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特開2024-54988映像表示システム、および映像表示システムを備える車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054988
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】映像表示システム、および映像表示システムを備える車両
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20240411BHJP
   B60K 35/00 20240101ALI20240411BHJP
   B60R 7/06 20060101ALI20240411BHJP
   B62D 1/04 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
B60R11/02 C
B60K35/00 Z
B60R7/06 Z
B62D1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161511
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】家田 純一
【テーマコード(参考)】
3D020
3D022
3D030
3D344
【Fターム(参考)】
3D020BA04
3D020BA20
3D020BB01
3D020BC03
3D020BD02
3D020BD08
3D020BD09
3D022CA01
3D022CB01
3D022CC02
3D022CD06
3D022CD12
3D022CD26
3D030DA11
3D344AA21
3D344AB01
3D344AC13
3D344AD01
(57)【要約】
【課題】運転手が運転席を後部座席側に倒した際の、コンテンツの見えづらさを解消する映像表示システムと、車両の技術の提供。
【解決手段】運転席を後方に倒すことができる車両に配される映像表示システムであって、コンテンツを表示する映像表示装置と、一方の端部が、前記車両のダッシュボード、又は前記ダッシュボードに対して車室とは反対の側と接続し、他方の端部が前記映像表示装置と接続している位置調整装置であって、前記車両の前後方向および上下方向に前記映像表示装置を変位させることが可能な位置調整装置と、を備え、前記位置調整装置は、後方に倒された前記運転席の上方まで前記映像表示装置を変位させることができるように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席を後方に倒すことができる車両に配される映像表示システムであって、
コンテンツを表示する映像表示装置と、
一方の端部が、前記車両のダッシュボード、又は前記ダッシュボードに対して車室とは反対の側と接続し、他方の端部が前記映像表示装置と接続している位置調整装置であって、前記車両の前後方向および上下方向に前記映像表示装置を変位させることが可能な位置調整装置と、を備え、
前記位置調整装置は、後方に倒された前記運転席の上方まで前記映像表示装置を変位させることができるように構成されている、映像表示システム。
【請求項2】
請求項1に記載の映像表示システムであって、
さらに、前記位置調整装置による前記映像表示装置の変位の制御を行う変位制御部を備える、映像表示システム。
【請求項3】
請求項2に記載の映像表示システムであって、
前記運転席を含む予め定められた範囲の映像を取得するための映像取得部と、
前記映像取得部が取得した映像に基づいて、運転手の顔の位置を検出する顔位置検出部を備え、
前記変位制御部は、前記顔位置検出部が検出した前記運転手の顔の位置に基づいて、前記運転手の顔と対向するように前記映像表示装置を変位させる、映像表示システム。
【請求項4】
請求項2に記載の映像表示システムであって、
さらに、前記映像表示装置の加速度を検出する加速度センサを備え、
前記変位制御部は、
前記加速度センサによって検出された加速度に基づいて、前記映像表示装置の変位を減少させるように制御する、映像表示システム。
【請求項5】
請求項2に記載の映像表示システムであって、
前記車両の走行状態を示す信号を取得する走行状態取得部を備え、
前記変位制御部は、
前記車両が運転手によって走行されるべきであることを示す信号を、前記走行状態取得部が取得した場合に、前記運転手による前記車両の運転時に想定されているヘッドレストの位置と、前記車両のフロントガラスの特定の部位とを結ぶ線上に、前記映像表示装置を配置させないように制御する、映像表示システム。
【請求項6】
請求項1に記載の映像表示システムを備える車両であって、
前記ダッシュボードに対して前記車室とは反対の側において、前記映像表示装置と、前記位置調整装置と、を収容することが可能な空間である収容空間を備え、
前記位置調整装置は、前記位置調整装置が変形することによって、前記映像表示装置と前記位置調整装置とが前記収容空間に収容されるように構成されており、
前記位置調整装置の一方の端部が、前記収容空間内に配されている、車両。
【請求項7】
請求項6に記載の車両であって、
前記ダッシュボードに対して前記車室とは反対の側において、ステアリング収容空間を備え、
前記ステアリング収容空間は、前記車両が自動走行中である場合に、ステアリング装置を収容するように構成されている、車両。
【請求項8】
請求項1に記載の映像表示システムを備える車両であって、
さらに、前記車両が進行する方向の映像を取得する景色取得部を備え、
前記映像表示装置は、前記景色取得部が取得した映像を表示することができる、車両。
【請求項9】
請求項8に記載の車両であって、
前記映像表示システムは、前記車両の走行状態を示す信号を取得する走行状態取得部を備え、
前記映像表示装置は、前記走行状態取得部が、運転手によって車両を運転すべきであることを示す信号を取得してから、予め定められた時間までの間、前記景色取得部が取得した映像を表示する、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、映像表示システム、および映像表示システムを備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1において、ディスプレイを備えるステアリング装置に接続されたアクチュエータによって、ステアリング装置がダッシュボードの方向に移動される技術が開示されている。特許文献1の技術によれば、ステアリング装置がダッシュボードの方向に移動された後に、運転手は、運転席付近のスペースを広く使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/023882号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の自動走行中において、運転手が、運転席を後部座席側に倒すことで、運転手は楽な姿勢でコンテンツを楽しむことができる。しかし、特許文献1の技術において、運転手が運転席を後部座席側に倒すと、運転席を倒す前と比べてステアリング装置に設けられたモニタが運転手から遠くなり、モニタに表示されるコンテンツを運転手が見づらくなるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば、運転席を後方に倒すことができる車両に配された映像表示システムが提供される。この映像表示システムは、コンテンツを表示する映像表示装置と、一方の端部が、前記車両のダッシュボード、又は前記ダッシュボードに対して車室とは反対の側と接続し、他方の端部が前記映像表示装置と接続している位置調整装置であって、前記車両の前後方向および上下方向に前記映像表示装置を変位させることが可能な位置調整装置と、を備え、前記位置調整装置は、後方に倒された前記運転席の上方まで前記映像表示装置を変位させることができるように構成されている。この形態の映像表示システムによれば、運転手が座席を後部座席側に倒した場合に、位置調整装置によって、映像表示装置の位置を運転手の上方まで移動させることができる。これにより、位置調整装置がない態様と比較して、運転手が座席を後部座席側に倒した場合の、映像表示装置に表示されたコンテンツの見えづらさを解消することができる。
(2)上記形態の映像表示装置において、さらに、前記位置調整装置による前記映像表示装置の変位の制御を行う変位制御部を備えていてもよい。
(3)上記形態の映像表示装置において、前記運転席を含む予め定められた範囲の映像を取得するための映像取得部と、前記映像取得部が取得した映像に基づいて、運転手の顔の位置を検出する顔位置検出部を備え、前記変位制御部は、前記顔位置検出部が検出した前記運転手の顔の位置に基づいて、前記運転手の顔と対向するように前記映像表示装置を変位させてもよい。この形態の映像表示システムによれば、運転手が体勢を変えた場合に、運転手が手動で映像表示装置の位置を変えることなく、映像表示装置に表示された映像を見やすい状態で見ることができる。
(4)上記形態の映像表示装置において、さらに、前記映像表示装置の加速度を検出する加速度センサを備え、前記変位制御部は、前記加速度センサによって検出された加速度に基づいて、前記映像表示装置の変位を減少させるように制御してもよい。この形態の映像表示システムによれば、映像表示装置が大きく動いた際の、映像表示装置の見えづらさを解消することができる。
(5)上記形態の映像表示装置において、前記車両の走行状態を示す信号を取得する走行状態取得部を備え、前記変位制御部は、前記車両が運転手によって走行されるべきであることを示す信号を、前記走行状態取得部が取得した場合に、前記運転手による前記車両の運転時に想定されているヘッドレストの位置と、前記車両のフロントガラスの特定の部位とを結ぶ線上に、前記映像表示装置を配置させないように制御してもよい。この形態の映像表示装置によれば、車両が運転手によって走行されるべきである場合に、映像表示装置が、運転手の視界に入らないように、映像表示装置を配置することができる。
(6)本開示の他の形態によれば、上記形態の映像表示システムを備える車両が提供される。この車両は、前記ダッシュボードに対して前記車室とは反対の側において、前記映像表示装置と、前記位置調整装置と、を収容することが可能な空間である収容空間を備え、前記位置調整装置は、前記位置調整装置が変形することによって、前記映像表示装置と前記位置調整装置とが前記収容空間に収容されるように構成されており、前記位置調整装置の一方の端部が、前記収容空間内に配されている。この形態の車両によれば、運転手がコンテンツを見ない場合は、映像表示装置と位置調整装置が収容空間に収容されることで、運転席の付近の空間を広くすることができる。
(7)上記形態の車両において、前記ダッシュボードに対して前記車室とは反対の側において、ステアリング収容空間を備え、前記ステアリング収容空間は、前記車両が自動走行中である場合に、ステアリング装置を収容するように構成されていてもよい。この形態の車両によれば、車両が自動走行中は、ステアリング装置が収容空間に収容されることにより、運転席の付近の空間を広くすることができる。
(8)本開示の他の形態によれば、上記形態の映像表示システムを備える車両が提供される。この車両は、さらに、前記車両が進行する方向の映像を取得する景色取得部を備え、前記映像表示装置は、前記景色取得部が取得した映像を表示することができる。この形態の車両によれば、例えば、運転手が運転席の背もたれを後部座席側に傾斜させている場合において、車両が進行する方向の映像を見ることができる。
(9)上記形態の車両において、前記映像表示システムは、前記車両の走行状態を示す信号を取得する走行状態取得部を備え、前記映像表示装置は、前記走行状態取得部が、運転手によって車両を運転すべきであることを示す信号を取得してから、予め定められた時間までの間、前記景色取得部が取得した映像を表示する。この形態の車両によれば、運転手が運転席を後部座席側に倒している場合であって、運転手によって車両が運転されるべきである場合に、予め定められた時間までの間、車両が進行する方向の映像が表示されることで、運転手が、車両を運転するまでの間、車両が進行する方向の状況を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態の映像表示システムを説明する図。
図2】運転席の背もたれが後部座席側に傾けられた状態を表す図。
図3】映像処理部と、システム処理部と、車両処理部を説明するブロック図。
図4】位置調整装置の変位の一例を説明する図。
図5】映像表示装置が図4の状態から変位した図。
図6】運転手によって車両が走行されている状態を表す図。
図7】映像表示装置に、景色取得部が取得した映像が表示されていることを表す図。
図8】映像表示装置と、位置調整装置と、ステアリング装置が収容されている図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.本実施形態:
A1.本実施形態の車両の説明:
図1は、本実施形態の映像表示システム40を説明する図である。図1において、運転手DRによって運転席DRSが後部座席側にスライドされている状態が表されている。図2は、運転席DRSの背もたれが後部座席側に傾けられた状態を表す図である。図2において、運転手DRの操作によって車両1が走行される際の、運転手DR及び運転席DRSの位置を、破線で表している。本実施形態の車両1は、運転手DRによって、運転席DRSを後方に倒すことができる。「運転手DRによって運転席DRSを後方に倒すことができる」とは、図1のように運転手DRによって運転席DRSが後部座席側にスライドされることと、図2のように、運転手DRによって運転席DRSの背もたれが後部座席側に傾けられることの、いずれか、または両方をいう。
【0009】
本実施形態において、車両1は、自動走行が可能である。本実施形態において、図1および図2に示すように、車両1は、ダッシュボード10と、ステアリング装置20と、景色取得部30と、映像表示システム40と、収容空間SPと、車両処理部50と、を備えている。ステアリング装置20と、景色取得部30と、映像表示システム40と、車両処理部50は、互いに電気的に接続しており、信号を送受信可能である。
【0010】
A2.ダッシュボード10と、ステアリング装置20と、景色取得部30と、車両処理部50の説明:
以下において、ダッシュボード10と、ステアリング装置20と、景色取得部30と、車両処理部50を説明する。映像表示システム40と、収容空間SPについては、別途説明する。図2に示すように、ダッシュボード10は、車両1のフロントFRと、車室CAを隔てる板状の部材である。ダッシュボード10は、第1板部11と、第2板部12を備える。第1板部11は、ダッシュボード10の、鉛直方向の上側の部分である。第1板部11は、第2板部12側から、フロントガラスFWに向かって伸びている。第1板部11は、一方の端部11aが、フロントガラスFWの端部と接続している。第2板部12は、ダッシュボード10の、鉛直方向の下側の部分である。第2板部12は、第1板部11の、フロントガラスFWと接続する端部11aとは逆側の端部11bと、接続している。第2板部12は、図1に示す収容開口部12aと、不図示の開口蓋部12bを備えている。
【0011】
収容開口部12aは、車室CAと収容空間SPとを繋ぐ開口である。開口蓋部12bは、車両処理部50の制御によって、移動することが可能である。具体的には、開口蓋部12bは、車両処理部50の制御によって、収容開口部12aに重なるように配置されることで、収容開口部12aを封鎖する。収容開口部12aを封鎖していない状態において、開口蓋部12bは、車両処理部50の制御によって、収容空間SPの周囲に配置される。開口蓋部12bの移動については、後述する。なお、図示はしていないが、図1においては、開口蓋部12bが収容空間SPの周囲に配置されている。
【0012】
ステアリング装置20は、運転手DRによる車両1の操舵を実現するための装置である。ステアリング装置20は、車両1のフロントFR側に傾くことが可能な構成を有している。ステアリング装置20の傾きについては後述する。図2に示すように、ステアリング装置20は、一部が、収容空間SPに配置されている。具体的には、ステアリング装置20は、運転手DRによって握られる部分20aが車室に配置され、それ以外の部位20bの一部が、収容空間SPに配置されている。ステアリング装置の部位20bは、伸縮が可能であるように構成されている。ステアリング装置20は、収容空間SPに収容されることが可能である。ステアリング装置20の収容については、後述する。図1に示すように、本実施形態のステアリング装置20は、略環形状を有している。
【0013】
図2に示す景色取得部30は、車両1が進行する方向の映像を取得する。景色取得部30は、車両1に搭載された、カメラである。
【0014】
図3は、映像処理部415と、システム処理部43と、車両処理部50を説明するブロック図である。映像処理部415と、システム処理部43と、車両処理部50は、互いに電気的に接続しており、信号を送受信することが可能である。映像処理部415と、システム処理部43については後述する。車両処理部50は、CPUと、ROMとRAMから構成されている。車両処理部50は、ROMに記憶されたプログラムを、RAM上に展開してCPUが実行することで、車両処理部50の処理を実行する。
【0015】
A3.映像表示システム40の説明:
映像表示システム40について説明する。図1に示す映像表示システム40は、車内において、運転手DRや、図示していない車内の人間が、動画やSNS等のコンテンツを見る際に使用される。映像表示システム40は、映像表示装置41と、位置調整装置42と、システム処理部43と、を備えている。図1において、システム処理部43の図示は省略している。映像表示装置41と、位置調整装置42は、システム処理部43と、互いに電気的に接続している。
【0016】
映像表示装置41は、動画やSNSや地図等のコンテンツを表示する。映像表示装置41は、車両1の外部の無線ネットワークから、コンテンツを取得する。本実施形態において、映像表示装置41は、タッチセンサを備えるタブレット端末である。映像表示装置41は、映像取得部411と、音声取得部412と、音声発生部413と、加速度センサ414と、映像処理部415と、を備える。図1において、加速度センサ414と、映像処理部415の図示は省略している。
【0017】
映像取得部411は、車内の映像を取得する。本実施形態において、映像取得部411は、車両1が運転手DRによって運転されるときの映像表示装置41の位置である初期位置に、映像表示装置41があるときに、運転席DRSを含む予め定められた範囲の映像を取得することができる。本実施形態における予め定められた範囲とは、運転席DRSと、運転席DRSに座る運転手DRの上半身を含む範囲のことをいう。映像取得部411によって取得された映像は、後述する変位制御部434によって映像表示装置41が変位される際に使用される。変位制御部434による映像表示装置41の変位の詳細は後述する。
【0018】
また、映像取得部411によって取得された映像は、車両処理部50が運転手DRの状態を監視する際に使用される。「運転手DRの状態を監視する」とは、運転手DRの体調や、脇見運転や、居眠り等を監視することをいう。映像取得部411が映像表示装置41に備えられていることにより、運転手DRを監視するための装置が、車内に別途備えられている態様と比べて、コストを抑えることができる。本実施形態において、映像取得部411として、映像表示装置41に内蔵されたカメラが使用される。
【0019】
音声取得部412は、運転手DRの音声を取得する。音声取得部412は、方向によって音声の取得の感度が異なる。音声取得部412は、運転手DRの方向から発せられた音声を、運転手DRの方向以外から発せられた音と比較して、感度良く取得することができる。本実施形態において、音声取得部412は、映像表示装置41に内蔵されるマイクである。
【0020】
音声発生部413は、運転手DRに通知を行うための音声を発する。例えば、音声発生部413は、目的地までのナビゲーションの音声や、動画コンテンツの音声等を発する。また、音声発生部413は、車両1の走行が自動走行から運転手DRの操作に変更されるべきときに、後述する表示制御部415aによる表示の前に、運転手DRによって車両1を運転すべき旨を音声で通知する。音声発生部413は、映像表示装置41に内蔵されるスピーカーである。
【0021】
加速度センサ414は、映像表示装置41の加速度を検出する。加速度センサ414は、検出した加速度を表す信号を、システム処理部43に送信する。本実施形態において、加速度センサ414は、映像表示装置41の前後方向と、上下方向と、左右方向と、回転の際に加わる加速度を検出することが可能な、3軸加速度センサである。加速度センサ414は、映像表示装置41の内部に内蔵されている。
【0022】
図3に示す映像処理部415は、CPUと、ROMとRAMから構成されている。映像処理部415は、ROMに記憶されたプログラムを、RAM上に展開してCPUが実行することで、映像表示装置41の処理を実行する。本実施形態において、映像処理部415は、表示制御部415aと、音声認識部415bとして機能する。
【0023】
表示制御部415aは、映像表示装置41に表示される映像の表示を制御する。表示制御部415aは、動画やSNSや、地図等のコンテンツを、映像表示装置41のディスプレイに表示し、または非表示にする。
【0024】
本実施形態において、表示制御部415aは、映像表示装置41に、コンテンツが表示されている際に、運転手DRによって車両1が運転されるべきであることを示す信号を、後述する走行状態取得部432から取得した場合、コンテンツを非表示にする。本実施形態において、運転手DRによって車両1が運転されるべきであるときとは、例えば、自動走行が不可である道路に進入するために、自動走行から運転手DRの操作による走行に移行されるときをいう。
【0025】
なお、後述するように、コンテンツの表示または非表示は、運転手DRのタッチパネルの操作、または音声による指示によって可能である。本実施形態においては、車両1が運転手DRの操作によって走行されている場合は、運転手DRのタッチパネルの操作または音声による指示に関わらず、映像表示装置41に、地図や、スピードメータ等の、車両処理部50が必要であると判断したコンテンツ以外のコンテンツを表示させないよう、表示制御部415aによって制御されている。そして、車両1が自動走行または停止の状態に移行した場合は、走行状態取得部から車両1が自動走行または停止の状態にあることを示す信号を受信した表示制御部415aによって、動画やSNS等のコンテンツが表示される。なお、この場合、運転手DRのタッチパネルの操作、または音声による指示によって、コンテンツの非表示が可能である。
【0026】
表示制御部415aは、走行状態取得部432から、車両1の走行が自動走行から運転手DRによる走行に変更されるべき信号を受信した場合に、運転手DRによって車両1が運転されるべき旨の表示をする。また、表示制御部415aは、景色取得部30によって取得された映像を表示する。景色取得部30が表示される状況については後述する。表示制御部415aは、音声認識部415bの通知に応じて、コンテンツの表示や非表示や、変更を行うことができる。
【0027】
音声認識部415bは、音声取得部412によって取得された運転手DRの音声を認識して、運転手DRの指示を読み取る。本実施形態における運転手DRの指示とは、「映像表示装置41に表示されるコンテンツの変更」や「映像表示装置41の位置を調整する」等である。音声認識部415bは運転手DRの指示に基づいて、映像表示装置41に表示されるコンテンツの変更を表示制御部415aに通知する。また、音声認識部415bは、読み取った指示に基づいて、システム処理部43に、映像表示装置41の位置を調整する旨の信号を送信する。
【0028】
図示はしていないが、運転手DRが、映像表示装置41のディスプレイに表示された画像をタッチすることによって、コンテンツの表示や、非表示や、位置調整装置42の調整や、後述する収容空間SPへの映像表示装置41と位置調整装置42とステアリング装置20の収容を行うための入力を、映像処理部415に対して行うことが可能である。
【0029】
図4は、位置調整装置42の変位の一例を説明する図である。図4において、ステアリング装置20は収容空間SPに収容されている。位置調整装置42は、車両1の前後方向と、上下方向と、および左右方向に、映像表示装置41を変位させることが可能な装置である。位置調整装置42は、運転手DRによって後方に倒された運転席DRSの上方まで映像表示装置41を変位させることができるように構成されている。運転席DRSの上方とは、運転席DRSの、運転手DRが座る部分の上方を意味する。変位については後述する。また、位置調整装置42は、位置調整装置42が変形することによって、映像表示装置41と位置調整装置42とが収容空間SPに収容されるように構成されている。収容空間SPへの収容は、後述する。
【0030】
本実施形態において、位置調整装置42は、後述する変位制御部434によって制御されることで変形し、映像表示装置41を変位させる。図4に示すように、本実施形態において、位置調整装置42は、変形が可能な棒形状を有しており、各部位に設けられた関節により、腕部を曲げ伸ばしすることができる。位置調整装置42は、一方の端部が、ダッシュボード10に対して車室CAとは反対の側において、図示しない車両1のフロントFRの接続部と接続している。位置調整装置42は、他方の端部が、映像表示装置41と接続している。位置調整装置42は、第1腕部421と、第1関節部422と、第2腕部423と、第2関節部424と、第3腕部425と、第3関節部426と、第4腕部427と、第4関節部428を備えている。
【0031】
図5は、映像表示装置41が図4の状態から変位した図である。第1腕部421は、映像表示装置41と接続している。本実施形態において、第1腕部421は、一方の端部において、角度を調整するための図示しない接続部を介して映像表示装置41と接続している。これにより、位置調整装置42は、映像表示装置41が鉛直方向に対して角度を成すように、映像表示装置41を傾けることができる。第1関節部422は、第1腕部421の他方の端部と、第2腕部423を接続する。第1関節部422は、第1腕部421を、車両1の前後方向と、上下方向と、左右方向に曲げることにより、第1腕部421を変位させることができるボールジョイントである。図5において、第1腕部421が図4の状態と比べて車両1の後方に配されるように、第1関節部422が、関節を伸ばしている様子を表している。第1腕部421が曲げられることにより、第1腕部421と接続する映像表示装置41が、車両1の後方に変位される。
【0032】
第2腕部423は、第1腕部421と、第1関節部422を介して接続している。また、第2腕部423は、第2関節部424を介して、第3腕部425と接続している。第2関節部424は、第2腕部423と第3腕部425を接続している。第2関節部424は、第2腕部423を、車両1の前後方向と、上下方向と、左右方向に曲げることにより、第2腕部423を車両1の前後方向および上下方向に変位させることができるボールジョイントである。図5において、第2腕部423が図4の状態と比べて車両1の後方に配されるように、第2関節部424が、関節を伸ばしている状態を表している。第2腕部423が変位されることにより、第2腕部423と、第1関節部422を介して接続する第1腕部421と接続する映像表示装置41が、車両1の後方に変位される。
【0033】
第3腕部425は、第4腕部427と、第3関節部426を介して接続している。第3関節部426は、第3腕部425を、車両1の前後方向と、上下方向と、左右方向に曲げることができるボールジョイントである。第3腕部425が変位されることにより、第3腕部425と、第1関節部422および第2関節部424を介して接続する映像表示装置41の、変位が可能となる。
【0034】
第4腕部427は、第4関節部428と接続している。第4関節部428は、ダッシュボード10に対して車室CAとは反対の側において、図示しない車両1のフロントFRの接続部と接続している。これにより、位置調整装置42が、車両1に固定される。第4関節部428は、第4腕部427を、車両1の前後方向と、上下方向と、左右方向に曲げることにより、第4腕部427を変位させることができるボールジョイントである。なお、本実施形態において、ステアリング装置20と位置調整装置42が接触しないように、ステアリング装置20の傾きと、位置調整装置42の位置が調整される。
【0035】
図6は、運転手DRによって車両1が走行されている状態を表す図である。図6における映像表示装置41は、位置調整装置42によって変位されていない状態である。例えば、位置調整装置42がなく、常に、図6に示す位置に映像表示装置41が配置されている態様においては、運転手DRが座席を後部座席側に倒した場合に、映像表示装置41が運転手DRから見えづらくなる場合があると考えられる。一方、本実施形態においては、図1と、図4及び図5に示すように、運転手DRが座席を後部座席側に倒した場合に、位置調整装置42によって、映像表示装置41の位置を運転手DRの上方まで移動させることができる。これにより、位置調整装置42がない態様と比較して、運転手DRが座席を後部座席側に倒した場合の、映像表示装置41に表示されたコンテンツの見えづらさを解消することができる。また、図4の位置から図5の位置に映像表示装置41が変位されるように、運転手DRにとって見やすい位置に、映像表示装置41の位置が微調整されることが可能である。
【0036】
位置調整装置42がない態様の場合、運転手DRが下を向いて映像表示装置41を見る必要がある。この場合、運転手DRが車酔いを起こす可能性がある。一方、本実施形態においては、運転手DRが映像表示装置41を見やすい位置に、映像表示装置41を変位させることが可能であるため、運転手DRが車酔いを起こす可能性を低減することができる。
【0037】
運転手DRが運転席DRSを後部座席側に倒した状態で、映像表示装置41のディスプレイをタッチする際に、位置調整装置42がない態様の場合、運転手DRの手が届きづらい可能性がある。一方、本実施形態において、運転手DRが映像表示装置41にタッチしやすい位置に、映像表示装置41を変位させることが可能であるため、映像表示装置41の操作がしやすくなる。
【0038】
映像を表示する装置を手に持つ場合と比較して、本実施形態の態様は、運転手DRの疲労を低減することができる。また、ディスプレイを大きくすることができるので、映像を表示する装置を手に持つ場合と比較して、大きな画面でコンテンツを楽しむことができる。さらに、映像表示装置41がない態様と比較して、本実施形態の態様は、運転手以外の、車内の人間が映像表示装置41を見る際に、画面を見やすくすることができる。
【0039】
図3に示すシステム処理部43は、CPUと、ROMとRAMから構成されている。システム処理部43は、ROMに記憶されたプログラムを、RAM上に展開してCPUが実行することで、映像表示システム40の処理を実行する。システム処理部43は、顔位置検出部431と、走行状態取得部432と、景色データ受信部433と、変位制御部434として機能する。
【0040】
顔位置検出部431は、映像取得部411が取得した映像に基づいて、運転手DRの顔の位置を検出する。顔位置検出部431は、まず、映像取得部411が取得した映像から、運転手DRの顔を検出する。本実施形態において、顔位置検出部431は、運転手DRの顔のうち、運転手DRの黒目を検出する。次に、顔位置検出部431は、検出した運転手DRの黒目の位置が、映像表示装置41のディスプレイの画面上の、どの位置にあるかを検出する。顔位置検出部431は、検出した顔の位置を、変位制御部434に通知する。なお、本実施形態において、顔位置検出部431は、運転手DRの黒目の位置が、予め定められた時間の間、同じ位置にある場合に、検出した顔の位置を、変位制御部434に通知する。同じ位置にあるとは、黒目の位置が、数ミリ動く場合を含む。なお、顔位置検出部431は、運転手DRの鼻や、唇の位置を検出してもよい。顔位置検出部431が検出する部位は、ユーザによって予めシステム処理部43に入力される。
【0041】
走行状態取得部432は、車両処理部50から、車両1の走行状態を取得する。車両1の走行状態とは、車両1が自動走行中である状態や、車両1が運転手DRの操作によって走行されている状態や、車両1が停止中である状態や、車両1が運転手DRによって走行されるべきである状態等をいう。走行状態取得部432は、取得した車両1の走行状態に応じて、表示制御部415aに信号を送信する。また、走行状態取得部432は、取得した車両1の走行状態に応じて、変位制御部434に通知を行う。本実施形態において、走行状態取得部432は、運転手DRによって車両1を運転すべきであることを示す信号を、車両処理部50から取得すると、景色データ受信部433にその旨を通知する。
【0042】
図7は、映像表示装置41に、景色取得部30が取得した映像が表示されていることを表す図である。なお、図7において、車両1の図示を簡略なものにしている。図3に示す景色データ受信部433は、景色取得部30が取得した、車両1が進行する方向の映像のデータを、景色取得部30から受信する。景色データ受信部433は、運転手DRがディスプレイをタッチすることによる操作や、運転手DRの音声による指示に応じて、表示制御部415aに、景色データ受信部433が取得した映像を表示するように通知する。例えば、運転手DRが運転席DRSの背もたれを後部座席側に傾斜させている場合において、運転手DRがディスプレイをタッチして操作することで、車両1が進行する方向の映像を見ることができる。
【0043】
また、本実施形態において、景色データ受信部433は、走行状態取得部432が、運転手DRによって車両1が運転されるべきであることを示す信号を取得してから、予め定められた時間までの間、景色取得部30が取得した映像を表示するように、表示制御部415aに通知する。具体的には、まず、景色データ受信部433は、走行状態取得部432から、運転手DRによって車両1が運転されるべきであることを示す信号を取得したことの通知を受け取る。景色データ受信部433は、表示制御部415aに、その旨を通知する。これにより、表示制御部415aは、景色取得部30が取得した映像を表示する。例えば、運転手DRが運転席DRSを後部座席側に倒している場合に、予め定められた時間までの間、車両1が進行する方向の映像が表示されることで、運転手DRが、車両1を運転するまでの間、車両1が進行する方向の状況を確認することができる。本実施形態において、予め定められた時間とは、倒された後部座席が、運転手DRによって起こされるために必要な時間であり、ユーザによって事前にシステム処理部43に入力されている。
【0044】
図7の表示NCに示すように、本実施形態においては、走行状態取得部432から、車両1の走行が自動走行から運転手DRの操作に変更されるべき信号を受信した場合、景色取得部30が取得した映像が表示されつつ、運転手DRによって車両1を運転すべき旨の表示が行われる。
【0045】
図3に示す変位制御部434は、映像表示装置41の変位の制御を行う。具体的には、変位制御部434は、位置調整装置42を変形させることで、位置調整装置42と接続している映像表示装置41を変位させる。位置調整装置42の変形による映像表示装置41の変位は上述した通りである。本実施形態において、変位制御部434は、車両1の走行が、自動走行から運転手DRの操作による走行に変更する場合は、映像表示装置41を、図2に示すように、運転手DRの操作による走行時の位置に変位させる。また、変位制御部434は、車両1の走行が、運転手DRの操作による走行から自動走行に変更する場合は、顔位置検出部431によって検出された運転手DRの顔の位置に基づいて、映像表示装置41を変位させることができる。その後、運転手DRの操作または音声による指示によって、映像表示装置41の位置の調整が可能である。
【0046】
本実施形態において、変位制御部434は、顔位置検出部431が検出した顔の位置に基づいて、映像表示装置41の、映像が表示されているディスプレイの面が、運転手DRの顔と対向するように映像表示装置41を変位させることができる。具体的には、まず、映像表示装置41が初期位置にあるときに、映像取得部411が運転席DRSを含む予め定められた範囲の映像を取得する。そして、顔位置検出部431が、運転手DRの顔を検出し、変位制御部434は、検出された顔の位置に基づいて、運転手DRの顔と対向するように、映像表示装置41を変位させる。これにより、運転手DRが体勢を変えた場合に、運転手DRが手動で映像表示装置41の位置を変えることなく、映像表示装置41に表示された映像を見やすい状態で見ることができる。以降、映像取得部411が取得した運転手DRの映像から、顔位置検出部431が顔の位置を検出する。そして、変位制御部434によって、映像表示装置41が運転手DRの顔と対向するように変位される。
【0047】
また、本実施形態においては、顔位置検出部431によって、運転手DRの黒目の位置が予め定められた時間の間、同じ位置にある場合に、変位制御部434が映像表示装置41を変位させる。これにより、例えば運転手DRが顔を左右に少し動かしただけで、映像表示装置41が変位することを防ぐことができる。つまり、運転手DRが望まない映像表示装置41の変位を防止することができる。
【0048】
また、変位制御部434は、加速度センサ414によって検出された加速度に基づいて、位置調整装置42を調整することで、映像表示装置41の変位を減少させるように制御する。変位制御部434は、加速度センサ414が検出した加速度の数値が、予め定められた数値よりも大きい場合に、映像表示装置41の変位を減少させるように、位置調整装置42を調整する。
【0049】
例えば、変位制御部434は、加速度センサ414によって、車両1の後ろの方向における加速度が、予め定められた数値よりも大きいことが検出された場合に、位置調整装置42の第1腕部421が、車両1の前方向に向かって変位するように、第1関節部422を制御する。また、例えば、変位制御部434は、加速度センサ414によって、運転手DRから見て右の方向における加速度が、予め定められた数値よりも大きいことが検出された場合に、位置調整装置42の第2腕部423が、運転手DRから左の方向に向かって変位するように、位置調整装置42の第2関節部424を制御する。これにより、映像表示装置41が大きく動いた際の、運転手DRによる映像表示装置41の見えづらさを解消することができる。
【0050】
さらに、変位制御部434は、音声認識部415bによって読み取られた指示に基づいて、映像表示システム40の変位を調整する。例えば、運転手DRが「映像表示装置41を前に動かす」という指示を出した際に、変位制御部434が、位置調整装置42を、車両1の前方に変位するように変形させることで、映像表示装置41を変位させることができる。これにより、運転手DRが手によって位置調整装置42を動かすことなく、映像表示装置41の位置を調整することができる。
【0051】
図2に示すように、変位制御部434は、車両1が運転手DRによって走行されるべきであることを示す信号を、走行状態取得部432が取得した場合に、運転手DRによる車両1の運転時に想定されているヘッドレストの位置であるヘッドレスト想定位置HDと、車両1のフロントガラスFWの特定の部位とを結ぶ線上OLに、映像表示装置41を配置させないように制御する。
【0052】
ヘッドレスト想定位置HDは、システム処理部43に予め記憶されている。車両1のフロントガラスFWの特定の部位は、ユーザによって予め定められており、本実施形態においては、運転手DRが車両1を運転する際の、目線の先に位置する部位FW1である。システム処理部43は、ヘッドレスト想定位置HDと、車両1のフロントガラスFWの特定の部位FW1とを結ぶ線上OLに、映像表示装置41を配置させないことで、車両1が運転手DRによって走行されるべきである場合に、映像表示装置41が、運転手DRの視界に入らないように、映像表示装置41を配置することができる。
【0053】
A4.収容空間SPの説明:
収容空間SPについて説明する。図8は、映像表示装置41と、位置調整装置42と、ステアリング装置20が収容されている図である。収容空間SPは、映像表示装置41と、位置調整装置42と、ステアリング装置20と、を収容することが可能な空間である。図2に示すように、収容空間SPは、ダッシュボード10に対して車室CAとは反対の側において、構成されている。具体的には、収容空間SPは、車両1のフロントFRとダッシュボード10の間において構成されている。図8に示すように、収容空間SPは、映像表示装置41と、位置調整装置42と、ステアリング装置20を、一括に収容することが可能である。収容空間SPは、収容開口部12aを通じて、ステアリング装置20を、映像表示装置41および位置調整装置42と、同時、または異なるタイミングで収容空間SPに収容することが可能である。
【0054】
図4を用いて、ステアリング装置20の収容について説明する。図示はしていないが、まず、車両処理部50によって、ステアリング装置20が車両1の前方側に傾いた状態にされる。車両1の前方側に傾いた状態となった後に、車両処理部50によって、ステアリング装置20の部位20bが短縮されることにより、ステアリング装置20が車両1のフロントFR側に移動される。そして、ステアリング装置20の全てが収容空間SPに収容される。この際に、変位制御部434によって、映像表示装置41及び位置調整装置42と、ステアリング装置20が接触しないように制御される。車両1の自動走行中において、ステアリング装置20が収容空間SPに収容されることにより、運転席DRSの付近の空間を広くすることができる。また、運転手DRは、ステアリング装置20の存在を気にすることなく、コンテンツを楽しむことができる。
【0055】
図8を用いて、映像表示装置41と、位置調整装置42の収容について説明する。まず、上述したようにステアリング装置20が、収容空間SPに収容される。図示はしていないが、その際に、変位制御部434によって、第1腕部421と、第2腕部423と、第3腕部425と、第4腕部427が、互いに重なるように折りたたまれる。図8において、第1腕部421ないし第4腕部427の符号を省略している。同時に、変位制御部434によって、映像表示装置41のディスプレイの面が、水平面と並行となるように、映像表示装置41が変位される。そして、変位制御部434によって、映像表示装置41と、位置調整装置42が、収容空間SPに収容される。図8に示すように、位置調整装置42の一方の端部である第4関節部428が、収容空間SP内に配されている。運転手DRがコンテンツを見ない場合は、映像表示装置41と位置調整装置42が収容空間SPに収容されることで、運転席DRSの付近の空間を広くすることができる。映像表示装置41と、位置調整装置42と、ステアリング装置20が収容空間SPに収容されている場合は、システム制御部によって制御された開口蓋部12bによって、収容開口部12aが封鎖される。図8において、開口蓋部12bが収容開口部12aを封鎖する途中の様子を示している。
【0056】
なお、図示はしていないが、映像表示装置41と位置調整装置42が収容空間SPに収容され、ステアリング装置20が収容されない態様も可能である。この場合、運転手DRは、映像表示装置41と位置調整装置42の存在を気にすることなく、運転を行うことができる。
【0057】
B.他の実施形態:
B1.他の実施形態1:
(1)上記実施形態において、位置調整装置42は、一方の端部が、ダッシュボード10に対して車室CAとは反対の側において、図示しない車両1のフロントFRの接続部と接続している。なお、位置調整装置は、一方の端部が、車両のダッシュボードと接続していてもよい。また、ステアリング装置も、ダッシュボードと接続していてもよい。
【0058】
(2)上記実施形態において、位置調整装置42は、第1腕部421と、第1関節部422と、第2腕部423と、第2関節部424と、第3腕部425と、第3関節部426と、第4腕部427と、第4関節部428を備えていた。位置調整装置の腕部と関節部の数はそれぞれ4つに限定されず、2つや5つなど異なる数であってもよい。また、例えば位置調整装置は、弾性を有する弾性部材であってもよい。弾性部材が車両の前後方向、および上下方向に変位することで、映像表示装置が変位されてもよい。
【0059】
(3)上記実施形態において、変位制御部434によって、第1腕部421と、第2腕部423と、第3腕部425と、第4腕部427が、互いに重なるように折りたたまれ、位置調整装置42と映像表示装置41が収容空間SPに収容されていた。なお、位置調整装置は、伸縮が可能な構成を有していてもよく、変位制御部またはユーザによって伸長されることで、後方に倒された運転席の上方まで変位し、短縮されることで、収容空間に収容されてもよい。
【0060】
(4)上記実施形態において、ステアリング装置は、略環形状を有している。ステアリング装置は、半円形状や、直方形状等、略環形状以外の形状を有していてもよい。例えばステアリング装置は、左右に棒状の部位を有し、棒状の部位を運転手が握って動かすことで車両を操作してもよい。この態様において、映像表示装置が、その棒状の部位の間に配されていてもよい。
【0061】
(5)上記実施形態において、車両1は、自動走行が可能である。なお、車両は、自動走行を行わなくてもよい。
【0062】
(6)上記実施形態において、位置調整装置42は、車両1の前後方向と、上下方向と、および左右方向に、映像表示装置41を変位させることが可能な装置である。なお、位置調整装置は、車両の前後方向と、上下方向に、映像表示装置を変位させることが可能な装置であってもよい。
【0063】
(7)上記実施形態において、車両1が運転手DRの操作によって走行されている場合は、運転手DRのタッチパネルの操作または音声による指示に関わらず、映像表示装置41に、地図や、スピードメータ等の、車両処理部50が必要であると判断したコンテンツ以外のコンテンツを表示させないよう、表示制御部415aによって制御されている。なお、車両が運転手の操作によって走行されている場合において、運転手のタッチパネルの操作または音声による指示によって、動画やSNS等のコンテンツが表示されてもよい。また、表示制御部によって表示されるコンテンツを、予めユーザが決定して、入力してもよい。
【0064】
(8)上記実施形態において、映像表示装置41は、音声取得部412を備えていた。なお、映像表示装置は、音声取得部を備えていなくてもよい。
【0065】
(9)上記実施形態において、映像取得部411によって取得された映像は、車両処理部50が運転手DRの状態を監視する際に使用される。なお、例えば車両が、車内の映像を取得する車内映像取得部を備えており、車内映像取得部が、運転手の状態を監視する際に使用されてもよい。
【0066】
(10)上記実施形態において、音声取得部412は、運転手DRの音声を取得する。なお、音声取得部は、運転手以外の、車内の人間の声を取得してもよい。また、車両が、運転手以外の、車内の人間の声を取得するための車内音声取得部を備え、車内音声取得部が取得した音声を認識して、車内の人間の指示を読み取ってもよい。
【0067】
(11)上記実施形態において、映像表示システム40は、音声認識部415bを備えていた。なお、例えば運転手が手動で位置調整装置または映像表示装置を動かす態様において、映像表示システムは、音声認識部を備えていなくてもよい。
【0068】
B2.他の実施形態2:
(1)上記実施形態において、映像表示システム40は、変位制御部434を備えていた。なお、例えば運転手が手動で位置調整装置または映像表示装置を動かす態様において、映像表示システムが、変位制御部を備えていなくてもよい。
【0069】
B3.他の実施形態3:
(1)上記実施形態において、映像表示装置41は、映像表示装置41に内蔵される映像取得部411を備えていた。なお、例えば映像表示システムが、映像表示装置の外部において、映像表示装置と電気的に接続する映像取得部を備えていてもよい。また、映像取得部は、2つや3つなど、複数であってもよい。
【0070】
(2)上記実施形態において、映像表示システム40は、顔位置検出部431を備えていた。なお、映像表示システムは顔位置検出部を備えていなくてもよい。
【0071】
(3)上記実施形態において、顔位置検出部431は、運転手DRの黒目の位置が、予め定められた時間の間、同じ位置にある場合に、検出した顔の位置を、変位制御部434に通知する。なお、顔位置検出部は、検出した顔の位置が移動したら、検出した顔の位置を、即時に変位制御部に通知してもよい。
【0072】
(4)上記実施形態において、予め定められた範囲とは、運転席DRSと、運転席DRSに座る運転手DRの上半身を含む範囲のことをいう。なお、例えば予め定められた範囲とは、運転席と、運転席に座る運転手の顔を含む範囲のことをいってもよい。
【0073】
B4.他の実施形態4:
(1)上記実施形態において、映像表示システム40は、加速度センサ414を備えていた。なお、映像表示システムは加速度センサを備えていなくてもよい。
【0074】
B5.他の実施形態5:
(1)上記実施形態において、映像表示システム40は、車両1が運転手DRによって走行されるべきであることを示す信号を、走行状態取得部432が取得した場合に、運転手DRによる車両1の運転時に想定されているヘッドレストの位置と、車両1のフロントガラスFWの特定の部位20bとを結ぶ線上に、映像表示装置41を配置させないように制御していた。なお、変位制御部は、車両が運転手によって走行されるべきであることを示す信号を、走行状態取得部が取得した場合に、線上に映像表示装置を配置させないように制御しなくてもよい。
【0075】
(1)上記実施形態において、車両1のフロントガラスFWの特定の部位は、運転手DRが車両1を運転する際の、目線の先に位置する部位FW1である。なお、特定の部位は、運転手の額の先に位置する部位であってもよく、フロントガラスの中央であってもよい。
【0076】
B6.他の実施形態6:
(1)上記実施形態において、車両1は、収容空間SPを備えていた。例えば位置調整装置と、ステアリング装置がダッシュボードと接続する態様において、車両は、収容空間を備えていなくてもよい。
【0077】
(2)収容空間は、壁部を有していてもよい。この場合において、位置調整装置の他方の端部と、ステアリング装置が、収容空間の壁部と接続していてもよい。
【0078】
B7.他の実施形態7:
(1)上記実施形態において、車両1は、映像表示装置41と、位置調整装置42と、ステアリング装置20を収容することが可能な収容空間SPを備えていた。なお、ダッシュボードに対して車室とは反対の側において、収容空間SPとは異なる空間であるステアリング収容空間を備え、車両が自動走行中である場合に、ステアリング装置を収容するように構成されていてもよい。
【0079】
B8.他の実施形態8:
(1)上記実施形態において、車両1は景色取得部30を備えていた。なお、車両は景色取得部を備えていなくてもよい。
【0080】
B9.他の実施形態9:
(1)上記実施形態において、映像表示システム40は、走行状態取得部432が、運転手DRによって車両1を運転すべきであることを示す信号を取得してから、予め定められた時間までの間、景色取得部30が取得した映像を表示していた。なお、例えば映像表示システムは、走行状態取得部が運転手によって車両を運転すべきであることを示す信号を取得した場合に、景色取得部が取得した映像を表示しなくてもよい。なお、例えば表示制御部を備えない態様において、景色取得部が、映像表示装置に、景色取得部が取得した映像を表示させることができる。
【0081】
(2)本実施形態において、予め定められた時間とは、倒された後部座席が、運転手DRによって起こされるために必要な時間であり、ユーザによって事前にシステム処理部43に入力されている。なお、例えば予め定められた時間とは、運転手が後部座席を起こして、ステアリング装置を握るために必要な時間であってもよい。
【0082】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0083】
1…車両、10…ダッシュボード、11…第1板部、11a、11b…第1板部の端部、12…第2板部、12a…収容開口部、12b…開口蓋部、20…ステアリング装置、20a、20b…ステアリング装置の部位、30…景色取得部、40…映像表示システム、41…映像表示装置、42…位置調整装置、43…システム処理部、50…車両処理部、411…映像取得部、412…音声取得部、413…音声発生部、414…加速度センサ、415…映像処理部、415a…表示制御部、415b…音声認識部、421…第1腕部、422…第1関節部、423…第2腕部、424…第2関節部、425…第3腕部、426…第3関節部、427…第4腕部、428…第4関節部、431…顔位置検出部、432…走行状態取得部、433…景色データ受信部、434…変位制御部、CA…車室、DR…運転手、DRS…運転席、FR…フロント、FW…フロントガラス、FW1…フロントガラスの部位、HD…ヘッドレスト想定位置、OL…線上、SP…収容空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8