(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054896
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】ロボット、制御プログラムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
B25J 13/00 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
B25J13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161330
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】521413866
【氏名又は名称】AVITA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090181
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 義人
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【弁理士】
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】三上 崇志
(72)【発明者】
【氏名】西口 昇吾
(72)【発明者】
【氏名】石黒 浩
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS34
3C707HS27
3C707KT01
3C707KT04
3C707WL07
3C707WM07
3C707WM25
(57)【要約】
【課題】 表示装置とこの表示装置に表示されたCGキャラクタとの一体感を得ることができる。
【解決手段】 ロボット10は、スマートフォン12および回転台14を含む。スマートフォンは回転台に装着される。回転台は、スマートフォンをヨー方向、ピッチ方向およびロール方向に回転させる。スマートフォンの表示装置32には、上三分身または全身の人間を模したCGキャラクタの画像(102)を含むキャラクタ画面(100)が表示される。ロボットは、キャラクタの頭部または上体の回転または傾きに合わせてスマートフォンの向きを変化させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置を備える情報処理端末、および
前記情報処理端末を載置し、前記表示装置の向きを変化させる駆動部を備える回転台を備え、
前記情報処理装置のプロセッサを、
前記表示装置に上三頭身または全身のCGキャラクタを表示させる表示制御手段、および
前記表示制御手段によって前記CGキャラクタの頭部または上体を回転させるとき、同じ向きに同じタイミングで前記表示装置の向きを変化させるように駆動部を制御する駆動制御手段として機能させる、ロボット。
【請求項2】
前記駆動部は、前記情報処理装置を互いに直交する3軸のそれぞれの軸周りに回転させる、請求項1記載のロボット。
【請求項3】
前記駆動制御手段は、前記表示制御手段によって前記CGキャラクタの頭部または上体を所定角度回転させるとともに、同じ向きに前記所定角度だけ前記表示装置の向きを変化させる、請求項1または2記載のロボット。
【請求項4】
表示装置を備える情報処理端末、および
前記情報処理端末を載置し、前記表示装置の向きを変化させる駆動部を備える回転台を備える、ロボットの制御プログラムであって、
前記制御プログラムは、前記情報処理装置のプロセッサに、
前記表示装置に上三頭身または全身のCGキャラクタを表示させる表示制御ステップ、および
前記表示制御ステップにおいて前記CGキャラクタの頭部または上体を回転させるとき、同じ向きに同じタイミングで前記表示装置の向きを変化させるように駆動部を制御する駆動制御ステップを実行させる、制御プログラム。
【請求項5】
表示装置を備える情報処理端末、および
前記情報処理端末を載置し、前記表示装置の向きを変化させる駆動部を備える回転台を備える、ロボットの制御方法であって、
(a)前記表示装置に上三頭身または全身のCGキャラクタを表示させるステップ、および
(b)前記ステップ(a)において前記CGキャラクタの頭部または上体を回転させるとき、同じ向きに同じタイミングで前記表示装置の向きを変化させるように駆動部を制御するステップを含む、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ロボット、制御プログラムおよび制御方法に関し、特にたとえば、表示装置を備える情報処理装置を利用する、ロボット、制御プログラムおよび制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の情報処理装置の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されるロボットでは、頭部に相当する表示装置を設けて、このロボットを遠隔操作するユーザの顔画像を表示することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1のロボットでは、ユーザの顔画像を表示した表示装置の表示面の向きを単に変えるだけであり、2次元平面の表示面に表示されたユーザの顔画像と3次元の実空間に立体的に存在する表示装置との一体感を得るのが困難である。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、ロボット、制御プログラムおよび制御方法を提供することである。
【0006】
また、この発明の他の目的は、表示装置と表示装置に表示されたキャラクタとの一体感を得ることができる、ロボット、制御プログラムおよび制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、表示装置を備える情報処理端末、および情報処理端末を載置し、表示装置の向きを変化させる駆動部を備える回転台を備え、情報処理装置のプロセッサを、表示装置に上三頭身または全身のCGキャラクタを表示させる表示制御手段、および表示制御手段によってCGキャラクタの頭部または上体を回転させるとき、同じ向きに同じタイミングで表示装置の向きを変化させるように駆動部を制御する駆動制御手段として機能させる、ロボットである。
【0008】
第2の発明は、第1の発明に従属し、駆動部は、情報処理装置を互いに直交する3軸のそれぞれの軸周りに回転させる。
【0009】
第3の発明は、第1または第2の発明に従属し、駆動制御手段は、表示制御手段によってCGキャラクタの頭部または上体を所定角度回転させるとともに、同じ向きに所定角度だけ表示装置の向きを変化させる。
【0010】
第4の発明は、表示装置を備える情報処理端末、および情報処理端末を載置し、表示装置の向きを変化させる駆動部を備える回転台を備える、ロボットの制御プログラムであって、制御プログラムは、情報処理装置のプロセッサに、表示装置に上三頭身または全身のCGキャラクタを表示させる表示制御ステップ、および表示制御ステップにおいてCGキャラクタの頭部または上体を回転させるとき、同じ向きに同じタイミングで表示装置の向きを変化させるように駆動部を制御する駆動制御ステップを実行させる、制御プログラムである。
【0011】
第5の発明は、表示装置を備える情報処理端末、および情報処理端末を載置し、表示装置の向きを変化させる駆動部を備える回転台を備える、ロボットの制御方法であって、(a)表示装置に上三頭身または全身のCGキャラクタを表示させるステップ、および(b)ステップ(a)においてCGキャラクタの頭部または上体を回転させるとき、同じ向きに同じタイミングで表示装置の向きを変化させるように駆動部を制御するステップを含む、制御方法である。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、表示装置と表示装置に表示されたキャラクタとの一体感を得ることができる。
【0013】
この発明の上述の目的、その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1はこの発明の第1実施例のロボットの外観構成を正面から見た正面図である。
【
図2】
図2はこの発明の第1実施例のロボットの外観構成を右側方から見た側面図である。
【
図3】
図3はこの発明の第1実施例のロボットの外観構成を上方から見た上面図である。
【
図4】
図4は
図1-
図3に示すロボットを構成するスマートフォンの電気的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は
図1-
図3に示すロボットを構成する回転台に内蔵される制御部の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は
図1-
図3に示すロボットを構成するスマートフォンを回転させない状態で、スマートフォンの表示装置に表示されるキャラクタ画面の一例を示す図である。
【
図7】
図7は
図1-
図3に示すロボットを構成するスマートフォンをヨー方向のプラス方向に20°回転させた状態で、スマートフォンの表示装置に表示されるキャラクタ画面の一例を示す図である。
【
図8】
図8は
図1-
図3に示すロボットを構成するスマートフォンをピッチ方向のプラス方向に20°回転させた状態で、スマートフォンの表示装置に表示されるキャラクタ画面の一例を示す図である。
【
図9】
図9は
図1-
図3に示すロボットを構成するスマートフォンをロール方向のプラス方向に20°回転させた状態で、スマートフォンの表示装置に表示されるキャラクタ画面の一例を示す図である。
【
図11】
図11は
図4に示すスマートフォンのCPUのロボット制御処理の一例の一部を示すフロー図である。
【
図12】
図12は
図4に示すスマートフォンのCPUのロボット制御処理の一例の他の一部であって、
図11に後続するフロー図である。
【
図13】
図13は
図1-
図3のロボットを構成するスマートフォンを回転させない状態で、スマートフォンの表示装置に表示されるキャラクタ画面の他の例を示す図である。
【
図14】
図14は
図1-
図3に示すロボットを構成するスマートフォンをヨー方向のプラス方向に20°回転させた状態で、スマートフォンの表示装置に表示されるキャラクタ画面の他の例を示す図である。
【
図15】
図15は
図1-
図3に示すロボットを構成するスマートフォンをピッチ方向のプラス方向に20°回転させた状態で、スマートフォンの表示装置に表示されるキャラクタ画面の他の例を示す図である。
【
図16】
図16は
図1-
図3に示すロボットを構成するスマートフォンをロール方向のプラス方向に20°回転させた状態で、スマートフォンの表示装置に表示されるキャラクタ画面の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1-
図3を参照して、第1実施例のロボット10は、汎用のスマートフォン12および回転台14を備える。スマートフォン12は、回転台14に装着(または、載置)される。
【0016】
ただし、
図2および
図3では、スマートフォン12を分かり易く示すために、灰色で塗りつぶしてある。
【0017】
また、第1実施例のロボット10では、表示装置を備える情報処理装置の一例としてスマートフォン12を用いる場合について説明するが、スマートフォン12に代えてタブレット端末のような他の情報処理装置を用いることもできる。ただし、タブレット端末のような他の情報処理装置を用いる場合には、他の情報処理装置の大きさに応じて保持部材160の大きさなどの回転台14の一部の構成が適宜変更される。
【0018】
以下、スマートフォン12およびその表示装置32の表示面の回転方向および各モータ58、60および62の回転方向を説明するために、ロボット10に対して、3次元の座標系を設定してある。
【0019】
図1-
図3に示すように、ロボット10に設定される座標系では、スマートフォン12およびその表示装置32の表示面が回転していない状態で、スマートフォン12および回転台14を正面から見た場合の横方向がx軸の方向であり、縦方向がy軸の方向であり、前後方向がz軸の方向である。また、右方向がx軸のプラスの方向であり、上方向がy軸のプラス方向であり、後方向がz軸のプラス方向である。
【0020】
また、この明細書においては、ロボット10のx軸周り、y軸周り、z軸周りの回転方向を、それぞれ、ピッチ方向、ヨー方向およびロール方向と呼ぶ。また、x軸方向のプラス方向を向いた場合のx軸周りの右周り(時計周り)がピッチ方向のプラス方向であり、x軸周りの左周り(反時計回り)がピッチ方向のマイナス方向である。同様に、y軸方向のプラス方向を向いた場合のy軸周りの右周りがヨー方向のプラス方向であり、y軸周りの左周りがヨー方向のマイナス方向である。そして、z軸方向のプラス方向を向いた場合のz軸周りの右周りがロール方向のプラス方向であり、z軸周りの左周りがロール方向のマイナス方向である。
【0021】
回転台14は、台座140を含み、台座140の上面に設けられた貫通孔を介して上下方向に延びる回転軸142の下端は台座140内でモータ(以下、「ヨー用モータ」という)58の回転軸に連結部材144aを用いて連結される。また、ヨー用モータ58は、台座140内で回転可能に軸支された取り付け部材144に取り付けられる(または、固定される)。
【0022】
取り付け部材144は、ボックス形状であり、連結部材144aを貫通させる孔が設けられるとともに、ヨー用モータ58を取り付けるために、回転軸が設けられる面と反対側の面は解放されている。このことは、後述する取り付け部材146および148も同様である。
【0023】
また、取り付け部材144は、連結部材144aを貫通させる面と直交する1つの側面に回転軸144bの一方端が回転可能に連結され、回転軸144bの他方端は台座140の内部の側面に固定される。
【0024】
また、台座140の内部には取り付け部材146が設けられ、取り付け部材146に取り付けられたモータ(以下、「ピッチ用モータ」という)60の回転軸に連結された連結部材146aは取り付け部材144の側面に固定される。連結部材146aが固定される取り付け部材144の側面は、回転軸144bが回転可能に連結された側面の反対側の面である。
【0025】
また、取り付け部材146は、連結部材146aを貫通させる面と直交する1つの側面に支持部材146bの一方端が固定され、支持部材146bの他方端は台座140の内部の底面に固定される。
【0026】
回転軸142の上端には、取り付け部材148が固定される。取り付け部材148には、モータ(以下、「ロール用モータ」という)62が取り付けられ、連結部材148aの一方端がロール用モータ62の回転軸に連結される。また、連結部材148aの他方端は、支持部材150に固定される。支持部材150は、装着部材160に接続される。
【0027】
なお、連結部材148aは、回転軸142が固定される面と直交する1つの側面を貫通して配置される。
【0028】
装着部材160は、スマートフォン12を装着または載置するための部材であり、スマートフォン12の背面と当接する板部材160aを含む。また、装着部材160は、スマートフォン12を載せるとともにスマートフォン12の下端部を保持する爪部160b、スマートフォン12の左右の端部をそれぞれ保持するための爪部160cおよび爪部160dを含む。
【0029】
このような構成のロボット10では、スマートフォン12を、ヨー方向、ピッチ方向またはロール方向に回転させることができる。スマートフォン12をヨー方向に回転させる場合には、ヨー用モータ58が駆動され、連結部材144aを介して回転軸142がヨー方向に回転される。したがって、回転軸142に固定された取り付け部材148もヨー方向に回転される。ロール用モータ62は、取り付け部材148とともにヨー方向に回転され、連結部材148aを介して支持部材150および装着部材160も回転軸142を中心にヨー方向に回転される。
【0030】
また、スマートフォン12をピッチ方向に回転させる場合には、ピッチ用モータ60が駆動され、連結部材146aを介して取り付け部材144がピッチ方向に回転される。したがって、回転軸142、取り付け部材148、支持部材150および装着部材160もピッチ用モータ60のモータ軸を中心にピッチ方向に回転される。
【0031】
さらに、スマートフォン12をロール方向に回転させる場合には、ロール用モータ62が駆動され、連結部材148aを介して支持部材150および装着部材160もロール用モータ62のモータ軸を中心にロール方向に回転される。
【0032】
図1-
図3では省略するが、ヨー用モータ58、ピッチ用モータ60およびロール用モータ62を駆動させるための制御部40は、台座140の内部に設けられる。
【0033】
図4はスマートフォン12の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、スマートフォン12はCPU20を含み、CPU20は、内部バスを介して、RAM22、通信インタフェース(以下、「通信I/F」という)24、USBインタフェース(以下、「USBI/F」という)26および入出力インタフェース(以下、「入出力I/F」という)28に接続される。
【0034】
CPU20は、スマートフォン12の全体的な制御を司る。ただし、CPU20に代えて、CPU機能、GPU(Graphics Processing Unit)機能等の複数の機能を含むSoC(System-on-a-chip)を設けてもよい。
【0035】
RAM22は、主記憶装置であり、CPU20のワーク領域またはバッファ領域として使用される。図示は省略するが、スマートフォン12には、補助記憶装置として、フラッシュメモリおよびROMが設けられる。ただし、フラッシュメモリに代えて、または、フラッシュメモリに加えて、HDDまたはSSD等の不揮発性メモリが使用されてもよい。
【0036】
通信I/F24は、CPU20の制御の下、インターネットまたは/およびLANのようなネットワークを介して、外部のコンピュータとの間で、制御信号およびデータの送受信を行うための有線インタフェースを有する。ただし、通信I/F24としては、無線LANまたはBluetooth(登録商標)等の無線インタフェースを使用することもできる。
【0037】
USBI/F26は、シリアルバス規格によって外部機器(第1実施例では、回転台14の制御部40)と接続されるインタフェースである。このUSBI/F26には、USBケーブルの一方端が接続される。
【0038】
入出力I/F28には、入力装置30、表示装置32、マイク34およびスピーカ36が接続されている。入力装置30は、タッチパネルおよびハードウェアのボタンである。タッチパネルは、汎用のタッチパネルであり、静電容量方式、電磁誘導方式、抵抗膜方式、赤外線方式など、任意の方式のものを用いることができる。
【0039】
また、表示装置32は、LCDまたは有機ELディスプレイである。上記のタッチパネルは、表示装置32の表示面上に設けられてもよいし、タッチパネルが表示装置32と一体的に形成されたタッチディスプレイが設けられてもよい。
【0040】
入出力I/F28は、マイク34で検出された利用者の音声をデジタルの音声データに変換してCPU20に出力するとともに、CPU20によって出力される音声データをアナログの音声信号に変換してスピーカ36から出力させる。ただし、CPU20から出力される音声データは、外部のコンピュータから受信した音声データである。
【0041】
また、入出力I/F28は、入力装置30から入力された操作データ(または、操作情報)をCPU20に出力すると共に、CPU20の指示に従って生成された画像データを表示装置32に出力して、画像データに対応する画面または画像を表示装置32に表示させる。なお、外部のコンピュータから受信した画像データがCPU20によって出力される場合もある。
【0042】
なお、
図4に示すスマートフォン12の電気的な構成は一例であり、限定される必要はない。他の例では、スマートフォン12はカメラを備えていてもよい。
【0043】
また、スマートフォン12は、携帯電話通信網、または、携帯電話網および公衆電話網を介して、通話するための通話回路を備えるが、第1実施例では、そのような通話は行わないため、図示は省略してある。
【0044】
図5は
図1に示した回転台14に内蔵される制御部40の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
図5に示すように、制御部40はCPU50を含み、CPU50は、内部バスを介して、RAM52、USBI/F54およびモータ制御ボード56に接続される。
【0045】
また、モータ制御ボード56は、上述した、ヨー用モータ58、ピッチ用モータ60およびロール用モータ62に接続される。第1実施例では、ヨー用モータ58、ピッチ用モータ60およびロール用モータ62として、同じ種類のステッピングモータすなわちパルスモータが用いられる。
【0046】
CPU50は、制御部40の全体的な制御を司る。RAM52は、主記憶装置であり、CPU50のワーク領域またはバッファ領域として使用される。図示は省略するが、制御部40には、補助記憶装置として、HDDおよびROMが設けられる。ただし、HDDに代えて、または、HDDに加えて、SSD等の不揮発性メモリが使用されてもよい。
【0047】
USBI/F54は、シリアルバス規格によって外部機器(第1実施例では、スマートフォン12)と接続されるインタフェースである。このUSBI/F54には、上述したUSBケーブルの他方端が接続される。
【0048】
モータ制御ボード56は、たとえばDSPで構成され、CPU50からの制御データを受けて、ヨー用モータ58、ピッチ用モータ60およびロール用モータ62の駆動を制御する。つまり、モータ制御ボード56は、ヨー用モータ58、ピッチ用モータ60およびロール用モータ62の回転および回転角度を制御する。したがって、スマートフォン12の向きおよび傾きが制御される。つまり、スマートフォン12の表示装置32の表示面の向きおよび傾きが制御される。
【0049】
ただし、ヨー用モータ58、ピッチ用モータ60およびロール用モータ62の駆動を制御するための制御データは、スマートフォン12のCPU20から制御部40に送信され、制御部40がモータ制御ボード56に制御データを与える。
【0050】
なお、
図5に示す制御部40の電気的な構成は一例であり、限定される必要はない。
【0051】
このようなロボット10は、会話エージェントまたはアバターとして機能し、ロボット10の表示装置32には、キャラクタ画面100が表示される。キャラクタ画面100には、CG(Computer Graphics)キャラクタの画像102が表示される。一例として、キャラクタ画面100の背景は単一色(たとえば、白色)で塗りつぶされる。
【0052】
CGキャラクタの画像102は、一例として、頭部および首を含む画像(たとえば、上三分身の画像)であり、第1実施例では、人間の女性の頭部および首を含む画像である。他の例では、CGキャラクタの画像102は、アニメキャラクタ、ゲームキャラクタ、または、動物を模したキャラクタなどの頭部および首を含む画像である。
【0053】
CGキャラクタは、首を曲げたり傾げたりして、頭部すなわち顔の向きまたは傾きを変化させる。具体的には、CGキャラクタは、頭部を左または右に第1所定角度回転されたり、頭部を前または後に第2所定角度回転しされたり、頭部を左または右に第3所定角度傾けられたりする。第1実施例では、第1所定角度、第2所定角度および第3所定角度は、すべて同じであり、20°に設定される。
【0054】
また、第1実施例のロボット10は、CGキャラクタに上述したような動作を実行させるとき、同時に、スマートフォン12にも同じ動作を実行させる。つまり、CGキャラクタの頭部の動きに同期して、スマートフォン12の動き、すなわち、キャラクタ画面100の向きおうよび傾きが変化される。具体的には、スマートフォン12は、ヨー方向に第1所定角度回転されたり、ピッチ方向に第2所定角度回転されたり、ロール方向に第3所定角度回転されたりする。
【0055】
図7は、CGキャラクタの頭部を左に20°回転させ、スマートフォン12をヨー方向のプラス方向に20°回転させた場合のキャラクタ画面100の一例を示す。
図7ではキャラクタ画面100のみを示すが、実際には、回転台14がスマートフォン12をヨー方向のプラス方向に20°回転させている。このことは、
図8および
図9に示す場合についても同様である。
【0056】
上述したように、CGキャラクタの頭部が左に回転されると同時に、スマートフォン12もヨー方向のプラス方向に回転される。このため、回転台14にスマートフォン12を装着しただけの比較的簡易な構成であっても、表示装置32とこの表示装置32に表示されたCGキャラクタの一体感が得られる。したがって、2次元平面の表示面に表示されるCGキャラクタが立体的に見える。
【0057】
図示は省略するが、CGキャラクタの頭部が右に20°回転される場合には、CGキャラクタの頭部が右に回転されると同時に、スマートフォン12をヨー方向のマイナス方向に20°回転される。
【0058】
また、第1実施例では、CGキャラクタの頭部の向きの変化と同期してキャラクタ画面100の向きも変化させるため、キャラクタ画面100の向きの変化に合わせてCGキャラクタを描画するようにしてある。
【0059】
ヨー用モータ58の回転軸は連結部材144aに直接連結され、ピッチ用モータ60の回転軸は連結部材146aに直接連結され、ロール用モータ62の回転軸は連結部材148aに直接連結される。したがって、ヨー用モータ58の回転角度がキャラクタ画面100の左右の向きと一致する。また、ピッチ用モータ60の回転角度がキャラクタ画面100の上下の向きと一致する。さらに、ロール用モータ62の回転角度がキャラクタ画面100の左右の傾きと一致する。
【0060】
上述したように、第1実施例では、ヨー用モータ58、ピッチ用モータ60およびロール用モータ62として、同じ種類のステッピングモータが使用されるため、20°回転する時間も同じに設定することで、駆動信号(駆動パルス)を同じに設定することができる。第1実施例では、ヨー用モータ58、ピッチ用モータ60およびロール用モータ62が20°回転する時間は所定時間(たとえば、0.6秒)に設定される。
【0061】
一方、第1実施例では、キャラクタ画面100を更新する単位時間(フレーム)は1/60秒に設定される。したがって、0.6秒の間に、キャラクタ画面100は、36回更新される。
【0062】
この実施例では、CGキャラクタの頭部を左、右、前および後の各々の方向に20°回転させる各アニメーションと、CGキャラクタの頭部を左または右に20°傾けさせる各アニメーションが予め作成され、動作に応じたアニメーションが再生される。
【0063】
上述したように、キャラクタ画面100は、0.6秒の間に36回更新されるため、各アニメーションは36フレーム(36コマ)で構成される。したがって、CGキャラクタが頭部(または、首)を左に回転させる(つまり、顔を左に向ける)アニメーションは顔の向きが1コマにつき0.5°または0.6°左に変化される。一例として、最初の20コマは0.6°刻みで顔の向きが左に変化され、残りの16コマは0.5°刻みで顔の向きが左に変化される。同様に、CGキャラクタが頭部を右に回転させる(つまり、顔を右に向ける)アニメーション、頭部を前に回転させる(つまり、顔を下に向ける)アニメーション、頭部を後ろに回転させる(つまり、顔を上に向ける)アニメーション、頭を左に傾げるアニメーション、および、頭を右に傾げるアニメーションも36コマで構成される。以下、アニメーションのフレームを、画面更新の単位時間と区別するために、アニメーションフレームという。
【0064】
また、CGキャラクタは、頭部を左、右、前または後に回転させたり、頭部を左または右に傾けたりした後に、頭部を回転および傾斜していない元の状態(真っすぐ正面を向いた状態)に戻す場合には、最後のアニメーションフレームから逆向きに再生される。
【0065】
なお、第1実施例では、CGキャラクタの各動作のアニメーションを作成しておき、アニメーションを再生するようにしてあるが、CGキャラクタの画像をその都度描画するようにしてもよい。
【0066】
図8は、CGキャラクタの頭部を前に20°傾けさせ、スマートフォン12をピッチ方向のプラス方向に20°回転させた場合のキャラクタ画面100の一例を示す。ただし、
図8ではキャラクタ画面100を左側方から見た図を左側に示している。また、
図9はCGキャラクタの頭部を左に20°傾けさせ、スマートフォン12をロール方向のプラス方向に20°回転させた場合のキャラクタ画面100の一例を示す。
【0067】
図6に示した状態から
図8に示す状態に変化するように、CGキャラクタの頭部が前に20°傾けられる。これと同時に、スマートフォン12は、ピッチ方向のプラス方向に20°回転される。
【0068】
図示は省略するが、CGキャラクタの頭部が後ろに20°傾けられる場合には、スマートフォン12は、ピッチ方向のマイナス方向に20°回転される。つまり、キャラクタ画面100すなわち表示装置32の表示面も後に20°傾けられる。
【0069】
図6に示した状態から
図9に示す状態に変化するように、CGキャラクタの頭部が左に20°傾けられる。これと同時に、スマートフォン12は、ロール方向のプラス方向に20°回転される。
【0070】
図示は省略するが、CGキャラクタの頭部が右に20°傾けられる場合には、スマートフォン12は、ロール方向のマイナス方向に20°回転される。つまり、キャラクタ画面100すなわち表示装置32の表示面も右に20°傾けられる。
【0071】
たとえば、ロボット10は、CGキャラクタの頭部を左または右に向けると同時にスマートフォン12をヨー方向のプラス方向または右向きに回転させ、所定時間(たとえば、数秒)経過してから、CGキャラクタの頭部を逆向きに回転させて元の状態に戻すと同時にスマートフォン12も逆向きに回転させて元の状態に戻す。つまり、頭部のロボット10を左に向けたり右に向けたりする動作を実行させることができる。第1実施例では、頭部は、人間の頭部であるが、CGキャラクタの種類によっては、ニメキャラクタ、ゲームキャラクタ、または、動物を模したキャラクタの頭部である。
【0072】
また、ロボット10は、CGキャラクタの頭部を前に傾けると同時にスマートフォン12をピッチ方向のプラス方向に回転させてから、直ぐに、CGキャラクタの頭部を逆向きに動かせて元の状態に戻すと同時にスマートフォン12を逆向きに回転させて元の状態に戻す。つまり、頭部のロボット10にお辞儀の動作(または、頷く動作、会釈する動作)を実行させることができる。
【0073】
さらに、ロボット10は、CGキャラクタの頭部を後ろに傾けると同時にスマートフォン12をピッチ方向のマイナス方向に回転させ、所定時間(たとえば、数秒)経過してから、CGキャラクタの頭部を逆向きに回転させて元の状態に戻すと同時にスマートフォン12も逆向きに回転させて元の状態に戻す。つまり、頭部のロボット10に斜め上方を見る(少し天を仰ぐ)動作を実行させることができる。
【0074】
さらにまた、ロボット10は、CGキャラクタの頭部を左または右に傾けると同時にスマートフォン12をロール方向のプラス方向または右向きに回転させ、直ぐに、CGキャラクタの頭部を逆向きに回転させて元の状態に戻すと同時にスマートフォン12も逆向きに回転させて元の状態に戻す。つまり、頭部のロボット10に左または右に首を傾げる動作を実行させることができる。
【0075】
ただし、第1実施例では、スマートフォン12が回転台14の回転を制御するため、制御データを送信してからモータ(58,60,62)が駆動を開始するまでに時間(以下、「遅延時間」)がかかる。したがって、スマートフォン12は、回転台14に制御データを送信してから遅延時間を経過した後に、CGキャラクタのアニメーションの再生を開始してキャラクタ画面100を表示装置32に表示する。つまり、CGキャラクタの動作と、表示装置32の表示面の回転または傾ける動作を同時に開始することができる。
【0076】
詳細な説明は省略するが、遅延時間は予め実験等を行うことによって経験的に得ることができる。
【0077】
ロボット10の動作は、自動的に実行されたり、遠隔操作する操作者からの指示に従って実行されたりする。
【0078】
第1実施例では、ロボット10の動作が自動的に実行される場合には、ロボット10は、所定の条件を満たすことで、所定の動作または自動で決定される動作を実行する。一例として、所定の条件は、所定の時刻になったこと、所定のアプリケーションソフトから指示があったこと、および、ロボット10(または、CGキャラクタ)が音声を発するタイミングであることである。
【0079】
たとえば、スマートフォン12のアラーム機能によってアラームを実行する所定の時刻になると、アラーム音が出力されるとともに、ロボット10にお辞儀の動作を実行させる。つまり、ロボット10は、利用者に挨拶する。ただし、アラーム音は、ロボット10(または、CGキャラクタ)が挨拶する音声であってもよい。
【0080】
また、所定のアプリケーションソフトは、ロボット10の制御プログラムを連動することが設定されたソフトウェアであり、所定のイベントに応じて、予め設定された、または、ランダムに決定された動作の実行をロボット10に指示する。所定のイベントは、所定のアプリケーションソフトで発生するイベントであり、たとえば、スケジュール帳のアプリケーションソフトでは、登録されたスケジュールを報知するイベントである。ロボット10は、スケジュールを報知するとともに、予め設定された、または、ランダムに決定された動作を実行する。
【0081】
なお、この実施例のロボット10の制御プログラムが所定のアプリケーションソフトに組み込まれるようにしてもよい。
【0082】
さらに、ロボット10が音声を発するタイミングは、利用者等の所定の音声を検出したときである。所定の音声は、ロボット10の名前である。ロボット10は、利用者の呼びかけに対して、返事したり、回答したりするとともに、予め設定された、または、ランダムに決定された動作を実行する。
【0083】
また、遠隔操作する操作者は、自身の端末を操作して、ロボット10を動作させる指示(コマンド)をスマートフォン12に送信する。また、操作者の動作を検出することで、操作者の頭部(または、首)の動きを再現するように、ロボット10を動作させる指示をスマートフォン12に送信するようにしてもよい。操作者の動作は、操作者の頭部に装着したモーションセンサの出力に基づいて検出したり、操作者をカメラで撮影した撮影画像に基づいて検出したりすることができる。これらの検出方法は既に周知であるため、説明を省略する。撮影画像に基づいて操作者の頭部の動き(または、顔の向き)を検出する方法としては、MediaPipe PoseまたはMediaPipe Face Meshを用いる方法がある。
【0084】
したがって、ロボット10を遠隔操作する場合には、CGキャラクタおよびスマートフォン12を元に戻す動作についても操作者の指示または操作者の動きに応じて指示される。ただし、CGキャラクタおよびスマートフォン12を自動的に元に戻すようにしてもよい。
【0085】
図10は、スマートフォン12に内蔵されるRAM22のメモリマップ300の一例を示す。
図10に示すように、RAM22は、プログラム記憶領域302およびデータ記憶領域304を含む。プログラム記憶領域302には、スマートフォン12の制御プログラムが記憶されている。
【0086】
制御プログラムは、メイン処理プログラム302a、操作検出プログラム302b、通信プログラム302c、画像生成プログラム302d、画像表示プログラム302e、キャラクタ制御プログラム302fおよびモータ制御プログラム302gなどを含む。
【0087】
メイン処理プログラム302aは、ロボット10の制御プログラムのメインルーチンの処理(全体的な処理)を実行するためのプログラムである。
【0088】
操作検出プログラム302bは、利用者の操作に従って入力装置30から入力される操作データ304aを検出し、データ記憶領域304に記憶するためのプログラムである。
【0089】
通信プログラム302cは、外部の機器、第1実施例では、インターネットまたはクラウドのようなネットワークと有線または無線で通信(データの送信および受信)するためのプログラムである。また、通信プログラム302cは、他の外部の機器、第1実施例では、回転台14の制御部40とUSBケーブルを介して通信するためのプログラムでもある。
【0090】
画像生成プログラム302dは、表示装置32に表示するための各種の画面に対応する画像データを、画像生成データ304bを用いて生成するためのプログラムである。
【0091】
画像表示プログラム302eは、画像生成プログラム302dに従って生成した画像データまたはCPU20によって出力された画像データを表示装置32に出力するためのプログラムである。
【0092】
キャラクタ制御プログラム302fは、自動で、または、外部の機器からの指示に従って、CGキャラクタを動作させるためのプログラムである。第1実施例では、動作に応じたアニメーションが再生または逆再生される。
【0093】
モータ制御プログラム302gは、自動で、または、外部の機器からの指示に従って、回転台14に設けられるモータ(第1実施例では、ヨー用モータ58、ピッチ用モータ60およびロール用モータ62)の駆動を制御するためのプログラムである。具体的には、モータ制御プログラム302gは、自動で決定した動作に応じて、または、外部の機器からの指示に従う動作に応じて、制御データを制御部40に送信するためのプログラムである。
【0094】
図示は省略するが、プログラム記憶領域302には、スマートフォン12のオペレーティングシステムおよびミドルウェアとは別に、本願の制御プログラム以外の他のアプリケーションプログラムも記憶される。
【0095】
また、データ記憶領域304には、操作データ304a、画像生成データ304b、アニメーションデータ304cおよび制御データ304dなどが記憶される。
【0096】
操作データ304aは、操作検出プログラム302bに従って検出された操作データである。
【0097】
画像生成データ304bは、スマートフォン12の表示装置32に表示される各種の画面を生成するためのデータである。
【0098】
アニメーションデータ304cは、各種の動作を行うCGキャラクタのアニメーションについてのデータである。上述したように、各種の動作のアニメーションは、36個(コマ)のアニメーションフレームで構成される。
【0099】
制御データ304dは、CGキャラクタの動作の種類のそれぞれに応じて、駆動させるヨー用モータ58、ピッチ用モータ60またはロール用モータ62の種類と、駆動させるヨー用モータ58、ピッチ用モータ60またはロール用モータ62の駆動信号を含むデータである。
【0100】
また、データ記憶領域304には、タイマ304eが設けられる。タイマ304eは、遅延時間をカウントするためのカウンタである。
【0101】
図示は省略するが、データ記憶領域304には、ロボット制御処理を実行するために必要な他のデータが記憶されたり、ロボット制御処理を実行するための他のタイマ(カウンタ)およびフラグが設けられたりする。
【0102】
図11および
図12は、
図4に示したスマートフォン12のCPU20のロボット制御処理の一例を示すフロー図である。たとえば、このロボット制御処理は、利用者の操作に従って制御プログラムが実行されることで、実行される。
図11に示すように、CPU20は、ロボット制御処理を開始すると、ステップS1で、CGキャラクタを動作させるかどうかを判断する。ここでは、CPU20は、自動で所定の種類の動作を実行することを決定したり、遠隔操作する操作者から動作を実行する指示が入力されたりしたかどうかを判断する。ただし、操作者からの指示には、動作の種類も含まれる。第1実施例では、動作の種類は、CGキャラクタの頭部を左または右に回転させる動作、CGキャラクタの頭部を前または後に傾ける動作、および、CGキャラクタの頭部を左または右に傾ける動作である。
【0103】
ステップS1で“NO”であれば、つまり、CGキャラクタを動作させない場合には、ステップS1に戻る。一方、ステップS1で“YES”であれば、つまり、CGキャラクタを動作させる場合には、ステップS3で、実行する動作の種類に応じた制御データを回転台14の制御部40に送信する。
【0104】
次のステップS5では、遅延時間のカウントを開始する。つまり、CPU20は、タイマ304eをリセットおよびスタートする。続いて、ステップS7で、遅延時間を経過したかどうかを判断する。つまり、CPU20は、タイマ304eのカウント値が遅延時間になったかどうかを判断する。
【0105】
ステップS7で“NO”であれば、つまり、遅延時間を経過していなければ、ステップS7に戻る。一方、ステップS7で“YES”であれば、つまり、遅延時間を経過していれば、ステップS9で、実行する動作の種類に応じたCGキャラクタのアニメーションの再生を開始し、ステップS11で、アニメーションフレームを1つ進める。このとき、キャラクタ画面100が更新される。
【0106】
続くステップS13では、再生を終了したかどうかを判断する。ここでは、CPU20は、最後のアニメーションフレームまで再生したかどうかを判断する。ステップS13で“NO”であれば、つまり、再生を終了していなければ、ステップS11に戻る。第1実施例では、ステップS11およびS13の処理が1フレームで実行される。
【0107】
一方、ステップS13で“YES”であれば、つまり、再生を終了すれば、ステップS15で、CGキャラクタおよびスマートフォン12を元に戻すかどうかを判断する。すなわち、CGキャラクタおよびスマートフォン12を真っすぐ正面を向いた状態に戻すかどうかを判断する。
【0108】
ここでは、たとえば、CPU20は、頭部を左または右に向けていた場合には、または、頭部を左または右に傾けていた場合には、頭部の動作を終了してから数秒を経過したときに元に戻すことを判断する。また、CPU20は、頭部を上または下に傾けていた場合には、直ぐに元に戻すことを判断する。さらに、ロボット10が遠隔操作される場合には、CPU20は、元に戻すことの指示があると、元に戻すことを判断する。
【0109】
ステップS15で“NO”であれば、つまり、CGキャラクタおよびスマートフォン12を元に戻さない場合には、ステップS15に戻る。一方、ステップS15で“YES”であれば、つまり、CGキャラクタおよびスマートフォン12を元に戻す場合には、
図12に示すステップS17で、元に戻す制御データを回転台14の制御部40に送信する。ステップS17で送信される制御データは、ステップS3で送付した制御データに含まれる駆動信号の正負を逆転した駆動信号を含む制御データである。
【0110】
次のステップS19では、遅延時間のカウントを開始する。そして、ステップS21で、遅延時間を経過したかどうかを判断する。ステップS21で“NO”であれば、ステップS21に戻る。一方、ステップS21で“YES”であれば、ステップS23で、ステップS9で再生したCGキャラクタのアニメーションの逆再生を開始し、ステップS25で、アニメーションフレームを1つ戻す。
【0111】
続くステップS27では、逆再生を終了したかどうかを判断する。ここでは、CPU20は、最初のアニメーションフレームまで逆再生を終了したかどうかを判断する。ステップS27で“NO”であれば、つまり、逆再生を終了していなければ、ステップS25に戻る。第1実施例では、ステップS25およびS27の処理も1フレームで実行される。
【0112】
一方、ステップS27で“YESであれば、つまり、逆再生を終了すれば、ステップS29で、利用者または操作者からロボット制御処理の終了の指示が有るかどうかを判断する。
【0113】
ステップS29で“NO”であれば、つまり、利用者または操作者からロボット制御処理の終了の指示が無ければ、ステップS1に戻る。一方、ステップS29で“YES”であれば、つまり、利用者または操作者からロボット制御処理の終了の指示が有れば、ロボット制御処理を終了する。
【0114】
第1実施例によれば、スマートフォンの表示装置に表示された上三分身のCGキャラクタの頭部を回転または傾けると同時にスマートフォンの向きを変化させるので、スマートフォンの表示装置とこの表示装置に表示されたCGキャラクタとの一体感を得ることができる。つまり、スマートフォンと、回転台と、スマートフォンの表示装置に表示されたCGキャラクタが一体となってロボットが構成される。したがって、スマートフォンをCGキャラクタの頭部のように感じさせることができる。
【0115】
なお、第1実施例では、ロボット10は、CGキャラクタの頭部およびスマートフォン12を左、右、上または下に回転させたり、CGキャラクタの頭部およびスマートフォン12を左または右に傾けたりするようにしたが、これらの動作に限定される必要はない。
【0116】
ロボット10は、CGキャラクタの頭部およびスマートフォン12を左に向けてから元に戻し、続けて、CGキャラクタの頭部およびスマートフォン12を右に向けてから元に戻すことで、頭部のロボット10が首を横に振る動作を行うことができる。また、ロボット10は、CGキャラクタの頭部およびスマートフォン12を後ろに傾けてから元に戻し、続けて、CGキャラクタの頭部およびスマートフォン12を前に傾けてから元に戻すことで、頭部のロボット10が大きく頷く動作を行うこともできる。ただし、これらの動作を行う場合のCGキャラクタのアニメーションをそれぞれ用意し、各アニメーションを再生および逆再生する場合に同期してスマートフォン12の向きを変化させるためのモータの駆動信号を生成する必要がある。
【0117】
なお、第1実施例では、第1所定角度、第2所定角度および第3所定角度を同じ角度に設定したが、限定される必要はない。第1所定角度、第2所定角度および第3所定角度は、一部または全部を異なる角度に設定することもできる。また、頭部を左に回転させる角度と頭部を右に回転させる角度を異なる角度に設定したり、頭部を前に傾ける角度と頭部を後ろに傾ける角度を異なる角度に設定したり、頭部を左に曲げる角度と頭部を右に曲げる角度を異なる角度に設定したりすることもできる。いずれの場合であっても、CGキャラクタの頭部を回転または傾ける角度と同じ角度で表示装置32の表示面が回転されるように、回転台14が制御される。
【0118】
[第2実施例]
第2実施例のロボット10は表示装置32に表示されるCGキャラクタの全身を表示し、CGキャラクタの腰を左または右に回転させたり、CGキャラクタの腰を左、右、前または後に曲げたりするようにした以外は、第1実施例と同じであるため、重複した説明は省略する。
【0119】
図13は第2実施例のキャラクタ画面100の一例を示す図である。
図13に示すキャラクタ画面100では、直立した全身のCGキャラクタの画像102が表示される。このとき、表示装置32の表示面も、
図1に示したように、正面を向いた状態である。
【0120】
また、
図14はCGキャラクタが上体(または、腰)を左に第4所定角度(第2実施例では、20°)回転させ、スマートフォン12をヨー方向のプラス方向に第4所定角度(20°)回転させた場合のキャラクタ画面100の一例を示す。ただし、第1実施例と同様に、CGキャラクタが上体を左に回転されると同時に、スマートフォン12もヨー方向のプラス方向に回転される。
【0121】
第2実施例では、CGキャラクタが上体を左に20°回転させる動作のアニメーションが36コマのアニメーションフレームで構成される。したがって、上体の向きが1コマにつき0.5°または0.6°変化される。一例として、最初の20コマは0.6°刻みで上体の向きが左に変化され、残りの16コマは0.5°刻みで上体の向きが左に変化される。このことは、後述する、CGキャラクタが上体を右に向ける動作、上体を前方に傾ける動作、上体を後方に傾ける動作、上体を左に傾げる動作および上体を右に傾げる動作のアニメーションについても同様である。
【0122】
図示は省略するが、CGキャラクタの上体が右に第4所定角度(20°)回転される場合には、CGキャラクタの上体が右に回転されると同時に、スマートフォン12をヨー方向のマイナス方向に第4所定角度(20°)回転される。
【0123】
図15はCGキャラクタの上体を前に第5所定角度(第2実施例では、20°)傾けさせ、スマートフォン12をピッチ方向のプラス方向に第5所定角度(20°9回転させた場合のキャラクタ画面100の一例を示す。ただし、
図15ではキャラクタ画面100を左側方から見た図を左側に示している。また、
図16はCGキャラクタの上体を左に第6所定角度(たとえば、20°)傾けさせ、スマートフォン12をロール方向のプラス方向に第6所定角度(20°)回転させた場合のキャラクタ画面100の一例を示す。
【0124】
図13に示した状態から
図15に示す状態に変化するように、CGキャラクタの上体が前に20°傾けられる。これと同時に、スマートフォン12は、ピッチ方向のプラス方向に20°回転される。
【0125】
図示は省略するが、CGキャラクタの上体が後ろに20°傾けられる場合には、スマートフォン12は、ピッチ方向のマイナス方向に20°回転される。つまり、キャラクタ画面100すなわち表示装置32の表示面も後に20°傾けられる。つまり、キャラクタ画面100すなわち表示装置32の表示面も後に20°傾けられる。
【0126】
図13に示した状態から
図16に示す状態に変化するように、CGキャラクタの上体が左に20°傾けられる。これと同時に、スマートフォン12は、ロール方向のプラス方向に20°回転される。
【0127】
図示は省略するが、CGキャラクタの上体が右に20°傾けられる場合には、スマートフォン12は、ロール方向のマイナス方向に20°回転される。つまり、キャラクタ画面100すなわち表示装置32の表示面も右に20°傾けられる。
【0128】
たとえば、ロボット10は、CGキャラクタの上体を左または右に向けると同時にスマートフォン12をヨー方向のプラス方向または右向きに回転させ、所定時間(たとえば、数秒)経過してから、CGキャラクタの上体を逆向きに回転させて元の状態に戻すと同時にスマートフォン12も逆向きに回転させて元の状態に戻す。つまり、人型のロボット10を左に向けたり右に向けたりすることができる。
【0129】
また、ロボット10は、CGキャラクタの上体を前に傾けると同時にスマートフォン12をピッチ方向のプラス方向に回転させてから、直ぐに、CGキャラクタの頭部を逆向きに動かせて元の状態に戻すと同時にスマートフォン12を逆向きに回転させて元の状態に戻す。つまり、人型のロボット10にお辞儀の動作(または、会釈する動作)を実行させることができる。
【0130】
さらに、ロボット10は、CGキャラクタの上体を後ろに傾けると同時にスマートフォン12をピッチ方向のマイナス方向に回転させ、所定時間(たとえば、数秒)経過してから、CGキャラクタの頭部を逆向きに回転させて元の状態に戻すと同時にスマートフォン12も逆向きに回転させて元の状態に戻す。つまり、人型のロボット10に斜め上方を見る(少し天を仰ぐ)動作を実行させることができる。
【0131】
さらにまた、ロボット10は、CGキャラクタの上体を左または右に傾けると同時にスマートフォン12をロール方向のプラス方向または右向きに回転させ、直ぐに、CGキャラクタの上体を逆向きに回転させて元の状態に戻すと同時にスマートフォン12も逆向きに回転させて元の状態に戻す。つまり、人型のロボット10を左または右に傾ける動作を実行させることができる。
【0132】
第2実施例では、表示装置32に表示されるCGキャラクタが異なる以外は、第1実施例で示したロボット制御処理と同じ処理が実行されるため、重複した説明は省略する。
【0133】
ただし、第1実施例で説明したように、操作者がロボット10を遠隔操作する場合には、操作者の頭部の動きに応じてロボット10が制御される場合もある。したがって、第2実施例では、操作者の頭部の動きに応じて、CGキャラクタの動きが制御される。具体的には、操作者の頭部が左または右に回転される場合には、CGキャラクタの上体が左または右に回転される。また、操作者の頭部が前または後に傾けられる場合には、CGキャラクタの上体が前または後に傾けられる。さらに、操作者の頭部が左または右に傾けられる場合には、CGキャラクタの上体が左または右に傾けられる。
【0134】
なお、スマートフォン12の回転については、第1実施例と同じである。
【0135】
第2実施例においても、第1実施例と同様に、スマートフォンの表示装置に表示された全身のCGキャラクタの上体を回転または傾けると同時にスマートフォンの向きを変化させるので、スマートフォンの表示装置とこの表示装置に表示されたCGキャラクタとの一体感を得ることができる。したがって、スマートフォンをCGキャラクタの全身のように感じさせることができる。
【0136】
なお、第2実施例では、ロボット10は、CGキャラクタの上体およびスマートフォン12を左、右、上または下に回転させたり、CGキャラクタの上体およびスマートフォン12を左または右に傾けたりするようにしたが、これらの動作に限定される必要はない。
【0137】
ロボット10は、CGキャラクタの上体およびスマートフォン12を左に向けてから元に戻し、続けて、CGキャラクタの上体およびスマートフォン12を右に向けてから元に戻すことで、人型のロボット10が首を横に振る動作を行うことができる。また、ロボット10は、CGキャラクタの上体およびスマートフォン12を後ろに傾けてから元に戻し、続けて、CGキャラクタの上体およびスマートフォン12を前に傾けてから元に戻すことで、大きく頷く動作を行うこともできる。ただし、これらの動作を行う場合のCGキャラクタのアニメーションをそれぞれ用意し、各アニメーションを再生および逆再生する場合に同期してスマートフォン12の向きを変化させるためのモータの駆動信号を生成する必要がある。
【0138】
なお、第2実施例では、第4所定角度、第5所定角度および第6所定角度を同じ角度に設定したが、限定される必要はない。第4所定角度、第5所定角度および第6所定角度は、一部または全部を異なる角度に設定することもできる。また、上体を左に回転させる角度と上体を右に回転させる角度を異なる角度に設定したり、上体を後ろに傾ける角度と上体を前に傾ける角度を異なる角度に設定したり、上体を左に傾ける角度と上体を右に傾ける角度を異なる角度に設定したりすることもできる。いずれの場合であっても、CGキャラクタの上体を回転または傾ける角度と同じ角度で表示装置32の表示面が回転されるように、回転台14が制御される。
【0139】
また、上述の各実施例では、CGキャラクタの頭部または上体を回転または傾ける角度と、スマートフォン12を回転させる角度を同じ角度に設定してあるが、5°の誤差があっても、表示装置32とこの表示装置32に表示されるCGキャラクタとの一体感を得ることができる。たとえば、CGキャラクタの頭部または上体を回転または傾ける角度を20°に設定し、スマートフォン12を回転させる角度を15°に設定することができる。この場合、スマートフォン12が15°回転される間に、CGキャラクタの頭部または上体が20°回転または傾けられる。ただし、CGキャラクタの動作とスマートフォン12の回転は同時に開始される。なお、スマートフォン12を回転させる角度を大きくし過ぎると、利用者が表示装置32の表示面を見ることができなくなる場合があるため、第1所定角度-第6所定角度は、利用者が表示装置32の表示面を見えることができる範囲で適宜設定される。
【0140】
さらに、上述の各実施例では、
図1-
図3に示した構成の回転台を使用するようにしたが、3軸の軸周りにスマートフォンを回転させることができれば、他の構成の回転台を用いることもできる。
【0141】
さらにまた、上述の各実施例では、CGキャラクタの頭部または上体を、左右または前後に回転させたり、左右に傾けたりするため、3軸の軸周りにスマートフォンを回転させるようにしたが、これに限定される必要はない。CGキャラクタの頭部または上体の動作の自由度に応じて、1軸または2軸の軸周りにスマーフォンを回転させるようにしてもよい。
【0142】
また、上述の各実施例では、スマートフォンと回転台の制御部を、USBケーブルを用いて通信可能に接続したが、Bluetooth(登録商標)のような近距離無線を用いて通信可能に接続してもよい。
【0143】
さらに、上述の各実施例で示したフロー図の各ステップは同じ結果が得られる場合には、処理する順番を変更することが可能である。
【0144】
さらにまた、上述の各実施例で挙げた各種の画面、角度などの具体的数値はいずれも単なる例示であり、必要に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0145】
10 …ロボット
12 …スマートフォン
14 …回転台
20、50 …CPU
22、52 …RAM
24 …通信I/F
26、54 …USBI/F
30 …入力装置
32 …表示装置
34 …マイク
36 …スピーカ
56 …モータ制御ボード
58、60、62 …モータ