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特開2024-54856PET装置、データ処理方法及びプログラム
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  • 特開-PET装置、データ処理方法及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054856
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】PET装置、データ処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/161 20060101AFI20240410BHJP
   G01T 1/172 20060101ALI20240410BHJP
   G01T 1/17 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
G01T1/161 C
G01T1/161 A
G01T1/172
G01T1/17 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023173213
(22)【出願日】2023-10-04
(31)【優先権主張番号】17/960,689
(32)【優先日】2022-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャオリ リ
(72)【発明者】
【氏名】イ チャン
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー コルサマー
(72)【発明者】
【氏名】宮原 正樹
【テーマコード(参考)】
2G188
4C188
【Fターム(参考)】
2G188AA02
2G188BB07
2G188EE14
2G188EE16
4C188EE02
4C188FF07
4C188GG19
4C188JJ02
4C188KK15
4C188LL01
4C188LL15
4C188LL30
(57)【要約】
【課題】画質を向上させること。
【解決手段】実施形態に係るPET装置は、複数の検出器サブシステムと、処理回路とを備える。処理回路は、前記検出器サブシステムごとに、シングル計数損失補正係数を決定し、前記検出器サブシステムの複数のペアの検出器サブシステムペアごとに、同時計数損失補正係数を決定し、前記同時計数損失補正係数に基づいて、スキャナ同時計数損失補正係数を計算し、被検体のスキャンから収集されたスキャンデータと前記スキャナ同時計数損失補正係数に基づいて画像を再構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の検出器サブシステムと、
前記検出器サブシステムごとに、シングル計数損失補正係数を決定し、前記検出器サブシステムの複数のペアの検出器サブシステムペアごとに、同時計数損失補正係数を決定し、前記同時計数損失補正係数に基づいて、スキャナ同時計数損失補正係数を計算し、被検体のスキャンから収集されたスキャンデータと前記スキャナ同時計数損失補正係数に基づいて画像を再構成する処理回路と
を備える、PET(Positron Emission Tomography)装置。
【請求項2】
前記処理回路は、前記検出器サブシステムごとに前記検出器サブシステムの処理速度閾値に基づいて、前記シングル計数損失補正係数を決定する、請求項1に記載のPET装置。
【請求項3】
前記処理回路は、前記検出器サブシステムごとに、前記検出器サブシステムで受信された測定済みのシングル計数率に基づいて、前記シングル計数損失補正係数を決定する、請求項2に記載のPET装置。
【請求項4】
前記処理回路は、前記検出器サブシステムペアごとに測定された同時計数率に基づいて、前記スキャナ同時計数損失補正係数を計算する、請求項1に記載のPET装置。
【請求項5】
前記処理回路は、前記スキャナ同時計数損失補正係数を、前記複数のペアの前記測定された同時計数率を使用して前記同時計数損失補正係数の重み付けされた組み合わせとして計算する、請求項4に記載のPET装置。
【請求項6】
前記処理回路は、
前記複数のペアの特定の検出器サブシステムペアの計数損失が相関しているかどうかを判定し、
前記特定の検出器サブシステムペアに含まれている前記検出器サブシステムの前記シングル計数損失補正係数の最大値をとることによって、前記特定の検出器サブシステムペアの前記同時計数損失補正係数を決定する、請求項1に記載のPET装置。
【請求項7】
前記処理回路は、
前記検出器サブシステムごとに、前記検出器サブシステムで受信された測定済みのシングル計数率に基づいて、相関シングル計数損失補正係数および非相関シングル計数損失補正係数を予測し、
前記検出器サブシステムごとに、前記相関シングル計数損失補正係数に前記非相関シングル計数損失補正係数を乗算することによって、前記シングル計数損失補正係数を決定するようにさらに構成される、
請求項1に記載のPET装置。
【請求項8】
前記処理回路は、前記検出器サブシステムごとに、前記測定済みのシングル計数率を前記相関シングル計数損失補正係数に関連付ける第1の関数、および前記測定済みのシングル計数率を前記非相関シングル計数損失補正係数に関連付ける第2の関数から、前記相関シングル計数損失補正係数を予測し、前記第1の関数および前記第2の関数は、対応する特定の入力シングル計数率に対する、特定の相関シングル計数損失補正係数および特定の非相関シングル計数損失補正係数を出力するように訓練された訓練済みニューラルネットワークの出力から決定される、請求項7に記載のPET装置。
【請求項9】
前記処理回路は、
前記複数の検出器サブシステムの検出器サブシステムごとに、相対シングル計数損失補正係数を決定し、
前記計算されたスキャナ同時計数損失補正係数、前記決定された相対シングル計数損失補正係数、および前記スキャンデータに基づいて、前記画像を再構成するようにさらに構成される、
請求項1に記載のPET装置。
【請求項10】
PET(Positron Emission Tomography)装置が有する複数の検出器サブシステムの前記検出器サブシステムごとに、シングル計数損失補正係数を決定し、前記検出器サブシステムの複数のペアの検出器サブシステムペアごとに、同時計数損失補正係数を決定し、前記同時計数損失補正係数に基づいて、スキャナ同時計数損失補正係数を計算し、被検体のスキャンから収集されたスキャンデータと前記スキャナ同時計数損失補正係数に基づいて画像を再構成する、データ処理方法。
【請求項11】
PET(Positron Emission Tomography)装置が有する複数の検出器サブシステムの前記検出器サブシステムごとに、シングル計数損失補正係数を決定し、前記検出器サブシステムの複数のペアの検出器サブシステムペアごとに、同時計数損失補正係数を決定し、前記同時計数損失補正係数に基づいて、スキャナ同時計数損失補正係数を計算し、被検体のスキャンから収集されたスキャンデータと前記スキャナ同時計数損失補正係数に基づいて画像を再構成する処理をコンピュータに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、PET装置、データ処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
PET(Positron Emission Tomography)装置では、再構成画像のボクセル値は、放射能濃度の絶対単位で、適当な精度および正確さで較正される場合がある。PET装置は、複数のサブシステムおよび/または検出器ユニットを備え、そのそれぞれには、イベントの処理および/または一定量のデータの読取り、書込み、および転送のための時間が最小限となるのが望ましい。広範囲のファントムおよび線源の放射能全体にわたる定量的なPET画像を生成するためには、計数率に依存し、かつサブシステムによって変化する様々な線源から起こる場合がある計数損失を、特性決定し、補正する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/0233693号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2014/0233694号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書及び図面の開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、画質を向上することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係るPET装置は、複数の検出器サブシステムと、処理回路とを備える。処理回路は、前記検出器サブシステムごとに、シングル計数損失補正係数を決定し、前記検出器サブシステムの複数のペアの検出器サブシステムペアごとに、同時計数損失補正係数を決定し、前記同時計数損失補正係数に基づいて、スキャナ同時計数損失補正係数を計算し、被検体のスキャンから収集されたスキャンデータと前記スキャナ同時計数損失補正係数に基づいて画像を再構成する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、例示的PETスキャナシステム内の検出器ユニットおよび様々なデータ処理ユニットを示す図である。
図2図2は、図1に示したスキャナシステムの同時計数損失補正係数の例示的計算を示す図である。
図3図3は、本開示による方法のフローチャートの一例を示す図である。
図4図4は、本開示の一実施形態によるポジトロン放射断層撮影(PET)スキャナの斜視図である。
図5図5は、本開示の一実施形態によるPET装置および関連するハードウェアの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら、PET装置、データ処理方法及びプログラムの実施形態について詳細に説明する。
【0008】
従来の手法では、計数損失補正は、減衰線源測定から、またはシミュレーションから導出され得る、PETスキャナシステム全体の計数損失補正(Count Loss Correction:CLC)係数のルックアップテーブルを作成することによって実施される場合がある。しかし、この単純化された手法は、スキャナ内部の異なるサブシステムまたは検出器ユニットでの相対計数損失を変化させる可能性がある線源分布の空間的なばらつきは考慮されていない。
【0009】
計数損失補正は、各サブシステムまたは各検出器ユニットの計数損失挙動をモデル化し、次いで、それらを一緒に組み合わせて、PETスキャナシステム全体の計数損失挙動をモデル化することによって実施されることもある。しかし、PET装置における計数損失の複雑な性質が原因で、各サブシステムまたは各検出器ユニットの計数損失挙動を組み合わせる方法は、多くの課題がある。
【0010】
特に、PET画像再構成には、同時計数検出が必要であり、同時計数損失補正係数は、通常、2つのシングル計数損失補正係数の積として計算される。しかし、この手法は、同時計数イベント時の2つのシングルイベントの計数損失が相関する場合、一方のシングルイベントが失われると、他方のシングルイベントも失われる可能性が高くなることを意味するため、正確さに欠ける。
【0011】
さらに、PET装置では、異なる検出器ユニットが、異なる計数率を受信する可能性があり、したがって、異なる計数損失が発生する場合がある。したがって、システム全体の計数率に基づいてシステム計数損失補正係数を計算することは、正確でない。
【0012】
加えて、82Rbスキャンでは数分といった、同位元素半減期と比べて長いスキャン時間間隔でのPETスキャンの場合、計数率は、スキャン中に著しく変化し、ゆえに、計数損失も、スキャン中に著しく変化する。したがって、平均計数率に基づいて総計数損失補正係数を計算することは、正確でない。
【0013】
上述のように、再構成中に、補正係数が測定された計数率に適用されて、例えば、下記式(1)を使用して、実際の検出計数率が推定される。
【0014】
【数1】
【0015】
式中Csingle(fmeasured)は、シングル計数損失補正(CLC)係数であり、また、通常、1より大きい値である。一般に、Csingle(fmeasured)の明確な解析形式は存在しない。そのため、実際には、近似的な解析形式またはルックアップテーブルのいずれかが代わりに使用される。
【0016】
PET再構成では、光子イベントのペアが使用されるため、ペアの計数損失補正(CLC)係数が計算される必要がある。ほとんどのシステムでは、シングルaおよびbを含むイベントのペアのCLC係数は、下記式(2)によって得られる。
【0017】
【数2】
【0018】
式中、fおよびfbは、各検出器の計数率である。ペアのCLC係数は、再構成プロセスのイベントごとに推定されて、適用されるか、平均ペアCLC係数が、再構成画像にスケーリング係数として計算され、適用され得る。
【0019】
全体的なペアのCLC係数は、システムシングル計数率の関数としてさらに下記式(3)のように単純化される。
【0020】
【数3】
【0021】
ここで、一実施形態では、1つの同時計数イベントでの2つのシングルイベントの計数損失が相関する場合、同時計数損失補正係数が、2つのシングル計数損失補正係数の最大値として計算される。
【0022】
さらに、一実施形態では、異なる検出器ユニットで異なる計数損失が発生する場合、異なる検出器ユニット間の相対計数損失補正係数が、画像再構成に組み込まれて、より均一な画像が得られ、システム計数損失補正係数が、対応する検出器ユニットペアの同時計数率によって重み付けされた検出器ユニットペアの計数損失補正係数として計算される。
【0023】
さらに、一実施形態では、計数率がスキャン中に著しく変化する場合、スキャナ全体の総計数損失補正係数が、対応する即時同時計数率によって重み付けされた即時計数損失補正係数として計算される。
【0024】
図1に示すように、例示的PETシステムでは、4つの象限データ処理ユニット(例えば、データ処理ユニット0からデータ処理ユニット3)のそれぞれは、いくつかの関連する検出器ユニットからデータを収集して、それらを処理する。さらに、データ処理ユニット5は、データ処理ユニット0から3のそれぞれからデータを収集して、それらを処理し、かつさらなる処理および制御が、データ処理ユニット5に接続された処理回路によって実施される。検出器ユニットと、データ処理ユニットと、処理回路との間のデータ転送は、例えば、光ファイバーケーブルまたはイーサネットを通して実施される。
【0025】
(シングル計数損失補正係数)
サブシステムごとまたは検出器ユニットごとのシングル計数損失補正係数は、減衰線源測定から、またはシミュレーションを介して計算されるか、および/または各サブシステムの信号処理速度制限に基づく場合がある。
【0026】
例えば、各検出器ユニットで、偶発的な不感時間が発生する場合がある。検出器ユニットごとのシングル計数損失補正係数は、検出器リングの中央に置かれた減衰ファントムから計算することができる。特に、減衰ファントムが中央に置かれている場合、各検出器ユニットは、類似したシングル計数率を受信し、ゆえに類似したシングル計数損失が発生する。さらに、同時計数損失補正係数は、システムシングル計数率または平均検出器ユニットシングル計数率から計算することができる。さらに、上記の式(3)に基づいて、検出器ユニットごとのシングル計数損失補正係数は、同時計数損失補正係数の平方根として計算することができる。また、システムペア率は、時間の関数として散乱フラクションが利用可能な場合、より正確な結果を得るために、(プロンプト率-偶発率)×(1-散乱フラクション)と計算することができる。
【0027】
さらに、検出器サブシステムにイベント信号処理速度制限がある場合、サブシステムのシングル計数損失補正係数は、入力計数率をイベント信号処理速度閾値で除算することによって計算することができる。一実施形態では、異なる検出器ユニット間の相対計数損失補正係数が、画像再構成に組み込まれて、より均一な画像が得られる。
【0028】
(同時計数損失補正係数)
サブシステムまたは検出器ユニットのペアごとの同時計数損失補正係数は、ペアのサブシステムごとまたはペアの検出器ユニットごとのシングル計数損失補正係数から計算することができる。
【0029】
非相関計数損失の場合、例えば、偶発的な不感時間の場合、2つのシングルイベントの計数損失は、互いに独立している。同時計数損失補正係数は、同時計数ペアの2つのシングル計数損失係数の積である。
【0030】
相関計数損失の場合、例えば、限られたバッファ深さによるオーバフローの場合、より高いシングル計数率でサブシステムに入射するシングルイベントが失われると、他のイベントも失われる。したがって、同時計数損失補正係数は、ペアの2つのシングル計数損失補正係数の最大値である。
【0031】
非相関計数損失と相関計数損失との組み合わせの場合、非相関計数損失および相関計数損失は、組み合わせた同時計数損失補正係数を適切に計算するために、別々に決定される必要がある。例えば、計数損失の根本原因が分かっている場合、単純なモデルを使用して、非相関計数損失と、相関計数損失とを切り離すことができる。計数損失の根本原因が分かっていない場合、より高度な方法を使用して、非相関計数損失と、相関計数損失とを切り離す。例えば、以下に詳述するように、ニューラルネットワークを異なるファントムスキャンを用いて訓練して、特定のスキャンの非相関計数損失と相関計数損失とを切り離すことができる。
【0032】
計数損失の根本原因が分かっている場合、一実施形態では、非相関計数損失と相関計数損失との組み合わせの同時計数損失補正係数は、以下のように計算される。まず、中央に置かれた減衰ファントムを使用して、非相関計数損失に基づくサブシステムごとのシングル計数損失補正係数を事前較正し、その結果を、シングル計数損失補正テーブルとして保存する。偶発的な不感時間に起因するような非相関計数損失は、通常、相関計数損失よりも低い計数率で発生することに留意されたい。したがって、アクティビティは、相関計数損失のみが発生するように制御することができる。
【0033】
次に、相関計数損失に基づく検出器サブシステムごとのシングル計数損失補正係数は、イベント処理速度閾値を使用して計算することができる。PET装置がN個の検出器サブシステムを有し、かつ各サブシステムiが、Ti(計数率の単位)のイベント処理速度制限値を有し、さらにサブシステムiの測定された入力シングル計数率が、SRiであると仮定する。さらに、サブシステムペアi-jごとの同時発生率が、CRijであると仮定する。サブシステムiの非相関シングル計数損失(Singles Count Loss:SCL)補正係数であるSCLuncor_jは、入力シングル計数率SRiおよび事前較正されたシングル計数損失補正テーブルに基づいて計算することができる。さらに、サブシステムiの相関シングル計数損失補正係数は、SCLcorr_j = SRi/Tiと計算することができる。
【0034】
さらに、この実施形態では、総シングル計数損失補正係数サブシステムiは、SCLi= SCLuncorr_i x SCLcorr_iのように計算することができる。すなわち、図5に示されるプロセッサ507等の処理回路は、検出器サブシステムiごとに、検出器サブシステムiで受信された測定済みのシングル計数率SRiに基づいて、シングル計数損失補正係数SCLiを決定するさらに、収集ごとのサブシステムペアi-jの同時計数損失(Coincidence Count Loss:CCL)補正係数は、以下の式(4)のように計算することができる。
【0035】
【数4】
【0036】
次に、サブシステムiごとの相対シングル計数損失補正係数は、SCLrel_i = SCLi / mean(SCLi)のように計算することができ、かつ画像再構成中に、該相対シングル計数損失補正係数に結晶効率テーブルからの値を乗じて、より均一な画像を得ることができる。スキャナの同時計数損失補正係数は、下記式(5)のように計算することができる。
【0037】
【数5】
【0038】
スキャナの同時計数損失補正係数を再構成画像に適用されるスケーリング係数として使用して、より良好な画像定量基準値、例えば基準更新値(Standard Update Value:SUV)を得ることができることに留意されたい。
【0039】
計数損失の根本原因が分かっていない場合、一実施形態では、非相関計数損失と相関計数損失との組み合わせの同時計数損失補正係数は、以下のように計算することができる。まず、ファントムスキャンが数回実施される。例えば、各ファントムのサイズが異なる場合、散乱イベントの量も異なる。さらに、ファントムが中央に置かれた場合と中央外に置かれた場合の両方のアクティビティが存在する場合、異なるサブシステム間で対称的な計数率と非対称的な計数率の両方が得られる。各ファントムスキャンは、様々なアクティビティをカバーするように一連の収集である必要がある。加えて、最も低いアクティビティは、計数損失がほとんど無いことに相当するはずである。ファントムスキャンごとに、以下の計数率およびアクティビティが、収集ごとに記録される必要がある。
【0040】
収集kごとのアクティビティ:Activityk、収集kでの、サブシステムiの入力シングル計数率:SRinput_i_k、収集kでの、サブシステムiの出力シングル計数率:SRoutput_i_k及び収集kでの、サブシステムペアi-jの同時計数:CRij_k
【0041】
ファントムスキャンごとに、収集ごとの計数損失補正係数は、記録された計数率およびアクティビティから計算することができる。特に、一実施形態では、最も低いアクティビティでは計数損失が無い(Activity0)ことが想定される。収集kでサブシステムiの計数損失が無い場合の予測シングル計数率は、記録されたアクティビティおよび計数率を用いて、以下の式(6)のように計算することができる。
【0042】
【数6】
【0043】
また、収集kでのサブシステムのシングル計数損失補正係数は、以下の式(7)のように計算することができる。
【0044】
【数7】
【0045】
収集ごとのサブシステムペアごとの計数損失が無い場合の予測同時計数率は、以下の式(8)のように計算することができる。収集ごとのサブシステムペアごとの同時計数損失補正係数は、以下の式(9)のように計算することができる。
【0046】
【数8】
【0047】
【数9】
【0048】
ファントムスキャンごとに、収集ごとの計数損失補正係数は、非相関および相関シングル計数損失補正係数を使用して表すことができる。例えば、収集kでのサブシステムiの非相関シングル計数損失係数補正は、SCLuncorr_j _k、かつ収集kでのサブシステムiの相関シングル計数損失補正係数は、SCLcorr_j _kであると仮定する。次に、収集kでのサブシステムiのシングル計数損失補正係数は、以下の式(10)のように計算することができる。さらに、収集kでのサブシステムペアi-jの同時計数損失補正係数は、以下の式(11)のように計算することができる。
【0049】
【数10】
【0050】
【数11】
【0051】
さらに、一実施形態では、ニューラルネットワークが、異なるファントムスキャンを使用して、特定のスキャンの非相関および相関計数損失を推定するように訓練される。一例示的実装形態では、入力層は、(1)全てのファントムスキャンの記録された計数率およびアクティビティから推定される、収集kでのサブシステムiのシングル計数損失補正係数(SCLi_k)、および/または(2)全てのファントムスキャンの記録された計数率およびアクティビティから推定される、収集kごとのサブシステムペアi-jの同時計数損失補正係数(CCLij_k)の入力を含む。この実施形態では、ニューラルネットワークの出力層は、(1)収集kでのサブシステムiの非相関シングル計数損失補正係数(SCLuncorr_j _k)、および(2)収集kでのサブシステムiの相関シングル計数損失補正係数(SCLcorr_j _k)の出力を含む。次に、曲線フィッティングまたは補間を使用して、検出器サブシステムiごとのSCLuncorr_i_k対SRinput_i_kおよびSCLcorr_i_k対SRinput_i_kのプロットから、異なる入力シングル計数率でのSCLuncorr_iおよびSCLcorr_iを計算することができる。
【0052】
したがって、一実施形態では、新しい患者またはファントムスキャンの場合、スキャナのサブシステムiごとに、非相関および相関シングル計数損失補正係数(SCLuncor_jおよびSCLcorr_j)は、曲線フィッティングを用いて、前述したように、入力シングル計数率に基づいて計算することができる。さらに、サブシステムiごとのシングル計数損失補正係数(SCLi= SCLuncorr_i x SCLcorr_i)およびサブシステムペアi-jごとの同時計数損失補正係数(CCLij= SCLuncorr_i x SCLuncorr_j x max(SCLcorr_i,SCLcorr_j))は、上述したように計算することができる。最後に、サブシステムiごとの相対シングル計数損失補正係数(SCLrel_i = SCLi / mean(SCLi))およびスキャナの同時計数損失補正係数は、上述したように計算することができる。上述のように、画像再構成中に、相対シングル計数損失補正係数に結晶効率テーブルからの値を乗じて、より均一な画像を得ることができ、一方で、スキャナの同時計数損失補正係数を再構成画像に適用されるスケーリング係数として使用して、より良好な画像定量基準値、例えば基準更新値(SUV)を得ることができる。
【0053】
一実施形態では、スキャナシステム全体の同時計数損失補正係数は、重み付け係数としてサブシステムまたは検出器ユニットのペアごとのペア率を使用して、サブシステムまたは検出器ユニットのペアごとの同時計数損失補正係数から計算される。この実施形態では、サブシステムまたは検出器ユニットのペアごとのペア率は、例えば、プロンプト率から偶発率を減じて計算される。
【0054】
一実施形態では、データフレーム全体の同時計数損失補正係数は、重み付け係数として即時ペア率を使用して、即時同時計数損失補正係数から計算される。一実施形態では、即時ペア率を計算する時間間隔は、放射性同位元素の半減期に基づいて決定される。この実施形態では、ペア率は、例えば、プロンプト率から偶発率を減じて計算される。
【0055】
図2は、本開示の一実施形態による、図1に示したスキャナシステム全体の同時計数損失補正係数の例示的計算を示す。この例では、PET装置は、4つの象限に分割され、象限のそれぞれは100Mcpsのイベント処理速度制限を有する。したがって、この例では、象限のペアに対する入力シングル計数率が100Mcpsを超える場合に、相関計数損失が発生し始めることになる。
【0056】
この例では、象限ごとの測定された入力シングル計数率は以下の通りである。第1象限:160Mcps、第2象限:120Mcps、第3象限:80Mcps、第4象限:120Mcps。
【0057】
さらに、象限ペアごとの測定された同時計数率は以下の通りである。象限1-2:40Mcps、象限1-3:80Mcps、象限1-4:40Mcps、象限2-4:80Mcps。
【0058】
この例では、象限ごとのシングル計数損失補正係数は、上述したように決定される。この例では、少なくともイベント処理速度制限に基づいて、値は、象限1:1.6、象限2:1.2、象限3:1.0、象限4:1.2である。
【0059】
さらに、この例では、画像再構成向けの象限iの相対計数損失補正係数は、全ての象限にわたって平均シングル計数損失補正係数によって分割された象限Iのシングル計数損失補正係数として計算することができる。この例では、値は、象限1:1.28、象限2:0.96、象限3:0.8、象限4:0.96、と計算される。
【0060】
さらに、この例では、相関計数損失の象限ペアごとの同時計数損失補正係数は、上述したように決定される。この例では、値は、象限1-2:1.6、象限1-3:1.6、象限1-4:1.6、象限2-4:1.2、と決定される。
【0061】
最後に、スキャナ全体の同時計数損失補正は、重み付け係数として象限ペアごとの同時計数率を使用して、以下の式(12)のように、加重平均として計算される。すなわち、処理回路は、スキャナ同時計数損失補正係数を、複数のペアの測定された同時計数率を使用して同時計数損失補正係数の重み付けされた組み合わせとして計算する。
【0062】
【数12】
【0063】
一般的な例として、PET装置はN個の検出器サブシステムを有し、かつ各システムがT(計数率の単位)のイベント処理速度制限値を有すると仮定する。したがって、この第2の例では、相関計数損失は、サブシステムへの入力シングル計数率が値Tを超過した場合に発生する。この例では、サブシステムiごとの測定された入力シングル計数率がSRiであり、サブシステムペアi-jごとの測定された同時計数率がCRijであると想定されている。したがって、各サブシステムのイベント処理速度制限値に基づいて、サブシステムiのシングル計数損失補正係数は、SCLcorr_i = SRi / Tである。
【0064】
さらに、この例では、画像再構成向けのサブシステムiの相対計数損失補正係数は、SCLrel_corr_i = SCLcorr_i / mean(SCLcorr_i)と計算することができ、ここで、mean(SCLcorr_i)は、サブシステム全体にわたる平均シングル計数損失補正係数である。
【0065】
さらに、この例では、相関計数損失のサブシステムペアi-jごとの同時計数損失補正係数は、CCLij = max(SCLcorr_i, SCLcorr_j)のように計算される。
【0066】
さらに、この例では、スキャナ全体の同時計数損失補正係数は、以下の式(13)によって得られる加重平均である。
【0067】
【数13】
【0068】
本開示の発明は、既存の手法に優るいくつかの利点がある。特に、本明細書にて開示する本発明は、特に1つの同時計数イベントペアで2つのシングルイベントの計数損失が相関する場合の、実用的、かつより正確な計数損失補正の方法を提供する。
【0069】
図3は、本開示の一実施形態による複数の検出器サブシステムを有するポジトロン放射断層撮影(PET)スキャナの計数損失補正の方法のフローチャートを示す。
【0070】
ステップS301で、複数の検出器サブシステムの検出器サブシステムごとに、検出器サブシステムで受信したシングル計数率が測定される。さらに、検出器サブシステムの複数のペアの検出器サブシステムペアごとに、検出器サブシステムペアの同時計数率が測定される。
【0071】
ステップS302で、検出器サブシステムの複数のペアの検出器サブシステムペアごとに、相関シングル計数損失補正係数および非相関シングル計数損失補正係数は、上述したように、訓練済みニューラルネットワークを使用して生成された推定曲線を使用して、測定されたシングル計数率に基づいて予測される。
【0072】
ステップS303で、複数の検出器サブシステムの検出器サブシステムごとに、検出器サブシステムのシングル計数損失補正係数は、上述したように、相関および非相関シングル計数損失補正係数に基づいて決定される。
【0073】
次に、ステップS304で、検出器サブシステムの複数のペアの検出器サブシステムペアごとに、同時計数CL補正係数が、上述したように、相関および非相関シングル計数損失補正係数に基づいて、検出器サブシステムペアに対して決定される。
【0074】
ステップS305で、複数の検出器サブシステムの検出器サブシステムごとに、相対シングル計数損失補正係数が、シングル計数損失補正係数に基づいて決定される。
【0075】
ステップS306で、PET装置のスキャナ同時計数損失補正係数が、検出器サブシステムの複数のペアに対して決定された同時計数損失補正係数に基づいて計算される。
【0076】
ステップS307で、PET画像は、計算されたスキャナ計数損失補正係数およびPET装置を使用して実施された対象のスキャンから収集されたスキャンデータに基づいて再構成される。各サブシステムの相対シングル計数損失補正係数は、上述したように再構成で使用することができる。
【0077】
本明細書にて開示する実施形態で使用可能なPET装置を図4および5に示す。PET装置400は、矩形の検出器モジュールとしてそれぞれが構成される、複数のガンマ線検出器(Gamma-Ray Detector:GRD)401(例えば、GRD1、GRD2からGRDN)を備える。一実装形態によれば、検出器は、リングに配置され、それにより、ガントリ404の周りに円形ボア402を形成する。この例では、リングは、40個のGRD401を含んでいる。リングは、円形ボア402の所望のサイズなどの因子に応じて、異なる数のGRD401を有する場合がある。GRD401は、ガンマ線を(例えば、可視の、赤外のおよび紫外の波長での)シンチレーション光子に変換するためのシンチレータ結晶アレイを含み、それらシンチレーション光子は、光検出器によって検出される。各GRD401は、ガンマ線を吸収して、シンチレーション光子を放射する個々の検出器結晶の2次元アレイを備えるか、またはモノリシックアレイもしくはスラットアレイを備える場合がある。シンチレーション光子は、GRD401に配設されているSiPMなどのデバイス(図示せず)の2次元アレイによっても検出される場合がある。ライトガイドが、検出器結晶アレイとSiPMとの間に配置可能である。本開示による結晶およびSiPM配置については、下記にてより詳細に論じる。
【0078】
図4は、対象OBJから放射されるガンマ線を検出するように配設されたGRDを有するPETシステムの概略図を示す。GRDは、検出されたガンマ線のそれぞれに対応するタイミング、位置、およびエネルギーを測定することができる。図4の単一のPET検出器リングは、PET装置の軸方向長さに沿って任意の数のPET検出器リングを備えるように挿入される場合があることが理解できる。
【0079】
図5は、撮像される対象OBJが台506上に置かれ、GRD1からGRDNのGRDモジュールが、対象OBJおよび台506の周りに周囲方向に配設される、PET装置500の構造の例を示す。GRDは、PET検出器リングを備える場合があり、またガントリ504に固定して接続されている円形ボア502に固定して接続される場合がある。ガントリ504は、PET装置の多数の部品を収容する。PET装置のガントリ504はまた、対象OBJおよび台506がそれを通って通過できる、円形ボア502によって画定された開口を含み、また、消滅イベントにより対象OBJから反対方向に放射されるガンマ線は、GRDにより検出可能であり、かつ、タイミング情報およびエネルギー情報は、ガンマ線ペアの同時計数を決定するために使用される場合がある。
【0080】
図5では、ガンマ線検出データを収集、記憶、処理、および分配する回路およびハードウェアも示されている。これらの回路およびハードウェアは、プロセッサ(処理回路)507、ネットワークコントローラ503、メモリ505、およびデータ収集システム(Data Acquisition System:DAS)508、を備える。PET撮像装置はまた、GRDからの検出測定結果をデータ収集システム508、プロセッサ507、メモリ505、およびネットワークコントローラ503に送出するデータチャンネルを備える。データ収集システム508は、検出器からの検出データの収集、デジタル化、および送出を制御することができる。一実装形態では、データ収集システム508は、台506の動きを制御する。プロセッサ507は、配置誤差の特定、検出データの再構成前処理、画像再構成、および画像データの再構成後処理を含む機能を実施する。
【0081】
一実施形態によれば、図5のPET装置500のプロセッサ507は、本明細書に記載の方法を実施するように構成される場合がある。プロセッサ507は、個別論理ゲート、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)、または他の複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)として実装されることがあるCPUを含む場合がある。FPGAまたはCPLDの実装形態は、VHDL(登録商標)、Verilog(登録商標)、または任意のその他のハードウェア記述言語で符号化されてもよく、かつ、その符号は、FPGAまたはCPLD内部の電子メモリに直接記憶されるか、または別個の電子メモリとして記憶されてよい。さらに、メモリ505は、ハードディスクドライブ、CD-ROMドライブ、DVDドライブ、FLASH(登録商標)ドライブ、RAM、ROMまたは当該技術分野において既知の任意のその他の電子記憶装置とすることができる。メモリ505は、ROM、EPROM(登録商標)、EEPROM(登録商標)またはFLASH(登録商標)メモリのような不揮発性のものであってもよい。メモリ505は、静的または動的RAMなどの揮発性メモリとすることができ、電子メモリおよびFPGAまたはCPLDとメモリとの間の相互動作を管理するために、マイクロコントローラまたはマイクロプロセッサなどのプロセッサが設けられてもよい。
【0082】
あるいは、プロセッサ507のCPUは、本明細書に記載の方法を実施するコンピュータ可読命令のセットを含むコンピュータプログラムを実行することができ、このプログラムは、上述の非一時的電子メモリおよび/またはハードディスクドライブ、CD、DVD、FLASH(登録商標)ドライブまたは任意のその他の既知の記憶媒体のいずれかに記憶される。さらに、このコンピュータ可読命令は、実用アプリケーション、バックグラウンドデーモン、またはオペレーティングシステムのコンポーネント、あるいはそれらの組み合わせとして提供されてもよく、インテル社(登録商標)のXenonプロセッサ(登録商標)、またはAMD社(登録商標)のOpteronプロセッサ(登録商標)などのプロセッサ、ならびに、Microsoft VISTA(登録商標)、UNIX(登録商標)、Solaris(登録商標)、LINUX(登録商標)、Apple(登録商標)、MAC-OS(登録商標)および当業者に既知の他のオペレーティングシステムなどのオペレーティングシステムと連動して実行される。さらに、CPUは、命令を実施するために並行して協動する複数のプロセッサとして実装されることがある。命令は、メモリ505またはネットワークコントローラ503に設けられたメモリ(図示せず)内部に記憶されてよい。
【0083】
一実装形態では、PET装置は、再構成画像を表示するためのディスプレイなどを含む場合がある。ディスプレイは、LCDディスプレイ、CRTディスプレイ、プラズマディスプレイ、OLED、LEDまたは当該技術分野において既知の任意の他のディスプレイとすることができる。
【0084】
インテル社(登録商標)のインテルイーサーネット(登録商標)PROネットワークインターフェースカードなどのネットワークコントローラ503が、PET撮像装置の種々の部品間をインターフェースすることができる。追加として、ネットワークコントローラ503は、外部のネットワークともインターフェースすることができる。理解されるように、この外部ネットワークは、インターネットなどの公共ネットワーク、またはLANもしくはWANネットワークなどの私的ネットワーク、あるいはそれらの組み合わせとすることができ、かつ、PSTNまたはISDNサブネットワークを含むこともできる。この外部ネットワークは、イーサネット(登録商標)ネットワークのような有線方式、またはEDGE、3Gおよび4G無線セルラーシステムを含むセルラーネットワークのような無線方式とすることもできる。無線ネットワークは、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、または既知である通信の任意のその他の無線形態とすることができる。
【0085】
以上の実施形態に関し、発明の一側面および選択的な特徴として以下の付記を開示する。
【0086】
(付記1)複数の検出器サブシステムを有するポジトロン放射断層撮影(Positron Emission Tomography:PET)スキャナであって、
複数の検出器サブシステムの検出器サブシステムごとに、検出器サブシステムのシングル計数損失補正係数を決定し、
検出器サブシステムの複数のペアの検出器サブシステムペアごとに、検出器サブシステムペアの同時計数損失補正係数を決定し、
検出器サブシステムの複数のペアの決定された同時計数損失補正係数に基づいて、PET装置のスキャナ同時計数損失補正係数を計算し、
計算されたスキャナ同時計数損失補正係数およびPET装置を使用して実施された患者のスキャンから収集されたスキャンデータに基づいて画像を再構成する、ように構成された処理回路を備える、PET装置。
【0087】
(付記2)処理回路は、複数の検出器サブシステムの検出器サブシステムごとに、検出器サブシステムの処理速度閾値に基づいて、検出器サブシステムのシングル計数損失補正係数を決定するようにさらに構成される、付記1に記載のPET装置。
【0088】
(付記3)処理回路は、複数の検出器サブシステムの検出器サブシステムごとに、検出器サブシステムで受信された測定済みのシングル計数率に基づいて、検出器サブシステムのシングル計数損失補正係数を決定するようにさらに構成される、付記2に記載のPET装置。
【0089】
(付記4)処理回路は、検出器サブシステムの複数のペアの検出器サブシステムペアごとの測定された同時計数率に基づいて、PET装置のスキャナ同時計数損失補正係数を計算するようにさらに構成される、付記1に記載のPET装置。
【0090】
(付記5)処理回路は、PET装置のスキャナ同時計数損失補正係数を、重みの対応するセットを使用して検出器サブシステムの複数のペアに関して決定された同時計数損失補正係数の重み付けされた組み合わせとして計算するようにさらに構成され、該重みのセットは、検出器サブシステムの複数のペアの測定された同時計数率である、付記4に記載のPET装置。
【0091】
(付記6)処理回路は、
検出器サブシステムの複数のペアの特定の検出器サブシステムペアの計数損失が相関しているかどうかを判定し、
特定の検出器サブシステムペアに含まれている検出器サブシステムのシングル計数損失補正係数の最大値をとることによって、特定の検出器サブシステムペアの同時計数損失補正係数を決定するようにさらに構成される、
付記1に記載のPET装置。
【0092】
(付記7)処理回路は、
複数の検出器サブシステムの検出器サブシステムごとに、検出器サブシステムで受信された測定済みのシングル計数率に基づいて、相関シングル計数損失補正係数および非相関シングル計数損失補正係数を予測し、
複数の検出器サブシステムの検出器サブシステムごとに、相関シングル計数損失補正係数に非相関シングル計数損失補正係数を乗算することによって、検出器サブシステムのシングル計数損失補正係数を決定するようにさらに構成される、
付記1に記載のPET装置。
【0093】
(付記8)処理回路は、複数の検出器サブシステムの検出器サブシステムごとに、検出器サブシステムで受信された測定済みのシングル計数率を検出器サブシステムでの相関シングル計数損失補正係数に関連付ける第1の関数、および検出器サブシステムで受信された測定済みのシングル計数率を検出器サブシステムでの非相関シングル計数損失補正係数に関連付ける第2の関数から、相関シングル計数損失補正係数を予測するようにさらに構成され、第1および第2の関数は、対応する特定の入力シングル計数率に対する、特定の相関シングル計数損失補正係数および特定の非相関シングル計数損失補正係数を出力するように訓練された訓練済みニューラルネットワークの出力から決定される、付記7に記載のPET装置。
【0094】
(付記9)処理回路は、複数の検出器サブシステムの検出器サブシステムごとに、相対シングル計数損失補正係数を決定し、計算されたスキャナ同時計数損失補正係数、決定された相対シングル計数損失補正係数、およびスキャンデータに基づいて、画像を再構成するようにさらに構成される、付記1に記載のPET装置。
【0095】
(付記10)複数の検出器サブシステムを有するポジトロン放射断層撮影(Positron Emission Tomography:PET)スキャナ向けの計数損失補正の方法であって、
複数の検出器サブシステムの検出器サブシステムごとに、検出器サブシステムのシングル計数損失補正係数を決定することと、
検出器サブシステムの複数のペアの検出器サブシステムペアごとに、検出器サブシステムペアの同時計数損失補正係数を決定することと、
検出器サブシステムの複数のペアの決定された同時計数損失補正係数に基づいて、PET装置のスキャナ同時計数損失補正係数を計算することと、
計算されたスキャナ同時計数損失補正係数およびPET装置を使用して実施された患者のスキャンから収集されたスキャンデータに基づいて画像を再構成することと、
を含む、方法。
【0096】
(付記11)複数の検出器サブシステムの検出器サブシステムごとに、検出器サブシステムの処理速度閾値に基づいて、検出器サブシステムのシングル計数損失補正係数を決定することをさらに含む、付記10に記載の方法。
【0097】
(付記12)複数の検出器サブシステムの検出器サブシステムごとに、検出器サブシステムで受信された測定済みのシングル計数率に基づいて、検出器サブシステムのシングル計数損失補正係数を決定することをさらに含む、付記11に記載の方法。
【0098】
(付記13)検出器サブシステムの複数のペアの検出器サブシステムペアごとの測定された同時計数率に基づいて、PET装置のスキャナ同時計数損失補正係数を計算することをさらに含む、付記10に記載の方法。
【0099】
(付記14)PET装置のスキャナ同時計数損失補正係数を、重みの対応するセットを使用して検出器サブシステムの複数のペアに関して決定された同時計数損失補正係数の重み付けされた組み合わせとして計算することをさらに含み、該重みのセットは、検出器サブシステムの複数のペアの測定された同時計数率である、付記13に記載の方法。
【0100】
(付記15)検出器サブシステムの複数のペアの特定の検出器サブシステムペアの計数損失が相関しているかどうかを判定することと、特定の検出器サブシステムペアに含まれている検出器サブシステムのシングル計数損失補正係数の最大値をとることによって、特定の検出器サブシステムペアの同時計数損失補正係数を決定することと、をさらに含む、付記10に記載の方法。
【0101】
(付記16)複数の検出器サブシステムの検出器サブシステムごとに、検出器サブシステムで受信された測定済みのシングル計数率に基づいて、相関シングル計数損失補正係数および非相関シングル計数損失補正係数を予測することと、
複数の検出器サブシステムの検出器サブシステムごとに、相関シングル計数損失補正係数に非相関シングル計数損失補正係数を乗算することによって、検出器サブシステムのシングル計数損失補正係数を決定することと、
をさらに含む、付記10に記載の方法。
【0102】
(付記17)予測するステップは、複数の検出器サブシステムの検出器サブシステムごとに、検出器サブシステムで受信された測定済みのシングル計数率を検出器サブシステムでの相関シングル計数損失補正係数に関連付ける第1の関数、および検出器サブシステムで受信された測定済みのシングル計数率を検出器サブシステムでの非相関シングル計数損失補正係数に関連付ける第2の関数から、相関シングル計数損失補正係数を予測することをさらに含み、第1および第2の関数は、対応する特定の入力シングル計数率に対する、特定の相関シングル計数損失補正係数および特定の非相関シングル計数損失補正係数を出力するように訓練された訓練済みニューラルネットワークの出力から決定される、付記16に記載の方法。
【0103】
(付記18)複数の検出器サブシステムの検出器サブシステムごとに、相対シングル計数損失補正係数を決定することと、計算されたスキャナ同時計数損失補正係数、決定された相対シングル計数損失補正係数、およびスキャンデータに基づいて、画像を再構成することと、をさらに含む、付記17に記載の方法。
【0104】
(付記19)プログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、
該プログラムは、複数の検出器サブシステムを有するポジトロン放射断層撮影(Positron Emission Tomography:PET)スキャナの処理回路によって実行されると、該処理回路に、計数損失補正の方法を実施させ、該方法は、
複数の検出器サブシステムの検出器サブシステムごとに、検出器サブシステムのシングル計数損失補正係数を決定することと、
検出器サブシステムの複数のペアの検出器サブシステムペアごとに、検出器サブシステムペアの同時計数損失補正係数を決定することと、
検出器サブシステムの複数のペアの決定された同時計数損失補正係数に基づいて、PET装置のスキャナ同時計数損失補正係数を計算することと、
計算されたスキャナ同時計数損失補正係数およびPET装置を使用して実施された患者のスキャンから収集されたスキャンデータに基づいて画像を再構成することと、
を含む、コンピュータ可読媒体。
【0105】
(付記20)方法は、
検出器サブシステムの複数のペアの特定の検出器サブシステムペアの計数損失が相関しているかどうかを判定することと、
特定の検出器サブシステムペアに含まれている検出器サブシステムのシングル計数損失補正係数の最大値をとることによって、特定の検出器サブシステムペアの同時計数損失補正係数を決定することと、
をさらに含む、付記19に記載のコンピュータ可読媒体。
【0106】
(付記21)
複数の検出器サブシステムと、
当該検出器サブシステムごとに、シングル計数損失補正係数を決定し、検出器サブシステムの複数のペアの検出器サブシステムペアごとに、同時計数損失補正係数を決定し、同時計数損失補正係数に基づいて、スキャナ同時計数損失補正係数を計算し、被検体のスキャンから収集されたスキャンデータと前記スキャナ同時計数損失補正係数に基づいて画像を再構成する処理回路と
を備える、PET装置。
【0107】
(付記22)
当該処理回路は、検出器サブシステムペアごとに測定された同時計数率に基づいて、スキャナ同時計数損失補正係数を計算する、付記21に記載のPET装置。
【0108】
(付記23)
当該処理回路は、前記スキャナ同時計数損失補正係数を、複数のペアの測定された同時計数率を使用して前記同時計数損失補正係数の重み付けされた組み合わせとして計算する、付記22に記載のPET装置。
【0109】
(付記24)
PET(Positron Emission Tomography)装置が有する複数の検出器サブシステムの前記検出器サブシステムごとに、シングル計数損失補正係数を決定し、前記検出器サブシステムの複数のペアの検出器サブシステムペアごとに、同時計数損失補正係数を決定し、前記同時計数損失補正係数に基づいて、スキャナ同時計数損失補正係数を計算し、被検体のスキャンから収集されたスキャンデータと前記スキャナ同時計数損失補正係数に基づいて画像を再構成する、データ処理方法。
【0110】
(付記25)
PET(Positron Emission Tomography)装置が有する複数の検出器サブシステムの前記検出器サブシステムごとに、シングル計数損失補正係数を決定し、前記検出器サブシステムの複数のペアの検出器サブシステムペアごとに、同時計数損失補正係数を決定し、前記同時計数損失補正係数に基づいて、スキャナ同時計数損失補正係数を計算し、被検体のスキャンから収集されたスキャンデータと前記スキャナ同時計数損失補正係数に基づいて画像を再構成する処理をコンピュータに実行させる、プログラム。
【0111】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、画質を向上することができる。
【0112】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0113】
401 ガンマ線検出器
502 円形ボア
503 ネットワークコントローラ
504 ガントリ
505 メモリ
507 プロセッサ
508 データ収集システム
図1
図2
図3
図4
図5