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特開2024-54851加圧ガス封じ込めライナー、加圧ガスタンク、及び関連する加圧ガス封じ込めライナーを製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054851
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】加圧ガス封じ込めライナー、加圧ガスタンク、及び関連する加圧ガス封じ込めライナーを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   F17C 1/10 20060101AFI20240410BHJP
   F17C 1/16 20060101ALI20240410BHJP
   F16J 12/00 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
F17C1/10
F17C1/16
F16J12/00 P
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023172842
(22)【出願日】2023-10-04
(31)【優先権主張番号】2210191
(32)【優先日】2022-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】523347132
【氏名又は名称】フォルシア・システム・デシャプモン
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・バヴェレル
(72)【発明者】
【氏名】ドリアン・ヘルナンデス
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィド・ファラルディ
(72)【発明者】
【氏名】マルク・モレ
(72)【発明者】
【氏名】トマ・ブランジュ
【テーマコード(参考)】
3E172
3J046
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172BA04
3E172BB01
3E172BC01
3E172BD03
3E172CA01
3E172CA20
3E172CA21
3E172CA22
3E172DA90
3J046AA01
3J046BA01
3J046BA10
3J046BB02
3J046BD09
3J046CA04
3J046DA05
3J046EA02
3J046EA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】堅牢なタンクを得ることを可能にしながら、車両へのより容易な組み込みを可能にする、製造があまり複雑でないガス封じ込めライナーを提供する。
【解決手段】本加圧ガス封じ込めライナー(12)は、第1のシェル(44)を含む第1の部分(22)と、第2のシェルを含む第2の部分(24)と、第1の部分と第2の部分との間に組立方向(A-A’)に配置され、第1の部分と第2の部分とに堅固に接続された少なくとも1つの中間部分(26)と、を備え、第1の部分と、第2の部分と、少なくとも1つの中間部分とが組み合わさって内部容積を画定し、中間部分は、又は中間部分のうちの少なくとも1つは、-中間シェル(34)と、伸長方向(E-E’)に伸長されて中間シェルの対向する2つの部分を接続し、内部容積を組立方向(A-A’)に垂直に貫通する少なくとも1つのピラー(36)と、を含み、ピラーと中間シェルとは一体である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-第1のシェル(44)を含む第1の部分(22)と、
-第2のシェル(52)を含む第2の部分(24)と、
-前記第1の部分(22)と前記第2の部分(24)との間に組立方向(A-A’)に配置され、前記第1の部分(22)と前記第2の部分(24)とに堅固に接続された少なくとも1つの中間部分(26)と、
を備える加圧ガス封じ込めライナー(12)であって、
前記第1の部分(22)と、前記第2の部分(24)と、前記少なくとも1つの中間部分(26)とが組み合わさって内部容積(28)を画定し、
前記中間部分(26)は、又は前記中間部分(26)のうちの少なくとも1つは、
-中間シェル(34)と、
-伸長方向(E-E’)に伸長されて前記中間シェル(34)の対向する2つの部分を接続し、前記内部容積(28)を前記組立方向(A-A’)に垂直に貫通する少なくとも1つのピラー(36)と、を備え、
前記ピラー(36)と前記中間シェル(34)とは一体であり、
前記ライナー(12)は、前記組立方向(A-A’)に隣接する複数の中間部分(26)を備える、ことを特徴とする、ライナー(12)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの中間部分(26)は、前記ピラー(36)の前記組立方向(A-A’)に垂直かつ前記伸長方向(E-E’)に垂直な方向に整列している複数のピラー(36)を備える、請求項1に記載のライナー(12)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのピラー(36)が中空であり、前記ピラー(36)は、前記中間シェル(34)に接続されてピラーキャビティ(40)を画定するピラー壁(38)を含む、前記ピラー(36)と前記中間シェル(34)とは2つの開口部(42)を画定し、それによって前記ピラーキャビティ(40)は前記中間部分(26)の両側に開口する、請求項1又は2に記載のライナー(12)。
【請求項4】
-前記第1の部分(22)は、前記第1のシェル(44)に堅固に接続された少なくとも1つの第1の補強リブ(46)であって、前記伸長方向(E-E’)に平行に延びて、前記第1の部分(22)の両側に開口する管腔(50)を備える第1の補強リブ(46)を備え、かつ/又は、
-前記第2の部分(24)は、前記第2のシェル(52)に堅固に接続された少なくとも1つの第2の補強リブ(54)であって、前記伸長方向(E-E’)に平行に延びて、前記第2の部分(24)の両側に開口する管腔(56)を備える第2の補強リブ(54)を備える、
請求項1から3のいずれか一項に記載のライナー(12)。
【請求項5】
前記第1の部分(22)と、前記少なくとも1つの中間部分(26)と、前記第2の部分(24)とは、前記組立方向(A-A’)に交互に、レーザ放射に対して透過性であるように構成された材料から形成され、そして前記レーザ放射を吸収するように構成された材料から作られており、
前記第1の部分(22)と、前記少なくとも1つの中間部分(26)と、前記第2の部分(24)とは、前記組立方向(A-A’)にレーザ溶接によって互いに堅固に接続されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のライナー(12)。
【請求項6】
前記第1の部分(22)と、前記少なくとも1つの中間部分(26)と、前記第2の部分(24)とは、前記組立方向(A-A’)に突合せ溶接によって互いに堅固に接続され、前記第1の部分(22)、前記少なくとも1つの中間部分(26)、又は前記第2の部分(24)の、溶接された隣接する縁部(60)間に抵抗シート(58)が配置される、請求項1から4のいずれか一項に記載のライナー(12)。
【請求項7】
前記溶接された隣接する縁部(60)は、それらの間に、前記組立方向(A-A’)に対して斜めに延びる斜めの突合せ溶接平面(S)を画定する、請求項6に記載のライナー(12)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の加圧ガスライナー(12)と、前記ライナー(12)の周囲に配置されたタンク本体(14)とを備え、前記タンク本体(14)の内側の面(18)が前記ライナー(12)の外側の面(20)に貼り付けられている、加圧ガスタンク(10)。
【請求項9】
加圧ガス封じ込めライナー(12)を製造するための方法であって、
-前記ライナー(12)の第1の部分(22)と、第2の部分(24)と、少なくとも中間部分(26)とを提供するステップと、
-前記第1の部分(22)と前記第2の部分(24)との間に組立方向(A-A’)に配置された前記中間部分(26)を、前記第1の部分(22)と前記第2の部分(24)とに堅固に接続するステップと、を含み、
前記ライナー(12)は、前記組立方向(A-A’)に隣接する複数の中間部分(26)を備える、ことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧ガス封じ込めライナーに関する。本発明は、そのようなライナーを備える加圧ガスタンク、並びにそのようなライナーを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
運送手段の分野、特に自動車による運送においては、加圧ガスを封じ込めることが重要であることが判明し得る。このことは、燃料電池に供給するように意図される二水素が車両内に貯蔵されなければならない燃料電池を備えた車両の増加と共に一層当てはまることが判明する。
【0003】
車両内で加圧ガスを封じ込めるために円筒形タンクを使用することが知られている。このようなタンクは、一般に、タンクの本体の内側に配置され、タンク内に加圧ガスを確実に封じ込めることを目的とする円筒形加圧ライナーを備えている。
【0004】
しかしながら、そのようなライナー、より全般的にはそのようなタンクは、それらの形状が車両のレイアウトに好適でないことがあるため、完全に満足できるものではない。
【0005】
したがって、非円筒形タンク、例えば角柱形タンクを使用することが提案されている。そのようなタンクは、一般に、扁平な角柱の形状を有し、タンクの車両への組み込みを改善することを可能にする。
【0006】
しかしながら、このようなタンクは完全に満足できるものではない。具体的には、それらの非円筒形状に起因して、タンクの堅牢性が低いことが示されている。次いで、タンクの堅牢性を改善するためにタンクを局所的に補強し、そのような補強にライナーを適合させることが必要であった。しかしながら、このようなライナーの製造は複雑であることが判明している。
【0007】
更に、ライナーの車両内への良好な組み込みを確実にするために、一般に、車両に固有のライナーのための部品を設計し製造する必要がある。これは、特に高価であることが判明し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の課題の1つは、堅牢なタンクを得ることを可能にしながら、車両へのより容易な組み込みを可能にする、製造があまり複雑でないガス封じ込めライナーを提供することである。本発明の別の目的は、応用自在性が高く、異なる種類の車両に低コストで適合させることができるライナーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題のために、本発明は、
-第1のシェルを含む第1の部分と、
-第2のシェルを含む第2の部分と、
-第1の部分と第2の部分との間に組立方向に配置され、第1の部分と第2の部分とに堅固に接続された少なくとも1つの中間部分と、
を備える加圧ガス封じ込めライナーであって、
第1の部分と、第2の部分と、少なくとも1つの中間部分とが組み合わさって内部容積を画定し、
中間部分は、又は中間部分のうちの少なくとも1つは、
-中間シェルと、
-伸長方向に伸長されて中間シェルの対向する2つの部分を接続し、内部容積を組立方向に垂直に貫通する少なくとも1つのピラーと、を備える、
ピラーと中間シェルとは一体である、加圧ガス封じ込めライナーに関する。
【0010】
そのようなライナーは、ピラーを備える中間部分を用いることによって、タンクの補強要素を提供できるライナーを得ることを可能にする。更に、ピラーは中間シェルと一体であるので、中間部分を第1及び第2の部分に単に組み付けるだけで、そのような、少なくとも1つの補強を受けられるライナーを得ることができる。最後に、可変数の中間部分を第1及び第2の部分に組み付けることができるので、第1の部分と第2の部分との間に堅固に接続される中間部分の数を単に変更することによって、ライナーを使用されるように意図される車両にライナーを適合させることが特に容易である。
【0011】
本発明の他の有利な態様によれば、封じ込めライナーは、以下の特徴のうちの1つ以上を、単独で又は技術的に実現可能な任意の組合せで含む。
-ライナーは、組立方向に隣接する複数の中間部分を備える。
-少なくとも1つの中間部分は、上記ピラーの組立方向に垂直かつ伸長方向に垂直な方向に整列している複数のピラーを備える。
-少なくとも1つのピラーが中空であり、ピラーは、中間シェルに接続されてピラーキャビティを画定するピラー壁を備え、ピラーと中間シェルとは2つの開口部を画定し、それによってピラーキャビティは中間部分の両側に開口する。
-ライナーは、
-第1の部分は、第1のシェルに堅固に接続された少なくとも1つの第1の補強リブであって、伸長方向に平行に延びて、第1の部分の両側に開口する管腔を備える第1の補強リブ(46)を備え、かつ/又は、
-第1の部分は、第2のシェルに堅固に接続された少なくとも1つの第2の補強リブであって、伸長方向に平行に延びて、第2の部分の両側に開口する管腔を備える第2の補強リブ(54)を備える、
ようになっている。
-第1の部分と、少なくとも1つの中間部分と、第2の部分とは、組立方向に交互に、レーザ放射に対して透過性であるように構成された材料から形成され、そしてレーザ放射を吸収するように構成された材料から作られており、
第1の部分と、少なくとも1つの中間部分と、第2の部分とは、組立方向にレーザ溶接によって互いに堅固に接続されている。
-第1の部分と、少なくとも1つの中間部分と、第2の部分とは、組立方向に突合せ溶接によって互いに堅固に接続され、第1の部分、少なくとも1つの中間部分、又は第2の部分の、溶接された隣接する縁部間に抵抗シートが、配置される。
-溶接された隣接する縁部は、それらの間に、組立方向に対して斜めに延びる斜めの突合せ溶接平面を画定する。
【0012】
本発明は更に、上述の加圧ガスライナーと、ライナーの周囲に配置されたタンク本体とを備え、タンク本体の内面がライナーの外面に貼り付けられている、タンクに関する。
【0013】
本発明は更に、上述の加圧ガス封じ込めライナーを製造するための方法であって、
-ライナーの第1の部分と、第2の部分と、少なくとも中間部分とを提供するステップと、
-第1の部分と第2の部分との間に組立方向に配置された中間部分を、第1の部分と第2の部分とに堅固に接続するステップと、
を含む方法に関する。
【0014】
本発明は、単に非限定的な例として与えられる以下の説明を読み、図面を参照することにより、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】タンクの製造中の、本発明によるライナーを備えるタンクの斜視図である。
図2図1のタンクの、タンクの製造が完了した状態における、切断平面I-I’に沿った断面図である。
図3図1のタンク全体の斜視図である。
図4図1図3に示す実施形態の代替実施形態による、ライナーの2つの部分間の堅固な接続部の詳細の平面I-I’に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1図3を参照すると、加圧ガスタンク10は、加圧ガス封じ込めライナー12を備える。図2に見られるように、加圧ガスタンク10は、タンク本体14と、少なくとも1つのタンクコラム16とを更に備える。
【0017】
加圧ガスタンク10は、例えば還元燃料ガス、特に加圧水素などの加圧ガスを封じ込めるように構成されている。加圧ガスタンク10は、例えば、200バールよりも高い圧力のガス、例えば、350バールの圧力のガス又は700バールの圧力のガスを封じ込めるように構成される。加圧ガスタンク10は更に、例えば、加圧ガスタンク10に封じ込められる加圧ガスの液相などの液体を封じ込めるように構成される。
【0018】
加圧ガスタンク10は、例えば、車両、例えば自動車に取り付けられるように意図されている。加圧ガスタンク10は、例えば、車両の燃料電池(図示せず)に燃料を供給するように構成されている。
【0019】
タンク本体14は、例えば、ライナー12が収容される本体容積17を形成する。タンク本体14は、例えば、本体容積17を規定する内側の面18を備える。タンク本体14は、例えば、ライナー12がタンク本体14内に配置されるようにライナー12の周囲に製造され、タンク本体14の内面18が、例えば、ライナーの外面20に貼り付けられている。
【0020】
タンク本体14は、例えば複合材料から作られる。タンク本体14が作られる複合材料は、例えば、エポキシ樹脂、あるいは、ポリオレフィン、特にポリプロピレン、ポリアミド、特にポリカプロラクタムPA 6、ポリヘキサメチレンアジパミドPA 6.6などの脂肪族ポリアミド、ポリカーボネート、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)及びPEKK(ポリエーテルケトンケトン)を含むPAEK(ポリアリールエーテルケトン)、PMMA(ELIUMとして知られる樹脂を含む)などのアクリル系材料、PEI(ULTEMとしても知られるポリエーテルイミド)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、PLA(ポリ乳酸)、TPU(熱可塑性ポリウレタン)、及びPET(ポリエチレン)、並びにこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの熱可塑性ポリマーから作られる樹脂を含む。
【0021】
タンク本体14が作られる複合材は、例えば、炭素繊維、ケブラー(登録商標)繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、ポリマー材料の繊維、例えば特にアラミド繊維又はポリエステル繊維などの熱可塑性物質、植物由来の繊維、特に亜麻繊維、金属繊維からなる群から選択される、補強材を含み、繊維は好ましくは炭素繊維、又はそのような繊維の混合物である。
【0022】
図2に見られるように、各タンクコラム16は、本体容積17内に延びて、例えば、本体容積17に対して互いに対向する、タンク本体14の内側の面18の部分を接続する。図1及び図3では、取り付け中のコラム16が示されており、特にタンク本体14は形成されておらず、その時点ではまだタンク本体14に堅固に接続されていない。
【0023】
各タンクコラム16は、例えば、コラム16の端部の各々においてタンク本体14に溶接され、かつ/又はタンク本体14と単一部品を形成するように作られる。
【0024】
各タンクコラム16は、例えば複合材料から作られる。各タンクコラム16が作られる複合材料は、例えば、エポキシ樹脂、あるいは、ポリオレフィン、特にポリプロピレン、ポリアミド、特にポリカプロラクタムPA 6、ポリヘキサメチレンアジパミドPA 6.6などの脂肪族ポリアミド、ポリカーボネート、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)及びPEKK(ポリエーテルケトンケトン)を含むPAEK(ポリアリールエーテルケトン)、PMMA(ELIUMとして知られる樹脂を含む)などのアクリル系材料、PEI(ULTEMとしても知られるポリエーテルイミド)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、PLA(ポリ乳酸)、TPU(熱可塑性ポリウレタン)、及びPET(ポリエチレン)、並びにこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの熱可塑性ポリマーから作られる樹脂を含む。タンク本体14が作られる複合材は、例えば、炭素繊維、ケブラー(登録商標)繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、ポリマー材料の繊維、例えば特にアラミド繊維又はポリエステル繊維などの熱可塑性物質、植物由来の繊維、特に亜麻繊維、及び金属繊維からなる群から選択される、補強材を含み、繊維は好ましくは炭素繊維、又はそのような繊維の混合物である。各タンクコラム16が作られる複合材は、例えば、炭素繊維、ケブラー(登録商標)繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、ポリマー材料の繊維、例えば特にアラミド繊維又はポリエステル繊維などの熱可塑性物質、植物由来の繊維、特に亜麻繊維、及び金属繊維からなる群から選択される、補強材を含み、繊維は好ましくは炭素繊維、又はそのような繊維の混合物である。
【0025】
特定の実施形態では、タンクコラム16の材料は、タンク本体14の材料と同じである。
【0026】
図示されていない変形例では、コラム16は例えば中空である。
【0027】
上述したように、ライナー12は、例えば、本体容積17内に配置される。
【0028】
ライナー12は、加圧ガスタンク10が加圧ガスに対して耐漏洩性を有することを確実にするように構成され、一方、タンク本体14は、加圧ガスが耐圧性を有することを確実にするように構成される。
【0029】
図3に示すように、ライナー12は、第1の部分22と、第2の部分24と、少なくとも1つの中間部分26とを備える。
【0030】
第1の部分22、第2の部分24、及び少なくとも1つの中間部分26は、例えば、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、PA(ポリアミド)、PE(ポリエチレン)、PC(ポリカーボネート)、PP(ポリプロペン)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PS(発泡ポリスチレン)、PBT(ブチレンテレフタレート)からなるリストから選択される熱可塑性材料で作られる。第1の部分22、第2の部分24、及び少なくとも1つの中間部分26の材料は、例えば、より具体的には、PA6(ポリカプロラクタム)、PA11(ポリウンデカンアミド)、又はPA12(ナイロン12)からなるリストから選択される。
【0031】
以下でより詳細に説明するように、第1の部分22、第2の部分24、又は少なくとも1つの中間部分26を製造するために選択される熱可塑性材料は、添加剤を含むことができる。
【0032】
ライナー12は、例えば、複数の、例えば1つから5つの中間部分を備える。図3の実施形態では、ライナーは3つの中間部分26を備える。
【0033】
図3に示すように、少なくとも1つの中間部分26は、第1の部分22と第2の部分24との間に組立方向A-A’に配置される。中間部分(単数又は複数)26は、第1の部分24及び第2の部分26に堅固に接続される。図1に示すように、ライナー12が複数の中間部分26を備える場合、中間部分26は組立方向A-A’に隣接している。中間部分26のうちの1つは、例えば、第1の部分22に堅固に接続され、中間部分26のうちの別の1つは、第2の部分24に堅固に接続され、他の任意選択の中間部分26はそれぞれ、それに隣接する中間部分26に堅固に接続される。
【0034】
第1の部分22と、第2の部分24と、少なくとも1つの中間部分26とは組み合わさって内部容積28を画定する。このように画定された内部容積28は、加圧ガスによって占有されるように構成される。
【0035】
第1の部分22、第2の部分24、及び少なくとも1つの中間部分26は、例えば、組立方向A-A’に沿って交互に、レーザ放射に対して透過性であるように構成された材料から作られ、そしてレーザ放射を吸収するように構成された材料から作られる。したがって、ライナー12の隣接する2つの部分22、24、26のうちの一方は、レーザ放射に対して透過性であるように構成された材料で作られ、ライナー12の隣接する2つの部分22、24、26のうちの他方は、レーザ放射を吸収するように構成された材料で作られる。
【0036】
図3の例では、第1の部分22及び第2の部分24は、レーザ放射を吸収するように構成された材料で作られる。これらの第1の部分22及び第2の部分24に堅固に接続された中間部分26は、次いで、レーザ放射に対して透過性であるように構成された材料で作られ、上記の中間部分26に堅固に接続された中間部分26は、その結果、レーザ放射を吸収するように構成された材料で作られる。
【0037】
次いで、第1の部分22と、少なくとも1つの中間部分26と、第2の部分24とは、例えば、レーザ溶接14によって組立方向A-A’に互いに堅固に接続される。
【0038】
図2に示すように、レーザ放射に対して透過性であるように構成された材料で作られた部分22、24、26は、それに隣接し、レーザ放射を吸収するように構成された材料で作られた部分22、24、26の被重複部分32を覆う重複部分30を備える。次いで、第1の部分22と、少なくとも1つの中間部分26と、第2の部分24とは、レーザ溶接によって、隣接する部分22、24、26の重複部分30と被重複部分32との間で固定される。
【0039】
レーザ放射に対して透過性であるように構成された材料は、例えば、上記熱可塑性材料であって、光吸収添加剤を含まない熱可塑性材料のうちの1つから作られる。
【0040】
レーザ放射を吸収するように構成された材料は、例えば、上記熱可塑性材料であって、例えば炭素などの光吸収添加剤を含む熱可塑性材料のうちの1つから作られる。
【0041】
特定の実施形態では、レーザ放射に対して透過性であるように構成された材料とレーザ放射を吸収するように構成された材料とは、同じ熱可塑性材料から作られ、これらの材料間の違いは、レーザ放射を吸収するように構成された材料は光吸収添加剤を使用して処理される一方で、レーザ放射に対して透過性であるように構成された材料は、そのような添加剤を使用して処理されないことである。
【0042】
図1に見られるように、少なくとも1つの中間部分26は、中間シェル34と、伸長方向E-E’に沿って伸長された少なくとも1つのピラー36とを備える。少なくとも1つの中間部分26は、例えば、2つから8つのピラーを備える。
【0043】
図1図3に示す実施形態では、中間部分26は、複数のピラー36、具体的には5つのピラーを備える。複数のピラー36は、例えば、組立方向A-A’及び上記ピラーの伸長方向E-E’に垂直な方向に整列される。
【0044】
中間シェル34は、例えば、組立方向A-A’に沿って一定の外形である。図1の例では、中間シェルは、組立方向A-A’に垂直な平面に従った長円形の外形を有し、この外形は組立方向A-A’に沿って一定である。
【0045】
少なくとも1つの伸長されたピラーが、中間シェル34の対向する2つの部分を接続し、組立方向A-A’に垂直に内部容積28を貫通する。ピラー36と中間シェル34とは、具体的には一体である。
【0046】
次いで、内部容積28は、その又は各ピラー36の周囲に、中間シェル34の内側に延びる。
【0047】
図1に見られるように、少なくとも1つの細長いピラー36は、例えば、組立方向A-A’に直交する、中間部分26の中央の平面Pに沿って延びる。
【0048】
図2に見られるように、ピラー36は中空である。ピラー36は、具体的には、中間シェル34に接続されてピラーキャビティ40を画定するピラー壁38を備える。ピラー壁38の厚さは、例えば、中間シェル34の厚さと実質的に等しい。
【0049】
ピラー36及び中間シェル34は、各ピラー36について、上記ピラーのキャビティ40の2つの開口部42を画定し、その結果、ピラーキャビティ40は、中間部分26の両側に開口する。
【0050】
図2に示すように、タンクコラム16は、各ピラー36のキャビティ40内に収容され、タンクコラム16は、2つの開口部42を通って、中間部分26の両側でキャビティ40から突出する(図1及び図3では、それらの取り付け中のコラム16が示されている)。
【0051】
第1の部分22は、第1のシェル44を備える。第1の部分22は、例えば、少なくとも第1の補強リブ46を更に備える。
【0052】
第1の部分22及び第1の部分22に隣接する中間部分26は、例えば、第1のシェル44を隣接する中間部分26の中間シェル34に堅固に接続することによって互いに堅固に接続される。
【0053】
図1に示すように、加圧ガスタンク10の少なくとも1つのポート48は、例えば、第1の部分22に収容されて、例えば、内部容積28を加圧ガスで充填するために、かつ/又は加圧ガスを取り出して内部容積28を空にするために、内部容積28へのアクセスを可能にする。
【0054】
各第1の補強リブ46は、第1のシェル44に堅固に接続される。具体的には、各第1の補強リブ46と第1のシェル44とは、例えば一体である。
【0055】
図2に示すように、第1の補強リブ46は、伸長方向E-E’に平行に延びる管腔50を備える。換言すれば、管腔50は、少なくとも1つの中間部分26の少なくとも1つのピラーに平行に延びる。管腔50は、例えば、第1の部分22の両側に開口する。
【0056】
タンクコラム16は、例えば、各第1の補強リブ46の管腔50内に収容され、タンク本体14に堅固に接続されている間には管腔50の両側で突出する。
【0057】
第2の部分24は、第2のシェル52を備える。第2の部分24は、例えば、少なくとも第2の補強リブ54を更に備える。
【0058】
第2の部分24と、第2の部分24に隣接する中間部分26とは、例えば、第2のシェル52を隣接する中間部分26の中間シェル34に堅固に接続することによって、互いに堅固に接続される。
【0059】
図2に示すように、加圧ガスタンク10の少なくとも1つのポート48は、例えば、第2の部分24に収容されて、例えば、内部容積28に加圧ガスを充填するために、かつ/又は加圧ガスを取り出して内部容積28を空にするために、内部容積28へのアクセスを可能にする。
【0060】
各第2の補強リブ54は、第2のシェル52に堅固に接続される。具体的には、各第2の補強リブ54と第2のシェル52とは、例えば一体である。
【0061】
図2に示すように、第2の補強リブ54は、伸長方向E-E’に平行に延びる管腔56を備える。換言すれば、管腔56は、少なくとも1つの中間部分26の少なくとも1つのピラーに平行に延びる。管腔56は、例えば、第2の部分24の両側に開口する。
【0062】
タンクコラム16は、例えば、各第2の補強リブ54の管腔56内に収容され、タンク本体14に堅固に接続されている間には管腔50の両側で突出する。
【0063】
次に、加圧ガスを圧縮するためのライナー12の第2の実施形態を提示する。この第2の実施形態によれば、ライナー12は、上述した実施形態とは異なる。同様の要素は、同じ参照符号を有する。
【0064】
この第2の実施形態では、第1の部分22と、少なくとも1つの中間部分26と、第2の部分24とは、レーザ溶接によって組み付けるのではなく、突合せ溶接によって組立方向A-A’に組み付けられる。
【0065】
この目的のために、部分22、24、26が必ずしも、交互に、レーザ放射に対して透過性であるように構成された材料で作られ、そしてレーザ放射を吸収するように構成された材料で作られる必要はない。次いで、部分22、24、26は、必ずしも重複部分30及び/又は被重複部分32を備えなくてもよい。
【0066】
この実施形態によれば、図4に示すように、第1の部分22、少なくとも1つの中間部分26、又は第2の部分24の、溶接された隣接する縁部60間に抵抗シート58が配置される。次いで、2つの部分22、24、26の溶接が抵抗シートを用いて実行され、具体的には、抵抗シート58の両側の隣接する縁部60の局所的溶融によりもたらされる。図4は、第1の部分22と中間部分26との、隣接する縁部60間の溶接を示す。
【0067】
抵抗シート58は、ジュール効果によって加熱されるように構成され、例えば炭素で作られている。
【0068】
隣接する縁部60は、それらの間に突合せ溶接平面Sを画定する。図4に示すように、突合せ溶接平面Sは、例えば、組立方向に対して斜めであり、すなわち、突合せ溶接平面Sは、組立方向A-A’に直交しない。溶接平面は、例えば、組立方向A-A’に対して0°~80°、特に30°~60°の角度を形成する。
【0069】
次に、加圧ガスを圧縮するためのライナー12の第3の実施形態を提示する。この第3の実施形態によれば、ライナー12は、以下に説明するように、上述した実施形態とは異なる。同様の要素は、同じ参照符号を有する。
【0070】
この第3の実施形態では、第1の部分22と、少なくとも1つの中間部分26と、第2の部分24とは、レーザ溶接又は突合せ溶接によって組み付けるのではなく、熱ガス溶接によって組立方向A-A’に組み付けられる。
【0071】
この目的のために、部分22、24、26が必ずしも、交互に、レーザ放射に対して透過性であるように構成された材料で作られ、そしてレーザ放射を吸収するように構成された材料で作られる必要はない。部分22、24、26の隣接する縁部間に、抵抗シートは更に配置されない。しかしながら、2つの隣接する部分は、第1の実施形態におけるように、被重複部分32にそれぞれ重複部分30を備えてもよい。上記隣接する部分は、例えば、熱風などの高温ガスを使用して加熱することによって生じる重複部分30と覆われる部分32との溶接によって互いに堅固に接続される。
【0072】
次に、上述した加圧ガス封じ込めライナー12を製造する方法について説明する。
【0073】
第1のステップ中に、ライナー12の第1の部分22と、第2の部分24と、少なくとも1つの中間部分26とが提供される。
【0074】
第2のステップ中、第1の部分22と第2の部分24との間に組立方向A-A’に配置される中間部分26(単数又は複数)は、第1の部分22と第2の部分24とに堅固に接続される。ライナー12が複数の中間部分26を備える場合、隣接する中間部分26は互いに更に堅固に接続される。
【0075】
上述した第1の実施形態によれば、第1の部分22と、第2の部分24と、中間部分26とは、レーザ溶接によって互いに接合される。レーザ光は、重複部32を介して被重複部30に向けられる。これにより、上記部分30、32が加熱され、その結果、上記部分30、32を備える部分が溶接される。
【0076】
第2の実施形態によれば、第1の部分22と、第2の部分24と、中間部分26とは、突合せ溶接によって互いに接合される。2つの部分の隣接する縁部60は、抵抗シート58の両側に貼り付けられる。次いで、ジュール効果による加熱のために、抵抗シート58を介して電流が生成される。したがって、隣接する縁部60が加熱され、その結果、隣接する縁部60が抵抗シート58に溶接される。
【0077】
上述した第3の実施形態によれば、第1の部分22と、第2の部分24と、中間部分26とは、高温ガス溶接によって互いに接合される。
【0078】
次いで、隣接する部分を局所的に溶融させて溶接するための隣接する部分の加熱は、高温ガスジェットによって行われる。
【0079】
上記3つの実施形態で提示された様々な溶接モードは組み合わせることができ、例えば代替可能であることが理解されるであろう。例えば、第1の部分22はレーザ溶接によって中間部分26のうちの1つに堅固に接続され、第2の部分24はレーザ溶接によって中間部分26のうちの別の1つに堅固に接続され、中間部分26は突合せ溶接によって互いに溶接される。
図1
図2
図3
図4