(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054945
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】製氷機
(51)【国際特許分類】
F25C 1/04 20180101AFI20240411BHJP
F25C 1/045 20180101ALI20240411BHJP
【FI】
F25C1/04 302Z
F25C1/045 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161426
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】門脇 静馬
(72)【発明者】
【氏名】富永 祐之
(72)【発明者】
【氏名】高橋 賢二
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 祐真
(72)【発明者】
【氏名】錦織 由和
(72)【発明者】
【氏名】山本 匡人
(72)【発明者】
【氏名】泉川 尚斗
(72)【発明者】
【氏名】山崎 真
(57)【要約】
【課題】貯氷室内に氷が満たされたことを検知したことにより製氷運転を実行しないで待機する待機モード中に、製氷部を収容する製氷室内を適切な温度に冷却して清潔に保つ。
【解決手段】製氷機10は、貯氷検知器43により貯氷室16内に氷が満たされたことを検知したときには、待機モードとして製氷運転を実行しないように制御して貯氷室16内に貯える氷を製造せずに待機しており、製氷室14内にて製氷部21と製氷部21で製造した氷を貯氷室16へ放出する氷の放出口28aとの間の高さ位置にて製氷部21の周囲の温度を検出する製氷室温度センサ42を設け、待機モード中に製氷室温度センサ42の検出温度に基づいて冷凍装置30の作動を制御して製氷部21を冷却することにより製氷室14内を冷却する保冷運転を実行可能とした。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製氷水を凍結させて氷を製造する製氷部と、
圧縮機により循環供給される冷媒によって前記製氷部を冷却する冷凍装置と、
前記製氷部に製氷水を送出する送水手段と、
前記製氷部が配設される製氷室と、
前記製氷室の下側に配置されて前記製氷部で製造された氷を貯える貯氷室と、
前記製氷部により製造された氷を前記貯氷室に放出する放出口を有した状態で前記製氷室と前記貯氷室とを仕切る仕切部と、
前記貯氷室内の氷が満たされたことを検知する貯氷検知器とを備え、
前記貯氷検知器により前記貯氷室内に氷が満たされたことを検知していないときには、製氷モードとして前記冷凍装置により冷却した前記製氷部で前記送水手段により送出される製氷水を凍結させて氷を製造する製氷運転を実行するように制御して前記貯氷室内に貯える氷を製造し、
前記貯氷検知器により前記貯氷室内に氷が満たされたことを検知したときには、待機モードとして前記製氷運転を実行しないように制御して前記貯氷室内に貯える氷を製造せずに待機する製氷機であって、
前記製氷室内にて前記製氷部と前記放出口との間の高さ位置にて前記製氷部の周囲の温度を検出する製氷室温度センサを設け、
前記待機モード中に前記製氷室温度センサの検出温度に基づいて前記冷凍装置の作動を制御して前記製氷部を冷却することにより前記製氷室内を冷却する保冷運転を実行可能としたことを特徴とする製氷機。
【請求項2】
請求項1に記載の製氷機において、
前記貯氷検知器は前記製氷室から前記貯氷室に延出するように前記放出口を跨がって配置されており、
前記製氷室温度センサを前記製氷室内にて前記貯氷検知器に取り付けたことを特徴とする製氷機。
【請求項3】
請求項1に記載の製氷機において、
前記製氷室温度センサを前記製氷室内にて前記放出口の上方領域に配置したことを特徴とする製氷機。
【請求項4】
請求項1に記載の製氷機において、
前記製氷室温度センサを前記仕切部の上面側にて前記放出口の近傍位置に配置したことを特徴とする製氷機。
【請求項5】
請求項1に記載の製氷機において、
前記冷凍装置は、前記圧縮機から圧送されて凝縮器により凝縮された冷媒を前記製氷部に設けた蒸発器により蒸発させることで前記製氷部を冷却する冷却運転と、前記圧縮機から前記蒸発器にホットガスを送出することによって前記製氷部を加温する加温運転とを実行可能としたものであり、
前記製氷モードでは、前記冷凍装置を冷却運転することにより冷却した前記製氷部に前記送水手段により製氷水を送出して凍結させて氷を製造する製氷運転と、前記製氷運転後に前記冷凍装置を前記加温運転することにより加温した前記製氷部から氷を離脱させる除氷運転とを交互に実行するように制御したものであり、
前記待機モード開始時に前記保冷運転を実行するか否かを判定する判定手段を備え、
前記待機モード開始時に前記判定手段により保冷運転を実行しないときには、
前記冷凍装置の冷却運転を一時的に実行するように制御して前記製氷部を一時的に冷却するようにしたことを特徴とする製氷機。
【請求項6】
請求項1に記載の製氷機において、
前記保冷運転の開始後に前記製氷室温度センサの検出温度を経時的に積算した積算温度を経過時間で除することによって前記積算温度の単位時間あたりの平均温度を算出し、前記保冷運転を停止させるように制御した後で、前記平均温度が前記製氷室を冷却するための温度として設定された保冷設定温度以上となると、前記保冷運転を再開させるように制御したことを特徴とする製氷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製氷室内に設けた製氷部で氷を製造する製氷機に関し、製氷室の下側の貯氷室に氷が満たされたときに製氷部で氷の製造を待機するようにした製氷機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、製氷室内に設けた製氷部で氷を製造する製氷機の発明が開示されている。この製氷機は、製氷水を凍結させて氷を製造する製氷部と、圧縮機により循環供給される冷媒によって製氷部を冷却する冷凍装置と、製氷部に製氷水を送出する送水手段と、製氷部が配設される製氷室と、製氷室の下側に配置されて製氷部で製造された氷を貯える貯氷室と、貯氷室内にて氷が満たされたことを検知する貯氷検知器とを備えている。
【0003】
この製氷機においては、冷凍装置により冷却された製氷部で送水手段により製氷水を送出して凍結させることにより氷を製造する製氷運転と、冷凍装置から製氷部にホットガスを送出することによって製氷部から氷を離脱させる除氷運転とを交互に実行することにより、貯氷室内に貯える氷を製造している。貯氷検知器により氷が満たされたことを検知していないときには、製氷モードとして製氷運転と除氷運転とを交互に実行するように制御して貯氷室内に貯える氷を製造し、貯氷検知器により氷が満たされたことを検知したときには、貯氷モード(待機モード)として製氷運転と除氷運転とを実行しないように制御して貯氷室内に貯える氷を製造せずに待機している。
【0004】
この製氷機においては、貯氷モードであるときに、貯氷室内の温度の上昇を抑制するための保冷運転を実行するように制御しており、保冷運転は冷凍装置により製氷部を冷却することによって製氷室内を介して貯氷室内を冷却するようにしている。この製氷機は、貯氷室または製氷部の温度を検出する温度センサを備えており、保冷運転ではこの温度センサの検出温度が上限温度となると冷凍装置を作動させ、温度センサの検出温度が下限温度となると冷凍装置の作動を停止させるように制御されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の製氷機は、貯氷モード(待機モード)中に貯氷室内を保冷運転によって冷却したものであり、製氷室内を冷却することを目的としたものではない。製氷室内を貯氷室内の保冷運転と同様に冷却可能であるものの、製氷室は貯氷室よりも上側に配置されているので貯氷室と同様の保冷運転を実行しても貯氷室よりも温度が高くなりやすい。製氷室内の壁面及び製氷部の各部品には氷を製造する過程で製氷水が付着しており、貯氷室よりも温度が高くなっている製氷室内の壁面及び製氷部の各部品に細菌が繁殖しやすくなっていた。
【0007】
また、貯氷室内を冷却する保冷運転は貯氷室または製氷部の温度を検出する温度センサの検出温度に基づいて保冷運転を実行しているが、製氷室内を貯氷室内の保冷運転と同様に貯氷室内に配置した温度センサの検出温度に基づいて保冷運転を実行すると、製氷室内は温度差のある貯氷室内の温度に基づいて保冷運転が実行されることになり、製氷室内を適切な温度に保冷運転することができないおそれがある。同様に、製氷室内を貯氷室内の保冷運転と同様に製氷部に配置した温度センサの検出温度に基づいて保冷運転を実行すると、製氷室内は冷凍装置により直接冷却されている製氷部の温度に基づいて保冷運転が実行されることになり、製氷室内を適切な温度に保冷運転することができないおそれがある。本発明は、貯氷室内に氷が満たされたことを検知したことにより製氷運転を実行しないで待機する待機モード中に、製氷部を収容する製氷室内を適切な温度に冷却して清潔に保つことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するため、製氷水を凍結させて氷を製造する製氷部と、圧縮機により循環供給される冷媒によって製氷部を冷却する冷凍装置と、製氷部に製氷水を送出する送水手段と、製氷部が配設される製氷室と、製氷室の下側に配置されて製氷部で製造された氷を貯える貯氷室と、製氷部により製造された氷を貯氷室に放出する放出口を有した状態で製氷室と貯氷室とを仕切る仕切部と、貯氷室内の氷が満たされたことを検知する貯氷検知器とを備え、貯氷検知器により貯氷室内に氷が満たされたことを検知していないときには、製氷モードとして冷凍装置により冷却した製氷部で送水手段により送出される製氷水を凍結させて氷を製造する製氷運転を実行するように制御して貯氷室内に貯える氷を製造し、貯氷検知器により貯氷室内に氷が満たされたことを検知したときには、待機モードとして製氷運転を実行しないように制御して貯氷室内に貯える氷を製造せずに待機する製氷機であって、製氷室内にて製氷部と放出口との間の高さ位置にて製氷部の周囲の温度を検出する製氷室温度センサを設け、待機モード中に製氷室温度センサの検出温度に基づいて冷凍装置の作動を制御して製氷部を冷却することにより製氷室内を冷却する保冷運転を実行可能としたことを特徴とする製氷機を提供するものである。
【0009】
上記のように構成した製氷機においては、製氷室内にて製氷部と放出口との間の高さ位置にて製氷部の周囲の温度を検出する製氷室温度センサを設け、待機モード中に製氷室温度センサの検出温度に基づいて冷凍装置の作動を制御して製氷部を冷却することにより製氷室内を冷却する保冷運転を実行可能としている。待機モード中の保冷運転は製氷室内にて製氷部と放出口との間の高さ位置にて製氷部の周囲の温度を検出する製氷室温度センサに基づいて冷凍装置の作動が制御されているので、製氷室内は製氷部の周囲の温度に基づいて安定した温度制御がされるようになり、製氷室内を細菌の繁殖を抑えて清潔に保つことができる。
【0010】
上記のように構成した製氷機においては、貯氷検知器は製氷室から貯氷室に延出するように放出口を跨がって配置されており、製氷室温度センサを製氷室内にて貯氷検知器に取り付けるようにしてもよい。製氷室温度センサは、氷の放出口を跨がって配置された貯氷検知器に取り付けられることで、製氷室から貯氷室に冷気が流れる経路に配置され、製氷室内の温度を安定して検出することができるようになる。
【0011】
上記のように構成した製氷機においては、製氷室温度センサを製氷室内にて放出口の上方領域に配置してもよい。製氷室温度センサは氷の放出口の上方領域に配置されることで、製氷室から貯氷室に冷気が流れる経路に配置され、製氷室内の温度を安定して検出することができるようになる。
【0012】
上記のように構成した製氷機においては、製氷室温度センサを仕切部の上面側にて放出口の近傍位置に配置するようにしてもよい。製氷室温度センサは、仕切部の上面側にて氷の放出口の近傍位置に配置されることで、製氷室から貯氷室に冷気が流れる経路に配置され、製氷室内の温度を安定して検出することができるようになる。
【0013】
上記のように構成した製氷機においては、冷凍装置は、圧縮機から圧送されて凝縮器により凝縮された冷媒を製氷部に設けた蒸発器により蒸発させることで製氷部を冷却する冷却運転と、圧縮機から蒸発器にホットガスを送出することによって製氷部を加温する加温運転とを実行可能としたものであり、製氷モードでは、冷凍装置を冷却運転することにより冷却した製氷部に送水手段により製氷水を送出して凍結させて氷を製造する製氷運転と、製氷運転後に冷凍装置を加温運転することにより加温した製氷部から氷を離脱させる除氷運転とを交互に実行するように制御されるものであり、待機モード開始時に保冷運転を実行するか否かを判定する判定手段を備え、待機モード開始時に判定手段により保冷運転を実行しないときには、冷凍装置の冷却運転を一時的に実行するように制御して製氷部を一時的に冷却するようにしている。待機モード開始時に判定手段により保冷運転を実行しないと判定したときであっても、冷凍装置を加温運転から一時的に冷却運転を実行するように制御して製氷部を一時的に冷却しているので、製氷室内が除氷運転時に冷凍装置の加温運転によって加温された製氷部に残る熱により温度が高くならないようにすることができる。
【0014】
上記のように構成した製氷機においては、保冷運転の開始後に製氷室温度センサの検出温度を経時的に積算した積算温度を経過時間で除することによって積算温度の単位時間あたりの平均温度を算出し、保冷運転を停止させるように制御した後で、平均温度が製氷室を冷却するための温度として設定された保冷設定温度以上となると、保冷運転を再開させるように制御するのが好ましい。このようにしたときには、製氷室内の温度が外的要因等によって大きく変動しても、製氷室内を安定して冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図4】上側ハウジングの前面パネルを取り外した状態の斜視図である。
【
図6】製氷モードの除氷運転から待機モードに移行し、待機モード開始時に保冷運転を実行するときのタイムチャートである。
【
図7】
図5の待機モード開始時に保冷運転を実行しないときのタイムチャートである。
【
図8】待機モード開始時に保冷運転を実行しなくても冷凍装置の冷却運転を一時的に実行するときのタイムチャートである。
【
図9】待機モードから製氷モードに移行するときのタイムチャートである。
【
図10】貯氷検知器に製氷室温度センサを取り付けた実施形態の
図4に相当する斜視図である。
【
図11】ドレンパンの上面側に製氷室温度センサを配置した実施形態の
図4に相当する斜視図である。
【
図12】水皿の開口側と反対側に製氷室温度センサを配置した実施形態の
図4に相当する斜視図である。
【
図13】製氷室の上部にて蒸発器の上側に製氷室温度センサを配置した参考実施形態の前後方向の中央部の位置で左右方向に沿った断面斜視図である。
【
図14】貯氷室内にてドレンパンの下面側に貯氷室温度センサを配置した参考実施形態の
図4に相当する斜視図である。
【
図15】製氷室内の上部にて蒸発器の上側にファンを設け、ファンの送風方向を放出口と反対側の斜め上方に向けたときの概略図である。
【
図16】製氷室内の上部にて蒸発器の上側にファンを設け、ファンの送風方向を鉛直方向下向きとしたときの概略図である。
【
図17】製氷室内の右側部にて水皿の開口側にファンを設け、ファンの送風方向を水皿を開けた状態の製氷部の下面に向けたときの概略図である。
【
図18】製氷室内の下部にてドレンパンの上側にファンを設け、ファンの送風方向を鉛直方向下向きとしたときの概略図である。
【
図19】製氷室内の上部にファンを設け、ファンの送風方向を製氷部温度センサに向けたときの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の製氷機の一実施形態を図面を用いて説明する。
図1及び
図2に示したように、この実施形態の製氷機10は、所謂クローズドセルタイプの製氷機であり、ハウジング11の上部を構成する上側ハウジング12と、ハウジング11の下部を構成する下側ハウジング13と、上側ハウジング12内に製氷室14と機械室15と、下側ハウジング13に貯氷室16とを備えている。
図1では貯氷室16内の氷を一点鎖線にて示している。
【0017】
図2に示したように、製氷機10は氷を製造する製氷機構部20を備え、製氷機構部20は、製氷水を凍結させて氷を製造する製氷部21と、製氷部21を冷却及び加温する冷凍装置30と、製氷部21に製氷水を送出する送水手段22とを備えている。製氷部21は、製氷室14内に配設されており、下側が開口した浅い箱形状の内部に格子状の仕切部材を設けることで下側に開いた複数の製氷小室21aが形成されている。各製氷小室21aに下側から製氷水が噴射送出され、各製氷小室21a内には製氷水が凍結することでブロック形の氷が形成される。
【0018】
製氷部21の上面には冷凍装置30を構成する蒸発器34が配設されている。冷凍装置30は、冷却運転及び加温運転によって製氷部21を冷却または加温可能とするものであり、製氷室14内にて製氷部21の上側に配設された蒸発器34を除いて機械室15内に配設されている。冷凍装置30は、冷媒を圧縮する圧縮機31と、圧縮機31から圧送された冷媒を冷却して液化させる凝縮器32と、凝縮器32にて液化させた液化冷媒を膨張させて低圧の液化冷媒とする膨張弁33と、膨張弁33により膨張させた液化冷媒を気化させて製氷部21を冷却する蒸発器34とを備えている。冷凍装置30は圧縮機31、凝縮器32、膨張弁33及び蒸発器34を冷媒管によって環状に接続して冷凍回路が構成されている。冷凍装置30の冷却運転を実行すると、圧縮機31から圧送された冷媒が凝縮器32にて冷却されて液化冷媒となり、液化冷媒は膨張弁33にて低圧の液化冷媒となり、低圧の液化冷媒は蒸発器34にて蒸発するときの気化熱によって製氷部21を冷却する。
【0019】
圧縮機31は短時間での発停(作動及び作動停止)を繰り返すのを防止するために、最低運転時間(この実施形態では3分)と最低停止時間(この実施形態では3分)が設定されている。凝縮器32には凝縮器ファン32aが設けられており、凝縮器32を通過する冷媒は凝縮器ファン32aによる送風によって冷却される。凝縮器32には凝縮器温度センサ32bが設けられており、凝縮器温度センサ32bは凝縮器32を通過する冷媒の温度を検出するともに、後述する機械室15内の温度を検出するのにも用いられる。蒸発器34は熱導電性の高い管部材を用いたものであり、製氷部21の上側で蛇行状に配置されている。
【0020】
また、冷凍装置30は蒸発器34にホットガスを供給するホットガス管(ホットガス経路)35を備えている。ホットガス管35は、圧縮機31の下流と蒸発器34の上流とを接続して、圧縮機31からのホットガスを蒸発器34に導くようにしている。ホットガス管35にはホットガス弁36が介装されており、ホットガス弁36はホットガス管35を開閉可能としている。冷凍装置30を加温運転すると、圧縮機31から送出されるホットガスはホットガス弁36の開放によって蒸発器34に導かれ、ホットガスは蒸発器34を通過するときに製氷部21を加温する。このように、製氷部21は、冷凍装置30の冷却運転によって循環する冷媒が蒸発器34で蒸発することによって冷却され、冷凍装置30の加温運転によって圧縮機31から蒸発器34に送出されるホットガスによって加温される。
【0021】
図2に示したように、製氷部21の下側には製氷水を送出する送水手段22が設けられている。送水手段22は、製氷部21の製氷小室21aの下側を開閉自在に塞ぐ水皿23と、水皿23の下側にて製氷水を貯える製氷水タンク24と、製氷水タンク24内の製氷水を製氷部21に送出する送水ポンプ25とを備えている。水皿23、製氷水タンク24及び送水ポンプ25は製氷部21と同様に製氷室14内に配設されている。水皿23は、製氷小室21aの下側を塞ぐ閉塞位置(
図2の実線に示した)と製氷小室21aの下側を開放する開放位置(
図2の二点鎖線に示した)との間で水平軸線回りに傾動可能に軸支されている。水皿23には開閉機構26が設けられており、水皿23は開閉機構26のアクチュエータモータ26aの駆動によって閉塞位置と開放位置との間で傾動して製氷小室21aの下側を開閉させている。
図3に示したように、水皿23には製氷水タンク24から送出される製氷水を各製氷小室21aに送るための製氷水通路23aが形成されており、水皿23の上面には製氷水通路23aから各製氷小室21aに製氷水を噴射させる噴射孔23bが形成されている。
【0022】
製氷水タンク24には水道等の給水源の水を製氷水として供給する給水管27が接続されており、給水管27には給水弁27aが介装されている。給水源の水は、給水弁27aを開放することによって給水管27を通って製氷水タンク24に供給される。製氷水タンク24内の製氷水は送水ポンプ25によって水皿23の製氷水通路23aに送出され、製氷水通路23aに送出された製氷水は噴射孔23bから製氷小室21aに噴射される。噴射された製氷水は製氷小室21a内で冷却されつつ製氷水タンク24に戻り、製氷水は製氷水タンク24と製氷小室21aとの間を循環することで冷却されながら製氷小室21a内で凍結して氷となる。
【0023】
製氷水タンク24の下側にはドレンパン28が設けられており、ドレンパン28は製氷機構部20からの滴下水が貯氷室に落下するのを防止するとともに、製氷運転後に製氷水タンク24に残る製氷水を受けるようにしたものである。ドレンパン28には排水管(図示省略)が接続されており、ドレンパン28で受けた製氷水は排水管を通ってハウジング11の外側に排出される。また、ドレンパン28は、製氷部21及び送水手段22の下側を覆っており、製氷部21により製造された氷を貯氷室16に放出する放出口28aを有した状態で製氷室14と貯氷室16とを仕切る仕切部として機能している。放出口28aはドレンパン28に形成された開口部よりなり、この実施形態では製氷室14の左右方向の中央部よりも右側に寄せた位置にて、製氷室14の前部及び後部から離間した位置に形成されている。ドレンパン28は、放出口28aを除き、放出口28aの前後を含めて製氷室14の下部の全体に配置されている。
【0024】
図2に示したように、製氷部21には製氷部温度センサ41が設けられており、製氷部温度センサ41は製氷部21の温度を検出することにより後述する製氷運転での製氷完了及び除氷運転での除氷完了を検知可能としている。
図2及び
図4に示したように、製氷室14内には製氷室温度センサ42が設けられており、製氷室温度センサ42は製氷室内14にて製氷部21の周囲の温度を検出する。この実施形態では、製氷室温度センサ42は、製氷室14内にて製氷部21と放出口28aとの間の高さ位置で、製氷室14の右側壁の位置で放出口28aの上方領域に配置されている。製氷室温度センサ42は、製氷室14内にて製氷部21から氷が放出口28aに送出される経路の斜め上側に配置されており、製氷室14内の空気が放出口28aを通って貯氷室16に流れやすい位置に配置されている。製氷室温度センサ42は、製氷部21にて製造された氷が接触しないが製氷部21からの冷気が流れやすい位置に配置されている。
図2及び
図4に示したように、貯氷室16には氷が満たされたことを検知する貯氷検知器43が設けられている。貯氷検知器43は、製氷室14から貯氷室16に延出するように放出口28aを跨がって配置されており、放出口28aの下側にて貯氷室16内の上部に堆積した氷を検知して、貯氷室16内の氷が満たされたことを検知する。
【0025】
製氷機10は制御装置50を備えており、
図5に示したように、この制御装置50は、送水ポンプ25、開閉機構26のアクチュエータモータ26a、給水弁27a、圧縮機31、凝縮器ファン32a、凝縮器温度センサ32b、ホットガス弁36、製氷部温度センサ41、製氷室温度センサ42及び貯氷検知器43に接続されている。制御装置50はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。制御装置50は、製氷部21にて製氷水を凍結させて氷を製造する製氷運転と、製氷運転により製氷部21で凍結させた氷を離脱させて除氷する除氷運転とを交互に繰り返し実行させる製氷プログラムを有している。
【0026】
制御装置50は、貯氷検知器43により貯氷室16内に氷が満たされたことを検知していないときには、製氷モードとして製氷運転と除氷運転とを交互に繰り返す製氷プログラムを実行して、貯氷室16内に貯える氷を製造している。また、制御装置50は、貯氷検知器43により貯氷室16内に氷が満たされたことを検知したときには、待機モードとして製氷運転と除氷運転とを繰り返す製氷プログラムを実行せずに待機している。また、制御装置50は、この待機モード中に、製氷室温度センサ42の検出温度に基づいて冷凍装置30の作動を制御して製氷室14内を冷却する保冷運転を実行するように制御している。
【0027】
保冷運転は、冷凍装置30の冷却運転(作動)によって製氷部21を冷却し、冷却された製氷部21により主として製氷室14を冷却するようにしたものである。保冷運転は、製氷室14内を低温に保って細菌の繁殖を抑えるようにするとともに、貯氷室16内に貯える複数の氷が凍結して結合する所謂アーチングを生じさせないようにしつつ、氷が融けないように貯えるようにすることを目的としたものである。保冷運転を実行することで、製氷室14内は冷凍装置30の冷却運転により冷却された製氷部21によって冷却され、さらに、貯氷室16内は製氷室14内の冷気が流れ落ちることによって冷却される。製氷室14内は冷却された製氷部21により低温に保たれて細菌等の繁殖が抑えられて衛生的となり、貯氷室16内は製氷室14内から放出口28aを通って流れ落ちる冷気によって氷が融けるのが防がれる。
【0028】
この保冷運転は、製氷運転を実行するときに送水手段22によって製氷水が送出された製氷部21を冷凍装置30の冷却運転により冷却するときと異なり、送水手段22によって製氷水が送出されない製氷部21を冷凍装置30の冷却運転により冷却しているので、冷凍装置30の冷却運転により製氷部21を冷却する負荷が製氷運転の実行時より小さい(低い)。保冷運転を実行するときに、製氷部温度センサ41の検出温度に基づいて製氷室14内を冷却するための温度として設定された保冷設定温度となるように冷凍装置30を作動制御すると、冷凍装置30を構成する圧縮機31が短時間で作動停止するおそれがあり、圧縮機31は設定されている最低運転時間(この実施形態では3分)で作動させることができないおそれがある。
【0029】
このため、制御装置50は、保冷運転により冷凍装置30の圧縮機31を作動開始させてから圧縮機31にて設定されている最低運転時間以上で設定した保冷運転時間(この実施形態では圧縮機31の最低運転時間と同じ3分に設定されており、製氷室14及び貯氷室16の冷却状態に応じて例えば3分~5分で設定可能としている)経過後に冷凍装置30の圧縮機31の作動を停止させるように制御している。なお、製氷室14内が広くて保冷運転時間で製氷室14内を十分に冷却できないおそれがあるときには、保冷運転時間を上述した3分~5分よりも長い時間として例えば7分としてもよい。また、製氷室14内を十分に冷却できないおそれがあるときに、保冷運転時間経過後であり、さらに、製氷室温度センサ42により保冷設定温度(この実施形態では例えば11℃)以下となったときに冷凍装置30の圧縮機31の作動を停止させるように制御してもよい。
【0030】
なお、製氷室14内を広くして保冷運転時間を5分以上に長く設定したときには、製氷室14を冷却する過程で製氷部21が過剰に冷却され、製氷部温度センサ41が断線であるとの誤検知をするおそれがある。これに対し、保冷運転時間を長く設定したときには、保冷運転時間経過前であっても、圧縮機31の最低運転時間経過後であり、製氷部温度センサ41の断線であるとの誤検知とならないように保護する保護温度(この実施形態では-60℃)より高く設定した下限温度(この実施形態では-45℃)以下を製氷部温度センサ41により検出したときに、冷凍装置30の圧縮機31の作動を停止させるように制御することで、製氷室14を冷却する過程で製氷部21が過剰に冷却されないようにし、製氷部温度センサ41が断線であるとの誤検知とならないようにすることができる。
【0031】
次に、製氷モード中に実行される製氷プログラムについて説明する。制御装置50は、製氷モード中に製氷プログラムを実行したときに製氷部21にて製氷運転と除氷運転とを交互に繰り返し実行する。制御装置50は、製氷運転を実行させたときに、冷凍装置30を冷却運転させると、圧縮機31から圧送された冷媒が凝縮器32により液化されて液化冷媒となり、液化冷媒は膨張弁33により膨張して低圧の液化冷媒となり、低圧の液化冷媒は蒸発器34で気化してから圧縮機31に戻り、製氷部21は蒸発器34で液化冷媒が気化することによって冷却される。また、制御装置50は、開閉機構26のアクチュエータモータ26aにより水皿23を閉塞位置に傾動させた状態で、給水弁27aを製氷水タンク24の容量に応じた所定時間開放することで、製氷水タンク24には製氷部21にて氷を形成するのに必要な量の製氷水が貯えられる。
【0032】
制御装置50は冷凍装置30を冷却運転させた状態で送水ポンプ25を作動させると、製氷水タンク24内の製氷水は送水ポンプ25の作動によって製氷部21の各製氷小室21aに噴射送出され、噴射送出された製氷水は各製氷小室21a内で冷却されて製氷水タンク24内に再び戻り、製氷水は製氷水タンク24と各製氷小室21aとの間を循環する過程で冷却されて各製氷小室21a内で徐々に凍結する。製氷水タンク24内の製氷水が減少し、製氷水が各製氷小室21a内で凍結してブロック形の氷が形成されるようになり、製氷部温度センサ41による検出温度が製氷完了温度以下となると、制御装置50は製氷運転を終了させて除氷運転を開始する。
【0033】
製氷運転後の除氷運転では、制御装置50は、圧縮機31を作動させた状態でホットガス弁36を開放して冷凍装置30を加温運転させるとともに、開閉機構26のアクチュエータモータ26aにより水皿23を開放位置に傾動させる。冷凍装置30を加温運転させると、圧縮機31から送出されるホットガスは、ホットガス管35を通って蒸発器34に導かれて製氷部21の各製氷小室21aを加温する。製氷部21の温度は蒸発器34に導入されるホットガスによって徐々に上昇して、各製氷小室21a内で凍結した氷は離脱して水皿23を滑り落ちて放出口28aから貯氷室16内に落下する。製氷部21の温度は氷が離脱することにより徐々に上昇し、製氷部温度センサ41の検出温度が除氷が完了したことを検知する除氷完了温度以上となると、制御装置50は、製氷部21の製氷小室21aに氷が残ってない、即ち除氷が完了したと検知して、ホットガス弁36を閉止させて除氷運転を終了する。制御装置50は、貯氷検知器43により貯氷室16内に氷が満たされたことを検知していなければ、上述した製氷運転及び除氷運転を交互に実行する製氷プログラムを再び実行させる。このように、制御装置50は、貯氷検知器43により貯氷室16内に氷が満たされたことを検知するまで、製氷モードにて製氷運転と除氷運転とを交互に繰り返す製氷プログラムを実行するように制御する。
【0034】
製氷運転と除氷運転とを交互に繰り返す製氷プログラムを実行するように制御すると、貯氷室16内に製氷部21で製造された氷が満たされるようになる。
図6に示したように、貯氷検知器43により貯氷室16内に氷が満たされたことを検知すると(
図6で貯氷検知器43がON(満)となったとき)、制御装置50は、製氷モードを終了して待機モードに移行し、製氷運転と除氷運転とを交互に繰り返す製氷プログラムを実行せずに待機するように制御する。制御装置50は、待機モード中に、製氷室14内を冷却する保冷運転を実行可能にしており、製氷室14内は保冷運転を実行したときに冷凍装置30の冷却運転(作動)により冷却された製氷部21により冷却される。
【0035】
図6に示したように、制御装置50は、製氷モードから移行する待機モード開始時に、製氷室温度センサ42の検出温度が製氷室14を冷却するための温度として設定した保冷設定温度(この実施形態で11℃)以上であるときに、待機モード開始時に保冷運転を実行するように制御している。製氷モードから待機モードに移行させたときの待機モード開始時の保冷運転においては、製氷モードの除氷運転時に圧縮機31を作動させており、除氷運転の終了とともに圧縮機31を作動停止させると、圧縮機31が短時間で発停(作動及び停止)を繰り返すことになる。このため、製氷モードから待機モードに移行させたときの待機モード開始時に保冷運転を実行するときには、製氷モードの除氷運転終了時に圧縮機31を停止させずにホットガス弁36を閉止させる。圧縮機31から圧送されるホットガスが凝縮器32で冷却されて液化冷媒となって蒸発器34に供給され、製氷部21は蒸発器34で液化冷媒が蒸発することにより冷却される。製氷室14は冷凍装置30の冷却運転によって冷却された製氷部21により冷却されるとともに、貯氷室16は製氷室14から放出口28aを流れ落ちる冷気によって冷却される。
【0036】
これに対し、
図7に示したように、待機モード開始時に製氷室温度センサ42の検出温度が保冷設定温度以上でないときには、待機モード開始時に保冷運転を実行しないように制御している。待機モード開始時に保冷運転を実行しないときに、冷凍装置30の圧縮機31の作動を停止させるとともにホットガス弁36を閉止させる。待機モードの開始時(製氷モードでの除氷運転の終了時)に圧縮機31の作動を停止させてから圧縮機31の最低停止時間より長く設定された最低運転停止時間(この実施形態では10分で設定されている)以上経過した後で、製氷室温度センサ42の検出温度が保冷設定温度以上となったときには、制御装置50は保冷運転を実行するように制御している。
【0037】
また、待機モード開始時に、製氷室温度センサ42の検出温度が保冷設定温度以上でなくて保冷運転を実行しないときには、製氷室14内は製氷モードの除氷運転時に加温された製氷部21により温度が上昇しやすくなっていて、製氷室14内が直ぐに温度上昇して清潔に保てないおそれがある。
図8に示したように、待機モード開始時に製氷室温度センサ42の検出温度が保冷設定温度以上でなくて保冷運転を実行しないように制御するときには、冷凍装置30の冷却運転を一時的に実行するように制御して製氷部21を一時的に冷却すると、製氷室14内が製氷モードでの除氷運転時に製氷部21に残る熱の影響を受けないようにすることができる。この場合には、待機モード開始時に、製氷モードの除氷運転時に開放されているホットガス弁36を閉止させるとともに、製氷モードの除氷運転時に作動させていた圧縮機31を継続的に(例えば、所定時間として30秒間であったり、製氷部温度センサ41の検出温度が待機モード移行時から所定温度として2℃低下する温度となるまで)作動させるようにする。蒸発器34には圧縮機31から送出されて凝縮器32によって冷却された冷媒が流入し、製氷部21は蒸発器34に流入した液化冷媒が気化することで冷却される。このように、待機モード開始時に、冷凍装置30の冷却運転を一時的に実行するように制御して、送水手段22によって製氷水が送出されない製氷部21を冷凍装置30の冷却運転により一時的に冷却しているので、製氷部21は短時間で除氷運転時に残る熱が取り除かれるようになり、製氷室14が除氷運転時に製氷部21に残る熱によって温度が上昇しないようになる。
【0038】
保冷運転を実行すると、製氷室14内の温度が低下し、製氷室温度センサ42の検出温度が保冷設定温度である11℃より低くなるとともに、圧縮機31にて設定されている最低運転時間以上で設定した保冷運転時間経過後に、制御装置50は冷凍装置30の圧縮機31の作動を停止させるように制御している。また、制御装置50は、保冷運転の開始後から、製氷室温度センサ42により検出される検出温度を経時的に積算した積算温度をタイマで計測した保冷運転開始からの経過時間で除することによって積算温度の単位時間あたりの平均温度を算出している。上述したように、圧縮機31は短時間での発停(作動及び作動停止)を防止するために、圧縮機31には作動停止後に最低停止時間が設定されている。圧縮機31の作動停止後に最低停止時間より長く設定した最低運転停止時間(この実施形態では10分で設定されている)経過した後であるとともに、算出した平均温度が製氷室14の保冷設定温度以上となると、停止されている保冷運転を再開させるように制御する。このように、製氷室14は待機モード中に保冷運転を実行することによって保冷設定温度となるように冷却されており、保冷運転を実行するときに圧縮機31が短時間で発停を繰り返さないように制御されている。なお、保冷運転を再開させた後では、製氷室温度センサ42により検出される検出温度を経時的に積算した積算温度と経過時間をリセットして新たに積算温度の算出を開始させる。
【0039】
また、製氷機10を設置した設置場所の温度が低い等の周囲の温度の影響により、保冷運転開始後から算出した平均温度が保冷設定温度以上とならないときがある。平均温度が保冷設定温度以上とならずに、保冷運転時間経過後に停止させた保冷運転が再開されないと、制御装置50が積算温度を算出する算出処理の処理限界を超えるおそれがある。制御装置50が、積算温度または平均温度を算出開始してから所定の経過時間として例えば2時間または積算温度または平均温度を算出する算出回数が所定回数として10,000回以上となっても平均温度が保冷設定温度以上とならないときには、保冷運転時間経過後に停止させた保冷運転を自動的に再開させるように制御する。また、平均温度が保冷設定温度以上とならずに保冷運転を自動的に再開させたときには、制御装置50は、算出した平均温度に基づいて保冷運転を再開させずに、製氷室温度センサ42の検出温度が保冷設定温度として11℃以上となると保冷運転を再開させるように制御する。なお、保冷運転を自動的に再開するように制御した後では、平均温度を再度算出開始させるようにし、改めて算出開始した平均温度が保冷設定温度以上となると、保冷運転を再開させるように制御してもよい。
【0040】
また、製氷室14内の温度は製氷機10の設置場所の温度の影響を受けやすい。製氷室14内の温度は、設置場所の温度が低いと保冷運転の実行時に温度が下がりやすく(温度の低下速度が速く)、保冷運転の停止時に温度が上がりにくい(温度の上昇速度が遅い)。同様に、製氷室14内の温度は、設置場所の温度が高いと保冷運転の実行時に温度が下がりにくく(温度の低下速度が遅く)、保冷運転の停止時に温度が上がりやすい(温度の上昇速度が速い)。製氷機10の設置場所の温度が異なる状態で、保冷運転の実行の可否の判定基準となったり、停止させた保冷運転を再開させる基準温度となる保冷設定温度を同じ温度に設定していると、保冷運転によって製氷室14内と貯氷室16内を適切に冷却できないおそれがある。特に、製氷機10の設置場所の温度が低いときには、保冷運転の実行時に貯氷室16内の複数の氷が凍結して結合するアーチングが生じるおそれがある。このため、製氷機10を設置した設置場所の温度を検出するために、機械室15内の凝縮器32に設けた凝縮器温度センサ32bを製氷室14の外側の温度を検出する外側温度センサとして用い、凝縮器温度センサ(外側温度センサ)32bの検出温度に基づいて保冷運転の実行の可否の判定及び保冷設定温度を補正するようにしている。
【0041】
凝縮器温度センサ(外側温度センサ)32bの検出温度が低い(例えば15℃以下である)ときには、製氷室14の温度は製氷機10の設置場所の温度の影響を受けて低くなりやすい。このため、設置場所の温度が低いときには、製氷室14内及び貯氷室16を保冷運転によって冷却する必要もなく、制御装置50は、保冷運転を実行しないように制御することで、貯氷室16内の氷が所謂アーチングを生じるのを防ぐことができる。なお、設置場所の温度が低くて、待機運転開始時に保冷運転を実行しないように制御するときには、冷凍装置30の冷却運転を一時的(例えば、所定時間として30秒間であったり、製氷部温度センサ41の検出温度が待機モード移行時から所定温度として2℃低下する温度となるまで)に実行するように制御して製氷部21を一時的に冷却すると、製氷室14内が製氷モードでの除氷運転時に製氷部21に残る熱の影響を受けないようにすることができる。また、製氷機10は温度が20℃位の場所に設置されることが想定されていて、凝縮器温度センサ(外側温度センサ)32bの検出温度が基準温度として設定された20℃より10℃高い30℃となると、保冷設定温度を11℃から1℃下げて10℃と補正し、凝縮器温度センサ(外側温度センサ)32bの検出温度が基準温度である20℃より10℃低い10℃となると、保冷設定温度を11℃から1℃上げて12℃と補正する。このように、凝縮器温度センサ(外側温度センサ)32bの検出温度に基づいて、保冷運転の実行の可否の判定または保冷設定温度を補正するようにしているので、製氷機10の設置場所の温度によって保冷運転の実行時及び停止時の製氷室14内の温度のばらつきや不具合を抑制することができる。
【0042】
図9に示したように、待機モード中に貯氷検知器43により貯氷室16内に氷が満たされたことを検知しなくなると、制御装置50は、待機モードから製氷モードに移行させる。待機モード中に保冷運転を停止させるように制御しているときには、圧縮機31を最低停止時間である3分以上作動停止させた後に作動開始させるとともに、ホットガス弁36を開放させることで、蒸発器34内にホットガスを送出するようにして、除氷運転を実行することにより製氷部21に氷が残らないようにしている。なお、保冷運転を実行中であれば、圧縮機31を継続して作動させた状態で、ホットガス弁36を開放させることで、蒸発器34内にホットガスを送出するようにして除氷運転を実行する。除氷運転後に製氷モードとして製氷運転と除氷運転とを交互に繰り返す製氷プログラムを実行させる。
【0043】
上記のように構成した製氷機10においては、製氷水を凍結させて氷を製造する製氷部21と、圧縮機31により循環供給される冷媒によって製氷部21を冷却する冷凍装置30と、製氷部21に製氷水を送出する送水手段22と、製氷部21が配設される製氷室14と、製氷室14の下側に配置されて製氷部21で製造された氷を貯える貯氷室16と、製氷部21により製造された氷を貯氷室16に放出する放出口28aを有した状態で製氷室14と貯氷室16とを仕切るドレンパン(仕切部)28と、貯氷室16内の氷が満たされたことを検知する貯氷検知器43とを備えている。
【0044】
この製氷機10においては、貯氷検知器43により貯氷室16内に氷が満たされたことを検知していないときには、製氷モードとして冷凍装置30により冷却した製氷部21で送水手段22により送出される製氷水を凍結させて氷を製造する製氷運転を実行するように制御して貯氷室16内に貯える氷を製造し、貯氷検知器43により貯氷室16内に氷が満たされたことを検知したときには、待機モードとして製氷運転を実行しないように制御して貯氷室16内に貯える氷を製造せずに待機するように制御している。この製氷機10においては、製氷室14内にて製氷部21と放出口28aとの間の高さ位置にて製氷部21の周囲の温度を検出する製氷室温度センサ42を設け、待機モード中に製氷室温度センサ42の検出温度に基づいて冷凍装置30の作動を制御して製氷部21を冷却することにより製氷室14内を冷却する保冷運転を実行可能としている。
【0045】
待機モード中の保冷運転にて製氷部21の温度を検出する製氷部温度センサ41の検出温度に基づいて冷凍装置30の作動を制御すると、製氷室14内の温度が製氷部21の温度と解離していることから、製氷室14内にて製氷部21の周囲を安定的に冷却できないおそれがある。また、貯氷室16内の温度を検出する貯氷室温度センサ(図示省略)を設け、待機モード中の保冷運転にて貯氷室温度センサの検出温度に基づいて冷凍装置30の作動を制御すると、製氷室14内の温度が貯氷室16の温度よりも高くなる傾向があって、製氷室14内にて製氷部21の周囲を安定的に冷却できないおそれがある。
【0046】
この製氷機10においては、製氷室温度センサ42は製氷室14内にて製氷部21と放出口28aとの間の高さ位置にて製氷部21の周囲の温度を検出するものであり、待機モード中の保冷運転はこの製氷室温度センサ42の検出温度に基づいて冷凍装置30の作動を制御している。具体的には、待機モードの開始時には、製氷室温度センサ42の検出温度が保冷設定温度以上であるときに保冷運転を開始するように制御し、保冷運転時間経過後であって、製氷室温度センサ42の検出温度が保冷設定温度以下であるときに保冷運転を停止させるように制御している。また、待機モード中には、保冷運転の開始後から、製氷室温度センサ42により検出される検出温度を経時的に積算した積算温度を経過時間で除することによって積算温度の単位時間あたりの平均温度を算出しており、算出した平均温度が製氷室14の保冷設定温度以上となると、停止されている保冷運転を再開させるように制御している。このように、待機モード中の保冷運転はこの製氷室温度センサ42の検出温度に基づいて冷凍装置30の作動が制御されているので、製氷室14内は製氷部21の周囲の温度に基づいて安定した温度制御がされるようになり、製氷室14内を細菌の繁殖を抑えて清潔に保つことができる。
【0047】
この製氷機10においては、冷凍装置30は、圧縮機31から圧送されて凝縮器32により凝縮された冷媒を製氷部21に設けた蒸発器34により蒸発させることで製氷部21を冷却する冷却運転と、圧縮機31から蒸発器34にホットガスを送出することによって製氷部21を加温する加温運転とを実行可能としたものである。製氷モードでは、冷凍装置30を冷却運転することにより冷却した製氷部21に送水手段22により製氷水を送出して凍結させて氷を製造する製氷運転と、製氷運転後に冷凍装置30を加温運転することにより加温した製氷部21から氷を離脱させる除氷運転とを交互に実行するように制御している。この製氷機10では、待機モード開始時に保冷運転を実行するか否かを判定する判定手段として、製氷室温度センサ42の検出温度に基づいて保冷運転を実行するか否かを判定しており、待機モード開始時に判定手段として製氷室温度センサ42の検出温度に基づく判定として、製氷室温度センサ42の検出温度が保冷設定温度以上でないことで保冷運転を実行しないときには、冷凍装置30の圧縮機31を一時的に冷却運転を実行するように制御して製氷部21を一時的に冷却するようにしている。
【0048】
製氷モードの除氷運転時には製氷部21の蒸発器34にホットガスが送出されているので、待機モード開始時に製氷部21は除氷運転の影響によって温度が高くなっている。待機モード開始時に判定手段として製氷室温度センサ42の検出温度に基づいて保冷運転を実行しないと判定したときであっても、待機モード開始時に冷凍装置30を一時的に冷却運転させるように制御して製氷部21を一時的に冷却しているので、製氷室14内が製氷モードでの除氷運転後の製氷部21によって温度が高くならないようにすることができる。特に、製氷モードでの除氷運転の際に作動させている冷凍装置30の圧縮機31を停止させることなく待機モード開始時に圧縮機31を継続して作動させているので、圧縮機31が短時間で発停を繰り返さないようにすることができる。
【0049】
この製氷機10においては、保冷運転の開始後に製氷室温度センサ42の検出温度を経時的に積算した積算温度を経過時間で除することによって積算温度の単位時間あたりの平均温度を算出し、保冷運転を停止させるように制御した後で、平均温度が製氷室14を冷却する温度として設定した保冷設定温度以上となると、保冷運転を再開させるように制御している。これにより、製氷室14内の温度が製氷機10の設置場所の温度のような外的要因等によって大きく変動しても、製氷室14内を安定して冷却することができる。
【0050】
この製氷機10においては、製氷室温度センサ42は製氷室14内にて放出口28aの上方領域に配置されている。製氷室温度センサ42は製氷室14内にて氷の放出口28aの上方領域に配置されることで、製氷室14から貯氷室16に冷気が流れる経路に配置され、製氷室14内の温度を安定して検出することができるようになる。なお、製氷室温度センサ42を製氷室14内にて放出口28aの上方領域に配置したものに限られるものでなく、
図10に示したように、製氷室温度センサ42を製氷室14内にて貯氷検知器43に取り付けるようにしてもよい。製氷室温度センサ42は貯氷検知器42の氷に押される検知面よりも上側に配置されているので、製氷室温度センサ42は製氷部21にて製造された氷が当たりにくくなっている。また、貯氷検知器43は製氷部21にて製造された氷が放出される経路から外れた位置に配置されているので、貯氷検知器43に取り付けた製氷室温度センサ42は製氷部21にて製造された氷が放出される過程で当たりにくくなる。製氷室温度センサ42は氷の放出口28aを跨がって配置された貯氷検知器43に取り付けられることで、製氷室14から貯氷室16に冷気が流れる経路に配置され、製氷室14内の温度を安定して検出することができる。
【0051】
同様に、
図11に示したように、製氷室温度センサをドレンパン(仕切部)28の上面側にて放出口28aの近傍位置に配置するようにしてもよい。ドレンパン28の上面側は製氷部21にて製造された氷が放出される経路から外れているので、製氷室温度センサ42は製氷部21にて製造された氷が放出される過程で当たりにくくなる。また、製氷室温度センサ42はドレンパン28の上面側にて放出口28aの前側に配置されているので、製氷室温度センサ42のメンテナンスの作業性を高くすることができる。また、水皿23を開放位置に傾動させて製氷水タンク24内に残る水を排水するときに、排水される水はドレンパン28の上面側にて放出口28aの前側に流れにくいので、ドレンパン28の上面側にて放出口28aの前側に配置された製氷室温度センサ42には水皿23を開放位置に傾動させて排水するときの水がかかりにくくなる。さらに、製氷部21の冷気はドレンパン28の上面側に流れ落ちたときに水平方向の全体に拡がってから放出口28aを流れ落ちるので、製氷部21の冷気はドレンパン28の上面側にて放出口28aの前側に配置された製氷室温度センサ42を通って放出口28aから流れるようになる。このように、製氷室温度センサ42は、ドレンパン28の上面側にて氷の放出口28aの近傍位置に配置されることで、製氷部21にて製造された氷が当たることなく、製氷室14から貯氷室16に冷気が流れる経路に配置され、製氷室14内の温度を安定して検出することができる。
【0052】
また、製氷室温度センサ42を製氷室14内にて以下に記す位置に配置したものであってもよい。
図12に示した実施形態では、製氷室温度センサ42は水皿23の開口側と反対側(水皿23の回動軸側)として送水ポンプ25の近傍に配置している。製氷室温度センサ42を水皿23の開口側と反対側に取り付けたときには、製氷部21による冷気が流れる経路から外れるものの、製氷室温度センサ42に除氷運転中に氷の破片や製氷水が付着しにくくなり、製氷室温度センサ42に耐水性の低い温度センサを用いることができるようになる。
【0053】
図13に示した参考実施形態では、製氷室温度センサ42は製氷室14内の上部にて製氷部21の上部に設けた蒸発器34の上側に近接して蒸発器34の冷却時に冷気がおよぶ位置に配置されている。製氷室14の上部にて蒸発器34の上側は、保冷運転の実行時には蒸発器34に近いために温度が直ぐに低下しやすいが、保冷運転の停止時には温度が製氷室14内で初めに上昇する。このように、製氷室14内にて温度が初めに上昇する位置に製氷室温度センサ42を配置することで、製氷室14内の温度が上昇するタイミングで適切に保冷運転を実行させることができるようになる。
【0054】
図14に示した参考実施形態では、製氷室温度センサ42の代わりに貯氷室温度センサ44を貯氷室16内の上部にてドレンパン28の下面側に配置したものである。この参考実施形態では、ドレンパン28の下面側は保冷運転により冷却された製氷部21からの冷気が最も流れにくい位置となっていて、貯氷室16内にて製氷部21からの冷気が流れにくいドレンパン28の下面側に配置した貯氷室温度センサ44の検出温度に基づいて保冷運転にて冷凍装置30の作動を制御する。貯氷室16内にて製氷部21からの冷気が流れにくいドレンパン28の下面側の温度が低ければ、製氷室14内にて製氷部21の周囲の温度も十分に低くなっていると考えられ、保冷運転にて製氷室14内と貯氷室16内を適切に冷却できるようになる。さらに、保冷運転にて貯氷室16内の温度を検出する貯氷室温度センサ44に基づいて冷凍装置30の作動を制御すると、貯氷室16内にて複数の氷が凍結して結合するアーチングの発生を特に抑えることができる。
【0055】
また、上述した製氷機10においては、製氷室14内は保冷運転にて冷凍装置30により冷却された製氷部21から生じる冷気が自然対流することで冷却されるので、製氷室14内は全体が均一に冷却されにくい。下記に示す各実施形態では、製氷室14内にファン45を設けることで、製氷室14内の空気を強制的に対流させるようにしている。
図15に示した実施形態では、製氷室14内の上部にて蒸発器34の上側にファン45を設け、ファン45の送風方向を放出口28aと反対側の斜め上方に向けている。ファン45の送風方向を放出口28aと反対側の斜め上方に向けることで、温度が高くなりやすい製氷室14内の上部を十分に冷却できるようになる。
【0056】
また、ファン45の送風方向を放出口28aと反対側の斜め上方に向けているので、製氷室14の上部に送られた空気は放出口28aの反対側となる製氷室14の左側壁に沿って流れ落ち、流れ落ちた空気はドレンパン28の上面側にて放出口28aに向けて流れる。ファン45の送風方向を放出口28aに向けないようにしているので、ファン45による空気の流れが製氷室14内で循環するようになって放出口28aから貯氷室16に流出しにくくなる。また、放出口28aの周縁部にはドレンパン28で受けた水が貯氷室16に流出するのを防ぐために上側に傾斜する傾斜部が形成されており、ドレンパン28の上面側を流れる空気はドレンパン28の放出口28aの周縁部に形成された斜面部によって放出口28aから離れるような風の流れに変わり、放出口28aの上側にエアカーテンのような流れが形成されることで放出口28aから貯氷室16に冷気が流れ落ちにくくなる。
図15では、ファン45による空気の流れを一点鎖線にて示しており、以下に説明する
図16~
図19でも、ファン45による空気の流れを一点鎖線にて示している。
【0057】
図16に示した実施形態では、製氷室14内の上部にて蒸発器34の上側にファン45を設け、ファン45の送風方向を鉛直方向下向きとしている。ファン45の送風方向を鉛直方向下向きとしたことで、温度が高くなりやすい製氷室14内の上端部の空気を吸い込んで蒸発器34に吹きつけ、蒸発器34に吹き付けられた空気は冷却された状態で水平方向に拡がる。水平方向に拡がった空気の大部分が再び製氷室14の上端部に上昇するショートサイクルが生じることで製氷室14の上部空間が特に冷却され、水平方向に拡がった空気の一部が製氷室14の下部に流れることで製氷室14の下部空間も冷却される。
【0058】
図17に示した実施形態では、製氷室14内にて水皿23の開口側となる右側にファン45を設け、ファン45の送風方向を水皿23が開いた状態の製氷部21の下面に向けている。ファン45の送風方向を水皿23が開いた状態の製氷部21の下側に向けることで、製氷部21の下側を通って冷却させた空気を製氷室14の上部に送出させることができ、温度が高くなりやすい製氷室14の上部を冷却することができる。また、ファン45の送風方向を製氷部21の下側に向けているので、ファン45の送風が放出口28aから貯氷室16内に流入しにくくすることができる。
【0059】
図18に示した実施形態では、製氷室14内の下部にてドレンパン28の上側にファン45を設け、ファン45の送風方向を鉛直方向下向きとしている。ファン45の送風方向を鉛直方向下向きとすることで、ファン45の送風がドレンパン28の上面に吹き付けられて水平方向に拡がる。ドレンパン28の上面側を流れる空気はドレンパン28の放出口28aの縁部に上側に傾斜するように形成した斜面部によって放出口28aから貯氷室16に流れ落ちにくくなり、放出口28aの上側にエアカーテンが形成されるようになる。また、ドレンパン28の上面側を水平方向に拡がった空気は製氷室14の水平方向の周壁に沿って上昇することで製氷室14の上部空間が冷却され、水平方向に拡がった空気の一部が製氷室14の下部に流れることで製氷室14の下部空間も冷却される。
【0060】
図19に示した実施形態では、製氷室14内の上部にて製氷部温度センサ41よりも下側位置にファン45を設け、ファン45の送風方向を斜め上方にて製氷部温度センサ41に向けている。ファン45の送風方向を斜め上方にて製氷部温度センサ41に向けることで、ファン45の送風を製氷室14の上部に送出させ、製氷室14の上部に送られた空気は製氷室14の左側壁に沿って流れ落ち、流れ落ちた空気はドレンパン28の上面側にて放出口28aに向けて流れる。このとき、ドレンパン28の上面側を流れる空気はファン45の吸引により製氷室14の右側壁に沿って上昇して放出口28aから貯氷室16に流れ落ちにくくなる。
【0061】
図15~
図19に示した実施形態においては、保冷運転を停止中にファン45を作動させると、徐々に温度が上昇する製氷室14内の空気が放出口28aから貯氷室16内に流入するおそれがある。このため、製氷室14内にファン45を設けることで、製氷室14内の空気を強制的に対流させるようにしたときには、ファン45を保冷運転にて圧縮機31と同じタイミングで作動開始させ、圧縮機31の作動を停止させた後の一定時間に作動を停止させるように制御している(圧縮機31の作動を停止させた後でタイマにより所定時間として例えば1時間経過後であったり、予め設定した設定温度を超えるとファン45の作動を停止させるように制御している)。なお、ファン45は連続的に作動させてもよいし間欠的に作動させてもよい。これにより、製氷室14内は保冷運転中及び保冷運転後の一定時間で製氷部21から発生する冷気によって均一に冷却され、保冷運転後の一定時間後は徐々に温度が上昇する製氷室14内の空気が放出口28aから貯氷室16に流出するのを防ぐことができる。
【0062】
この実施形態の製氷機10は、所謂クローズドセルタイプの製氷機であるが、これに限られるものでなく、貯氷検知器43により貯氷室16内に氷が満たされたことを検知していないときには、製氷モードとして製氷運転を実行するように制御し、貯氷検知器43により貯氷室16内に氷が満たされたことを検知したときには、待機モードとして製氷運転を実行しないようにする製氷機であれば、所謂オープンセルタイプの製氷機や、水平方向に開口した製氷小室に製氷水を流下させるバーチカルタイプの製氷機等の他の製氷機にも適用されるものである。特に、本発明が適用される製氷機は、製氷部で製造された氷を貯氷室に放出する氷の放出口を有した状態で製氷室と貯氷室とが本実施形態のドレンパン等の仕切部によって仕切られるものに適用されるものである。また、この実施形態の温度や等の記載は一例であり、本発明は、これらの温度や時間等の記載に限られるものではない。
【符号の説明】
【0063】
10…製氷機、14…製氷室、16…貯氷室、21…製氷部、22…送水手段、28…仕切部(ドレンパン)、28a…放出口、30…冷凍装置、31…圧縮機、32…凝縮器、34…蒸発器、42…製氷室温度センサ、43…貯氷検知器。