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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054888
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】容器及びその生産方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/20 20060101AFI20240411BHJP
   B65D 23/14 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
B65D25/20 Q
B65D23/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161318
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000253503
【氏名又は名称】キリンホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099645
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(72)【発明者】
【氏名】吉井 孝平
(72)【発明者】
【氏名】王 蕾蕾
(72)【発明者】
【氏名】山口 菜穂
【テーマコード(参考)】
3E062
【Fターム(参考)】
3E062AA09
3E062AB01
3E062AC07
3E062BA08
3E062BB06
3E062BB10
3E062DA02
3E062DA07
3E062KA04
(57)【要約】
【課題】液体を販売するに際して必要な情報の表示に関して適正化を図る。
【解決手段】容器本体2と、容器本体2の絞り部2dに装着可能な表示体10としてのタグ又はシールとを有する容器1において、容器本体2に液体を収容して販売する場合に表示が必要となる情報を表示する情報表示部12A、12B、20を、表示体10及び容器本体2のそれぞれに設け、容器本体2における情報表示部20では、容器本体2に所定の追加処理を施すことによって情報を表示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、前記容器本体に装着される表示体とを有し、前記容器本体内に液体を収容して販売するための容器であって、
前記容器本体は、口部、胴部及び底部を有し、かつ前記胴部と前記口部との間には前記口部の側に向かって先細りとなるように絞られた形状を有する絞り部が設けられ、
前記表示体として、前記絞り部に嵌め合わせ可能なタグ、及び前記容器本体の前記絞り部又は前記胴部に貼付可能なシールの少なくともいずれか一方が設けられ、
前記容器本体に前記液体を収容して販売する場合に表示が必要となる情報を表示する情報表示部が、前記表示体及び前記容器本体のそれぞれに設けられ、
前記容器本体における前記情報表示部では、前記容器本体に所定の追加処理を施すことによって前記情報が表示されている、容器。
【請求項2】
前記追加処理が印刷処理である請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記追加処理がレーザマーキング処理である請求項1に記載の容器。
【請求項4】
前記容器本体は、前記情報を表示するエンボス部としての情報表示部をさらに含む請求項1に記載の容器。
【請求項5】
前記エンボス部は、前記容器本体と関連付けて表示内容が定まるべき容器関連情報を表示するように形成される請求項4に記載の容器。
【請求項6】
前記表示体は前記シールを含み、前記シールは前記絞り部に貼付される請求項1に記載の容器。
【請求項7】
前記容器本体の前記絞り部には、前記胴部又は前記底部よりも表面粗度が荒い領域が設けられている請求項6に記載の容器。
【請求項8】
前記表示体は前記タグを含み、前記タグは、複数本の容器間で共用されるように、前記複数本の容器のそれぞれの容器本体における前記絞り部に嵌め合わせ可能とされている請求項1に記載の容器。
【請求項9】
前記表示体が紙を素材として構成されている請求項1~8のいずれか一項に記載の物品販売用の容器。
【請求項10】
容器本体と、前記容器本体に装着可能な表示体とを有し、前記容器本体内に液体を収容して販売するための容器であって、前記容器本体は、口部、胴部及び底部を有し、かつ前記胴部と前記口部との間には前記口部の側に向かって先細りとなるように絞られた形状を有する絞り部が設けられた容器の生産方法であって、
前記表示体及び前記容器本体のそれぞれに対して、前記容器本体に前記液体を収容して販売する場合に表示が必要となる情報を表示する情報表示部を設ける手順と、
前記表示体を前記容器本体に装着する手順とを含み、
前記情報表示部を設ける手順は、
前記絞り部に嵌め合わせ可能なタグ、及び前記容器本体の前記絞り部又は前記胴部に貼付可能なシールの少なくともいずれか一方を前記表示体として、当該表示体に前記情報を表示させる手順と、
前記容器本体における前記情報表示部にて、前記容器本体に所定の追加処理を施すことによって前記情報を表示させる手順と、を含んでいる容器の生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料等の液体を収容して販売するために用いられる容器等に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料等の液体を収容して販売するための容器には、液体の成分、賞味又は消費の期限、商品名、販売者といった各種の情報が表示されることが通例である。例えば、各種の情報が印刷されたシュリンクフィルム製のラベルを容器本体の胴部から肩部にかけての範囲に被せるように装着する手法が知られている(例えば特許文献1参照)。ラベルの使用に代えて、容器本体に所定の情報を印刷して付加する手法も知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-81104号公報
【特許文献2】特許第5571165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
容器本体にラベルを装着する手法の場合、面積が比較的大きな樹脂ラベルを用いると廃棄時の環境負荷が大きくなる。面積が大きくかつ薄い樹脂製のラベルを容器本体に緊密に装着した場合には、分別廃棄のためのラベルを剥がす際の手間が嵩む。容器本体に印刷にて表示部を形成する手法では、印刷範囲に応じた印刷時間、あるいは印刷ヘッドが必要である。そのため、生産効率や設備負担の観点から印刷可能な情報量に制限が生じ、必要な情報の全てを印刷することが困難となるといった不都合が生じる虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、液体を販売するに際して必要な情報の表示に関して適正化を図った容器等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る容器は、容器本体と、前記容器本体に装着される表示体とを有し、前記容器本体内に液体を収容して販売するための容器であって、前記容器本体は、口部、胴部及び底部を有し、かつ前記胴部と前記口部との間には前記口部の側に向かって先細りとなるように絞られた形状を有する絞り部が設けられ、前記表示体として、前記絞り部に嵌め合わせ可能なタグ、及び前記容器本体の前記絞り部又は前記胴部に貼付可能なシールの少なくともいずれか一方が設けられ、前記容器本体に前記液体を収容して販売する場合に表示が必要となる情報を表示する情報表示部が、前記表示体及び前記容器本体のそれぞれに設けられ、前記容器本体における前記情報表示部では、前記容器本体に所定の追加処理を施すことによって前記情報が表示されたものである。
【0007】
本発明の一態様に係る容器の生産方法は、容器本体と、前記容器本体に装着可能な表示体とを有し、前記容器本体内に液体を収容して販売するための容器であって、前記容器本体は、口部、胴部及び底部を有し、かつ前記胴部と前記口部との間には前記口部の側に向かって先細りとなるように絞られた形状を有する絞り部が設けられた容器の生産方法であって、前記表示体及び前記容器本体のそれぞれに対して、前記容器本体に前記液体を収容して販売する場合に表示が必要となる情報を表示する情報表示部を設ける手順と、前記表示体を前記容器本体に装着する手順とを含み、前記情報表示部を設ける手順は、前記絞り部に嵌め合わせ可能なタグ、及び前記容器本体の前記絞り部又は前記胴部に貼付可能なシールの少なくともいずれか一方を前記表示体として、当該表示体に前記情報を表示させる手順と、前記容器本体における前記情報表示部にて、前記容器本体に所定の追加処理を施すことによって前記情報を表示させる手順と、を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の形態に係る飲料容器の斜視図。
図2】タグが装着される前の段階における飲料容器の正面図。
図3】タグの一例における展開図。
図4】タグの他の例における展開図。
図5】タグの一方の折曲部における情報の表示例を示す図。
図6】タグの他方の折曲部における情報の表示例を示す図。
図7】容器本体の情報表示部における情報の表示例を示す図。
図8】蓋における情報の表示例を示す図。
図9】容器本体の底部にエンボス部としての情報表示部が追加された例を示す図。
図10】エンボス部としての情報表示部の位置を胴部に変更した例を示す図。
図11】容器本体に関する識別マークをタグに表示する例を示す図。
図12】飲料容器を用いた飲料製品の生産手順の一例を示す工程図。
図13】本発明の第2の形態に係る飲料容器の正面図。
図14】本発明の第3の形態に係る飲料容器を組み合わせて構成される飲料パックの例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を説明する。以下に示す形態は、本発明に係る容器を飲料容器として具現化し、これに液体の一例としての飲料を収容して飲料製品を生産する例である。
[第1の形態]
図1は本発明の第1の形態に係る飲料容器を示している。飲料容器1は、容器本体2と、蓋3と、容器本体2に装着される表示体の一例としてのタグ10とを含んでいる。容器本体2に飲料を収容して蓋3でこれを密封し、かつ容器本体2にタグ10を装着することにより飲料製品が構成される。容器本体2は、一例として、PET樹脂、すなわちポリエチレンテレフタレート樹脂を素材とする樹脂成形品であって、予備成形体を金型内でブロー成形することによって形成される。図2に示すように、容器本体2は、飲料の出入口となる口部2aと、胴部2bと、底部2cとを有する。なお、以下では、口部2aが上を向くようにして容器本体2が立てられた状態を基準として飲料容器1の上下方向をいうものとする。
【0010】
胴部2bと口部2aとの間には、口部2aの側に向かって絞られた形状の絞り部2dが設けられている。絞り部2dは、口部2aの下端のサポートリング2eよりも幾らか小径の首部2fと、首部2fと胴部2bとの間に介在し、胴部2bから首部2fに向かって比較的緩やかな弧を描くように湾曲しつつ徐々に縮径する肩部2gとを含んでいる。首部2fは直径が一定の円筒状であってもよいし、口部2aに向かって徐々に縮径するテーパ筒状であってもよい。いずれにしても、絞り部2dは、その少なくとも一部において、口部2aの側に向かって先細りとなるように絞られた形状を有していればよい。絞り部2dによって口部2aの側が胴部2bよりも小径に形成されることにより、容器本体2はいわゆるボトル形状を呈している。図2では、胴部2b、底部2c及び絞り部2dのそれぞれの境界を容器本体2の曲率の明確な変曲点として示しているが、口部2aと胴部2bとの間に、先細り形状の絞り部2dが介在すると認識できる限りにおいて、それらの境界が曲率の明確な変曲点として特定されることは必ずしも必要ではない。
【0011】
胴部2bは筒形状に形成される。一例として、胴部2bは4つの角部が丸められた概略正方形状又は長方形状の断面を有する角筒状である。ただし、胴部2bは円形又は多角形状の断面を有する各種の筒形状に形成されてよい。図示の胴部2bはほぼ全高に亘って同形同大の断面形状を有するが、そのような例に限らず、胴部2bは、断面の大きさが高さ方向において適宜に変化する形状であってもよい。胴部2bには、容器本体2の補強等を目的として溝、凹部その他の各種の凹凸形状が適宜に付されてよい。底部2cに関しても同様である。
【0012】
蓋3は、容器本体2の口部2aを閉じる部品として、容器本体2とは別に製造される。一例として、蓋3は、口部2aの外周に設けられた雄ねじ部にねじ止め可能ないわゆるスクリューキャップとして形成されている。蓋3は、一例として樹脂成形品である。蓋3を樹脂成形品とする場合、その素材の樹脂は容器本体2の素材となる樹脂とは異なっていてもよい。例えば、ポリプロピレン樹脂等で蓋3が形成されてよい。ただし、蓋3は容器本体2の口部2aに装着されるベース部と、そのベース部に対して開閉自在に組み付けられる開閉部とを備えた開閉式の蓋として構成されてもよい。その他にも、蓋3は口部2aを開閉できる限りにおいて適宜に構成されてよい。
【0013】
図1に示すように、タグ10は、容器本体2の絞り部2dに嵌め合わされる天板部11と、その天板部11から容器本体2の肩部2g側に向けて下向きに折り返された一対の折曲部12A、12Bとを備えている。タグ10は平板状の紙を素材として形成される。紙素材にてタグ10を形成することにより、樹脂素材を用いる場合と比較して、廃棄時の環境負荷を削減することが可能である。
【0014】
図3は折曲部12A、12Bを折り曲げる前であって、かつ後述する各種の情報が表示される前の状態、つまり素材から所定形状に切り出された状態におけるタグ10を示している。同図から明らかなように、タグ10は、天板部11の両側に折曲部12A、12Bを連ねた概略長方形の平板状に形成される。天板部11と折曲部12A、12Bとの間には折曲部12A、12Bを折り返す際の稜線となるべき折曲線13が形成されている。折曲線13に沿って折曲部12A、12Bを折り返すことにより、タグ10は、図1の形態へと変形する。
【0015】
天板部11には、タグ10を容器本体2に装着するための嵌合孔14が形成されている。嵌合孔14の内径は、容器本体2の首部2fの外径より大きくかつサポートリング2eの外径よりも小さい範囲である。嵌合孔14の周縁には、半径方向に沿って多数の切り込み15が形成されることにより、複数のストッパ片16が周方向に並べて形成されている。ストッパ片16が外周側の端部を境として曲げられた場合、嵌合孔14の内径はサポートリング2eの外径よりも幾らか大きい程度まで拡大する。したがって、ストッパ片16を曲げ変形させつつ嵌合孔14に口部2aに通すことにより、天板部11をサポートリング2eよりも下方、すなわち肩部2gの側に押し込んでタグ10を絞り部2dに装着することができる。その装着状態では、ストッパ片16がサポートリング2eに下側から当接してタグ10が抜け止めされる。なお、蓋3の外径はサポートリング2eの外径以下である。したがって、蓋3を口部2aに取り付けて容器本体2を密封した状態でタグ10を絞り部2dに嵌め合わせることができる。蓋3の外径が口部2aの最大径であるサポートリング2eの外径よりも大きく、かつ蓋3を装着した後にタグ10を装着する必要がある場合には、蓋3が通過できる程度まで嵌合孔14が拡大するようにストッパ片16を形成すればよい。ストッパ片16の枚数及び形状は適宜に変更されてよい。
【0016】
折曲部12A、12Bは、一例として長方形状に形成される。図4に示したように、折曲部12A、12Bの少なくともいずれか一方に関して、その先端側、すなわち折曲線13に対して反対側に適宜の大きさの切抜部17が形成されてもよい。図4は、片側の折曲部12Bに切抜部17が形成された例を示すが、反対側の折曲部12Aに切抜部17が形成されてもよいし、両側の折曲部12A、12Bに切抜部17が形成されてもよい。切抜部17を設けた場合には、折曲部12A、12Bを肩部2gに向かって曲げたときに折曲部12A、12Bと肩部2gとが干渉する範囲を削減して、折曲部12A、12Bの曲げ角度をより大きく確保することが可能である。
【0017】
飲料容器1には、容器本体2に飲料を収容して販売する場合において、一定の情報を表示することが必要とされることがある。例えば、飲料の販売に際してその販売地域に適用される法令その他の取決めによって表示が義務付けられる情報については、その表示が必須である。表示が義務付けられてはいない情報であっても、取決め等によって表示が推奨される情報、あるいは表示が許容される情報に関して、販売者等の判断で表示が必要とされることもある。さらに、特段の定めがなくとも、販売者等の判断で表示が必要とされる情報が生じることもある。本形態の飲料容器1では、容器本体2に飲料を収容して販売する場合に表示が必要となる情報を対象情報として、その対象情報がタグ10、容器本体2及び蓋3のそれぞれに設けられた情報表示部に適宜に分けて表示されている。以下、順に説明する。
【0018】
まず、タグ10に関しては、折曲部12A、12Bのそれぞれが情報表示部として設定されている。図5はタグ10の一方の折曲部12Aにおける表示例、図6は他方の折曲部12Bにおける表示例をそれぞれ示している。図5の例において、折曲部12Aには、飲料の名称101、原材料名102、内容量103、保存方法104、販売者の所在地及び名称等を特定する販売者情報105、飲料の賞味期限106、飲料の製造所に割り当てられた製造所固有記号107、管理情報を記述したバーコード108といった情報が対象情報として表示される。
【0019】
一方、図6の例において、折曲部12Bには、容器本体2に収容される飲料の栄養成分表示110、用法等を示す注意事項111、タグ10の素材を識別するための識別マーク112が表示されている。図示例では、タグ10が紙素材であることに対応して、識別マーク112は紙マークである。なお、図6の例では、折曲部12Bに切抜部17が形成されることを想定し、切抜部17が設けられる範囲を避けて情報が表示されている。切抜部17が形成されない場合には、折曲部12Aと同様に、折曲部12Bにもそのほぼ全面に亘って情報が表示されてよい。一方、折曲部12Aに切抜部17が形成される場合には、その折曲部12Aにおける情報も切抜部17が設けられる範囲を避けて表示される必要がある。
【0020】
タグ10の折曲部12A、12Bにて表示される対象情報は、一例として、タグ10を製造する過程で印刷処理によってタグ10に付加されてよい。タグ10には、素材としての紙の廃棄処理に影響を与えない範囲において、印刷された情報の保護、防水性の付与、光沢感の付与等を目的とする保護層等の被覆層が付加されてもよい。図5及び図6に示した対象情報の種類、配置等は一例であって、タグ10における対象情報の表示は適宜の変更が可能である。天板部11がさらに対象情報の表示に利用されてもよい。タグ10には一対の折曲部12A、12Bが設けられることを必ずしも要しない。天板部11の片側に折曲部12A、12Bのいずれか一方のみが設けられるようにタグ10が形成されてもよい。
【0021】
図7は容器本体2における対象情報の表示例を示している。図7の例では、容器本体2の胴部2bの一部に情報表示部20が設けられている。図7の情報表示部20の位置、大きさ等はあくまで例示であって実際の位置や大きさ等を示すものではない。情報表示部20には、対象情報として、飲料のロゴ120が例えば「ABCD」と表示され、商品名121が例えば「XYZ茶」と表示され、飲料の製法122が例えば「生茶葉抽出物」及び「加熱処理」と表示されている。図7で示したロゴ120、商品名121及び製法122の表示は一例であって、それらの表示内容は適宜に変更されてよい。ロゴ120や商品名121は、商品を消費者等にアピールする商標的あるいは標章的な商品情報として機能する。よって、情報表示部20のロゴ120や商品名121の情報は、文字列、記号、図形、模様等の各種の外観要素を単独又は複数組み合わせて構成されてよい。情報表示部20の位置、形状及び大きさも表示されるべき対象情報に応じて適宜に変更されてよい。情報表示部20の対象情報は、容器本体2に所定の追加処理を施すことによって表示される。追加処理は、一例として印刷処理である。つまり、容器本体2に対してロゴ120、商品名121及び製法122が印刷処理によって付加される。印刷処理は、フィルム製のラベル等の中間媒体に情報を付加してこれを容器本体2に装着する手順を経ることなく、容器本体2に文字列等の外観要素を直接に刷り写す処理である。印刷処理の方式としては、インクジェット方式、凸版印刷方式、平版印刷方式、凹版印刷方式、孔版印刷方式等の各種の印刷方式が採用されてよい。あるいは、印刷処理に代えて、レーザマーキング処理によってロゴ120、商品名121、及び製法122が容器本体2に付加されてもよい。レーザマーキング処理は、容器本体2の一部にレーザ光を照射して容器本体2の表層又はその近傍を改質して所定の外観要素を付加する処理であって、容器本体2に対する追加処理の一例である。容器本体2の材質によっては、追加処理として、打刻等の刻印による処理、電食マーキングによる処理等が利用されてもよい。
【0022】
いずれにしても、情報表示部20における対象情報の表示は、容器本体2に対して所定の追加処理を施す手法によって実現されてよい。そのような手法を用いることにより、タグ10に予め印刷される情報とは区別して、容器本体2の適宜の位置に適宜の情報を表示させることが可能である。対象情報の一部をタグ10に表示しているので、容器本体2の情報表示部20にて表示すべき対象情報の情報量を抑えることが可能である。したがって、情報表示部20にて対象情報を表示させるために必要な処理時間や設備負担を削減し、短時間かつ低コストで処理を完了させることができる。情報表示部20における情報量を削減することにより、印刷処理にて対象情報を付加した場合であっても、インクの使用量を削減することができる。よって、容器本体2のリサイクル処理に関してインクの残存量が問題となるおそれを排除し、又は抑制することが可能である。なお、情報表示部20にて表示すべき対象情報の情報量、表示面積は、印刷処理やレーザマーキング処理に必要な処理時間や設備負担と関連するため、それら処理時間や設備負担を考慮して、情報量や表示面積が適正範囲に設定されてよい。情報表示部20における対象情報の表示内容は柔軟に設定することができるので、その観点からタグ10に表示させるべき対象情報と差別化を図ることも可能である。
【0023】
情報表示部20における表示は、容器本体2と一体化され、容器本体2に対して分離不能である。したがって、飲料の摂取等に際してタグ10が容器本体2から取り外されることがあっても、情報表示部20に表示される対象情報は容器本体2に残る。そのため、ロゴ120や商品名121といった商品を判別する手がかりとなり得る商品情報を情報表示部20にて表示すれば、仮にタグ10が取り外されても、容器本体2に収容されている飲料がどの商品であるかを情報表示部20の表示に基づいて判別することが可能である。上述した商品情報を情報表示部20にて表示する場合は、その情報表示部20が設けられた面が飲料容器1の正面であると位置付けることも可能である。つまり、情報表示部20に表示される商品情報は、その表示と関連付けて飲料容器1の周方向における正面その他の向きを特定する方向特定情報の一種として機能する。
【0024】
なお、情報表示部20における表示は、上述した例に限るものではない。タグ10にて表示可能な情報量の上限との兼ね合い等を考慮して、図5又は図6に例示した対象情報の一部が情報表示部20に表示されてもよい。あるいは、ロゴ120、商品名120及び製法122の一部が、容器本体2の情報表示部20に代えて、又は加えてタグ10に表示されてもよい。情報表示部20の位置は、必ずしも胴部2bの範囲に限られない。底部2c、肩部2gあるいは首部2f等の他の位置に情報表示部20が設けられてもよい。容器本体2の位置を変えつつ複数の情報表示部20が設けられてもよい。
【0025】
図8は蓋3における対象情報の表示例を示している。図8の例では、蓋3の天面部21が情報表示部として設定されている。天面部21には、対象情報として、容器本体2の情報表示部20の例と同様にロゴ120、及び商品名121が表示されている。加えて、蓋3の天面部21には、蓋3の素材を識別するための識別マーク130、及び付加的情報131も対象情報として表示されている。蓋3が樹脂製であることに対応して、識別マーク130はプラスチックマークである。付加的情報131は、タグ10及び容器本体2の情報表示部20には表示されない適宜の情報であってよい。例えば、販売者の連絡先を示す電話番号等の連絡先情報が付加的情報131として表示されてよい。あるいは、タグ10又は容器本体2に表示された対象情報の一部がタグ10又は容器本体2に代えて、又は加えて付加的情報131として蓋3に表示されてもよい。一例として、図5又は図6に例示した対象情報の一部が、タグ10に代えて、又は加えて蓋3の天面部21に付加的情報131として表示されてもよい。例えば、図6に例示した用法等の注意事項111の情報の一部が付加的情報131として蓋3の天面部21に表示されてもよい。蓋3の天面部21における情報の表示は、例えば印刷その他の適宜の手法によって付加されてよい。天面部21に代えて、又は加えて、蓋3の外周面に情報表示部が設定されてもよい。ただし、蓋3に対象情報を表示することは必須ではない。タグ10及び容器本体2によって対象情報を過不足なく表示できる場合には、蓋3における情報表示が省略されてもよい。一方、蓋3の識別マーク130は、蓋3の素材それ自体を識別するために付されるものである。よって、蓋3と識別マーク130との一体性、不可分性を確保するために、識別マーク130は蓋3に表示することが好都合である。
【0026】
図9は容器本体2に、さらなる情報表示部22を設けた例を示している。図9の例では、容器本体2の底部2c、より具体的には容器本体2の底面側に情報表示部22が設けられ、そこに対象情報が表示されている。情報表示部22は、容器本体2の成形時に凹凸を形成することによって対象情報を表示するエンボス部として設けられている。図示の例では、容器本体2がリサイクル可能なPET樹脂を素材とすることを示す識別マーク140が表示されるようにして情報表示部22が形成されている。識別マーク140は、容器本体2がPET樹脂製の場合におけるリサイクルマークであるが、他の樹脂素材が用いられる場合には識別マーク140としてプラスチックマークが設けられる。識別マーク140は、容器本体2の成形時に一体的に設けられるものであって、その表示を設けるにあたって、情報表示部20における印刷処理やレーザマーキング処理のような成形後の追加処理を要しない。この点で、情報表示部22の形成に要する手間やコストがかからない利点がある。
【0027】
識別マーク140は、容器本体2の素材と関連付けてその表示内容が定まるべき容器関連情報の一種であって、容器本体2に収容される飲料の種別を問わずその表示内容は不変である。しかも、識別マーク140は容器本体2のリサイクル時の指標となるべき情報であって、容器本体2との一体不可分性が強く求められる情報である。したがって、この種の容器関連情報を、容器本体2に永続的に残り得るエンボス部として容器本体2の成形時に一体に設けておけば、容器本体2と容器関連情報との一体不可分性を確保することができて好都合である。なお、識別マーク140の表示位置、すなわち情報表示部22の位置は、図9に例示したように容器本体2の底面側に設定する例に限らない。例えば、図10に示したように、胴部2bに情報表示部22を設け、そこに識別マーク140が表示されてもよい。エンボス部として形成される情報表示部22の位置は、容器本体2の適宜の位置に設定可能である。なお、エンボス部としての情報表示部22を設けることは必須ではない。例えば、図11に示したようにタグ10の情報表示部、一例として折曲部12Bに識別マーク140が表示されてもよい。あるいは、胴部2bの情報表示部20にて、印刷処理又はレーザマーキング処理等の追加処理にて識別マーク140が付加されてもよい。
【0028】
以上の形態では、飲料容器1にて表示すべき対象情報を、容器本体2、蓋3及びタグ10に適宜に分けて表示したが、タグ10における表示、及び容器本体2の情報表示部20に対する印刷処理等の追加処理による表示が含まれる限りにおいて、対象情報を容器本体2、蓋3及びタグ10にどのように振り分けて表示するかは適宜の選択が可能である。例えば、蓋3における表示、及びエンボス部を利用した情報表示部22の表示の少なくともいずれか一方を省略し、省略された情報がタグ10又は情報表示部20に表示されてもよい。対象情報は、飲料を販売する際に表示が義務付けられている情報に限らず、上述したように販売者が表示すべきと判断した情報が含まれてもよい。つまり、法令その他の取決めにより、販売者の意思に関わりなく表示が必須とされる情報のみならず、販売者の意思によってその表示の要否を選択可能な情報が対象情報に含まれてよい。
【0029】
次に、上記の形態における飲料容器1を用いた飲料製品の生産手順の一例を図12によって説明する。なお、飲料製品の生産手順は、本形態に係る飲料容器1の生産手順を包含するものである。図12の例では、まず、ステップS11における容器本体2の成形、ステップS12における蓋3の製造、及びステップS13における表示体の製造がそれぞれ別工程で実施される。第1の形態ではタグ10がステップS13にて製造される。図示を省略したが飲料の製造も別工程で実施される。容器本体2の成形は、予備成形体の成形、及び予備成形体のブロー成形といった手順を順次経るようにして行われるが、エンボス部としての情報表示部22を設ける場合には、そのブロー成形の段階で情報表示部22が一体的に形成される。ステップS13の製造工程では、表示体の所定の情報表示部、例えばタグ10の折曲部12A、12B等に印刷等の手法を用いて対象情報が付加されてよい。
【0030】
容器本体2の成形後、ステップS14にて容器本体2に飲料が充填され、続くステップS15にて蓋3が取り付けられて容器本体2が密封される。密封後は、ステップS16にて容器本体2に対する印刷処理等の追加処理が実施されて情報表示部20に対象情報が付加され、かつステップS17にて蓋3に対する印刷処理等の追加処理が実施されて蓋3に対象情報が付加される。ただし、ステップS16の処理とステップS17の処理とは順序が逆であってもよい。ステップS16及びS17の処理後は、ステップS18にて容器本体2に表示体が装着される。第1の形態では、タグ10がステップS18にて装着される。これにより、飲料製品が生産される。タグ10を装着する場合において、容器本体2の情報表示部20が設けられた面が正面と位置付けられるといったように、情報表示部20の周方向の位置と関連付けて飲料容器1の正面が定まる場合には、その飲料容器1の周方向の向きと関連付けてタグ10の周方向の向きが設定されてよい。例えば、飲料容器1の正面側に向けて表示されるべきタグ10上の情報が正面を向くようにタグ10の向きが整えられてよい。
【0031】
その後、表示体が装着された状態の容器がステップS19にて箱詰めされる。表示体装着後に箱詰め処理を実施することは、表示体の脱落を防ぐ上で好都合である。なお、ステップS16及びS17の処理は、ステップS15の密封処理後であることを必ずしも要しない。例えば、ステップS14にて飲料を充填する前の段階で、空の容器本体2に対してステップS16の追加処理が施され、あるいは密封前の蓋3に対してステップS18の追加処理が施されてもよい。その他、タグ10等の表示体及び容器本体2に対する情報表示部20の追加処理を含む限りにおいて、図12の手順は適宜に変更されてよい。図12は、対象情報が付加された容器を生産する概略手順の一例を示すものであって、各ステップ間に検査工程等の適宜の工程が介在してもよい。
【0032】
[第2の形態]
図13は、第2の形態に係る飲料容器1Aを示している。飲料容器1Aは、容器本体2Aと、蓋3と、容器本体2Aに装着される表示体の一例としてのシール30とを含んでいる。容器本体2Aは、その所定範囲に処理領域32が形成される点を除いて第1の形態における容器本体2と同一である。したがって、容器本体2Aも印刷処理、レーザマーキング処理等の追加処理によって形成される情報表示部20を含む。容器本体2Aのその他の点、及び蓋3は第1の形態と共通するので説明を省略する。なお、図13では、容器本体2Aの情報表示部20が設けられた面と同一の側にシール30が貼付された状態を示しているが、その位置関係は一例であって、シール30は情報表示部20が設けられる面とは異なる面、例えば背面側等に貼付されてもよい。
【0033】
シール30は、第1の形態におけるタグ10に代えて設けられる。シール30は、紙を素材として概略長方形、又は正方形状に形成される。紙素材を用いることにより、第1の形態のタグ10と同様に環境負荷の削減が可能である。シール30の表面側は情報表示部として利用される。シール30は、図中にハッチング領域として示した裏面側の粘着層31を利用して容器本体2Aに貼付される。粘着層31は、シール30の製造時にその裏面側の表層として一体に形成されてよい。あるいは、シール30の製造後、容器本体2Aに貼付される前の段階でシール30の裏面に糊等の粘着剤を塗布することにより粘着層31が付加されてもよい。
【0034】
容器本体2Aの処理領域32は、シール30が貼付されるべき領域として設定される範囲であって、シール30の粘着性、換言すればシール30の粘着力を高めるための処理が施された領域である。シール30を絞り部2dに貼付する場合には、絞り部2dに処理領域32が設定されてよい。粘着性を高める処理としては、例えば、容器本体2Aの表面に微細な凹凸を付加してその表面粗度を荒くする梨地処理が処理領域32に施されてよい。梨地処理が施された処理領域32は、胴部2bや底部2cと比較して表面が相対的に荒い領域として識別可能である。処理領域32における粘着性の高低は、処理領域32が設けられない場合の粘着力の大小によって評価されてもよいし、容器本体2Aの処理領域32が設けられない範囲、例えば胴部2bあるいは底部2cにおける粘着力との比較において評価されてもよい。粘着性を高める処理としては、容器本体2Aの表面を物理的に改質する処理に限定されず、化学的処理、プライマー処理等の各種の処理が選択されてよい。ただし、処理領域32を設けることは必須となるものではない。シール30の粘着層31によって十分な粘着力を確保できる等、粘着性を高める処理を容器本体2A側に施すことを要しない場合には、処理領域32が省略されてもよい。その場合、容器本体2Aは第1の形態の容器本体2と同一構成でよい。
【0035】
シール30における粘着層31の位置及び範囲、並びに容器本体2Aにおける処理領域32の位置及び範囲は、シール30を容器本体2Aのどの位置にどのような向きで貼付するかに応じて設定されてよい。図13は、肩部2gと胴部2bとの境界付近にシール30の下端部を貼付する場合の例であって、粘着層31はシール30の下端部に、処理領域32は肩部2gと胴部2bとの境界付近の全周に設けられている。ただし、容器本体2Aの特定の面に限ってシール30を貼付する場合には、その面のみに処理領域32が形成されてよい。シール30のほぼ全面を胴部2bに貼付してもよく、その場合にはシール30の裏面のほぼ全面に粘着層31が設けられてもよい。ただし、シール30を剥がす場合の手間を軽減するために、シール30の裏面の一部に、粘着層31が存在しない範囲が設定されてもよい。
【0036】
シール30の表面側に表示されるべき対象情報は、第1の形態におけるタグ10の表示例と同様に適宜に設定されてよい。一枚のシール30では、表示可能な情報量が不足する場合には、二枚以上のシール30が容器本体2Aに貼付され、それらのシール30間で対象情報が適宜に分けて表示されてよい。容器本体2Aの情報表示部20とシール30との間における対象情報の分配も第1の形態と同様であってよい。第1の形態と同様に、エンボス部としての情報表示部22が容器本体2Aに設けられ、あるいは蓋3にも情報表示部が設けられる場合には、それらの情報表示部にも適宜に対象情報が分けて表示されてよい。
【0037】
シール30が貼付されるべき周方向の位置は、容器本体2Aの情報表示部20に表示される対象情報、及びシール30に表示される対象情報と関連付けて、特定の位置に定められてもよい。例えば、上述したように容器本体2Aの情報表示部20にロゴ120や商品名121等の方向特定情報が表示され、それによって飲料容器1Aの正面が定まる場合において、シール30が飲料容器1Aの正面側に表示されるべき対象情報を表示するものであるときは、シール30が情報表示部20と同一の側を向くようにその周方向の貼付位置が設定される。あるいは、シール30が飲料容器1Aの背面側に表示されるべき対象情報を表示するものであるときは、シール30が情報表示部20に対する背面側を向くようにその周方向の貼付位置が設定される。1本の容器本体2Aに複数枚のシール30を貼付する場合、例えば飲料容器1Aの正面側に向けられるべき対象情報を表示するシール30と、飲料容器1Aの背面側に向けられるべき対象情報を表示する他のシール30とを1本の容器本体2Aに貼付する場合等には、飲料容器1Aの情報表示部20によって定まるべき飲料容器1Aの周方向の向きを基準として、各シール30を、その対象情報に適した向きとなるようにして周方向の貼付位置を調整すればよい。シール30の対象情報が特にその周方向の向きを問わないものであれば、シール30の周方向における貼付位置は任意的に定められてよい。
【0038】
飲料容器1Aの生産手順に関しては、図12に示した手順がそのまま適用されてよい。その場合、ステップS13では表示体としてのシール30が製造され、ステップS18ではシール30が貼付される。ただし、上記の例のように、シール30の周方向における貼付位置に関して何らかの定めが生じる場合には、ステップS18にてシール30の周方向にける貼付位置が調整される。処理領域32を含んだ容器本体2Aを用いる場合には、例えばステップS11の容器の成形の一部、又はその後工程として処理領域32を形成する工程が追加されてよい。
【0039】
[第3の形態]
図14は、第3の形態に係る飲料容器1Bを示している。本形態の飲料容器1Bは、第1の形態と同一の容器本体2及び蓋3が利用され、かつ容器本体2の絞り部2dに表示体の一例としてのタグ40が嵌め合わされる点で第1の形態と共通するが、そのタグ40が複数本の飲料容器1B間で共用される点で第1の形態とは相違する。図14の例では、6本の飲料容器1B間でタグ40が共用される。ただし、タグ40を共用する飲料容器1Bの本数は2本以上の範囲で適宜に変更されてよい。各容器本体2と共通のタグ40との組み合わせによって複数本の飲料容器1Bが構成される。また、飲料が収容されて蓋3にて密封された複数本の容器本体2に共通のタグ40が装着されることにより、複数本の飲料製品を包装した飲料パックが構成される。容器本体2及び蓋3は第1の形態と共通であるため、それらの説明は省略する。なお、図14においては、煩雑さを回避するため、同一の構成要素が複数存在する場合には、代表する構成要素にのみ参照符号を付すことがある。
【0040】
タグ40は、概ね長方形平板状に形成された天板部41と、天板部41の対向する二辺に沿って設けられた一対の側板部42と、天板部41の他の二辺に沿って設けられた一対の端板部43とを備えている。なお、側板部42及び端板部43のそれぞれの片方は容器本体2の群の背後に隠れるため、図では描かれていない。タグ40は平板状の紙を素材として形成され、適宜の位置にて曲げられ、あるいは繰りぬかれて図示の形態を呈するように構成される。紙素材を用いることにより、第1の形態のタグ10と同様に環境負荷の削減が可能である。
【0041】
天板部41には、第1の形態のタグ10と同様に、タグ40を各容器本体2に装着するための嵌合孔14が形成されている。ただし、複数本の飲料容器1B間でタグ40を共用するため、嵌合孔14の個数は、同一のタグ40が装着されるべき容器本体2の本数と同数である。図示例では6個の嵌合孔14が前後2列のそれぞれに3個ずつ並べて設けられている。各嵌合孔14は1本の容器本体2の絞り部2dに嵌め合わせ可能である。嵌合孔14間の中心間のピッチは、容器本体2を3本ずつ2列に分けて整列させたときの容器本体2の中心間のピッチと等しい。各嵌合孔14には、第1の形態のタグ10と同様に、抜け止めのためのストッパ片16が形成されている。
【0042】
側板部42及び端板部43は、天板部41の外周縁から下方に向けて折り返されることにより、第1の形態の折曲部12A、12Bと同様に容器本体2の少なくとも絞り部2dと重なり合うように配置される。図示例では、側板部42及び端板部43が胴部2bの少なくとも上部と重なるように延ばされている。さらに、側板部42及び端板部43は接合部44にて相互に接合される。そのため、側板部42及び端板部43にて容器本体2の群が包囲され、6本の飲料容器1Bはタグ40を介して束ねられるように保持される。したがって、タグ40は複数本の飲料製品を束ねる包装体として機能する。タグ40には、側板部42及び端板部43にて容器本体2の群を包囲したときの密着性を高めるため、適宜の抜き部45が形成されてよい。図示例では、タグ40の角部に抜き部45が形成されることにより、一部の容器本体2の絞り部2dの一部、例えば肩部2gの一部が露出する。なお、接合部44における接合は、一例として糊等の接着剤を用いた接着手法によって実現されてよい。
【0043】
タグ40の側板部42及び端板部43の少なくともいずれか一方は、タグ40に表示されるべき対象情報を表示するための情報表示部として利用される。加えて、天板部41も情報表示部として利用されてよい。タグ40に表示されるべき対象情報は、第1の形態におけるタグ10の表示例と同様に適宜に設定されてよい。ただし、タグ40は複数本の飲料容器1B間で共用されるため、各飲料容器1B間で共通となる対象情報はタグ40のいずれか一箇所に一括的に表示されてよい。一方、飲料容器1B間で飲料が異なるといった理由により、飲料容器1B間で対象情報に差が生じる場合には、飲料容器1Bとの対応関係が判るようにして飲料容器1Bごとに対象情報が区別してタグ40に表示されてよい。その対応関係は、例えば飲料製品の商品名によって示されてもよいし、側板部42にて各飲料容器1Bと位置を合わせて対象情報を表示することによって示されてもよい。
【0044】
本形態においても、容器本体2の情報表示部20とタグ40との間における対象情報の分配は第1の形態と同様であってよい。第1の形態と同様に、エンボス部としての情報表示部22が容器本体2に設けられ、あるいは蓋3にも情報表示部が設けられる場合には、それらの情報表示部にも適宜に対象情報が分けて表示されてよい。飲料容器1Bの生産方法に関しても図12の生産手順が適用可能である。ただし、ステップS17までの処理は容器本体2ごとに適用され、ステップS18にて、タグ40が共用されるべき複数本の容器本体2が所定の配列で並べられてタグ40が装着される。なお、各容器本体2の情報表示部20にロゴ120、商品名121等の方向特定情報が表示されて飲料容器1の正面が定まる場合、ステップS18においては、各飲料容器1の情報表示部20が飲料容器1の束の外面側に面するように飲料容器1の周方向の向きが整えられてよい。
【0045】
第3の形態によれば、複数本の飲料容器1Bに対して一つのタグ40を用いることにより、タグ40の使用量を削減することができる。なお、上記の形態では、タグ40の側板部42と端板部43とを接合して複数本の飲料容器1Bを束ねたが、例えば天板部41が複数本の飲料容器1Bを一定の位置関係に保持できる程度の剛性を有する場合、あるいはタグ40とは異なる手段によって飲料容器1Bを束ねることが可能な場合には、側板部42及び端板部43にて飲料容器1B群を束ねる構成は省略されてもよい。その場合には、例えば側板部42又は端板部43のいずれか一方のみを設け、これを第1の形態の折曲部12A、12Bと同様の情報表示部として利用してもよい。すなわち、タグ40はあくまで表示体として機能するものであれば足り、包装体としての機能は必要に応じて付加されるべき任意的機能である。
【0046】
上述した各形態は相互に矛盾が生じない限りにおいて適宜に組み合わせて実施されてもよい。例えば、タグ10とシール30とが表示体として併用されてもよい。あるいは、タグ40が装着された容器本体2のうち、少なくとも1本の容器本体2にさらにシール30が貼付されてもよい。
【0047】
表示体としてのタグ10、40又はシール30の情報表示部に表示される対象情報と、容器本体2の情報表示部、あるいは蓋3の情報表示部に表示される対象情報とは相互に排他的であることを必ずしも要しない。複数の情報表示部のそれぞれに表示される対象情報の一部が重複する場合があってもよい。
【0048】
本発明は上述した各形態に限定されることなく、各種の変形又は変更が施された形態にて実施されてよい。例えば、容器本体はPET樹脂を素材とする例に限らず、ポリエチレン、ポリプロピレン等の各種の樹脂を素材として形成されてよい。あるいは、樹脂素材に限らず、ガラス、金属その他の各種の材料を素材として容器本体が形成されてもよい。例えばガラス製あるいは金属製の容器本体であっても、タグやシール等の表示体は装着可能であり、かつ容器本体に印刷処理やレーザマーキング等の追加処理を施して対象情報を付加することが可能である。
【0049】
本発明は、飲料を収容する飲料容器を対象とする例に限らない。容器に収容されるべき液体は、液体食品、調味料、食用油、薬液、溶液その他の各種の液体であってもよい。容器本体や表示体に表示されるべき対象情報も、収容される液体の種類に応じて適宜に設定されてよい。
【0050】
上述した実施の形態及び変形例のそれぞれから導き出される本発明の各種の態様を以下に記載する。なお、以下の説明では、本発明の各態様の理解を容易にするために添付図面に図示された対応する構成要素を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0051】
本発明の一態様に係る容器は、容器本体(2;2A)と、前記容器本体に装着される表示体(10;30;40)とを有し、前記容器本体内に液体を収容して販売するための容器(1;1A;1B)であって、前記容器本体は、口部(2a)、胴部(2b)及び底部(2c)を有し、かつ前記胴部と前記口部との間には前記口部の側に向かって先細りとなるように絞られた形状を有する絞り部(2d)が設けられ、前記表示体として、前記絞り部に嵌め合わせ可能なタグ(10;40)、及び前記容器本体の前記絞り部又は前記胴部に貼付可能なシール(30)の少なくともいずれか一方が設けられ、前記容器本体に前記液体を収容して販売する場合に表示が必要となる情報を表示する情報表示部(12A、12B、20)が、前記表示体及び前記容器本体のそれぞれに設けられ、前記容器本体における前記情報表示部では、前記容器本体に所定の追加処理を施すことによって前記情報が表示されたものである。
【0052】
本発明の一態様に係る容器の生産方法は、容器本体(2;2A)と、前記容器本体に装着可能な表示体(10;30;40)とを有し、前記容器本体内に液体を収容して販売するための容器(1;1A;1B)であって、前記容器本体は、口部(2a)、胴部(2b)及び底部(2c)を有し、かつ前記胴部と前記口部との間には前記口部の側に向かって先細りとなるように絞られた形状を有する絞り部(2d)が設けられた容器の生産方法であって、前記表示体及び前記容器本体のそれぞれに対して、前記容器本体に前記液体を収容して販売する場合に表示が必要となる情報を表示する情報表示部を設ける手順(S13、S16)と、前記表示体を前記容器本体に装着する手順(S17)とを含み、前記情報表示部を設ける手順は、前記絞り部に嵌め合わせ可能なタグ(10;40)、及び前記容器本体の前記絞り部又は前記胴部に貼付可能なシール(30)の少なくともいずれか一方を前記表示体として、当該表示体に前記情報を表示させる手順(S13)と、前記容器本体における前記情報表示部にて、前記容器本体に所定の追加処理を施すことによって前記情報を表示させる手順(S16)と、を含むものである。
【0053】
上記の態様によれば、容器本体に装着可能な表示体として、タグ及びシールの少なくともいずれか一方を設け、その表示体と容器本体とのそれぞれに情報表示部を設けることにより、液体を販売する場合に表示が必要となる情報をそれぞれの情報表示部に分けて表示させることができる。表示体は容器本体とは別体のタグやシールとしているので、容器本体の製造工程とは別工程で表示体に情報表示部を設けておくことにより、表示体の情報表示部に表示されるべき情報の全てを容器本体に追加処理で設ける場合と比較して情報表示に要する手間を削減することができる。一方、容器本体に対する追加処理にて表示すべき情報に関しては、表示体に情報が表示される分、その情報量を削減することが可能である。したがって、追加処理に要する時間や設備負担を削減することが可能である。表示体及び容器本体のそれぞれの情報表示部を情報表示に利用することができるので、表示可能な情報量の拡大を図ることも可能である。
【0054】
上記態様において、前記追加処理は印刷処理であってもよい。あるいは、前記追加処理はレーザマーキング処理であってもよい。それらの処理を用いれば、容器本体に情報を効率的に付加することが可能である。印刷処理やレーザマーキング処理を用いれば、容器本体の情報表示部にて表示されるべき情報の内容を柔軟に設定することができる。例えば、容器本体に表示されるべき情報内容の変更への適応性を高めることができる。
【0055】
前記容器本体は、前記情報を表示するエンボス部としての情報表示部(22)をさらに含んでもよい。エンボス部は容器本体の成形時に一体的に形成することができるので、容器本体の製造効率を損なうことなく、一部の情報を容器本体にさらに表示させることが可能である。
【0056】
前記エンボス部は、前記容器本体と関連付けて表示内容が定まるべき容器関連情報を表示するように形成されてもよい。容器関連情報が容器本体に対して固定的に内容が定まるものであって、容器本体に変更がない限りその内容が変化しないものであれば、これをエンボス部として形成することにより、表示体における情報量や追加処理にて付加すべき情報量を削減しつつ、容器本体と一体不可分な状態で容器関連情報を表示させることができる。エンボス部として形成される情報表示部は、容器本体に永続的に残るので、容器本体と情報との一体不可分性を確保する上で好都合である。
【0057】
前記表示体は前記シール(30)を含み、前記シールは前記絞り部に貼付されてもよい。絞り部にシールを貼付すれば、シールと情報表示部との位置的な重なり合いを避けつつより多くの情報を表示することが可能である。
【0058】
前記容器本体の前記絞り部には、前記胴部又は前記底部よりも表面粗度が荒い領域(32)が設けられてもよい。これによれば、表面粗度が荒い領域にシールを貼付することによって容器本体に対するシールの粘着力を高め、シールの剥がれによる意図しない表示体の損失が生じるおそれを排除し又は低減することが可能である。
【0059】
前記表示体は前記タグ(40)を含み、前記タグは、複数本の容器(1B)間で共用されるように、前記複数本の容器のそれぞれの容器本体における前記絞り部に嵌め合わせ可能とされてもよい。複数本の容器に対してタグを共用することにより、タグの使用量を削減することが可能である。
【0060】
前記表示体は紙を素材として構成されてもよい。タグやシールを紙素材にて構成すれば、樹脂素材の使用量を削減して、容器の廃棄時における環境負荷の削減を図ることができる。
【符号の説明】
【0061】
1、1A、1B 飲料容器
2、2A 容器本体
2a口部
2b 胴部
2c 底部
2d 絞り部
2f 首部
2g 肩部
3 蓋
10 タグ
12A、12B 折曲部
14 嵌合孔
20 情報表示部
22 エンボス部としての情報表示部
30 シール
32 処理領域
40 タグ
42 側板部
43 端板部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14