(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054956
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】背負い鞄のアタッチメント
(51)【国際特許分類】
A45F 3/04 20060101AFI20240411BHJP
A45F 3/02 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
A45F3/04 300
A45F3/02 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161444
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】312016632
【氏名又は名称】株式会社オステオ
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】川原 剛正
【テーマコード(参考)】
2E181
3B045
【Fターム(参考)】
2E181AA00
2E181BD01
3B045AA35
3B045CE08
3B045GA03
3B045GB02
3B045GC02
3B045GD01
3B045GD03
3B045LA10
3B045LB02
(57)【要約】
【課題】被着者の肩と腰への負担を小さくして、被着者の身体負担の軽減を図ることができる背負い鞄のアタッチメントを得る。
【解決手段】本発明のアタッチメント1は、背負い鞄2の袋状の本体部3の前面6に沿うように配されるプレート20と、プレート20の背負い鞄2の本体部3への固着を担うホルダー21と、プレート20から前方に向かって突設されて被着者の背中に接触するパッド22とを備える。パッド22は、プレート20の左右方向に二分する中心線(P)を挟む対称位置に、被着者の脊柱に対して荷物荷重を作用させるための左右一対の荷重パッド列27・27のみで構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の肩ベルト(4)を備える背負い鞄(2)の前面に後付け装着されるアタッチメントであって、
アタッチメントは、
背負い鞄(2)の袋状の本体部(3)の前面(6)に沿うように配されるプレート(20)と、
プレート(20)の背負い鞄(2)の本体部(3)への固着を担うホルダー(21)と、
プレート(20)から前方に向かって突設されて被着者の背中に接触するパッド(22)と、
を備え、
パッド(22)が、プレート(20)の左右方向に二分する中心線(P)を挟む対称位置に、被着者の脊柱に対して荷物荷重を作用させるための左右一対の荷重パッド列(27・27)のみで構成されていることを特徴とする背負い鞄のアタッチメント。
【請求項2】
各荷重パッド列(27)は、上下方向に所定間隔を置くとともに、上下方向に列設された複数個の弾性パッド(26)で構成されている、請求項1に記載の背負い鞄のアタッチメント。
【請求項3】
中心線(P)から荷重パッド列(27)を構成する弾性パッド(26)の対向内縁までの左右方向の間隔距離(D)が、5mm以上、50mm以下に設定されている、請求項2に記載の背負い鞄のアタッチメント。
【請求項4】
各荷重パッド列(27)が5~20個の弾性パッド(26)で構成されている、請求項2または3に記載の背負い鞄のアタッチメント。
【請求項5】
ホルダー(21)が、プレート(20)から後方に向かって伸びる連結片(32)と、連結片(32)の後端から下方に向かって伸びて、背負い鞄(2)の本体部(3)の背面に形成されたポケット(11)に差し込まれる係合片(33)とを含む、請求項1に記載の背負い鞄のアタッチメント。
【請求項6】
ホルダー(21)が、プレート(20)の上端部から延びる左右一対のホルダーベルト(40・40)と、ホルダーベルト(40・40)の遊端部に固定されて、互いに着脱可能なホルダーバックル(41・41)とで構成されている、請求項1に記載の背負い鞄のアタッチメント。
【請求項7】
肩ベルト(4)は、上部ベルト(7)と下部ベルト(8)とに分離可能に構成されており、
ホルダー(21)が、プレート(20)の上端部から延びて、上部ベルト(7)の挿通を許すループ部(45)を有する左右一対のホルダーベルト(46)で構成されている、請求項1に記載の背負い鞄のアタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リュックサックなどの背負い鞄に装着されるアタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
袋状の本体部と、本体部の背面の上部と下部に連結された左右一対の肩ベルトとを備え、被着者に背負われて使用に供される背負い鞄において、背面にクッションを設けること自体は周知技術である。このように背負い鞄の背面にクッションが設けられていると、被着者の背中に背負い鞄の背面を柔らかくフィットさせることができるので、被着者は快適に背負い鞄を背負うことができる。クッションに凹凸が形成されていると、被着者の背中と背負い鞄の背面との間に適当な間隔を形成することができるので、空気の流通を良好にして背中が蒸れることを防ぐことができる。
【0003】
クッションには種々の形態があり、例えば特許文献1には、被着者の背中と背負い鞄(バックパック)の背面との間の通気性の向上を目的として、該背面に多数の突起部を有するスペーサー部材を設けることが開示されている。スペーサー部材は、上下方向に5つの領域に区分されており、そのうち少なくとも一番上の第1領域と一番下の第5領域とに突起部が設けられる。第1領域の下の第2領域と、その下の第3領域にも突起部が設けられており、さらにその下の第4領域に、突起部が設けられない通気領域が形成されている。このように通気領域を形成することにより、被着者の背中の下部の通気性を高めて、不快な汗蒸れを軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば登山では、より重い荷物を背負って長時間歩くことが必要となる。このため、登山用の背負い鞄では長時間背負ったときにも疲れにくいように、種々の工夫がなされており、上記のように背面にクッション性や通気性を持たせることも、工夫の一つであると言える。但し、従前の工夫は、より被着者の身体負担の軽減を図るという、背負い鞄の根本課題の解決に寄与するものではなく、その点に改良の余地があった。つまり、従来の背負い鞄では、荷物荷重は、基本的に肩と腰で支えるという考えの下で設計されているため、これら肩や腰の負担を小さくして被着者の身体負担の軽減を図ることはできず、その点に改良の余地があった。
【0006】
本発明の目的は、被着者の肩と腰への負担を小さくして、被着者の身体負担の軽減を図ることができる背負い鞄のアタッチメントを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、被着者の脊柱に対して背負い鞄の荷物荷重を積極的に作用させるようにして、被着者の脊柱に荷物荷重を負わせれば、被着者の肩や腰への負担を小さくして、被着者の身体負担の軽減を図ることができるとの知見に基づいて、本願発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、左右一対の肩ベルト4を備える背負い鞄2の前面に後付け装着されるアタッチメント1を対象とする。アタッチメント1は、背負い鞄2の袋状の本体部3の前面6に沿うように配されるプレート20と、プレート20の背負い鞄2の本体部3への固着を担うホルダー21と、プレート20から前方に向かって突設されて被着者の背中に接触するパッド22とを備える。そして、パッド22が、プレート20の左右方向に二分する中心線(P)を挟む対称位置に、被着者の脊柱に対して荷物荷重を作用させるための左右一対の荷重パッド列27・27のみで構成されていることを特徴とする。
【0009】
各荷重パッド列27は、上下方向に所定間隔を置くとともに、上下方向に列設された複数個の弾性パッド26で構成されている。
【0010】
中心線(P)から荷重パッド列27を構成する弾性パッド26の対向内縁までの左右方向の間隔距離(D)が、5mm以上、50mm以下に設定されている。
【0011】
各荷重パッド列27が5~20個の弾性パッド26で構成されている。
【0012】
ホルダー21が、プレート20から後方に向かって伸びる連結片32と、連結片32の後端から下方に向かって伸びて、背負い鞄2の本体部3の背面に形成されたポケット11に差し込まれる係合片33とを含む。
【0013】
ホルダー21が、プレート20の上端部から延びる左右一対のホルダーベルト40・40と、ホルダーベルト40・40の遊端部に固定されて、互いに着脱可能なホルダーバックル41・41とで構成されている。
【0014】
肩ベルト4は、上部ベルト7と下部ベルト8とに分離可能に構成されており、ホルダー21が、プレート20の上端部から延びて、上部ベルト7の挿通を許すループ部45を有する左右一対のホルダーベルト46で構成されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明のように、背負い鞄2に後付け装着されるアタッチメント1に設けられて被着者の背中に接触するパッド22が、プレート20の左右方向に二分する中心線(P)を挟む対称位置に、被着者の脊柱に対して荷物荷重を作用させるための左右一対の荷重パッド列27のみで構成されていると、荷重パッド列27を介して被着者の脊柱に積極的に背負い鞄の荷物荷重を負わせることができるので、被着者の肩や腰への負担を相対的に小さくして身体負担を抑えることができる。つまり、従前においては、「背負子」や「背中で背負う」といったように、背負って荷物を運搬する動作では、背中全体で荷物荷重を受け止めるという概念はあったものの、実際には荷物荷重の大部分は、肩と腰で受け止められているものである。これに対して、本願発明のように、背負い鞄の前面に後付け装着されるアタッチメント1のプレート20に、被着者の脊柱に対して荷物荷重を作用させるための荷重パッド列27を形成して、脊柱に対して荷物荷重を積極的に作用させて、脊柱への負荷を大きくしていると、その分だけ肩や腰に作用する荷物荷重を小さくして、肩や腰への負荷を小さくすることができる。また、肩や腰だけでなく脊柱でも荷物荷重を負うことになるため、肩や腰への局所的な負担を軽くして、全体として身体負担を抑えることができる。肩や腰だけでなく脊柱でも荷物荷重を負うため、より大きな荷物荷重を背負うことも可能となる。より長時間に亘って荷物を背負うことも可能となる。
【0016】
各荷重パッド列27を、上下方向に所定間隔を置くとともに、上下方向に列設された複数個の弾性パッド26で構成していると、被着者の脊柱の湾曲状態に追従して各弾性パッド26の姿勢を変化させて、荷重パッド列27を被着者の脊柱に沿わせることができる。これにより、被着者の脊柱の湾曲状態が変化したときにも、安定的に荷重パッド列27を被着者の脊柱の近傍に配置させることができるので、より適切に荷物荷重を被着者の脊柱で支持させて、被着者の肩や腰の負担を小さくすることができる。
背負い鞄と共に背負われた状態において、一対の荷重パッド列27が、被着者の脊柱の棘突起に接触することなく脊柱を挟む位置に配されるようにしていると、荷物荷重が脊柱や棘突起に直接作用して、脊柱が損傷することを防ぐことができる。
【0017】
中心線Pから荷重パッド列27を構成する弾性パッド26の対向内縁までの左右方向の間隔距離Dが、5mm以上、50mm以下に設定されていると、被着者の脊柱の中心にある棘突起から荷重パッド列27までの距離の最適化を図って、被着者の脊柱に荷物荷重を作用させるという荷重パッド列27の機能をより適正に発揮させることができる。Dが5mmを下回ると、荷重パッド列27が棘突起に接触するおそれがある。D3が50mmを超えると、適正に被着者の脊柱に荷物荷重を作用させることができなくなる。
【0018】
荷重パッド列27が、5~20個の弾性パッド26で構成されていると、脊柱の湾曲状態に追従して、各弾性パッド26の姿勢状態を変化させることができるので、より安定的に弾性パッド26を被着者の背中へ密着させることができる。弾性パッド26が5個を下回ると、脊柱の湾曲状態に応じて荷重パッド列27を追従させることができない。20個を超えると、各弾性パッド26が小さくなり、接触面積が小さくなるため、荷物荷重を被着者の脊柱に適正に作用させることが困難となる。
【0019】
ホルダー21が、プレート20から後方に向かって伸びる連結片32と、連結片32の後端から下方に向かって伸びて、背負い鞄2の本体部3の前面に形成されたポケット11に差し込まれる係合片33とを含んで構成されていると、背負い鞄2のポケット11に係合片33を差し込むだけで、背負い鞄2にアタッチメント1を装着することができ、また、逆の手順で、背負い鞄のポケット11から係合片33を抜き取るだけで、背負い鞄2からアタッチメント1を取り外すことができる。以上より、背負い鞄2に対してアタッチメント1を必要に応じて簡単に脱着させることができる。
【0020】
ホルダー21が、プレート20の上端部から延びる左右一対のホルダーベルト40・40と、各ホルダーベルト40の遊端部に固定されて、互いに連結可能に構成されたホルダーバックル41とで構成されていると、例えば肩ベルト4にホルダーベルト40を係止させたうえで、ホルダーバックル41・41どうしを連結させることで、背負い鞄2にアタッチメント1を装着することができる。また、ホルダーバックル41・41どうしの連結状態を解除することで、背負い鞄2からアタッチメント1を取り外すことができる。以上より、背負い鞄2に対してアタッチメント1を必要に応じて簡単に脱着させることができる。
【0021】
肩ベルト4は、上部ベルト7と下部ベルト8とに分離可能に構成されており、ホルダー21が、プレート20の上端部から延びて、上部ベルト7の挿通を許すループ部45を有する左右一対のホルダーベルト46・46で構成されていると、肩ベルト4を上部ベルト7と下部ベルト8とに分離し、上部ベルト7をループ部45内に挿通させてから、上部ベルト7と下部ベルト8とを連結させることで、アタッチメント1を背負い鞄2に装着することができる。以上より、背負い鞄2に対してアタッチメント1を必要に応じて簡単に脱着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る背負い鞄のアタッチメントの正面図であり、アタッチメントを背負い鞄に装着した状態を示している。
【
図6】アタッチメントの背負い鞄への装着方法を説明するための図であり、装着箇所を上方から見た図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る背負い鞄のアタッチメントの要部の正面図である。
【
図9】アタッチメントの背負い鞄への装着方法を説明するための図であり、装着箇所を上方から見た図である。
【
図10】本発明の第3実施形態に係る背負い鞄のアタッチメントの要部を上方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1実施形態) 本発明の背負い鞄のアタッチメントの第1実施形態を
図1ないし
図6に示す。本実施形態のアタッチメント1は、リュックサック(背負い鞄)2を装着対象とする。
図1および
図2に示すように、リュックサック2は、荷物などを収納する袋状の本体部3と、左右一対の肩ベルト4・4と、本体部3の上端中央部に設けられたグラブループ5などを備える。各肩ベルト4は、本体部3の前面6の上部に縫着された上方側のショルダーハーネス(上部ベルト)7と、本体部3の下部側面に縫着された下ベルト(下部ベルト)8とで構成される。ショルダーハーネス7の下端には、下ベルト8の中途部を保持して、ショルダーハーネス7と下ベルト8とを連結するストラップ9が装着されている。ストラップ9から連出される下ベルト8の遊端部分8aの長さを変更することで、肩ベルト4の長さを調節することができる。また、ストラップ9に対して下ベルト8を取り外すことで、ショルダーハーネス7と下ベルト8の連結状態を解除することができる。本体部3は、後方側のメインルーム10と、前方側のサブルーム(ポケット)11とを備える。サブルーム11の上部開口は、ファスナー12で開閉可能とされている。
【0024】
図3ないし
図5に示すように、アタッチメント1は、リュックサック2に装着された状態において、本体部3の前面6に沿うプレート20と、プレート20のリュックサック2の本体部3への固着を担うホルダー21と、プレート20の前面から前方に向かって突設されて被着者の背中に接触するパッド22とを備える。プレート20は、四角平板状に形成されたプラスチック製のベース23と、パッド22を覆うカバー24とで構成される。
【0025】
パッド22は、複数個の弾性パッド26からなる左右一対の荷重パッド列27のみで構成されている。これら荷重パッド列27は、プレート20を左右に二分する中心線Pと平行に、該中心線Pに対して左右対称に配置されている。本実施形態では、各荷重パッド列27を上下方向に並ぶ5個の弾性パッド26で構成した(
図1参照)。各弾性パッド26は、クッション性に優れるポリウレタンなどを素材として四角板(直方体)状に形成されて、ベース23に接着固定されている。ベース23に直交する方向における各弾性パッド26の厚み寸法は略同一であり、自由状態において5mm以上、100mm以下の範囲内に設定することが望ましく、10mm以上、70mm以下の範囲内に設定することがより望ましい。本実施形態では厚み寸法は20mmに設定した。各荷重パッド列27において、上下に隣接する弾性パッド26の間の隙間は15mm程度に設定した。
【0026】
カバー24は、布などを素材として縦長の長方形状に形成されており、その周縁に沿って縫い目28が形成されている。このベース23とカバー24の間の空間は、上下方向および左右方向に伸びる縫い目28で複数個の小室29に区分けされており、各小室29に弾性パッド26が1個ずつ収容されている。
【0027】
プレート20の中心線Pから荷重パッド列27を構成する弾性パッド26の対向内縁までの左右方向の間隔距離Dは、5~100mm(5mm以上100mm以下)の範囲内に設定することが望ましく、5~50mm(5mm以上50mm以下)の範囲内に設定することがより望ましい。本実施形態では30mmに設定した。
【0028】
ホルダー21は、プレート20のベース23に固着されて、該ベース23から上方に伸びる基端片31と、基端片31の上端から後方に向かって伸びる連結片32と、連結片32の後端から下方に向かって伸びて、リュックサック2のサブルーム11に差し込まれる係合片33とを含み、これら各片31・32・33を一体に成形してなるコ字状の樹脂体で構成される。
図6に示すように、ファスナー12を構成する左右のスライダー12a・12aを開操作して、サブルーム11の上方開口を部分的に開いたうえで、当該上方開口からホルダー21の係合片33をサブルーム11内に差し込むことで、アタッチメント1をリュックサック2に装着することができる。このとき、上方開口の左右方向の中央部分を開き、サブルーム11の左右方向の中央部分に係合片33を差し込むことで、リュックサック2の左右方向の中央位置と、プレート20の中心線Pとが略一致する適正位置に、アタッチメント1を装着することができる(
図1参照)。
【0029】
上述のように、リュックサック2に対してアタッチメント1を適正位置に装着したとき、荷重パッド列27は、リュックサック2を背負った被着者の背中、具体的には被着者の脊柱の左右両側に弾性的に当接する。これにより、リュックサック2の本体部3の荷重の一部を被着者の脊柱で支持させることができ、該荷重が被着者の肩や腰に集中するのを避けることができる。加えて荷重パッド列27により、本体部3の前面6の全体が被着者の背中に密着しないようにすることができるので、背中の通気性を高めることができる。
【0030】
以上のように、本実施形態においては、リュックサック2の前面6に後付け装着されるアタッチメント1のプレート20に設けられて被着者の背中に接触するパッド22を、プレート20の左右方向に二分する中心線(P)を挟む対称位置に、被着者の脊柱に対して荷物荷重を作用させるための左右一対の荷重パッド列27のみで構成した。これによれば、当該荷重パッド列27を介して被着者の脊柱に積極的にリュックサック2の荷物荷重を負わせることができるので、被着者の肩や腰への負担を相対的に小さくして身体負担を抑えることができる。また、肩や腰だけでなく脊柱でも荷物荷重を負うことになるため、肩や腰への局所的な負担を軽くして、全体として身体負担を抑えることができる。肩や腰だけでなく脊柱でも荷物荷重を負うため、より大きな荷物荷重を背負うことも可能となる。より長時間に亘って荷物を背負うことも可能となる。加えて、上記のような荷重パッド列27を具備しない通常のリュックサック2に対して、アタッチメント1を後付け装着することで、リュックサック2に対して荷重パッド列27に由来する上記の作用効果を付与することができる。
【0031】
各荷重パッド列27を、上下方向に所定間隔を置くとともに、上下方向に列設された複数個の弾性パッド26で構成したので、被着者の脊柱の湾曲状態に追従して各弾性パッド26の姿勢を変化させて、荷重パッド列27を被着者の脊柱に沿わせることができる。これにより、被着者の脊柱の湾曲状態が変化したときにも、安定的に荷重パッド列27を被着者の脊柱の近傍に配置させることができるので、より適切に荷物荷重を被着者の脊柱で支持させて、被着者の肩や腰の負担を小さくすることができる。
【0032】
リュックサック2と共にアタッチメント1が背負われた状態において、一対の荷重パッド列27が、被着者の脊柱の棘突起に接触することなく脊柱を挟む位置に配されるようにしていると、荷物荷重が脊柱や棘突起に直接作用して、脊柱が損傷することを防ぐことができる。
【0033】
中心線Pから荷重パッド列27を構成する弾性パッド26の対向内縁までの左右方向の間隔距離D3を、5mm以上、50mm以下に設定したので、被着者の脊柱の中心にある棘突起から荷重パッド列27までの距離の最適化を図って、被着者の脊柱に荷物荷重を作用させるという荷重パッド列27の機能をより適正に発揮させることができる。
【0034】
各荷重パッド列27を、5個の弾性パッド26で構成したので、脊柱の湾曲状態に追従して、各弾性パッド26の姿勢状態を変化させることができ、より安定的に弾性パッド26を被着者の背中へ密着させることができる。荷重パッド列27を構成する弾性パッド26の個数が5個を下回ると、脊柱の湾曲状態に応じて荷重パッド列27を追従させることが困難となる。20個を超えると、各弾性パッド26が小さくなり、接触面積が小さくなるため、荷物荷重を被着者の脊柱に適正に作用させることが困難となる。
【0035】
ホルダー21を、プレート20のベース23から上方に伸びる基端片31と、基端片31の上端から後方に向かって伸びる連結片32と、連結片32の後端から下方に向かって伸びて、リュックサック2のサブルーム11に差し込まれる係合片33とを含むものとしたので、リュックサック2のサブルーム11に係合片33を差し込むだけで、リュックサック2にアタッチメント1を装着することができ、また、逆の手順で、サブルーム11から係合片33を抜き取るだけで、リュックサック2からアタッチメント1を取り外すことができる。従って、リュックサック2に対してアタッチメント1を必要に応じて簡単に脱着させることができる。
【0036】
(第2実施形態)
図7ないし
図9に本発明の背負い鞄のアタッチメントの第2実施形態を示す。この第2実施形態のアタッチメント1では、プレート20のリュックサック2の本体部3への固着を担うホルダー21の構造が先の第1実施形態と相違し、その余の点は第1実施形態と同様であるので、同一の部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0037】
第2実施形態のアタッチメント1のホルダー21は、プレート20の上端部から延びる左右一対のホルダーベルト40・40と、各ホルダーベルト40・40の遊端部に固定されて、互いに着脱可能なホルダーバックル41・41とで構成される。ホルダーバックル41は、一方が雄型のバックル41aで構成され、他方が雄型のバックル41aの挿入を許す雌型のバックル41bで構成される。アタッチメント1をリュックサック2に装着する際には、
図8に示すように、バックル41a・41b同士の連結を解除したうえで、リュックサック2の本体部3の前面6に沿うようにプレート20を載置する。このとき、リュックサック2の左右方向の中央位置と、プレート20の中心線Pとが略一致する適正位置に、アタッチメント1を載置する。次に、
図7、9に示すように、各ホルダーベルト40・40を肩ベルト4の上方を通してから、両バックル41a・41bどうしを連結させる。以上より、
図7に示すように、リュックサック2にアタッチメント1を装着することができる。また、両バックル41a・41bどうしの連結状態を解除することで、リュックサック2からアタッチメント1を取り外すことができる。
【0038】
(第3実施形態)
図10に本発明の背負い鞄のアタッチメントの第3実施形態を示す。この第3実施形態のアタッチメント1のホルダー21は、プレート20の上端部から延びて、ショルダーハーネス7の挿通を許すループ部45を有する左右一対のホルダーベルト46・46で構成されている。アタッチメント1をリュックサック2に装着する際には、まず、左右の肩ベルト4を構成するショルダーハーネス7と下ベルト8との連結状態を解除する(
図1参照)。つまり、ショルダーハーネス7の下端に設けられたストラップ9に対する下ベルト8の挿通状態を解除して、ショルダーハーネス7と下ベルト8との連結状態を解除する。次に、ショルダーハーネス7をループ部45に挿通してから、下ベルト8をストラップ9に挿通させて、ショルダーハーネス7と下ベルト8とを再び連結させる。以上より、
図10に示すように、リュックサック2にアタッチメント1を装着させることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 アタッチメント
2 背負い鞄(リュックサック)
3 本体部
4 肩ベルト
6 本体部の前面
7 上部ベルト(ショルダーハーネス)
8 下部ベルト(下ベルト)
11 ポケット(サブルーム)
20 プレート
21 ホルダー
22 パッド
26 弾性パッド
27 荷重パッド列
32 連結片
33 係合片
40 ホルダーベルト
41 ホルダーバックル
41a 雄型のバックル
41b 雌型のバックル
45 ループ部
46 ホルダーベルト