(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054976
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】物品検査システム
(51)【国際特許分類】
B07C 5/36 20060101AFI20240411BHJP
B07C 5/346 20060101ALI20240411BHJP
B26F 1/44 20060101ALN20240411BHJP
B26D 7/18 20060101ALN20240411BHJP
A22C 21/00 20060101ALN20240411BHJP
【FI】
B07C5/36
B07C5/346
B26F1/44 G
B26D7/18 F
A22C21/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161480
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003694
【氏名又は名称】弁理士法人有我国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】朝井 英治
(72)【発明者】
【氏名】辻村 映治
(72)【発明者】
【氏名】菊池 壽晃
【テーマコード(参考)】
3C021
3C060
3F079
4B011
【Fターム(参考)】
3C021FD02
3C021FD07
3C060AA17
3C060BA03
3C060BB06
3C060BD10
3C060BE07
3C060BF01
3C060BG13
3C060BG17
3C060BH02
3F079AC06
3F079CA44
3F079CB07
3F079CB09
3F079CC04
3F079DA12
4B011FA05
4B011FA06
(57)【要約】
【課題】作業機による自動的な追加処理の信頼性を高めつつ、人手によるチェックや是正処理等の追加処理に要する作業負担を軽減し、追加処理の負担を十分に軽減した信頼性に優れた物品検査システムを提供する。
【解決手段】搬送される物品Pを検査する物品検査部10と、物品検査部10の検査結果に応じて検査済みの物品Pjに対し追加処理を実行させる追加処理制御部20と、を備えた物品検査システムであって、追加処理制御部20は、物品検査部10の検査結果が予め設定された複数の品質状態のうちいずれに該当するかを判定する品質状態判定部21と、品質状態判定部の判定結果に応じて、作業機30による第1の追加処理の作業を要求する第1の処理要求情報Raと人手による第2の追加処理の作業を報知出力により要求する第2の処理要求情報Rbとのうちいずれか一方を選択して出力する処理要求選択手段22と、を有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される物品(P)を検査する物品検査部(10)と、前記物品検査部の検査結果に応じて検査済みの物品に対し追加処理を実行させる追加処理制御部(20)と、を備えた物品検査システムであって、
前記追加処理制御部は、
前記物品検査部の検査結果が予め設定された複数の品質状態のうちいずれに該当するかを判定する品質状態判定部(21)と、
前記品質状態判定部の判定結果に応じて、作業機(30)による第1の追加処理の作業を要求する第1の処理要求情報(Ra)と人手による第2の追加処理の作業を報知器(42)への報知出力により要求する第2の処理要求情報(Rb)とのうちいずれか一方を選択して出力する処理要求選択手段(22)と、を有していることを特徴とする物品検査システム。
【請求項2】
前記処理要求選択手段は、前記物品検査部により検査可能な複数の検査項目について、前記第1の処理要求情報もしくは前記第2の処理要求情報を選択する条件が予め設定されていることを特徴とする請求項1に記載の物品検査システム。
【請求項3】
前記品質状態判定部は、前記物品検査部で少なくとも前記物品の品質状態に異常が検出されたときに、該物品の品質状態に基づいて複数の不良態様のいずれに該当するかを判定することを特徴とする請求項1または2に記載の物品検査システム。
【請求項4】
前記品質状態判定部は、前記物品中に異物が検出されたときに、該異物の種別、サイズ、形状、密度または混入位置に基づいて前記複数の品質状態のいずれに該当するかを判定することを特徴とする請求項3に記載の物品検査システム。
【請求項5】
前記品質状態判定部は、前記物品の内容量の超過もしくは不足が検出されたときに、該内容量の超過もしくは不足状態に基づいて前記複数の不良態様のいずれに該当するかを判定することを特徴とする請求項3記載の物品検査システム。
【請求項6】
前記処理要求選択手段は、前記物品検査部の検査結果が各検査項目につき生じ得る複数の異なる品質状態のうちいずれに該当するかによって、前記第1の処理要求情報と前記第2の処理要求情報とのうちいずれか一方を優先して選択する優先設定情報を、メモリ(23)に記憶させていることを特徴とする請求項5に記載の物品検査システム。
【請求項7】
前記追加処理制御部は、
前記処理要求選択手段が前記第1の処理要求情報を選択したときには、前記品質状態に異常が検出された物品から品質状態の異常部位を除去するための所定の作業動作を前記作業機に実行させ、
前記処理要求選択手段が前記第2の処理要求情報を選択したときには、該第2の処理要求情報に基づいて、人手による第2の追加処理の作業要求を報知出力させることを特徴とする請求項1または2に記載の物品検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品検査システムに関し、特に物品検査部とその検査結果に応じて検査済み物品に対し追加処理を実行させる追加処理制御部とを備えた物品検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送される物品を搬送方向およびそれと直交する方向の所定範囲内で順次検査し、その検査結果が不良となった特定の物品や部位を排除するための追加処理を実行することで、製造物品の品質状態を良好に保つようにした物品検査システムが知られている。
【0003】
例えば、製造ライン中にX線検査機を組み込んで、その検出画像データを基に異物の位置情報を取得するとともに、生肉や加水した穀粉等から異物混入部分をくり抜いて部分除去することができるくり抜き手段を設けた物品検査システムがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、X線分析装置で食品片内の骨の個片等の異物を検出するとともにその座標を特定し、その座標情報を基に作動する水噴射切断工具アセンブリにより、異物が特定のコンベア間の隙間領域を通過する際に異物の上方に位置する水噴射ノズルから水噴流を当てて、食品片に穿孔しつつ異物を除去するようにした物品検査システムが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
さらに、コンベア搬送される食品を検査領域内でX線検査して合格品か否かを判定するX線検査手段と、そのX線検査領域より下流側のコンベアの側方に配置されて交互に不合格品を搬送路外に排出することができる複数の振分手段と、複数の振分手段に対応して設けられた複数の作業台とを備え、各作業台上に不合格品を均等に振り分けつつ、各作業台に排出された不合格品を作業者によって是正処理(例えば、鶏肉からの骨の除去)できるようにして、食品の安全レベルを高めるようにしたものがある(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5524598号公報
【特許文献2】特許第6660894号公報
【特許文献3】特許第6412034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の特許文献1、2に記載のような従来の物品検査システムにあっては、食品等の安全性に対する要求課題が高度化するなか、作業機によるくり抜きや穿孔等を行う機械的な追加処理だけでは、不良部位の発生態様によって追加処理が不十分になったり追加処理の漏れが発生したりし得るのではないかという懸念から、機械的な追加処理後の物品に対し目視チェックを行ったり人手による是正処理を追加したりする作業員を配置する場合があり、作業機による自動的な追加処理であるにもかかわらず作業負担が大きくなる場合があった。
【0008】
また、特許文献1~3に記載のような従来の物品検査システムにあっては、いずれも、すべての不良品に対してその不良態様にかかわらず同手法で追加処理を行っていた。そのため、不良態様によっては、検査結果情報から検査済み物品中の不良部位の位置の特定が容易で作業機による追加処理が容易に可能であるものの、作業機による大雑把な除去作業等では無駄が多くなってしまう場合や、検査済み物品中の不良部位の位置が特定できれば人手により無駄の無い追加処理が可能であるものの、その検査済み物品を目視するだけでは不良部位の位置を容易に特定できないために、人手による是正処理等の作業負担が大きくなってしまう場合があった。
【0009】
本発明は、上述のような従来の未解決の課題を解決するものであり、作業機による自動的な追加処理の信頼性を高めつつ、人手によるチェックや是正処理に要する負担を軽減し、追加処理負担を十分に軽減した信頼性に優れた物品検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る物品検査システムは、上記目的達成のため、搬送される物品を検査する物品検査部と、前記物品検査部の検査結果に応じて検査済みの物品に対し追加処理を実行させる追加処理制御部と、を備えた物品検査システムであって、前記追加処理制御部は、前記物品検査部の検査結果が予め設定された複数の品質状態のうちいずれに該当するかを判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果に応じて、作業機による第1の追加処理の作業を要求する第1の処理要求情報と人手による第2の追加処理の作業を報知器への報知出力により要求する第2の処理要求情報とのうちいずれか一方を選択して出力する処理要求選択手段と、を有している。
【0011】
この構成により、本発明では、追加処理制御部の判定手段により、物品検査部の検査結果が予め設定された複数の品質状態のうちいずれに該当するかが判定され、処理要求選択手段により、判定手段の判定結果に応じて、作業機による第1の追加処理の作業を要求する第1の処理要求情報と人手による第2の追加処理の作業を報知器への報知出力により要求する第2の処理要求情報とのうちいずれか一方が選択されて、追加処理要求の出力がなされることになる。したがって、作業機による自動的な追加処理で十分に対応可能な品質状態であれば信頼性の高い追加処理を実行させて人手による追加処理負担を十分に軽減させることができ、人手によるチェックや是正処理等が望ましい品質状態であれば作業機による自動的な追加処理を省略または予備的処理に軽減して人手による的確な追加処理を低負担で実行させることができる。
【0012】
本発明の好ましい実施形態においては、前記処理要求選択手段は、前記物品検査部により検査可能な複数の検査項目について、前記第1の処理要求情報もしくは前記第2の処理要求情報を選択する条件が予め設定されている構成とすることができる。このようにすると、複数の検査項目についてそれぞれの検査結果に応じた追加処理の要求情報を作業機優先とするか人手優先とするかを的確に選択設定可能となる。
【0013】
本発明の好ましい実施形態においては、前記判定手段は、前記物品検査部で少なくとも前記物品の品質状態に異常が検出されたときに、該物品の品質状態に基づいて複数の不良態様のいずれに該当するかを判定する構成とすることができる。
【0014】
この場合、不良品の品質状態の異常内容に対応する不良態様を的確に判定でき、その不良態様に対し要求される追加処理を迅速的確に選択できることとなる。
【0015】
本発明の好ましい実施形態においては、前記判定手段は、前記物品中に異物が検出されたときに、該異物の種別、サイズ、形状、密度または混入位置に基づいて前記複数の不良態様のいずれに該当するかを判定する構成とすることができる。
【0016】
この場合、異物を含む不良態様に対して、部分排除等の追加処理に好適な選択設定が的確に選択可能となる。
【0017】
本発明の好ましい実施形態においては、前記判定手段は、前記物品の内容量の超過もしくは不足が検出されたときに、該内容量の超過もしくは不足状態に基づいて前記複数の不良態様のいずれに該当するかを判定する構成とすることができる。
【0018】
この場合、内容量の過不足に適した追加処理を迅速的確に選択可能となる。
【0019】
本発明の好ましい実施形態においては、前記処理要求選択手段は、前記物品検査部の検査結果が各検査項目につき生じ得る複数の異なる品質状態のうちいずれに該当するかによって、前記第1の処理要求情報と前記第2の処理要求情報とのうちいずれか一方を優先させて選択する優先設定情報を、メモリに記憶させている。
【0020】
この場合、処理要求選択手段による追加処理の要求選択に際して、選択設定メモリの記憶情報に基づいて自動工程が優先されるか人手が優先されるかが迅速的確に判定されることになる。
【0021】
本発明の好ましい実施形態においては、前記追加処理制御部は、前記処理要求選択手段が前記第1の処理要求情報を選択したときには、前記品質状態に異常が検出された物品から品質状態の異常部位を除去するための所定の作業動作を前記作業機に実行させ、前記処理要求選択手段が前記第2の処理要求情報を選択したときには、該第2の処理要求情報に基づいて、人手による第2の追加処理の作業要求を報知出力させるものとすることができる。
【0022】
この場合、作業機による追加処理の信頼性を高めるとともに、人手による追加処理負担を軽減させることができる。しかも、人手によるチェックや是正処理等が望ましい品質状態が生じたときに、それを作業者に迅速的確に報知可能となる。
【0023】
なお、不良品から品質状態の不良部位を除去したり是正したりする追加処理に作業機を用いる場合、作業機により不良部位の機械的な除去動作等を実行させるだけでなく、第1の処理要求情報に応じて作業機に不良部位のマーキングその他の予備的な追加処理を実行させ、その予備的な追加処理等の後に、人手による是正処理等の主たる追加処理を実行させることも可能である。換言すれば、本発明にいう第1の処理要求情報と第2の処理要求情報とは、追加処理に際して作業機による自動的な作業と人手による作業とを選択して、検査済みの物品を作業機または作業者に的確に振り分けることが可能なものであれよく、追加処理の信頼性向上と負担軽減を両立させるべく、作業機による予備的な処理と人手による本処理とを併用するような追加処理を実行するようにしてもよい。例えば、加工食品の素材等となる検査済みの物品の不良部位が物品の外面に露出していないためにその不良部位を目視では把握し難いような場合に、作業機の予備的な追加処理作業によって不良部位を物品の表面に露出させる切断加工を行ったりマーキングをしたりして、人手による追加処理作業を容易化するようなことも可能である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、作業機による自動的な追加処理の信頼性を高めつつ、人手によるチェックや是正処理等の負担を軽減し、追加処理負担を十分に軽減することのできる物品検査システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態に係る物品検査システムにおける制御系のブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る物品検査システムの概略のシステム構成図である。
【
図3】本発明の一実施の形態に係る物品検査システムにおける物品検査工程と追加処理用の自動工程および人手工程との配置を例示する概略システム正面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る物品検査システムにおける物品検査装置と、機械的な追加処理を実行するロボット作業機と、人手による追加処理を実行する作業台との配置の説明図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る物品検査システムにおける物品検査結果から品質状態の是正処理等のための追加処理が要求される処理要求物品について、機械的な追加処理とするか人手による追加処理とするかを品質状態に応じて選択可能な選択設定画面の一例の説明図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る物品検査システムにおける物品検査部、制御部および駆動出力部のそれぞれの信号の流れを示す概略ブロック構成図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る物品検査システムにおいて不良部位の部分排除作業をロボット作業機により実行させる自動工程の搬送区間の平面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る物品検査システムにおいて不良部位の部分排除作業を人手作業により実行させる人手工程の搬送区間の平面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る物品検査システムにおいて不良部位の部分排除作業を実行するロボット作業機の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0027】
(一実施形態)
図1ないし
図9は、本発明の一実施形態に係る物品検査システムを示している。
【0028】
まず、その構成について説明する。
【0029】
図1ないし
図5に示すように、本実施形態に係る物品検査システム1は、図示しない物品製造ライン中に配置された複数のコンベア等の物品搬送路11上で、搬送中の物品Pを順次検査する物品検査装置10(物品検査部)と、その物品検査装置10での検査結果に応じて検査済みの物品Pのうち品質状態にばらつきや偏り、不良部位等があり、その是正に係る所定の追加処理が必要な物品P(以下、追加処理要求物品Pjという)に対して所定の追加処理を実行させる追加処理制御部20と、を備えている。
【0030】
この物品検査システム1における物品検査装置10としては、少なくとも1種類の物品検査が可能な検査機、例えばX線異物検出機、金属検出機および質量計量機の一部または全部を含んでおり、この物品検査装置10は、物品搬送路11上の所定の検査区間Z1を
図3および
図4中のD1方向に通過する各々の物品Pの品質状態を所定の検査手法で検査し、予め設定された判定条件を基に、例えばOK品すなわち良品か、NG品すなわち不良品かを判定できるようになっている。なお、ここでの物品Pは、例えば物品搬送路11上に所定形状に広がるか展延された、食品素材、加工食品、薬品のように人や動物に摂取されるもの、あるいは、人や動物に触れる製品として製造されるものであるが、特定の物品に限定されるものではない。
【0031】
物品検査装置10は、また、X線検査機の機能により、NG品の不良部位の位置および範囲を例えばその中心座標および半径によって特定可能なX線検査画像データを生成できるようになっている。
【0032】
具体的には、
図2および
図6に示すように、物品検査装置10は、物品搬送路11により搬送される各検査対象の物品Pに対しX線照射部12からX線を照射して、X線ラインセンサ13により所定時間毎の透過X線量を検出し、物品Pが検査領域を通過する間にその検出値を順次画像メモリ14に記憶させることで、検査制御部15にて物品Pの透過X線量分布を示すX線検査画像データXiを取得することができるようになっている。
【0033】
検査制御部15は、プロセッサやメモリを有するとともに、それらを用いて所定の機能を発揮させることができる各種の制御プログラムを内蔵しており、画像メモリ14からのX線検査画像データXiを基に画像処理機能を発揮する画像処理部16と、画像処理部16による画像処理結果に基づいて物品Pの品質状態の判定機能を発揮する品質判定部17と、品質判定部17の判定結果の表示や操作入力が可能なタッチパネル等の操作・表示部19と、操作・表示部19からの操作入力に基づいて画像処理部16、品質判定部17および操作・表示部19の動作条件を設定可能な設定部18と、を含んで構成されている。
【0034】
また、検査制御部15は、例えば、物品搬送路11上に搬入される物品Pが図示しない物品検知センサにより検知されたとき、その検知信号を基に物品Pを検査対象物品に設定し、この物品Pが検査区間Z1内の特定位置(例:ラインセンサ13の検出位置)を通過する間中、X線照射部12を作動させるようになっている。
【0035】
品質判定部17は、画像処理部16による画像処理結果に基づき、例えば物品Pの品質状態を所定の検査単位領域(所定搬送距離区間内の物品P)毎に判定することができ、例えばその検査単位領域毎に異物が混入していないか判定することができるようになっている。
【0036】
追加処理制御部20は、検査結果が良品とならなかった物品Pについてその品質状態、例えばその良否および不良態様を判定する品質状態判定部21(判定手段)と、品質状態判定部21の判定結果に応じて後述する追加処理を作業機により実行するか人手により実行するかを切替え可能に制御する処理要求選択部22(処理要求選択手段)と、処理要求選択部22による追加処理選択の条件を記憶格納する選択設定メモリ23(メモリ)と、処理要求選択部22からの制御信号RaまたはRbに基づいて、後述する追加処理を機械的に実行するロボット作業機30への作業指令となる駆動制御信号Saの出力または人手工程作業台40上のディスプレイ42への表示駆動制御信号Sbの出力を実行する駆動処理部24と、を有している。
【0037】
この追加処理制御部20は、例えば管理用PCおよびPLC(プログラマブルロジックコントローラ)等によって構成されており、それらを用いて所定の機能を発揮させることができる各種の制御プログラムを内蔵している。また、追加処理制御部20は、物品検査システム1の状態監視を行うとともに、生産計画に関連付けた物品検査装置10の検査結果の管理と、物品検査装置10の検査結果に応じたロボット作業機30の駆動制御や人手工程作業台40上の表示駆動制御等を実行できるようになっている。さらに、追加処理制御部20は、管理用PCと協働してPLCに対するプログラミングツールや設定入力切替器として機能するタブレット型の情報端末を含んでいてもよい。
【0038】
品質状態判定部21は、処理要求物品Pjの不良部位の位置座標および範囲を検査画像データXiから特定するとともに、その不良部位が予め設定した複数の不良態様のいずれに該当するかを判定するために、例えば不良部位の種別、サイズ、形状、密度、位置、数、異物の有無等を検出するようになっている。また、品質状態判定部21は、物品P中に異物が検出されたときに、その異物の種別、サイズ、形状、密度または混入位置に基づいて、複数の不良態様のいずれに該当するかを判定する。さらに、物品検査装置10で計量や質量検査が実行されるときには、品質状態判定部21は、物品Pの内容量の超過もしくは不足が検出されたときに、その内容量の過不足状態の検出情報に基づいて、複数の不良態様のいずれに該当するかを判定することができるようになっている。
【0039】
処理要求選択部22は、検査済みの物各品Pについて検査画像データXiおよび品質判定結果Jiと共に品質状態判定部21の判定結果を取得し、要求される所定の品質状態について良品から外れると判定されたことを示す品質判定結果Jiを有する各物品Pについて、その品種や加工状態により不良部位の是正処理等のような追加処理が必要な処理要求物品Pjとなるか否かを判定する機能を有している。
【0040】
また、処理要求選択部22は、各処理要求物品Pjについて、その不良部位の不良態様が予め設定した複数種の不良態様のうちいずれに該当するかを判定し、その判定結果に応じて、例えば後述するロボット作業機30による自動工程での追加処理に適する不良態様であるか、後述する人手工程作業台40上における人手工程での追加処理に適する不良態様であるかを判別し、その判定結果に応じて異なる制御信号Ra、Rbを出力するようになっている。
【0041】
具体的には、処理要求選択部22は、処理要求物品Pjにおける不良部位の不良態様の判定結果に応じて、物品搬送路11上の所定の検査区間Z1より下流側の第1の追加処理区間Z2内でロボット作業機30(作業機)による自動工程の追加処理を実行するか、第1の追加処理区間Z2より下流側の第2の追加処理区間Z3内で人手工程作業台40を用いる人手の追加処理を実行するかを選択する機能を有しており、選択した追加処理工程側にその追加処理に対応する制御指令を出力する第1制御手段22aおよび第2制御手段22bを有している。
【0042】
ここで、第1制御手段22aは、ロボット作業機30による自動工程での追加処理を要求する制御信号Raを出力し、第2制御手段22bは、人手工程作業台40上における人手工程での追加処理を報知させる制御信号Rbを出力するようになっている。
【0043】
具体的には、第1制御手段22aは、駆動回路を構成する駆動処理部24の第1駆動手段24aを介してロボット作業機30のロボットコントローラ39に接続されており、自動工程での追加処理を要求する制御信号Raを第1駆動手段24aに出力することで、ロボットコントローラ39に対して、第1駆動手段24aからロボット作業機30による自動工程での追加処理に対応する駆動制御信号Saを出力することができる。
【0044】
また、第2制御手段22bは、処理要求物品Pjに対して第1制御手段22aからの制御指令が出力されない場合であって、第1の追加処理区間Z2内でロボット作業機30による自動工程の追加処理を施されなかった処理要求物品Pjが第2の追加処理区間Z3内に進入するとき、人手工程作業台40を用いる人手工程での追加処理が必要であることを報知させる制御信号Rbを駆動処理部24の第2駆動手段24bに出力する。そして、その第2駆動手段24bを介して人手工程作業台40上のディスプレイ42に表示駆動制御信号Sbを出力させることで、人手による追加処理の実施を要求する報知出力として少なくともディスプレイ42による画面表示出力を実行するようになっている。なお、以下の説明にいう報知出力には、作業者Wk1、Wk2に対するディスプレイ42等の報知器での報知出力のみならず、その出力の基となる第2制御手段22bから駆動処理部24の第2駆動手段24bへの制御信号Rbや、第2駆動手段24bからの表示駆動制御信号Sbが含まれるものとする。
【0045】
処理要求選択部22は、また、物品検査装置10の検査結果が各検査項目につき生じ得る複数の異なる不良態様のうちいずれに該当するかによって、第1の処理要求情報と第2の処理要求情報とのうちいずれか一方を優先して選択する優先設定情報を、選択設定メモリ23に記憶させている。
【0046】
この選択設定メモリ23は、処理要求選択部22に組み込まれており、処理要求選択部22が検査済み物品Pの品質状態に応じた追加処理を選択するとき、その品質状態に応じて優先される追加処理工程の設定情報を抽出させることができる。
【0047】
具体的には、選択設定メモリ23は、設定部18からの設定入力に基づき、各品種の物品Pについて例えば
図5に示すように、複数の検査項目について検査項目ごとにその検査結果に応じてロボット作業機30による自動工程での追加処理を優先するか、人手工程作業台40上における人手工程での追加処理を優先するかの選択設定情報を、少なくとも物品検査装置10の操作・表示部19上または/および人手工程作業台40上のディスプレイ42上に一覧表示可能に、かつ、設定変更可能に記憶にするようになっている。
【0048】
駆動処理部24は、処理要求選択部22からの制御信号Raに基づいてロボット作業機30への自動工程の作業指令を駆動制御信号Saとして出力する第1駆動手段24aと、処理要求選択部22からの制御信号Rbに基づいて人手工程作業台40上のディスプレイ42への表示駆動制御信号Sbの出力を実行する第2駆動手段24bとを有している。
【0049】
この駆動処理部24は、物品検査装置10による検査の結果から、設定部18により予め設定された第1の追加制御条件が成立するとき、これを条件に制御信号Raにより第1駆動手段24aを作動させて、ロボット作業機30に対し処理要求物品Pjの不良部位を自動的に機械的に部分排除するための制御指令を出力させるようになっている。
【0050】
物品搬送路11を構成するコンベアには、図示しないロータリエンコーダが付設されており、追加処理制御部20は、物品搬送路11の一定搬送距離毎にエンコーダパルスを取得することで、各検査対象または検査済みの物品Pの搬送方向D1における位置を、ロボット作業機30により部分排除されるべき不良部分の位置座標と共に算出することができる。さらに、追加処理制御部20は、処理要求物品Pjと判定された検査済みの物品Pがロボット作業機30により不良部分を部分排除可能な第1の追加処理区間Z2内に入る期間中、処理要求物品Pjの搬送位置や水平方向におけるロボット作業機30の先端部との相対位置等を逐次算出できるようになっている。
【0051】
ロボット作業機30は、
図9に示すように、吸引選別ヘッドを兼ねたくり抜きヘッド31を有しており、くり抜きヘッド31を関節付きのロボットアーム32で少なくとも物品搬送方向と直交する搬送路幅員方向(ラインセンサ13の長手方向)に、ここでは水平多関節のロボットアーム32で物品搬送方向および搬送路幅員方向の双方に移動させることができ、物品搬送路11外(以下、系外ともいう)の不良品受け34に排出することができるようになっている。くり抜きヘッド31は、筒状の切断刃付きのノズル31aを有しており、処理要求物品Pjの不良部分を囲繞するようにノズル31aを下降させることで、処理要求物品Pjの不良部分をくり抜いたり削り取ったりすることができる。
【0052】
ロボット作業機30のように自動的な追加処理を実行させるアクチュエータは、取り扱う物品Pの形状や特性に応じて選択されるものであるから、特に限定されるものではなく、例えばロボットハンドを駆動するモータであってよく、空圧吸引力をノズル31aの先端に作用させる電磁バルブであってよく、またはベルトコンベアの一端を上下動させるエアシリンダであってよく、それ以外であってもよい。
【0053】
駆動処理部24は、物品検査装置10による検査の結果から、設定部18により予め設定された第2の追加制御条件が成立するとき、これを条件に制御信号Rbにより第2駆動手段24bを作動させて、少なくとも人手工程作業台40上のディスプレイ42(表示器、報知器)によって人手による追加処理が要求されることを表示駆動出力により報知させるようになっている。勿論、ディスプレイ42による報知時に音声出力等の他の報知出力がなされてもよい。
【0054】
ここで、人手工程作業台40は、所定の搬送方向D1でロボット作業機30より下流側に配置されており、ディスプレイ42等により人手による追加処理が要求されることが報知出力されたとき、報知物品検査装置10による検査後の物品Pを、物品検査装置10による検査の結果および検査画像データXi上での処理要求品Pjおよびその不良部位の表示を基に、所定搬送距離分の第2の追加処理区間Z3内で、人手により不良部位の部分排除等の追加処理を実行できるようになっている。
【0055】
この人手工程作業台40は、例えば物品搬送路11上の第2の追加処理区間Z3の一側方に位置する2人用の作業台41と、第2の追加処理区間Z3の他側方に位置するディスプレイ42と、第1の追加処理区間Z2内でロボット作業機30による自動工程の追加処理を施されることなく第2の追加処理区間Z3内に進入した処理要求物品Pjを、その進入直後に作業台41上の上流端側(追加処理を実行する作業者Wk1側)に押し出すプッシャ43とを有している。
【0056】
作業台41上に押し出される物品Pの不良部位をディスプレイ42で画面表示する場合、作業台41上に位置特定を容易化するための基準線やグリッド表示を付けてもよい。また、第1の追加処理区間Z2内でロボット作業機30による自動工程の追加処理を施さない場合であっても、ロボット作業機30のくり抜きヘッド31の下降位置を所定のマーキング高さまでに抑制し、予備的にマーキングする作業を実行した処理要求物品Pjを、作業台41上に移動させるようにしてもよい。さらに、くり抜きヘッド31を装着するロボット作業機30の先端部に回転割り出し可能な機構やハンドを実装する等して、くり抜きヘッド31とマーキング専用のヘッドを切り替え使用できるようにしてもよい。マーキングの種類やマーキング時におけるくり抜きヘッド31側の吸引の有無がバルブ制御により容易に操作できることはいうまでもない。
【0057】
物品検査システム1においては、追加処理制御部20は、物品検査装置10に内蔵される検査制御部15から検査済みの物各品Pについて検査画像データXiおよび品質判定結果Ji等を入力し、ロボット作業機30のロボットコントローラ39および人手工程作業台40のディスプレイ42に対し駆動処理部24を介して制御指令を出力できるよう、これら対して所定通信方式でLAN接続されている。ここにいうLANは、例えばEthernetベースのフィールドバスで構成されており、コントローラ間でのデジタル通信(下位層での制御情報交換、上位層による下位層の稼働状況や各装置における事象のモニタリング等をなすための通信)が可能となっている。
【0058】
ロボット作業機30のくり抜きヘッド31による不良部分のくり抜きや切除は、物品搬送路11上の第1の追加処理区間Z2内に広がった物品Pに対する局所的な排除動作で、物品搬送路11上に広がる物品Pの一部を、物品搬送路11上から外方に排除する除去動作である。
【0059】
ロボット作業機30によるこの不良部分の部分排除に際し、追加処理制御部20は、物品検査装置10の検査制御部15から処理要求物品Pjについての品質判定部17での検査判定結果と位置情報を取得するとともに、X線検査画像データXiをその座標基準データと併せて取得する。そして、追加処理制御部20は、処理要求物品Pjが物品検査装置10による検査区間Z1からロボット作業機30による部分排除の動作エリアとなる第1の追加処理区間Z2へと移動する間に、処理要求物品PjのX線検査画像データXi中の不良判定部位またはそれを含む検査単位領域の座標とその搬送に伴う位置の変化とをリンクさせ、ロボット作業機30による部分排除動作位置を物品検査装置10の品質判定部17で不良判定された不良部位の座標に一致させるように、物品検査装置10およびロボット作業機30の動作を同期させる制御を実行するようになっている。
【0060】
図5、
図6および
図9に示すように、くり抜きヘッド31は、例えば下端部に下向きの開口と筒状の切断刃部を有する昇降式のノズル31aと、ノズル31aを昇降駆動軸35aを介して昇降駆動可能に支持するヘッド本体35と、ノズル31aの上端部に接続された吸引用の可撓性のダクト33と、吸引用のダクト33の出口の周囲から下流側に向けて高圧の駆動流体(ここでは圧縮空気であるエア)を噴射させて吸引用のダクト33内に負圧を発生させるエジェクタ機能を有する駆動流体噴射部37と、吸引用のダクト33および駆動流体噴射部37の出口側に接続され、不良品受け34に向かい内通路断面積が漸増するディフューザ通路を形成する排出用の可撓性のダクト36とを有している。そして、くり抜きヘッド31は、ノズル31aから吸引用のダクト33内に処理要求物品Pjの不良部位を吸い込ませ、排出用のダクト36から不良品受け34に排出させることができるようになっている。
【0061】
なお、
図3または
図4に示すように、処理要求物品Pjの不良部位を含む排除部分がノズル31aに吸引されるとき、または吸引されてその入口を通過したとき、その排除部分は、ノズル31aまたは吸引用のダクト33の上流端部側に装着された反射型レーザセンサ等の小型の通過検知センサ31sで検知されるようになっている。また、排除部分が吸引用のダクト33内に吸引されて排出側に通過するとき、その排除部分は吸引用のダクト33の下流端部側または駆動流体噴射部37の近傍に装着された通過検知センサ36sで検知されるようになっている。
【0062】
くり抜きヘッド31のノズル31aは、ヘッド本体35と共に第2アーム32eに一体に支持された昇降駆動機構32fによって、昇降駆動軸35aを介し
図9中に実線で示す上昇位置と同図中に仮想線で示す下降位置との間で昇降させることができ、下降位置側で処理要求物品Pjの不良部位をピンポイントに吸引して物品搬送路11外(以下、系外ともいう)に部分排除できるように、その下降位置の高さが物品Pの品種毎に設定されている。
【0063】
ロボットアーム32は、例えば第1アーム32aの基端部を支持台32bに旋回可能に支持するとともに、ギヤドモータ32cを介して旋回駆動可能とし、第1アーム32aの先端部にギヤドモータ32dを有する関節部を介して第2アーム32eを旋回駆動可能に支持させたものである。また、第2アーム32eは、くり抜きヘッド31を一体的に支持しており、ロボットコントローラ39によってギヤドモータ32c、32dのサーボ制御によりそれぞれの駆動角度位置を目標値に制御することで、ノズル31aを可動域内の任意の座標位置に移動させることができる。
【0064】
なお、ロボットアーム32は、第2アーム32eの手先側にノズル31aを任意の姿勢で保持する保持手段を装着したものでもよいのは勿論である。すなわち、ロボットアーム32は、ノズル31aを移動させる移動手段として機能するだけでなく、手首側の関節機構等により、処理要求物品Pjの不良部分の吸引排除時に、ノズル31aをX線検査画像の視線方向(例えば鉛直方向V)に対してわずかに傾斜させるようにしてもよい。
【0065】
このように、ロボット作業機30においては、物品搬送路11上の複数の物品PのうちX線検査画像データXiの判定処理によって良品から外れる特定の検査結果となった処理要求物品Pjの不良部分を、X線検査画像データXiに応じた高さや水平位置、姿勢を有するノズル31aによりくり抜き、吸い上げて物品搬送路11外に排除することができるようになっている。
【0066】
また、追加処理制御部20は、処理要求物品Pjの吸引開始時におけるノズル31aの開口の中心の水平方向位置(開口中心位置)を、処理要求物品Pjの不良部位の座標上の所定高さに設定する。その上で、追加処理制御部20は、処理要求物品Pjの搬送中の座標に応じた移動先の目標座標(x、y、z)を逐次設定し、駆動流体噴射部37にエジェクタ機能を発揮させつつ円筒状の切断刃機能を有するノズル31aを目標座標へと水平移動させた後に搬送路面高さ付近まで下降させることで、処理要求物品Pjの不良部分をその近傍部分と共に例えば円形にくり抜き切断して吸引し、部分排除させるようになっている。なお、処理要求物品Pjの不良部分の範囲や数に応じて、このような部分排除を同一の処理要求物品Pjに対して複数回行うことも可能である。
【0067】
追加処理制御部20は、その他、処理要求物品Pjの不良部位の特定に際しては、例えばX線検査画像データXiに対して、平滑化等のノイズ低減処理を施すためのノイズ除去フィルタ処理や、物品P中に不良部位が存在する場合にその周辺での透過X線濃度の急峻な変化を検出するためのエッジ強調フィルタ処理、ワーク搬送速度を決定するベルトコンベアのスピード設定処理等を実行する機能を有している。
【0068】
あるいは、物品Pの品種や検査項目に応じて、追加処理制御部20は、X線検査画像データXiの二値化やラベリング処理を行ったり、X線透過画像の濃度分布を考慮して厚さを計測したり重心位置を計算したりすることができ、それらの結果を考慮した上で不良部位を部分排除するための排除対象範囲を設定するようにしてもよい。
【0069】
物品検査システム1は、このように、搬送中の物品Pを所定の検査区間Z1内で検査する物品検査装置10と、物品検査装置10の検査結果に応じて検査済みの処理要求物品Pjに対して所定の追加処理を選択的に実行させる追加処理制御部20とを具備しており、追加処理制御部20は、物品検査装置10の検査結果が良品判定から外れる処理要求物品Pjが発生したとき、その処理要求物品Pjの不良態様がロボット作業機30による機械的な追加処理に適するものか、人手工程作業台40を用いる人手の追加処理に適するものかを判定し選択する追加処理制御機能を有している。
【0070】
また、物品検査システム1は、この追加処理制御部20からの制御信号Raに応じてロボット作業機30を作動させることにより、第1の追加処理区間Z2内で処理要求物品Pjの不良部位を含んだ所定半径の排除対象部位をピンポイントに部分排除する機械的な自動是正処理を実行させることができ、追加処理制御部20からの制御信号Rbに応じて人手工程作業台40上のディスプレイ42を表示駆動して人手による追加処理が要求されることを作業者Wk1、Wk2に報知出力することができる。作業者Wk1、Wk2のうち後者の作業者Wk2は、例えば追加処理中人手工程の監視または追加処理品のチェック要員で、人手の作業負荷に応じて配置され得る。
【0071】
このように、本実施形態の物品検査システム1においては、処理要求選択部22が自動工程の追加処理を要求する第1の処理要求情報を選択したときには、品質状態に異常が検出された処理要求物品Pjから品質状態の異常部位を除去するための所定の作業動作をロボット記作業機30に実行させる一方、処理要求選択部22が人手工程の追加処理を要求する第2の処理要求情報を選択したときには、その第2の処理要求情報に基づいて、人手による第2の追加処理の作業要求をディスプレイ42により報知出力させる。
【0072】
処理要求選択部22は、物品検査装置10による検査の結果および検査済みの物品Pの品質状態に応じて、選択設定メモリ23に記憶される選択設定条件、例えば
図5に例示するように検査項目ごとにその検査結果に応じて設定された自動工程か人手工程かの優先設定情報を参照する。そして、処理要求選択部22は、自動工程を優先する第1の追加制御条件が成立するか否かを判定するとともに、第1の追加制御条件が成立しないときに、選択設定メモリ23に記憶される選択設定条件を基に人手工程を優先する第2の追加処理条件が成立するか否かを判定する。第1、第2の追加制御条件のいずれも成立しないときには、システムエラー等が生じたときか、検査済みの物品Pの品質状態が良好であり追加処理が必要ない場合であり、システムエラー等の異常発生時にはシステムを停止させ、物品Pの品質状態が良好で追加処理が必要ない場合には、例えば自動工程が実行されず、人手工程では作業者Wk2による監視が実行される。
【0073】
ここにいう第1の追加制御条件とは、ロボット作業機30でのピンポイントのくり抜きの部分排除動作が可能な自動追加処理領域E内、特にその自動追加処理領域E内に全域が入る複数の所定搬送区間Z2a内で、あるいは更に、自動追加処理領域E内に搬送方向の全幅が入る前後の複数の所定搬送区間Z2a´内でも、ロボット作業機30によるくり抜きの部分排除動作が的確に実行可能となる条件である。また、第2の追加処理条件とは、第1追加処理条件が成立しない場合であって、人手による追加処理の作業が可能となる条件である。
【0074】
また、
図5中の「優先設定」とは、同一の処理要求物品Pについて複数の検査項目についての検査結果が生じ、それらが競合するような場合に、優先する処理を予め設定するもので、優先工程は、例えば人手工程であり、物品検査装置10として優先する装置は、例えば同図中にMDと記す金属検出機(metal detector)である。この図中の記号XRは、X線異物検出機等のX線検査機(X-Ray Inspection System)、CWは質量計量機(checkweigher)の意である。
【0075】
運転中に優先する追加処理を動的に選択設定する必要がないときには、ロボット作業機30を主に使用するか、人手工程作業台40を主に使用するかを、手動または物品Pの品種に応じた自動のモード設定等により、可変設定するようにしてもよい。
【0076】
ロボット作業機30のくり抜きヘッド31は、検査済みの物品Pのうち検査結果が所定品質条件から外れる特定の物品、例えば不良品を吸引して物品搬送路11外に排除するピンポイント排除手段としても機能し得る。このくり抜きヘッド31は、ロボットアーム32に支持されることで、物品検査装置10による検査の結果が所定品質条件から外れると、その検査の結果に応じて少なくとも所定の搬送方向D1と直交する方向に、ここでは物品搬送路11の搬送方向D1およびこれと直交する幅員方向wの双方に移動する排除ヘッドとして作動する。
【0077】
図7に示す自動追加処理領域Eは、ロボット作業機30にロボットアーム32を用いているので、物品搬送路11の幅員方向wで片側に位置する中心O1から所定半径R1内に設定されている。この所定半径R1は、物品搬送路11の路面の幅員より大きく設定されており、処理要求選択部22での追加処理条件の各判定時点で、物品検査装置10より下流側の処理判定区間Z2aが常に所定個数だけ完全に自動追加処理領域E内に含まれるように成立する。
【0078】
そして、追加処理制御部20は、自動追加処理領域E内に処理判定区間Z2aが所定個数だけ成立したことを条件に、自動追加処理領域Eから下流側に一部または全部が出てしまっている先行区間Z2a´には、不良判定の物品P(NG品)が残らないように、自動追加処理領域E内の所定数の処理判定区間Z2aに入っている不良判定の物品P(NG品)を、更には自動追加処理領域E内の後続領域Z2a″に入っているNG品を、ロボット作業機30によりピンポイントに排除する制御を実行するようになっている。
【0079】
次に、作用について説明する。
【0080】
上述のように構成された本実施形態においては、複数の物品Pを含む製品の製造ライン中で、物品検査装置10によって物品搬送路11上の物品Pに対して順次所定検査方式の物品検査が実行され、第1の追加処理条件の成立に応じてロボット作業機30による自動追加処理工程でピンポイントのくり抜きにより処理要求物品Pjの不良部位が部分排除され、あるいは、ロボット作業機30より下流側で第2の追加処理条件の成立に応じて人手工程作業台40上での人手工程で、処理要求物品Pjの不良部位が人手による追加処理で部分排除されるか他の是正処理を施される。
【0081】
このとき、追加処理制御部20の処理要求選択部22により、選択設定メモリ23に記憶させた優先される追加処理の選択設定条件を基に第1の追加制御条件が成立するか否かが判定されるとともに、第1の追加制御条件が成立しない場合には第2の追加処理条件が成立するか否かが判定され、いずれかの判定結果に応じてロボット作業機30での自動工程によるピンポイントの部分排除を要求する制御信号Raか、人手工程作業台40上の人手作業による追加処理を要求する制御信号Rbかが出力され、追加処理条件が各物品Pの検査結果に応じて切り替えられる。
【0082】
このような本実施形態の物品検査システム1においては、追加処理制御部20の判定手段である品質状態判定部21により、物品検査装置10の検査結果が予め設定された複数の品質状態のうちいずれに該当するかが判定され、処理要求選択部22により、品質状態判定部21の判定結果に応じて、ロボット作業機30による第1の追加処理の作業を要求する第1の処理要求情報と人手による第2の追加処理の作業を報知出力により要求する第2の処理要求情報とのうちいずれか一方が選択されて、追加処理要求の出力がなされることになる。
【0083】
したがって、ロボット作業機30による自動的な追加処理で十分に対応可能な品質状態であれば信頼性の高い追加処理を実行させて人手による追加処理負担を十分に軽減させることができ、一方、人手によるチェックや是正処理等が望ましい品質状態であれば、ロボット作業機30による自動的な追加処理を省略または予備的な処理に軽減して、人手工程作業台40上での人手による的確な追加処理を低負担で実行させることができることになる。
【0084】
また、本実施形態では、処理要求選択部22において、物品検査装置10により検査可能な複数の検査項目について、第1の処理要求情報もしくは第2の処理要求情報を選択する条件が予め設定されて選択設定メモリ23に記憶されているので、複数の検査項目についてそれぞれの検査結果に応じた追加処理の要求情報をロボット作業機30による自動工程優先とするか人手工程作業台40上の人手による追加処理の人手優先とするかを的確に選択設定可能となる。
【0085】
さらに、本実施形態では、品質状態判定部21は、物品検査装置10で少なくとも物品の品質状態に異常が検出されたときに、その物品の品質状態に基づいて予め設定した複数の不良態様のいずれに該当するかを判定する構成となっている。したがって、処理要求物品Pjの品質状態の異常内容に対応する不良態様を的確に判定でき、その不良態様に対し要求される追加処理を迅速的確に選択できることとなる。
【0086】
加えて、本実施形態では、品質状態判定部21は、物品P中に異物が検出されたときに、その異物の種別、サイズ、形状、密度または混入位置に基づいて、前述の複数の不良態様のいずれに該当するかを判定することができる。したがって、処理要求物品Pjが異物を含む不良態様に対して、部分排除等の追加処理に好適な選択設定が的確に選択可能となる。
【0087】
また、本実施形態では、品質状態判定部21は、物品Pの内容量の超過もしくは不足が検出されたときに、その内容量の超過もしくは不足状態に基づいて複数の不良態様のいずれに該当するかを判定することもできる。したがって、内容量の過不足に適した追加処理を迅速的確に選択可能となる。
【0088】
また、本実施形態では、処理要求選択部22は、物品検査装置10の検査結果が各検査項目につき生じ得る複数の異なる品質状態のうちいずれに該当するかによって、第1の処理要求情報と第2の処理要求情報とのうちいずれか一方を優先させて選択する優先設定情報を、選択設定メモリ23に記憶させている。したがって、処理要求選択部22による追加処理の要求選択に際し、選択設定メモリ23の記憶情報に基づいて自動工程が優先されるか人手が優先されるかが迅速的確に判定されることになる。
【0089】
さらに、本実施形態では、追加処理制御部20は、処理要求選択部22が第1の処理要求情報である制御信号Raを選択し出力したときには、品質状態に異常が検出された処理要求物品Pjから品質状態の異常部位を除去するための所定の作業動作をロボット作業機30に実行させる一方、処理要求選択部22が第2の処理要求情報である制御信号Rbを選択し出力したときには、その第2の処理要求情報に基づいて、人手工程作業台40上のディスプレイ42で人手による第2の追加処理の作業要求を報知出力させる。
【0090】
したがって、ロボット作業機30による追加処理の信頼性を高めるとともに、人手工程作業台40上での人手による追加処理負担を軽減させることができる。しかも、人手によるチェックや是正処理等が望ましい品質状態が生じたときに、それを作業者に迅速的確に報知可能となる。
【0091】
なお、本実施形態においては、ロボット作業機30による自動工程の追加処理が不良部位をくり抜く部分排除作業となっていたが、不良品等の処理要求分品Pjから品質状態の不良部位を除去したり是正したりする追加処理に作業機を用いる場合、その作業機により不良部位の機械的な除去動作等を実行させるだけでなく、第1の処理要求情報である制御信号Raに応じて作業機に不良部位のマーキングや不良部位を外部に露出させるための切断その他の予備的な追加処理を実行させ、その予備的な追加処理等の後に、人手による不良部位の是正処理等の主たる追加処理を実行させるようにすることもできる。
【0092】
すなわち、本発明にいう第1の処理要求情報と第2の処理要求情報とは、追加処理に際して作業機による自動的な作業と人手による作業とを選択して、検査済みの物品Pを作業機または作業者に的確に振り分けることが可能なものであればよく、追加処理の信頼性向上と負担軽減を両立させるべく、作業機による予備的な処理と人手による是正処理等の本処理とを併用するような追加処理を実行するようにしてもよい。
【0093】
例えば、加工食品の素材等となる検査済みの物品Pの不良部位が物品Pの外面に露出していないためにその不良部位を作業者が目視で把握することが容易でない場合に、作業機の予備的な追加処理作業によって不良部位を物品の表面に露出させる切断加工を行ったりマーキングをしたりして、人手による追加処理作業を容易化する準備作業を行うようなことも可能である。
【0094】
以上のように、本実施形態の物品検査システムによれば、ロボット作業機30による自動工程での機械的な追加処理の信頼性を高めつつ、人手工程作業台40上での人手によるチェックや是正処理等の負担を確実に軽減し、追加処理負担を十分に軽減することのできる物品検査システムを提供することができるものである。
【0095】
なお、上述の一実施形態においては、追加処理制御部20が、物品検査装置10の検査制御部15や、ロボット作業機30のロボットコントローラ39から独立した制御装置となっていたが、本発明にいう制御装置は、検査制御部15やロボットコントローラ39等に機能を分散させた統合型の制御部として構成されてもよく、個々に独立した制御部を設けないものであってもよいことはいうまでもない。また、所定搬送距離分の第2の追加処理区間Z3内の物品Pを検査結果に応じて系外排出する人手工程作業台40を、物品搬送路11上の一部のコンベアとし、第1の追加処理区間Z2内でロボット作業機30による自動工程の追加処理を施されることなく第2の追加処理区間Z3内に進入した処理要求物品Pjを、プッシャ43によって作業台41上に押し出すものとしたが、人手による作業者への振分手段が任意の形態をとり得ることはいうまでもなく、例えばアップアウト排出方式、ドロップダウン式、シャトル式、シュート方式等で人手による追加処理対象の処理要求品Pjを作業台41上に落下させ、追加処理後に物品搬送路11側に戻すようなものであってもよい。
【0096】
以上のように、物品検査システム1は、物品検査装置10からの検査情報を受けて追加処理を制御する追加処理制御部20が、制御設定に基づいて追加処理を要求する制御情報Ra,Rbを出力する処理要求選択部22と、制御情報Ra,Rbを受けて所定のアクチュエータ駆動制御信号Saおよび表示駆動制御信号Sbを出力する駆動処理部24と、処理要求選択部22に選択設定情報を設定記憶させる選択設定メモリ23とを備えており、処理要求選択部22により、検査情報に応じた制御情報の出力形態の設定を要求する制御信号Ra,Rbを駆動処理部24に出力させる。そして、制御信号Ra,Rbを受ける駆動処理部24が、一方の制御信号Raを受ける第1駆動手段24aによってアクチュエータ駆動制御用の第1の駆動制御信号Saを出力させ、他方の制御信号Rbを受ける駆動処理部24の第2駆動手段24bによってディスプレイ42の表示駆動制御用の第2の駆動制御信号Sbを出力させる。すなわち、物品検査装置10により検査される複数の検査項目の複数の不良態様に対し、第1の制御情報Saもしくは第2の制御情報Sbのいずれを出力するかによって、自動工程の追加処理とするか、人手工程の追加処理とするかの設定が動的に切り替えできるようになっている。
【0097】
また、物品検査結果として複数の不良項目が重複して発せられたとき、制御設定に応じて第1の制御情報Raおよび第2の制御情報Rbの一方を優先して出力できるように、優先される追加処理工程や検査工程の選択条件がさらに設定されて、選択設定メモリ23に記憶されている。
【0098】
よって、ロボットや選別装置などの自動工程により処理可能な処理要求物品Pjと、目視確認もしくは除去作業などの手作業を要する処理要求物品Pjとを、予め不良項目毎に優先設定した搬出先に搬出できることになり、異なる処理要求物品Pjに対して異なる追加処理工程を設定でき、この設定に基づいて作業者の人員配置を最適化することもできる。また、製造設備を段階的に導入して省人化を進めることもでき、投資効率の向上も期待できるものである。
【0099】
以上説明したように、本発明は、作業機による自動的な追加処理の信頼性を高めつつ、人手によるチェックや是正処理に要する負担を軽減し、追加処理負担を十分に軽減した信頼性に優れた物品検査システムを提供することができるものであり、かかる本発明は、物品検査部とその検査結果に応じて検査済み物品に対し追加処理を実行させる追加処理制御部とを備えた物品検査システム全般に有用である。
【符号の説明】
【0100】
1 物品検査システム
10 物品検査装置
11 物品搬送路
12 X線照射部
13 X線ラインセンサ(X線検出器)
14 画像メモリ
15 検査制御部
16 画像処理部
17 品質判定部
18 設定部
19 操作・表示部
20 追加処理制御部
21 品質状態判定部(品質状態の判定手段、不良態様の判定手段)
22 処理要求選択部(処理要求選択手段)
22a 第1制御手段
22b 第2制御手段
23 選択設定メモリ(メモリ、優先される追加処理の選択設定情報記憶手段)
24 駆動処理部
24a 第1駆動手段
24b 第2駆動手段
30 ロボット作業機
31 くり抜きヘッド
31a ノズル(筒状の切断刃部)
31s 通過検知センサ
32 ロボットアーム
32a 第1アーム
32b 支持台
32c、32d ギヤドモータ
32e 第2アーム
32f 昇降駆動機構
33 吸引用のダクト
35 ヘッド本体
35a 昇降駆動軸
36 排出用のダクト
36s 通過検知センサ
37 駆動流体噴射部
39 ロボットコントローラ
40 人手工程作業台
41 作業台
42 ディスプレイ(表示器、報知器)
43 プッシャ
D1 搬送方向(所定の搬送方向)
O1 中心(ロボット作業機のアームの旋回中心)
R1 所定半径(ロボット作業機の作業領域の半径ア)
Ra 制御信号(第1の処理要求情報、自動工程の追加処理要求、作業機による自動追加処理の選択要求)
Rb 制御信号(第2の処理要求情報、人手工程の追加処理要求、人手による追加処理の選択要求)
Wk1 作業者(追加処理の作業要員)
Wk2 作業者(監視、チェック要員)
Z1 検査区間(所定の検査区間)
Z2 第1の追加処理区間
Z2a 所定搬送区間
Z2a´ 先行領域
Z2a" 後続領域
Z3 第2の追加処理区間