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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054925
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】椅子
(51)【国際特許分類】
   A61G 5/14 20060101AFI20240411BHJP
   A47C 7/02 20060101ALI20240411BHJP
   A47C 7/54 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
A61G5/14 711
A47C7/02 D
A47C7/54 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161393
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】390039985
【氏名又は名称】パラマウントベッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】堀澤 里奈
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 友毅
(57)【要約】
【課題】ユーザにとって使い勝手のよい椅子に関する。
【解決手段】駆動機構を備える椅子であり、前記駆動機構は、伸縮可能な駆動部と、前記駆動部と回動可能に連結されたサブ座部と、前記サブ座部と回動可能に連結されたメイン座部と、を備え、前記駆動部が伸縮することで、前記メイン座部が昇降し、前記サブ座部が回動し、前記メイン座部が最も上がった状態で、前記メイン座部の前端部は前記サブ座部の前端部より前方に出ている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動機構を備える椅子であって、
前記駆動機構は、
伸縮可能な駆動部と、
前記駆動部と回動可能に連結されたサブ座部と、
前記サブ座部と回動可能に連結されたメイン座部と、
を備え、
前記駆動部が伸縮することで、前記メイン座部が昇降し、前記サブ座部が回動し、
前記メイン座部が最も上がった状態で、前記メイン座部の前端部は前記サブ座部の前端部より前方に出ている椅子。
【請求項2】
前記メイン座部が最も下がった状態で、前記メイン座部の前側は前記メイン座部の後側より上方である請求項1に記載の椅子。
【請求項3】
アームレストを更に備え、
前記メイン座部が最も上がった状態で、前記アームレストの前端部は前記メイン座部の前端部より前方に出ている
請求項1に記載の椅子。
【請求項4】
前記駆動部は、連結部材と連結されており、
前記駆動部は、
一端が前記サブ座部と回動可能に連結され、
他端が前記連結部材と回動可能に連結される
請求項1に記載の椅子。
【請求項5】
前記メイン座部は、座面リンクと、前記座面リンクに装着されているメイン座面を備え、
前記サブ座部は、フロントリンクと、前記フロントリンクに装着されているサブ座面を備えている請求項1に記載の椅子。
【請求項6】
第1フレームを更に備え、
前記駆動機構は、
ベースリンクと、
前記ベースリンクと回動可能に結合されたバックリンクをさらに備え、
前記ベースリンクは、一端が前記フロントリンクの他端と、他端が前記バックリンクの一端と回動可能に連結され、
前記バックリンクは、他端が前記座面リンクの他端と回動可能に連結され、
前記ベースリンクは前記第1フレームに固定される
請求項5に記載の椅子。
【請求項7】
第2フレームを更に備え、
右側面部と、左側面部と、背部とを備え、
前記右側面部と、前記左側面部とはそれぞれアームレストを備え、
前記右側面部と前記左側面部は、前記第1フレームと、第2フレームとで連結され、
前記背部は、前記右側面部と前記左側面部の間に連結され、
前記駆動部は、前記第2フレームと回動可能に連結される
ことを特徴とする請求項6に記載の椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示されているように、座部の高さが調整可能な椅子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-300611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、例えば、ユーザにとって使い勝手のよい椅子に関する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の椅子は、駆動機構を備える椅子であって、前記駆動機構は伸縮可能な駆動部と、前記駆動部と回動可能に連結されたサブ座部と、前記サブ座部と回動可能に連結されたメイン座部と、を備え前記駆動部が伸縮することで、前記メイン座部が昇降し、前記サブ座部が回動し、前記メイン座部が最も上がった状態で、前記メイン座部の前端部は前記サブ座部の前端部より前方に出ている。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、例えば、ユーザにとって使い勝手のよい椅子に関する技術を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態における椅子(座面が低い状態)を説明するための外観斜視図である。
図2】本実施形態における椅子(座面が低い状態)を説明するための側面視断面図である。
図3】本実施形態における椅子(座面が高い状態)を説明するための外観斜視図である。
図4】本実施形態における椅子(座面が高い状態)を説明するための側面視断面図である。
図5】本実施形態におけるリンク機構の状態の模式図である。
図6】本実施形態における操作部の状態を示す図である。
図7】本実施形態における操作部の状態を示す図である。
図8】本実施形態における操作部の状態を示す図である。
図9】本実施形態における操作部の状態を示す図である。
図10】本実施形態における椅子の制御装置の機能構成である。
図11】本実施形態における第1実施例の動作を説明するための図である。
図12】本実施形態における第2実施例の動作を説明するための図である。
図13】本実施形態における第3実施例の動作を説明するための図である。
図14】本実施形態における第4実施例の動作を説明するための図である。
図15】本実施形態における椅子の他の形状を示す図である。
図16】本実施形態における椅子の他の形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。なお、以下に示す実施形態は、本開示を提供した一つの実施形態であり、以下の記載に基づいて本開示の内容が限定して解釈されるものではない。
【0009】
一般的に、座面の高さが調整可能な椅子が知られている。例えば、特開2000-300611号公報に開示されている椅子の場合、前後に分かれた2つの座面のうち、後側の座面が上方向に電動動作するとき、前側の座面(サブ座面)が後側の座面(メイン座面)よりも前方に出てしまっている。ユーザがこの椅子を利用すると、立ち上がりに利用者の脹脛等に前側の座面(サブ座面)が接触してしまう。ユーザは、前側の座面(サブ画面)が接触することで、十分に脚を引き込めず転倒のリスクが生じてしまう。
【0010】
また、上述した文献に開示された椅子では、前後に分かれた座面の上昇する後側の座面の長さも短く、座面の切れ目がユーザの大腿部裏に接触してしまい、不快感を与えてしまう。
【0011】
このような問題点を踏まえて、ユーザの立ち上がり動作時に、十分に脚が引き込むことができ、かつ、着座時に安楽に座るための広さを確保できる椅子が求められた。
【0012】
また、一般的は椅子では、立位時の座面が後側から前側にかけて斜めになっていることから、ユーザの重心が椅子の前側に移動しやすく、転倒のリスクが生じてしまった。
【0013】
このような問題点を踏まえて、座面を水平に昇降させることで、ユーザに無理な重心移動なしで立位を促す機構が求められていた。
【0014】
このような一般的な課題にもとづき、以下の本開示の椅子では、1又は複数の課題をそれぞれ解決する技術を提供するものである。
【0015】
[1.椅子の構成及び動作]
まず、本開示の椅子1の構造及び動作の仕組みについて図を参照して説明する。椅子1は、例えば、駆動機構を備える立ち上がり補助椅子である。図1図2は椅子1の座面51が下がっている状態を示している。また、図3図4は、椅子1の座面51が上がっている状態を示している。
【0016】
ここで、本明細書において、椅子1の座面の高さを椅子1の高さという。例えば、図1図2は、メイン座面52(メイン座部42)は最も下がっている状態であり、床面からメイン座面52までの高さが椅子の高さとなる。このときメイン座部42の変位(最低位置からの上昇幅)は0cmとする。
【0017】
また、図3図4は、メイン座面52(メイン座部42)が最も上がっている状態である。このとき、メイン座部42の変位は、最大となる。なお、このとき、メイン座面52の上端は、アームレスト60の下端より下に位置することが好ましい。
【0018】
また、椅子1が図1、2の状態から、図3、4の状態に遷移すること、すなわち、メイン座面52(メイン座部42)が高くなることを座面の上昇や、椅子1の座面を高くすると表すことがある。また、逆に椅子1が図3、4の状態から、図1、2の状態に遷移することを座面の下降や、椅子1の座面を低くすると表すことがある。
【0019】
また、椅子1の前方側(F方向)は、椅子1を正面視したときの手前側である。また、椅子1の後方側(B方向)は、椅子1を正面視したときの奥側である。また、椅子1を正面視したときの右側を椅子1の右側(R方向)、正面視したときの左側を椅子1の左側(L方向)とする。
【0020】
[1.1 構成]
図1(a)、図3(a)は、椅子1の座面51(メイン座面52、サブ座面54)を外した状態の斜視図である。また、更に図1(b)、図3(b)は、左側の部品を描いていない模式図である。また、図2図4は、椅子1を側面視したときの模式的な断面図である。
【0021】
図1(a)に基づいて、椅子1の構成を説明する。椅子1は、背もたれ50と、座面51とを有している。座面51は、ユーザが着座するメイン座面52と、ユーザの脚(例えば、脹脛)に接することがあるサブ座面54とに分かれている。
【0022】
また、ユーザの持ち手となる一対のアームレスト60と、椅子1の支えるために、前後左右に脚部61、62を有している。なお、椅子1では、前側の脚部61は略直線状に対して、後側の脚部62は、中央より床面よりにくびれを有しており、側面視のくの字状となっている。なお、脚部61、脚部62の形状は他の形状でもよく、例えば、脚部62略直線状であってもよい。また、脚部61、脚部62は、例えば円弧を描くような曲線状の形状であってもよい。
【0023】
ここで、脚部61、脚部62との間に架け渡されたフレーム63を有している。本実施形態ではフレーム63は1つであるが、複数有していてもよい。
【0024】
また、アームレスト60、脚部61、脚部62、フレーム63との間に形成される開口部を塞ぐようにパネル64を設けてもよい。また、アームレスト60、脚部61、脚部62、フレーム63、パネル64を組み立てることで、1つの側面部品65として構成してもよい。
【0025】
そして、左右一対の側面部品65を連結するように、複数のフレームを有している。椅子1は、後ろ側にある後部フレーム72と、前側にある前部フレーム73とにより、左右一対の側面部品65が連結されている。例えば、前部フレーム73は、左右の脚部61を架け渡すように、脚部61の中央より下側に設けられている。また、例えば、後部フレーム72は、左右の脚部62を架け渡すように、脚部62の下端近傍に設けられている。な、前部フレーム73、後部フレーム72の位置は一例であり、他の位置であってもよいし、複数本であってもよい。
【0026】
また、左右一対の側面部品65の間の背もたれ50は、背部として2つの側面部品を連結してもよい。すなわち、左側面部品と、右側面部品とは、背もたれ50(背部)、1又は複数のフレーム(第1フレームとして基部フレーム71、第2フレームとして後部フレーム72、第3フレームとして前部フレーム73)で連結可能となっている。
【0027】
また、椅子1は、左右一対のフレーム63を連結するように、基部フレーム71を設けている。基部フレーム71は、後述するリンク機構及び座面51を支持するものである。本実施形態の基部フレーム71は、リンク機構が設けられている。また、ユーザが着座するメイン座面52は、駆動機構10と、支持部材75により支持されている。
【0028】
ここで、駆動機構10の詳細について、図2図4を参照して説明する。図2は、駆動機構10により座面が下降している状態(メイン座面52が最も低い状態)を示している。また、図4は、駆動機構10により座面が上昇している状態(メイン座面52が最も高い状態)を示している。
【0029】
駆動機構10は、昇降機構であるリンク機構と、駆動装置とを有している。具体的には、リンク機構は、平行リンク(四節リンク)であり、第1リンクとしてベースリンク11と、第2リンクとしてバックリンク13と、第3リンクとして座面リンク15と、第4リンクとしてフロントリンク17とを有している。
【0030】
ベースリンク11は、基部フレーム71に固定されている。ベースリンク11は、例えば、ネジを利用して基部フレーム71に固定されてもよいし、溶接により固定されてもよい。また、ベースリンク11は、基部フレーム71と一体に構成されてもよい。また、ベースリンク11は、更に前部フレーム73に固定されてもよい。この場合、ベースリンク11は、前側で前部フレーム73に固定され、後側で基部フレーム71に固定される。
【0031】
また、座面リンク15は、上部に座面51を構成するメイン座面52を固定している。座面リンク15と、メイン座面52とを併せてメイン座部42を構成する。また、フロントリンク17は、一端側(前側)寄りに座面51を構成するサブ座面54を固定している。フロントリンク17と、サブ座面54とを併せてサブ座部44を構成する。
【0032】
そして、リンク機構を構成する各リンクは、連結部によって回動可能にそれぞれ連結されている。ここで、本実施形態のリンク機構は四節リンク(平行リンク)を構成している。
【0033】
ベースリンク11は、一端側(前側)にある連結部10aにより、フロントリンク17の一端側(前側)と回動可能に連結されている。また、ベースリンク11は、他端側(後側)にある連結部10bにより、バックリンク13の一端側(前側)と回動可能に連結されている。
【0034】
バックリンク13は、他端側(後側)にある連結部10cにより、座面リンク15の他端側(後側)と回動可能に連結されている。また、バックリンク13は、ベースリンク11との干渉を避けるために、一端側(前側)の下に切り欠け部を有している。メイン座部42が下降すると、バックリンク13は、フロントリンク17と連動して回動する。そして、フロントリンク17が下端に位置し、ベースリンク11と重なった後は、バックリンク13の他端側(連結部10cのある側)だけが下方向に回動する。このとき、バックリンク13は、ベースリンク11や、基部フレーム71と干渉しないように、切り欠け部を有している。
【0035】
座面リンク15は、一端側(前側)にある連結部10dにより、フロントリンク17の他端側(後側)と回動可能に連結されている。座面リンク15は、上に固定されるメイン座面52を固定し、メイン座部42として回動する。例えば、メイン座部42は、メイン座部42を床面と平行状態になるよう維持しつつ、側面視で円弧状に回動する。すなわち、メイン座部42の高さが高くなると、併せてメイン座部42は後側(ユーザの背側)から前側(ユーザの足側)に出るように移動する。椅子1のメイン座部42の動きにより、ユーザの立ち上がりを補助することが可能となる。
【0036】
フロントリンク17は、更に他端側寄りにある連結部10eにより、アクチュエータ30のロッド32と回動可能に連結されている。また、フロントリンク17は、フロントリンク17の一端側(前側)である連結部10aの近傍にサブ座面54を固定し、サブ座部44として回動する。
【0037】
また、駆動装置は、一例としてアクチュエータ30により構成される。アクチュエータ30は、ロッド32が進出、退入することにより、伸縮可能に構成されている。
【0038】
また、アクチュエータ30の一端側は、連結部材34を介して後部フレーム72に回動可能に設けられている。また、アクチュエータ30の他端側は、ロッド32が進出・退入可能となっている。そして、ロッド32の一端側(先端)は、フロントリンク17の他端側近傍に設けられた連結部10eと連結されている。
【0039】
なお、連結部材34が連結される後部フレーム72は、脚部62と一体として形成されてもよい。後部フレーム72と、脚部62とが一体となることで、アクチュエータ30の反力にも耐えられるようになる。脚部62を後述する図16(c)(d)のような円弧を描くような曲線状の形状であった場合、脚部62とフレーム63が一体で成型できる可能性があり、その場合、耐えられるアクチュエータ30の推力がより大きくすることができる。
【0040】
また、駆動機構10を動作させるための操作装置70は、アームレスト60の下に設けることで実現してもよい。例えば、操作装置70は、操作レバーで構成されてもよい。
【0041】
図6は、アームレスト60の下に設けた操作装置70の状態を示す拡大図である。例えば、操作装置70は、操作レバー76を設けている。通常の操作レバー76の位置が中央にあるとき(図6(b))は、駆動機構10は停止している。すなわち、椅子1の動作は停止しており、メイン座部42は停止している。
【0042】
ユーザが操作レバー76を上に持ち上げると、椅子1の高さ(メイン座部42)が上昇する動作をしてもよい(図6(a))。また、ユーザが操作レバー76を下に押し下げると、椅子1の高さ(メイン座部42)が下降する動作をしてもよい(図6(c))。また、操作装置70は、停止ボタンを設けてもよい。例えば、椅子1が動作しているときに、停止ボタンを押すと、椅子1の動作(上昇動作、下降動作)が停止するとしてもよい。
【0043】
また、図6の操作装置70は、レバー操作で説明したが、例えば操作用の操作ボタン77で実現してもよい。図7は操作ボタン77を利用した操作装置70Aを示す一例である。図7(a)は操作装置70Aの正面図、図7(b)は操作装置70Aの底面図、図7(c)は操作装置70Aの側面図(右側面図)、図7(d)は操作装置70Dの斜視図を示している。
【0044】
例えば、操作装置70Aは、第1操作ボタン77A、第2操作ボタン77Bを有している。例えば、第1操作ボタン77Aを上昇ボタン(例えば、図6(a)の操作を行うボタン)、第2操作ボタン77Bを下降ボタン(例えば、図6(c)の操作を行うボタン)と割り当ててもよい。ユーザが、操作ボタン77を押している間だけ椅子の高さ(メイン座部42の高さ)が変化するとしてもよい。ユーザが操作ボタン77を一度押すと椅子の高さ(メイン座部42の高さ)が変化し、ユーザがもう一度操作ボタン77を押すと停止するとしてもよい。
【0045】
また、操作装置70(70A)は、操作レバー76や、操作ボタン77が、椅子1の正面側に向くように配置してもよいし、ユーザ側(椅子1の内側)に向くように配置してもよい。
【0046】
図8は、例えば操作装置70Aを椅子1の正面側(アームレスト60の長手方向に沿った方向)に配置している。図8(a)は、椅子1全体を示した図である。また、図8(b)は、操作装置70Aの部分を正面側から見た拡大図である。図8(c)は、操作装置70Aの部分を側面側からみた拡大図である。
【0047】
このとき、操作ボタン77は、椅子1の正面側に配置される。このとき、例えば、ユーザがアームレスト60に肘をかけたとき、アームレスト60の下側に操作ボタン77が位置するように操作装置70Aが配置されている。
【0048】
図9は、例えば操作装置70Aのうち、操作ボタン77が椅子1の内側(アームレスト60の短手方向に沿った方向)に向くように配置している。図9(a)は、椅子1全体を示した図である。また、図9(b)は、操作装置70Aの部分を正面側から見た拡大図である。図9(c)は、操作装置70Aの部分を側面側から(ユーザが着座する方向から)見た拡大図である。
【0049】
このとき、操作ボタン77は、椅子1の内側に配置される。例えば、図9(a)は、椅子1の右側(ユーザが着座したときの左手側)のアームレスト60の下部に操作装置70Aが設けられている。そして、ユーザが着座したとき、ユーザ側に操作ボタン77が向く位置に操作装置70Aが配置されている。
【0050】
また、操作装置70は、別の場所に設けられてもよい。例えば、操作装置70は、パネル64に操作ボタンを設けて実現してもよい。また、操作装置70は、操作リモコンといった異なる装置であってもよいし、無線通信で接続されたスマートフォンで実現してもよい。
【0051】
また、アームレスト60は、ユーザが持ちやすいように先端をテーパー形状としてもよい。
【0052】
なお、駆動機構10は、一例として駆動装置(アクチュエータ30)と、リンク機構を利用してメイン座部42を昇降可能にする例を説明した。しかし、駆動機構10は、メイン座部42を昇降可能な機構であれば、他の機構や装置であってもよい。例えば、駆動機構10は、ガススプリングを利用したり、エアー式昇降装置を利用したりしてもよい。また、駆動装置だけを、アクチュエータ30の代わりに、ガススプリングを利用したりエアー式昇降装置を利用したりしてもよい。
【0053】
[1.2 動作]
椅子1の動作の概要について説明する。まず、椅子1は、メイン座面52(メイン座部42)が一番低いとき、すなわち駆動機構10により座面(メイン座面52)が下がっている状態を図1図2を参照して説明する。
【0054】
メイン座面52が下がっている状態のとき、アクチュエータ30のロッド32の進出量は少なくなっており、駆動装置全体の長さは短くなっている。このとき、ベースリンク11に対して、バックリンク13及び座面リンク15は、椅子1の後側が低くなる状態となる。
【0055】
図5(a)は、ベースリンク11と、バックリンク13と、連結部との関係を模式的に説明した図である。椅子1の座面の高さが最も低いとき(メイン座部42の高さが最低位置にあるとき)、バックリンク13の他端側の連結部10cは、ベースリンク11より低い位置にとなる。すなわち、ベースリンク11の連結部10aと、連結部10bとを一直線上に結んだ仮想線(一点鎖線)から、連結部10cは下側の位置となる。
【0056】
これにより、連結部10cにより連結されている座面リンク15も、後側がベースリンク11に対して低い位置になる。すなわち、座面リンク15の他端側(後側)にある連結部10cは、一端側(前側)にある連結部10dと比較して低い位置となる。座面リンク15に固定されているメイン座面52は、後側が下がった状態となり、ユーザの足側(前側)からユーザの背中側(後側)にかけて傾きが生じる。
【0057】
このように、椅子1の高さが最も低いときは、メイン座部42は後傾状態となる。これにより、ユーザの重心は腰側となり、椅子1の上で安定した姿勢を取ることが可能となる。なお、このとき、メイン座部42は、例えば、5度以上20度未満の傾きを有していることが好ましい。
【0058】
また、フロントリンク17に設けられているサブ座面54は、椅子1の前方に位置することになる。メイン座面52は、後側が下がり、前側が上がることから、メイン座面52の前側にリンク機構(例えば、フロントリンク17)との間に空隙が生じてしまう。そこで、サブ座面54は、この空隙を埋める位置に設けられることになる。
【0059】
また、サブ座面54は、ユーザの座位のとき、邪魔にならないように足側(前側)に傾斜を設けることが好ましい。また、サブ座面54の後側は、メイン座面52の下に入り込むように傾斜を設けると好ましい。
【0060】
アクチュエータ30が駆動し、ロッド32が進出することで、フロントリンク17の他端側(後側)寄りにある連結部10eに力が加わる。この、フロントリンク17の他端側(後側)に力が加わると、連結部10aを支点にフロントリンク17の他端側(後側)が椅子1の前側に回動する。そうすると、フロントリンク17に対向するバックリンク13もフロントリンクに17に従動して連結部10bを支点に椅子1の前側に回動する。
【0061】
ここで、リンクに設けられた連結部の距離は、連結部10a及び連結部10bの間隔と比較し、連結部10c及び連結部10dの間隔の方が広く構成されている。例えば、連結部10a及び連結部10bの間隔の長さに対して、連結部10c及び連結部10dの間隔の長さが2~4%長くなるとよい。例えば、連結部10a及び連結部10bの間隔は110mmとすると、連結部10c及び連結部10dの間隔は114mmとするとよい。このように、ベースリンク11、座面リンク15における連結部の間隔が異なることから、図5(a)から図5(b)のように、一定角度(例えば、連結部10cの位置が、連結部10a及び連結部10bを結ぶ仮想線上になる位置)までは座面リンク15の連結部10cが連結部10bを中心に回転上昇する。この間は、メイン座面52は、傾きが水平に移動することになり、メイン座面52の高さは変わらない。メイン座面52が水平となることから、ユーザは、後傾した状態と比較して立ち上がりやすくなる。
【0062】
また、フロントリンク17と、バックリンク13との長さは異なっていてもよい。このとき、バックリンク13の長さの方が、フロントリンク17の長さよりも長くなることが好ましい。
【0063】
また、フロントリンク17、バックリンク13は、ベースリンク11を中心に回転移動し、座面リンク15が上昇する。これにより、座面リンク15(メイン座部42)は、床面に対して平行状態を維持しつつ、前側に移動しながら上昇する(図5(c))。メイン座面52(メイン座部42)は、上昇時は床面に対して平行を維持することになる。したがって、メイン座面52に傾きがないことから、ユーザが椅子1から転落する危険を防止することが可能となる。また、メイン座部42が上昇時/下降時に水平に維持されることから、ユーザの上半身が不安定にならない。
【0064】
図3図4は、駆動機構10の動作により、椅子1の座面が最も高い位置となった状態、すなわちメイン座面52が最も高い高さにあるときの模式図である。
【0065】
メイン座部42は、上昇するとともに、前側(ユーザの足側)にせり出すように移動するが、メイン座部42(メイン座面52)の前側の先端部が、アームレスト60の先端より後側の位置となるように移動する。すなわち、メイン座面52の前側の先端部は、アームレスト60の前側先端より前(足側)にでない位置で停止する。
【0066】
また、このとき、サブ座面54は、ユーザの脚を支える位置となる場所で停止する。例えば、サブ座面54は、ユーザの脹脛近傍となる位置で停止する。また、サブ座面54は、ユーザの立位の邪魔にならない位置となることが好ましい。例えば、メイン座面52の先端(前端部)は、サブ座面54の前側にある位置より前方に出ていることが好ましい。これにより、ユーザが起立するときに足をサポートしつつ、まだ立ち上がっていないときに、サブ座面54がユーザの邪魔になるということを防ぐことができる。
【0067】
また、座面51がメイン座面52と、サブ座面54と前後に分割されることにより、ユーザが着座時に安楽に座るための広さを確保することができる。また、ユーザが立ち上がり動作時にユーザの脹脛部と、椅子本体のフレームとが接触するのを、サブ座面54で防止することができる。また、メイン座面52の長さを長くし、切れ目を膝裏部に近づけることで、座面の切れ目が違和感、不快感につながらないような形状となる。例えば、サブ座面54とメイン座面52との切れ目が大腿部裏にあると、ユーザにとって違和感が生じてしまう。とくに、大腿部は着座時に座面と接触する面積が広く、また体重を支える割合が大きい部分のため、切れ目が大腿部にあると圧迫感や違和感を生じやすくなる。そこで、椅子1は、大腿部を避け、着座時に体重を支える役割のほぼ無い膝裏に切れ目が位置することになり、ユーザにとって不快感を大幅に軽減することができる。
【0068】
[2.制御について]
つづいて、椅子1の制御について説明する。図10は椅子1のハードウェア構成の一例を示した図である。
【0069】
図10に示すように、椅子1を制御する装置(制御装置)としては、制御部100と、駆動制御部110と、記憶装置としてストレージ120、ROM130及びRAM140と、センサ部150と、操作部160と、通信部170とを有している。これらの構成は椅子1の制御装置として、椅子1に取り付けてもよいし、外付けに取り付けてもよい。例えば制御装置を、メイン座部42の下側(裏側)に取り付けたり、椅子1の背面や、側面、に取り付けたりしてもよい。このように、制御装置は、椅子1の何れかの位置に取り付けることができる。また、椅子1の駆動装置と通信可能な装置(例えば、スマートフォンやタブレット、コンピュータ等といった情報処理装置)により実現してもよい。
【0070】
制御部100は、椅子1の全体を制御するための機能部である。制御部100は、ストレージ120や、ROM130に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、1又は複数の制御装置/演算装置(CPU(Central Processing Unit)、SoC(System on a Chip))により実現されてもよい。
【0071】
駆動制御部110は、駆動装置115を制御する。例えば、駆動制御部110は、駆動装置115に信号を送信することで、例えば、椅子1の座面51の高さを調整することが可能となる。ここで、駆動装置115は、アクチュエータ30等の駆動装置(駆動部)であってもよい。
【0072】
ストレージ120は、プログラムや、データを記憶可能な不揮発性の記憶装置である。例えば、HDD(Hard Disk Drive)や、SSD(Solid State Drive)といった記憶装置で構成されてもよい。また、ストレージ120は、外部に接続可能なUSBメモリといった構成でもよい。また、ストレージ120は、例えばクラウド上にある記憶領域であってもよい。
【0073】
ROM130は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することが可能な不揮発性のメモリである。
【0074】
RAM140は、主に制御部100が処理を実行時に利用するメインメモリである。RAM140は、ストレージ120や、ROM130から読み出したプログラムや、実行時の結果を含むデータを一時的に保持する書換え可能なメモリである。
【0075】
センサ部150は、各種センサから信号を受信したりすることが可能なインタフェースである。例えば、センサ部150は、センサ装置155が検出した信号に基づいて、椅子1に使用者が座っていることを検出したり、立ち上がったりしたことを検出したりすることができる。このとき、センサ装置155は、例えば座面51に設けられた圧力センサであってもよい。
【0076】
また、例えば、センサ部150は、センサ装置155が検出した信号に基づいて、椅子1に使用者が近づいてきたことを検出したりしてもよい。このとき、センサ装置155は、例えば椅子1に設けられた人感センサであってもよい。また、制御部100がユーザを検出する方法としては、他の装置を利用してもよい。例えば、制御部100は、見守りシステムや、監視システムにおいて利用されているカメラの映像により、ユーザの行動を判定し、椅子1に使用者が近づいてきたことを検出してもよい。また、制御部100は、他の装置に搭載された人感センサ(例えば、エアコン等の家電に搭載された人感センサ)により、ユーザが椅子1に近づいたことを検出してもよい。また、制御部100は、スマートスピーカによる操作によりユーザが椅子1に近づいたことを検出してもよい。また、制御部100は、センサ装置155として、床に設置されたシートセンサにより、ユーザが椅子1に近づいたことを検出してもよい。
【0077】
操作部160は、ユーザからの操作入力が可能な操作装置である。例えば、ユーザが操作スイッチを操作することで、座面の高さを制御することができる。
【0078】
通信部170は、他の装置と通信をする通信インタフェースである。例えば、有線接続や無線接続が提供可能なネットワークインタフェースであってもよい。例えば、制御部100は、使用者の有するスマートフォンと、通信部170を介して接続する。そして、使用者は、スマートフォンから操作を行ってもよい。
【0079】
[3.実施例]
[3.1 第1実施例]
以下、いくつかの実施例について説明する。まず、第1実施例について、図11を参照して説明する。
【0080】
制御部100は、使用者からの座面上げ操作を検出すると(ステップS102)、座面上昇動作を実行する。すなわち、アクチュエータ30のロッド32が進出することで、駆動機構10のメイン座部42が上昇する。また、サブ座部44は、メイン座部42の上昇に連動して下方向の後側へ回動する移動をする。
【0081】
つづいて、制御部100は、ユーザにより停止操作があったことを検出したときは、座面上昇動作を終了する(ステップS106;Yes)。ここで、ユーザにより停止操作があったとは、例えば、ユーザが上昇動作の停止ボタンを押す動作だけでなく、上昇動作を中断したときも、停止操作があったと検出することに含む。例えば、ユーザが上昇操作をしている間だけメイン座部42が上昇するときは、ユーザが上昇操作をやめたとき、メイン座部42の上昇動作を終了する。
【0082】
また、ユーザにより停止操作がされたことを検出していなくとも、座面が所定の高さまで上昇したとき、制御部100は、メイン座部42の上昇動作を終了する(ステップS108;Yes)。ここで、所定の高さとは、物理的に上昇可能な高さであってもよいし、ユーザにより設定された最大値であってもよい。ここでの高さが、駆動機構10におけるメイン座部42が上昇可能な最大の高さ(物理的な最大の高さ、ユーザにより設定された上限の高さを含む)である。
【0083】
このように、制御部100は、ユーザからの停止操作があったときを検出しておらず、メイン座部42が所定の高さまで上昇していないときは、メイン座部42の上昇動作を継続して実行する(ステップS108;No→ステップS104)。
【0084】
つづいて、制御部100は、ユーザから座面を下げる操作があったときを検出すると(ステップS110;Yes)、メイン座部42の下降動作を行う(ステップS112)。すなわちアクチュエータ30のロッド32が退入することで、メイン座部42(メイン座面52)が下降する。
【0085】
ユーザにより停止操作があったことを検出したときは、メイン座部42の下降動作を終了する(ステップS114;Yes)。ここで、上述したように、ユーザにより停止操作には、例えば、ユーザが下降動作の停止ボタンを押す動作だけでなく、下降動作を中断したときも、停止操作があったと検出することに含む。
【0086】
また、ユーザにより停止操作がされたことを検出していなくても、メイン座部42が所定の高さまで下降したとき、制御部100は、メイン座部42の下降動作を終了する(ステップS116;Yes)。ここで、所定の高さとは、メイン座部42が一番低い位置となる高さであってもよいし、ユーザにより設定された最小値でもよい。ここでの高さが、駆動機構10におけるメイン座部42が下降可能な最小の高さ(物理的な最小の高さ、ユーザにより設定された下限の高さを含む)である。また、制御部100は、所定の高さは、ユーザが高頻度で利用する高さに基づいて設定してもよい。例えば、制御部100は、ユーザが設定した高さを記憶し、所定の期間内や、所定の回数の範囲内で最も頻度の高い高さに設定してもよい。
【0087】
なお、制御部100は、ユーザからの停止操作があったときを検出しておらず、メイン座部42が所定の高さまで下降していないときは、メイン座部42の下降動作を継続して実行する(ステップS116;No→ステップS112)。
【0088】
ユーザは、椅子1に最初着座している。そして、ユーザが立ち上がろうとしたときに、座面を上げる操作を行う。ユーザが操作している間、メイン座部42の高さが床面に平行な状態を維持しつつ、前側に移動しながら上昇する。そして、ユーザは、メイン座部42の動作に補助され、座面の動きに合わせて立ち上がることができる。
【0089】
また、ユーザは着座すると座面を下げる操作を行う。ユーザが操作している間、メイン座部42が床面と平行状態を維持したまま下降する。そして、所定の高さに到達すると、今度はメイン座面52の後側(ユーザの背側)が下がるように傾く動作を行う。ユーザが座った後に、メイン座面52が後側に傾くことで、ユーザは安定しつつ、リラックスした状態で着座姿勢を維持することが可能となる。
【0090】
このように、椅子1のメイン座部42の高さをユーザの操作により自由に変えることが可能となる。
【0091】
[3.2 第2実施例]
つづいて、第2実施例について説明する。第2実施例は、第1実施例の図11の処理を図12に置き換えたものである。図12では、第1実施例の図11と共通の処理には共通の符号を付すことで、詳細な説明を省略する。
【0092】
ユーザが立ち上がったとき、椅子1の座面(メイン座部42)は、立ち上がったときの高さとなっている(ステップS106;Yes又はステップS108;Yes)。
【0093】
ここで、制御部100は、ユーザの着座を検出すると(ステップS202;Yes)、メイン座部42の下降動作を開始する(ステップS112)。すなわち、第1実施例とことなり、ユーザは座面の下降操作を行わなくても、ユーザが着座することでメイン座部42が自動的に下降することになる。
【0094】
なお、ユーザの着座の検出方法としては、例えば、メイン座部42に係る荷重を検出する荷重センサを設け、荷重センサの大きさの変位によりユーザの着座を検出してもよい。また、アームレスト60に接触センサを設け、ユーザがアームレスト60を握ったことにより、着座を検出してもよい。ユーザの着座を検出する方法は、その他の何れかの公知の方法を利用してもよい。
【0095】
[3.3 第3実施例]
つづいて、第3実施例について説明する。第3実施例は、第1実施例の図11の処理を図13に置き換えたものである。図13では、第1実施例の図11と共通の処理には共通の符号を付すことで、詳細な説明を省略する。
【0096】
第1実施例で説明した様に、ユーザは椅子1から立ち上がるときに、椅子の高さがユーザの所望する高さになっている。ここで、制御部100は、ユーザが椅子から立ち上がったことを検出すると(ステップS302;Yes)、座面の高さを下降する動作を行う(ステップS306)。なお、ステップS304において、自動下降の設定がされているとき(ステップS304;Yes)に、座面の下降動作を行ってもよい。これにより、ユーザが自動的に座面を下げる動作を行うか、行わないかを選択できるようにしてもよい。
【0097】
ここで、制御部100は、メイン座部42の高さが所定の高さまで下降したとき(ステップS308;Yes)、メイン座部42の下降の動作を停止する。ここで、所定の高さは、ユーザが設定した高さであってもよい。また、所定の高さは、例えば制御部100は、ユーザが立ち上がる前の高さ(ステップS104で座面上昇動作を行う前のメイン座部42の高さ)を記憶しておき、当該高さを所定の高さとしてもよい。
【0098】
また、制御部100は、ユーザを検出すると(ステップS310;Yes)、制御部100は、メイン座部42の上昇動作を行ってもよい(ステップS312)。このとき、制御部100は、メイン座部42の上昇動作を行うことで所定の高さまでメイン座部42を上昇させてもよい。ここで、所定の高さとは、例えば、ユーザが任意に設定した高さであってもよいし、ステップS302の前の高さ(ユーザが椅子1から立ち上がったときの高さ)であってもよい。
【0099】
このように、本実施例によれば、ユーザがいない間は、メイン座部42の高さは低い位置となる。したがって、椅子1を移動したりするときに、使い勝手が低下するといったことがない。また、ユーザが椅子1に近づくだけで、メイン座部42は、ユーザが座りやすい高さに上昇することから、ユーザは操作をすることなく適切に椅子1に座ることが可能となる。ここで、ユーザを検出する方法としては、人感センサを利用してもよいし、ユーザ認証(例えば、カメラによるユーザ認証、所有している端末装置や、ウェアラブル端末装置の認識によるユーザ認証)を行ってもよい。
【0100】
[3.4 第4実施例]
つづいて、第4実施例について説明する。第4実施例は、第1実施例の図11の処理を図14に置き換えたものである。図14では、第1実施例の図11と共通の処理には共通の符号を付すことで、詳細な説明を省略する。
【0101】
第4実施例では、第1実施例と異なり、ユーザから座面の高さを上げるという操作を検出する代わりに、ユーザの立ち上がりの動作を検出する。
【0102】
ここで、立ち上がりの動作の判定には、実際にユーザが椅子1から立ち上がる動作を判定するだけなく、ユーザがこれから立ち上がろうとしている予兆動作に基づく推定を含むものである。例えば、メイン座面52に設けた圧力センサや、椅子1に設けた荷重センサによりユーザの重心を測定する。そして、ユーザの重心が移動したことを検知したり、ユーザの重心の移動が所定のパターンに一致したときは、立ち上がり動作が行われると推定してもよい。また、アームレスト60に圧力センサを設けてもよい。制御部100は、アームレスト60に設けられた圧力センサからの出力に基づいて、ユーザがアームレスト60を持ったことを検出すると、立ち上がり動作があったと判定してもよい。
【0103】
[3.5 その他の実施例]
上述した実施例に加えて、以下のような構成を加えてもよい。
【0104】
第1に、制御部100は、メイン座部42の上昇時や、下降時に、極端な抜荷や、過負荷を検出したときには、動作を停止するとしてもよい。また、制御部100は、メイン座部42の上昇、下降動作を停止した後に、少し逆動作を行ってもよい。
【0105】
第2に、制御部100は、ユーザの着座を検知してメイン座部42の下降動作を行っているとき、荷重が極端に下がった状態が継続したときは、下降動作を停止してもよい。例えば、ユーザが座り直しや、座ることを辞めて起立したときに、ユーザの意図していない座面の高さになることを防ぐことができる。また、ユーザが期待した高さに座面がないことによる意図せず勢いよく座る(いわゆるドスン座り)の予防を行うことができる。
【0106】
第3に、何らかの原因によるアクチュエータの沈み込みを考慮して、高さ補正を行うことが可能な構成としてもよい。例えば、ユーザからの操作入力がないままポテンショメータセンサが一定以上動いたときには、自動で元の高さの位置まで補正動作してもよい。例えば、制御部100は、メイン座部42の高さが初期状態(最低位置)と制御しているにもかかわらず、位置センサから最低位置となっていないときは、最低位置となるように調整を行ってもよい。
【0107】
第4に、制御部100は、駆動装置115(例えば、アクチュエータ30)の速度制御を行ってもよい。例えば、制御部100は、駆動装置115の速度を制御することにより、メイン座部42の昇降する速度について制御することができる。例えば、早く立ち上がりたいユーザのために、制御部100は、駆動装置115の速度の切り替え機能を持ってもよい。このとき、制御部100が、駆動装置115の速度を可変制御してもよい。また、駆動装置115に速度切替部(例えば、低速、高速等の切り替えスイッチ)を設けて、ユーザが切り替えられるようにしてもよい。
【0108】
更に、制御部100は、メイン座部42の位置におうじて駆動装置115の速度を切り替える制御を行ってもよい。例えば、制御部100は、メイン座部42が最高位置(上昇するときの上限の高さ、上限の高さ近傍)のときや、メイン座部42が最低位置(下降するときの下限の高さ、下限の高さ近傍)では、減速する制御をしてもよい。これにより、メイン座部42が下降したときに、床受(例えば、基部フレーム71)にあたるときの衝撃を緩和することができる。また、メイン座部42が上昇したときに、ユーザの立位時の安定性の向上を図ることができる。
【0109】
[4.変形例]
本開示は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
すなわち、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施の形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【0110】
なお、椅子1の形状は、図1から図4の形状は一例であり、その他の形状の椅子に適用してもよい。例えば、図15図16に記載したような椅子の形状であってもよい。図15(a)は変形例1の椅子の斜視図、(b)は変形例1の椅子の側面図である。変形例1の椅子は、例えば前後の脚が曲線を描いている状態である。
【0111】
図15(c)は変形例2の椅子の斜視図、(d)は変形例2の椅子の側面図である。変形例2の椅子は、前脚は直線的にしているが、後脚は背部に沿いつつ、緩やかに折れ曲がっている形状である。
【0112】
図16(a)は変形例3の椅子の斜視図、(b)は変形例3の椅子の側面図である。変形例3の椅子は、前脚は直線的にしているが、後脚は背部に沿いつつ、鈍角に折れ曲がっている形状である。
【0113】
図16(c)は変形例4の椅子の斜視図、(d)は変形例4の椅子の側面図である。変形例4の椅子は、前脚は直線的にしているが、後脚は背部に沿いつつ、間のフレームに連続するように折れ曲がっている形状である。すなわち、折れ曲がった位置から情報は直線状に、下方は曲線状になっている。
【0114】
また、上述した実施形態、実施例は、説明の都合上、各実施形態を分けて説明しているが、可能な範囲で組み合わせて実行することが可能である。また、明細書に記載したいずれの技術についても、補正又は分割出願等において権利取得する意思を有する。
【0115】
また、各実施形態において各装置で動作するプログラムは、上述した実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的に一時記憶装置(例えば、RAM)に蓄積され、その後、各種ROMやHDDの記憶装置に格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行われる。
【0116】
ここで、プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROMや、不揮発性のメモリカード等)、光記録媒体・光磁気記録媒体(例えば、DVD(Digital Versatile Disc)、CD(Compact Disc)、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等の何れであってもよい。
【0117】
また、市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバ装置の記憶装置も本開示に含まれるのは勿論である。
【0118】
また、上述したデータは、装置内に記憶されるものではなく、外部の装置に記憶されて、適宜呼び出されてもよい。例えば、データをNAS(Network Attached Storage)に記憶したり、クラウド上に記憶したりしてもよい。
【0119】
なお、本開示の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や限定されるものではなく、本明細書に開示される技術の組み合わせも、その範囲に含むものである。本開示のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に記載しているが、特許請求の範囲に記載されていないことを理由として技術的範囲から排除する意思ではない。
【0120】
また、上述した明細書において、「~の場合」「~のとき」という記載については、一つの例として説明しているものであり、記載した内容に限られる構成としているものではない。これらの場合やときでない構成についても、当業者であれば自明である範囲についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【0121】
また、明細書に記載した処理や、データの流れについて順番を伴った記載について、記載している順番に限られない。例えば、処理の一部の箇所を削除したり、順番を入れ替えたりした構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有している。
【符号の説明】
【0122】
1 椅子
10 駆動機構
10a~10e 連結部
11 ベースリンク;13 バックリンク;15 座面リンク;17 フロントリンク
30 アクチュエータ;32 ロッド
34 連結部材
42 メイン座部;44 サブ座部
50 背もたれ
51 座面;52 メイン座面;54 サブ座面
60 アームレスト
61、62 脚部
63 フレーム
64 パネル
65 側面部品
70 操作装置
71 基部フレーム;72 後部フレーム;73 前部フレーム
75 支持部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16