(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054944
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】製氷機
(51)【国際特許分類】
F25C 1/04 20180101AFI20240411BHJP
F25C 1/045 20180101ALI20240411BHJP
【FI】
F25C1/04 302Z
F25C1/045 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161425
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】門脇 静馬
(72)【発明者】
【氏名】富永 祐之
(72)【発明者】
【氏名】泉川 尚斗
(57)【要約】
【課題】待機モード中に冷凍装置を作動させて製氷室内と貯氷室内を冷却する保冷運転を実行したときに、冷凍装置を構成する圧縮機が短時間で作動停止することに起因した不具合が生じないようにする。
【解決手段】製氷機10は、貯氷検知器43により貯氷室16内に氷が満たされたことを検知したときには、待機モードとして製氷運転を実行しないように制御して貯氷室16内に貯える氷を製造せずに待機しており、待機モード中に温度センサ42の検出温度に基づいて冷凍装置30を作動開始させて製氷部21を冷却することにより製氷室14内と貯氷室16内とを冷却する保冷運転を実行可能としており、保冷運転を実行開始させてから圧縮機31にて設定されている最低運転時間以上で設定した保冷運転時間経過後に冷凍装置30の作動を停止させるように制御した。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製氷水を凍結させて氷を製造する製氷部と、
圧縮機により循環供給される冷媒によって前記製氷部を冷却する冷凍装置と、
前記製氷部に製氷水を送出する送水手段と、
前記製氷部が配設される製氷室と、
前記製氷室の下側に配置されて前記製氷部で製造された氷を貯える貯氷室と、
前記貯氷室内の氷が満たされたことを検知する貯氷検知器とを備え、
前記貯氷検知器により前記貯氷室内に氷が満たされたことを検知していないときには、製氷モードとして前記冷凍装置により冷却した前記製氷部で前記送水手段により送出される製氷水を凍結させて氷を製造する製氷運転を実行するように制御して前記貯氷室内に貯える氷を製造し、
前記貯氷検知器により前記貯氷室内に氷が満たされたことを検知したときには、待機モードとして前記製氷運転を実行しないように制御して前記貯氷室内に貯える氷を製造せずに待機する製氷機であって、
前記製氷室または前記貯氷室の温度を検出する温度センサを設け、
前記待機モード中に、前記温度センサの検出温度に基づいて前記冷凍装置を作動させて前記製氷部を冷却することにより前記製氷室内と前記貯氷室内との少なくとも一方を冷却する保冷運転を実行可能としており、前記保冷運転を実行開始させてから前記圧縮機にて設定されている最低運転時間以上で設定した保冷運転時間経過後に前記冷凍装置の作動を停止させるように制御したことを特徴とする製氷機。
【請求項2】
請求項1に記載の製氷機において、
前記製氷室及び前記貯氷室の外側の温度を検出する外側温度センサを備え、
前記待機モード中に、前記温度センサにより前記製氷室内と前記貯氷室内との少なくとも一方を冷却するための温度として設定された保冷設定温度以上を検出したときに前記保冷運転を開始するように制御したものであり、
前記外側温度センサの検出温度に基づいて前記保冷運転の実行の可否の判定または前記保冷設定温度を補正したことを特徴とする製氷機。
【請求項3】
請求項1に記載の製氷機において、
前記保冷運転の開始後に前記温度センサの検出温度を経時的に積算した積算温度を経過時間で除することによって前記積算温度の単位時間あたりの平均温度を算出し、前記平均温度が前記製氷室内と前記貯氷室内との少なくとも一方を冷却するための温度として設定された保冷設定温度以上となると、前記保冷運転時間経過後に停止させた前記保冷運転を再開させるように制御したことを特徴とする製氷機。
【請求項4】
請求項3に記載の製氷機において、
前記製氷室及び前記貯氷室の外側の温度を検出する外側温度センサを備え、
前記外側温度センサの検出温度に基づいて前記保冷運転の実行の可否の判定または前記保冷設定温度を補正したことを特徴とする製氷機。
【請求項5】
請求項3に記載の製氷機において、
前記平均温度を算出開始してから所定の経過時間または前記平均温度を算出する算出回数が所定回数以上となっても前記平均温度が前記保冷設定温度以上とならないときには、前記保冷運転時間経過後に停止させた前記保冷運転を自動的に再開させるように制御したことを特徴とする製氷機。
【請求項6】
請求項5に記載の製氷機において、
前記保冷運転を自動的に再開するように制御した後では、前記温度センサの検出温度が前記保冷設定温度以上の温度を検出したときに、前記保冷運転時間経過後に停止させた前記保冷運転を再開するように制御したことを特徴とする製氷機。
【請求項7】
請求項5に記載の製氷機において、
前記保冷運転を自動的に再開するように制御した後では、前記平均温度を再度算出開始させるようにしたことを特徴とする製氷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製氷室内に設けた製氷部で氷を製造する製氷機に関し、製氷室の下側の貯氷室に氷が満たされたときに製氷部で氷の製造を待機するようにした製氷機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、製氷室内に設けた製氷部で氷を製造する製氷機の発明が開示されている。この製氷機は、製氷水を凍結させて氷を製造する製氷部と、圧縮機により循環供給される冷媒によって製氷部を冷却する冷凍装置と、製氷部に製氷水を送出する送水手段と、製氷部が配設される製氷室と、製氷室の下側に配置されて製氷部で製造された氷を貯える貯氷室と、貯氷室内にて氷が満たされたことを検知する貯氷検知器とを備えている。
【0003】
この製氷機においては、冷凍装置により冷却された製氷部で送水手段により製氷水を送出して凍結させることにより氷を製造する製氷運転と、冷凍装置から製氷部にホットガスを送出することによって製氷部から氷を離脱させる除氷運転とを交互に実行することにより、貯氷室内に貯える氷を製造している。貯氷検知器により氷が満たされたことを検知していないときには、製氷モードとして製氷部により製氷運転と除氷運転とを交互に実行するように制御して貯氷室内に貯える氷を製造し、貯氷検知器により氷が満たされたことを検知したときには、貯氷モード(待機モード)として製氷運転と除氷運転とを実行しないように制御して貯氷室内に貯える氷を製造せずに待機している。
【0004】
この製氷機においては、貯氷モードであるときに、貯氷室内の温度の上昇を抑制するための保冷運転を実行するように制御しており、保冷運転は冷凍装置により製氷部を冷却することによって製氷室内を介して貯氷室内を冷却するようにしている。この製氷機は、貯氷室または製氷部の温度を検出する温度センサを備えており、保冷運転ではこの温度センサの検出温度が上限温度となると冷凍装置を作動させ、温度センサの検出温度が下限温度となると冷凍装置の作動を停止させるように制御されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の製氷機においては、貯氷モード(待機モード)中に貯氷室内を設定温度となるように冷却しているが、製氷機の冷凍装置は製氷部に送出される製氷水を氷となるように冷却可能としたものであるので、冷凍装置は製氷水が送出されていない状態の製氷部を冷却するときの負荷が小さく、貯氷室内を冷却するのに長い時間を要しなく、冷凍装置は短時間で作動制止されることになる。また、特許文献1の製氷機においては、外気温が低い状態で貯氷室内を設定温度となるように冷却すると、冷凍装置はさらに短時間で停止されるおそれがある。冷凍装置を構成する圧縮機を短時間で作動停止させると、圧縮機は短時間で作動停止させることに起因した不具合が生じるおそれがある。本発明は、貯氷室内に氷が満たされたことを検知したことにより製氷運転を実行しないで待機する待機モード中に、冷凍装置を作動させて製氷室内と貯氷室内との少なくとも一方を冷却する保冷運転を実行したときに、冷凍装置を構成する圧縮機が短時間で作動停止することに起因した不具合が生じないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するため、製氷水を凍結させて氷を製造する製氷部と、圧縮機により循環供給される冷媒によって製氷部を冷却する冷凍装置と、製氷部に製氷水を送出する送水手段と、製氷部が配設される製氷室と、製氷室の下側に配置されて製氷部で製造された氷を貯える貯氷室と、貯氷室内の氷が満たされたことを検知する貯氷検知器とを備え、貯氷検知器により貯氷室内に氷が満たされたことを検知していないときには、製氷モードとして冷凍装置により冷却した製氷部で送水手段により送出される製氷水を凍結させて氷を製造する製氷運転を実行するように制御して貯氷室内に貯える氷を製造し、貯氷検知器により貯氷室内に氷が満たされたことを検知したときには、待機モードとして製氷運転を実行しないように制御して貯氷室内に貯える氷を製造せずに待機する製氷機であって、製氷室または貯氷室の温度を検出する温度センサを設け、待機モード中に、温度センサの検出温度に基づいて冷凍装置を作動させて製氷部を冷却することにより製氷室内と貯氷室内との少なくとも一方を冷却する保冷運転を実行可能としており、保冷運転を実行開始させてから圧縮機にて設定されている最低運転時間以上で設定した保冷運転時間経過後に冷凍装置の作動を停止させるように制御したことを特徴とする製氷機を提供するものである。
【0008】
上記のように構成した製氷機においては、製氷室または貯氷室の温度を検出する温度センサを設け、待機モード中に、温度センサの検出温度に基づいて冷凍装置を作動させて製氷部を冷却することにより製氷室内と貯氷室内との少なくとも一方を冷却する保冷運転を実行可能としており、保冷運転を実行開始させてから圧縮機にて設定されている最低運転時間以上で設定した保冷運転時間経過後に冷凍装置の作動を停止させるように制御している。保冷運転を実行開始させてから圧縮機にて設定されている最低運転時間以上で設定した保冷運転時間経過後に冷凍装置の作動を停止させるように制御しているので、冷凍装置の圧縮機が最低運転時間より短い時間で停止されず、圧縮機が短時間で作動停止することに起因した不具合が生じにくくなる。
【0009】
上記のように構成した製氷機においては、製氷室及び貯氷室の外側の温度を検出する外側温度センサを備え、待機モード中に、温度センサにより製氷室内と貯氷室内との少なくとも一方を冷却するための温度として設定された保冷設定温度以上を検出したときに保冷運転を開始するように制御したものであり、外側温度センサの検出温度に基づいて保冷運転の実行の可否の判定または保冷設定温度を補正するのが好ましい。製氷機の設置場所の外気温が低いときに、保冷運転で冷凍装置の圧縮機を最低運転時間以上で設定した保冷運転時間で作動させると、製氷室内及び貯氷室内が過剰に冷却されるおそれがあるが、製氷室及び貯氷室の外側の温度を検出する外側温度センサの検出温度に基づいて保冷運転を実行しなかったり、保冷運転を開始するときの保冷設定温度を高く補正することで、製氷機設置場所の温度が低くても、製氷室及び貯氷室内が過剰に冷却されるのを防ぐことができる。
【0010】
上記のように構成した製氷機においては、保冷運転の開始後に温度センサの検出温度を経時的に積算した積算温度を経過時間で除することによって積算温度の単位時間あたりの平均温度を算出し、平均温度が製氷室内と貯氷室内との少なくとも一方を冷却するための温度として設定された保冷設定温度以上となると、保冷運転時間経過後に停止させた保冷運転を再開させるように制御するのが好ましい。このようにしたときには、製氷室内の温度が外的要因等によって大きく変動しても、製氷室内及び貯氷室内を安定して保冷設定温度となるように冷却することができる。
【0011】
上記のように構成した製氷機においては、製氷室及び貯氷室の外側の温度を検出する外側温度センサを備え、外側温度センサの検出温度に基づいて保冷運転の実行の可否の判定または保冷設定温度を補正するのが好ましい。製氷機の設置場所の温度が低いときに、保冷運転で冷凍装置の圧縮機を最低運転時間以上で設定した保冷運転時間で作動させると、製氷室内及び貯氷室内が過剰に冷却されるおそれがあるが、製氷室及び貯氷室の外側の温度を検出する外側温度センサの検出温度に基づいて保冷運転を実行しなかったり、保冷運転を開始するときの保冷設定温度を高く補正することで、製氷機の設置場所の温度が低くても、製氷室及び貯氷室内が過剰に冷却されるのを防ぐことができる。
【0012】
上記のように構成した製氷機においては、平均温度を算出開始してから所定の経過時間または平均温度を算出する算出回数が所定回数以上となっても平均温度が保冷設定温度以上とならないときには、保冷運転時間経過後に停止させた保冷運転を自動的に再開させるように制御するのが好ましい。このようにしたときには、製氷機の設置場所の温度が低いときに、算出した平均温度が長時間、保冷設定温度以上とならないおそれがあるが、平均温度を算出開始してから所定の経過時間または平均温度を算出する算出回数が所定回数以上となっても平均温度が設定温度より高くならないときに、保冷運転時間経過後に停止させた保冷運転を自動的に再開させるように制御することで、算出した平均温度が継続的に保冷設定温度以上とならないことで積算温度を算出する算出処理の処理限界を超える異常とならないようにすることができる。
【0013】
上記のように構成した製氷機においては、保冷運転を自動的に再開するように制御した後では、温度センサにより保冷設定温度以上の温度を検出したときに、保冷運転時間経過後に停止させた保冷運転を再開するように制御するのが好ましい。平均温度が保冷設定温度以上とならずに保冷運転時間経過後に停止させた保冷運転を自動的に再開させるように制御したときには、製氷機を設置場所の温度が低くなっていて、平均温度が再び保冷設定温より高くなりにくいおそれがある。この場合には、温度センサにより保冷設定温以上の温度を検出したときに、保冷運転時間経過後に停止させた保冷運転を再開するように制御することで、積算温度を算出する算出処理の処理限界を超える異常とならないようにすることができる。なお、保冷運転を自動的に再開するように制御した後では、平均温度を再度算出開始させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図5】製氷モードの除氷運転から待機モードに移行し、待機モード開始時に保冷運転を実行するときのタイムチャートである。
【
図6】
図5の待機モード開始時に保冷運転を実行しないときのタイムチャートである。
【
図7】待機モードから製氷モードに移行するときのタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の製氷機の一実施形態を図面を用いて説明する。
図1及び
図2に示したように、この実施形態の製氷機10は、所謂クローズドセルタイプの製氷機であり、ハウジング11の上部を構成する上側ハウジング12と、ハウジング11の下部を構成する下側ハウジング13と、上側ハウジング12内に製氷室14と機械室15と、下側ハウジング13に貯氷室16とを備えている。
図1では貯氷室16内の氷を一点鎖線にて示している。
【0016】
図2に示したように、製氷機10は氷を製造する製氷機構部20を備え、製氷機構部20は、製氷水を凍結させて氷を製造する製氷部21と、製氷部21を冷却及び加温する冷凍装置30と、製氷部21に製氷水を送出する送水手段22とを備えている。製氷部21は、製氷室14内に配設されており、下側が開口した浅い箱形状の内部に格子状の仕切部材を設けることで下側に開いた複数の製氷小室21aが形成されている。各製氷小室21aに下側から製氷水が噴射送出され、各製氷小室21a内には製氷水が凍結することでブロック形の氷が形成される。
【0017】
製氷部21の上面には冷凍装置30を構成する蒸発器34が配設されている。冷凍装置30は、冷却運転及び加温運転によって製氷部21を冷却または加温可能とするものであり、製氷室14内にて製氷部21の上側に配設された蒸発器34を除いて機械室15内に配設されている。冷凍装置30は、冷媒を圧縮する圧縮機31と、圧縮機31から圧送された冷媒を冷却して液化させる凝縮器32と、凝縮器32にて液化させた液化冷媒を膨張させて低圧の液化冷媒とする膨張弁33と、膨張弁33により膨張させた液化冷媒を気化させて製氷部21を冷却する蒸発器34とを備えている。冷凍装置30は圧縮機31、凝縮器32、膨張弁33及び蒸発器34を冷媒管によって環状に接続して冷凍回路が構成されている。冷凍装置30の冷却運転を実行すると、圧縮機31から圧送された冷媒が凝縮器32にて冷却されて液化冷媒となり、液化冷媒は膨張弁33にて低圧の液化冷媒となり、低圧の液化冷媒は蒸発器34にて蒸発するときの気化熱によって製氷部21を冷却する。
【0018】
圧縮機31は短時間での発停(作動及び作動停止)を繰り返すのを防止するために、最低運転時間(この実施形態では3分)と最低停止時間(この実施形態では3分)が設定されている。凝縮器32には凝縮器ファン32aが設けられており、凝縮器32を通過する冷媒は凝縮器ファン32aによる送風によって冷却される。凝縮器32には凝縮器温度センサ32bが設けられており、凝縮器温度センサ32bは凝縮器32を通過する冷媒の温度を検出するともに、後述する機械室15内の温度を検出するのにも用いられる。蒸発器34は熱導電性の高い管部材を用いたものであり、製氷部21の上側で蛇行状に配置されている。
【0019】
また、冷凍装置30は蒸発器34にホットガスを供給するホットガス管(ホットガス経路)35を備えている。ホットガス管35は、圧縮機31の下流と蒸発器34の上流とを接続して、圧縮機31からのホットガスを蒸発器34に導くようにしている。ホットガス管35にはホットガス弁36が介装されており、ホットガス弁36はホットガス管35を開閉可能としている。冷凍装置30を加温運転すると、圧縮機31から送出されるホットガスはホットガス弁36の開放によって蒸発器34に導かれ、ホットガスは蒸発器34を通過するときに製氷部21を加温する。このように、製氷部21は、冷凍装置30の冷却運転によって循環する冷媒が蒸発器34で蒸発することによって冷却され、冷凍装置30の加温運転によって圧縮機31から蒸発器34に送出されるホットガスによって加温される。
【0020】
図2に示したように、製氷部21の下側には製氷水を送出する送水手段22が設けられている。送水手段22は、製氷部21の製氷小室21aの下側を開閉自在に塞ぐ水皿23と、水皿23の下側にて製氷水を貯える製氷水タンク24と、製氷水タンク24内の製氷水を製氷部21に送出する送水ポンプ25とを備えている。水皿23、製氷水タンク24及び送水ポンプ25は製氷部21と同様に製氷室14内に配設されている。水皿23は、製氷小室21aの下側を塞ぐ閉塞位置(
図2の実線に示した)と製氷小室21aの下側を開放する開放位置(
図2の二点鎖線に示した)との間で水平軸線回りに傾動可能に軸支されている。水皿23には開閉機構26が設けられており、水皿23は開閉機構26のアクチュエータモータ26aの駆動によって閉塞位置と開放位置との間で傾動して製氷小室21aの下側を開閉させている。
図3に示したように、水皿23には製氷水タンク24から送出される製氷水を各製氷小室21aに送るための製氷水通路23aが形成されており、水皿23の上面には製氷水通路23aから各製氷小室21aに製氷水を噴射させる噴射孔23bが形成されている。
【0021】
製氷水タンク24には水道等の給水源の水を製氷水として供給する給水管27が接続されており、給水管27には給水弁27aが介装されている。給水源の水は、給水弁27aを開放することによって給水管27を通って製氷水タンク24に供給される。製氷水タンク24内の製氷水は送水ポンプ25によって水皿23の製氷水通路23aに送出され、製氷水通路23aに送出された製氷水は噴射孔23bから製氷小室21aに噴射される。噴射された製氷水は製氷小室21a内で冷却されつつ製氷水タンク24に戻り、製氷水は製氷水タンク24と製氷小室21aとの間を循環することで冷却されながら製氷小室21a内で凍結して氷となる。
【0022】
製氷水タンク24の下側にはドレンパン28が設けられており、ドレンパン28は製氷運転後に製氷水タンク24に残る製氷水を受けるようにしたものである。ドレンパン28には排水管(図示省略)が接続されており、ドレンパン28で受けた製氷水は排水管を通ってハウジング11の外側に排出される。また、ドレンパン28は、製氷部21の下側を覆っており、製氷部21により製造された氷を貯氷室16に放出する放出口28aを有した状態で製氷室14と貯氷室16とを仕切る仕切部として機能している。
【0023】
製氷部21には製氷部温度センサ41が設けられており、製氷部温度センサ41は製氷部21の温度を検出することにより後述する製氷運転での製氷完了及び除氷運転での除氷完了を検知可能としている。製氷室14には製氷室温度センサ42が設けられており、製氷室温度センサ42は製氷室内14の温度を検出する。この実施形態では、製氷室温度センサ42は、製氷室14内にて製氷部21から氷が放出口28aに送出される経路に配置されている。貯氷室16には氷が満たされたことを検知する貯氷検知器43が設けられている。貯氷検知器43は、製氷室14から放出口28aを通って貯氷室16まで延出しており、放出口28aの下側にて貯氷室16内の上部に堆積した氷を検知して、貯氷室16内の氷が満たされたことを検知する。
【0024】
製氷機10は制御装置50を備えており、
図4に示したように、この制御装置50は、送水ポンプ25、開閉機構26のアクチュエータモータ26a、給水弁27a、圧縮機31、凝縮器ファン32a、凝縮器温度センサ32b、ホットガス弁36、製氷部温度センサ41、製氷室温度センサ42及び貯氷検知器43に接続されている。制御装置50はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。制御装置50は、製氷部21にて製氷水を凍結させて氷を製造する製氷運転と、製氷運転により製氷部21で凍結させた氷を離脱させて除氷する除氷運転とを交互に繰り返し実行させる製氷プログラムを有している。
【0025】
制御装置50は、貯氷検知器43により貯氷室16内に氷が満たされたことを検知していないときには、製氷モードとして製氷運転と除氷運転とを交互に繰り返す製氷プログラムを実行して、貯氷室16内に貯える氷を製造している。また、制御装置50は、貯氷検知器43により貯氷室16内に氷が満たされたことを検知したときには、待機モードとして製氷運転と除氷運転とを繰り返す製氷プログラムを実行せずに待機している。また、制御装置50は、この待機モード中に、冷凍装置30の作動を制御して製氷室14内と貯氷室16内を冷却する保冷運転を実行するように制御している。
【0026】
保冷運転は、冷凍装置30の冷却運転(作動)によって製氷部21を冷却し、冷却された製氷部21により製氷室14及び貯氷室16を冷却するようにしたものである。保冷運転は、製氷室14内を低温に保って細菌の繁殖を抑えるようにするともに、貯氷室16内に貯える複数の氷が凍結して結合する所謂アーチングを生じさせないようにしつつ氷を融けない貯えるようにすることを目的としたものである。保冷運転を実行することで、製氷室14内は冷凍装置30の冷却運転により冷却された製氷部21によって冷却され、貯氷室16内は製氷室14内の冷気が流れ落ちることによって冷却される。製氷室14内は冷却された製氷部21により低温に保たれて細菌等の繁殖が抑えられて衛生的となり、貯氷室16内は製氷室14内から放出口28aを通って流れ落ちる冷気によって氷が融けるのが防がれる。
【0027】
この保冷運転は、製氷運転を実行するときに送水手段22によって製氷水が送出された製氷部21を冷凍装置30の冷却運転により冷却するときと異なり、送水手段22によって製氷水が送出されない製氷部21を冷凍装置30の冷却運転により冷却しているので、冷凍装置30の冷却運転により製氷部21を冷却する負荷が製氷運転の実行時より小さい(低い)。保冷運転を実行するときに、製氷部温度センサ41の検出温度に基づいて製氷室14内を冷却するための温度として設定された保冷設定温度となるように冷凍装置30を作動制御すると、冷凍装置30を構成する圧縮機31が短時間で作動停止するおそれがあり、圧縮機31は設定されている最低運転時間(この実施形態では3分)で作動させることができないおそれがある。
【0028】
このため、制御装置50は、保冷運転により冷凍装置30の圧縮機31を作動開始させてから圧縮機31にて設定されている最低運転時間以上で設定した保冷運転時間(この実施形態では圧縮機31の最低運転時間と同じ3分に設定されており、製氷室14及び貯氷室16の冷却状態に応じて例えば3分~5分で設定可能としている)経過後に冷凍装置30の圧縮機31の作動を停止させるように制御している。なお、製氷室14内が広くて保冷運転時間で製氷室14内を十分に冷却できないおそれがあるときには、保冷運転時間を上述した3分~5分よりも長い時間として例えば7分としてもよい。また、製氷室14内を十分に冷却できないおそれがあるときに、保冷運転時間経過後であり、さらに、製氷室温度センサ42により保冷設定温度(この実施形態では例えば11℃)以下となったときに冷凍装置30の圧縮機31の作動を停止させるように制御してもよい。なお、製氷室14内を広くして保冷運転時間を5分以上に長く設定したときには、製氷室14を冷却する過程で製氷部21が過剰に冷却され、製氷部温度センサ41が断線であるとの誤検知をするおそれがある。これに対し、保冷運転時間を長く設定したときには、保冷運転時間経過前であっても、圧縮機31の最低運転時間経過後であり、製氷部温度センサ41の断線であるとの誤検知とならないように保護する保護温度(この実施形態では-60℃)より高く設定した下限温度(この実施形態では-45℃)以下を製氷部温度センサ41により検出したときに、冷凍装置30の圧縮機31の作動を停止させるように制御することで、製氷室14を冷却する過程で製氷部21が過剰に冷却されないようにし、製氷部温度センサ41が断線であるとの誤検知とならないようにすることができる。
【0029】
次に、製氷モード中に実行される製氷プログラムについて説明する。制御装置50は、製氷モード中に製氷プログラムを実行したときに製氷部21にて製氷運転と除氷運転とを交互に繰り返し実行する。制御装置50は、製氷運転を実行させたときに、冷凍装置30を冷却運転させると、圧縮機31から圧送された冷媒が凝縮器32により液化されて液化冷媒となり、液化冷媒は膨張弁33により膨張して低圧の液化冷媒となり、低圧の液化冷媒は蒸発器34で気化してから圧縮機31に戻り、製氷部21は蒸発器34で液化冷媒が気化することによって冷却される。また、制御装置50は、開閉機構26のアクチュエータモータ26aにより水皿23を閉塞位置に傾動させた状態で、給水弁27aを製氷水タンク24の容量に応じた所定時間開放することで、製氷水タンク24には製氷部21にて氷を形成するのに必要な量の製氷水が貯えられる。
【0030】
制御装置50は冷凍装置30を冷却運転させた状態で送水ポンプ25を作動させると、製氷水タンク24内の製氷水は送水ポンプ25の作動によって製氷部21の各製氷小室21aに噴射送出され、噴射送出された製氷水は各製氷小室21a内で冷却されて製氷水タンク24内に再び戻り、製氷水は製氷水タンク24と各製氷小室21aとの間を循環する過程で冷却されて各製氷小室21a内で徐々に凍結する。製氷水タンク24内の製氷水が減少し、製氷水が各製氷小室21a内で凍結してブロック形の氷が形成されるようになり、製氷部温度センサ41による検出温度が製氷完了温度以下となると、制御装置50は製氷運転を終了させて除氷運転を開始する。
【0031】
製氷運転後の除氷運転では、制御装置50は、圧縮機31を作動させた状態でホットガス弁36を開放して冷凍装置30を加温運転させるとともに、開閉機構26のアクチュエータモータ26aにより水皿23を開放位置に傾動させる。冷凍装置30を加温運転させると、圧縮機31から送出されるホットガスは、ホットガス管35を通って蒸発器34に導かれて製氷部21の各製氷小室21aを加温する。製氷部21の温度は蒸発器34に導入されるホットガスによって徐々に上昇して、各製氷小室21a内で凍結した氷は離脱して水皿23を滑り落ちて放出口28aから貯氷室16内に落下する。製氷部21の温度は氷が離脱することにより徐々に上昇し、製氷部温度センサ41の検出温度が除氷が完了したことを検知する除氷完了温度以上となると、制御装置50は、製氷部21の製氷小室21aに氷が残ってない、即ち除氷が完了したと検知して、ホットガス弁36を閉止させて除氷運転を終了する。制御装置50は、貯氷検知器43により貯氷室16内に氷が満たされたことを検知していなければ、上述した製氷運転及び除氷運転を交互に実行する製氷プログラムを再び実行させる。このように、制御装置50は、貯氷検知器43により貯氷室16内に氷が満たされたことを検知するまで、製氷モードにて製氷運転と除氷運転とを交互に繰り返す製氷プログラムを実行するように制御する。
【0032】
製氷運転と除氷運転とを交互に繰り返す製氷プログラムを実行するように制御すると、貯氷室16内に製氷部21で製造された氷が満たされるようになる。
図5に示したように、貯氷検知器43により貯氷室16内に氷が満たされたことを検知すると(
図5で貯氷検知器43がON(満)となったとき)、制御装置50は、製氷モードを終了して待機モードに移行し、製氷運転と除氷運転とを交互に繰り返す製氷プログラムを実行せずに待機するように制御する。制御装置50は、待機モード中に、製氷室14及び貯氷室16内を冷却する保冷運転を実行可能にしており、製氷室14及び貯氷室16内は保冷運転を実行したときに冷凍装置30の冷却運転(作動)により冷却された製氷部21により冷却される。
【0033】
図5に示したように、制御装置50は、製氷モードから移行する待機モード開始時に、製氷室温度センサ42の検出温度が製氷室14を冷却するための温度として設定した保冷設定温度(この実施形態で11℃)以上であるときに、待機モード開始時に保冷運転を実行するように制御している。製氷モードから待機モードに移行させたときの待機モード開始時の保冷運転においては、製氷モードの除氷運転時に圧縮機31を作動させており、除氷運転の終了とともに圧縮機31を作動停止させると、圧縮機31が短時間で発停(作動及び停止)を繰り返すことになる。このため、製氷モードから待機モードに移行させたときいの待機モード開始時に保冷運転を実行するときには、製氷モードの除氷運転終了時に圧縮機31を停止させずにホットガス弁36を閉止させる。圧縮機31から圧送されるホットガスが凝縮器32で冷却されて液化冷媒となって蒸発器34に供給され、製氷部21は蒸発器34で液化冷媒が蒸発することにより冷却される。製氷室14は冷凍装置30の冷却運転によって冷却された製氷部21により冷却されるとともに、貯氷室16は製氷室14から放出口28aを流れ落ちる冷気によって冷却される。
【0034】
これに対し、
図6に示したように、待機モード開始時に製氷室温度センサ42の検出温度が保冷設定温度以上でないときには、待機モード開始時に保冷運転を実行しないように制御している。待機モード開始時に保冷運転を実行しないときに、冷凍装置30の圧縮機31の作動を停止させるとともにホットガス弁36を閉止させる。待機モードの開始時(製氷モードでの除氷運転の終了時)に圧縮機31の作動を停止させてから圧縮機31の最低停止時間より長く設定された最低運転停止時間(この実施形態では10分で設定されている)以上経過した後で、製氷室温度センサ42の検出温度が保冷設定温度以上となったときには、制御装置50は保冷運転を実行するように制御している。なお、この実施形態の保冷運転の最低停止運転時間は、例えば1時間のような長い時間単位で圧縮機31の発停回数を減らすことを目的として、圧縮機31の最低停止時間である3分よりも長い10分に設定されている。
【0035】
保冷運転を実行すると、製氷室14及び貯氷室16内の温度が低下し、圧縮機31にて設定されている最低運転時間以上で設定した保冷運転時間経過後に、制御装置50は冷凍装置30の圧縮機31の作動を停止させるように制御している。また、制御装置50は、保冷運転の開始後から、製氷室温度センサ42により検出される検出温度を経時的に積算した積算温度をタイマで計測した保冷運転開始からの経過時間で除することによって積算温度の単位時間あたりの平均温度を算出している。上述したように、圧縮機31は短時間での発停(作動及び作動停止)を防止するために、圧縮機31には作動停止後に最低停止時間が設定されている。圧縮機31の作動停止後に最低停止時間より長く設定した最低運転停止時間(この実施形態では10分で設定されている)経過した後であるとともに、算出した平均温度が製氷室14の保冷設定温度以上となると、停止されている保冷運転を再開させるように制御する。このように、製氷室14及び貯氷室16は待機モード中に保冷運転を実行することによって保冷設定温度となるように冷却されており、保冷運転を実行するときに圧縮機31が短時間で発停を繰り返さないように制御されている。なお、保冷運転を再開させた後では、製氷室温度センサ42により検出される検出温度を経時的に積算した積算温度と経過時間をリセットして新たに積算温度の算出を開始させる。
【0036】
また、製氷機10を設置した設置場所の温度が低い等の周囲の温度の影響により、保冷運転開始後から算出した平均温度が保冷設定温度以上とならないときがある。平均温度が保冷設定温度以上とならずに、保冷運転時間経過後に停止させた保冷運転が再開されないと、制御装置50が積算温度を算出する算出処理の処理限界を超えるおそれがある。制御装置50が、積算温度または平均温度を算出開始してから所定の経過時間として例えば2時間または積算温度または平均温度を算出する算出回数が所定回数として10,000回以上となっても平均温度が保冷設定温度以上とならないときには、保冷運転時間経過後に停止させた保冷運転を自動的に再開させるように制御する。また、平均温度が保冷設定温度以上とならずに保冷運転を自動的に再開させたときには、制御装置50は、算出した平均温度に基づいて保冷運転を再開させずに、製氷室温度センサ42の検出温度が保冷設定温度として11℃以上となると保冷運転を再開させるように制御する。なお、保冷運転を自動的に再開するように制御した後では、平均温度を再度算出開始させるようにし、改めて算出開始した平均温度が保冷設定温度以上となると、保冷運転を再開させるように制御してもよい。
【0037】
また、製氷室14内の温度は製氷機10の設置場所の温度の影響を受けやすい。製氷室14内の温度は、設置場所の温度が低いと保冷運転の実行時に温度が下がりやすく(温度の低下速度が速く)、保冷運転の停止時に温度が上がりにくい(温度の上昇速度が遅い)。同様に、製氷室14内の温度は、設置場所の温度が高いと保冷運転の実行時に温度が下がりにくく(温度の低下速度が遅く)、保冷運転の停止時に温度が上がりやすい(温度の上昇速度が速い)。製氷機10の設置場所の温度が異なる状態で、保冷運転の実行の可否の判定基準となったり、停止させた保冷運転を再開させる基準温度となる保冷設定温度を同じ温度に設定していると、保冷運転によって製氷室14内と貯氷室16内を適切に冷却できないおそれがある。特に、製氷機10の設置場所の温度が低いときには、保冷運転の実行時に貯氷室16内の複数の氷が凍結して結合するアーチングが生じるおそれがある。このため、製氷機10を設置した設置場所の温度を検出するために、機械室15内の凝縮器32に設けた凝縮器温度センサ32bを製氷室14の外側の温度を検出する外側温度センサとして用い、凝縮器温度センサ(外側温度センサ)32bの検出温度に基づいて保冷運転の実行の可否の判定及び保冷設定温度を補正するようにしている。
【0038】
凝縮器温度センサ(外側温度センサ)32bの検出温度が例えば15℃以下であるときには、製氷室14及び貯氷室16の温度は製氷機10の設置場所の温度の影響を受けて低くなりやすい。このため、設置場所の温度が低いときには、製氷室14内及び貯氷室16を保冷運転によって冷却する必要もなく、制御装置50は、保冷運転を実行しないように制御することで、貯氷室16内の氷が所謂アーチングを生じるのを防ぐことができる。また、製氷機10は温度が20℃位の場所に設置されることが想定されていて、凝縮器温度センサ(外側温度センサ)32bの検出温度が基準温度として設定された20℃より10℃高い30℃となると、保冷設定温度を11℃から1℃下げて10℃と補正し、凝縮器温度センサ(外側温度センサ)32bの検出温度が基準温度である20℃より10℃低い10℃となると、保冷設定温度を11℃から1℃上げて12℃と補正する。このように、凝縮器温度センサ(外側温度センサ)32bの検出温度に基づいて、保冷運転の実行の可否の判定または保冷設定温度を補正するようにしているので、製氷機10の設置場所の温度によって保冷運転の実行時及び停止時の製氷室14内の温度のばらつきや不具合を抑制することができる。
【0039】
図7に示したように、待機モード中に貯氷検知器43により貯氷室16内に氷が満たされたことを検知しなくなると、制御装置50は、待機モードから製氷モードに移行させる。待機モード中に保冷運転を停止させるように制御しているときには、圧縮機31を最低停止時間である3分以上作動停止させた後に作動開始させるとともに、ホットガス弁36を開放させることで、蒸発器34内にホットガスを送出するようにして、除氷運転を実行することにより製氷部21に氷が残らないようにしている。なお、保冷運転を実行中であれば、圧縮機31を継続して作動させた状態で、ホットガス弁36を開放させることで、蒸発器34内にホットガスを送出するようにして除氷運転を実行する。除氷運転後に製氷モードとして製氷運転と除氷運転とを交互に繰り返す製氷プログラムを実行させる。
【0040】
また、この種の製氷機10においては、製氷機構部20の製氷能力(保冷能力)及び貯氷室16の貯氷容量が異なるものもあり、保冷運転を実行したときの製氷室14及び貯氷室16の冷却具合が上述したものと異なることがある。この場合には、保冷運転の保冷設定温度を補正可能とするのが好ましい。例えば、製氷機構部20の製氷能力が基準となるものより高いときや、貯氷室16内の貯氷容量が基準となるものより小さいときには、保冷設定温度に0℃~5℃の範囲で適宜な温度を加算するように補正し、製氷機構部20の製氷能力が基準となるものより低いときや、貯氷室16内の貯氷容量が基準となるものより大きいときには、保冷設定温度に0℃~5℃の範囲で適宜な温度を減算するように補正できるようにすることで、製氷室14内及び貯氷室16内を適切に保冷できるようになり、例えば、貯氷室16内に複数の氷が凍結することで結合するアーチングの発生を防ぐことができるようになる。なお、この実施形態においては、待機モードの1回目の保冷運転を除いた2回目の保冷運転においては、平均温度が保冷設定温度以上となると保冷運転を実行しているが、これに限られるものでなく、2回目の保冷運転においても、待機モードの1回目の保冷運転と同様に、製氷室温度センサ42の検出温度が保冷設定温度以上となると保冷運転を実行するように制御したものであってもよい。
【0041】
上記のように構成した製氷機10においては、製氷水を凍結させて氷を製造する製氷部21と、圧縮機31により循環供給される冷媒によって製氷部21を冷却する冷凍装置30と、製氷部に製氷水を送出する送水手段22と、製氷部21が配設される製氷室14と、製氷室14の下側に配置されて製氷部21で製造された氷を貯える貯氷室16と、貯氷室16内の氷が満たされたことを検知する貯氷検知器43とを備えている。この製氷機10においては、貯氷検知器43により貯氷室16内に氷が満たされたことを検知していないときには、製氷モードとして冷凍装置30により冷却した製氷部21で送水手段22により送出された製氷水を凍結させて氷を製造する製氷運転を含む製氷プログラムを実行するように制御して貯氷室内16に貯える氷を製造し、貯氷検知器43により貯氷室16内の氷が満たされたことを検知したときには、待機モードとして製氷運転を含む製氷プログラムを実行しないように制御して貯氷室16内に貯える氷を製造せずに待機している。
【0042】
この製氷機10においては、製氷室14の温度を検出する製氷室温度センサ(温度センサ)42を設け、待機モード中に製氷室温度センサ42の検出温度に基づいて冷凍装置30を作動開始させて製氷部21を冷却することにより製氷室14内と貯氷室16内を冷却する保冷運転を実行可能としており、保冷運転を実行開始させてから圧縮機31にて設定されている最低運転時間以上で設定した保冷運転時間経過後に冷凍装置30の作動を停止させるように制御している。保冷運転を実行開始させてから圧縮機31にて設定されている最低運転時間以上で設定した保冷運転時間経過後に冷凍装置30の作動を停止させるように制御しているので、冷凍装置30の圧縮機31が最低運転時間より短い時間で停止されず、圧縮機31が短時間で作動停止することに起因した不具合が生じにくくなる。
【0043】
なお、この実施形態においては、保冷運転は製氷室温度センサ42の検出温度に基づいて冷凍装置30を作動開始させているが、これに限られるものでなく、製氷部温度センサ41の検出温度に基づいて冷凍装置30を作動開始させたものであってもよいし、貯氷室16内の温度を検出する貯氷室温度センサ(図示省略)を設け、貯氷室温度センサの検出温度に基づいて冷凍装置30の作動開始を制御するようにしてもよい。また、この実施形態においては、保冷運転は製氷室14と貯氷室16を冷却するようにしたものであるが、これに限られるものでなく、保冷運転は、製氷室14を冷却するもの(主に製氷室14内を冷却することを目的としたもの)であってもよいし、貯氷室16を冷却するもの(主に貯氷室16内を冷却することを目的としたもの)であってもよい。
【0044】
この製氷機10は、製氷室14及び貯氷室16の外側の温度を検出する外側温度センサとして機械室15内の凝縮器32の凝縮器温度センサ32bを備え、待機モードを実行しているときに製氷室温度センサ42により製氷室14内と貯氷室16内を冷却するための温度として設定された保冷設定温度以上を検出したときに保冷運転を開始するように制御したものであり、凝縮器温度センサ(外側温度センサ)32bの検出温度に基づいて保冷運転の実行の可否の判定または保冷設定温度を補正している。製氷機10の設置場所の温度が低いときに、保冷運転で冷凍装置30の圧縮機31を最低運転時間以上で設定した保冷運転時間で作動させると、製氷室14内と貯氷室16内が過剰に冷却されるおそれがあり、貯氷室16内の氷が所謂アーチングを生じるおそれがある。
【0045】
この製氷機10においては、凝縮器温度センサ(外側温度センサ)32bの検出温度に基づいて保冷運転の実行の可否の判定または保冷設定温度を補正しており、この実施形態では、凝縮器温度センサ(外側温度センサ)32bの検出温度が設定温度より低いときに、保冷運転を実行しないように制御したり、保冷運転を開始するときの保冷設定温度を高く補正している。これにより、製氷機10の設置場所の温度が低くても、貯氷室16内が過剰に冷却されるのを防ぐことができ、貯氷室16内の氷が所謂アーチングを生じにくくすることができる。この実施形態では、外側温度センサとして機械室15内の凝縮器32の凝縮器温度センサ32bを用いているが、これに限られるものでなく、製氷室14及び貯氷室16の外側として、機械室15内の温度を検出する外側温度センサを設けたり、ハウジング11の外側の温度を検出する外側温度センサを設けるようにし、これらの外側温度センサの検出温度に基づいて保冷運転の実行の可否の判定または保冷設定温度を補正するようにしてもよい。
【0046】
この製氷機10においては、保冷運転の開始後に製氷室温度センサ42により検出される検出温度を経時的に積算した積算温度を経過時間で除することによって積算温度の単位時間あたりの平均温度を算出し、平均温度が製氷室14内及び貯氷室16内を冷却するための温度として設定された保冷設定温度以上となると、保冷運転時間経過後に停止させた保冷運転を再開させるように制御している。製氷室14内の温度は外的要因等によって大きく変動するおそれがあるものの、平均温度が製氷室14内及び貯氷室16内を冷却するための温度として設定された保冷設定温度以上となると、保冷運転時間経過後に停止させた保冷運転を再開させるように制御しているので、製氷室14内及び貯氷室16内を安定して保冷設定温度となるように冷却することができる。なお、平均温度が保冷設定温度以上となると、保冷運転時間経過後に停止させた保冷運転を再開させるように制御しているときにも、保冷設定温度は上述したように凝縮器温度センサ(外側温度センサ)32bの検出温度に基づいて補正可能としている。
【0047】
平均温度が製氷室14内及び貯氷室16内を冷却するための温度として設定された保冷設定温度以上となると、保冷運転時間経過後に停止させた保冷運転を再開させるように制御するときに、製氷機10の設置場所の温度が低い等の影響により、保冷運転開始後から算出した平均温度が保冷設定温度以上とならないときがある。平均温度を算出開始してから所定の経過時間、または、平均温度もしくは積算温度を算出する算出回数が所定回数以上となっても平均温度が保冷設定温度以上とならないときに、保冷運転時間経過後に停止させた保冷運転を自動的に再開させるように制御している。これにより、製氷機10を設置した設置場所の温度が低い等の影響により、算出した平均温度が継続的に保冷設定温度以上とならないことで積算温度を算出する算出処理の処理限界を超える異常とならないようにすることができる。
【0048】
製氷機10の設置場所の温度が低い等の影響によって、保冷運転を自動的に再開するように制御した後では、平均温度が保冷設定温度以上とならない可能性が高い。このため、保冷運転を自動的に再開するように制御した後では、製氷室温度センサ42により保冷設定温度以上の温度を検出したときに、保冷運転時間経過後に停止させた保冷運転を再開するように制御している。これによって、積算温度を算出する算出処理の処理限界を超える異常とならないようにすることができる。なお、保冷運転を自動的に再開するように制御した後では、平均温度を再度算出開始させるようにし、改めて算出開始した平均温度が保冷設定温度以上となると保冷運転を実行させるように制御してもよい。
【0049】
この実施形態の製氷機10は、所謂クローズドセルタイプの製氷機であるが、これに限られるものでなく、貯氷検知器43により貯氷室16内に氷が満たされたことを検知していないときには、製氷モードとして製氷運転を実行するように制御し、貯氷検知器43により貯氷室16内に氷が満たされたことを検知したときには、待機モードとして製氷運転を実行しないようにする製氷機であれば、所謂オープンセルタイプの製氷機や、水平方向に開口した製氷小室に製氷水を流下させるバーチカルタイプの製氷機等の他の製氷機にも適用されるものである。また、この実施形態の製氷機10は、製氷室14と貯氷室16とが放出口28aを除いてドレンパン(仕切部)28により仕切られているが、これに限られるものでなく、製氷室14と貯氷室16とが仕切部によって仕切られることなく一体となったものであってもよい。また、この実施形態の温度や等の記載は一例であり、本発明は、これらの温度や時間等の記載に限られるものではない。
【符号の説明】
【0050】
10…製氷機、14…製氷室、16…貯氷室、21…製氷部、30…冷凍装置、31…圧縮機、32b…外側温度センサ(凝縮器温度センサ)、42…温度センサ(製氷室温度センサ)、43…貯氷検知器。