されて設けられ、人の頭部に装着可能とされ、装着されることで前記圧電デバイスの少なくとも一部が顔の表面に沿うように配置されると共に、浅側頭動脈、眼窩上動脈及び滑車上動脈の少なくとも一つに交差される装着部材と、
を含むウェアラブルデバイス。
【請求項2】
前記装着部材がヘアバンドとされ、該ヘアバンドが装着された際、前記圧電デバイスの長手方向が前記ヘアバンドの長手方向に沿い、人の耳から額を含む範囲に配置される請求項1に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項3】
前記装着部材が眼鏡とされ、前記圧電デバイスが前記眼鏡のテンプルにおいて鎧側から耳の上側に達する範囲に前記圧電デバイスが配置されている請求項1に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項4】
前記緩衝部材は、合成樹脂製又はゴム製のスポンジ材である請求項1に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項5】
前記緩衝部材は、天然繊維又は合成繊維が用いられた布を含む請求項1に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項6】
前記装着部材がゴーグルとされ、該ゴーグルが装着された際、前記圧電デバイスが眼窩の外周に沿うように配置された請求項1に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項7】
前記圧電デバイスは、前記ゴーグルにおいて目の周囲を囲うフレームの顔側に配置されるフォームに設けられ、眼窩の上側を囲う範囲に前記圧電デバイスが配設されている請求項6に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項8】
前記緩衝部材は、前記フォームの人の顔の表面に接する表面材、及び合成樹脂製又はゴム製のスポンジ材を含み、
前記圧電デバイスは、前記スポンジ材と前記表面材との間に配置された請求項7に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項9】
前記緩衝部材としての前記表面材は、天然繊維が用いられた布、合成繊維が用いられた布又はゴム製のスポンジ材とされている請求項8に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項10】
前記ゴーグルは、画像が表示されるディスプレイが配置された電子ゴーグルである請求項6に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項11】
前記圧電デバイスに生じる電位差を検出して、検出した電位差に応じた電気信号を出力する検出部を含む請求項1に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項12】
前記圧電デバイスは、複数が前記装着部材に配置され、複数の前記圧電デバイスの各々が、少なくとも顔の表面に沿うか、又は浅側頭動脈、眼窩上動脈及び滑車上動脈の何れかに交差されることを含む請求項1に記載のウェアラブルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェアラブルデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の生体情報取得装置では、眼鏡装置の鼻パッドの表面に被験者の鼻の側部に接触するチューブを設け、心拍に応じた眼角動脈の拡縮及び被験者の呼吸によるチューブ内の圧力変動を、MEMS(微小電気機械システム)圧力センサにより検出して、被験者の脈数及び呼吸数を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-079095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の生体情報取得装置では、被験者が容易に装着できても、チューブが被験者の鼻の側面に接触することになる。このため、被験者には、チューブが鼻の側面に接触していることにより違和感が生じてしまうことがあり、生体情報の検出において改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記事実を鑑みて成されたものであり、被験者の生体情報検知において、違和感を生じさせることなく、装着性に優れたウェアラブルデバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、以下の対応を含む。
<1> 各々が外力によって変位する可撓性を有する一対の電極及び圧電体を備え、変位されることで前記圧電体が変位され、前記圧電体の変位に応じて前記一対の電極間の電位差に変化が生じるようにされた長尺状の圧電デバイスと、変位されることで前記圧電デバイスが変位されるように前記圧電デバイスを被覆する緩衝部材と、前記圧電デバイスが前記緩衝部材に被覆されて設けられ、人の頭部に装着可能とされ、装着されることで前記圧電デバイスの少なくとも一部が顔の表面に沿うように配置されると共に、浅側頭動脈、眼窩上動脈及び滑車上動脈の少なくとも一つに交差される装着部材と、を含むウェアラブルデバイス。
【0007】
<2> 前記装着部材がヘアバンドとされ、該ヘアバンドが装着された際、前記圧電デバイスの長手方向が前記ヘアバンドの長手方向に沿い、人の耳から額を含む範囲に配置される<1>のウェアラブルデバイス。
【0008】
<3> 前記装着部材が眼鏡とされ、前記圧電デバイスが前記眼鏡のテンプルにおいて鎧側から耳の上側に達する範囲に前記圧電デバイスが配置されている<1>のウェアラブルデバイス。
【0009】
<4> 前記緩衝部材は、合成樹脂製又はゴム製のスポンジ材である<1>から<3>の何れか1のウェアラブルデバイス。
【0010】
<5> 前記緩衝部材は、天然繊維又は合成繊維が用いられた布を含む<1>から<4>の何れか1ウェアラブルデバイス。
【0011】
<6> 前記装着部材がゴーグルとされ、該ゴーグルが装着された際、前記圧電デバイスが眼窩の外周に沿うように配置された<1>のウェアラブルデバイス。
【0012】
<7> 前記圧電デバイスは、前記ゴーグルにおいて目の周囲を囲うフレームの顔側に配置されるフォームに設けられ、眼窩の上側を囲う範囲に前記圧電デバイスが配設されている<6>のウェアラブルデバイス。
【0013】
<8> 前記緩衝部材は、前記フォームの人の顔の表面に接する表面材、及び合成樹脂製又はゴム製のスポンジ材を含み、前記圧電デバイスは、前記スポンジ材と前記表面材との間に配置された<7>のウェアラブルデバイス。
【0014】
<9> 前記緩衝部材としての前記表面材は、天然繊維が用いられた布、合成繊維が用いられた布又はゴム製のスポンジ材とされている<8>のウェアラブルデバイス。
【0015】
<10> 前記ゴーグルは、画像が表示されるディスプレイが配置された電子ゴーグルである<6>から<9>の何れか1のウェアラブルデバイス。
【0016】
<11> 前記圧電デバイスに生じる電位差を検出して、検出した電位差に応じた電気信号を出力する検出部を含む<1>から<10>の何れか1のウェアラブルデバイス。
【0017】
<12> 前記圧電デバイスは、複数が前記装着部材に配置され、複数の前記圧電デバイスの各々が、少なくとも顔の表面に沿うか、又は浅側頭動脈、眼窩上動脈及び滑車上動脈の何れかに交差されることを含む<1>から<11>の何れか1のウェアラブルデバイス。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、圧電体が変位されることで変位に応じて一対の電極の間の電位差に変化が生じる長尺状の圧電デバイスを、人の頭部に装着される装着部材に設けており、装着部材が人の頭に装着されることで、圧電デバイスの少なくとも一部が顔の表面に沿うように配置されると共に、浅側頭動脈、眼窩上動脈及び滑車上動脈の少なくとも一つに交差される。このため、圧電デバイスでは、心拍や顔の表情に変化が生じて皮膚が変位されることで変化する電位差を出力できる。これにより、本発明のウェアラブルデバイスは、被験者の生体情報を検出する際の装着性に優れる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態に係るゴーグルの装着状態を示す正面図である。
図2】(A)は、ゴーグルの裏面視の斜視図、(B)は、ゴーグルの主要部の概略断面図である。
図3】(A)は、センサモジュールの概略を示す外観図、(B)は、センサモジュールのハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】(A)~(C)は、各々圧電センサの主要部を示す側面図である。
図5】第1実施形態に係る表情筋動作波形の概略を示す線図である。
図6】第1実施形態に係る心拍波形の概略を示す線図である。
図7】第2実施形態に係るヘアバンドの装着状態を示す側面図である。
図8】第2実施形態に係るセンサモジュール12の主要部を示す斜視図である。
図9】第2実施形態に係る心拍波形の概略を示す線図である。
図10】第2実施形態の変形例に係るキャップの装着状態を示す側面図である。
図11】第3実施形態に係るメガネの概略構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【0021】
本明細書において、長尺平板状の圧電体の「主面」とは、長尺平板状の圧電体の厚さ方向に直交する面(言い換えれば、圧電体の長さ方向及び幅方向を含む面)を意味する。
本明細書において、部材の「面」は、特に断りがない限り部材の主面を意味する。
本明細書において、厚さ、幅及び長さは、通常の定義通りに厚さ<幅<長さの関係を満たす。
本明細書において、2つの線分のなす角度は、0°以上、90°以下の範囲で表す。
【0022】
また、人体(被験者)の各部位は、部位の名称によって位置及び機能等を特定できることから、以下の説明では、人体の各部位について符号を省略している。
【0023】
〔第1実施形態〕
図1及び図2(A)には、第1実施形態に係るウェアラブルデバイスが示され、図2(B)には、ウェアラブルデバイスの主要部が断面図にて示されている。第1実施形態のウェアラブルデバイスでは、被験者が装着する装着部材としてゴーグル10が用いられており、ゴーグル10は、ウェアラブルデバイスとして機能する。なお、図1には、ゴーグル10が正面図(装着した被験者の正面視の図面)にて示され、図2(A)には、ゴーグル10が裏面側から見た斜視図にて示されている。
【0024】
ゴーグル10には、生体情報検出部を構成するセンサモジュール12が取り付けられている。図3(A)には、センサモジュール12の主要部が外観図にて示され、図3(B)には、センサモジュール12の主要部が概略構成図にて示されている。
【0025】
図3(A)及び図3(B)に示すように、センサモジュール12は、糸状の圧電センサ20、検出部14、及び圧電センサ20と検出部14とを電気的に接続するためのケーブル16を含んでいる。また、センサモジュール12(ゴーグル10)では、検出部14の出力信号から生体情報を取得するためのデータ処理部18が用いられる。
【0026】
圧電センサ20は、外力によって変位する可撓性を有している。圧電センサ20は、長尺状の一対の電極を備え、一対の電極の一方に設けた圧電体(圧電基材)が変位されることで変位に応じて一対の電極の電位差に変化が生じる。
【0027】
検出部14は、圧電センサ20において圧電基材により生じる一対の電極の間の電位差を検知し、該電位差に応じた出力信号を出力する。この際、検出部14は、変位直前の電位差を基準にして変位直後の電位差を検知して、検知した電位差を出力信号として出力してもよい。また、検出部14には、複数の圧電センサ20が接続されてもよい。この場合、検出部14は、複数の圧電センサ20の各々に生じる電位差を圧電センサ20ごとに出力してもよく、複数の圧電センサ20の各々に生じる電位差を合成して出力してもよい。
【0028】
圧電センサ20は、一対の電極として互いに対向された第1の導体及び第2の導体を備え、第1の導体及び第2の導体が外力によって変位(変形)可能にされている。第1の導体及び第2の導体の間には、絶縁体として圧電体が設けられており、圧電体は、印加された張力によって変位することにより分極を発生する。
【0029】
圧電センサ20は、外力によって第1の導体及び第2の導体が変位され圧電体が変位されることで、圧電体の変位に応じた分極及びその分極によって導体に電荷が誘起されて、第1の導体と第2の導体との間に電位差が生じる構成とされている。圧電センサ20が受ける外力には、引張、加圧及び屈曲が含まれ、変位には、これらの外力に応じた部分的又は全体的な伸長、圧縮などの復帰可能な変形(非塑性変形)が含まれる。
【0030】
第1の導体及び第2の導体としては、平板状の導体又は帯板状の導体を適用できる。また、第1の導体及び第2の導体としては、一方が筒形状にされると共に、他方が線状又は糸状(細い棒状)にされて、一方の導体の同軸上に他方の導体が配置された構成とされてもよい。第1実施形態の圧電センサ20は、一例として第1の導体及び第2の導体の一方が筒形状にされて、他方が糸状又は棒状とされている。なお、圧電センサ20は、第1の導体及び第2の導体の各々が平板状の導体又は帯板状の導体とされて略帯状とされてもよい。
【0031】
図4(A)には、第1実施形態に係る圧電センサ20の主要部の一例が側面図にて示されている。
図4(A)に示すように、圧電センサ20は、第1の導体及び第2の導体(一対の電極)の一方としての長尺状の内部導体22を備えると共に、第1の導体及び第2の導体の他方としての略筒形状の外周導体24を備えている。圧電センサ20は、内部導体22と外周導体24とが互いの中心線が重ねられて(略同軸上に)配置されてライン状(同軸ケーブル状)に形成されている。
【0032】
圧電センサ20の内部導体22としては、任意の導体を用いることができるが、錦糸線であることがより好ましい。錦糸線の形態は、繊維に対して圧延銅箔が螺旋状に巻回された構造を有するが、電気伝導度の高い銅が用いられていることにより出力インピーダンスを低下させることが可能となり、電圧信号の検出が容易となると共に、圧電感度及び圧電出力の安定性をより向上できる。
【0033】
圧電センサ20には、圧電基材としての長尺状の圧電体26が設けられている。圧電体26は、有機物(有機化合物、有機圧電材料)であり、光学活性を有するヘリカルキラル高分子(A)を含んでいることが好ましい。なお、圧電センサ20は、第1の導体及び第2の導体の一方に圧電体26が設けられればよい。
【0034】
圧電体26に含まれるヘリカルキラル高分子(A)としては、圧電性をより向上させる観点から、下記式(1)で表される繰り返し単位を含む主鎖を有するポリ乳酸(PLA:polylactic acid)系高分子であることが好ましく、また、D体又はL体からなることが好ましい。圧電体26は、長さ方向とヘリカルキラル高分子(A)の主配向とが略平行とされており、圧電体26は、配向度Fが、0.5以上、1.0未満とされている。なお、ヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向とは、ヘリカルキラル高分子(A)の主たる配向方向を意味する。また、配向度Fは、圧電体26に含まれるヘリカルキラル高分子(A)の配向の度合いを示す指標であり、例えば、広角X線回折装置(リガク社製 RINT2550、付属装置:回転試料台、X線源:CuKα、出力:40kV 370mA、検出器:シンチレーションカウンター)により測定されるc軸配向度である。圧電体26のヘリカルキラル高分子(A)の主配向方向は、圧電体26の配向度Fを測定することによって確認できる。
【0035】
【化1】
【0036】
外周導体24には、内部導体22の外周面に沿いかつ隙間がないようにされて、圧電体26が一方向に螺旋状に巻回されて形成されている。外周導体24は、帯状の導体の少なくとも一方の面に圧電体26が設けられ、圧電体26と共に内部導体22に対して一方向に螺旋状に巻回されることで筒状に形成されてもよい。圧電体26は、一方向に螺旋状に巻回されていることで、外周導体24に加圧(例えば、径方向外側からの押圧)、引張、屈曲等を生じさせる外力を受けた際に、長さ方向に張力(応力)が印加される。圧電体26は、長さ方向に張力(応力)が印加されることで変位し、ヘリカルキラル高分子(A)にずり力が加わり、外周導体24の径方向にヘリカルキラル高分子(A)の分極が生じる。その分極方向は、螺旋状に巻回された圧電体26を、その長さ方向に対して平面と見做せる程度の微小領域の集合体とみなした場合、その構成する微小領域の平面に張力(応力)に起因したずり力がヘリカルキラル高分子(A)に印加された際の圧電応力定数に起因して発生する電界の方向と略一致する。
【0037】
具体的には、例えばポリ乳酸(PLA)において分子構造が左巻き螺旋構造からなるL-乳酸のホモポリマー(PLLA)の場合、PLLAの主配向方向と長さ方向が略平行な圧電体26を、内部導体22に対して左巻きに螺旋状に巻回した構造体に張力(応力)が印加されると、径方向に平行に、張力と垂直な円状断面の中心から外側方向への電界(分極)が発生する。また、これとは逆に、PLLAの主配向方向と長さ方向が略平行な圧電体26を、内部導体22に対して右巻きに螺旋状に巻回した構造体に張力(応力)が印加された場合、径方向に平行に、張力と垂直な円状断面の外側から中心方向への電界(分極)が発生する。
【0038】
また、例えば分子構造が右巻き螺旋構造からなるD-乳酸のホモポリマー(PDLA)の場合、PDLAの主配向方向と長さ方向が略平行な圧電体26を、内部導体22に対して左巻きに螺旋状に巻回した構造体に張力(応力)が印加されると、径方向に平行に、張力と垂直な円状断面の外側から中心方向への電界(分極)が発生する。また、これとは逆に、PDLAの主配向方向と長さ方向が略平行な圧電体26を、内部導体22に対して右巻きに螺旋状に巻回した構造体に張力(応力)が印加されると、径方向に平行に、張力と垂直な円状断面の中心から外側方向への電界(分極)が発生する。
【0039】
これにより、圧電センサ20は、長さ方向に張力が印加された際、螺旋状に配置された圧電体26の各部位において、張力に比例した電位差が位相の揃った状態で発生するため、圧電センサ20は、効果的に張力に比例した電圧(電位差)信号を出力できる。
【0040】
圧電センサ20は、内部導体22と外周導体24との間において、内部導体22の外周面に沿って螺旋状に巻回された絶縁体(図示省略)を備えることが好ましい。絶縁体は、外周導体24の圧電体26と交互に交差された組紐構造をなすことがより好ましく、圧電体26に張力がかかり易くなる観点から、圧電体26と絶縁体との隙間が無い方がより好ましい。
【0041】
内部導体22と外周導体24との間に絶縁体を配置することで、圧電センサ20は、弾性変形可能になると共に、繰り返し屈曲されたり、小さい曲率半径で屈曲されたりした際に隙間が生じるのを抑制でき、かつ内部導体22と外周導体24とを電気的により確実に遮蔽することが可能となり、内部導体22と外周導体24とが電気的に短絡するのを防止できる。このため、圧電センサ20が屈曲して使用される用途においても高い信頼性を確保可能となる。また、絶縁体と圧電体26とは、交互に交差された組紐構造とされてもよく、組紐構造とされることで、圧電センサ20の屈曲変形時において、圧電体26が内部導体22に対して一方向に巻回した状態を保持しやすくできる。
【0042】
圧電センサ20は、外周導体24(及び圧電体26)の外周に絶縁体(図示省略)を備えることが好ましい。外周導体24の外周に絶縁体を備えることにより、外部からの水や汗等の液体やほこり等の侵入などを抑制できて、浸入物に起因する内部導体22と外周導体24との間の漏れ電流の発生を抑制できる。
【0043】
また、圧電センサ20は、圧電体26が長尺平板形状を有する場合、圧電感度、及び圧電出力の安定性を向上する観点から、圧電体26の少なくとも一方の主面の側に機能層が配置されていることが好ましい。機能層は、接着層、ハードコート層、帯電防止層、アンチブロック層、保護層、及び電極層のうちの少なくとも一つを含むことが好ましい。これにより、圧電センサ20は、例えば、圧電デバイス(圧電織物、圧電編物等)、力センサ、アクチュエータ、生体情報取得デバイスへの適用がより容易になる。また、機能層として電極層を含むことで、圧電センサ20を、例えば、圧電デバイス(圧電織物、圧電編物等)、力センサ、アクチュエータ、生体情報取得デバイスの構成要素の一つとして用いた場合に、外周導体24又は内部導体22と、他の積層体との接続をより簡易に行うことができるので、第1実施形態の圧電基材(圧電体26)に張力が印加されたときに、張力に応じた電圧信号が検出されやすくなる。
【0044】
また、接着層を含むことで内部導体22と外周導体24(及び圧電体26)との相対位置がずれにくくなるため、圧電体26に張力がかかりやすくなり、圧電体26に含まれるヘリカルキラル高分子(A)にずり応力が印加されやすくなる。これにより、圧電センサ20は、効果的に張力に比例した電圧出力を内部導体22と外周導体24との間から検出することが可能となる。また、接着層を備えることで、圧電センサ20は、単位引張力当たりの発生電荷量の絶対値がより増加する。
【0045】
図4(B)には、圧電センサ20の他の一例としての圧電センサ20Aの主要部が側面図にて示されている。
図4(B)に示すように、圧電センサ20Aは、外周導体24が二層構造とされている。圧電センサ20Aにおいて外周導体24を二層構造とする際には、一方向に巻回された内側の圧電体26(26A)の外周に、もう一つの圧電体26(26B)を一方向とは交差する他方向に螺旋状に巻回されることが好ましい。この際、圧電体26Aに含まれるヘリカルキラル高分子(A)のキラリティと、圧電体26Bに含まれるヘリカルキラル高分子(A)のキラリティとが互いに異なることが好ましい。
【0046】
これにより、圧電センサ20Aでは、例えば、外周導体24の長さ方向に張力が印加されたときに、圧電体26Aに含まれるヘリカルキラル高分子(A)、及び圧電体26Bに含まれるヘリカルキラル高分子(A)の両方に分極が生じる。分極方向は、いずれも外周導体24の径方向であるので、圧電センサ20Aは、より効果的に張力に比例した電圧信号を検出可能にでき、圧電感度、及び圧電出力の安定性をより向上できる。また、圧電センサ20Aは、圧電体26A及び圧電体26Bの二層構造とすることで、内部導体22に対して、圧電体26A及び圧電体26Bの空隙を少なくして密着させることが可能となり、張力によって発生した電界が効率よく伝達されやすくなり、高感度化を実現できる。
【0047】
図4(C)には、圧電センサ20、圧電センサ20Aとは別の一例としての圧電センサ20Bの主要部が側面図にて示されている。
図4(C)に示すように、圧電センサ20Bは、外周導体24に配置される圧電体26Aと圧電体26Bとが交互に交差された組紐構造とされている。圧電センサ20Bは、圧電体26Aと圧電体26Bとが組紐構造とされることで、外周導体24の長さ方向に張力が印加された際に、圧電体26Aに含まれるヘリカルキラル高分子(A)、及び圧電体26Bに含まれるヘリカルキラル高分子(A)の両方に、外周導体24の径方向に分極が生じるので、圧電感度及び出力電圧の安定性がより向上される。しかも、圧電センサ20Bは、二層構造とした圧電体26A、26Bの間に適度な空隙が生じるため、屈曲変形するような力が働いた際にも、空隙が変形を吸収して、しなやかに屈曲変形しやすくなる。
【0048】
センサモジュール12には、圧電センサ20(20、20A、20Bの何れか)が長尺状に形成されて用いられる。また、センサモジュール12に用いられる圧電センサ20は、機能層としての保護層が設けられて、外周が保護層に被覆されている。
【0049】
一方、センサモジュール12の検出部14は、圧電基材の変位により一対の電極に生じる電位差を検知して、電位差の変化を検知する。また、検出部14は、圧電基材における変位直前における一対の電極の電位差を基準にして変位直後の一対の電極の電位差を検知する。さらに、検出部14は、検知した電位差に応じた信号(電圧)を出力する。
【0050】
検出部14の構成には、特に制限はなく、検出部14は、圧電センサ20における一対の電極の電位差及び電位差の変化を検知して、検知した電位差及び電位差の変化に応じた出力信号を出力できればよい。図3(A)及び図3(B)に示すように、第1実施形態に係る検出部14は、検出回路30及び筒状のケース32を備えている。検出部14は、ケース32内に検出回路30及び検出回路30を動作させるための直流電源としての電池(図示省略)が封入されている。なお、検出回路30は、ICチップが用いられて形成できる。
【0051】
検出回路30は、バッファ部34、フィルタ部36、アンプ部(増幅回路)38、ADC(Analog-Digital-Converter)40、及び出力部42を備えており、検出回路30は、電池から供給される所定電圧の電力によって動作される。
【0052】
バッファ部34の入力側には、ケーブル16を介して圧電センサ20が接続されており、ケーブル16には、同軸ケーブルを用いることができ、ケーブル16は、筒状の導電層、導電層の中心部に配設された導線、導電層と導線との間に介在された絶縁層、及び導電層の外周部を被覆する外層を含んでいる(何れも図示省略)。ケーブル16は、導線の一端が圧電センサ20の内部導体22に接続され、導電層の長手方向一端が圧電センサ20の外周導体24に接続されて、導線及び導電層の他端がバッファ部34に接続されている。なお、ケーブル16は、圧電センサ20側と検出部14側とに分割され、圧電センサ20側のケーブルにジャックが接続され、検出部14側のケーブル16にプラグが接続されて、ジャックにプラグが挿入されることで圧電センサ20と検出部14とが電気的に接続されてもよい。
【0053】
バッファ部34には、オペアンプ(Operational Amplifier)を用いたポルテージフォロワ回路などを適用でき、バッファ部34は、圧電センサ20の内部導体22と外周導体24との間の電位差に応じた電圧信号をフィルタ部36に出力する。フィルタ部36には、例えば、所定のカットオフ周波数のローパスフィルタ(LPF:Low-Pass Filter)が形成されており、フィルタ部36では、電圧信号からノイズ成分を除去する。アンプ部38は、フィルタ部36を通過した電圧信号を増幅し、ADC40は、増幅された電圧信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換する。出力部42は、デジタル信号に変換された出力信号を出力する(出力可能にする)。
【0054】
また、検出回路30では、圧電センサ20から出力される内部導体22と外周導体24との間の電位差が変化することで、変化に応じた電圧信号を出力する。これにより、出力部42は、出力信号として圧電センサ20に生じた電位差の変化に応じて変化する電圧波形が得られる。
【0055】
データ処理部18は、出力部42から出力される出力信号(電圧波形)を取得し、周波数解析等の所要のデータ処理を行うことで、生体情報を取得する。このデータ処理部18には、パーソナルコンピュータ(PC)を用いたデータ処理装置とされてもよく、データ処理部18には、データ処理装置としてのタブレット端末等の携帯端末を用いることもできる。また、データ処理部18は、出力部42として検出回路30に一体形成されてもよい。
【0056】
出力部42には、データ処理部18と接続するための通信インターフェイス(図示省略)を適用でき、通信インターフェイスは、有線方式であてもよく、Wi-Fi規格やBluetooth(登録商標)規格等を用いた無線方式であってもよい。また、出力部42は、USBメモリやSDカード等の可搬式記録媒体が装着可能とされ、装着された可搬式記録媒体に出力信号を記録(データ記録)し、この可搬式記録媒体を介して出力信号をデータ処理部18に受け渡すようにしてもよい。
【0057】
なお、データ処理部18を検出回路30に設けた場合、通信インターフェイスは、データ処理部18において処理されたデータの出力用として用いられる。この場合、データ処理部18には、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサを適用できる。
【0058】
一方、図1及び図2(A)に示すように、ゴーグル10は、略楕円形筒状(略矩形筒状等の他の形状でもより)のフレーム50を備えている。フレーム50は、長軸方向が被験者の左右方向とされて、被験者(人)に装着される。ゴーグル10は、フレーム50が被験者の頭部において左右の眼窩(図示省略)の各々の外側を覆う大きさとされている。なお、以下では、被験者の左右方向、上下方向及び前後方向(又は表裏方向)に対応する方向を、各々ゴーグル10の左右方向、上下方向及び前後方向(又は表裏方向)として説明する。
【0059】
フレーム50は、被験者側が開口されており、被験者側の開口縁は、顔面形状に合うように略波型の凹凸が形成されている(図示省略)。また、フレーム50には、被験者側の開口周縁部にフォーム52が配置されており、フォーム52は、フレーム50の開口の略全周に渡って取り付けられている。
【0060】
図2(B)には、フォーム52が概略断面図にて示されている。
図2(B)に示すように、フォーム52は、圧電センサ20を被覆するための緩衝部材としての被験者の顔(顔の皮膚)に接する表面材54、及び緩衝部材として表面材54の内部に充填されたスポンジ材が用いられた緩衝材56により構成されている。表面材54は、被験者の皮膚に触れた際に被験者に違和感が生じるのを抑制でき、かつ被験者の皮膚等に変位が生じた際に、皮膚等に生じた変位に応じて変位可能とされた布製や合成皮革製とされている。表面材54には、柔軟性を有する素材が用いられ、天然繊維又は合成繊維が用いられた布や合成皮革等を適用できる。また、緩衝材(スポンジ材)56には、樹脂製の合成スポンジ又はスポンジゴムなどの多孔質弾性素材が用いられている。さらに、表面材54には、スポンジ材を用いることもでき、表面材54にスポンジ材が用いられた場合、表面材54と緩衝材56とは、同じスポンジ材又は異なるスポンジ材の何れで構成されてもよい。表面材54と緩衝材56とが同一のスポンジ材で一体化されている中に圧電センサ20が埋め込まれてもよい。これにより、ゴーグル10は、装着した被験者の顔の起伏に応じてフォーム52が変形して表面材54が隙間なく(緊密に)皮膚に接する。
【0061】
また、ゴーグル10のフレーム50には、帯状(ベルト状)のストラップ58(一部を図示)が設けられており、ストラップ58は、長手方向の一端がフレーム50の左右方向の一端部に連結され、長手方向の他端がフレーム50の左右方向の他端部に連結されている。また、ストラップ58は、長さが被験者の頭部の頭回りに応じた長さに調整可能とされている。これにより、ゴーグル10は、ストラップ58が適切な長さに調整されていることでフォーム52の緩衝材56が弾性変形して表面材54が被験者の皮膚に緊密に接するようにして装着できる。
【0062】
このようなゴーグル10としては、フレーム50の被験者とは反対側の面に透明(有色でもよい)のアクリル樹脂などの各種の透明樹脂又はレンズ等が取り付けられて閉塞された眼鏡タイプであってもよい。
【0063】
また、ゴーグル10は、フレーム50の被験者とは反対側にディスプレイ60が配置された電子ゴーグルであってもよい。電子ゴーグルとしてのゴーグル10には、ディスプレイ60としてLCDや有機ELディスプレイ等の薄型の表示媒体を適用できる。また、ディスプレイ60には、スマートフォン等の薄型の通信端末を用いることもできる。
【0064】
すなわち、電子ゴーグルとしてのゴーグル10は、ディスプレイ60が用いられたXR(X Reality:クロスリアリティ)ゴーグルとされている。XRゴーグルは、利用する(表示する)コンテンツにより、VR(Virtual Reality:仮想現実)ゴーグル、MR(Mixed Reality:複合現実)ゴーグル、MR(Substitutional Reality:代替現実)ゴーグル、AR(Augmented Reality:拡張現実)ゴーグル等に分けられる。ゴーグル10は、VRゴーグル、MRゴーグル、MRゴーグル、及びARゴーグルの何れであってもよい。
【0065】
ここで、ウェアラブルデバイスとされているゴーグル10には、センサモジュール12が取り付けられている。
図1に示すように、頭部には、動脈として浅側頭動脈62、眼窩上動脈64及び滑車上動脈66などが頭蓋骨の表面側に形成されている。浅側頭動脈62は、外頸動脈の末端の枝の一つで外耳孔の前方を上行するように形成されている。また、眼窩上動脈64及び滑車上動脈66は、眼窩から前頭骨上を上行するように形成されている。なお、被験者によっては、眼窩上動脈64が形成されていないこともある。
【0066】
図1図2(A)及び図2(B)に示すように、ゴーグル10では、フォーム52内にセンサモジュール12の圧電センサ20が配置されている。圧電センサ20は、裏側(被験者の顔側)に突出している表面材54の内面に接するように配置されている(図2(B)参照)。また、圧電センサ20は、フレーム50の開口周縁に沿うように配策されており、圧電センサ20は、前方視においてフレーム50の右側から上側を経て左側に達すると共に、左側から鼻骨上を経て右側に戻るように配策されている。
【0067】
また、図示は省略しているが、センサモジュール12の検出部14(ケース32)は、ストラップ58に取り付けられており、検出回路30が配置されたケース32は、ゴーグル10が頭に装着されることで後頭部に配置される。ケース32から引き出されているケーブル16は、ストラップ58に沿って配策されて圧電センサ20に接続されている。なお、センサモジュール12は、ケース32が被験者の着衣に配置され、ケース32から引き出されたケーブル16のプラグと、ゴーグル10の圧電センサ20側のケーブル16のジャックとが接続される態様でもよい。
【0068】
次に第1実施形態の作用を説明する。
ゴーグル10は、使用者(被験者)の頭部に装着されて使用される。被験者は、ゴーグル10を使用する際、フォーム52を顔の所定位置(両目を覆う位置)に当てた状態で、頭に回したストラップ58を締めることでゴーグル10が頭部に装着される。このため、ゴーグル10は、使用される際、フォーム52の表面材54が顔の皮膚に密接される。
【0069】
一方、被験者の頭部においては、心拍に応じて浅側頭動脈62、眼窩上動脈64及び滑車上動脈66等が拡縮して皮膚が変位する。この際、皮膚の変位は、往復移動となる。また、被験者が瞬きしたり表情が変化したりすると皮膚が変位する。この際の皮膚の変位も往復移動となる。
【0070】
ゴーグル10では、顔の皮膚にフォーム52の表面材54に緊密に接している。このため、表面材54が接触している皮膚に変位(往復移動)が生じると、表面材54が皮膚の変位に追従して変位する。
【0071】
すなわち、被験者に瞬きや顔の表情に変化が生じる際、眼輪筋等の表情筋が働いて顔の皮膚に振動や伸縮(ずれ)などの変位が生じる。ゴーグル10では、フォーム52の表面材54が接している皮膚に変位が生じると、表面材54に変位が生じて表面材54の変位が圧電センサ20に伝達される。
【0072】
これにより、圧電センサ20では、内部導体22と外周導体24との間の電位差に変化が生じる。この際、圧電センサ20は、眼窩上動脈64や滑車上動脈66と交差するように配置されているので、圧電センサ20は。心拍に起因する変位を効果的に受けることができる。
【0073】
また、圧電センサ20は、顔の表面に沿うように配置されており、特にゴーグル10では、圧電センサ20が眼窩の外側を眼窩に沿って配置されている。さらに、ゴーグル10では、圧電センサ20が鼻骨を跨ぐように配置されている。このため、眼輪筋等の表情筋が働いた際には、皮膚の変位を効果的に受けることができる。
【0074】
ここで、ゴーグル10には、顔の皮膚に接触するフォーム52内にセンサモジュール12の圧電センサ20が配置されている。このため、圧電センサ20は、フォーム52の変位を外力として受けて変位する。
【0075】
圧電センサ20は、変位が生じることで内部導体22及び外周導体24(圧電体26)に変位が生じて圧電体26に引張方向(及び引張方向とは反対方向)の変位が生じる。このため、圧電センサ20では、内部導体22と外周導体24との間の電位差が変化し、圧電センサ20における内部導体22と外周導体24との間の電位差が検出回路30に入力される。また、圧電センサ20は、皮膚に生じた変位の大きさに応じた電位差が生じ、生じた電位差が検出回路30に入力される。このため、検出回路30には、被験者の心拍や顔の表情の変化等に応じた電位差の変化が圧電センサ20から入力される。
【0076】
検出回路30では、圧電センサ20から入力された電位差に応じた出力信号(電圧波形に応じた信号)を出力でき、検出回路30は、被験者の皮膚の変位に応じた出力信号を出力できる。
【0077】
この際、ゴーグル10では、圧電センサ20が眼窩上動脈64及び滑車上動脈66と交差するように配置されていることで、検出回路30の出力信号には、心拍に応じた変化が含まれる。また、ゴーグル10では、圧電センサ20が眼窩(目の周囲)の上側を囲うように配置されていることで、検出回路30の出力信号には、表情筋(特に眼輪筋)の動きに応じた変化が含まれる。また、圧電センサ20では、表情が変化する際、鼻筋(鼻孔圧迫筋及び鼻孔開大筋)が動いて鼻の皮膚が変位することで変位されるので、検出回路30の出力信号には、鼻筋の動きに応じた変化が含まれる。
【0078】
データ処理部18は、検出回路30の出力信号に対して所要の周波数解析を行うことで、生体情報として被験者の心拍に応じて変化する信号波形(心拍波形)、及び被験者の表情筋の動きに応じて変化する信号波形(以下では、表情筋動作波形という)を取得できる。
【0079】
ここで、図5には、ゴーグル10を用いて取得できて生体情報としての表情筋動作波形の概略が線図にて示され、図6には、ゴーグル10を用いて取得できて生体情報としての心拍波形の概略が線図にて示されている。なお、図5及び図6では、横軸が時間(sec)とされ、縦軸が信号レベルとされている。
【0080】
ゴーグル10では、眼窩の上側を囲うように圧電センサ20が配置されている。これにより、図5に示すように、ゴーグル10では、生体情報として瞼の動きを含む被験者の表情の変化を取得できる。眼窩上動脈64及び滑車上動脈66を交差するように圧電センサ20が配置されている。これにより、図6に示すように、ゴーグル10では、生体情報として心拍を取得できる。
【0081】
このように、ゴーグル10では、フォーム52に配置した圧電センサ20を表面材54により被覆していることで、被験者に違和感を生じさせることなく、装着した被験者の生体情報を取得できる。また、ゴーグル10では、被験者が容易に頭部に装着できると共に、フォーム52内に圧電センサ20を配置しているので、生体情報を検出するための圧電センサ20が装着されていると感じることがなく、生体情報を検出するための圧電センサ20が被験者に違和感を生じさせてしまうことがない。
【0082】
また、ゴーグル10では、圧電センサ20がフォーム52の表面材54に配置されて、緩衝材56により表面材54に密接されている。このため、ゴーグル10では、被験者の顔の皮膚の変位に応じて圧電センサ20を変位させることができるので、被験者の顔の皮膚の動きを的確に検出することができて、精度の高い生体情報(心拍波形や表情筋動作波形)を得ることができる。
【0083】
なお、第1実施形態では、1本の圧電センサ20を用い、被験者の両目の周囲に跨るように圧電センサ20を配置した。しかしながら、圧電センサ20は、少なくとも眼窩上動脈64及び滑車上動脈66と交差され、被験者の顔において両目の周囲を囲うように配置されればよく、圧電センサ20は、複数本が用いられて、被験者の目の周囲を囲うように配置されてもよい。この場合、検出回路30には、複数の圧電センサ20が直列接続されて接続されてもよく、複数の圧電センサ20が並列接続されてもよい。
【0084】
〔第2実施形態〕
次に本発明の第2実施形態を説明する。なお、第2実施形態において第1実施形態と同様の機能部品については、第1実施形態と同様の符号を付与してその説明を省略している。
【0085】
第1実施形態では、ウェアラブルデバイスとしてゴーグル10を説明したが、第2実施形態では、ウェアラブルデバイスとしてヘアバンド70を適用している。図7には、ヘアバンド70の装着状態の概略が側面図にて示されている。また、図8には、ヘアバンド70に装着されるセンサモジュール12の概略構成が斜視図にて示されている。
【0086】
図8に示すように、第2実施形態において、センサモジュール12は、圧電センサ20が緩衝部材としての緩衝材72によって被覆されている。緩衝材72は、前記した緩衝材56と同様の材質を用いることができる。
【0087】
緩衝材72は、各々が帯状に形成された内輪72Aと外輪72Bとが用いられ、緩衝材72は、内輪72Aと外輪72Bとが重ねられて一体に接合されている。圧電センサ20は、長手方向が緩衝材72(内輪72A及び外輪72B)の長手方向に沿って設けられて、内輪72Aと外輪72Bとの間に配置されている。センサモジュール12は、圧電センサ20に接続されたケーブル16が、緩衝材72の長手方向の一端側から引き出されている。
【0088】
緩衝材72には、圧電センサ20の内部導体22及び外周導体24の各々が電気的に接続された図示しないジャック(又は雌型コネクタ)の接続口が開口された状態で埋め込まれている。ケーブル16は、電気的に接続されたプラグ(又は雄型コネクタ)が緩衝材72のジャックに挿入されることで、圧電センサ20に電気的に接続される。
【0089】
なお、緩衝材72は、長手方向の両端が接合されて円環状に形成されてもよい。また、圧電センサ20は、帯状又は柱状に形成された緩衝材の中心部に長手方向に沿って形成された挿通孔に挿入されることで、長手方向が緩衝材の長手方向に沿うように配置されてもよい。
【0090】
一方、図7に示すように、ヘアバンド70には、装着部材としてのベルト帯74が用いられている。ベルト帯74は、布や弾性部材等の所要の素材が用いられて、帯状あるいは所定幅の円環状に形成されている。ヘアバンド70は、被験者の頭に装着される際、ベルト帯74が被験者の耳(ウェアラブルデバイス、装着部材)の上及び額に係るように配置される。これにより、被験者の頭部は、ベルト帯74によって締められて圧迫される。なお、ヘアバンド70は、ベルト帯74が帯状と去れていてもよく、この場合、ベルト帯74の長手方向の両端部が後頭部において縛られる等により締結されることで円環状として用いることができる。
【0091】
ヘアバンド70には、緩衝材72の外輪72Bがベルト帯74側とされてベルト帯74に取り付けられている。これにより、圧電センサ20は、ベルト帯74が被験者に装着された際に、ベルト帯74と頭部との間に緩衝材72を介して挟まれて保持される。
【0092】
ここで、ヘアバンド70では、圧電センサ20が少なくとも被験者の一方の耳の上側から額を経て他方の右の上側に達するように配置される。これにより、ヘアバンド70では、圧電センサ20が被験者の浅側頭動脈62、眼窩上動脈64及び滑車上動脈66の各々と交差されるように配置されると共に、緩衝材72が前頭筋及び側頭筋を覆う皮膚に接触するように配置される。
【0093】
このように構成されているヘアバンド70は、ベルト帯74が使用者(被験者)の頭部に装着されて使用される。ヘアバンド70には、ベルト帯74に圧電センサ20が配置されており、圧電センサ20を被覆している緩衝材72(内輪72A)が被験者の頭部の皮膚に接触されている。また、ヘアバンド70では、圧電センサ20が頭部の両側の耳の上側から額に跨って配置される。
【0094】
これにより、被験者は、ヘアバンド70を装着した際、ベルト帯74に圧電センサ20が配置されていても、不快感や違和感が生じることがなく、被験者は、生体情報の取得のための圧電センサ20が配置されていることを意識することなくヘアバンド70を装着できる。
【0095】
また、ヘアバンド70では、圧電センサ20が被験者の心拍に応じて変位されると共に、被験者の瞼が動く際の前頭筋や側頭筋の動きに応じて変位される。すなわち、被験者に瞬きや顔の表情に変化が生じる際、前頭筋等の表情筋が働いて顔の皮膚に変位が生じることで、皮膚に接触している緩衝材72(内輪72A)を介して圧電センサ20が変位される。これにより、圧電センサ20では、内部導体22と外周導体24と共に圧電体26に変位が生じて、内部導体22と外周導体24との間の電位差が変化する。
【0096】
センサモジュール12では、検出回路30が圧電センサ20に生じる電位差を検出して、検出した電位差の変化に応じた出力信号を出力する。これにより、データ処理部18では、浅側頭動脈62等の収縮に起因する電位差の変化に応じた波形(心拍波形)、及び主に前頭筋や側頭筋の動きに起因する電位差の変化に応じた波形(表情筋動作波形)を取得できる。
【0097】
図9には、ヘアバンド70を用いて取得した生体情報としての心拍波形の概略が線図にて示されている。なお、図9では、横軸が時間(sec)とされ、縦軸が信号レベルとされている。
【0098】
ヘアバンド70では、浅側頭動脈62、眼窩上動脈64及び滑車上動脈66と交差するように圧電センサ20が配置されている。このうち、眼窩上動脈64及び滑車上動脈66に比して浅側頭動脈62に生じる収縮が大きい。これにより、図9に示すように、ヘアバンド70では、生体情報として心拍を効果的に取得できる。
【0099】
このように、ヘアバンド70では、圧電センサ20を用いたセンサモジュール12が設けられていることで、装着した被験者の生体情報を取得できる。また、ヘアバンド70では、被験者が容易に頭部に装着できると共に、ベルト帯74に圧電センサ20を配置しているので、生体情報を検出するための圧電センサ20が装着されていると感じることがなく、生体情報を検出するための圧電センサ20が被験者に違和感を生じさせてしまうことがない。
【0100】
また、ヘアバンド70では、圧電センサ20を被覆している緩衝材72がベルト帯74により圧縮されている。このため、ヘアバンド70は、被験者の顔の皮膚の変位に応じて圧電センサ20を効果的に変位させることができるので、被験者の顔の皮膚の動きを的確に検出することができて、精度の高い生体情報(心拍波形や表情筋動作波形)を得ることができる。
【0101】
一方、第2実施形態では、緩衝材72により被覆された圧電センサ20をベルト帯74に配置したヘアバンド70を用い、圧電センサ20を少なくとも被験者の両側の耳の上側から額の間に保持した。しかしながら、圧電センサ20を少なくとも被験者の両側の耳の上側から額の間に保持する装着部材としては、キャップを用いることもできる。
【0102】
図10には、第2実施形態の変形例としてのキャップ80の装着状態の概略が側面図にて示されている。キャップ80は、センサモジュール12が設けられることで、ウェアラブルデバイスとして機能する。
【0103】
図10に示すように、キャップ80は、外形半球状とされて略円形状の開口が中空内部を開放するクラウン82、及びクラウン82の開口周縁の前側から外方に突設されたバイザ84を備えている。
【0104】
また、キャップ80には、開口周縁の内側に帯状のすべり部86が設けられている。このキャップ80では、緩衝材72により被覆された圧電センサ20がすべり部86に配置されている。
【0105】
これにより、キャップ80は、ウェアラブルデバイスとして用いることができる。また、キャップ80は、ヘアバンド70と同様に装着が容易となっていると共に、圧電センサ20が配置されていても被験者に違和感を生じさせてしまうことがない。したがって、キャップ80は、ヘアバンド70と同様の効果を奏することができる。
【0106】
なお、圧電センサ20を緩衝材72(内輪72A、外輪72B)により被覆した構成は、ヘアバンド70やキャップ80に限らず、サンバイザー等の被験者が頭部に装着するための各種の装着部材に適用でき、これにより、装着部材を被験者の生体情報を検出可能とするウェアラブルデバイスとして機能させることができる。
【0107】
〔第3実施形態〕
次に本発明の第3実施形態を説明する。なお、第3実施形態において第1実施形態又は第2実施形態と同様の機能部品については、第1実施形態又は第2実施形態と同様の符号を付与してその説明を省略している。
【0108】
第3実施形態では、装着部材としてメガネ(眼鏡)を適用し、メガネにセンサモジュール12を取り付けることで、メガネをウェアラブルデバイスとして機能させている。図11には、第3実施形態に係るメガネ90の主要部が斜視図にて示されている。
【0109】
図11に示すように、メガネ90は、左右のレンズがブリッジ部分で連結されて一体とされたレンズ92、及び一対のテンプル94を備えており、テンプル94は、レンズ92の右側及び左側の各々に配置されてよろい部96において連結されている。また、メガネ90は、テンプル94が弾性変形可能とされており、一対のテンプル94は、被験者が装着した際に耳に係る先セル98が、互いの接離方向に揺動可能とされている。このため、被験者は、メガネ90を装着することで頭部が一対のテンプル94の各々により弾性押圧されて、一対のテンプル94によりに挟まれた状態とされる。
【0110】
センサモジュール12は、圧電センサ20が緩衝材100に被覆されて、テンプル94の各々に配置されている。圧電センサ20は、長手方向がテンプル94の長手方向とされて、テンプル94の長手方向の略全域に渡ってテンプル94の内側面(頭部側の面)に配置されている。なお、緩衝材100には、緩衝材56や緩衝材72と同様の構成を適用できる。
【0111】
これにより、圧電センサ20は、メガネ90が被験者に装着された際、緩衝材100がテンプル94により頭部に向けて押圧されてテンプル94と頭部との間に挟まれて保持される。
【0112】
また、メガネ90は、一対のテンプル94の先セル98の各々に図示しないストラップが係止され、非被装着時にストラップを用いて首にかけておくことができるようになっている。テンプル94に配置されている圧電センサ20に電気的に接続されるケーブル16は、ストラップに沿って配策されて検出回路30に接続されている。検出回路30では、各圧電センサ20のケーブル16が並列接続される。
【0113】
このように構成されているメガネ90では、被験者に装着されて際、テンプル94の各々が弾性力によって被験者の頭部を押圧することで保持される。これにより、メガネ90では、浅側頭動脈62の収縮、及び咀嚼筋の一つであり噛む力を生むと共に、下あごを動かす筋肉である側頭筋の動きに応じて圧電センサ20に変位が生じる。
【0114】
また、メガネ90では、圧電センサ20の各々が被験者の心拍に応じて並行して変位されると共に、被験者のあごが動く際に並行して変位される。検出回路30は、並列接続された圧電センサ20の各々に生じる電位差を検出して、検出した電位差の変化に応じた出力信号を出力する。これにより、データ処理部18では、浅側頭動脈62の収縮に起因する電位差の変化に応じた波形(心拍波形)、及び主に側頭筋の動きに起因する電位差の変化に応じた波形(表情筋動作波形)を取得できる。
【0115】
このように、メガネ90では、圧電センサ20を用いたセンサモジュール12が設けられていることで、装着した被験者の生体情報を取得できる。また、メガネ90では、被験者が容易に頭部に装着できると共に、テンプル94に圧電センサ20を配置しているので、生体情報を検出するための圧電センサ20が装着されていると感じることがなく、生体情報を検出するための圧電センサ20が被験者に違和感を生じさせてしまうことがない。
【0116】
また、メガネ90では、ゴーグル10、ヘアバンド70及びキャップ80等と同様に被験者の心拍及び被験者の顔の皮膚の変位に応じて圧電センサ20を効果的に変位させることができるので、被験者の心拍及び顔の皮膚の動きを的確に検出することができて、精度の高い生体情報(心拍波形や表情筋動作波形)を得ることができる。
【0117】
なお、第2実施形態、第2実施形態の変形例及び第3実施形態では、スポンジ材を用いた緩衝材72、100により圧電センサ20を被覆した。しかしながら、圧電センサ20は、天然繊維又は合成繊維が用いられた布により被覆されてもよい。また、圧電センサ20は、緩衝材72、100により被覆されると共に、緩衝材72、100の被験者側の面(被験者に接触する面)に天然繊維又は合成繊維が用いられた布が配置されてもよく、これにより、被験者に快適な装着感を付与できる。
【0118】
以上説明したように、本発明に係るウェアラブルデバイスは、各々が外力によって変位する可撓性を有する一対の電極及び圧電体を備え、変位されることで圧電体が変位され、圧電体の変位に応じて一対の電極間の電位差に変化が生じるようにされた長尺状の圧電デバイスが用いられる。
【0119】
また、本発明のウェアラブルデバイスでは、変位されることで圧電デバイスが変位されるように圧電デバイスが緩衝部材により被覆されて装着部材に配置される。この際、装着部材には、少なくとも一部が顔の表面に沿うように配置されると共に、浅側頭動脈、眼窩上動脈及び滑車上動脈の少なくとも一つに交差されるように圧電デバイスが配置される。
【0120】
これにより、被験者に違和感や不快感を生じさせることなく、生体情報を検出するための圧電デバイスを被験者に装着してもらうことができる。このような緩衝部材としては、天然繊維又は合成繊維が用いられた布が用いらえてもよく、合成樹脂製又はゴム製のスポンジ材が用いられてもよく、布とスポンジ材の両方が用いられてもよい。
【符号の説明】
【0121】
10 ゴーグル(ウェアラブルデバイス、装着部材)
12 センサモジュール
14 検出部
20 圧電センサ(圧電デバイス)
22 内部導体
24 外周導体
26 圧電体
52 フォーム
54 表面材(緩衝部材)
56、72、100 緩衝材(緩衝部材)
62 浅側頭動脈
64 眼窩上動脈
66 滑車上動脈
70 ヘアバンド(ウェアラブルデバイス)
74 ベルト帯(装着部材)
80 キャップ(ウェアラブルデバイス、装着部材)
90 メガネ(ウェアラブルデバイス、装着部材)
図1
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