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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054928
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   A01D 17/06 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
A01D17/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161402
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】黒瀬 英明
(72)【発明者】
【氏名】二宮 浩二
(72)【発明者】
【氏名】後田 達哉
(72)【発明者】
【氏名】高木 真吾
(72)【発明者】
【氏名】清家 丈晴
【テーマコード(参考)】
2B072
【Fターム(参考)】
2B072AA10
2B072CA03
2B072CA12
2B072CB03
2B072CB08
2B072EA10
2B072GA01
2B072GA03
(57)【要約】
【課題】 従来の人参収穫車両のような作業車両については、便利な機能を利用するときに要求される、作業者の負担が必ずしも小さくないことに本発明者は気付いた。
【解決手段】 クリーン機構900は、人参掘取り装置300により掘取られた人参を搬送するクリーンコンベアー装置910と、クリーンコンベアー装置910により搬送されている人参から不要部分を除去する、クリーンコンベアー装置910の上方に配置されたクリーンローラー装置950と、を有し、クリーンローラー951は、クリーンコンベアー流れ方向を基準として傾けられており、クリーンコンベアー流れ方向の上流側に位置する一方のクリーンローラー端部951aは、クリーンコンベアー流れ方向の下流側に位置する他方のクリーンローラー端部951bより細い人参収穫車両である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物を掘取る作物掘取り装置(300)と、
前記作物掘取り装置(300)により前記掘取られた作物から不要部分を除去するクリーン機構(900)と、
を備えており、
前記クリーン機構(900)は、
前記作物掘取り装置(300)により前記掘取られた作物を搬送するクリーンコンベアー装置(910)と、
前記クリーンコンベアー装置(910)により前記搬送されている作物から前記不要部分を除去する、前記クリーンコンベアー装置(910)の上方に配置されたクリーンローラー装置(950)と、
を有し、
クリーンローラー(951)は、クリーンコンベアー流れ方向を基準として傾けられており、
前記クリーンコンベアー流れ方向の上流側に位置する一方のクリーンローラー端部(951a)は、前記クリーンコンベアー流れ方向の下流側に位置する他方のクリーンローラー端部(951b)より細いことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
クリーンコンベアー補助ローラー(912)が、クリーンコンベアーベルト裏面で囲まれた空間において、クリーンコンベアーベルト両端部のクリーンコンベアー搬送ローラー(911)の間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記クリーンコンベアー補助ローラー(912)は、前記クリーンコンベアーベルト裏面から所定のギャップ(G)を隔てて配置されていることを特徴とする請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記クリーンコンベアー補助ローラー(912)は、前記クリーンローラー(951)と平行であるように前記クリーンコンベアー流れ方向を基準として傾けられており、
テーパーが、前記クリーンコンベアー流れ方向の前記下流側に位置するクリーンコンベアー補助ローラー端部(912a)に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の作業車両。
【請求項5】
前記クリーンコンベアー補助ローラー(912)は、クリーンコンベアー補助ローラー軸方向を基準として分割され、独立的に回転可能な複数のクリーンコンベアー従動補助ローラー(912c)として構成されており、
前記テーパーは、前記複数のクリーンコンベアー従動補助ローラー(912c)の内、前記クリーンコンベアー流れ方向の最下流側に位置する前記クリーンコンベアー従動補助ローラー(912c)にのみ形成されていることを特徴とする請求項4に記載の作業車両。
【請求項6】
カラーが、空回りするように前記一方のクリーンローラー端部(951a)へ被せられていることを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項7】
前記クリーンローラー(951)は、クリーンコンベアーベルトエンドレス加工繋ぎ目と重ならないように傾けられていることを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人参収穫車両のような作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
人参を掘取る人参掘取り装置を有する人参収穫車両のような作業車両が、知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-126086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者は、作業車両ユーザーのさまざまなニーズを考慮し、便利な機能がかくの如き作業車両へつぎつぎと実装される趨勢はますます加速すると考えている。
【0005】
しかしながら、上述された従来の人参収穫車両のような作業車両については、便利な機能を利用するときに要求される、作業者の負担が必ずしも小さくないことに本発明者は気付いた。
【0006】
本発明は、上述された従来の課題を考慮し、作業者の負担を軽減することができる作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明は、作物を掘取る作物掘取り装置(300)と、
前記作物掘取り装置(300)により前記掘取られた作物から不要部分を除去するクリーン機構(900)と、
を備えており、
前記クリーン機構(900)は、
前記作物掘取り装置(300)により前記掘取られた作物を搬送するクリーンコンベアー装置(910)と、
前記クリーンコンベアー装置(910)により前記搬送されている作物から前記不要部分を除去する、前記クリーンコンベアー装置(910)の上方に配置されたクリーンローラー装置(950)と、
を有し、
クリーンローラー(951)は、クリーンコンベアー流れ方向を基準として傾けられており、
前記クリーンコンベアー流れ方向の上流側に位置する一方のクリーンローラー端部(951a)は、前記クリーンコンベアー流れ方向の下流側に位置する他方のクリーンローラー端部(951b)より細いことを特徴とする作業車両である。
【0008】
第2の本発明は、クリーンコンベアー補助ローラー(912)が、クリーンコンベアーベルト裏面で囲まれた空間において、クリーンコンベアーベルト両端部のクリーンコンベアー搬送ローラー(911)の間に設けられていることを特徴とする第1の本発明の作業車両である。
【0009】
第3の本発明は、前記クリーンコンベアー補助ローラー(912)は、前記クリーンコンベアーベルト裏面から所定のギャップ(G)を隔てて配置されていることを特徴とする第2の本発明の作業車両である。
【0010】
第4の本発明は、前記クリーンコンベアー補助ローラー(912)は、前記クリーンローラー(951)と平行であるように前記クリーンコンベアー流れ方向を基準として傾けられており、
テーパーが、前記クリーンコンベアー流れ方向の前記下流側に位置するクリーンコンベアー補助ローラー端部(912a)に形成されていることを特徴とする第3の本発明の作業車両である。
【0011】
第5の本発明は、前記クリーンコンベアー補助ローラー(912)は、クリーンコンベアー補助ローラー軸方向を基準として分割され、独立的に回転可能な複数のクリーンコンベアー従動補助ローラー(912c)として構成されており、
前記テーパーは、前記複数のクリーンコンベアー従動補助ローラー(912c)の内、前記クリーンコンベアー流れ方向の最下流側に位置する前記クリーンコンベアー従動補助ローラー(912c)にのみ形成されていることを特徴とする第4の本発明の作業車両である。
【0012】
第6の本発明は、カラーが、空回りするように前記一方のクリーンローラー端部(951a)へ被せられていることを特徴とする第1の本発明の作業車両である。
【0013】
第7の本発明は、前記クリーンローラー(951)は、クリーンコンベアーベルトエンドレス加工繋ぎ目と重ならないように傾けられていることを特徴とする第1の本発明の作業車両である。
【発明の効果】
【0014】
第1の本発明により、作業者の負担を軽減することが可能である。
【0015】
第2の本発明により、第1の本発明の効果に加えて、使い勝手を向上することが可能である。
【0016】
第3の本発明により、第2の本発明の効果に加えて、使い勝手をさらに向上することが可能である。
【0017】
第4の本発明により、第3の本発明の効果に加えて、利便性を向上することが可能である。
【0018】
第5の本発明により、第4の本発明の効果に加えて、構成を簡素化することが可能である。
【0019】
第6の本発明により、第1の本発明の効果に加えて、使い勝手を向上することが可能である。
【0020】
第7の本発明により、第1の本発明の効果に加えて、使い勝手を向上することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】(a)本発明における実施の形態の人参収穫車両の平面図、(b)本発明における実施の形態の人参収穫車両の背面図
図2】(a)本発明における実施の形態の人参収穫車両のクリーン機構近傍の説明図(その一)、(b)本発明における実施の形態の人参収穫車両のクリーン機構近傍の説明図(その二)、(c)本発明における実施の形態の人参収穫車両のクリーン機構近傍の説明図(その三)、(d)本発明における実施の形態の人参収穫車両のクリーン機構近傍の説明図(その四)、(e)本発明における実施の形態の人参収穫車両のクリーン機構近傍の説明図(その五)
図3】本発明における実施の形態の第1の変形例の人参収穫車両のクリーン機構近傍の説明図
図4】(a)本発明における実施の形態の第2の変形例の人参収穫車両の背面図、(b)本発明における実施の形態の第2の変形例の人参収穫車両の作業操作装置近傍の説明図(その一)、(b)本発明における実施の形態の第2の変形例の人参収穫車両の作業操作装置近傍の説明図(その二)
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0023】
以下同様であるが、いくつかの構成要素は図面において示されていないこともあり、透視的にまたは省略的に示されていることもある。
【0024】
(1)はじめに、図1(a)および1(b)を主として参照しながら、本発明における実施の形態の人参収穫車両の構成および動作について具体的に説明する。
【0025】
ここに、図1(a)は本発明における実施の形態の人参収穫車両の平面図であり、図1(b)は本発明における実施の形態の人参収穫車両の背面図である。
【0026】
本実施の形態の人参収穫車両の動作について説明しながら、制御機構などにより実現される、本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法についても説明する。
【0027】
本実施の形態の人参収穫車両は、操縦作業座席411および選別作業座席412を有し、作業操作装置400における手動操作または自動操作に応じて、走行装置200で走行しながら、人参掘取り装置300により人参の収穫を行うための車両である。
【0028】
コンベアー装置500は、人参掘取り装置300により収穫された人参を車体外側へ向かって搬送する装置である。
【0029】
載置台600は、人参掘取り装置300により収穫された人参を収容する人参収容コンテナー650を載置する、車体左右方向における車体外側へ向かって張出すように車体100へ取付けられた台である。
【0030】
人参掘取り装置300は車体左右方向において左側に設けられており、載置台600は車体左右方向において右側に設けられており、人参掘取り装置300により収穫された人参を収容する人参収容コンテナー650は車体100の車体左右方向における右側に保持される。したがって、コンベアー装置500の搬送向きは、車体左右方向において右向きである。
【0031】
ハンガー850は、コンベアー装置500のコンベアー終端部から落下する人参を収容する人参収容コンテナー650を吊下げるハンガーである。
【0032】
二個のハンガー850は車体前後方向において並んだコンテナー吊下げ部材として設けられており、前側に設けられたハンガー850は人参収容コンテナー650の袋口部の前側を吊下げ、後側に設けられたハンガー850は人参収容コンテナー650の袋口部の後側を吊下げる。
【0033】
クレーン装置700は、人参収容コンテナー650を吊下げているハンガー850を車体外側へ向かって移動させることができる。
【0034】
コンベアー装置500は車体100へ回動可能に取付けられており、コンベアー終端部の高さはコンベアー装置500の回動とともに変化することができる。
【0035】
クレーン装置700は、コンベアー装置500へ回動可能に取付けられている。
【0036】
本実施の形態の人参収穫車両は、選別作業などのための可動コンベアー装置であるコンベアー装置500により根菜である人参を搬送し、運搬作業などのためのフレキシブルコンテナーである人参収容コンテナー650に人参を収容するための野菜収穫機である。吊り紐のようなコンテナー吊り輪(図示省略)などでハンガー850へ取付けられてコンベアー終端部へセットされる人参収容コンテナー650は、コンベアー終端部の高さが大きくなるように変化していく人参収穫の終了にともなって吊下げられている状態で側方へ移動させられて車体100の横の位置で圃場の地面などへ降ろされる。
【0037】
本実施の形態の人参は、本発明における作物の具体的な例である。本実施の形態の人参収穫車両は、本発明における作業車両の具体的な例である。
【0038】
人参掘取り装置300により掘取られた人参から不要部分を除去するクリーン機構900は、クリーンコンベアー装置910と、クリーンローラー装置950と、を有する。
【0039】
クリーンコンベアー装置910は、人参掘取り装置300により掘取られた人参を搬送する装置である。
【0040】
クリーンローラー装置950は、クリーンコンベアー装置910により搬送されている人参から不要部分を除去する、クリーンコンベアー装置910の上方に配置された装置である。
【0041】
(2)つぎに、本発明における実施の形態の人参収穫車両の構成および動作についてより具体的に説明する。
【0042】
クリーンコンベアー装置910およびクリーンローラー装置950の構成において、収穫された葉物野菜から残葉および泥をより確実に除去することが望ましいが、徐々に泥などがクリーンコンベアー装置910のクリーンコンベアーベルト、およびクリーンローラー951の非接触部に付着し、コンベアー偏摩耗およびコンベアー蛇行が発生することがある。
【0043】
クリーン機構900のクリーンローラー装置950において、クリーンローラー951を、連続的にまたは不続的に細くなる、テーパー状とし、ローラー回転数が上流側と下流側との間で異なっており、クリーンコンベアー装置910に沿って複数のクリーンローラー951を配置する構成を採用することにより、収穫物の葉をちぎるための負荷、または汚泥を除去するための負荷が大きくなったときに、クリーンコンベアー装置910の脱輪およびベルト偏摩耗を防止することができる。
【0044】
(2a)はじめに、本発明における実施の形態の人参収穫車両のクリーン機構900近傍の説明図(その一から五)である図2(a)から2(e)を主として参照しながら、説明する。
【0045】
クリーンローラー951は、クリーンコンベアー流れ方向を基準として傾けられている。
【0046】
クリーンコンベアー流れ方向の上流側に位置する一方のクリーンローラー端部951aは、クリーンコンベアー流れ方向の下流側に位置する他方のクリーンローラー端部951bより細い(図2(b)参照)。
【0047】
クリーンコンベアーベルト蛇行防止のためのガイド1001はクリーナー搬送路の上流側へ設けられており、人参の搬送が妨げられない。
【0048】
コンベアーベルト上側のクリーンローラーはガイド1001のようなベルトガイドの上側で小径に形成されており、ベルト浮上がりにともなう急激なグリップによるベルト脱線が防がれる。ベルト浮上がりが発生しても、クリーンローラーによる押さえ付けがあるため、ベルト表面における毟りのような現象は発生しにくい。
【0049】
このように、野菜を搬送するクリーンコンベアー装置910において、クリーンコンベアー流れ進行方向に対して、クリーンローラー951が斜めに配置されている。クリーンローラー951の軸径は小径と大径であり、コンベアー搬送路における上流側を小径として、たとえば、クリーンローラー951からクリーンコンベアー装置910のクリーンコンベアーベルトまでのクリアランスCが上流側へ向かって徐々に広くなる構成が採用される(図2(d)参照)。上流側において、クリーンローラー951がクリーンコンベアー装置910の幅よりも外側まで伸びている。泥がクリーンコンベアーベルトの裏に付着したり、収穫物の葉が急激にクリーンコンベアー装置910とクリーンローラー装置950との間に噛込み、葉をちぎることができないとき、たとえば、クリーンコンベアーベルトが浮上がるコンベアー蛇行、およびコンベアー偏摩耗などが発生しやすいので、クリアランスCは上流側において広げられる。
【0050】
クリーンコンベアー補助ローラー912が、クリーンコンベアーベルト裏面で囲まれた空間において、クリーンコンベアーベルト両端部のクリーンコンベアー搬送ローラー911の間に設けられている。
【0051】
クリーンコンベアー補助ローラー912は、クリーンコンベアーベルト裏面から所定のギャップGを隔てて配置されている(図2(c)参照)。
【0052】
クリーンコンベアー補助ローラー912は、クリーンローラー951と平行であるようにクリーンコンベアー流れ方向を基準として傾けられている。
【0053】
なお、テーパーが、クリーンコンベアー流れ方向の下流側に位置するクリーンコンベアー補助ローラー端部912aに形成されていてもよい。
【0054】
(2b)つぎに、本発明における実施の形態の第1の変形例の人参収穫車両のクリーン機構900近傍の説明図である図3を主として参照しながら、説明する。
【0055】
クリーンコンベアー補助ローラー912は、クリーンコンベアー補助ローラー軸方向を基準として分割され、独立的に回転可能な複数のクリーンコンベアー従動補助ローラー912cとして構成されている。
【0056】
なお、テーパーは、複数のクリーンコンベアー従動補助ローラー912cの内、クリーンコンベアー流れ方向の最下流側に位置するクリーンコンベアー従動補助ローラー912cにのみ形成されていてもよい。
【0057】
上述された構成を採用することにより、製造の容易性が、たとえば、構成の簡素化などにともなって向上することが期待される。
【0058】
クリーンベルトループ内の裏当て部品は、固定式スライダーであってもよいが、回転式ローラーであることがしばしば望ましい。このような回転式ローラーは上部ローラーと比べて小径であるので、人参不要部の引きちぎりのための区間が短くなり、人参が入込みにくい。ベルトループ内の小径ローラーは非駆動式であってベルトに接触したときのみ回転するので、ベルト摩耗が防がれる。小径ローラーはクリーンローラーと平行に配置されるので、人参の搬送方向が一定になりやすい。小径ローラーは、しばしばベルトの僅かに下方へ配置されるので、作物により押下げられることによりベルトと接する。
【0059】
このように、クリーンコンベアーベルト両端部のクリーンコンベアー搬送ローラー911の軸の間の中間部において、無負荷でのベルト接触はないように、小さい径の複数のクリーンコンベアー補助ローラー912が設けられている。中間部のクリーンコンベアー補助ローラー912は、回転式ローラーであってもよいし固定式ローラーであってもよい。クリーンコンベアー負荷が発生すると、クリーンコンベアーベルトは負荷印加が少ない部分で浮上がる。これが蛇行の原因となるため、小さい径の複数のクリーンコンベアー補助ローラー912を配置することにより、負荷が印加されやすい部分におけるクリーンコンベアーベルト沈込みを緩和させる。
【0060】
また、カラーが、空回りするように一方のクリーンローラー端部951aへ被せられていてもよい。
【0061】
ガードがクリーンローラー小径部の作用面側へあらかじめ設けられていると、ガードの部位への人参巻込みが防がれる。小径部へカラー状のフリー回転体を被せ、ベルトが浮上がったときにスラスト方向のグリップを与えない。
【0062】
このように、クリーンローラー装置950のクリーンローラー951の軸心の周りに空回りするカラーを有するカラー部が設けられている。このようなカラーが少なくとも上流側において設けられていることが、望ましい。もちろん、クリーンローラー951の各部分へ短いカラーが被せられていてもよい。
【0063】
また、クリーンローラー951は、クリーンコンベアーベルトエンドレス加工繋ぎ目と重ならないように傾けられていてもよい。
【0064】
小径ローラーの出口側の終端部はテーパー状であり、終端部での作物の詰まりの発生は防がれる。
【0065】
人参不要部の引きちぎりはベルト張力で行われるが、過負荷が発生したとき、ベルト面を下降させることにより過負荷逃しが行われる。
【0066】
テーパーがクリーンベルトの駆動ローラーおよび従動ローラーへ設けられていると、スライド方向の荷重がクリーンベルト自体へあらかじめ与えられる。クリーンローラーによる上面からのスラスト荷重は、上述されたテーパーによるスラスト荷重で打消される。クリーンベルト内の小径ローラーも非駆動式ローラーであり、引きちぎりのときの負荷作用が発生しても、上部ローラーによるスラスト荷重への対抗が実現される。
【0067】
クリーンベルトのジョイント部の角度は、クリーンローラーと交差しない方向を与える角度であるが、クリーンローラーとの平行関係が回避されるように、開きを与える角度であり、引きちぎり部でのベルト屈曲による割れは集中しにくい。
【0068】
クリーンローラーの終端部がスプリングを介してアームで支持されることにより、過負荷逃しが行われてもよい。
【0069】
小径ローラーは一軸ローラーであるが、短いローラーが小分けで配置されており、負荷がかかった所のみが従動で回転することにより、ベルト裏面の摩耗が防がれる。
【0070】
クリーンコンベアーの回転速度の増大および減少が車速に応じて行われ、各部の摩耗の発生が抑制される。このようなクリーンコンベアーの回転速度は、基本的に一定速度であるが、コンベアー上昇にともなって増大させられる方式も考えられる。
【0071】
このように、クリーンコンベアーベルト裏面において斜めに配置されたクリーンローラー951に合致するように、クリーンコンベアー補助ローラー912が中間ローラーとして配置されている。クリーンコンベアーベルト製造において形成された接合部である、クリーンコンベアーベルトエンドレス加工繋ぎ目がクリーンローラー951の斜めの角度に対応する範囲に配置されていないことが、望ましい。斜めのクリーンローラー951に対応する裏支えにより、安定性を向上することができ、クリーンコンベアーベルトエンドレス加工繋ぎ目は同じ角度で配置されていないので、ローラー乗越えにともなう振動は発生しにくく、接合部の断裂なども発生しにくい。
【0072】
クリーンコンベアーベルトに対して配置される駆動式のクリーンローラーはテーパー形状であり、始端側におけるコンベアー排出速度と終端側におけるコンベアー排出速度と間の差が設けられている。クリーンローラーの径は始端側で小径であって終端側で大径であると、コンベアーベルトの全体的な速度が増大されなくても、人参同士が引離されてクリーンコンベアーの処理能力は向上される。
【0073】
テーパー形状は保持されているままであるが、始端側の小径部も確保されているので、ベルトガイドの乗上がりが防がれる。
【0074】
クリーンローラーの形状はテーパー形状であるが、ローラー接線がクリーンコンベアーベルト表面と僅かな微小隙間を保つように、クリーンローラーは平行的に配置されており、ローラー全長のほぼ全てに対応する部分が処理部分として利用可能である。
【0075】
クリーンコンベアーベルトのベルトガイドは、固定ガイドでなく、ローラーなどで保持されたV字形状のガイドであって、ベルト蛇行の発生が防がれる構成も考えられる。ベルト蛇行防止のためのローラーがいわゆる多点受けで保持されており、局所的な面圧上昇が防がれてもよい。
【0076】
このように、たとえば、クリーンコンベアー補助ローラー912のような小径ローラーの出口部のみが、テーパー状であってもよい。
【0077】
クリーンコンベアー駆動ローラーであるクリーンコンベアー搬送ローラー911、および従動ローラーであるクリーンコンベアー補助ローラー912のローラー端部は、テーパー状であってもよい。
【0078】
クリーンローラー951の上流側の軸心が可動であり、クリアランスCが負荷の印加にともなって広がることが望ましい。
【0079】
クリーンコンベアー搬送ローラー911の回転速度は、車速に応じて変化させられてもよい。
【0080】
クリーンローラー951の径は、下流側において小径であり、上流側において大径である。クリーンローラー951からクリーンコンベアー装置910のクリーンコンベアーベルトまでのクリアランスCは、たとえば、定常状態において均一であってもよい(図2(e)参照)。クリーンローラー951とクリーンコンベアーベルトとの間で葉をちぎるための速度は、上流側においてより大きくなる。同様に、作物を送る速度も、上流側においてより大きくなる。
【0081】
(3)つぎに、図4(a)から4(c)を主として参照しながら、本発明における実施の形態の人参収穫車両の構成および動作についてさらにより具体的に説明する。
【0082】
ここに、図4(a)は本発明における実施の形態の第2の変形例の人参収穫車両の背面図であり、図4(b)および4(c)は本発明における実施の形態の第2の変形例の人参収穫車両の作業操作装置400近傍の説明図(その一および二)である。
【0083】
積載台からトラック2001の荷台へ直接的に積込まれる場合における荷台の角部でのコンテナーバッグ干渉は、車体傾斜により回避可能である。クレーン降下向きは、ローリング側のトラックロールと同じ向きである。たとえば、可動コンベアーが上限へ到達した後、車体ローリングで右側車高が上昇し最大吊高さを増大させる構成が考えられる。
【0084】
コンベアー装置500の可動コンベアー上下レバーに、コンベアー上げポジション、コンベアーニュートラルポジションおよびコンベアー下げポジションの三つのポジションのみならず、コンベアー上げポジションとさらなるレバー押上げをともなう車高上げポジションとの間にレバーノッチなどが設けられており、一連の動作がワンレバー操作で実現可能である。
【0085】
コンベアー上げおよび車高上げポジションの動作パターンは機体が停止していて駐車ブレーキが動作しているのみ行われるので、安全性が保証される。
【0086】
上述された構成において、右側の車体が上昇させられてコンベアー降下操作が行われると、車体が下降させられた後、可動コンベアーが下降しはじめる。
【0087】
上述された構成において、ローリング制御を行うためのトラック横付け条件は、バケットの状態が折畳み状態であることを要求する。
【0088】
可動コンベアーの上昇だけでは横付けされたトラック2001の荷台へバッグを上昇させることはしばしば困難であるが、車体ローリングも併せて行われることにより、必要なストロークが得られる。
【0089】
車体移動が行われているとき、コンベアー上げポジションから車高上げポジションへのレバー押上げ操作は、有効に機能しない。
【0090】
このように、クレーン装置700を利用することにより人参収容コンテナー650を圃場に降ろすとき、車体100が車体水平機構を利用して傾けられる。
【0091】
コンベアー装置500の可動コンベアー上下レバーが車体水平機構の車高上げレバーを利用して構成されることにより、さまざまな機能が1本のレバーで実現されてもよい。
【0092】
可動コンベアー上下レバーポジションはコンベアー上げポジション、コンベアーニュートラルポジションおよびコンベアー下げポジションの三つのポジションであるが、たとえば、車体水平機構の車高上げがコンベアー上げポジションからのさらなるレバー押上げをともなう車高上げポジションを利用して行われる。
【0093】
作業機走行が行われているとき、上述された車高上げ機能はオンされない。
【0094】
駐車ブレーキ踏込みが行われると、上述された車高上げ機能はオンされず、ローリング制御もオンされない。
【0095】
車高上げ機能がオンされると、たとえば、コンベアー下げポジションからのさらなるレバー押下げがなければ、車高下げは行われない。
【0096】
距離センサーが載置台600に設けられていてもよい。たとえば、このような距離センサーによる誘導機能がトラック荷積みにおいて利用される。
【0097】
近接センサーがクレーン装置700に設けられていてもよい。たとえば、移動物がクレーン装置700近傍に検出されると、クレーン装置700の動作は停止される。
【0098】
コンベアー上げ動作が行われた後、車高上げ動作または車高下げ動作が行われているとき、いわゆるスイングハンガー動作が行われているときの音色と相異なる音色でのブザー鳴動が行われる。
【0099】
バッグ降下に関する一連の動作をリモート操作で行うためのリモートコントローラーが、別体として設けられていてもよい。
【0100】
中折れバケット部から誘導ビームを射出することにより、バッグ下端部がトラック2001の荷台の縁に接触するか否かが作業の前に目視で確認可能であることが、望ましい。このような誘導ビームがトラック2001の荷台の縁を越えない場合において、スイングハンガー張出し牽制が行われる。
【0101】
コンベアー上げ動作に続く車高上げ動作のための制御が行われる場合において、ローリング制御は駐車ブレーキの動作段階で中断される。このような制御にともなって増大させられた車高は減少させられず、車高下げ動作に続くコンベアー下げ動作が行われるまで、自動ローリング動作は行われない。
【0102】
車高上げ動作の後の車高下げ動作が行われるとき、車高は下限まで減少させられずに対地水平機能または傾斜牽制スイッチ機能に応じた位置までしか減少させられないので、安全性が向上される。
【0103】
車体水平動作によるローリング制御のモード変更は、駐車ブレーキのオンオフに応じて切替わる。
【0104】
圧力センサーがスイングハンガーシリンダーへ設けられており、たとえば、バッグがトラック2001の荷台を荷台干渉なしに乗越えられない場合において、張出し動作は中止されてもよい。
【0105】
スイングハンガー動作が行われているとき、自動停止動作が吊り荷の下方への作業者侵入にともなって行われるように、いわゆるエリアカーテンが設けられていてもよい。
【0106】
なお、本発明に関連した発明のプログラムは、上述された本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法の全部または一部のステップ(または工程、動作および作用など)の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、コンピュータと協働して動作するプログラムである。
【0107】
また、本発明に関連した発明の記録媒体は、上述された本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法の全部または一部のステップ(または工程、動作および作用など)の全部または一部の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した記録媒体であり、読取られたプログラムがコンピュータと協働して利用されるコンピュータ読取り可能な記録媒体である。
【0108】
なお、上述された「一部のステップ(または工程、動作および作用など)」は、それらの複数のステップの内の一つまたはいくつかのステップを意味する。
【0109】
また、上述された「ステップ(または工程、動作および作用など)の動作」は、上述されたステップの全部または一部の動作を意味する。
【0110】
また、本発明に関連した発明のプログラムの一利用形態は、インターネット、光、電波または音波などのような伝送媒体の中を伝送され、コンピュータにより読取られ、コンピュータと協働して動作するという形態であってもよい。
【0111】
また、記録媒体としては、ROM(Read Only Memory)などが含まれる。
【0112】
また、コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)などのような純然たるハードウェアに限らず、ファームウェア、OS(Operating System)、そしてさらに周辺機器を含んでもよい。
【0113】
なお、上述されたように、本発明の構成は、ソフトウェア的に実現されてもよいし、ハードウェア的に実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明における作業車両は、作業者の負担を軽減することができ、人参収穫車両のような作業車両に利用する目的に有用である。
【符号の説明】
【0115】
100 車体
200 走行装置
300 人参掘取り装置
400 作業操作装置
411 操縦作業座席
412 選別作業座席
500 コンベアー装置
600 載置台
650 人参収容コンテナー
700 クレーン装置
850 ハンガー
900 クリーン機構
910 クリーンコンベアー装置
911 クリーンコンベアー搬送ローラー
912 クリーンコンベアー補助ローラー
912a クリーンコンベアー補助ローラー端部
912c クリーンコンベアー従動補助ローラー
950 クリーンローラー装置
951 クリーンローラー
951a、951b クリーンローラー端部
C クリアランス
G ギャップ
1001 ガイド
2001 トラック
図1
図2
図3
図4