(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054803
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】外装品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C25D 11/26 20060101AFI20240410BHJP
C23F 1/00 20060101ALI20240410BHJP
G04B 37/22 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
C25D11/26 302
C23F1/00 A
G04B37/22 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161292
(22)【出願日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000175766
【氏名又は名称】三恵技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109243
【弁理士】
【氏名又は名称】元井 成幸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】小林 笑美加
【テーマコード(参考)】
4K057
【Fターム(参考)】
4K057WA05
4K057WB08
4K057WC10
4K057WE07
4K057WM03
4K057WN09
(57)【要約】
【課題】金属光沢の無い黒色等の暗色の外観を高い均一性で形成することができる外装品を提供する。
【解決手段】チタン若しくはチタン合金の金属基材2の表面に凸部22の平均高さHを5nm~50μmとして微細凹凸21が形成され、凸部22の平均幅Wに対する凸部22の平均高さの比が0.25以上となるようにして微細凹凸21の凸部22が形成され、微細凹凸21を埋めるようにして陽極酸化被膜3が形成されていることを特徴とする外装品1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタン若しくはチタン合金の金属基材の表面に凸部の平均高さを5nm~50μmとして微細凹凸が形成され、
前記凸部の平均幅に対する前記凸部の平均高さの比が0.25以上となるように前記凸部が形成され、
前記微細凹凸を埋めるようにして陽極酸化被膜が形成されていることを特徴とする外装品。
【請求項2】
前記凸部の平均幅が1500nm以下であることを特徴とする請求項1記載の外装品。
【請求項3】
前記陽極酸化被膜の前記凸部の頂部からの膜厚が500nm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の外装品。
【請求項4】
チタン若しくはチタン合金の金属基材の表面から自然酸化膜を除去する第1工程と、
前記金属基材の表面にエッチングを施して、前記金属基材の表面に、凸部の平均高さを5nm~50μm、前記凸部の平均幅に対する前記凸部の平均高さの比が0.25以上となるようにして微細凹凸を形成する第2工程と、
前記微細凹凸を埋めるようにして陽極酸化被膜を形成する第3工程を備えることを特徴とする外装品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属基材の表面に陽極酸化被膜が形成された外装品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属基材の表面に陽極酸化被膜が形成された部品として特許文献1の時計部品がある。この時計部品は、チタン又はチタン合金に含まれる結晶の粒径が7μm以上3mm以下とされ、各結晶の表面が鏡面で形成され、各結晶の表面の法線方向が相互に異なるように形成されていると共に、表面に陽極酸化被膜が形成されたものである。
【0003】
そして、特許文献1の時計部品を製造する際には、チタン又はチタン合金を熱処理して複数の結晶の粒径を7μm以上3mm以下に粗大化した後、エッチングを施して各結晶の表面を鏡面化すると共に各結晶の表面の法線方向を相互に異ならせ、エッチング工程の後に表面を陽極酸化処理して陽極酸化被膜を形成するとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の時計部品の製造方法では、表面を鏡面化し且つ各結晶の表面の法線方向を異ならせるエッチングを施した後に陽極酸化被膜を形成することで、時計部品の表面に特定色でキラキラと輝く金属光沢を付与することができる。しかしながら、これとは逆に、金属光沢の無い黒色等の暗色の外観を形成することは困難である。製品によっては金属光沢の無い暗色の外観が望まれる場合も多く、金属光沢の無い黒色等の暗色の外観が高い均一性で形成された外装品が求められている。
【0006】
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、金属光沢の無い黒色等の暗色の外観を高い均一性で形成することができる外装品及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の外装品は、チタン若しくはチタン合金の金属基材の表面に凸部の平均高さを5nm~50μmとして微細凹凸が形成され、前記凸部の平均幅に対する前記凸部の平均高さの比が0.25以上となるように前記凸部が形成され、前記微細凹凸を埋めるようにして陽極酸化被膜が形成されていることを特徴とする。金属基材の表面に形成される微細凹凸の凸部の平均高さは、50nm~2000nmとするとより好適であり、50nm~1000nmとするとより一層好適である。
これによれば、チタン又はチタン合金の表面を鏡面化した場合には金属光沢が得られるのに対し、金属基材の表面の微細凹凸を形成することにより、金属基材の表面で光を散乱して低光沢化し、マット調な質感の暗色の外観を得ることができる。更に、凸部の平均高さを5nm~50μm、凸部の平均幅に対する前記凸部の平均高さの比を0.25以上として微細凹凸を形成することにより、金属光沢の無い黒色等の暗色の外観を高い均一性で確実に形成することができる。また、微細凹凸を埋めるようにして陽極酸化被膜を形成することにより、所望調色の暗色の外観と外装品の耐食性を得ることができる。
【0008】
本発明の外装品は、前記凸部の平均幅が1500nm以下、より好適には1200nm以下であることを特徴とする。
これによれば、金属光沢の無い黒色等の暗色の外観を高い均一性でより確実に形成することができる。
【0009】
本発明の外装品は、前記陽極酸化被膜の前記凸部の頂部からの膜厚が500nm以下、より好適には10nm~500nmであることを特徴とする。
これによれば、陽極酸化被膜の凸部の頂部からの膜厚を500nm以下とすることにより、金属基材の暗色の視認性を確保し、所望調色の暗色の外観をより確実に得ることができると共に、外装品の耐食性をより確実に得ることができる。
【0010】
本発明の外装品の製造方法は、チタン若しくはチタン合金の金属基材の表面から自然酸化膜を除去する第1工程と、前記金属基材の表面にエッチングを施して、前記金属基材の表面に、凸部の平均高さ5nm~50μm、前記凸部の平均幅に対する前記凸部の平均高さの比が0.25以上となるようにして微細凹凸を形成する第2工程と、前記微細凹凸を埋めるようにして陽極酸化被膜を形成する第3工程を備えることを特徴とする。金属基材の表面に形成される微細凹凸の凸部の平均高さは、50nm~1000nmとするとより好適である。
これによれば、チタン又はチタン合金の表面を鏡面化した場合には金属光沢が得られるのに対し、金属基材の表面の微細凹凸を形成することにより、金属基材の表面で光を散乱して低光沢化し、マット調な質感の暗色の外観を得ることができる。更に、凸部の平均高さを5nm~50μm、前記凸部の平均幅に対する前記凸部の平均高さの比を0.25以上として微細凹凸を形成することにより、金属光沢の無い黒色等の暗色の外観を高い均一性で確実に形成することができる。また、微細凹凸を埋めるようにして陽極酸化被膜を形成することにより、所望調色の暗色の外観と外装品の耐食性を得ることができる。また、事前に金属基材の表面から自然酸化膜を除去することにより、均一な暗色の外観をより確実に得ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、外装品の表面において金属光沢の無い黒色等の暗色の外観を高い均一性で形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】(a)は本発明による実施形態の外装品の模式断面図、(b)は同図(a)の部分拡大図。
【
図2】(a)~(e)は実施形態の外装品の製造工程を示す模式工程図。
【
図3】実施例と比較例の凸部の平均幅Wに対する凸部の平均高さHの比と反射率との関係を示すグラフ。
【
図4】実施例と比較例の凸部の平均幅Wと反射率との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔実施形態の外装品及びその製造方法〕
本発明による実施形態の外装品1は、
図1に示すように、チタン若しくはチタン合金で形成されている金属基材2を有し、金属基材2の表面には微細凹凸21が形成され、微細凹凸21を埋めるようにして金属基材2の表面側に陽極酸化被膜3が形成されている。
【0014】
金属基材2の表面に形成された微細凹凸21の凸部22の平均高さHは例えば5nm~50μmで形成され、より好適には50nm~2000nmで形成され、より一層好適には50nm~1000nmで形成される。また、微細凹凸21の凸部22の平均幅Wは例えば100nm~2000nmで形成され、好ましくは凸部22の平均幅Wを1500nm以下、より好ましくは1200nm以下とするとよく、例えば凸部22の平均幅Wを200nm~1200nmで形成すると好適である。そして、凸部22の平均幅Wに対する凸部22の平均高さHの比、即ち(凸部22の平均高さH/凸部22の平均幅W)が0.25以上となるようにして、微細凹凸21の形成領域における凸部22を形成する。
【0015】
また、金属基材2の表面に形成された微細凹凸21の隣り合う凸部22・22相互の平均ピッチPは例えば1500nm以下とされ、好適には0nm~1200nmとされる。尚、凸部22の平均高さH、凸部22の平均幅W、凸部22・22相互の平均ピッチPは原子間力顕微鏡(AFM)を使用してチタン材表面の微細凹凸形状を複数箇所測定し、その平均値から算出した数値である。
【0016】
陽極酸化被膜3の凸部22からの膜厚Tは数十~数百nm程度とされ、本実施形態における陽極酸化被膜3の凸部22の頂部からの膜厚Tは10nm~500nmになっている。尚、陽極酸化被膜3の凸部22からの膜厚Tは、凸部22の頂部から陽極酸化被膜3の外表面までの膜厚を意味し、この膜厚は透過電子顕微鏡(TEM)による断面観察で測定する。
【0017】
本実施形態の外装品1を製造する際には、
図2(a)、(b)に示すように、母材であるチタン若しくはチタン合金の金属基材2mに脱脂処理を行い、油汚れ4を除去する。更に、
図2(b)、(c)に示すように、チタン若しくはチタン合金の金属基材2mの表面から自然酸化膜5を除去する。自然酸化膜5の除去処理は、例えばDAIN TIA(大和化成製、硝酸10wt%以下とフッ酸2.8wt%含有)を酸化膜除去剤として用い、室温でDAIN TIAの原液にチタン若しくはチタン合金の金属基材2mを1分程度浸漬して自然酸化膜5を除去する。
【0018】
そして、
図2(c)、(d)に示すように、自然酸化膜5を除去した金属基材2mの表面にエッチングを施して、例えば凸部22の平均高さHを5nm~50μm、凸部22の平均幅に対する凸部22の平均高さの比が0.25以上となるようにして、微細凹凸21を形成して、金属基材2を得る。金属基材2mの表面にエッチングを施して微細凹凸21を形成する処理では、例えばDAIN TIB-SL(大和化成製、フッ酸1wt%未満含有)をエッチング剤として用い、室温でDAIN TIB-SLの原液にチタン若しくはチタン合金の金属基材2mを3~10分程度浸漬して微細凹凸21を形成する。
【0019】
尚、金属基材2mの表面からの自然酸化膜5の除去処理と、金属基材2mの表面にエッチングを施して微細凹凸21を形成する処理の双方を、金属基材2mを硫酸に浸漬して一度に行うようにしても好適である。この場合、例えば濃度98%の濃硫酸を500mL/Lの濃度に希釈した硫酸を50℃±2℃とし、この硫酸に金属基材2mを10~30分程度浸漬して、自然酸化膜5の除去と微細凹凸21を形成する処理を行う。
【0020】
その後、
図2(e)に示すように、微細凹凸21を埋めるようにして金属基材2の表面側に陽極酸化被膜3を形成し、外装品1を得る。陽極酸化被膜3の形成処理では、例えばCPE-3000A(三菱ガス化学トレーディング社製リオクリーン)を500mL/Lの濃度に希釈して電解液とし、金属基材2を室温の電解液中に浸漬すると共に陽極に接続し、電圧20V、電流5A/dm
2で陽極に1分程度電流を流して金属基材2に陽極酸化被膜3を形成する。
【0021】
本実施形態の外装品1によれば、チタン又はチタン合金の表面を鏡面化した場合には金属光沢が得られるのに対し、金属基材2の表面の微細凹凸21を形成することにより、金属基材2の表面で光を散乱して低光沢化し、マット調な質感の暗色の外観を得ることができる。更に、凸部22の平均高さを5nm~50μm、より好適には50nm~2000nm、より一層好適には50nm~1000nmで形成し、凸部22の平均幅Wに対する凸部22の平均高さHの比を0.25以上として微細凹凸21を形成することにより、金属光沢の無い黒色等の暗色の外観を高い均一性で確実に形成することができる。また、微細凹凸21を埋めるようにして陽極酸化被膜3を形成することにより、所望調色の暗色の外観と外装品1の耐食性を得ることができる。
【0022】
また、陽極酸化被膜3の凸部22の頂部からの膜厚Tを500nm以下、好適には10nm~500nmとすることにより、金属基材2の暗色の視認性を確保し、所望調色の暗色の外観をより確実に得ることができると共に、外装品1の耐食性をより確実に得ることができる。
【0023】
また、外装品1の製造方法において、事前に金属基材2mの表面から油汚れ4、自然酸化膜5を除去することにより、外装品1の均一な暗色の外観をより確実に得ることができる。
【0024】
〔実施例と比較例〕
本発明の外装品1の実施例と比較例について説明する。表1に実施例と比較例を示す。実施例1~4と比較例1のそれぞれの金属基材には板状の純チタン(JIS 1種)を用い、各金属基材の表面に形成した微細凹凸の凸部の平均高さHと凸部の平均幅Wを、原子間力顕微鏡(AFM)を使用した観察により測定した。また、微細凹凸を埋めるようにして形成した無色透明の陽極酸化膜の膜厚Tは断面を透過電子顕微鏡(TEM)による観察画像より測定した。ピーク波長の分光反射率は、実施例1~4と比較例1の外装品1の各サンプルについて分光測色計を用いて測定波長360nm~740nmの間の分光反射率(SCI)を測定し、分光反射率が最も大きい波長(ピーク波長)の反射率を抜き出したものである。
【0025】
【0026】
・実施例1
実施例1のサンプルは、DAIN TIA(大和化成製、硝酸10wt%以下とフッ酸2.8wt%含有)を酸化膜除去剤として用い、室温でDAIN TIAの原液に純チタン(JIS 1種)の金属基材を1分浸漬して金属基材から自然酸化膜の除去と微細凹凸形成前段階の基材表面のエッチング処理を行った後、室温でDAIN TIB-SL(大和化成製、フッ酸1wt%未満含有)の原液に自然酸化膜を除去した金属基材を3分浸漬してエッチング処理を施すことにより微細凹凸を形成し、更に、CPE-3000A(三菱ガス化学トレーディング社製リオクリーン)を500mL/Lの濃度に希釈して電解液とし、金属基材を室温の電解液中に浸漬すると共に陽極に接続し、電圧20V、電流5A/dm2で陽極に1分電流を流して陽極酸化被膜を形成することにより作成した。
【0027】
・実施例2
実施例2のサンプルは、DAIN TIA(大和化成製、硝酸10wt%以下とフッ酸2.8wt%含有)を酸化膜除去剤として用い、室温でDAIN TIAの原液に純チタン(JIS 1種)の金属基材を1分浸漬して金属基材から自然酸化膜の除去と微細凹凸形成前段階の基材表面のエッチング処理を行った後、室温でDAIN TIB-SL(大和化成製、フッ酸1wt%未満含有)の原液に自然酸化膜を除去した金属基材を10分浸漬してエッチング処理を施すことにより微細凹凸を形成し、更に、CPE-3000A(三菱ガス化学トレーディング社製リオクリーン)を500mL/Lの濃度に希釈して電解液とし、金属基材を室温の電解液中に浸漬すると共に陽極に接続し、電圧20V、電流5A/dm2で陽極に1分電流を流して陽極酸化被膜を形成することにより作成した。
【0028】
・実施例3
実施例3のサンプルは、濃度98%の濃硫酸を500mL/Lの濃度に希釈した硫酸を50℃±2℃まで昇温し、純チタン材を10分浸漬して自然酸化膜の除去と微細凹凸の形成を行い、更に、CPE-3000A(三菱ガス化学トレーディング社製リオクリーン)を500mL/Lの濃度に希釈して電解液とし、金属基材を室温の電解液中に浸漬すると共に陽極に接続し、電圧20V、電流5A/dm2で陽極に1分電流を流して陽極酸化被膜を形成することにより作成した。
【0029】
・実施例4
実施例4のサンプルは、濃度98%の濃硫酸を500mL/Lの濃度に希釈し、50℃±2℃まで昇温後、純チタン材を30分浸漬して自然酸化膜の除去と微細凹凸の形成を行い、更に、CPE-3000A(三菱ガス化学トレーディング社製リオクリーン)を500mL/Lの濃度に希釈して電解液とし、金属基材を室温の電解液中に浸漬すると共に陽極に接続し、電圧20V、電流5A/dm2で陽極に1分電流を流して陽極酸化被膜を形成することにより作成した。
【0030】
・比較例1
比較例1のサンプルは、過酸化水素3%、一水素二弗化アンモニウム10%、硫酸5% を含む水溶液に、純チタン材を1分間浸漬して自然酸化膜の除去とエッチングにより表面の粗度を整えた後、過酸化水素10%、一水素二弗化アンモニウム5%、硫酸5%を含む水溶液に1分間浸漬して酸洗浄を行い、更に、CPE-3000A(三菱ガス化学トレーディング社製リオクリーン)を500mL/Lの濃度に希釈して電解液とし、金属基材を室温の電解液中に浸漬すると共に陽極に接続し、電圧20V、電流5A/dm2で陽極に1分電流を流して陽極酸化被膜を形成することにより作成した。
【0031】
図3に実施例1~4と比較例1の凸部の平均幅Wに対する凸部の平均高さHの比と反射率との関係を示すグラフ、
図4に実施例1~4と比較例1の凸部の平均幅Wと反射率との関係を示すグラフを示す。
【0032】
図3に示すように、微細凹凸の凸部の平均幅Wに対する凸部の平均高さHの比、即ち(凸部の平均高さH/凸部の平均幅W)が0.25以上の場合には、ピーク波長の分光反射率20%以下となり、高いレベルの暗色の外観が得られることが分かる。
【0033】
また、
図4に示すように、微細凹凸の凸部の平均幅Wが1200nm以下の場合に、ピーク波長の分光反射率が20%以下となり、より高いレベルの暗色の外観が得られることが分かる。
【0034】
〔本明細書開示発明の包含範囲〕
本明細書開示の発明は、発明として列記した各発明、実施形態の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な内容を本明細書開示の他の内容に変更して特定したもの、或いはこれらの内容に本明細書開示の他の内容を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な内容を部分的な作用効果が得られる限度で削除して上位概念化して特定したものを包含する。そして、本明細書開示の発明には下記変形例や追記した内容も含まれる。
【0035】
例えば本発明が適用される外装品の金属基材の表面形状は、平面状、曲面状、多面状など適宜である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、例えばボトル、コップ、ストロー、スプーン等の食器、建築部材、車両部材など、外部から視認される各種の外装品に利用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1…外装品 2、2m…金属基材 21…微細凹凸 22…凸部 3…陽極酸化被膜 4…油汚れ 5…自然酸化膜 H…微細凹凸の凸部の平均高さ W…微細凹凸の凸部の平均幅 P…微細凹凸の隣り合う凸部相互の平均ピッチ T…陽極酸化被膜の凸部の頂部からの膜厚