(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054802
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】糸収容具
(51)【国際特許分類】
A01K 97/06 20060101AFI20240410BHJP
【FI】
A01K97/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161291
(22)【出願日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】513314241
【氏名又は名称】株式会社大垣化工
(74)【代理人】
【識別番号】100140866
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 武史
(72)【発明者】
【氏名】大垣 恵一
【テーマコード(参考)】
2B109
【Fターム(参考)】
2B109BA15
2B109BA35
(57)【要約】
【課題】 プラスチックを用いずに、釣り糸を収容し、収容した状態の釣り糸が他の物に絡むのを防止可能な糸収容具を提供する。
【解決手段】 糸収容具1は、釣り糸Lを収容する紙製であり、円筒形状又は円柱形状に形成され、周方向の外面11に釣り糸Lが巻き回される内部部材10と、少なくとも外面11を覆い、内部部材10を回転自在に保持する外部部材20と、を備え、内部部材10に巻き回された釣り糸Lの先端側が、外部部材20を貫通して外部に延びる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣り糸を収容する紙製の糸収容具であって、
円筒形状又は円柱形状に形成され、周方向の外面に釣り糸が巻き回される内部部材を備えることを特徴とする糸収容具。
【請求項2】
少なくとも外面を覆い、前記内部部材を回転自在に保持する外部部材を、更に備え、
前記内部部材に巻き回された釣り糸の先端側が、前記外部部材を貫通して外部に延びることを特徴とする請求項1に記載の糸収容具。
【請求項3】
前記外部部材には、前記内部部材の周方向と直交する方向に延び、外部から前記内部部材に巻き回された釣り糸を視認可能な窓部が形成されており、
前記内部部材に巻き回された釣り糸の先端側は、前記窓部を貫通して外部に延びることを特徴とする請求項2に記載の糸収容具。
【請求項4】
前記内部部材の前記外面の周方向と直交する方向の端部に配置され、前記外面より、前記内部部材の中心から延びる放射方向に突出し、先端が前記外部部材の内面に当接する端部部材を、更に備える請求項2又は3に記載の糸収容具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り糸を収容する紙製の糸収容具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、釣り糸を収容し、携帯及び保管するものとして、例えば、釣り糸を輪状に巻きとった状態で保持することができ、折り返し可能な帯状の巻き止めシール本体と、この巻き止めシール本体のほぼ中央に設けられ、切り取り線を有するとともに、この切り取り線で折り返したときに、巻きとった釣り糸を束ねるように挟持することができる折り返し部と、前記巻き止めシール本体の両端に設けられ、巻き止めシール本体を折り返したときに、両端を接着させることができる接着面とからなる釣り糸巻き止めシールが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、シールを使用するが、近年、資源枯渇や地球温暖化の問題から、プラスチックの使用を控えることが求められている。
【0005】
本発明は、従来技術における前記課題を解決するためになされたものであり、プラスチックを用いずに、釣り糸を収容可能な糸収容具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明に係る糸収容具の構成は、
(1) 釣り糸を収容する紙製の糸収容具であって、
円筒形状又は円柱形状に形成され、周方向の外面に釣り糸が巻き回される内部部材を備えることを特徴とする糸収容具。
【0007】
(1)の構成によれば、釣り糸を収容する紙製の糸収容具は、内部部材を備える。
内部部材は、円筒形状又は円柱形状に形成され、周方向の外面に釣り糸が巻き回される。
【0008】
このように、周方向の外面に釣り糸が巻き回される内部部材を紙製とすることで、資源枯渇や地球温暖化の問題を有するプラスチックを用いる必要がない。
したがって、プラスチックを用いずに、釣り糸を収容可能な糸収容具を提供できる。
【0009】
(2) 少なくとも外面を覆い、前記内部部材を回転自在に保持する外部部材を、更に備え、
前記内部部材に巻き回された釣り糸の先端側が、前記外部部材を貫通して外部に延びることを特徴とする(1)に記載の糸収容具。
【0010】
ここで、特許文献1の釣り糸巻き止めシールは、輪状に巻きとった状態の釣り糸が露出しているため、例えば、カバンの中に収容した場合、釣り糸が他の物に絡み、スムーズに取り出せなかったり、輪状に巻きとった状態が乱れてしまうおそれがある。
【0011】
(2)の構成によれば、釣り糸を収容する紙製の糸収容具は、外部部材を更に備える。
外部部材は、少なくとも外面を覆い、内部部材を回転自在に保持する。
そして、内部部材に巻き回された釣り糸の先端側が、外部部材を貫通して外部に延びる。
【0012】
これにより、紙製の内部部材の外面に釣り糸を巻き回し、紙製の外部部材により、釣り糸を巻き回された内部部材の外面を覆いつつ、内部部材を回転自在に保持し、内部部材に巻き回された釣り糸の先端側が、外部部材を貫通して外部に延ばすことができる。使用者は、外部部材を貫通して外部に延びている釣り糸の先端側を引っ張ることで、外部部材に回転自在に保持された内部部材が回転し、釣り糸を引っ張り出すことができる。
【0013】
このように、外部部材も紙製とすることで、資源枯渇や地球温暖化の問題を有するプラスチックを用いる必要がない。また、釣り糸が巻き回された内部部材の外面を外部部材で覆うことで、内部部材に巻き回された釣り糸に他の物が接触するのを防止することができる。
したがって、プラスチックを用いずに、釣り糸を収容し、収容した状態の釣り糸が他の物に絡むのを防止可能な糸収容具を提供できる。
【0014】
(3) 前記外部部材には、前記内部部材の周方向と直交する方向に延び、外部から前記内部部材に巻き回された釣り糸を視認可能な窓部が形成されており、
前記内部部材に巻き回された釣り糸の先端側は、前記窓部を貫通して外部に延びることを特徴とする(2)に記載の糸収容具。
【0015】
(3)の構成によれば、外部部材に、内部部材の周方向と直交する方向に延び、外部から内部部材に巻き回された釣り糸を視認可能な窓部が形成され、内部部材に巻き回された釣り糸の先端側が、窓部を貫通して外部に延びる。
【0016】
ここで、内部部材や外部部材を紙製とした場合、外部部材で覆われた内部部材の外面に巻き回された釣り糸の残量を視認するのは困難である。
(3)の発明によれば、外部部材に、内部部材の周方向と直交する方向に延び、外部から内部部材に巻き回された釣り糸を視認可能な窓部を形成したので、外部部材で覆われた内部部材の外面に巻き回された釣り糸の残量を視認することが可能となり、利便性が向上する。
【0017】
(4) 前記内部部材の前記外面の周方向と直交する方向の端部に配置され、前記外面より、前記内部部材の中心から延びる放射方向に突出し、先端が前記外部部材の内面に当接する端部部材を、更に備える(2)又は(3)に記載の糸収容具。
【0018】
(4)の構成によれば、糸収容具は、端部部材を、更に備える。
端部部材は、内部部材の外面の周方向と直交する方向の端部に配置され、外面より、内部部材の中心から延びる放射方向に突出し、先端が外部部材の内面に当接する。
【0019】
これにより、端部部材を内部部材の外面の周方向と直交する方向の端部に配置したので、内部部材に巻き回された釣り糸が、内部部材の端部から外れてしまうのを防止できるとともに、この端部部材の先端を外部部材の内面に当接させることで、外部部材内で、内部部材が安定して回転するので、スムーズに釣り糸を引き出すことが可能となる。また、端部部材の先端を外部部材の内面に当接させることで、外部部材内で、内部部材が安定するので、内部部材のガタ着きや、内部部材が意図せずに回転し、外部部材内で釣り糸が弛んでしまったり、釣り糸の端部が外部部材内に引き込まれたりするのを防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、プラスチックを用いずに、釣り糸を収容可能な糸収容具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施の形態である糸収容具の斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態である糸収容具の分解斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態である糸収容具の外部部材の別例を説明する図である。
【
図4】本発明の実施の形態である糸収容具の外部部材の別例を説明する図である。
【
図5】本発明の実施の形態である糸収容具の端部部材の別例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、好適な実施の形態を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、下記の実施の形態は本発明を具現化した例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0023】
(糸収容具の構成)
まず、本発明の実施の形態である糸収容具の全体構成について、
図1及び
図2を参照しながら説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施の形態である糸収容具の斜視図、
図2は、本発明の実施の形態である糸収容具の分解斜視図である。
【0025】
糸収容具1は、内部部材10と、外部部材20と、端部部材30と、を備え、釣り糸Lを収容し、全体が紙により形成されている。
【0026】
内部部材10は、円筒形状に形成され、周方向の外面11(
図2参照)に釣り糸Lが巻き回される。
図1及び
図2に示す例において、内部部材10は、円筒形状に形成されているが、円柱形状に形成してもよい。
【0027】
外部部材20は、少なくとも内部部材10の外面11を覆い、内部部材10を回転自在に保持する。内部部材10に巻き回された釣り糸Lは、その先端側が、外部部材20を貫通して外部に延びる。
【0028】
具体的には、外部部材20には、内部部材10の周方向と直交する方向に延び、外部から内部部材10に巻き回された釣り糸Lを視認可能な窓部21が形成されており、内部部材10に巻き回された釣り糸Lの先端側は、窓部21を貫通して外部に延びる。なお、外部部材20は、釣り糸Lを貫通する孔を有すれば、窓部21を省略してもよい。
【0029】
また、外部部材20には、窓部21の側縁から延び、釣り糸Lを着脱自在に挟持可能な溝22を形成してもよい。溝22は、
図1及び
図2に示す例では、窓部21の側縁から、内部部材10の周方向(釣り糸Lが巻き回されている方向)に延びているが、これに限らず、例えば、内部部材10の周方向と直交する方向等の任意の方向に延ばすことができる。
【0030】
外部部材20は、
図1及び
図2に示す例では、外観形状が円筒形状に形成されているが、内部部材10を回転自在に保持することができれば、任意の形状とすることができる。また、外部部材20は、内部の幅寸法が、内部部材10の幅寸法や、内部部材10の幅方向の両端にそれぞれ配置された端部部材30の一方の外側端部から他方の外側端部までの寸法と、略同一であることが望ましい。これにより、外部部材20の内部に、より安定して内部部材10を保持できる。
【0031】
図3及び
図4は、本発明の実施の形態である糸収容具の外部部材の別例を説明する図である。
図3及び
図4では、外部部材20の外観形状を点線で示している。
図3に示す例において、外部部材20の外観形状は、中空の円柱形状に形成され、その内部において、内部部材10を回転自在に保持している。
図4に示す例において、外部部材20の外観形状は、中空の多角柱(例えば、4角柱)形状に形成され、その内部において、内部部材10を回転自在に保持している。
【0032】
図2に戻って、端部部材30は、内部部材10の外面11の周方向と直交する方向の端部に配置され、外面11より、内部部材10の周方向と直交する方向の中心から延びる放射方向に突出し、先端が外部部材20の内面に当接する。
【0033】
端部部材30は、
図2に示す例では、円筒形状に形成され、内部部材10の幅方向の両端に、それぞれ配置され、内部部材10の幅方向内側に固定されている。すなわち、端部部材30は、
図2に示す例では、内径が、内部部材10外径と略同じ寸法で形成されている。なお、端部部材30は、
図2に示す例の形状に限らず、内部部材10の幅方向の両端のうち、いずれか一方にのみに固定してもよい。また、端部部材30は、円筒形状に限らず、先端が外部部材20の内面に当接すれば、任意の形状とすることができる。また、端部部材30は、紙に限らず、ゴムや、ポリウレタンフォームや、ポリエステルで形成してもよい。
【0034】
図5は、本発明の実施の形態である糸収容具の端部部材の別例を説明する図である。
図5に示す例において、端部部材30は、円板形状に形成され、内部部材10の幅方向の両端に、それぞれ配置され、内部部材10の幅方向外側に配置されている。この場合、端部部材30は、面方向の中心が、内部部材10の周方向と直交する方向の中心と同一位置になるように配置されるのが望ましい。なお、端部部材30は、
図2や
図5に示す形状に限らず、先端が外部部材20の内面に当接すれば、例えば、歯車形状や、内部部材10の周方向と直交する方向の中心から延びる放射方向に、内部部材10の周方向において部分的に突出する部材であってもよい。
【0035】
(糸収容具の動作)
糸収容具1は、
図1に示す状態で、ユーザに提供される。ユーザは、釣り糸Lを引き出す場合、一方の手で外部部材20を掴み、他方の手で釣り糸Lを掴み、釣り糸Lを溝22から外して、釣り糸Lを窓部21の内側に配置した状態で引っ張る。すると、外部部材20の内側において、内部部材10が回転する。そして、ユーザは、所望の量の釣り糸Lを引き出した後は、再び、釣り糸Lを溝22に係止させ、外部部材20の外部側で釣り糸Lを切断する。
【0036】
このような糸収容具1によれば、周方向の外面に釣り糸Lが巻き回される内部部材10を紙製とすることで、資源枯渇や地球温暖化の問題を有するプラスチックを用いる必要がない。
したがって、プラスチックを用いずに、釣り糸を収容可能な糸収容具を提供できる。
【0037】
また、糸収容具1によれば、外部部材20も紙製とすることで、資源枯渇や地球温暖化の問題を有するプラスチックを用いる必要がない。また、釣り糸Lが巻き回された内部部材10の外面を外部部材20で覆うことで、内部部材10に巻き回された釣り糸Lに他の物が接触するのを防止することができる。
したがって、プラスチックを用いずに、釣り糸を収容し、収容した状態の釣り糸が他の物に絡むのを防止可能な糸収容具を提供できる。
【0038】
また、糸収容具1によれば、外部部材20に、内部部材10の周方向と直交する方向に延び、外部から内部部材10に巻き回された釣り糸Lを視認可能な窓部21を形成したので、外部部材20で覆われた内部部材10の外面11に巻き回された釣り糸Lの残量を視認することが可能となり、利便性が向上する。
【0039】
また、糸収容具1によれば、端部部材30を内部部材10の外面11の周方向と直交する方向の端部に配置したので、内部部材10に巻き回された釣り糸Lが、内部部材10の端部から外れてしまうのを防止できるとともに、この端部部材30の先端を外部部材20の内面に当接させることで、外部部材20内で、内部部材10が安定して回転するので、スムーズに釣り糸Lを引き出すことが可能となる。また、端部部材30の先端を外部部材20の内面に当接させることで、外部部材20内で、内部部材10が安定するので、内部部材10のガタ着きや、内部部材10が意図せずに回転し、外部部材20内で釣り糸が弛んでしまったり、釣り糸Lの端部が外部部材20内に引き込まれたりするのを防止することが可能となる。
【0040】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0041】
1 糸収容具
10 内部部材
11 外面
20 外部部材
21 窓部
22 溝
30 端部部材