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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054986
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】コマ玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 1/00 20190101AFI20240411BHJP
【FI】
A63H1/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161505
(22)【出願日】2022-10-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003584
【氏名又は名称】株式会社タカラトミー
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂東 陽平
(72)【発明者】
【氏名】村木 誠
(72)【発明者】
【氏名】堀越 研次
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA05
2C150DH03
2C150EA04
2C150EC03
2C150EH09
(57)【要約】
【課題】磁石を用いずに、簡単に軸の交換を可能とし、回転特性を変えることができるコマ玩具を提供すること。
【手段】挿入孔を有する玩具本体と、挿入孔に挿脱可能で、軸方向の所定位置に被係止部が形成され、互いに回転特性が異なる交換可能な複数の軸と、玩具本体に設けられ、被係止部を係止し、挿入孔に挿入された軸を装着状態に保持する保持部と、を備え、保持部は、半径方向の動作可能で、常態で所定の弾性力によって半径方向の内方に動作して、被係止部を係止して軸を装着状態に保持し、軸の挿脱の際の摺接によって所定の弾性力に抗して半径方向外方に動作して、軸の挿脱を許容するように構成されている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入孔を有する玩具本体と、前記挿入孔に対して挿脱可能で、軸方向の所定位置に被係止部が形成され、互いに回転特性が異なる交換可能な複数の軸と、前記玩具本体に設けられ、前記被係止部を係止し、前記挿入孔に挿入された前記軸を装着状態に保持する係止部と、を備え、
前記係止部は、常態で所定の弾性力によって半径方向の内方に動作して、前記被係止部を係止して前記軸を装着状態に保持し、前記軸の挿脱の際の摺接によって前記所定の弾性力に抗して半径方向外方に動作して、前記軸の挿脱を許容するように構成されている、
ことを特徴とするコマ玩具。
【請求項2】
前記複数の軸の中には、前記玩具本体に装着したときに前記玩具本体から下方に突出する部分に、外部の案内部に形成された歯と噛合して転動可能な歯車が固定して設けられた軸が含まれている、ことを特徴とする請求項1に記載のコマ玩具。
【請求項3】
前記複数の軸の中には、前記玩具本体と相対回転可能で、相対回転の際に、前記係止部と摺接して摩擦抵抗を生じさせる摺接面が形成された軸が含まれている、ことを特徴とする請求項2に記載のコマ玩具。
【請求項4】
前記複数の軸の中には、前記玩具本体と相対回転可能で、前記係止部と噛合する他の歯車が固定して設けられた軸が含まれている、ことを特徴とする請求項2に記載のコマ玩具。
【請求項5】
前記被係止部は、前記軸の外周に形成された括れ部によって構成され、前記係止部は、弾性片に形成され、且つ、前記括れ部に嵌合する爪によって構成されている、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のコマ玩具。
【請求項6】
前記被係止部は、前記軸の外周に形成された括れ部によって構成され、前記係止部は、コイルばねによって付勢され、且つ、前記括れ部に嵌合する爪によって構成されている、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のコマ玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコマ玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、玩具本体の下部中心に回転軸が挿脱自在な嵌合穴が形成され、回転軸の両端を入れ替えて嵌合穴に嵌合できるように構成されたコマ玩具が知られている(特許文献1参照)。
このコマ玩具によれば、回転軸の一端は平面状に、他端は錘状に形成され、回転軸の入れ替え前後でコマ玩具の回転特性を変えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3087507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このコマ玩具においては、回転軸の抜けを防止するため、回転軸を磁性体である金属によって構成し、玩具本体の内部には、回転軸を磁力によって吸引する磁石を設置している。
しかしながら、回転軸の軸端は細いため、特に、錘状の軸端を効果的に吸引するのは相当な吸引力を持つ高価な磁石を必要とするとともに、回転軸を磁性体で構成する必要がある。
【0005】
本願発明は、かかる事情に鑑みなされたものであり、磁石を用いずに、簡単に軸の交換を可能とし、回転特性を変えることができるコマ玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、
挿入孔を有する玩具本体と、前記挿入孔に対して挿脱可能で、軸方向の所定位置に被係止部が形成され、互いに回転特性が異なる交換可能な複数の軸と、前記玩具本体に設けられ、前記被係止部を係止し、前記挿入孔に挿入された前記軸を装着状態に保持する係止部と、を備え、
前記係止部は、常態で所定の弾性力によって半径方向の内方に動作して、前記被係止部を係止して前記軸を装着状態に保持し、前記軸の挿脱の際の摺接によって前記所定の弾性力に抗して半径方向外方に動作して、前記軸の挿脱を許容するように構成されている、
ことを特徴とする。
【0007】
第2の手段は、第1の手段であって、
前記複数の軸の中には、前記玩具本体に装着したときに前記玩具本体から下方に突出する部分に、外部の案内部に形成された歯と噛合して転動可能な歯車が固定して設けられた軸が含まれている、ことを特徴とする。
【0008】
第3の手段は、第2の手段であって、
前記複数の軸の中には、前記玩具本体と相対回転可能で、相対回転の際に、前記係止部と摺接して摩擦抵抗を生じさせる摺接面が形成された軸が含まれている、ことを特徴とする。
【0009】
第4の手段は、第2の手段であって、
前記複数の軸の中には、前記玩具本体と相対回転可能で、前記係止部と噛合する他の歯車が固定して設けられた軸が含まれている、ことを特徴とする。
【0010】
第5の手段は、第1~第4のいずれかの手段であって、
前記被係止部は、前記軸の外周に形成された括れ部によって構成され、前記係止部は、弾性片に形成され、且つ、前記括れ部に嵌合する爪によって構成されている、ことを特徴とする。
【0011】
第6の手段は、第1~第4のいずれかの手段であって、
前記被係止部は、前記軸の外周に形成された括れ部によって構成され、前記係止部は、コイルばねによって付勢され、且つ、前記括れ部に嵌合する爪によって構成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、軸に設けた被係止部に弾性力によって係止部を係合させることにより、軸を保持しているので、簡単に軸の交換を可能とし、回転特性を変えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係るコマ玩具の斜視図である。
図2】コマ玩具を下方から見た斜視図である。
図3】胴部の分解斜視図である。
図4】胴部を下方から見た分解斜視図である。
図5】中層部材を下方から見た斜視図である。
図6】下部構造の分解斜視図である。
図7】下部構造を下方から見た斜視図である。
図8】玩具本体と軸との間に生じる回転抵抗部位を示す図である。
図9】コマ発射玩具を下方から見た斜視図である。
図10】バトルスタジアムの斜視図である。
図11】軸の種類を示す斜視図である。
図12】軸の保持構造の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係るコマ玩具を説明する。
【0015】
《全体》
図1は、実施形態に係るコマ玩具100の斜視図、図2は、コマ玩具100を下面側から見た斜視図である。
このコマ玩具100は、胴部10と軸20とを備える。軸20は、胴部10を含む玩具本体に対して着脱可能であり、他に用意した軸との交換ができるようになっている。この軸の交換によって、コマ玩具100の回転特性を変更することができる。
以下、このコマ玩具100の詳細を説明する。
【0016】
《胴部10》
図3は胴部10の分解斜視図、図4は、下方から見た胴部10の分解斜視図である。
胴部10は、コマ玩具100の上部構造を構成し、天板11、上層部材12、中層部材13及び下層部材14を備える。
【0017】
〈天板11〉
天板11は、胴部10の上面中央に配置されるもので、平面視略円形となっている。天板11の中心を挟んで対峙する2つの箇所は、半径方向外方に弧状に張り出し、各弧状張出し部11aには、下方に垂れ下がる脚11bが形成されている、脚11bの下端部には、半径方向外方に張り出す突片11cが形成されている。また、脚11bの円周方向一端部は段状に切り欠かれており。この段状切欠き部には被係止部11dが形成されている。この被係止部11dは、コマ玩具100を回転付勢する際に用いられる。
【0018】
〈上層部材12〉
上層部材12は、リング状に形成されている。なお、ここでは上層部材13は短円筒状となっているが、上層部材12の外周には鰭状の突起が形成されていてもよい。また、上層部材12の下側には、中層部材13に嵌り合うリング状の段部12bが形成されるとともに、円柱状の雌ねじ付きのボス12cが複数形成されている。さらに、上層部材12の下面には、篏合孔12dが形成されている。上層部材12の中央の開口には、下方から天板11が篏入される。このとき、天板11の突片11cが上層部材12の下面に当接し、天板11の上方への抜けが防止される。また、天板11の隣り合う弧状張出し部11aの間の天板11の外周と上層部材12の内周との間に弧状凹部が形成される。この弧状凹部は、コマ玩具100を回転付勢する際に用いられる。
【0019】
〈中層部材13〉
図5は、中層部材13を下方から見た斜視図である。
中層部材13は円盤状に形成されている。なお、中層部材13の外周に例えば鰭状の突起が形成されていてもよい。また、中層部材13の上面には、軸20を中心とする環状の凹部13bが形成され、中央には有天円筒状の膨出部13cが形成されている。膨出部13cの下側は中空となっている。膨出部13cの天井には、後述の円板15の心棒15bが挿通される孔13hが形成されている。さらに、中層部材13の外周部には、上記上層部材12の篏合孔12dに嵌合する嵌合突起13dが立設されている。また、中層部材13には、上層部材12のボス12cに対応して挿通孔13eが形成されている。そして、中層部材13の下方から挿通孔13eを通した雄ねじ(図示せず)をボス12cの雌ねじに螺合させることによって、中層部材13が上層部材12に取り付けられる。このとき、天板11は膨出部13cに被せられ、天板11の突片11cが中層部材13の凹部13bの上に乗り、当該突片11cが上層部材12と中層部材13とに挟み込まれる。
図5に示すように、中層部材13には、膨出部13c下に、係合片13fと弾性位置決め片13gとが形成されている。係合片13fは、中層部材13と下層部材14とを結合させるためのものである。弾性位置決め片13gには爪が形成され、当該爪によって中層部材13と下層部材14との位置決めがなされる。
【0020】
〈下層部材14〉
下層部材14は丸盆状に形成されている。なお、下層部材14の外周に例えば鰭状の突起が形成されていてもよい。また、下層部材14の上面には、軸20を中心とする環状の凹部14bが形成され、中央には有天円筒状の膨出部14cが形成されている。この膨出部14cの下側は中空となっている。また、膨出部14cの壁の一部が切り欠かれている。この切欠き部14dには、上記係合片13fと係合する係合片14eが形成されている。
係合片13fと係合片14eとの係合は、下層部材14の膨出部14cに中層部材13の膨出部13cを被せるようにして、下層部材14と中層部材13とを重ね合わせ、下層部材14に対して中層部材13を時計回りに相対回転させることでなされる。このとき、係合片13fの上面と係合部14eの下面とが当接される。このとき、膨出部14c上の溝14fに弾性位置決め片13gの爪が嵌まり、位置決めがなされる。
なお、下層部材14の下面には雌ねじ14gが複数形成されている。また、下層部材14の中央には孔14hが形成されている。
【0021】
(鋲状部材15)
鋲状部材15は、軸20を支持するものである。
鋲状部材15は、頭部を構成する円板15aと、円板15aの中央に垂設された心棒15bとを備える。
胴部10内には、天板11と中層部材13の膨出部13cとの間に円板15が設けられ、軸20を中心に回転可能となっている。心棒15bは断面が角形となっており、中層部材13の孔13hに通される。この心棒15bは、後述の軸20に内嵌される。
【0022】
〈軸取付け部材31〉
図6は、コマ玩具100の下部構造の分解斜視図、図7は、下方から見た下部構造の分解斜視図である。
下部構造は、軸取付け部材31と軸20とから構成され、また、軸取付け部材31は上記胴部10とともに玩具本体を構成する。この玩具本体は概ねプラスチックで構成されている。勿論、金属を含んでいてもよい。
下層部材14の下には軸取付け部材31が設けられている。
軸取付け部材31は、係止リング32と、リング支持部材33とを備える。
係止リング32には、下方に垂れ下がる差込み部32a及び弾性片32bが円周方向に交互に3個ずつ形成されている。数は3個に限定されない。例えば弾性片32bは1個であってもよい。
【0023】
このうち差込み部32aは、底面視孤状の第1差込み片320aと、第1差込片320aの外面の円周方向中央部から外方に延びる第2差込み片321aと、から構成されている。
また、弾性片32bの下端部内側には、寄棟屋根状に4方に勾配を持つ爪(係止部)320bが形成されている。
【0024】
一方、リング支持部材33は、碗状に形成され、中央には軸20の挿入孔33aが形成されている。
また、リング状部材33の内周面には、互いに対向し、間に上記第2差込み片321aが差し込まれる一対の突起33b、33bが形成されている。
また、リング支持部材33の環状底面の内周部には、上記突起33bとの間に上記第1差込み片320aを差込み可能とする突起33cが形成されている。
さらに、リング支持部材33の上端部外周には、挿通孔33dが形成された外向きの突片33eが円周方向に等間隔に3個形成されている。
そして、リング支持部材33の下方から挿通孔33dを通した雄ねじ(図示せず)を下層部材14の雌ねじ13eに螺合させることによって、リング支持部材33が下層部材14に取り付けられる。この前に、リング支持部材33の内側に係止リング32が組み付けられる。
【0025】
《軸20》
軸20の上端には円形の孔が形成され、この孔には、上記心棒15bが挿入される。この場合、軸20は心棒15bに対して嵌まり合う。軸20はプラスチックや金属で構成される。また、軸20は単一の部品に限らず、複数の部品を結合して構成されていてもよい。
軸20の上下方向中間部には、括れ部(被係止部)21が形成され、この括れ部21には、弾性片32bの爪320bが嵌合される。これにより、爪320bで軸20が摘み持たれ保持される。括れ部21には歯車22が形成され、この歯車22に爪320bが噛合する。
また、括れ部21の下には、半径方向外方に張り出す鍔部22が形成されている。鍔部22は、軸20をリング支持部材33の挿入孔33aに下方から挿入したとき、リング支持部材33の下面に嵌まり込む。
また、鍔部22の下には、後述のバトルスタジアム90の歯93aと噛み合う歯車23が形成されている。
【0026】
《玩具本体と軸20との間の回転抵抗》
図8は、玩具本体と軸20との間に生じる回転抵抗部位を示している。なお、上記軸20の括れ部21には歯車22が形成されているが、ここでは、括れ部21に歯車22が形成されていない軸をも含めて軸20とし、それらをまとめて説明するものとする。
回転抵抗部位R1は、軸20と一体的に回転する円板15aと天板11との摺接によって生じる摩擦抵抗部位である。
回転抵抗部位R2は、円板15aと中層部材13との摺接によって生じる摩擦抵抗部位である。
回転抵抗部位R3は、下層部材13と軸20の外周との摺接によって生じる摩擦抵抗部位である。
回転抵抗部位R4は、括れ部21の側壁と爪320bとの摺接によって生じる摩擦抵抗部位である。また、回転抵抗部位R5は、括れ部21の底壁と爪320bとの摺接によって生じる摩擦抵抗部位である。なお、これは、括れ部21に歯車22がない場合であり、括れ部21に歯車22があるときには、歯車22と爪320bとの間には回転抵抗として噛み合いに基づく回転抵抗が生じる。
回転抵抗部位R6は、鍔部22の外周と軸取付け部材31との摺接によって生じる摩擦抵抗部位である。
このうち回転抵抗部位R3~R6は、玩具本体と軸20との直接的な摺接によって生じる回転抵抗であり、軸20の交換によって、軸20の径、括れ部21の深さや形状等を変化させれば、回転抵抗を変化させることが可能である。
【0027】
《コマ発射装置》
図9は、コマ発射装置80を示す斜視図である。
コマ発射装置80は、回転付勢するコマ玩具100を保持するコマホルダ81を備える。コマホルダ81には、コマ玩具100の孤状凹部に対応して差込み片81aが2個設けられている。差込み片81aには、回転付勢方向に突出する係止部81bが形成されている。そして、コマ玩具100の孤状凹部に差込み片81aを差し込んだ後、コマ玩具100をコマホルダ81に対してコマ玩具100の回転付勢方向とは反対の方向に相対回転させ、孤状凹部の一端部の被係止部11d下に係止部81bを潜り込ませることにより、コマ玩具100はコマホルダ81に取り付けられる。
【0028】
コマ発射装置80には、ハンドル82が設けられており、このハンドル82には紐(図示せず)の一端が取り付けられている。紐は、ゼンマイの復元力によって入力回転体(図示せず)に巻回されており、ハンドル82を操作して紐を引き出すことにより、入力回転体に回転力が入力される。入力回転体は、コマホルダ81に連結されており、入力回転体の回転によって回転される。
【0029】
このコマ発射装置80によれば、コマホルダ81に取り付けられたコマ玩具100を、ハンドル82の操作によってコマホルダ81を回転させることで回転付勢する。そして、ハンドル82の操作を止めると、コマホルダ81の回転が停止する一方でコマ玩具100は慣性力によりそのまま回転し続けるので、孤状凹部の被係止部11d下から係止部81bが外れてコマ玩具100が発射される。
【0030】
なお、ここではコマホルダ81に連結された入力回転体を紐により回転させることとしたが、コマホルダ81に連結された入力回転体を歯車とし、当該歯車をラックが形成されたベルト部を有するラックベルトによって回転させるようにしてもよい。
【0031】
《バトルスタジアム90》
図10はバトルスタジアム90の外観を示す斜視図である。
バトルスタジアム90のフィールド91の底面は凹曲面となっており、フィールド91は、中央が開口する透明カバー92によって覆われている。フィールド91には、フィールド91内を動き回るコマ玩具100の軸20の歯車23に噛合する歯93aが形成された案内部93が配設されている。
このバトルスタジアム90によれば、コマ玩具100の軸20の歯車23と歯93aとを噛合させることにより、コマ玩具100を案内部93に対して転動させて、コマ玩具100の動き周りの速度を増大させることができる。
【0032】
《軸20の種類と回転特性》
図11(A)~図10(C)は互換性ある軸20A~20Cの例を示している。
【0033】
1.軸20A
軸20Aは、軸20と同様のものである。括れ部21A内に歯車24Aが形成されている。この歯車24Aは、爪320bと噛み合う。その結果、下層部材14に対する軸20の回転が抑制される。一方で、軸20Aの先端はフラットとなっている。そのため、大きく動き回り易い。また、下層部材14に対する軸20の回転が歯車24Aと爪320bとの噛合によって強く抑制されることから、歯車23Aが案内部93に当接した際に、動きが加速されやすい。
【0034】
2.軸20B
この軸20Bにおいて、軸20Aと異なる第1の点は、括れ部21Bの内部の断面(軸20Bに直交する断面)が角形となっていることである。また、この軸20Bにおいて、軸20Aと異なる第2の点は、先端部にテーパが形成され下面(先端面)の径が軸20Aよりも小さいことである。その結果、コマ玩具100は、軸20Aの場合に比べて、下層部材14に対して軸20が回転しやすく、また、先端の径が小さいため、動き回りにくい。
また、下層部材14と軸20Bとが軸20Bを中心に相対回転する際に括れ部21Bの多角形の面(摺接面)が爪320bと摺接して摩擦抵抗を生じさせ、下層部材14に対する軸20の回転がある程度抑制されることから、歯車23Bが案内部93に当接した際に、軸20Aほどではないが、動きが加速される。その際、下層部材14に対する軸20の回転がある程度行われるので、軸20Aに比べて、案内部93に食いつきやすい。
【0035】
3.軸20C
軸20Cは、括れ部21Cの底断面が円形となっており、先端部が錘状に尖っている。その結果、歯車23Cが案内部93に当接した際に動きが加速されにくいが、案内部93に食いつきやすいので、コマ玩具100が案内部93に弾かれにくく、案内部93に沿って移動し易くなる。この場合、括れ部21の形状や太さを変更して、下層部材14と軸20Cとが軸20Cを中心に相対回転する際に括れ部21Cの面(摺接面)が爪320bと摺接して摩擦抵抗を生じさせたり、摩擦抵抗の大きさを変えたりすることができる。
なお、これら軸20A~20Cの特徴は、矛盾しない限り自由に組み合わせることができる。
【0036】
《変形例》
上記実施形態では、爪(係止部)320bを有する弾性片32bで括れ部(被係止部)21等を摘むことにより、軸20等を保持することとしたが、図12に示すように、爪(係止部)320cを半径方向に動作可能に設け、コイルばね320dで半径方向内方に付勢するように構成してもよい。
【0037】
また、上記実施形態では、円板15を天板11と中層部材13の膨出部13cとの間に、軸20を中心に回転可能となるように設けたが、円板15を回転不能に設けてもよい。また、心棒15aを天板11や中層部材13に固定して設けてもよい。さらには、円板15の回転を摩擦で渋くなるようにすることで、軸20の回転をある程度抑制する機能を設けてもよい。
【0038】
さらに、実施形態では、歯車23を軸20に固定して設けたが、軸20に対して空転可能に設けてもよい。
【0039】
また、案内部93に歯93aが形成され、軸20等に歯車23が設けられるものに限定されない。案内部93に歯93aが存在しないものにも適用できる。コマ玩具100の軸20等の外周が当接し、軸20が転動し、コマ玩具100の動きを変えられるものであればよい。例えば、軸20等の全体或いはその外周の表層をラバーで構成し、通常(プラスチックや金属)の場合よりも、強い摩擦を生むものとしてもよい。また、この場合、強い摩擦を生む部分を軸20等の外周から半径方向外方に張り出すローラとして構成してもよい。
【0040】
また、上記実施形態では、心棒15bの断面が角形となっており、心棒15bを軸20に内嵌させたが、心棒15bに代わる穴部に軸頭を篏合させてもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、心棒15bと一体に軸20が回転するように構成したが、心棒15bに対して軸20が回転可能に構成されていてもよい。
【0042】
さらに、上記実施形態では、軸20に括れ部(被係止部)21等を設けてこれに爪(係止部)320bを嵌合させることとしたが、軸20の鍔状の突起(被係止部)を設け、爪等の係止部で係止させることにより、軸20の抜けを防止するように構成してもよい。
【0043】
なお、以上の変形は、矛盾しない限り自由に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0044】
10 胴部
11 天板
12 上層部材
13 中層部材
14 下層部材
15 円板
20、20A~20C 軸
21、21A~21C 括れ部
24、24A 歯車
33 リング支持部材
80 コマ発射装置
90 バトルスタジアム
100 コマ玩具
320b、320c 爪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-08-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
第1の手段は、
挿入孔を有する玩具本体と、前記挿入孔に対して挿脱可能で、軸方向の所定位置に被係止部が形成され、互いに回転特性が異なる交換可能な複数の軸と、前記玩具本体に設けられ、前記被係止部を係止し、前記挿入孔に挿入された前記軸を装着状態に保持する係止部と、を備え、
前記係止部は、常態で所定の弾性力によって半径方向の内方に動作して、前記被係止部を係止して前記軸を装着状態に保持し、前記軸の挿脱の際の摺接によって前記所定の弾性力に抗して半径方向外方に動作して、前記軸の挿脱を許容するように構成され
前記複数の軸の中には、前記玩具本体に装着したときに前記玩具本体から下方に突出する部分に、外部の案内部に形成された歯と噛合して転動可能な歯車が固定して設けられ、且つ、前記玩具本体と相対回転可能で、前記係止部と噛合する他の歯車が固定して設けられた軸が含まれている、ことを特徴とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
第2の手段は、
挿入孔を有する玩具本体と、前記挿入孔に対して挿脱可能で、軸方向の所定位置に被係止部が形成され、互いに回転特性が異なる交換可能な複数の軸と、前記玩具本体に設けられ、前記被係止部を係止し、前記挿入孔に挿入された前記軸を装着状態に保持する係止部と、を備え、
前記係止部は、常態で所定の弾性力によって半径方向の内方に動作して、前記被係止部を係止して前記軸を装着状態に保持し、前記軸の挿脱の際の摺接によって前記所定の弾性力に抗して半径方向外方に動作して、前記軸の挿脱を許容するように構成され、
前記被係止部は、前記軸の外周に形成された括れ部によって構成され、前記係止部は、弾性片に形成され、且つ、前記括れ部に嵌合する爪によって構成されている、ことを特徴とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
第3の手段は、
挿入孔を有する玩具本体と、前記挿入孔に対して挿脱可能で、軸方向の所定位置に被係止部が形成され、互いに回転特性が異なる交換可能な複数の軸と、前記玩具本体に設けられ、前記被係止部を係止し、前記挿入孔に挿入された前記軸を装着状態に保持する係止部と、を備え、
前記係止部は、常態で所定の弾性力によって半径方向の内方に動作して、前記被係止部を係止して前記軸を装着状態に保持し、前記軸の挿脱の際の摺接によって前記所定の弾性力に抗して半径方向外方に動作して、前記軸の挿脱を許容するように構成され、
前記被係止部は、前記軸の外周に形成された括れ部によって構成され、前記係止部は、コイルばねによって付勢され、且つ、前記括れ部に嵌合する爪によって構成されている、ことを特徴とする。
【手続補正7】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入孔を有する玩具本体と、前記挿入孔に対して挿脱可能で、軸方向の所定位置に被係止部が形成され、互いに回転特性が異なる交換可能な複数の軸と、前記玩具本体に設けられ、前記被係止部を係止し、前記挿入孔に挿入された前記軸を装着状態に保持する係止部と、を備え、
前記係止部は、常態で所定の弾性力によって半径方向の内方に動作して、前記被係止部を係止して前記軸を装着状態に保持し、前記軸の挿脱の際の摺接によって前記所定の弾性力に抗して半径方向外方に動作して、前記軸の挿脱を許容するように構成され
前記複数の軸の中には、前記玩具本体に装着したときに前記玩具本体から下方に突出する部分に、外部の案内部に形成された歯と噛合して転動可能な歯車が固定して設けられ、且つ、前記玩具本体と相対回転可能で、前記係止部と噛合する他の歯車が固定して設けられた軸が含まれている、ことを特徴とするコマ玩具。
【請求項2】
挿入孔を有する玩具本体と、前記挿入孔に対して挿脱可能で、軸方向の所定位置に被係止部が形成され、互いに回転特性が異なる交換可能な複数の軸と、前記玩具本体に設けられ、前記被係止部を係止し、前記挿入孔に挿入された前記軸を装着状態に保持する係止部と、を備え、
前記係止部は、常態で所定の弾性力によって半径方向の内方に動作して、前記被係止部を係止して前記軸を装着状態に保持し、前記軸の挿脱の際の摺接によって前記所定の弾性力に抗して半径方向外方に動作して、前記軸の挿脱を許容するように構成され、
前記被係止部は、前記軸の外周に形成された括れ部によって構成され、前記係止部は、弾性片に形成され、且つ、前記括れ部に嵌合する爪によって構成されている、ことを特徴とするコマ玩具
【請求項3】
挿入孔を有する玩具本体と、前記挿入孔に対して挿脱可能で、軸方向の所定位置に被係止部が形成され、互いに回転特性が異なる交換可能な複数の軸と、前記玩具本体に設けられ、前記被係止部を係止し、前記挿入孔に挿入された前記軸を装着状態に保持する係止部と、を備え、
前記係止部は、常態で所定の弾性力によって半径方向の内方に動作して、前記被係止部を係止して前記軸を装着状態に保持し、前記軸の挿脱の際の摺接によって前記所定の弾性力に抗して半径方向外方に動作して、前記軸の挿脱を許容するように構成され、
前記被係止部は、前記軸の外周に形成された括れ部によって構成され、前記係止部は、コイルばねによって付勢され、且つ、前記括れ部に嵌合する爪によって構成されている、ことを特徴とするコマ玩具。