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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054846
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】教具及び教育システム
(51)【国際特許分類】
   G09B 19/00 20060101AFI20240410BHJP
   G09B 3/02 20060101ALI20240410BHJP
   G06Q 50/20 20120101ALI20240410BHJP
【FI】
G09B19/00 Z
G09B3/02
G06Q50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023172395
(22)【出願日】2023-10-03
(31)【優先権主張番号】P 2022161293
(32)【優先日】2022-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】307014072
【氏名又は名称】朝日 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100112162
【弁理士】
【氏名又は名称】朝日 直子
(72)【発明者】
【氏名】朝日 直子
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC34
5L050CC34
(57)【要約】      (修正有)
【課題】持ち運びができ、すぐに遊べ、各種能力を効果的に身に着けさせることができる教具と、それを用いた教育システムを提供する。
【解決手段】手提げバッグ10の表面部11cに、複数の駒体22を設け、駒体を手で動かしながら学べるようにした教具1に、単元ごとの学習用問題が保持された出題メモリと、その正解例が保持された正解メモリと、解き方を前記教具を用いて指導する方法を記憶させた指導メモリとを備え、出題メモリから呼び出された問題情報を画面に表示して解答の入力を促す出題システムと、正解か否かを判断して結果を表示する評価システムと、不正解の場合は前記生地部材の表面部を模した背景画面上に、前記駒体を模した駒体表示を現し、該駒体表示を移動させながら前記問題の再考を促す指導システムと、を含んで教育システム500を構成した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋を構成するための生地部材(10)の表面部に複数の駒体(22)を着脱又は移動可能に設けたことを特徴とする教具。
【請求項2】
前記駒体(22)は、表面部に自然数を表示したものであって、該自然数のうち最初の素数を三原色のうちの第1の色又はそれに無彩色を混ぜた色で表現し、2番目の素数を第2の色又はそれに無彩色を混ぜた色で表現し、それ以外の素数のうちのいずれか1つを第3の色又はそれに無彩色を混ぜた色で表現することとし、因数分解することができる数を、該因数に応じた色を混ぜた色彩で表現したことを特徴とする請求項1に記載の教具。
【請求項3】
袋を構成するための生地部材(10)の表面部に着脱又は移動可能な複数の駒体(22)を設けた教具(1)と、
問題を提示して解答の入力を促す出題シート(560b)と、
該出題シートの解答欄に正解例を表示する解答シート(560c)と、
該解答シートに前記教具の使用法を表示した指導シート(560d)と、を含んで構成されたことを特徴とする教育システム。
【請求項4】
袋を構成するための生地部材(10)の表面部に着脱又は移動可能な複数の駒体(22)を設けた教具(1)と、第1の表紙部(51a)と第2の表紙部(51b)を備えた規格サイズの表紙(51)と、表裏の表紙間に綴り込まれた複数葉の書籍用紙(52)からなる書籍(50)と、を含んで構成された教育システムであって、
前記書籍用紙(52)は、前記第1の表紙部(51a)に対応する部位に、前記教具の使用法が記載された指導シート部(52a)が設けられ、前記第2の表紙部(51b)に対応する部位に、該指導シートに関連する内容の第2のシート部(52b)が設けられたものであることを特徴とする教育システム。
【請求項5】
袋を構成するための生地部材(10)の表面部に着脱又は移動可能な複数の駒体(22)を設けた教具(1)と、
単元ごとの学習用問題が保持された出題メモリと、前記学習用問題に対する正解例が保持された正解メモリと、前記学習用問題の解き方を前記教具を用いて指導する方法を記憶させた指導メモリとを備え、
前記出題メモリから呼び出された問題情報を画面に表示して解答の入力を促す出題システムと、正解か否かを判断して結果を表示する評価システムと、不正解の場合は前記生地部材の表面部を模した背景画面上に、前記駒体を模した駒体表示を現し、該駒体表示を移動させながら前記問題の再考を促す指導システムと、を含んで構成されたことを特徴とする教育システム。
【請求項6】
前記評価システムは、前記問題システムにおける解答終了信号の入力を受けて、正解メモリから該当する正解情報を呼び出して前記問題画面上に表示し、自身の解答と対応させて自己採点を促す自己採点システムと含んで構成され、該自己採点システムにおける自己採点の適否を正解メモリを参照して判断し、適正でない場合は再度の自己採点を促し、不合格閾値に該当する場合は、前記指導システムが呼び出されるように構成されたことを特徴とする請求項5に記載の教育システム。
【請求項7】
前記出題システムは、出題メモリから呼び出された問題情報を印刷して出題シートを構成し、前記評価システムは、前記出題シート上に正解例が表示された解答シートを生徒に提示して正解か否かを自己採点させ、前記指導システムは、正解例に至るまでの思考の道筋を前記出題シート又は解答シート上に表示して指導シートを作成するように構成されたことを特徴とする請求項5に記載の教育システム。
【請求項8】
前記生地部材(10)は、袋の外側を構成するための第1の生地(11)と、内側を構成するための第2の生地(12)と、夫々の生地の表側の面を対向させて配置し、その間に前記持ち手部材(13)を、該持ち手部材(13)の両端が前記第1及び第2の生地の上方に位置し、前記持ち手部材(13)の中間部が下側に向くよう配置し、前記第1及び第2の生地の上端部を縫い合わせて構成された一対のシステム部材(14)であることを特徴とする請求項3~請求項5のいずれか1つの請求項に記載の教育システム。
【請求項9】
前記駒体(22)は、人形部材(722)又は該人形部材(722)に装着可能な付属物(723)であることを特徴とする請求項3~請求項5の何れか1つの請求項に記載の教育システム。
【請求項10】
生地部材(10)の表面部は、該生地部材(10)に取り付けられる収容部(21)であり、該収容部(21)の表面部を前記駒体(22)が付着される背景部材(725,726,727)としたことを特徴とする請求項3~請求項5のいずれか1つの請求項に記載の教育システム。
【請求項11】
弾性部材を含んで構成される第1の部品と、締結手段を含んで構成される第2の部品と、回転手段を含んで構成される第3の部品と、係合手段を含んで構成される第4の部品とを駒体(22)とし、該駒体(22)が収容される部品収容部を含んで構成したことを特徴とする請求項3~請求項5の何れか1つの請求項に記載の教育システム。
【請求項12】
前記駒体を、「5」の数字が表示された5円部材と、「1」の数字が表示された1円部材と、からなる一の位部と、「50」の数字が表示された50円部材と、「10」の数字が表示された10円部材と、からなる十の位部を含んで構成したことを特徴とする請求項3~請求項5の何れか1つの請求項に記載の教育システム。
【請求項13】
前記駒体は、当分された複数の部分を有する第1の駒体(222)と、該駒体(222)とは異なる値に当分された複数の部分を有する第2の駒体(222a、222b)と、からなり、前記収容部(221)は、前記第1及び第2の駒体の前記当分された値の最小公倍数分の収容区画を備えたものであることを特徴とする請求項3~請求項5の何れか1つの請求項に記載の教育システム。
【請求項14】
前記駒体(322)は、三角形の各頂点を含む3つの部分に分割した形状とし、前記収容部(321)は、前記頂点を隣接させて3つの駒体を一直線に並べることが可能な面積を備えた面ファスナーであることを特徴とする請求項3~請求項5の何れか1つの請求項に記載の教育システム。
【請求項15】
前記駒体(422)は、三角形を底辺に平行な直線で複数個に分割した形状とし、前記収容部(421)の底辺を、分割された最下部の駒体の底辺部と同一とし、直角部を挟んで、分割された前記駒体(422)の一側を揃えて貼り付けることが可能な高さ部を備えた構成としたことを特徴とする請求項3~請求項5の何れか1つの請求項に記載の教育システム。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊ばせながら効果的に各種能力を身に付けさせることができる教具及び教育システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊ばせながら技術や能力を身に付けることのできる教具として、特許文献1には、五線譜を布地に表示した五線譜表示体と、音部記号を布地に表示した音部記号表示体と、音符を布地に表示した音符表示体を備えた楽譜読み遊戯具が提案されている。五線譜表示体・音部表示体・音符表示体を布地にすることで、手触り感が柔らかく、幼児等の遊戯者が抵抗感なく安心して音楽能力を身に着けられるように設計されている。
また、特許文献2には、パズルを利用することで、遊びを通して学習できる教具も提案されている。特許文献3には、コンピュータ装置を用いてゲーム感覚で算数を学ばせるシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-206868号公報
【特許文献2】特開2004-20891号公報
【特許文献3】再表2011/155503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、いずれの教具も持ち運びの際には袋や鞄に収容する必要があり、使用する際に「袋から取り出す」という手間が必要となるし、目に付き易い場所に置いておかないと、その存在すら忘れてしまうことがある。
そこで、本発明は、持ち運びができ、すぐに取り出して遊ぶことができ、各種能力を効果的に身に着けさせることができる教具及び教育システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係る教具は、袋を構成するための生地部材の表面部に複数の駒体を着脱又は移動可能に設けたことを特徴とするものである。
この場合、前記駒体は、表面部に自然数を表示したものであって、該自然数のうち最初の素数を三原色のうちの第1の色又はそれに無彩色を混ぜた色で表現し、2番目の素数を第2の色又はそれに無彩色を混ぜた色で表現し、それ以外の素数のうちのいずれか1つを第3の色又はそれに無彩色を混ぜた色で表現することとし、因数分解することができる数を、該因数に応じた色を混ぜた色彩で表現したことを特徴とするものであってもよい。
【0006】
また、本発明に係る教育システムは、袋を構成するための生地部材の表面部に着脱又は移動可能な複数の駒体を設けた教具と、問題を提示して解答の入力を促す出題シートと、該出題シートの解答欄に正解例を表示する解答シートと、該解答シートに前記教具の使用法を表示した指導シートと、を含んで構成されたことを特徴とするものである。
袋を構成するための生地部材の表面部に着脱又は移動可能な複数の駒体を設けた教具と、第1の表紙部と第2の表紙部を備えた規格サイズの表紙と、表裏の表紙間に綴り込まれた複数葉の書籍用紙からなる書籍と、を含んで構成された教育システムであって、前記書籍用紙は、前記第1の表紙部に対応する部位に、前記教具の使用法が記載された指導シート部が設けられ、前記第2の表紙部に対応する部位に、該指導シートに関連する内容の第2のシート部が設けられたものであってもよい。
また、袋を構成するための生地部材の表面部に着脱又は移動可能な複数の駒体を設けた教具と、単元ごとの学習用問題が保持された出題メモリと、前記学習用問題に対する正解例が保持された正解メモリと、前記学習用問題の解き方を前記教具を用いて指導する方法を記憶させた指導メモリとを備え、前記出題メモリから呼び出された問題情報を画面に表示して解答の入力を促す出題システムと、正解か否かを判断して結果を表示する評価システムと、不正解の場合は前記生地部材の表面部を模した背景画面上に、前記駒体を模した駒体表示を現し、該駒体表示を移動させながら前記問題の再考を促す指導システムと、を含んで構成してもよい。
【0007】
前記評価システムは、前記問題システムにおける解答終了信号の入力を受けて、正解メモリから該当する正解情報を呼び出して前記問題画面上に表示し、自身の解答と対応させて自己採点を促す自己採点システムと含んで構成され、該自己採点システムにおける自己採点の適否を正解メモリを参照して判断し、適正でない場合は再度の自己採点を促し、不合格閾値に該当する場合は、前記指導システムが呼び出されるように構成されたものであってもよい。
この場合、前記出題システムは、出題メモリから呼び出された問題情報を印刷して出題シートを構成し、前記評価システムは、前記出題シート上に正解例が表示された解答シートを生徒に提示して正解か否かを自己採点させ、前記指導システムは、正解例に至るまでの思考の道筋を前記出題シート又は解答シート上に表示して指導シートを作成するように構成されたことを特徴とするものであってもよい。
【0008】
生地部材は、袋の外側を構成するための第1の生地と、内側を構成するための第2の生地と、夫々の生地の表側の面を対向させて配置し、その間に前記持ち手部材を、該持ち手部材の両端が前記第1及び第2の生地の上方に位置し、前記持ち手部材の中間部が下側に向くよう配置し、前記第1及び第2の生地の上端部を縫い合わせて構成された一対のシステム部材であってもよい。
また、前記駒体は、人形部材又は該人形部材に装着可能な付属物であってもよい。
生地部材の表面部を、該生地部材に取り付けられる収容部とし、該収容部の表面部を前記駒体が付着される背景部材としてもよい。
弾性部材を含んで構成される第1の部品と、締結手段を含んで構成される第2の部品と、回転手段を含んで構成される第3の部品と、係合手段を含んで構成される第4の部品と、を駒体とし、該駒体が収容される部品収容部を含んで構成されたものであってもよい。
【0009】
前記駒体を、「5」の数字が表示された5円部材と、「1」の数字が表示された1円部材と、からなる一の位部と、「50」の数字が表示された50円部材と、「10」の数字が表示された10円部材と、からなる十の位部を含んで構成してもよい。
また、前記駒体は、当分された複数の部分を有する第1の駒体と、該駒体とは異なる値に当分された複数の部分を有する第2の駒体と、からなり、前記収容部は、前記第1及び第2の駒体の前記当分された値の最小公倍数分の収容区画を備えたものであってもよい。
或いは、前記駒体は、三角形の各頂点を含む3つの部分に分割した形状とし、前記収容部は、前記頂点を隣接させて3つの駒体を一直線に並べることが可能な面積を備えた面ファスナーであってもよい。
三角形を底辺に平行な直線で複数個に分割した形状とし、前記収容部の底辺を、分割された最下部の駒体の底辺部と同一とし、直角部を挟んで、分割された前記駒体の一側を揃えて貼り付けることが可能な高さ部を備えた構成としてもよい。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明は、袋を構成するための生地部材の表面部に駒体を取り付けて遊ばせることができるので、外出先での待ち時間に、遊びを通じて学習させることができる。ポケットなどの収容部が設けられた表面部として構成した場合は、その収容部に駒体を隠しておき、表面に取り付けられている駒体の数から隠れている駒体の数を考えさせることで、遊びを通じて「数の分解(引き算)」の概念を理解させることができる。
請求項2の教具は、駒体の表面に自然数を表示したので、数字の概念を身に着けさせることができる。特に、奇数と偶数を異なる系統の色で表示し、学ばせようとする第3の数を更に別系統の色で表示したので、数の概念を視覚的に理解させることができ、例えば「5」を第3の色で表示することで10進法の概念、「3」を第3の色で表示し、第2の色と混色させることで12進法の概念、「7」を第3の色で表示することで「週」や「月」の概念を視覚的に理解させることができる。
因数分解することができる数には、該因数に応じた色を混ぜて色彩とすれば、因数分解の原理と混色の原理を関連付けて学ぶことができる。
【0011】
請求項3の教育システムは、袋を構成するための生地部材の表面部に着脱又は移動可能な複数の駒体を設けた教具を、問題を提示して解答の入力を促す出題シートと、該出題シートの解答欄に正解例を表示する解答シートと、該解答シートに前記教具の使用法を表示した指導シートと、を組み合わせたので、問題が解けなかった生徒に対し、教具を用いた指導が可能となる。
請求項4の教育システムは、袋を構成するための生地部材の表面部に着脱又は移動可能な複数の駒体を設けた教具と、第1の表紙部と第2の表紙部を備えた表紙と、表裏の表紙間に綴り込まれた複数葉の書籍用紙からなる書籍とを組み合わせ、書籍用紙の前記第1の表紙部に対応する部位に、前記教具の使用法が記載された指導シート部を設け、第2の表紙部に対応する部位に、該指導シートに関連する内容の第2のシート部を設けたので、製本後に第1及び第2の表紙部の境界で裁断し、2冊の書籍とすることができる。指導シート部を、問題を提示して解答の入力を促す出題シートとし、その解答欄に正解例を表示した解答シートとすれば、問題が解けなかった生徒に対し、教具を用いての指導が可能となる。第2のシート部を、指導シート部の要点集とすれば、それを切り離すことで、持ち運びに便利な小冊子とすることもできる。
【0012】
請求項5の教育システムは、単元ごとの学習用問題が保持された出題メモリと、前記学習用問題に対する正解例が保持された正解メモリと、前記学習用問題の解き方を前記教具を用いて指導する方法を記憶させた指導メモリとを備え、出題メモリから呼び出された問題情報を画面に表示して解答の入力を促す出題システムと、正解か否かを判断して結果を表示する評価システムと、不正解の場合は前記生地部材の表面部を模した背景画面上に、前記駒体を模した駒体表示を現し、該駒体表示を(ポインティングデバイスを用いて)移動させながら前記問題の再考を促す指導システムと、を含んで構成されたコンピュータ装置を含めて構成したので、電子媒体を用いた学びを実体験で補完することができる。
請求項6の教育システムは、評価システムを自己採点システムを含んだ構成としたので、自身の誤りを自ら発見することができ、自学自習を効率化させることができる。
請求項7の教育システムは、出題システムを、出題メモリから呼び出された問題情報を用紙上に印刷して出題シートを構成し、評価システムにおいて生徒自身に正解か否かを自己採点させ、指導システムにおいて、正解例に至るまでの思考の道筋が表示された指導シートを作成するので、何人もが先生となることができる。これによって、多様な場面で多様な先生による教育が可能となる。
【0013】
請求項8の教育システムは、生地部材を、袋の外側を構成するための第1の生地と、内側を構成するための第2の生地と、夫々の生地の表側の面を対向させて配置し、その間に前記持ち手部材を、該持ち手部材の両端が前記第1及び第2の生地の上方に位置し、前記持ち手部材の中間部が下側に向くよう配置し、前記第1及び第2の生地の上端部を縫い合わせて構成された一対のシステム部材することで、持ち手を付けた状態で提供するので、生地の両側を縫うだけで袋状部材を完成させることができる。容易に袋を作成することができるので、ものづくりの喜びを感じさせながら裁縫技術を習得させることができる。この場合、第1及び第2の生地を、袋の正面部に背面部を加えた面積とし、上端部と下端部の夫々に持ち手部材を取り付ければ、底面を縫い合わせることなく袋状にすることが可能となる。
【0014】
請求項9の教育システムは、駒体を、人形部材又は該人形部材に装着可能な付属物としたので物語の創造力を養うことができる。
請求項10の教育システムは、生地部材の表面部は、該生地部材に取り付けられる収容部であり、該収容部の表面部を前記駒体が付着される背景部材であることとしたので、多様な場面をイメージすることでき、多様な物語が想像可能となる。
請求項11の教育システムは、弾性部材を含んで構成される第1の部品と、締結手段を含んで構成される第2の部品と、回転手段を含んで構成される第3の部品と、係合手段を含んで構成される第4の部品とを駒体とし、該駒体が収容される部品収容部を含んで構成されたので、物に触れながら工夫する能力を養うことができる。
【0015】
請求項12の教育システムは、駒体を、「5」の数字が表示された5円部材と、「1」の数字が表示された1円部材と、からなる一の位部と、「50」の数字が表示された50円部材と、「10」の数字が表示された10円部材と、からなる十の位部を含んで構成したので算盤として利用可能な教具となる。
請求項13の教育システムは、前記駒体は、当分された複数の部分を有する第1の駒体と、該駒体とは異なる値に当分された複数の部分を有する第2の駒体と、からなり、前記収容部は、前記第1及び第2の駒体の前記当分された値の最小公倍数分の収容区画を備えたので、分母の異なる分数の足し算・引き算の際に必要となる「通分」について、遊びを通じて学習することができる。
請求項14の教育システムは、駒体を、三角形の各頂点を含む3つの部分に分割した形状とし、前記収容部は、前記頂点を隣接させて3つの駒体を一直線に並べることが可能な面積を備えた面ファスナーとしたので「三角形の内角の和」に対する理解が容易になる。
請求項15の教育システムは、駒体を、三角形を底辺に平行な直線で複数個に分割した形状とし、前記収容部の底辺を、分割された最下部の駒体の底辺部と同一とし、直角部を挟んで、分割された前記駒体の一側を揃えて貼り付けることが可能な高さ部を備えた構成としたので「三角形の面積」に対する理解が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る教具を示す平面図であり、(a)は使用前、(b)は使用中の状態を示す。
図2】上記教具を作成するための袋作成システムを示す説明図である。
図3】前記袋作成システムのシステム部材を作成する方法を示す説明図である。
図4】前記システム部材を用いて、本発明に係る教具を作成する方法を示す説明図である。
図5】上記教具の第1変形例として、袋部材の表面部に貼り渡された線状部材の一端部に収容部としての遮蔽部材を設け、駒体22を線状部材にスライド可能に取り付けて構成された序数理解用の教具部を示し、(a)は使用前、(b)は使用中の状態である。
図6】上記教具の第2変形例として、収容部の表面に面ファスナーを取り付けて構成された、最小公倍数を理解させるための教具部を示し、(a)は使用前、(b)は使用中の状態である。
図7】上記教具の第3変形例として、収容部の表面に面ファスナーを取り付けて構成された、三角形の内角の和を理解させるための教具部を示し、(a)は使用前、(b)は使用中の状態である。
図8】上記教具の第4変形例として、収容部の表面に面ファスナーを取り付け構成された、三角形の面積を理解させるための教具部を示し、(a)は使用前、(b)は使用中の状態である。
図9】上記教具の第5変形例として、お金の計算用の教具部を取り付けたポシェットの製造方法を示す説明図である。
図10】上記教具の第6変形例として(a)は袋の表面部に面ファスナーを取り付け構成された九九学習用の教具部を示し、(b)は面ファスナーに貼り付けられる駒体を示す。
図11】上記教具部の駒体を並べた状態を示し、(a)は駒体の表面を向けて並べ、(b)は裏面を向けて並べた状態である。
図12】駒体に表記された数字と着色の関係を示す説明図であり、素数を赤系統の色(R)、偶数を青系統の色(B)で表示し、10進法の概念を理解させるために「5」の倍数を黄系統の色(Y)で表示し、「3」の倍数は「素数(赤)」に無彩色を混ぜて構成される色(桃色P)とした場合の例を示す。
図13】本発明の教育システムの第1実施形態を示す説明図である。
図14】本発明の教育システムの第2実施形態を示す説明図である。
図15】上記教育システムの使用状態を示すカリキュラムの一例であり、(a)は概略シート、(b)は出題シート、(c)は解答シート、(d)は指導シートである。
図16】上記教育システムが実施される複合的な学びの場の一例を示す説明図である。
図17】上記教具部の第7変形例として、(a)はポケット部材に収容可能な人形部材を設け、人形部材に身に着けさせることができる付属物によって駒体を構成した例であり、(b)は近景を示すための駒体と遠景を構成するための駒体を設けた例である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る教具は、手提げ袋、巾着、ポーチなどの袋部材の表面部に収容部設け、そこに収容可能な複数の駒体を設けたことを特徴とするものである。本発明の実施例を以下に説明する。
【0018】
図1は、本発明の第1実施形態に係る教具1を示す平面図である。
この教具1は、内側の生地と外側の生地をひっくり返して使うことができるリバーシブルの手提げ袋10の機能をも有するもので、袋の外側を構成する第1の生地11と、裏生地としての第2の生地12と、持ち手部材13と、を含むキット14として提供される。このキットには、この教具1を用いた教育システム500への参加を認める権限を示すシリアルナンバーが付与されている。
【0019】
本発明のキット14は、図2に示すように、第1の生地11と、第2の生地12と、一対の持ち手部材13とを、を縫い合わせることで作成される。
この場合、双方の生地11,12は、袋10の正面部と背面部を合わせた面積を有し、上端部15と下端部15の夫々に持ち手部材13,13を付着けて構成されている。
即ち、2枚の生地11,12を、夫々の生地の表側の面11a,12aを対向させて配置し、その間に持ち手部材13を、その両端が生地の上端に位置し、中間部が下側に向くよう配置する(図3を参照)。そして、持ち手部材13を挟んだ状態で生地の裏側(11b、12b)を外側にして、生地の上端部15を縫い合わせる。
【0020】
このキット14を販売する際には、図3に示すように、持ち手部材13が見える状態で提供することで、手提げ袋としての仕上がり状態がイメージできるようにしている。
次に、これを用いて手提げ袋の機能をも有する教具1を作る方法を説明する。まず、図4(a)に示すように、裏側の生地の底となる部位(即ち、上下方向中央部)を、必要に応じて切断して平面状にする(図4(b)を参照)。
そして、図4(c)に示すように、表側の生地の正面部11cに、所望の教具部20を取り付ける。
【0021】
その後、図4(d)に示すように、生地を裏返し、縫い合わされた生地の上端部15、15’を重ね合わせた状態で、生地の両側縁17,17を縫い合わせて袋状にする。袋の内側を外側に裏返し、第2の生地12の底部を縫い合わせることで、教具部20を備えた手提げ袋が完成する(図1を参照)。
次に、キット14と共にセット販売される教具部20について説明する。
【0022】
教具部20は、手提げ袋10の表面となる平面部11cに縫い付けられるもので、収容部としてのポケット部材21と、その中に収容可能な10個の駒体22とによって構成される。
ポケット部材21の表面には、駒体22の裏面部に設けられたスナップ凸部に係合可能なスナップ凹部23が10個設けられており、各スナップ凹部23の対応位置に、1から順に自然数を並べて表示した数字表示24が設けられている。
【0023】
このように構成したので、図1(b)のように、10個の駒体22のうちの、例えば3つを先生がポケットの中に隠しておき、残りの駒体22を生徒に数えさせ、ポケットに隠された駒体22’の数を当てさせることで、「10は3と7に分けることができる」という数学概念を理解させることができる。この遊びを繰り返すことで「10-3=7」という引き算を、ゲーム感覚で学習することが可能となる。
【0024】
「1」と「9」の組み合わせ、「2」と「8」の組み合わせを、駒体22が係合されているスナップ凹部23の数と、されていないスナップ凹部23の数の組み合わせとして、視覚的に理解することができるので、繰り下がりのある引き算の学習で重要となる「10という数は1と9,2と8,3と7…に分解できる」という概念を、遊びを通じて身に着けさせることができる。
また、各被係合部に数字表示24を設けたので、「個数」としての数を、視覚を通じて認識される「数字」と結びつけることができる。
【0025】
教具部20の他の態様として、例えば、図5のように、収容部を、例えば下から上に開閉できる遮蔽部材として遮蔽部材121を構成し、各駒体122に、1から順に自然数を表示してもよい。
10個の駒体122を、1から順に、ベース地表面に張り渡された線状部材123にスライド可能に取り付け、駒体122を移動させ、線状部材123の一端に設けられた遮蔽部材121に隠せるようにした。先生が「隠れているのは幾つ?」と問題を出して生徒に答えさせ、その解答が正しいか否かを、遮蔽部材121をめくって確かめさせる。1番目、2番目、3番目…と駒体122を順次移動させることで、序数と個数の概念を理解させることができる。
【0026】
教具部220の異なる実施例として、図6に示すように、駒体222が貼り付けられる収容部221を面ファスナーで構成してもよい。この場合、駒体222を、当分された複数の部分を有する第1の駒体222aと、その駒体とは異なる値に当分された複数の部分を有する第2の駒体222bとによって構成し、その当分された値の最小公倍数(即ち、2等分された駒体と3等分された駒体の場合は6等分)の収容区画を備えた面ファスナー221とすることで最小公倍数の概念の理解が容易になり、分母の異なる分数の足し算・引き算における「通分」の理解を容易にすることができる。
【0027】
また、図7の教具部320のように、駒体322を、三角形を、各頂点を含む3つの部分に分割した形状としてもよい。収容部としての面ファスナー321は、前記頂点を隣接させて3つの駒体を一直線Lに並べることが可能な面積を備えたものとした。これによって、三角形の内角の和が180度であることを、遊びを通じて理解することができる。
或いは、図8に示す教具部420のように、駒体422を、三角形を、底辺に平行な直線で複数個に分割した形状とし、面ファスナー421の底辺を、分割された最下部の駒体422aの底辺部と同一とし、直角Rを挟んで、分割された前記駒体の一側を揃えて貼り付けることが可能な側辺部Hを備えた構成としたので、三角形の面積が「底辺×高さ÷2」であることを、遊びを通じて理解させることができる。
【0028】
また、図9のように、1円が5枚、5円が1枚、10円が5枚、50円が1枚の110円分の「買い物」ができるポシェット型の袋としてもよい。
ポシェット型にする場合は、外側を構成するための第1の生地11と、内側を構成するための第2の生地12とを、夫々の生地の表側の面を対向させて配置し、その間に肩掛け紐(持ち手部材13)を縫い付けた状態で袋部材10を提供する。
【0029】
或いは、図10に示す教具部520のように、九九学習用の駒体522を付着できるようにしてもよい。袋部材10の表面部に面ファスナーなどの付着部材521を設け、駒体の裏面部522bに、その付着部材に係合する面ファスナー(被付着部523)を設ける。駒体の一方の面(裏面)に「掛けられる数」と「掛ける数」を表記し、他方の面(表面)に「それらの数の積」を表記すれば、「駒体の表面522aの値を見て、裏面部552bに表示されている2つの数を当てさせる」というゲームができ、遊びを通じて因数分解の学習ができる(図11を参照)。
【0030】
この場合、「素数」「偶数」「5の倍数」など数の特質に合わせて着色を施してもよい。即ち、自然数のうち最初の素数「1」を三原色のうちの第1の色又はそれに無彩色を混ぜた色で表示し、2番目の素数「2」を第2の色又はそれに無彩色を混ぜた色で表示し、それ以外の素数のうちいずれか1つを第3の色又はそれに無彩色を混ぜた色で表示する。因数分解することができる数は、その因数に応じた色を混ぜて新たな色を構成する。
【0031】
本実施形態では、図12のように、素数を赤系統の色(R)、偶数を青系統の色(B)で表示し、10進法の概念を理解させるために「5」の倍数を黄系統の色(Y)で表示することとした。そして、「3」の倍数は「素数(赤)」に白を混ぜて構成される色(桃色P)とし、階乗の場合は、さらに白を混色することで、数が大きくなるにつれて、因数を多く含む数は無彩色に白に近づくようにした。
裏面部に表示された「掛けられる数」と「掛ける数」も同様に着色することで、数を色のイメージとして視覚的に捉えることができる。「掛け算」を「色」を媒介として学ぶことで、「割り算」「分数」「通分」「約分」「割合」などの概念を混色の原理や、コンピュータのカラーシステム(R・G・B の256階調)と関連付けて理解することができ、実生活に結びついた教育が実現される。
【0032】
なお、本実施形態では10進法の理解を容易にするために、「5」の倍数を第3の色で彩色したが、時間や角度の概念となる12進法の理解を容易にするために「3」の倍数を第3の色で表示してもよいし、「7」を第3の色で表示することで「週」の概念を容易に理解させることができる。
その他、線対称や回転対称などの幾何学概念、集合論など、算数や数学の概念を遊びながら理解させるための教具部を設けてもよいし、将棋や囲碁の駒を表示した駒体に、面ファスナーからなる収容部に升目を設けた教具部であってもよい。
【0033】
本実施形態では、この教具を使用した教育法を「先生」となる人に伝授するために、書籍50を含んだ教育システムとした(図13を参照)。
この書籍50は、先生用の表紙部51aと生徒用の表紙部51bからなる規格サイズの表紙用紙51と、その間に設けられた複数葉の書籍用紙52によって構成される。
書籍用紙52は、先生用及び生徒用の表紙部51a,51bに対応する部位に、先生用の書籍用紙部52aと、生徒用の書籍用紙部52bと、を設けて構成される。
【0034】
このように構成したので、製本した後、各表紙部51a、51bの境界を裁断することで、複数個の書籍とすることができる。必要な時期に裁断し、図13(c)に示すように、生徒用と先生用の2つの書籍を作成することができ、製造コストが低減される。
このシステムを使用すれば、「詳細な解説書」と「重要事項をまとめたポイント集」の書籍セット、「問題集」と「解答集」の書籍セット、「正方形状の折り紙」と「折り方の解説書」のセットなども略1冊分のコストで製造することが可能となる。
【0035】
また、前記教具に、問題を提示して解答の入力を促す出題シートと、該出題シートの解答欄に正解例を表示する解答シートと、該解答シートに前記教具の使用法を表示した指導シートと、を加えて教育システムを構成してもよい。前記書籍を裁断することで、このシステムを実現させてもよいし、このシステムのシートを綴じることで前記書籍を構成してもよい。
次に、コンピュータ装置を用いた教育システム500について説明する。このシステム500は、例えばタブレット型のコンピュータ装置と、それを収容するための手提げ袋(或いは手提げ袋作成キット)のセットとして提供されるもので、袋の表面部に複数の駒体を貼り付け可能とした。
【0036】
この教育システム500は、図14に示すように、単元ごとの学習用問題が保持された出題メモリと、前記学習用問題に対する正解例が保持された正解メモリと、前記教具を用いて前記学習用問題の解き方を指導する方法を記憶させた指導メモリと、それらから必要な情報を呼び出して画面上に表示(又は音声で出力)させるための処理を行うプログラムと、を含んだサーバーにアクセス可能に構成されたものである。
そのアクセス権限を与えるための情報を手提げ袋(或いは手提げ袋作成キットの教具部)と共に提供することで教育システムが構成される。
【0037】
これらの情報の入力を受けてコンピュータ装置を動作させるために、本発明のコンピュータシステムは、出題メモリから呼び出された問題情報を画面に表示して解答の入力を促す出題システムと、正解か否かを判断して結果を表示する評価システムと、不正解の場合は、教具の生地部材の表面部を模した背景画面上に、駒体を模した駒体表示を現し、該駒体表示をポインティングデバイス等によって移動させながら問題の再考を促す指導システムと、を備えている。
【0038】
この場合、評価システムは、出題システムにおける解答終了信号の入力を受けて、正解メモリから該当する正解情報を呼び出して、コンピュータ装置の画面上にポップアップ表示し、それを自身の解答と対応させて自己採点を促すように構成された自己採点システムを含むものであってもよい。
この自己採点システムにおける自己採点の適否は、正解メモリを参照して判断され、適正であって正解の場合は、合格マークが表示される。適正でない場合は再度の自己採点を促し、予め設定された不合格閾値に該当する場合は指導システムが呼び出される。
【0039】
また、出願システムを、出題メモリから呼び出された問題情報を、プリンタを介して用紙上に印刷して出題シートを作成するように構成してもよい。
この場合、生徒のレベルと学習時期に応じた学習問題が保持された教材データベースから生徒に見合った教材を選び、問題用紙(出題シート)を作成すると共に、該問題用紙に解答が表示された模範解答(解答シート)と、模範解答を導くための指導方法を記した解説シート(指導シート)を準備する。
そして、問題用紙を生徒に配布して解答させ、その解答を生徒自身に模範解答と対比させて採点させる。その採点結果に応じた指導を指導シートに即して施す。マニュアル通りに指導すればよいので、何人でも容易に先生になることができる。
【0040】
この教育システム500は、複合的な学びの場(高齢者・子育て世代・子供と多様な世代が1つになって活動できる場)で実施するのに適している。この学びの場は、図16に示すように、ボランティアによる「算数教室610」と、専属講師による「STEM塾620」と、商品開発及び講師育成のための手段としての「親子教室630」の3つのシステムからなるもので、生徒のレベル(幼稚園、1年、2年…)、と学習時期(4月、5月…)に応じた学習情報が保持されたカリキュラムファイルによって管理される(図15を参照)。
例えば、算数においては、学年ごとに小学1年A「数と計算」、 B「図形 」、C「関係」、D「データの活用」など、学習領域ごとに細分化されており、該当のセル内に該当時期に実施すべき単元名550aが「学習情報」として表示されている。この単元名は、その単元の学習が保持された単元ファイル560にリンクされる。
【0041】
単元ファイル560は、図15(a)のように、学習の前後関係を表示した概略シート560aと、図15(b)のように、レベル判定のための基本問題を格納する基本出題シート560bと、図15(c)のように、基本問題の該当箇所に模範解答が表示された模範解答シート560cと、図15(d)のように、説明の仕方が表示された指導書シート560dの少なくとも4つのシートを含んだファイルであり、当該月の担当者が適宜印刷して使用する。
概略シート560aには当該単元を学ぶ上でマスターしておくべき単元が関連単元570として明示されており、学び直しの必要のある子に対してはその関連単元570の表示をクリックすることで、学び直し問題(当該単元の基本出題シート560b)を入手できるようにしている。
【0042】
関連単元570の概略シート560aには、その単元の理解に有効な教具や、発展学習として有効な他教科の学習内容などが「技術情報580」として表示されており、それをクリックすることで、その保管場所や学習内容にアクセスすることができる。
技術情報580は、その単元の学習のための前提となる技術であれば何でもよく、例えば、分数の足し算・引き算の学習の場合は、通分に際して必要となる「公倍数」「約分」「割り算」などを理解させるために有用な教具(例えば九九の表を教具部に設けた袋など)の製造方法、使用方法、或いはその書籍50などに関する情報が保持される。
【0043】
或いは、その単元を発展させた分野(機械、電気、化学、情報工学など)に関する学習内容を技術情報として保持させてもよく、例えば、生徒の学年と自然科学または美術工作の学習分野に応じた学習情報が保持された技術データベースであってもよい。
この場合、算数(数学)との関連において、化学や技術の分野を実体験として学ぶことができるよう、例えば、割り算の概念をケーキやピザを当分する行為を通じて理解させたり、布や紐(裁縫材料)を「当分する行為」を通じて「分数」と「小数」の関係を理解させるのが好ましい。絵の具などを所定の比率で「混合する行為」を通じて理解させてもよい。
【0044】
生徒に見合った教材を選び、それを印刷して出題シートを作成すると共に、その出題シートに解答が表示された状態の解答シートと、その解答に至る指導法を記した指導書を準備しておくだけで、誰もが先生になることができる。
前記問題用紙を生徒に配布して解答させ(S1)、解答された状態の前記問題用紙を前記模範解答と対比させて生徒自身に採点させる(S2)。そして、指導書を見ながら教師が指導を行うのであるが(S3)、その際に、前記教材の理解を容易にするための教具情報が保持された教具管理システムにアクセスしながら、必要な技術的単元を抽出しながら学習させる。解答した出題シートを正解シートと対比しながら生徒自身が容易に採点できるので、自身の誤りに対する気づきによって、学習効果が高められる。
模範解答に至るまでの指導方法が記された指導書が予め準備されるので、だれもが容易に先生になることができる。その過程で新たな教具が創作された場合は教具メモリに保持し、それを使用した教育法が見つかるたびに、対応する指導法メモリに保持させておく。
【0045】
算数や数学分野での学びに限らず、例えば図17に示すように、ポケット部材21に収容可能な人形部材を設け、該人形部材に身に着けさせることができる付属物によって前記駒体22を構成してもよい。人形部材722の裏面部に面ファスナーなどの接着手段が設け、その被接着部を移動手段720に設けても良い。
図17(b)に示すように、芝生・水中などの近景を示すための駒体724が付着される第1の背景部725と、山や鳥や太陽などの遠景を構成するための駒体726を付着させるための面ファスナー(第2の背景部727)を設けた構成とすることもできる。
【0046】
このように、人形部材722で駒体を構成することで、その人形部材を登場させた物語を作ったり、文章をイメージ化する能力を養うことができる。
さらに、ゴムやバネなどの弾性部材、ボルト・ナットなどの締結手段、リベットなどの回転手段などを駒体として設け、それを付着けてものづくりができるような教具部を付着けたものであってもよい。これらを駒体に組み合わせて機能的な発明品を作り上げることができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、全ての分野の学習用の教具及び教育システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1…教具
10…袋
11…第1の生地
12…第2の生地
13…持ち手部材
14…キット
15…生地の上端部
20、120、220、320、420、520…教具部
21…ポケット部材(収容部)
22、122、222、322,422…駒体
23…スナップ凹部
24…数字表示
121…遮蔽部材(収容部)
123…線状部材
321、421…面ファスナー(収容部)
50…書籍
51…表紙用紙
52…書籍用紙
500…教育システム

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17