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特開2024-54783電子液晶レンズ制御装置、電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡、電子液晶レンズ制御方法、レンズ度数変化方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054783
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】電子液晶レンズ制御装置、電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡、電子液晶レンズ制御方法、レンズ度数変化方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/06 20060101AFI20240410BHJP
   G06Q 10/00 20230101ALI20240410BHJP
【FI】
G02C7/06
G06Q10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161240
(22)【出願日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】中村 文宣
【テーマコード(参考)】
2H006
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
2H006BD00
5L010AA24
5L049AA24
(57)【要約】
【課題】レンズの度数を簡単に変更することができる電子液晶レンズ制御装置、電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡、電子液晶レンズ制御方法、レンズ度数変化方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】電子液晶レンズ制御装置100は、表示部の画面表示が行われたか否かを判定する表示判定手段と、表示判定手段による判定結果に応じて、電子液晶レンズの度数を変更する旨の通知を、電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡に送信する通知送信手段と、を備える。通知送信手段は、表示判定手段による判定結果として、表示部の画面表示が行われたと判定した場合、近距離の物体を視認するのに適した度数に変化させるよう電子液晶レンズの度数を変更する旨の通知を送信する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部の画面表示が行われたか否かを判定する表示判定手段と、
前記表示判定手段による判定結果に応じて、電子液晶レンズの度数を変更する旨の通知を、電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡に送信する通知送信手段と、を備え、
前記通知送信手段は、前記表示判定手段による判定結果として、前記表示部の画面表示が行われたと判定した場合、近距離の物体を視認するのに適した度数に変化させるよう前記電子液晶レンズの度数を変更する旨の通知を送信する、
ことを特徴とする電子液晶レンズ制御装置。
【請求項2】
前記表示判定手段は、前記表示部の画面表示が終了したか否かをさらに判定可能であり、
前記通知送信手段は、前記表示判定手段による判定結果として、前記表示部の画面表示が終了したと判定した場合、遠距離の物体を視認するのに適した度数に変化させるよう前記電子液晶レンズの度数を変更する旨の通知を送信する、
請求項1に記載の電子液晶レンズ制御装置。
【請求項3】
ユーザが移動中であるか否かを判定する移動判定手段をさらに備え、
前記通知送信手段は、前記移動判定手段により前記ユーザが移動中であると判定された場合、前記電子液晶レンズの度数を変更する旨の通知の送信を禁止する、
請求項1または2に記載の電子液晶レンズ制御装置。
【請求項4】
前記ユーザの現在地を検出する位置検出手段をさらに備え、
前記通知送信手段は、前記移動判定手段により前記ユーザが移動中であると判定された場合であっても、前記位置検出手段による前記ユーザの現在位置が予め定められた位置であるときは、前記電子液晶レンズの度数を変更する旨の通知を送信する、
請求項3に記載の電子液晶レンズ制御装置。
【請求項5】
ユーザによる動作により傾斜されたことを検出する傾斜検出手段をさらに備え、
前記通知送信手段は、前記表示判定手段による判定結果として、前記表示部の画面表示が行われたと判定し、かつ前記傾斜検出手段により傾斜されたことが検出された場合に、前記近距離の物体を視認するのに適した度数に変化させるよう前記電子液晶レンズの度数を変更する旨の通知を送信する、
請求項1に記載の電子液晶レンズ制御装置。
【請求項6】
電子液晶レンズ制御装置から表示部の画面表示が行われた旨の通知を受信する通知受信手段と、
前記通知受信手段により前記表示部の画面表示が行われた旨の通知を受信した場合、電子液晶レンズの度数を変更するスイッチ制御手段と、を備え、
前記スイッチ制御手段は、前記通知受信手段により前記表示部の画面表示が行われた旨の通知を受信した場合、前記電子液晶レンズの度数を、近距離の物体を視認するのに適した度数に変化させる、
ことを特徴とする電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡。
【請求項7】
電子液晶レンズ制御装置による電子液晶レンズ制御方法であって、
表示判定手段が、表示部の画面表示が行われたか否かを判定する表示判定ステップと、
通知送信手段が、前記表示判定ステップによる判定結果に応じて、電子液晶レンズの度数を変更する旨の通知を、電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡に送信する通知送信ステップと、を備え、
前記通知送信ステップでは、前記表示判定ステップによる判定結果として、前記表示部の画面表示が行われたと判定した場合、近距離の物体を視認するのに適した度数に変化させるよう前記電子液晶レンズの度数を変更する旨の通知を送信する、
ことを特徴とする電子液晶レンズ制御方法。
【請求項8】
電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡による電子液晶レンズの度数を変化させるレンズ度数変化方法であって、
電子液晶レンズ制御装置から表示部の画面表示が行われた旨の通知を受信する通知受信ステップと、
前記通知受信ステップで前記表示部の画面表示が行われた旨の通知を受信した場合、前記電子液晶レンズの度数を変更するスイッチ制御ステップと、を備え、
前記スイッチ制御ステップでは、前記通知受信ステップにて前記表示部の画面表示が行われた旨の通知を受信した場合、前記電子液晶レンズの度数を、近距離の物体を視認するのに適した度数に変化させる、
ことを特徴とするレンズ度数変化方法。
【請求項9】
コンピュータを、
表示部の画面表示が行われたか否かを判定する表示判定手段、
前記表示判定手段による判定結果に応じて、電子液晶レンズの度数を変更する旨の通知を、電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡に送信する通知送信手段、として機能させ、
前記通知送信手段は、前記表示判定手段による判定結果として、前記表示部の画面表示が行われたと判定した場合、近距離の物体を視認するのに適した度数に変化させるよう前記電子液晶レンズの度数を変更する旨の通知を送信する、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項10】
コンピュータを、
電子液晶レンズ制御装置から表示部の画面表示が行われた旨の通知を受信する通知受信手段、
前記通知受信手段により前記表示部の画面表示が行われた旨の通知を受信した場合、電子液晶レンズの度数を変更するスイッチ制御手段と、として機能させ、
前記スイッチ制御手段は、前記通知受信手段により前記表示部の画面表示が行われた旨の通知を受信した場合、前記電子液晶レンズの度数を、近距離の物体を視認するのに適した度数に変化させる、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子液晶レンズ制御装置、電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡、電子液晶レンズ制御方法、レンズ度数変化方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、レンズの度数を簡単に変更することができる遠近両用眼鏡が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-52116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されている遠近両用眼鏡では、装着した状態で傾斜させる必要があり、レンズの度数を簡単に変更するという点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、レンズの度数を簡単に変更することができる電子液晶レンズ制御装置、電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡、電子液晶レンズ制御方法、レンズ度数変化方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の電子液晶レンズ制御装置は、
表示部の画面表示が行われたか否かを判定する表示判定手段と、
前記表示判定手段による判定結果に応じて、電子液晶レンズの度数を変更する旨の通知を、電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡に送信する通知送信手段と、を備え、
前記通知送信手段は、前記表示判定手段による判定結果として、前記表示部の画面表示が行われたと判定した場合、近距離の物体を視認するのに適した度数に変化させるよう前記電子液晶レンズの度数を変更する旨の通知を送信する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、レンズの度数を簡単に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係る電子液晶レンズ制御装置の正面図である。
図2】本発明の実施の形態に係る電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡の外観を示す図である。
図3】電子液晶レンズ制御装置の一例を示すブロック図である。
図4】電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡の一例を示すブロック図である。
図5】通知送信処理の一例を示すフローチャートである。
図6】スイッチ制御処理の一例を示すフローチャートである。
図7】変形例における通知送信処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付す。
【0010】
図1は、本発明の実施の形態に係る電子液晶レンズ制御装置100の正面図である。図1に示すように、電子液晶レンズ制御装置100は、いわゆるスマートフォンであり、ネットワークを介して後述する電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200と通信可能に接続されている。なお、この実施の形態では、電子液晶レンズ制御装置100がユーザの所有するスマートフォンである例を示しているが、この他にも、例えばタブレットやPC(Personal Computer)、スマートウォッチなどの情報端末(所謂コンピュータ)であってもよい。電子液晶レンズ制御装置100は、後述する電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200に対し、当該電子液晶レンズ制御装置100の画面がオンになったことを通知し、近距離の物体を視認するのに適した度数の領域である近接視領域の生成を指示する装置である。なお、この実施の形態における電子液晶レンズ制御装置100および電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200は、ユーザにより所有および装着されており、それぞれの位置はユーザの位置と同様であるものとして、以下説明する。
【0011】
図示するように、電子液晶レンズ制御装置100は、正面にユーザの顔を撮影するインカメラ11Aと、スピーカ12Aと、通話用のマイクであるマイクロフォン12Bと、電子液晶レンズ制御装置100の加速度を検出する加速度検出部13と、操作入力部14及び表示部19を兼ねるタッチパネルと、ユーザの指紋を検出する左指紋センサ15A及び右指紋センサ15Bと、電子液晶レンズ制御装置100の現在位置を検出する位置検出部16とを備える。また、電子液晶レンズ制御装置100は、背面に、ユーザから見た人間、風景、物体等を撮影することができるメインカメラ11Bを備える。なお、位置検出部16は、例えばGPS(Global Positioning System)である。
【0012】
なお、以下では、インカメラ11Aとメインカメラ11Bとを総称して、撮影部11と称する。以下では、スピーカ12Aと、通話用のマイクであるマイクロフォン12Bとを総称して、音声入出力部12と称する。また、以下では、左指紋センサ15A及び右指紋センサ15Bを総称して、指紋検出部15と称する。
【0013】
この実施の形態における電子液晶レンズ制御装置100では、例えば、ユーザの操作による撮影部11の駆動や、撮影部11によるユーザの顔認証の成功、音声入出力部12に対するユーザの音声の入力による声紋認証の成功、指紋検出部15によるユーザの指紋認証の成功、操作入力部14及び表示部19を兼ねるタッチパネルに対するユーザの操作などが行われると、当該電子液晶レンズ制御装置100の画面、すなわち表示部19がオン状態になる。
【0014】
図2は、本発明の実施の形態に係る電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200の外観を示す図である。図2に示すように、電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200は、頭部に装着することのできるウェアラブル端末であり、眼鏡型撮像装置などといった所謂スマートグラスである。
【0015】
電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200は、図示するように、レンズ30と、レンズ枠50と、枠脚60と、を備えている。レンズ30は、遠距離の物体を視認するのに適した度数のレンズである。レンズ30には、近接視領域70が設けられている。
【0016】
近接視領域70は、電子液晶レンズ制御装置100からの通知に基づいてオンとオフに制御される領域であり、オンの状態となると近距離の物体を視認するのに適した度数に変化し、オフの状態では遠距離の物体を視認するのに適した度数となる領域である。近接視領域70には、透明電極や液晶が備えられている。この実施の形態における近接視領域70では、透明電極に印加される電圧の大きさに応じて液晶のみかけの屈折率を変化させることで、当該近接視領域70の度数を、遠距離の物体を視認するのに適した度数(オフの状態)から近距離の物体を視認するのに適した度数(オンの状態)に変更させる。なお、当該近接視領域70は、図示する例ではレンズ30の下側部分に位置しているが、例えば、レンズ30の中央部分など、下側部分以外に位置するようにしてもよい。
【0017】
また、枠脚60には、図示は省略するが、電池が内蔵されている。電池は、例えば充電式ボタン型電池であればよく、枠脚60内に設けられ、図示を省略したケーブルにより、各部へ電力を供給する。
【0018】
上述したように、電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200は、電子液晶レンズ制御装置100からの通知に基づいて近接視領域70のオンとオフを制御することで当該領域の度数を変更し、遠距離および近距離の物体を視認可能に切り替えることが可能な電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡である。
【0019】
図3は、電子液晶レンズ制御装置100の一例を示すブロック図である。図3に示すように、電子液晶レンズ制御装置100は、記憶部110と、制御部120と、入出力部130と、通信部140と、加速度センサ150と、これらを相互に接続するシステムバス(図示省略)と、を備えている。
【0020】
記憶部110は、RAM(Random Access Memory)111と、ROM(Read Only Memory)112と、を備える。RAM111は、後述するプログラム113を実行する上で予め必要な各種データ(図示省略)を記憶する。ROM112は、制御部120のCPU(Central Processing Unit)が実行するプログラム113を記憶する。なお、RAM111には、予め所定領域に画面オンフラグが設けられており、初期値が「0」となっている。
【0021】
プログラム113は、後述する通知送信処理を実行するプログラムであり、予め記憶部110に記憶されている。
【0022】
制御部120は、CPUやASIC(Application Specific Integrated Circuit)等から構成される。制御部120は、記憶部110に記憶されたプログラム113に従って動作し、当該プログラム113に従った処理を実行する。制御部120は、記憶部110に記憶されたプログラム113により提供される主要な機能部として、通知判定部121と、通知送信制御部122と、を備える。
【0023】
通知判定部121は、当該電子液晶レンズ制御装置100の画面、すなわち表示部19がオフ状態からオン状態またはオフ状態からオン状態へ変化したことを判定する機能部である。具体的に、通知判定部121は、ユーザの操作による撮影部11の駆動や、撮影部11によるユーザの顔認証の成功、音声入出力部12に対するユーザの音声の入力による声紋認証の成功、指紋検出部15によるユーザの指紋認証の成功、操作入力部14及び表示部19を兼ねるタッチパネルに対するユーザの画面オン操作などといった信号が、入出力部130を介して入力されたことにより、電子液晶レンズ制御装置100の画面、すなわち表示部19がオフ状態からオン状態へと変化したと判定する。また、ユーザによる撮影部11の駆動終了操作や、音声入出力部12に対するユーザの音声の入力による画面オフの指示、操作入力部14及び表示部19を兼ねるタッチパネルに対するユーザの画面オフ操作などといった信号が、入出力部130を介して入力されたことにより、電子液晶レンズ制御装置100の画面、すなわち表示部19がオン状態からオフ状態へと変化したと判定する。また、通知判定部121は、記憶部110のRAM111の所定領域に予め記憶された画面オンフラグの値を「0」や「1」にセットする機能を有する。さらに、通知判定部121は、加速度センサ150による加速度の値に応じてユーザが移動中であるか否かを判定する機能を有する。
【0024】
通知送信制御部122は、通知判定部121の判定結果に応じて電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200に対し、近接視領域70のオンとオフを指示する通知を、通信部140を介して送信する機能部である。具体的に、通知送信制御部122は、通知判定部121により電子液晶レンズ制御装置100の画面、すなわち表示部19がオフ状態からオン状態へと変化したと判定した場合、近接視領域70のオンを指示するオン通知を送信する。一方、通知送信制御部122は、通知判定部121により電子液晶レンズ制御装置100の画面、すなわち表示部19がオン状態からオフ状態へと変化したと判定した場合、近接視領域70のオフを指示するオフ通知を送信する。なお、この実施の形態では、電子液晶レンズ制御装置100と電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200は、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)やWi-Fi(Wireless Fidelity)の通信規格に基づいた通信方式などの無線通信により通信を行う。
【0025】
入出力部130は、タッチパネル、カメラ、マイク、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等から構成され、各種データの入出力を行うための装置である。この実施の形態における電子液晶レンズ制御装置100は、ユーザの所有するスマートフォンであることから、図1に示す撮影部11、音声入出力部12、指紋検出部15、操作入力部14及び表示部19を兼ねるタッチパネルの情報が入出力部130に入力または出力されるため、これらが入出力部130に対応する。
【0026】
通信部140は、電子液晶レンズ制御装置100が、ネットワークを介して、電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200といった他の情報端末と通信を行うためのデバイスである。
【0027】
加速度センサ150は、ユーザの歩行や運転等の動作に応じて生じる電子液晶レンズ制御装置100の加速度を検出し、検出結果を制御部120に出力する。加速度センサ150による検出結果から、例えばユーザが運転中であったり、歩行中であったりといったようにユーザが移動中であるか否かを特定することができる。この実施の形態では、図1に示す加速度検出部13が加速度センサ150に対応する。
【0028】
これら各機能部が協働することで、オン通知またはオフ通知を電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200に送信し、近接視領域70をオンまたはオフさせる機能を、当該電子液晶レンズ制御装置100に実現させる。
【0029】
図4は、電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200の一例を示すブロック図である。図4に示すように、電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200は、記憶部210と、制御部220と、入出力部230と、通信部240と、これらを相互に接続するシステムバス(図示省略)と、を備えている。
【0030】
記憶部210は、RAM211と、ROM212と、を備える。RAM211は、後述するプログラム213を実行する上で予め必要な各種データ(図示省略)を記憶する。ROM212は、制御部220のCPUが実行するプログラム213を記憶する。なお、RAM211やROM212、CPUは、枠脚60内の所定位置に設けられていればよい。
【0031】
プログラム213は、後述するスイッチ制御処理を実行するプログラムであり、予め記憶部210に記憶されている。
【0032】
制御部220は、CPUやASIC等から構成される。制御部220は、記憶部210に記憶されたプログラム213に従って動作し、当該プログラム213に従った処理を実行する。制御部220は、記憶部210に記憶されたプログラム213により提供される主要な機能部として、受信判定部221と、スイッチ制御部222と、を備える。
【0033】
受信判定部221は、電子液晶レンズ制御装置100から送信された通知がオン通知であるかオフ通知であるかを判定する機能部である。
【0034】
スイッチ制御部222は、受信判定部221による判定結果に応じてスイッチ232を制御することで、電子液晶レンズ231に含まれる透明電極に印加される電圧の大きさを制御し、近接視領域70における度数を変化させる機能部である。具体的に、スイッチ制御部222は、スライドスイッチであるスイッチ232を移動させることで近接視領域70における度数を変化させる。
【0035】
入出力部230は、電子液晶レンズ231とスイッチ232と、を備えている。電子液晶レンズ231は、図1に示す近接視領域70を形成する電子液晶レンズである。スイッチ232は、図1に示す枠脚60に内蔵されたスライドスイッチである。
【0036】
通信部240は、電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200が、ネットワークを介して、電子液晶レンズ制御装置100といった他の情報端末と通信を行うためのデバイスである。
【0037】
これら各機能部が協働することで、電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200における近接視領域70をオンまたはオフする機能、すなわち近接視領域70の度数を変化する機能を、当該電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200に実現させる。
【0038】
以上が、電子液晶レンズ制御装置100および電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200の構成である。続いて電子液晶レンズ制御装置100および電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200の動作について説明する。まず、電子液晶レンズ制御装置100の動作について、図5を参照して説明し、その後電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200の動作について、図6を参照して説明する。
【0039】
図5は、電子液晶レンズ制御装置100において実行される通知送信処理の一例を示すフローチャートである。この実施の形態における通知送信処理は、予め設定された秒数毎に繰り返し実行される。なお、これとは異なり、例えば電子液晶レンズ制御装置100に設けられた輝度センサにより周辺の明るさが明るくなったこと、すなわちポケットやバッグから当該電子液晶レンズ制御装置100が外に出されたことを検出したことや、その逆の事象が生じた際に実行を開始してもよい。
【0040】
通知送信処理を開始すると、制御部120は、まず、通知判定部121の機能により、画面オンフラグの値が「1」であるか否かを判定する(ステップS101)。具体的に、ステップS101の処理において、通知判定部121は、記憶部110のRAM111の所定領域に設けられた画面オンフラグの値を確認し、「1」であるか否か、すなわち画面がオンの状態であるか否かを判定する。
【0041】
ステップS101にて画面オンフラグが「1」であると判定した場合(ステップS101;Yes)、すなわち画面がオンの状態であると判定した場合、制御部120は、通知判定部121の機能により、画面がオフになったか否かを判定する(ステップS102)。具体的に、ステップS102の処理において、通知判定部121は、ユーザによる撮影部11の駆動終了操作や、音声入出力部12に対するユーザの音声の入力による画面オフの指示、操作入力部14及び表示部19を兼ねるタッチパネルに対するユーザの画面オフ操作などといった信号が、入出力部130を介して入力されたか否かを判定することで、画面がオフとなったか否かを判定する。なお、ステップS102を実行する通知判定部121およびステップS102は、それぞれ表示判定手段および表示判定ステップに対応する。
【0042】
ステップS102にて画面がオフになっていないと判定した場合(ステップS102;No)、制御部120は、そのまま通知送信処理を終了する。
【0043】
一方、ステップS102にて画面がオフになったと判定した場合(ステップS102;Yes)、制御部120は、通知判定部121の機能により、画面オンフラグをクリアする(ステップS103)。具体的に、ステップS103の処理において、通知判定部121は、記憶部110のRAM111の所定領域に設けられた画面オンフラグの値を、オフ状態であることを示す「0」にすることで初期値の状態にクリアする。
【0044】
ステップS103の処理を実行した後、制御部120は、通知送信制御部122の機能により、オフ通知を電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200へ送信し(ステップS104)、通知送信処理を終了する。具体的に、ステップS104の処理において、通知送信制御部122は、電子液晶レンズ制御装置100の画面、すなわち表示部19がオン状態からオフ状態へと変化したことから、電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200における近接視領域70をオフとする旨の通知、すなわち近接視領域70における度数を、近距離の物体を視認可能な度数から遠距離の物体を視認可能な度数へと変化させる旨の通知を、電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200へと送信する。なお、ステップS104の処理と実行する通知送信制御部122およびステップS104は、それぞれ通知送信手段および通知送信ステップに対応する。
【0045】
一方、ステップS101にて画面オンフラグが「1」でないと判定した場合(ステップS101;No)、すなわち画面がオフの状態であると判定した場合、制御部120は、通知判定部121の機能により、画面がオンになったか否かを判定する(ステップS105)。具体的に、ステップS105の処理において、通知判定部121は、ユーザの操作による撮影部11の駆動や、撮影部11によるユーザの顔認証の成功、音声入出力部12に対するユーザの音声の入力による声紋認証の成功、指紋検出部15によるユーザの指紋認証の成功、操作入力部14及び表示部19を兼ねるタッチパネルに対するユーザの画面オン操作などといった信号が、入出力部130を介して入力された否かを判定することで、画面がオンとなったか否かを判定する。なお、ステップS105の処理を実行する通知判定部121およびステップS105は、それぞれ表示判定手段および表示判定ステップに対応する。
【0046】
ステップS105にて画面がオンになっていないと判定した場合(ステップS105;No)、制御部120は、そのまま通知送信処理を終了する。
【0047】
一方、ステップS105にて画面がオンになったと判定した場合(ステップS105;Yes)、制御部120は、通知判定部121の機能により、画面オンフラグに「1」にセットする(ステップS106)。具体的に、ステップS106の処理において、通知判定部121は、記憶部110のRAM111の所定領域に設けられた画面オンフラグの値に、オン状態であることを示す「1」をセットする。
【0048】
ステップS106の処理を実行した後、制御部120は、通知判定部121の機能により、ユーザが移動中であるか否かを判定する(ステップS107)。具体的に、ステップS107の処理において、通知判定部121は、加速度センサ150により検出された加速度が予め定められた基準以上であるか否かに基づいてユーザが移動中であるか否かを判定する。加速度センサ150により検出された加速度が予め定められた基準以上である場合に、通知判定部121は、ユーザが移動中であると判定する。なお、ステップS107の処理を実行する通知判定部121は、移動判定部に対応する。
【0049】
ステップS107にてユーザが移動中であると判定した場合(ステップS107;Yes)、制御部120は、そのまま通知送信処理を終了する。
【0050】
一方、ステップS107にてユーザが移動中でない、すなわち停止中であると判定した場合(ステップS107;No)、制御部120は、通知送信制御部122の機能により、オン通知を電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200へ送信し(ステップS108)、通知送信処理を終了する。具体的に、ステップS108の処理において、通知送信制御部122は、電子液晶レンズ制御装置100の画面、すなわち表示部19がオフ状態からオン状態へと変化したことから、電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200における近接視領域70をオンとする旨の通知、すなわち近接視領域70における度数を、遠距離の物体を視認可能な度数から近距離の物体を視認可能な度数へと変化させる旨の通知を、電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200へと送信する。
【0051】
以上が、電子液晶レンズ制御装置100の動作である。このように、電子液晶レンズ制御装置100は、電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200へと近接視領域70における度数を変化させる通知を送信することで、当該電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200における近接視領域70の度数を変化させる。
【0052】
続いて図6を参照して電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200の動作について説明する。図6は、電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200において実行されるスイッチ制御処理の一例を示すフローチャートである。この実施の形態におけるスイッチ制御処理は、ユーザにより当該電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200の電源が投入されたタイミングで実行を開始する。
【0053】
スイッチ制御処理を開始すると、制御部220は、まず、受信判定部221の機能により、通知を受信したか否かを判定する(ステップS201)。具体的に、ステップS201において、受信判定部221は、電子液晶レンズ制御装置100からオン通知またはオフ通知のいずれかを受信したか否かを判定する。なお、ステップS201の処理を実行する受信判定部221は、通知受信手段に対応する。
【0054】
ステップS201にて通知を受信していないと判定した場合(ステップS201;No)、制御部220は、再度ステップS201を実行する。すなわち、電子液晶レンズ制御装置100からオン通知またはオフ通知のいずれかを受信するまでステップS201の処理を繰り返す。
【0055】
ステップS201にて通知を受信したと判定した場合(ステップS201Yes)、制御部220は、受信判定部221の機能により、受信した通知がオン通知であるか否かを判定する(ステップS202)。具体的に、ステップS202の処理において、受信判定部221は、電子液晶レンズ制御装置100から受信した通知の内容を確認することにより、当該受信した通知がオン通知である、すなわちオン通知であるかオフ通知であるかを判定する。
【0056】
ステップS202の処理にて受信した通知がオン通知であると判定した場合(ステップS202;Yes)、制御部202は、スイッチ制御部222の機能により、スイッチ232を移動して電子液晶レンズ231の度数を近距離用に制御し(ステップS203)、ステップS201の処理に戻る。具体的に、ステップS203の処理において、スイッチ制御部222は、スライドスイッチであるスイッチ232を移動させ、電子液晶レンズ231における透明電極に印加される電圧の大きさを変化させることで、近接視領域70における度数を、遠距離の物体を視認可能な度数から近距離の物体を視認可能な度数へと変化させる。なお、ステップS203の処理を実行するスイッチ制御部222は、スイッチ制御手段に対応する。
【0057】
一方、ステップS202にて受信した通知がオン通知でないと判定した場合(ステップS202;No)、すなわち受信した通知がオフ通知であると判定した場合、制御部202は、スイッチ制御部222の機能により、スイッチ232を移動して電子液晶レンズ231の度数を遠距離用に制御し(ステップS204)、ステップS201の処理に戻る。具体的に、ステップS204の処理において、スイッチ制御部222は、スライドスイッチであるスイッチ232を移動させ、電子液晶レンズ231における透明電極に印加される電圧の大きさを変化させることで、近接視領域70における度数を、近距離の物体を視認可能な度数から遠距離の物体を視認可能な度数へと変化させる。
【0058】
以上が、電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200の動作である。このように、電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200は、電子液晶レンズ制御装置100からの通知に基づいて近接視領域70における度数を変化させる制御を行う。
【0059】
以上説明したように、この実施の形態に係る電子液晶レンズ制御装置100によれば、画面のオンオフの切り替えに応じて、電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200の度数を変化させる支持を行うことができるため、レンズの度数を簡単に変更することができる。
【0060】
また、この実施の形態に係る電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200によれば、電子液晶レンズ制御装置100からの通知を受信することで近接視領域70の度数を変化させることができるため、レンズの度数を簡単に変更することができる。
【0061】
また、この実施の形態における電子液晶レンズ制御装置100は、図5のステップS107の処理においてユーザが移動中であると判定した場合には、たとえ電子液晶レンズ制御装置100の画面がオンになったとしてもオン通知を電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200に送信しない。したがって、歩きスマホや運転中のスマホ視認などの危険を防止することができ、事故の予防を行うことができる。
【0062】
(変形例)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。例えば、電子液晶レンズ制御装置100および電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200は、上記実施の形態で示した全ての技術的特徴を備えるものでなくてもよく、従来技術における少なくとも1つの課題を解決できるように、上記実施の形態で説明した一部の構成を備えたものであってもよい。また、下記の変形例それぞれについて、少なくとも一部を組み合わせてもよい。
【0063】
上記実施の形態における通知送信処理では、図5のステップS107の処理においてユーザが移動中であると判定した場合には、たとえ電子液晶レンズ制御装置100の画面がオンになったとしてもオン通知を電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200に送信しない例を示したが、これは一例である。例えば、図7に示すように、ステップS107の処理においてユーザが移動中であると判定した場合(ステップS107;Yes)、通知判定部121が、ユーザが自宅にいるか否かを判定し(ステップS107A)、自宅にいると判定した場合(ステップS107A;Yes)、ステップS108の処理に進み、通知送信制御部122により、オン通知を電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200へ送信してもよい。なお、自宅にいないと判定した場合には(ステップS107A;No)、電子液晶レンズ制御装置100の画面がオンになったとしてもオン通知を電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200に送信しないようにすればよい。具体的に、ステップS107Aの処理では、電子液晶レンズ制御装置100の現在位置を検出する位置検出部16による検出結果に基づいて判定すればよい。また、図示する例では、自宅にいるか否かを判定する例を示したが、自宅に限られず、例えば職場や劇場、映画館などであってもよく、予め設定された、移動中であっても危険のない場所であればよい。これによれば、歩きスマホや運転中のスマホ視認などの危険を防止することができ、事故の予防を行うことができるだけでなく、事故のおそれのない場所において制限を解除することができる。なお、位置検出部16は、位置検出手段に対応し、ステップS107Aの処理は、ユーザの現在位置が予め定められた位置であるか否かを判定する処理に対応する。
【0064】
また、上記実施の形態では、図5のステップS107の処理においてユーザが移動中であると判定した場合、電子液晶レンズ制御装置100の側にてオン通知を電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200に送信しないことにより、近接視領域70の度数を、遠距離の物体を視認するのに適した度数(オフの状態)から近距離の物体を視認するのに適した度数(オンの状態)に変更させることを制限する例を示したが、これは一例である。この他にも、例えば電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200の側にて当該制限を行ってもよい。具体的には、図6のステップS203の処理の前に、図5のステップS107の処理と同様、ユーザが移動中であるか否かを判定する処理を行い、移動中であると判定した場合には、ステップS203の処理を実行せず、移動中でないと判定した場合にのみ当該処理を実行すればよい。なお、この場合、電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200の枠脚60の内部に加速度センサが設けられていればよい。これによれば、歩きスマホや運転中のスマホ視認などの危険を防止することができ、事故の予防を行うことができる。
【0065】
また、電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200の現在位置を検出するGPS等の位置検出部が設けられていてもよく、その場合には、図6のステップS203の処理の前にユーザが移動中であると判定したときであっても、当該位置検出部の検出結果としてユーザが自宅にいると判定した場合には、ステップS203の処理を実行可能としてもよい。すなわち、ユーザが自宅にいる場合には移動中であってもステップS203の処理を実行し、近接視領域70における度数を、遠距離の物体を視認可能な度数から近距離の物体を視認可能な度数へと変化させてもよい。これによれば、歩きスマホや運転中のスマホ視認などの危険を防止することができ、事故の予防を行うことができるだけでなく、事故のおそれのない場所において制限を解除することができる。
【0066】
また、上記実施の形態では、電子液晶レンズ制御装置100の画面がオンになった場合、すなわち電子液晶レンズ制御装置100からオン通知を受信した場合に、図6のステップS203の処理において電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200が近接視領域70における度数を、遠距離の物体を視認可能な度数から近距離の物体を視認可能な度数へと変化させる例を示したが、これは一例である。例えば、電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200の枠脚60の内部に、当該装着中の電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200の傾斜を検出する傾斜検出部を設け、電子液晶レンズ制御装置100からオン通知を受信し、かつ傾斜検出部による傾斜を検出した場合に、ユーザが画面を視認したと判定して、近接視領域70における度数を変更するようにしてもよい。これによれば、ユーザが画面を視認する際に度数を変更するため、より効率よく度数を変更することができる。また、これとは反対に、電子液晶レンズ制御装置100の側に傾斜検出部を設け、画面がオンとなり、当該電子液晶レンズ制御装置100における傾斜検出部による傾斜を検出した場合、すなわちユーザが画面を視認するよう傾けた場合に、オン通知を送信するようにしてもよい。これによれば、ユーザが画面を視認する際に度数を変更する指示を送信するため、より効率よく度数を変更することができる。なお、傾斜検出部は、傾斜検出手段に対応する。
【0067】
また、上記実施の形態では、電子液晶レンズ制御装置100がスマートフォンである例を示したが、上述したようにこれに限られない。例えば、スマートウォッチなどの情報端末であってもよい。この場合には、当該スマートウォッチに設けられ、当該スマートウォッチの傾斜を検出する傾斜検出部による傾斜が検出された場合や、ユーザの顔の近くに位置することが内蔵されたセンサにより検出された場合に、当該スマートフォンにおける画面オンと判定すればよい(図5に示すステップS105にてYesと判定すればよい)。
【0068】
また、上記実施の形態では、電子液晶レンズ制御装置100がオン通知またはオフ通知として、近接視領域70における度数を、近距離または遠距離の物体を視認可能な度数から、遠距離または近距離の物体を視認可能な度数へと変化させる旨の通知を送信する例を示したが、これは一例である。電子液晶レンズ制御装置100の側では、電子液晶レンズ制御装置100の画面、すなわち表示部19がオフ状態からオン状態へと変化した旨、またはオン状態からオフ状態へと変化した旨のみを通知してもよい。この場合、電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200の受信判定部221において、これらの通知を受信するとともに、オン通知であるかオフ通知であるかを判定する。そして、当該電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡200の側において、オフ状態からオン状態へと変化した旨の通知を受信した場合、スイッチ制御部222の機能により、遠距離の物体を視認可能な度数から近距離の物体を視認可能な度数へと変化させればよい。一方、オン状態からオフ状態へと変化した旨の通知を受信した場合、スイッチ制御部222の機能により、近距離の物体を視認可能な度数から遠距離の物体を視認可能な度数へと変化させればよい。これによれば、画面がオンとなったかオフとなったかのみを通知すればよく、電子液晶レンズ制御装置100における処理負担を軽減することができる。なお、上記と同様に、この場合においても、表示部19がオフ状態からオン状態へと変化した旨を受信する受信判定部221は、通知受信手段に対応する。同様に、オフ状態からオン状態へと変化した旨の通知を受信した場合、遠距離の物体を視認可能な度数から近距離の物体を視認可能な度数へと変化させるスイッチ制御部222は、スイッチ制御手段に対応する。
【0069】
なお、上記実施の形態に係る電子液晶レンズ制御装置100は、専用の装置によらず、通常のコンピュータを用いて実現可能である。例えば、コンピュータに上述のいずれかを実行するためのプログラムを格納した記録媒体から該プログラムをコンピュータにインストールすることにより、上述の処理を実行する電子液晶レンズ制御装置100を構成してもよい。また、複数のコンピュータが協働して動作することによって、1つの電子液晶レンズ制御装置100を構成してもよい。
【0070】
また、上述の機能を、OS(Operating System)とアプリケーションとの分担、またはOSとアプリケーションとの協働により実現する場合等には、OS以外の部分のみを媒体に格納してもよい。
【0071】
また、搬送波にプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS、Bulletin Board System)に当該プログラムを掲示し、ネットワークを介して当該プログラムを配信してもよい。そして、これらのプログラムを起動し、オペレーティングシステムの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の処理を実行できるように構成してもよい。
【0072】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態および変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内およびそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【0073】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲が含まれる。
【符号の説明】
【0074】
11…撮影部、11A…インカメラ、11B…メインカメラ、12…音声入出力部、12A…スピーカ、12B…マイクロフォン、13…加速度検出部、14…操作入力部、15…指紋検出部、15A…左指紋センサ、15B…右指紋センサ、16…位置検出部、19…表示部、30…レンズ、50…レンズ枠、60…枠脚、70…近接視領域、100…電子液晶レンズ制御装置、110、210…記憶部、111、211…RAM、112、212…ROM、113、213…プログラム、120…制御部、121…通知判定部、122…通知送信制御部、130、230…入出力部、140、240…通信部、150…加速度センサ、200…電子液晶レンズ式遠近両用眼鏡、221…受信判定部、222…スイッチ制御部、231…電子液晶レンズ、232…スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7