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特開2024-54920二酸化炭素の固体炭素化設備、及び二酸化炭素の固体炭素化方法
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  • 特開-二酸化炭素の固体炭素化設備、及び二酸化炭素の固体炭素化方法 図1
  • 特開-二酸化炭素の固体炭素化設備、及び二酸化炭素の固体炭素化方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054920
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】二酸化炭素の固体炭素化設備、及び二酸化炭素の固体炭素化方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/05 20170101AFI20240411BHJP
【FI】
C01B32/05 ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161382
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000133032
【氏名又は名称】株式会社タクマ
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和宏
(72)【発明者】
【氏名】藤平 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】宍田 健一
(72)【発明者】
【氏名】阿形 葉
【テーマコード(参考)】
4G146
【Fターム(参考)】
4G146AA01
4G146BA09
4G146BC08
4G146BC25
4G146BC44
4G146DA28
4G146DA29
(57)【要約】
【課題】エネルギーコストを抑えることができる二酸化炭素の固体炭素化設備を提供する。
【解決手段】燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置7と、水を電気分解して水素を生成する電解装置25と、二酸化炭素及び水素を含む処理ガスと熱媒体との熱交換により当該処理ガスを加熱する加熱器13と、加熱された処理ガス中の二酸化炭素を逆シフト反応により一酸化炭素に還元する逆シフト反応器15と、一酸化炭素を炭素に変換する固体炭素化反応器17とを備え、固体炭素化反応器17からのオフガスが熱媒体として利用される二酸化炭素の固体炭素化設備1A。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置と、
水を電気分解して水素を生成する電解装置と、
前記二酸化炭素及び前記水素を含む処理ガスと熱媒体との熱交換により当該処理ガスを加熱する加熱器と、
加熱された前記処理ガス中の前記二酸化炭素を逆シフト反応により一酸化炭素に還元する逆シフト反応器と、
前記一酸化炭素を炭素に変換する固体炭素化反応器と、
を備え、
前記固体炭素化反応器からのオフガスが前記熱媒体として利用される二酸化炭素の固体炭素化設備。
【請求項2】
前記固体炭素化反応器からのオフガスが前記加熱器の前段側において前記処理ガスと混合される請求項1に記載の二酸化炭素の固体炭素化設備。
【請求項3】
前記電解装置は、前記燃焼排ガスの熱を利用して発電した電力、及び/又は再生可能エネルギーを利用して発電した電力により、水を電気分解する請求項1又は2に記載の二酸化炭素の固体炭素化設備。
【請求項4】
燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置と、
前記二酸化炭素を電気分解して一酸化炭素を生成する電解装置と、
前記一酸化炭素を含む処理ガスと熱媒体との熱交換により当該処理ガスを加熱する加熱器と、
加熱された前記処理ガス中の前記一酸化炭素を炭素に変換する固体炭素化反応器と、
を備え、
前記固体炭素化反応器からのオフガスが前記熱媒体として利用される二酸化炭素の固体炭素化設備。
【請求項5】
前記電解装置は、さらに水を電気分解して水素を生成する請求項4に記載の二酸化炭素の固体炭素化設備。
【請求項6】
前記固体炭素化反応器からのオフガスが前記電解装置の前段側において前記処理ガスと混合される請求項4又は5に記載の二酸化炭素の固体炭素化設備。
【請求項7】
前記電解装置は、前記燃焼排ガスの熱を利用して発電した電力、及び/又は再生可能エネルギーを利用して発電した電力により、二酸化炭素及び/又は水を電気分解する請求項4又は5に記載の二酸化炭素の固体炭素化設備。
【請求項8】
燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収工程と、
水を電気分解して水素を生成する電解工程と、
前記二酸化炭素及び前記水素を含む処理ガスと熱媒体との熱交換により当該処理ガスを加熱する加熱工程と、
加熱された前記処理ガス中の前記二酸化炭素を逆シフト反応により一酸化炭素に還元する逆シフト反応工程と、
前記一酸化炭素を炭素に変換する固体炭素化反応工程と、
を包含し、
前記固体炭素化反応工程において発生したオフガスが前記熱媒体として利用される二酸化炭素の固体炭素化方法。
【請求項9】
燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収工程と、
前記二酸化炭素を電気分解して一酸化炭素を生成する電解工程と、
前記一酸化炭素を含む処理ガスと熱媒体との熱交換により当該処理ガスを加熱する加熱工程と、
前記処理ガス中の前記一酸化炭素を炭素に還元する固体炭素化反応工程と、
を包含し、
前記固体炭素化反応工程において発生したオフガスが前記熱媒体として利用される二酸化炭素の固体炭素化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素から固体炭素を生成する二酸化炭素の固体炭素化設備、及び二酸化炭素の固体炭素化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、廃棄物焼却処理施設やバイオマス発電施設、下水汚泥焼却処理施設等においては、二酸化炭素を含む燃焼排ガスが大量に排出されている。近年、地球温暖化を抑制し、持続可能な社会を構築するために、二酸化炭素の排出量を抑えることが重要であるとされる一方で、二酸化炭素を含む燃焼排ガスを有効活用する試みがなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、燃焼排ガス中の二酸化炭素と、有機ケミカルハイドライド法に基づく水素とを用いて逆シフト反応により、水素及び一酸化炭素の混合ガスを生成することが開示されている。
【0004】
特許文献2には、二酸化炭素とメタン及びその他の炭素源とを含む混合ガスを、プレ反応槽に導入して触媒存在下での加熱により、二酸化炭素、メタン、水素、一酸化炭素の混合ガスに変換し、その後、本反応槽に導入して触媒存在下での加熱により、二酸化炭素を水素と接触還元反応させて炭素を析出させることによって二酸化炭素を固体化することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-30653号公報
【特許文献2】特開2003-48708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2において、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する際には、加熱が必要であり、この還元反応は、高温であるほど一酸化炭素が生成する側に平衡が偏るため、高温下で還元反応を行うようにされている。このため、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する際の加熱に要する熱エネルギーが大きく、エネルギーコストが嵩むという問題がある。なお、一酸化炭素を炭素に変換(還元)する際の加熱に要する熱エネルギーも大きく、同様の問題がある。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、エネルギーコストを抑えることができる二酸化炭素の固体炭素化設備、及び二酸化炭素の固体炭素化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明に係る二酸化炭素の固体炭素化設備の特徴構成は、
燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置と、
水を電気分解して水素を生成する電解装置と、
前記二酸化炭素及び前記水素を含む処理ガスと熱媒体との熱交換により当該処理ガスを加熱する加熱器と、
加熱された前記処理ガス中の前記二酸化炭素を逆シフト反応により一酸化炭素に還元する逆シフト反応器と、
前記一酸化炭素を炭素に変換する固体炭素化反応器と、
を備え、
前記固体炭素化反応器からのオフガスが前記熱媒体として利用されることにある。
【0009】
本構成の二酸化炭素の固体炭素化設備によれば、逆シフト反応器において処理ガス中の二酸化炭素を逆シフト反応により一酸化炭素に還元するにあたり、処理ガスは、加熱器において、固体炭素化反応器からのオフガスとの熱交換により加熱される。これにより、逆シフト反応器において、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する際の加熱に要する熱エネルギーを削減することができ、エネルギーコストを抑えることができる。
【0010】
本発明に係る二酸化炭素の固体炭素化設備において、
前記固体炭素化反応器からのオフガスが前記加熱器の前段側において前記処理ガスと混合されることが好ましい。
【0011】
本構成の二酸化炭素の固体炭素化設備によれば、固体炭素化反応器からのオフガスが加熱器の前段側において処理ガスと混合される。オフガスには、固体炭素化反応器において、炭素に変換されなかった一酸化炭素を含む未反応ガスや、副次的に生産される二酸化炭素が含まれている。このような未反応ガスや副生二酸化炭素を含むオフガスを、再度、固体炭素の原料として循環利用することにより、固体炭素化の歩留まりを向上させることができるとともに、固体炭素化されることなく無駄に排出される二酸化炭素量を低減することができる。
【0012】
本発明に係る二酸化炭素の固体炭素化設備において、
前記電解装置は、前記燃焼排ガスの熱を利用して発電した電力、及び/又は再生可能エネルギーを利用して発電した電力により、水を電気分解することが好ましい。
【0013】
本構成の二酸化炭素の固体炭素化設備によれば、電解装置において水を電気分解して生成される、後段の逆シフト反応において還元に用いられる水素は、別途化石燃料を使用して発電した電力が用いられることなく、新たな二酸化炭素の排出を伴うことなく生成されるので、二酸化炭素削減に寄与することができる。
【0014】
次に、上記課題を解決するための本発明に係る二酸化炭素の固体炭素化設備の特徴構成は、
燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置と、
前記二酸化炭素を電気分解して一酸化炭素を生成する電解装置と、
前記一酸化炭素を含む処理ガスと熱媒体との熱交換により当該処理ガスを加熱する加熱器と、
加熱された前記処理ガス中の前記一酸化炭素を炭素に変換する固体炭素化反応器と、
を備え、
前記固体炭素化反応器からのオフガスが前記熱媒体として利用されることにある。
【0015】
本構成の二酸化炭素の固体炭素化設備によれば、固体炭素化反応器において処理ガス中の一酸化炭素を炭素に変換(還元)するにあたり、固体炭素化反応器に導入される処理ガスは、加熱器において、固体炭素化反応器からのオフガスとの熱交換により加熱される。これにより、固体炭素化反応器において、一酸化炭素を炭素に還元する際の加熱に要する熱エネルギーを削減することができ、エネルギーコストを抑えることができる。
【0016】
本発明に係る二酸化炭素の固体炭素化設備において、
前記電解装置は、さらに水を電気分解して水素を生成することが好ましい。
【0017】
本構成の二酸化炭素の固体炭素化設備によれば、電解装置において水の電気分解より水素が生成されるので、生成された水素による一酸化炭素の還元反応が固体炭素化反応器においてさらに行われることになり、固体炭素化を促進することができる。
【0018】
本発明に係る二酸化炭素の固体炭素化設備において、
前記固体炭素化反応器からのオフガスが前記電解装置の前段側において前記処理ガスと混合されることが好ましい。
【0019】
本構成の二酸化炭素の固体炭素化設備によれば、固体炭素化反応器からのオフガスが電解装置の前段側において処理ガスと混合される。オフガスには、固体炭素化反応器において、炭素に変換されなかった一酸化炭素を含む未反応ガスや、副次的に生産される二酸化炭素が含まれている。このような未反応ガスや副生二酸化炭素を含むオフガスを、再度、固体炭素の原料として循環利用することにより、固体炭素化の歩留まりを向上させることができるとともに、固体炭素化されることなく無駄に排出される二酸化炭素量を低減することができる。
【0020】
本発明に係る二酸化炭素の固体炭素化設備において、
前記電解装置は、前記燃焼排ガスの熱を利用して発電した電力、及び/又は再生可能エネルギーを利用して発電した電力により、二酸化炭素及び/又は水を電気分解することが好ましい。
【0021】
本構成の二酸化炭素の固体炭素化設備によれば、電解装置において二酸化炭素を電気分解して生成される一酸化炭素や、後段の還元反応で還元に用いられる水素は、別途化石燃料を使用して発電した電力が用いられることなく、新たな二酸化炭素の排出を伴うことなく生成されるので、二酸化炭素削減に寄与することができる。
【0022】
次に、上記課題を解決するための本発明に係る二酸化炭素の固体炭素化方法の特徴構成は、
燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収工程と、
水を電気分解して水素を生成する電解工程と、
前記二酸化炭素及び前記水素を含む処理ガスと熱媒体との熱交換により当該処理ガスを加熱する加熱工程と、
加熱された前記処理ガス中の前記二酸化炭素を逆シフト反応により一酸化炭素に還元する逆シフト反応工程と、
前記一酸化炭素を炭素に変換する固体炭素化反応工程と、
を包含し、
前記固体炭素化反応工程において発生したオフガスが前記熱媒体として利用されることにある。
【0023】
本構成の二酸化炭素の固体炭素化方法によれば、逆シフト反応工程において処理ガス中の二酸化炭素を逆シフト反応により一酸化炭素に還元するにあたり、処理ガスは、加熱工程において、固体炭素化反応工程で発生したオフガスとの熱交換により加熱される。これにより、逆シフト反応工程において、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する際の加熱に要する熱エネルギーを削減することができ、エネルギーコストを抑えることができる。
【0024】
また、上記課題を解決するための本発明に係る二酸化炭素の固体炭素化方法の特徴構成は、
燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収工程と、
前記二酸化炭素を電気分解して一酸化炭素を生成する電解工程と、
前記一酸化炭素を含む処理ガスと熱媒体との熱交換により当該処理ガスを加熱する加熱工程と、
前記処理ガス中の前記一酸化炭素を炭素に還元する固体炭素化反応工程と、
を包含し、
前記固体炭素化反応工程において発生したオフガスが前記熱媒体として利用されることにある。
【0025】
本構成の二酸化炭素の固体炭素化方法によれば、固体炭素化反応工程において処理ガス中の一酸化炭素を炭素に変換(還元)するにあたり、処理ガスは、加熱工程において、固体炭素化反応工程で発生したオフガスとの熱交換により加熱される。これにより、固体炭素化反応工程において、一酸化炭素を炭素に還元する際の加熱に要する熱エネルギーを削減することができ、エネルギーコストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明の第一実施形態に係る二酸化炭素の固体炭素化設備の概略システム構成を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の第二実施形態に係る二酸化炭素の固体炭素化設備の概略システム構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態では、発電設備が併設された廃棄物焼却処理施設に本発明の二酸化炭素の固体炭素化設備が適用された例について説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることは意図しない。なお、以下の説明において、排ガス供給ライン5、処理ガスライン9、オフガス導出・導入ライン31,33及び水素供給ライン41,42は、所要の配管やダクト等によって構成されるガス管路である。
【0028】
〔第一実施形態〕
<全体構成>
図1は、本発明の第一実施形態に係る二酸化炭素の固体炭素化設備1Aの概略システム構成を示すブロック図である。図1に示す二酸化炭素の固体炭素化設備1Aは、発電設備が併設された廃棄物焼却処理施設3の焼却炉から排出される燃焼排ガスが排ガス供給ライン5を介して導入され、燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置7を備えている。また、同固体炭素化設備1Aは、二酸化炭素回収装置7からの処理ガスが流れる処理ガスライン9上に配設される予熱器11、加熱器13、逆シフト反応器15及び固体炭素化反応器17を備えている。さらに、同固体炭素化設備1Aは、廃棄物焼却処理施設3における燃焼排ガスの熱を利用して発電する発電設備からの電力を供給する電力供給ライン21、及び/又は再生可能エネルギーを利用して発電する発電設備からの電力を供給する電力供給ライン23と接続される電解装置25を備えている。
【0029】
<二酸化炭素回収装置>
二酸化炭素回収装置7としては、例えば、化学吸収法、膜分離法、物理吸収法、固体吸収法等を利用した装置が挙げられる。化学吸収法による二酸化炭素回収装置7は、例えば、アミン吸収液を利用したものであって、排ガス中の二酸化炭素をアミンと化学結合(反応)させて、二酸化炭素だけを分離回収するように構成されている。膜分離法による二酸化炭素回収装置7は、分離機能を有する固体の薄膜を用い、その透過選択性を利用して排ガス中から二酸化炭素を分離回収するように構成されている。物理吸収法による二酸化炭素回収装置7は、排ガス中の二酸化炭素を液体中に溶解させることにより分離回収するように構成されている。固体吸収法による二酸化炭素回収装置7は、ゼオライトや活性炭等を物理吸着の吸着剤として用い、又はアルカリ金属やアミン類を担持した無機多孔質材料を化学吸着の吸着剤として用い、排ガス中の二酸化炭素を吸着剤に吸着させて分離回収するように構成されている。
【0030】
<予熱器>
予熱器11は、処理ガスライン9を流れる処理ガスを熱媒体との熱交換で所定温度に昇温する熱交換器を主体に構成されている。ここで用いられる熱媒体としては、通常は煙突(排気筒)から大気放出されて廃棄される燃焼排ガスの一部又は全部を用いることができる。こうして、通常は大気放出されて廃棄される排ガスの廃熱の有効利用によってエネルギーコストを低く抑えることができる。なお、本例では、通常は廃棄される燃焼排ガスは、一部又は全部が前述のように予熱器11での加熱源として利用された後、図示されない前処理設備で有害物質が除去され、その後、二酸化炭素回収装置7に送り込まれる。
【0031】
<加熱器>
加熱器13は、固体炭素化反応器17からのオフガスを導入及び導出するためのオフガス導入口及びオフガス導出口をそれぞれ有している。加熱器13のオフガス導入口は、オフガス導入ライン31を介して固体炭素化反応器17と接続されている。加熱器13のオフガス導出口は、オフガス導出ライン33を介して、処理ガスライン9における二酸化炭素回収装置7と予熱器11との間の部分に接続されている。加熱器13は、固体炭素化反応器17からのオフガスを熱媒体としてオフガス導入ライン31を介して導入し、導入したオフガスと処理ガスライン9を流れる処理ガスとの間で熱交換する熱交換器を主体に構成されている。加熱器11は、導入されるオフガスを加熱源として、処理ガスライン9を流れる処理ガスを所定温度に加熱する。
【0032】
<冷却器>
オフガス導出ライン33には、冷却器35が介設されている。冷却器35は、オフガス導出ライン33を流れるオフガスと熱媒体との間で熱交換する熱交換器を主体に構成されている。ここで、熱媒体としては、例えば、空気や冷却水等が用いられる。冷却器35は、オフガス導出ライン33を流れるオフガスを冷却し、オフガスに含まれる水分を凝縮させて凝縮水を排出する機能を有している。冷却器35によって水分が取り除かれたオフガスは、オフガス導出ライン33を介して、処理ガスライン9における二酸化炭素回収装置7と予熱器11との間の部分に導入され、処理ガスライン9を流れる処理ガスと混合される。
【0033】
<逆シフト反応器>
逆シフト反応器15は、加熱器13によって加熱された処理ガス中の二酸化炭素を水素の供給を受けて、以下の式(1)で示す逆シフト反応により、二酸化炭素と水素とから、一酸化炭素と水とを生成する。
CO + H → CO + HO ・・・(1)
【0034】
逆シフト反応器15は、上記式(1)で示す反応を促進させる触媒(例えば、銅系の金属触媒)を内部に充填した反応器であり、反応器内部において、二酸化炭素の還元、及び水素の酸化の両方を行うものである。逆シフト反応器15においては、二酸化炭素と水素とを反応器内部に通過させることにより、反応器内部で一酸化炭素と水(水蒸気)とが生成され、当該反応器から一酸化炭素と水(水蒸気)とが排出される。逆シフト反応器15の内部のガス温度は、例えば、300~1000℃であり、好ましくは450~850℃である(本例では、500℃程度)。上記のように、逆シフト反応器15に供給される処理ガスは、加熱器13によって予め加熱される。従って、逆シフト反応器15の内部において、加熱炉等を用いて触媒を加熱しなくてもよい場合があるが、必要に応じて、加熱炉等を用いて触媒を加熱する構成を採用してもよい。
【0035】
<固体炭素化反応器>
固体炭素化反応器17は、以下の式(2)で示す固体炭素化反応により、逆シフト反応器15によって生成された一酸化炭素を炭素に変換するとともに、副次的に二酸化炭素を生成する。
2CO → C + CO ・・・(2)
【0036】
固体炭素化反応器17は、上記(2)の反応を促進させる触媒(例えば、鉄系の金属触媒)を内部に充填した反応器であり、反応器内部で一酸化炭素の還元及び酸化の両方を行うものである。固体炭素化反応器17においては、一酸化炭素を反応器内部に通過させることにより、反応器内部で炭素が触媒表面に析出される。固体炭素化反応器17の内部のガス温度は、例えば、300~1000℃であり、好ましくは450~850℃である(本例では、500℃程度)。上記のように、固体炭素化反応器17に供給される処理ガスは、逆シフト反応器15に導入される前に加熱器13によって予め加熱される。従って、固体炭素化反応器17の内部において、加熱炉等を用いて触媒を加熱しなくてもよい場合があるが、必要に応じて、加熱炉等を用いて触媒を加熱する構成を採用してもよい。
【0037】
<電解装置>
電解装置25は、電力供給ライン21,23を介して供給される電力により、以下の式(3)で示すように、水を電気分解して水素を生成する。
O → H + 1/2O ・・・(3)
【0038】
生成された水素は、第一水素供給ライン41を介して水素貯留タンク40に供給されて一旦貯留される。水素貯留タンク40には、第二水素供給ライン42の一端側が接続されている。第二水素供給ライン42の他端側は、処理ガスライン9における二酸化炭素回収装置7と予熱器11との間の部分で、且つオフガス導出ライン33が接続される位置よりも処理ガス流れ上流側に接続されている。なお、電解装置25では、水の電気分解で水素を生成するに伴い、副次的に酸素が生成される。この副生酸素は、一旦貯留された後、有効利用される。
【0039】
二酸化炭素の固体炭素化設備1Aにおいて、処理ガスライン9を流れる処理ガスは、固体炭素化反応器17からのオフガスとの熱交換で加熱器13により加熱される。これにより、逆シフト反応器17において二酸化炭素を一酸化炭素に還元する際の加熱に要する熱エネルギーを削減することができ、エネルギーコストを抑えることができる。
【0040】
二酸化炭素の固体炭素化設備1Aにおいて、未反応ガスや副生二酸化炭素を含むオフガスは、加熱器13及び予熱器11の前段側において処理ガスライン9を流れる処理ガスと混合される。こうして、未反応ガスや副生二酸化炭素を含むオフガスを、再度、固体炭素の原料として循環利用することにより、固体炭素化の歩留まりを向上させることができるとともに、固体炭素化されることなく無駄に排出される二酸化炭素量を低減することができる。
【0041】
二酸化炭素の固体炭素化設備1Aにおいて、電解装置25で水を電気分解して生成される、逆シフト反応において還元に用いられる水素は、電力供給ライン21,23を介して供給される電力、すなわち燃焼排ガスの熱を利用して発電した電力、及び/又は再生可能エネルギーを利用して発電した電力を用いて生成される。こうして、逆シフト反応での還元用の水素は、別途化石燃料を使用して発電した電力が用いられることなく、新たな二酸化炭素の排出を伴うことなく生成される。従って、二酸化炭素削減に寄与することができる。
【0042】
以上に述べたように構成される二酸化炭素の固体炭素化設備1Aにおいては、二酸化炭素回収工程、電解工程、予熱工程、加熱工程、逆シフト反応工程、固体炭素化反応工程及び冷却工程の各工程が行われる。
【0043】
<二酸化炭素回収工程>
二酸化炭素回収工程は、廃棄物焼却処理施設3の焼却炉から排出されて、除塵処理及び有害物質除去処理を経た燃焼排ガスを、排ガス供給ライン5を介して二酸化炭素回収装置7に導入し、例えば、アミン系の吸収液が収容された吸収塔に導入して当該吸収液と接触させ、燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素を吸収した吸収液を吸収塔から再生塔へと送り、再生塔で吸収液から二酸化炭素を放散させて回収することによって行われる。二酸化炭素回収装置7からの二酸化炭素を含む処理ガスは、処理ガスライン9を介して予熱器11に導入される。
【0044】
<電解工程>
電解工程は、電力供給ライン21,23を介して供給される電力により、電解装置25において水を電気分解することにより行われる。こうして、後段の逆シフト反応工程において還元に用いられる水素は、別途化石燃料を使用して発電した電力が用いられることなく、新たな二酸化炭素の排出を伴うことなく生成されるので、二酸化炭素削減に寄与することができる。
【0045】
電解工程において、水の電気分解によって生成された水素は、第一水素供給ライン41を介して水素貯留タンク40に供給されて一旦貯留される。水素貯留タンク40に貯留された水素は、第二水素供給ライン42を介して、処理ガスライン9における二酸化炭素回収装置7と予熱器11との間の部分で、且つオフガス導出ライン33が接続される位置よりも処理ガス流れ上流側に供給されて、二酸化炭素回収装置7からの二酸化炭素を含む処理ガスと混合される。そして、二酸化炭素及び水素、並びにオフガスを含む処理ガスは、予熱器11に導入される。
【0046】
<予熱工程>
予熱工程は、処理ガスライン9を流れる、二酸化炭素及び水素、並びにオフガスを含む処理ガスが予熱器11に導入されるとともに、加熱源として機能する熱媒体が予熱器11に導入され、導入された処理ガスと熱媒体(例えば、燃焼排ガス)との間で熱交換されることによって行われる。予熱器11において処理ガスは、所定温度に昇温される。
【0047】
<加熱工程>
加熱工程は、予熱器11において所定温度に昇温された、二酸化炭素及び水素、並びにオフガスを含む処理ガスが加熱器13に導入されるとともに、固体炭素化反応器17からオフガス導入ライン31を介してオフガスが加熱器13に導入され、導入された処理ガスとオフガスとの間で熱交換されることによって行われる。加熱器13において処理ガスは、所定温度に加熱される。処理ガスは、加熱工程において、固体炭素化反応工程で発生したオフガスとの熱交換により加熱されるので、逆シフト反応工程において、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する際の加熱に要する熱エネルギーを削減することができ、エネルギーコストを抑えることができる。
【0048】
<逆シフト反応工程>
逆シフト反応工程は、加熱器13によって所定温度に加熱された、二酸化炭素及び水素、並びにオフガスを含む処理ガスが逆シフト反応器15に導入され、反応器内部での二酸化炭素の還元及び水素の酸化による前記式(1)で示す逆シフト反応が進むことによって行われる。逆シフト反応工程においては、一酸化炭素と水(水蒸気)とが生成される。
【0049】
<固体炭素化反応工程>
固体炭素化反応工程は、逆シフト反応工程において生成された一酸化炭素を含む処理ガスが固体炭素化反応器17に導入され、反応器内部での一酸化炭素の還元及び酸化による前記式(2)で示す反応が進むことによって行われる。固体炭素化反応工程においては、触媒の作用によって一酸化炭素が炭素に変換され、固体炭素化反応器17の内部で炭素が触媒表面に析出される。析出された炭素は、固体炭素として回収される。
【0050】
<冷却工程>
冷却工程は、オフガス導出ライン33を流れるオフガスが冷却器35に導入されるとともに、冷熱源として機能する熱媒体が冷却器35に導入され、導入されたオフガスと熱媒体との間で熱交換されることによって行われる。冷却器35において処理ガスは、所定温度に冷却される。この際、オフガスに含まれる水分の凝縮によって生じた凝縮水は、排出される。冷却器35によって水分が取り除かれたオフガスは、オフガス導出ライン33を介して、処理ガスライン9における二酸化炭素回収装置7と予熱器11との間の部分に導入され、処理ガスライン9を流れる処理ガスと混合される。このように、未反応ガスや副生二酸化炭素を含むオフガスは、再度、固体炭素の原料として循環利用される。こうして、固体炭素化の歩留まりを向上させることができるとともに、固体炭素化されることなく無駄に排出される二酸化炭素量を低減することができる。
【0051】
〔第二実施形態〕
<全体構成>
図2は、本発明の第二実施形態に係る二酸化炭素の固体炭素化設備1Bの概略システム構成を示すブロック図である。図2に示す二酸化炭素の固体炭素化設備1Bは、廃棄物焼却処理施設3の焼却炉から排出される燃焼排ガスが排ガス供給ライン5を介して導入され、燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置7を備えている。また、同固体炭素化設備1Bは、二酸化炭素回収装置7からの処理ガスが流れる処理ガスライン9上に配設される電解装置50、予熱器11、加熱器13及び固体炭素化反応器17を備えている。なお、第二実施形態において、第一実施形態と同一又は同様のものについては、図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略することとし、以下においては、第二実施形態に特有の部分を中心に説明することとする。
【0052】
<電解装置>
電解装置50は、電力供給ライン21,23と接続されている。電解装置50は、二酸化炭素回収装置7からの二酸化炭素を含む処理ガスを、処理ガスライン9を介して導入し、導入した処理ガスに含まれる二酸化炭素を電気分解して一酸化炭素を生成する。本実施形態の電解装置50としては、例えば、固体高分子形の二酸化炭素電解セルを備え、常温常圧で二酸化炭素を電気分解して一酸化炭素を生成するように構成されるものを用いることができる。ここで、二酸化炭素電解セルは、ガス拡散層と触媒層とを有するカソード(陰極)、固体高分子隔膜、及びアノード(陽極)を備えて構成されている。二酸化炭素電解セルにおいては、二酸化炭素を含む処理ガスと電解液とを供給しながら外部電圧を印加することにより、カソード側で二酸化炭素の還元反応が進行し、一酸化炭素と水酸化物イオンとが生成される。
【0053】
電解装置50においては、以下の式(4)及び(5)で示すように、二酸化炭素の電気分解と同時に水の電気分解も行われる。
CO → CO + 1/2O ・・・(4)
O → H + 1/2O ・・・(5)
【0054】
電解装置50から処理ガスライン9を介して予熱器11に導入される処理ガスには、電解装置50において二酸化炭素の電気分解により生成された一酸化炭素と、電解装置50において水の電気分解により生成された水素とが含まれる。なお、電解装置50では、二酸化炭素の電気分解、及び水の電気分解に伴い、副次的に酸素が生成されるが、この副生酸素は一旦貯留された後、有効利用される。
【0055】
加熱器13におけるオフガス導出口は、オフガス導出ライン33を介して、処理ガスライン9における二酸化炭素回収装置7と電解装置50との間の部分に接続されている。
【0056】
オフガス導出ライン33には、冷却器51が介設されている。冷却器51は、第一実施形態における冷却器35と基本的に同構造であるが、オフガスに含まれる水分の凝縮により生じた凝縮水を、オフガス導出ライン33を介してドレンするように構成されている。冷却器51によって冷却されたオフガスは、オフガス導出ライン33を介して、処理ガスライン9における二酸化炭素回収装置7と電解装置50との間の部分に導入され、処理ガスライン9を流れる処理ガスと混合される。なお、冷却器51によるオフガスの冷却によって生じた凝縮水は、オフガス導出ライン33を介して処理ガスライン9に供給され、処理ガスの流れに乗せて電解装置50に供給されて電気分解される。
【0057】
固体炭素化反応器17においては、上記式(2)で示す反応により、一酸化炭素が炭素に変換されるとともに、副次的に二酸化炭素が生成され、これと同時に、電解装置50において生成された水素の供給を受けて、以下の式(6)で示す反応により、一酸化炭素が炭素に変換されるとともに、副次的に水が生成される。
CO + H → C + HO ・・・(6)
【0058】
二酸化炭素の固体炭素化設備1Bにおいて、固体炭素化反応器17に導入される処理ガスは、加熱器13において固体炭素化反応器17からのオフガスとの熱交換により加熱される。これにより、固体炭素化反応器17において一酸化炭素を炭素に変換(還元)する際の加熱に要する熱エネルギーを削減することができ、エネルギーコストを抑えることができる。
【0059】
二酸化炭素の固体炭素化設備1Bにおいては、電解装置50において水の電気分解より水素が生成されるので、生成された水素による一酸化炭素の還元反応が固体炭素化反応器17においてさらに行われることになり、固体炭素化を促進することができる。
【0060】
二酸化炭素の固体炭素化設備1Bにおいて、未反応ガスや副生二酸化炭素を含むオフガスは、電解装置50の前段側において処理ガスと混合される。こうして、未反応ガスや副生二酸化炭素を含むオフガスを、再度、固体炭素の原料として循環利用することにより、固体炭素化の歩留まりを向上させることができるとともに、固体炭素化されることなく無駄に排出される二酸化炭素量を低減することができる。
【0061】
二酸化炭素の固体炭素化設備1Bにおいて、電解装置50において二酸化炭素を電気分解して生成される一酸化炭素や、後段の還元反応で還元に用いられる水素は、別途化石燃料を使用して発電した電力が用いられることなく、新たな二酸化炭素の排出を伴うことなく生成されるので、二酸化炭素削減に寄与することができる。
【0062】
以上に述べたように構成される二酸化炭素の固体炭素化設備1Bにおいては、二酸化炭素回収工程、電解工程、予熱工程、加熱工程、固体炭素化反応工程及び冷却工程の各工程が行われる。
【0063】
<二酸化炭素回収工程>
二酸化炭素回収工程は、廃棄物焼却処理施設3の焼却炉から排出されて、除塵処理及び有害物質除去処理を経た燃焼排ガスを、排ガス供給ライン5を介して二酸化炭素回収装置7に導入し、例えば、アミン系の吸収液が収容された吸収塔に導入して当該吸収液と接触させ、燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素を吸収した吸収液を吸収塔から再生塔へと送り、再生塔で吸収液から二酸化炭素を放散させて回収することによって行われる。二酸化炭素回収装置7からの二酸化炭素、及びオフガスを含む処理ガスは、処理ガスライン9を介して電解装置50に導入される。
【0064】
<電解工程>
電解工程は、電力供給ライン21,23を介して供給される電力により、電解装置50において二酸化炭素及び水を電気分解することにより行われる。こうして、後段の固体炭素化反応工程において還元に用いられる水素は、別途化石燃料を使用して発電した電力が用いられることなく、新たな二酸化炭素の排出を伴うことなく生成されるので、二酸化炭素削減に寄与することができる。二酸化炭素及び水の電気分解によって生成された一酸化炭素及び水素を含む処理ガスは、予熱器11に導入される。
【0065】
<予熱工程>
予熱工程は、処理ガスライン9を流れる、一酸化炭素及び水素を含む処理ガスが予熱器11に導入されるとともに、加熱源として機能する熱媒体が予熱器11に導入され、導入された処理ガスと熱媒体との間で熱交換されることによって行われる。予熱器11において処理ガスは、所定温度に昇温される。
【0066】
<加熱工程>
加熱工程は、予熱器11において所定温度に昇温された、一酸化炭素及び水素を含む処理ガスが加熱器13に導入されるとともに、固体炭素化反応器17からオフガス導入ライン31を介してオフガスが加熱器13に導入され、導入された処理ガスとオフガスとの間で熱交換されることによって行われる。処理ガスは、加熱器13において、所定温度に加熱される。処理ガスは、加熱工程において、固体炭素化反応工程で発生したオフガスとの熱交換により加熱される。これにより、固体炭素化反応工程において一酸化炭素を炭素に還元する際の加熱に要する熱エネルギーを削減することができ、エネルギーコストを抑えることができる。
【0067】
<固体炭素化反応工程>
固体炭素化反応工程は、加熱器13によって所定温度に加熱された、一酸化炭素及び水素を含む処理ガスが固体炭素化反応器17に導入され、反応器内部での一酸化炭素の還元及び酸化による上記式(2)で示す反応が進むことによって行われる。固体炭素化反応工程においては、触媒の作用によって一酸化炭素が炭素に変換され、固体炭素化反応器17の内部で炭素が触媒表面に析出される。また、電解装置50において生成された水素の供給を受けて、上記式(6)で示す反応により、一酸化炭素が炭素に変換され、固体炭素化反応器17の内部で炭素が触媒表面に析出される。固体炭素化反応器17において析出された炭素は、固体炭素として回収される。
【0068】
<冷却工程>
冷却工程は、オフガス導出ライン33を流れるオフガスが冷却器51に導入されるとともに、冷熱源として機能する熱媒体が導入され、導入されたオフガスと熱媒体との間で熱交換されることによって行われる。冷却器51においてオフガスは、所定温度に冷却される。冷却されたオフガスは、オフガス導出ライン33を介して、処理ガスライン9における二酸化炭素回収装置7と電解装置50との間の部分に導入され、処理ガスライン9を流れる、二酸化炭素を含む処理ガスと混合される。このように、未反応ガスや副生二酸化炭素を含むオフガスは、再度、固体炭素の原料として循環利用される。こうして、固体炭素化の歩留まりを向上させることができるとともに、固体炭素化されることなく無駄に排出される二酸化炭素量を低減することができる。
【0069】
冷却工程において、冷却器51によるオフガスの冷却の際には、オフガスに含まれる水分の凝縮によって凝縮水が生じるが、この凝縮水は、冷却器51によって冷却されたオフガスと共に、オフガス導出ライン33を介して、処理ガスライン9における二酸化炭素回収装置7と電解装置50との間の部分に導入され、処理ガスの流れに乗せて電解装置50に供給されて電気分解される。
【0070】
以上、本発明の二酸化炭素の固体炭素化設備、及び二酸化炭素の固体炭素化方法について、複数の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、各実施形態に記載した構成を適宜組み合わせる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の二酸化炭素の固体炭素化設備、及び二酸化炭素の固体炭素化方法は、例えば、火力発電施設、製鉄所、石油精製施設等において、化石燃料の燃焼によって発生した排ガスに含まれる二酸化炭素、水素製造施設において、オフガスの燃焼によって発生した排ガスに含まれる二酸化炭素、一般廃棄物焼却施設において、廃棄物の燃焼によって発生した排ガスに含まれる二酸化炭素、バイオマス発電施設において、バイオマス燃料の燃焼によって発生した排ガスに含まれる二酸化炭素から固体炭素を生成する用途において利用可能である。
【符号の説明】
【0072】
1A,1B 二酸化炭素の固体炭素化設備
7 二酸化炭素回収装置
13 加熱器
15 逆シフト反応器
17 固体炭素化反応器
25,50 電解装置
図1
図2