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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054779
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】分注装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/10 20060101AFI20240410BHJP
【FI】
G01N35/10 C
G01N35/10 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161231
(22)【出願日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】松本 健太
(72)【発明者】
【氏名】芝吹 直伸
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058EA07
2G058ED02
2G058ED14
2G058ED20
2G058ED36
2G058ED38
2G058GB10
2G058GD05
2G058GD06
2G058GE08
2G058GE10
(57)【要約】
【課題】複数のシリンジの各々にピペットチップが取り付けられているか否かを検出することが可能な分注装置を提供することである。
【解決手段】
分注装置100は、複数のシリンジ21および検出ユニット40を含む。検出ユニット40は、接触子43および検出部44を含む。複数のシリンジ21の各々には、ピペットチップ1が取り付け可能である。接触子43がピペットチップ1と接触することにより、接触子43の姿勢が変化する。検出部44は、接触子43の姿勢に基づいて、複数のシリンジ21の各々にピペットチップ1が取り付けられているか否かを検出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピペットチップを取り付け可能な複数のシリンジと、
前記ピペットチップの有無を検出する検出ユニットとを備え、
前記検出ユニットは、
前記ピペットチップと接触することにより姿勢が変化する第1の接触子と、
前記第1の接触子の姿勢に基づいて、前記複数のシリンジの各々に前記ピペットチップが取り付けられているか否かを検出する第1の検出部とを含む、分注装置。
【請求項2】
前記第1の接触子は、前記ピペットチップと接触しない第1の姿勢と、前記ピペットチップと接触する第2の姿勢との間で揺動する、請求項1記載の分注装置。
【請求項3】
前記第1の検出部は、互いに対向する投光部と受光部とを含み、
前記第1の接触子の一部は、前記第1の姿勢において、前記投光部と前記受光部との間に位置する、請求項2記載の分注装置。
【請求項4】
前記第1の接触子を一回転方向に付勢する付勢部材をさらに備える、請求項2または3記載の分注装置。
【請求項5】
前記付勢部材により付勢された前記第1の接触子を掛止する掛止部材をさらに備える、請求項4記載の分注装置。
【請求項6】
前記検出ユニットと前記複数のシリンジとを一方向に沿って相対的に移動させることにより前記第1の接触子を前記複数のシリンジに順次近接させるアクチュエータをさらに備え、
前記複数のシリンジは、前記一方向に配列される、請求項1または2記載の分注装置。
【請求項7】
前記第1の接触子は、前記ピペットチップと接触可能な先端部を含み、前記先端部は屈曲形状を有する、請求項1または2記載の分注装置。
【請求項8】
前記第1の接触子は、基端部と、前記ピペットチップと接触可能に前記基端部から突出する先端部とを含み、
前記先端部は、前記基端部よりも幅狭に形成される、請求項1または2記載の分注装置。
【請求項9】
前記検出ユニットは、
第2の接触子と、
第2の検出部とをさらに含み、
前記複数のシリンジは、第1の列に配置された1以上のシリンジと、第2の列に配置された1以上のシリンジとを含み、
前記第1の接触子は、前記第1の列に配置されたいずれかのシリンジの前記ピペットチップと接触することにより姿勢が変化し、
前記第2の接触子は、前記第2の列に配置されたいずれかのシリンジの前記ピペットチップと接触することにより姿勢が変化し、
前記第1の検出部は、前記第1の接触子の姿勢に基づいて、前記第1の列に配置された1以上のシリンジの各々に前記ピペットチップが取り付けられているか否かを検出し、
前記第2の検出部は、前記第2の接触子の姿勢に基づいて、前記第2の列に配置された1以上のシリンジの各々に前記ピペットチップが取り付けられているか否かを検出する、請求項1または2記載の分注装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分注装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の容器から試料を吸引して別の容器に分注する装置として、分注装置が知られている。例えば、特許文献1には、ピペットを有する高速自動分注装置が記載されている。ピペットの先端には、使い捨てのピペットチップが取り付けられる。ピペットチップがマザープレートに設けられた液体に浸漬するよう挿入された状態で、ピペットチップ内に液体が吸引される。次に、ピペットチップがディスペンスプレートの試験管内に挿入され、ピペットチップ内の液材が試験管に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4927719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
分注後、ピペットから使用済みのピペットチップが脱離され、ピペットに未使用のピペットチップが取り付けられる。この状態で、分注が繰り返される。したがって、分注前には、ピペットに確実にピペットチップが取り付けられているか否かを検出する必要がある。しかしながら、複数のピペットが設けられる場合には、センサ等の配置スペースが制限されるため、複数のピペットの各々に確実にピペットチップが取り付けられているか否かを検出することは容易ではない。
【0005】
本発明の目的は、複数のシリンジの各々にピペットチップが取り付けられているか否かを検出することが可能な分注装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、ピペットチップを取り付け可能な複数のシリンジと、前記ピペットチップの有無を検出する検出ユニットとを備え、前記検出ユニットは、前記ピペットチップと接触することにより姿勢が変化する第1の接触子と、前記第1の接触子の姿勢に基づいて、前記複数のシリンジの各々に前記ピペットチップが取り付けられているか否かを検出する第1の検出部とを含む、分注装置に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数のシリンジの各々にピペットチップが取り付けられているか否かを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施の形態に係る分注装置の外観を示す斜視図である。
図2図1の分注装置の拡大斜視図である。
図3】検出ユニットの下面図である。
図4図3の検出ユニットの動作を説明するための図である。
図5図3の検出ユニットの動作を説明するための図である。
図6図3の検出ユニットの動作を説明するための図である。
図7図3の検出ユニットの動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)分注装置の構成
以下、本発明の実施の形態に係る分注装置について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る分注装置の外観を示す斜視図である。図1に示すように、分注装置100は、基台部10、シリンジユニット20、アクチュエータ30および検出ユニット40を備える。
【0010】
シリンジユニット20は、複数のシリンジ21および保持部22を含む。本例では、4個のシリンジ21が、下方を向く状態で2行2列に配列される。各シリンジ21の下端部には、使い捨てのピペットチップ1が取り付けられる。保持部22は、昇降可能に基台部10に取り付けられ、複数のシリンジ21を保持する。
【0011】
アクチュエータ30は、例えばステッピングモータであり、基台部10に取り付けられる。アクチュエータ30は、水平面内における一方向に沿ってシリンジユニット20を移動させる。なお、分注装置100には、図示しない他のアクチュエータが設けられる。他のアクチュエータは、例えばシリンジユニット20を昇降させる昇降用アクチュエータまたはシリンジユニット20に分注を実行させるシリンジ用アクチュエータを含む。
【0012】
検出ユニット40は、保持部41、支持部42、一対の接触子43および一対の検出部44を含む。保持部41は、上下方向に延びるアームである。保持部41の上端部は、分注装置100の上部に設けられた固定アームに取り付けられる。保持部41の下端部は、支持部42を保持する。支持部42は、一対の接触子43および一対の検出部44を支持する。
【0013】
一対の接触子43はドグとして用いられる。各接触子43の先端部がピペットチップ1と接触することにより、当該接触子43の姿勢が変化する。一対の検出部44は、一対の接触子43にそれぞれ対応する。各検出部44は、対応する接触子43の姿勢に基づいて、シリンジ21にピペットチップ1が取り付けられているか否かを検出する。検出ユニット40の詳細については後述する。
【0014】
いずれかのシリンジ21にピペットチップ1が取り付けられていないことが検出された場合、警告が出力されてもよい。警告として、分注装置100が表示装置に接続されている場合には、シリンジ21の取り付け不良が発生したことを示す文字列が表示装置に表示されてもよい。あるいは、分注装置100が音声出力装置に接続されている場合、同様の内容を示す音声が出力されてもよいし、ブザー等の警告音が出力されてもよい。分注装置100がランプ等の表示灯に接続されている場合、警告の内容に対応する態様で表示灯が点灯、消灯または点滅されてもよい。
【0015】
(2)検出ユニットの構成
図2は、図1の分注装置100の拡大斜視図である。図3は、検出ユニット40の下面図である。図2および図3に示すように、検出ユニット40は、保持部41、支持部42、一対の接触子43および一対の検出部44に加えて、一対の固定部材45、一対の付勢部材46および一対の掛止部材47を含む。一対の固定部材45、一対の付勢部材46および一対の掛止部材47は、一対の接触子43にそれぞれ対応する。
【0016】
図3に示すように、一対の接触子43を区別する場合は、一方の接触子43を接触子43Aと呼び、他方の接触子43を接触子43Bと呼ぶ。また、接触子43Aに対応する検出部44、固定部材45、付勢部材46および掛止部材47を、それぞれ検出部44A、固定部材45A、付勢部材46Aおよび掛止部材47Aと呼ぶ。接触子43Bに対応する検出部44、固定部材45、付勢部材46および掛止部材47を、それぞれ検出部44B、固定部材45B、付勢部材46Bおよび掛止部材47Bと呼ぶ。
【0017】
本実施の形態においては、支持部42は、一対の長辺と一対の短辺とを有する略矩形状のプレートである。各短辺の中心を通って一対の長辺に平行に延びる仮想的な直線を仮想線Lとして定義する。支持部42の下面の領域は、仮想線Lにより領域R1と領域R2とに区画される。接触子43A、検出部44A、固定部材45A、付勢部材46Aおよび掛止部材47Aは、領域R1に配置される。接触子43B、検出部44B、固定部材45B、付勢部材46Bおよび掛止部材47Bは、領域R2に配置される。
【0018】
接触子43A、検出部44A、固定部材45A、付勢部材46Aおよび掛止部材47Aと、接触子43B、検出部44B、固定部材45B、付勢部材46Bおよび掛止部材47Bとは、仮想線Lを挟んで互いに線対称に構成される。そのため、接触子43A、検出部44A、固定部材45A、付勢部材46Aおよび掛止部材47Aの構成について説明し、接触子43B、検出部44B、固定部材45B、付勢部材46Bおよび掛止部材47Bの構成についての説明を適宜省略する。
【0019】
接触子43Aは、基端部43aおよび先端部43bを含む。基端部43aは、一方向に延びる帯状の部材である。基端部43aの外方の側部の略中央には、切欠部43cが形成される。先端部43bは、基端部43aよりも幅狭に形成され、基端部43aの一端部から突出する。本例では、先端部43bは、屈曲形状を有する。具体的には、先端部43bは、基端部43aの一端部から突出して斜め外方に延びる第1の部分43dと、第1の部分43dの先端から斜め内方に延びる第2の部分43eとを有する。
【0020】
固定部材45Aは、例えば円筒状のスペーサまたはベアリングであり、接触子43Aの基端部43aを水平面内で揺動可能に支持部42に固定する。付勢部材46Aは、例えば捩じりバネであり、固定部材45Aに巻回されつつ、固定部材45Aを中心として接触子43Aを一回転方向(図3においては反時計回り)に付勢する。掛止部材47Aは、例えばピンであり、付勢部材46Aにより付勢された接触子43Aの基端部43aに当接する。これにより、接触子43Aが掛止される。このときの接触子43Aの姿勢が第1の姿勢の例である。
【0021】
検出部44Aは、非接触式の光学センサであり、投光部44aおよび受光部44bを含む。投光部44aと受光部44bとは、上下方向(図3においては紙面の奥行方向)に積層して配置される。投光部44aは、受光部44bに向けて光を出射する。受光部44bは、投光部44aにより出射された光を受光することにより受光信号を出力する。本例では、接触子43Aが第1の姿勢にあるときに、投光部44aと受光部44bとの間に接触子43Aの基端部43aが位置する。
【0022】
(3)分注装置の動作
シリンジユニット20は、図1のアクチュエータ30により試料が収容された複数の試験管の上方に移動される。本例では、複数の試験管は、複数のシリンジ21にそれぞれ対応するように、2行2列に配列されている。次に、図示しない昇降用アクチュエータによりシリンジユニット20が下降される。これにより、各ピペットチップ1の下端部が対応する試験管に挿入される。この状態で、図示しないシリンジ用アクチュエータが動作することにより、各試験管に収容されていた試料が対応するピペットチップ1内に吸引される。その後、昇降用アクチュエータによりシリンジユニット20が上昇される。
【0023】
次に、シリンジユニット20は、アクチュエータ30により分注先である複数のバイアルの上方に移動される。本例では、複数のバイアルは、複数のシリンジ21にそれぞれ対応するように、2行2列に配列されている。続いて、昇降用アクチュエータによりシリンジユニット20が下降される。これにより、各ピペットチップ1の下端部が対応するバイアルに挿入される。この状態で、シリンジ用アクチュエータが動作することにより、各ピペットチップ1内に吸引されていた試料が対応するバイアルに吐出される。その後、昇降用アクチュエータによりシリンジユニット20が上昇される。
【0024】
次に、シリンジユニット20は、アクチュエータ30によりピペットチップ1の廃棄部に移動される。廃棄部において、使用済みの各ピペットチップ1が対応するシリンジ21から取り外され、廃棄される。また、各シリンジ21に新たなピペットチップ1が取り付けられる。以上のピペットチップ1による試料の吸引、ピペットチップ1による試料の吐出、使用済みのピペットチップ1の廃棄および新たなピペットチップ1の取り付けが繰り返される。
【0025】
各シリンジ21に新たなピペットチップ1が取り付けられた後、次の分注が行われる前に、各シリンジ21にピペットチップ1が適切に取り付けられたか否かが検出ユニット40により検出される。以下、検出ユニット40の動作について説明する。
【0026】
(4)検出ユニットの動作
図4図7は、図3の検出ユニット40の動作を説明するための図である。以下の説明では、4つのシリンジ21にそれぞれ取り付けられる4つのピペットチップ1をそれぞれピペットチップ1A~1Dと呼ぶ。図4に示すように、ピペットチップ1A~1Dが対応するシリンジ21に適切に取り付けられた場合、検出ユニット40の接触子43Aの先端部43bと、ピペットチップ1Aと、ピペットチップ1Bとが一方向に並ぶ。また、検出ユニット40の接触子43Bの先端部43bと、ピペットチップ1Cと、ピペットチップ1Dとが一方向に並ぶ。
【0027】
ピペットチップ1A,1Bを検出するための接触子43A、検出部44A、固定部材45A、付勢部材46Aおよび掛止部材47Aの動作と、ピペットチップ1C,1Dを検出するための接触子43B、検出部44B、固定部材45B、付勢部材46Bおよび掛止部材47Bの動作とは、基本的に同じである。そのため、接触子43A、検出部44A、固定部材45A、付勢部材46Aおよび掛止部材47Aの動作について説明し、接触子43B、検出部44B、固定部材45B、付勢部材46Bおよび掛止部材47Bの動作についての説明を適宜省略する。
【0028】
図4の状態においては、接触子43Aは第1の姿勢にある。この場合、検出部44Aの投光部44aと受光部44bとの間に接触子43Aの基端部43aが位置するので、投光部44aから出射された光は接触子43Aにより遮光される。したがって、投光部44aから出射された光は受光部44bにより受光されず、受光部44bから受光信号は出力されない。
【0029】
次に、図1のアクチュエータ30によりシリンジユニット20が検出ユニット40に近づく方向に移動される。シリンジユニット20が初期位置から第1の距離だけ移動された時点で、図5に示すように、ピペットチップ1Aが接触子43Aの先端部43bに接触する。この場合、固定部材45Aを中心として、付勢部材46Aによる付勢方向とは反対方向(図5においては時計回り)に接触子43Aが所定角度だけ揺動する。これにより、接触子43Aの基端部43aが検出部44Aの投光部44aと受光部44bとの間から退避される。このときの接触子43Aの姿勢が第2の姿勢の例である。
【0030】
接触子43Aが第2の姿勢にあるときには、投光部44aから出射された光が受光部44bにより受光されるため、受光部44bから受光信号が出力される。したがって、シリンジユニット20が初期位置から第1の距離だけ移動されたときに、受光部44bから受光信号が出力された場合、シリンジ21にピペットチップ1Aが取り付けられていることが検出される。一方、シリンジユニット20が初期位置から第1の距離だけ移動されたときに、受光部44bから受光信号が出力されない場合、シリンジ21にピペットチップ1Aが取り付けられていないことが検出される。
【0031】
続いて、アクチュエータ30によりシリンジユニット20が検出ユニット40に近づく方向にさらに移動される。この場合、図6に示すように、ピペットチップ1Aが接触子43Aから離間する。そのため、接触子43Aは、付勢部材46Aにより一回転方向に付勢される。これにより、接触子43Aは第1の姿勢に戻り、掛止部材47Aにより掛止される。
【0032】
続いて、アクチュエータ30によりシリンジユニット20が検出ユニット40に近づく方向にさらに移動される。シリンジユニット20が初期位置から第1の距離よりも大きい第2の距離だけ移動された時点で、図7に示すように、ピペットチップ1Bが接触子43Aの先端部43bに接触する。この場合、図5と同様に、接触子43Aが第2の姿勢になる。なお、本例では、ピペットチップ1Aが接触子43Aの切欠部43c近傍に位置する。そのため、ピペットチップ1Aは、接触子43Aと干渉しない。これにより、接触子43Aの揺動が阻害されることが防止される。
【0033】
したがって、シリンジユニット20が初期位置から第2の距離だけ移動されたときに、受光部44bから受光信号が出力された場合、シリンジ21にピペットチップ1Bが取り付けられていることが検出される。一方、シリンジユニット20が基準位置から第2の距離だけ移動されたときに、受光部44bから受光信号が出力されない場合、シリンジ21にピペットチップ1Bが取り付けられていないことが検出される。
【0034】
同様にして、ピペットチップ1C,1Dが対応するシリンジ21に取り付けられているか否かを検出することができる。図7の検出ユニット40の動作の終了後、アクチュエータ30によりシリンジユニット20が初期位置に戻される。これにより、次の分注が行われる。
【0035】
(5)効果
本実施の形態に係る分注装置100においては、接触子43の姿勢に基づいて複数のシリンジ21の各々にピペットチップ1が取り付けられているか否かが検出される。この場合、複数のシリンジ21の各々の近傍に検出部44を設置する必要がない。そのため、複数のシリンジ21が設けられる場合でも、検出部44の設置スペースの制限をほとんど受けることがない。これにより、複数のシリンジ21の各々にピペットチップ1が取り付けられているか否かを検出することができる。
【0036】
接触子43は、ピペットチップ1と接触しない第1の姿勢と、ピペットチップ1と接触する第2の姿勢との間で揺動する。この場合、ピペットチップ1と接触しているか否かに応じて接触子43の姿勢を容易に変化させることができる。また、付勢部材46は、接触子43を一回転方向に付勢する。掛止部材47は、付勢部材46により付勢された接触子43を掛止する。そのため、接触子43がピペットチップ1と接触していないときに、接触子43の姿勢を容易に第1の姿勢にすることができる。
【0037】
検出部44は、互いに対向する投光部44aと受光部44bとを含み、接触子43の一部は、第1の姿勢において、投光部44aと受光部44bとの間に位置する。この場合、接触子43がピペットチップ1と接触しているか否かに応じて、受光部44bによる受光量が変化する。これにより、複数のシリンジ21の各々にピペットチップ1が取り付けられているか否かを容易に検出することができる。
【0038】
アクチュエータ30は、シリンジユニット20を一方向に沿って相対的に移動させることにより検出ユニット40とシリンジユニット20と近接させる。この場合、接触子43が一方向に配列される複数のシリンジ21に順次接触される。これにより、複数のシリンジ21の各々にピペットチップ1が取り付けられているか否かをより容易に検出することができる。
【0039】
接触子43において、ピペットチップ1と接触可能な先端部43bは屈曲形状を有する。この場合、接触子43の先端部43bがピペットチップ1に接触したときに、接触子43の姿勢を容易に変化させることができる。また、接触子43において、基端部43aから突出する先端部43bは、基端部43aよりも幅狭に形成される。そのため、複数のシリンジ21の間隔が比較的狭い場合でも、接触子43の先端部43bを複数のシリンジ21の各々のピペットチップ1に選択的に接触させることができる。
【0040】
また、本実施の形態では、検出ユニット40に接触子43Aおよび検出部44Aと、接触子43Bおよび検出部44Bとが設けられる。そのため、複数のシリンジ21が2行2列に配置されている場合でも、各列のシリンジ21の各々にピペットチップ1が取り付けられているか否かを効率的に検出することができる。
【0041】
(6)他の実施の形態
(a)上記実施の形態において、4個のシリンジ21が2行2列に配列されるが、実施の形態はこれに限定されない。複数のシリンジ21がn行2列に配列されてもよい。ここで、本例ではnは2であるが、nは1であってもよい。各ピペットチップ1が接触子43と干渉しない限り、nは3以上であってもよい。あるいは、2個以上のシリンジ21が1列に配置列されてもよい。この場合、検出ユニット40は、接触子43Aおよび検出部44Aを含めばよく、接触子43Bおよび検出部44Bを含まなくてもよい。
【0042】
(b)上記実施の形態において、アクチュエータ30はシリンジユニット20を一方向に移動させるが、実施の形態はこれに限定されない。シリンジユニット20と検出ユニット40とは、相対的に移動されればよい。そのため、アクチュエータ30は、検出ユニット40を一方向に移動させてもよい。
【0043】
(c)上記実施の形態において、検出部44は投光部44aと受光部44bとを含む非接触式の光学センサであるが、実施の形態はこれに限定されない。検出部44は、接触子43の姿勢に基づいてシリンジ21にピペットチップ1が取り付けられているか否かを検出する限り、他の非接触式センサであってもよいし、接触式センサであってもよい。
【0044】
(d)上記実施の形態において、接触子43の基端部43aに切欠部43cが形成されるが、実施の形態は限定されない。各ピペットチップ1が基端部43aと干渉しない場合には、基端部43aに切欠部43cが形成されなくてもよい。
【0045】
また、接触子43の先端部43bは基端部43aよりも幅狭に形成されるが、実施の形態はこれに限定されない。接触子43の先端部43bを各ピペットチップ1に選択的に接触可能である限り、接触子43の先端部43bは、基端部43aと同程度の幅に形成されてもよいし、基端部43aよりも幅広に形成されてもよい。
【0046】
接触子43の先端部43bは屈曲形状を有するが、実施の形態はこれに限定されない。接触子43の先端部43bがピペットチップ1に接触したときに接触子43の姿勢が変化する限り、接触子43の先端部43bは、直線形状または湾曲形状等の他の形状を有してもよい。
【0047】
(e)上記実施の形態において、検出ユニット40に掛止部材47が設けられるが、実施の形態はこれに限定されない。ピペットチップ1と接触しない状態で、付勢部材46により付勢された接触子43の姿勢が第1の姿勢になる限り、検出ユニット40に掛止部材47が設けられなくてもよい。また、上記実施の形態において、付勢部材46は捩じりバネであるが、ゴム等の他の付勢部材であってもよい。
【0048】
(7)態様
上記の複数の例示的な実施の形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0049】
(第1項)一態様に係る分注装置は、
ピペットチップを取り付け可能な複数のシリンジと、
前記ピペットチップの有無を検出する検出ユニットとを備え、
前記検出ユニットは、
前記ピペットチップと接触することにより姿勢が変化する第1の接触子と、
前記第1の接触子の姿勢に基づいて、前記複数のシリンジの各々に前記ピペットチップが取り付けられているか否かを検出する第1の検出部とを含んでもよい。
【0050】
この分注装置においては、第1の接触子の姿勢に基づいて複数のシリンジの各々にピペットチップが取り付けられているか否かが検出される。この場合、複数のシリンジの各々の近傍に検出部を設置する必要がない。そのため、複数のシリンジが設けられる場合でも、検出部の設置スペースの制限をほとんど受けることがない。これにより、複数のシリンジの各々にピペットチップが取り付けられているか否かを検出することができる。
【0051】
(第2項)第1項に記載の分注装置において、
前記第1の接触子は、前記ピペットチップと接触しない第1の姿勢と、前記ピペットチップと接触する第2の姿勢との間で揺動してもよい。
【0052】
この場合、ピペットチップと接触しているか否かに応じて第1の接触子の姿勢を容易に変化させることができる。
【0053】
(第3項)第2項に記載の分注装置において、
前記第1の検出部は、互いに対向する投光部と受光部とを含み、
前記第1の接触子の一部は、前記第1の姿勢において、前記投光部と前記受光部との間に位置してもよい。
【0054】
この場合、第1の接触子がピペットチップと接触しているか否かに応じて、受光部による受光量が変化する。これにより、複数のシリンジの各々にピペットチップが取り付けられているか否かを容易に検出することができる。
【0055】
(第4項)第2項または第3項に記載の分注装置は、
前記第1の接触子を一回転方向に付勢する付勢部材をさらに備えてもよい。
【0056】
この場合、第1の接触子がピペットチップと接触していないときに、第1の接触子の姿勢を容易に第1の姿勢にすることができる。
【0057】
(第5項)第4項に記載の分注装置は、
前記付勢部材により付勢された前記第1の接触子を掛止する掛止部材をさらに備えてもよい。
【0058】
この場合、第1の接触子がピペットチップと接触していないときに、第1の接触子の姿勢をより容易に第1の姿勢にすることができる。
【0059】
(第6項)第1項または第2項に記載の分注装置は、
前記検出ユニットと前記複数のシリンジとを一方向に沿って相対的に移動させることにより前記第1の接触子を前記複数のシリンジに順次近接させるアクチュエータをさらに備え、
前記複数のシリンジは、前記一方向に配列されてもよい。
【0060】
この場合、第1の接触子が複数のシリンジに順次接触される。これにより、複数のシリンジの各々にピペットチップが取り付けられているか否かをより容易に検出することができる。
【0061】
(第7項)第1項または第2項に記載の分注装置において、
前記第1の接触子は、前記ピペットチップと接触可能な先端部を含み、前記先端部は屈曲形状を有してもよい。
【0062】
この場合、第1の接触子の先端部がピペットチップに接触したときに、第1の接触子の姿勢を容易に変化させることができる。
【0063】
(第8項)第1項または第2項に記載の分注装置において、
前記第1の接触子は、基端部と、前記ピペットチップと接触可能に前記基端部から突出する先端部とを含み、
前記先端部は、前記基端部よりも幅狭に形成されてもよい。
【0064】
この構成によれば、第1の接触子の先端部は幅狭に形成されるので、複数のシリンジの間隔が比較的狭い場合でも、第1の接触子の先端部を複数のシリンジの各々のピペットチップに選択的に接触させることができる。
【0065】
(第9項)第1項または第2項に記載の分注装置において、
前記検出ユニットは、
第2の接触子と、
第2の検出部とをさらに含み、
前記複数のシリンジは、第1の列に配置された1以上のシリンジと、第2の列に配置された1以上のシリンジとを含み、
前記第1の接触子は、前記第1の列に配置されたいずれかのシリンジの前記ピペットチップと接触することにより姿勢が変化し、
前記第2の接触子は、前記第2の列に配置されたいずれかのシリンジの前記ピペットチップと接触することにより姿勢が変化し、
前記第1の検出部は、前記第1の接触子の姿勢に基づいて、前記第1の列に配置された1以上のシリンジの各々に前記ピペットチップが取り付けられているか否かを検出し、
前記第2の検出部は、前記第2の接触子の姿勢に基づいて、前記第2の列に配置された1以上のシリンジの各々に前記ピペットチップが取り付けられているか否かを検出してもよい。
【0066】
この構成によれば、複数のシリンジが2列に配置されている場合でも、各列のシリンジの各々にピペットチップが取り付けられているか否かを効率的に検出することができる。
【符号の説明】
【0067】
1…ピペットチップ,10…基台部,20…シリンジユニット,21…シリンジ,22,41…保持部,30…アクチュエータ,40…検出ユニット,42…支持部,43,43A,43B…接触子,43a…基端部,43b…先端部,43c…切欠部,43d…第1の部分,43e…第2の部分,44,44A,44B…検出部,44a…投光部,44b…受光部,45,45A,45B…固定部材,46,46A,46B…付勢部材,47,47A,47B…掛止部材,100…分注装置,L…仮想線,R1,R2…領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7