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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054798
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】筋力トレーニング器具用ハンドル
(51)【国際特許分類】
   A63B 21/072 20060101AFI20240410BHJP
   A63B 23/12 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
A63B21/072 Z
A63B23/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161282
(22)【出願日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】517394876
【氏名又は名称】清水 宏和
(74)【代理人】
【識別番号】110002804
【氏名又は名称】弁理士法人フェニックス特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 宏和
(57)【要約】
【課題】既存の筋力トレーニング器具に容易に着脱することができ、例えばダンベルカール時においても、握力に頼らずに筋力トレーニング器具を安定に保持することができ、上腕部等の筋力トレーニングを効率的に行うことができる筋力トレーニング器具用ハンドルを提供すること。
【解決手段】基部1と、この基部1に設けられ、既存のトレーニング器具のシャフトを着脱自在に取付け可能な取付部2と、基部1に設けられ、使用者の指を掛ける棒状の指掛部3と、取付部2の近傍において基部1に設けられ、使用者の手首の内側に当接可能な平坦面41を有する当接部4と、から筋力トレーニング器具用ハンドル10を構成した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
前記基部に設けられ、既存のトレーニング器具のシャフトを着脱自在に取付け可能な取付部と、
前記基部に設けられ、使用者の指を掛ける棒状の指掛部と、
前記取付部の近傍において前記基部に設けられ、前記使用者の手首の内側に当接可能な平坦面を有する当接部と、
を備えることを特徴とした筋力トレーニング器具用ハンドル。
【請求項2】
前記取付部が、前記シャフトを挿通可能な貫通孔から成ることを特徴とした請求項1に記載の筋力トレーニング器具用ハンドル。
【請求項3】
前記当接部の前記平坦面における前記指掛部の長手方向と直交する方向の幅が、前記シャフトの直径よりも大きいことを特徴とした請求項1または請求項2に記載の筋力トレーニング器具用ハンドル。
【請求項4】
前記平坦面が、前記指掛部の軸心と前記取付部に取り付けた前記シャフトの軸心とを通る仮想平面に対し、前記指掛部に向かって傾斜していることを特徴とした請求項1または請求項2に記載の筋力トレーニング器具用ハンドル。
【請求項5】
前記平坦面の前記仮想平面に対する傾斜角度が15°~60°であることを特徴とした請求項4に記載の筋力トレーニング器具用ハンドル。
【請求項6】
前記当接部が、前記取付部を挟んで二つ設けられていることを特徴とした請求項1または請求項2に記載の筋力トレーニング器具用ハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筋力トレーニング器具用ハンドル、より詳しくは、ダンベル、バーベル等の既存の筋力トレーニング器具に着脱自在に取付け可能なハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、主として上腕部の筋肉を鍛えるための筋力トレーニング器具として、ダンベルやバーベル等が知られている。これらダンベル等を、掌を上に向けてアンダーハンドで把持し、肘を曲げ伸ばしして前腕部を繰り返し上下動させるダンベルカール等を行うことにより上腕二等筋等の筋力トレーニングを行っている。
【0003】
現在までに、上腕部等の筋肉を鍛えるためのダンベルとして、下記特許文献1、2に記載のものが提案されている。これらのダンベルは、グリップ部の周囲に環状のウエイト部を設けたものであり、前腕部の中心軸に関するダンベルの回転慣性モーメントを小さくすると共に、環状のウエイト部を手の甲や指の外側に当接させてダンベルを安定に保持できるようにして、ダンベルを保持する握力の早期疲労を防ぎながら上腕部等の筋力トレーニングを行うというものである。
【0004】
しかしながら、これら特許文献1、2に記載のダンベルは、これをアンダーハンドで保持してダンベルカールを行う場合には、そのグリップ部を握り込みがちになり、握力に寄与する前腕筋群の早期疲労を招き易く、上腕部等の筋肉を効率的に鍛えられなくなる難点があった。
【0005】
勿論、これら特許文献1、2に記載のダンベルは、ダンベルカール時においてグリップ部を握らずに、意識的に手の甲や指の外側を環状のウエイト部に押し当てることによってダンベルを保持することも可能ではある。しかしながら、この場合、前腕部の指伸筋等の疲労が大きくなり、やはり上腕部等の筋力トレーニングを効率的に行うことができなかった。
【0006】
そこで、本件出願人は以前に、ダンベル等の筋力トレーニング器具を、握力に頼らずに安定に保持することができ、上腕部等の筋力トレーニングを効率的に行い得る筋力トレーニング器具用ハンドルと、このハンドルを備えたトレーニング器具を出願している(下記特許文献3)。
【0007】
しかしながら、特許文献3に記載のトレーニング器具は、そのハンドル部分がトレーニング器具と一体に構成されていたため、従来周知の既存のダンベル、バーベル等のトレーニング器具を利用することができない難点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11-216199号公報
【特許文献2】特開平2004-255006号公報
【特許文献3】特開2021-108917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来の筋力トレーニング器具に上記のような難点があったことに鑑みて為されたもので、既存の筋力トレーニング器具に容易に着脱することができ、しかも、握力に頼らずに筋力トレーニング器具を安定に保持することができ、上腕部等の筋力トレーニングを効率的に行うことができる筋力トレーニング器具用ハンドルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、基部と、前記基部に設けられ、既存のトレーニング器具のシャフトを着脱自在に取付け可能な取付部と、前記基部に設けられ、使用者の指を掛ける棒状の指掛部と、前記取付部の近傍において前記基部に設けられ、前記使用者の手首の内側に当接可能な平坦面を有する当接部とを備えることを特徴としている。
【0011】
また、本発明は、前記取付部が、前記シャフトを挿通可能な貫通孔から成ることを特徴としている。
【0012】
また、本発明は、前記当接部の前記平坦面における前記指掛部の長手方向と直交する方向の幅が、前記シャフトの直径よりも大きいことを特徴としている。
【0013】
また、本発明は、前記平坦面が、前記指掛部の軸心と前記取付部に取り付けた前記シャフトの軸心とを通る仮想平面に対し、前記指掛部に向かって傾斜していることを特徴としている。
【0014】
また、本発明は、前記平坦面の前記仮想平面に対する傾斜角度が15°~60°であることを特徴としている。
【0015】
また、本発明は、前記当接部が、前記取付部を挟んで二つ設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る筋力トレーニング器具用ハンドルによれば、ダンベル等の既存のトレーニング器具のシャフトに容易に装着することができ、しかも、指掛部に指を掛けて当接部の平坦面に手首の内側を当接させた状態でトレーニング器具を安定に保持することができるので、従来品のように握力に頼らずにトレーニング器具を保持して各種の筋力トレーニングを行うことができ、握力に寄与する前腕筋群の早期疲労を招くことなく上腕部等の筋力トレーニングを効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態の筋力トレーニング器具用ハンドルの斜視図である。
図2】同筋力トレーニング器具用ハンドルに既存の筋力トレーニング器具のシャフトを取り付けた状態の斜視図である。
図3】同筋力トレーニング器具用ハンドルに既存の筋力トレーニング器具のシャフトを取り付けた状態の断面図である。
図4】同筋力トレーニング器具用ハンドルを既存のダンベルのシャフトに装着した状態の平面図である。
図5】同筋力トレーニング器具用ハンドルの使用状態を説明する断面図である。
図6】同筋力トレーニング器具用ハンドルを既存のバーベルのシャフトに装着した状態の平面図である。
図7】同筋力トレーニング器具用ハンドルの他の使用状態を説明する断面図である。
図8】本発明に係る他の実施形態の筋力トレーニング器具用ハンドルを既存のバーベルのシャフトに装着した状態の平面図である。
図9】本発明に係る更に他の実施形態の筋力トレーニング器具用ハンドルの斜視図である。
図10】本発明に係る他の実施形態の筋力トレーニング器具用ハンドルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1及び図2に示すように、本実施形態の筋力トレーニング器具用ハンドル10は、基部1と、この基部1に設けられ、既存のトレーニング器具のシャフト5を着脱自在に取付け可能な取付部2と、同じく基部1に設けられ、使用者の指を掛ける棒状の指掛部3と、同じく基部1に設けられ、使用者の手首の内側に当接可能な平坦面41を有する当接部4とから構成されている。
【0019】
本実施形態の基部1は、互いに対向する左右一対の矩形状の平板部材11・11から成り、これら平板部材11にそれぞれ、取付部2が設けられている。
【0020】
取付部2は、既存のトレーニング器具のシャフト5を挿通可能な貫通孔21から成り、各平板部材11に設けられた左右一対の貫通孔21・21内にシャフト5を挿通することによって、図2に示すように、基部1の取付部2にシャフト5を着脱自在に取り付けることができる。
【0021】
指掛部3は、丸棒形状を成し、左右一対の平板部材11・11間に架け渡されて基部1に設けられている。指掛部3は、取付部2に取り付けるシャフト5と平行に設けられている。
【0022】
当接部4は、矩形状の平板部材から成り、この平板部材の片面が平坦面41とされている。そして、当接部4は、指掛部3から離間して取付部2の近傍に設けられている。本実施形態では、二つの当接部4・4が取付部2を挟んで対称に設けられており、これら当接部4・4が左右一対の板部材11・11間に架け渡されて基部1に設けられている。
【0023】
各当接部4の平坦面41は、図3に示すように、指掛部3の軸心A1と取付部2に取り付けるシャフト5の軸心A2とを通る仮想平面Pに対し、指掛部3に向かって傾斜角度αだけ傾斜させて設けられている。本実施形態では、平坦面41の仮想平面Pに対する傾斜角度αを30°としている。
【0024】
また、各当接部4の平坦面41は、指掛部3の長手方向と直交する方向の幅Wが、シャフト5の直径Dよりも大きくされている。本実施形態では、シャフト5の直径Dが約28mmであるのに対し、平坦面41の幅Wを約32mmとしている。
【0025】
かかる構成の筋力トレーニング器具用ハンドル10を利用してダンベルカールを行う場合、図4に示すように、取付部2にダンベル6のシャフト5を取り付け、このシャフト5に適宜、周知の留め具(61・62)を用いて所望の重り(63・64・65)をセットする。
【0026】
次いで、図5に示すように、使用者の掌Hを上に向けたアンダーハンドにより、指掛部3に指を掛けると共に、下方の当接部4の平坦面41に手首内側の手根骨部分を当接させる。そして、ダンベル6を鉛直荷重F1に抗して持ち上げ、肘を曲げ伸ばしして前腕部を繰り返し上下動させることによって、上腕二頭筋等の筋力トレーニングを行う。
【0027】
このように本実施形態の筋力トレーニング器具用ハンドル10によれば、ダンベル6等の既存のトレーニング器具のシャフト5に容易に装着することができ、しかも、指掛部3に指を掛け、当接部4の平坦面41に手首の内側を当接させた状態でダンベル6を安定に保持することができるので、従来品のように握力に頼らずにダンベル6を保持してダンベルカール等を行うことができ、握力に寄与する前腕筋群の早期疲労を招くことなく上腕二頭筋等の筋力トレーニングを効率的に行うことができる。
【0028】
さらに、本実施形態の筋力トレーニング器具用ハンドル10は、手首の内側を平坦面41に当接させるようにしているので、手首内側の手根骨(特に豆状骨及び舟状骨)部分を確実に当接させた状態でダンベル6の荷重を支えることができ、ダンベル荷重により手首内側の血管や神経等が圧迫される惧れもなく、上腕二頭筋等の筋力トレーニングを行うことができる。
【0029】
さらに、本実施形態の筋力トレーニング器具用ハンドル10は、当接部4が、指掛部3から離間した取付部2の近傍に設けられているので、使用者は、ダンベル6の荷重のほぼ全てを当接部4の平坦面41に当接させた手首で支えることができ、指掛部3に掛けた指にはダンベル荷重がほとんど加わることがない。したがって、たとえ使用者が指掛部3に指を深く掛けたり、指掛部3を握ったりしても、トレーニング時に使用者は指にほとんど力を入れなくて済む。このことによっても、前腕筋群の早期疲労を防ぎ、上腕二頭筋等の筋力トレーニングを効率的に行うことができる。
【0030】
また、本実施形態の筋力トレーニング器具用ハンドル10は、当接部4の平坦面41の幅Wがシャフト5の直径Dよりも大きくされているので、たとえ指掛部3に対する指の掛け具合がトレーニング中に変化したとしても、あるいは、手の大きさ等の異なる複数人が使用する場合であっても、使用者の手首内側を確実に平坦面41に当接させることが可能となり、その使用感を大幅に向上させることができる。
【0031】
また、本実施形態の筋力トレーニング器具用ハンドル10は、当接部4の平坦面41が仮想平面Pに対し、指掛部3に向かって傾斜しているので、使用者の掌Hを自然に開いた状態で指掛部3に指を掛け、当接部4の平坦面41に手首内側を当接させることができ、使用者の掌Hや指等に不要な負担をかけることなく上腕二頭筋等の筋力トレーニングを行うことができる。
【0032】
なお、本実施形態では、平坦面41の仮想平面Pに対する傾斜角度αを30°としているが、本願発明における平坦面の傾斜角度αは15°~60°の範囲で設計変更が可能である。この傾斜角度αが15°未満、或いは60°を超えると、平坦面41の縁部が手首内側の手根骨以外の部分に当接し易くなって使用者の掌Hや手首に不要な負担をかけることになり、また、ダンベル等の筋力トレーニング器具を安定に保持することができなくなる。この傾斜角度αは、例えば、指掛部3と当接部4との間隔、指掛部3の太さや断面形状、平坦面41の幅W等に応じて適宜、設定することができ、傾斜角度αの範囲は、好ましくは15°~60°、より好ましくは、20°~40°である。
【0033】
また、本実施形態の筋力トレーニング器具用ハンドル10は、上下一対の当接部4・4が取付部2を挟んで上下対称に設けられているので、このハンドル10を上下反転させて使用することができ、使い勝手に優れている。
【0034】
以上、本実施形態の筋力トレーニング器具用ハンドル10を既存のダンベル6のシャフト5に装着した実施例について説明したが、本発明は決してこれに限定されるものではなく、例えば、図6に示すように、本実施形態の筋力トレーニング器具用ハンドル10を、既存のバーベル7のシャフト5に計二つ装着し、バーベル7による筋力トレーニングを行うようにしてもよい。
【0035】
また、図7に示すように、シャフト5に不図示のトレーニングラックの滑車82に掛けたロープ8の一端81を繋ぎ、ロープ8の他端側に重り83を吊り下げるようにすれば、使用者は、握力に頼らずにハンドル10を保持して横向き荷重F2に抗した筋力トレーニングを効率的に行うことができる。勿論、シャフト5に直接、重り83を吊り下げ、垂直荷重に抗した筋力トレーニングを行うようにしてもよい。
【0036】
また、上記実施形態では、棒状の指掛部3及び当接部4の長さを、使用者の掌の幅より若干大きくしているが、本発明は決してこれに限定されるものではなく、例えば、図8に示す筋力トレーニング器具用ハンドル20のように、棒状の指掛部3及び当接部4の長さを、周知のバーベル7のシャフト5の長さ程度にしてもよい。この筋力トレーニング器具用ハンドル20によれば、指掛部3及び当接部4の長さ方向における使用者による保持位置の自由度が増し、その使い勝手を大幅に向上させることができる。
【0037】
また、上記実施形態では、基部1が左右一対の平板部材11・11から構成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図9に示す筋力トレーニング器具用ハンドル30のように、基部1が一つの平板部材11から構成されていてもよい。また、上下一対の当接部4・4が連結部42により連結されて補強されていてもよい。また、これら上下の当接部4・4は、必ずしも仮想平面Pについて面対称である必要はなく、平坦面41の傾斜角度α、幅W等が上下の当接部4・4で異なっていてもよい。また、取付部2に取り付けたシャフト5と当接部4とが接触していても接触していなくてもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、取付部2がシャフト5を挿通可能な貫通孔21から構成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図10に示す筋力トレーニング器具用ハンドル40のように、取付部2が、基部1の上部に設けられ、シャフト5を受け入れ可能な溝部22と、この溝部22の開口部に着脱自在に設けられ、溝部22内のシャフト5を留める留めネジ23とから構成されていてもよい。また、取付部2が、一対の把持片によりシャフト5を着脱自在に掴む公知のクランプ機構から構成されていてもよい。
【0039】
本発明は、その他、その趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づいて種々の改良、修正、変形を加えた態様で実施し得るものである。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内でいずれかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施してもよく、また、一体に構成されている発明特定事項を複数の部材から構成したり、複数の部材から構成されている発明特定事項を一体に構成した形態で実施してもよい。
【符号の説明】
【0040】
10、20、30、40 筋力トレーニング器具用ハンドル
1 基部
2 取付部
21 貫通孔
3 指掛部
4 当接部
41 平坦面
5 シャフト
W(平坦面の)幅
D(シャフトの)直径
A1(指掛部の)軸心
A2(シャフトの)軸心
P(指掛部の軸心とシャフトの軸心を通る)仮想平面
α(平坦面の仮想平面に対する)傾斜角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10