(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054990
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】背凭れ、椅子、およびヘッドレスト
(51)【国際特許分類】
A47C 7/40 20060101AFI20240411BHJP
A47C 7/38 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
A47C7/40
A47C7/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161518
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ハーフォード アレキザンダー
【テーマコード(参考)】
3B084
【Fターム(参考)】
3B084DA02
3B084DD07
3B084EC06
(57)【要約】
【課題】より清潔に保たれた背凭れ、椅子、およびヘッドレストを提供する。
【解決手段】背凭れは、背凭れ本体と、該背凭れ本体に取り付けられたヘッドレストとを備える。ヘッドレストは、背凭れ本体よりも上方に配置されたヘッドレスト本体と、ヘッドレスト本体を覆う表皮材と、ヘッドレスト本体を背凭れ本体に取り付ける取付部とを備える。取付部は、背凭れ本体とヘッドレスト本体との間で、背凭れ本体の上面および表皮材の間に隙間無く挟みこまれるように配置された塞ぎ部を有する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
背凭れ本体と、該背凭れ本体に取り付けられたヘッドレストとを備える背凭れであって、
前記ヘッドレストは、
前記背凭れ本体よりも上方に配置されたヘッドレスト本体と、
前記ヘッドレスト本体を覆う表皮材と、
前記ヘッドレスト本体を前記背凭れ本体に取り付ける取付部と
を備え、
前記取付部は、
前記背凭れ本体と前記ヘッドレスト本体との間に設けられて、前記背凭れ本体の上面および前記表皮材の間に隙間無く挟みこまれた塞ぎ部を有する
背凭れ。
【請求項2】
前記背凭れ本体の上面は、
上方を向く第1上面と、
該第1上面に左右方向の両側から接続されて、前記左右方向に向かうにしたがって前記ヘッドレスト本体から離間するように湾曲する一対の第2上面と
を有し、
前記塞ぎ部は、
前記第1上面に沿って前記左右方向に延びる第1部分と、
該第1部分に前記左右方向の両側から接続されて、前記第2上面の湾曲に沿って前記左右方向に延びる一対の第2部分と
を有する
請求項1に記載の背凭れ。
【請求項3】
前記ヘッドレスト本体は、下方に開口する挿入穴を有し、
前記取付部は、
前記塞ぎ部から上方に延びて、前記挿入穴に挿入されて前記ヘッドレスト本体に固定された挿入部を更に有し、
前記ヘッドレスト本体は、
前記挿入部が前記ヘッドレスト本体に固定された際、前記塞ぎ部と共に前記表皮材を挟み込んだ状態で拘束する下縁部を有する
請求項2に記載の背凭れ。
【請求項4】
前記ヘッドレスト本体の前記下縁部は、
前記第1上面に沿って前記左右方向に延びる第1下縁部と、
該第1下縁部に前記左右方向の両側から接続されて、前記第2上面の湾曲に沿って前記左右方向に延びる一対の第2下縁部と
を有する
請求項3に記載の背凭れ。
【請求項5】
前記取付部は、
前記塞ぎ部と一体形成され、前記塞ぎ部を前記背凭れ本体に固定する固定部を更に有する
請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の背凭れ。
【請求項6】
請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の背凭れを備える
椅子。
【請求項7】
背凭れ本体に取り付けられたヘッドレストであって、
前記背凭れ本体よりも上方に配置されたヘッドレスト本体と、
前記ヘッドレスト本体を覆う表皮材と、
前記ヘッドレスト本体を前記背凭れ本体に取り付ける取付部と
を備え、
前記取付部は、
前記背凭れ本体と前記ヘッドレスト本体との間に設けられて、前記背凭れ本体の上面および前記表皮材の間に隙間無く挟みこまれた塞ぎ部を有する
ヘッドレスト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背凭れ、椅子、およびヘッドレストに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、オプション部材としてのヘッドレストを取り付けた背凭れを備えた椅子が開示されている。この椅子では、背凭れ側の張り材と、ヘッドレスト側の張り材とが上下方向に対向している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に開示された椅子では、背凭れ側の張り材およびヘッドレスト側の張り材のそれぞれが空気中に浮遊するほこりを捕捉することがある。そのため、張り材同士の間で捕捉されたほこりが互いに吸着し合って、より大きなほこりが形成される場合がある。したがって、背凭れおよびヘッドレスト周りを清潔に保つことができる構成が要求される。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、より清潔に保たれた背凭れ、椅子、およびヘッドレストを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は以下の態様を採用した。
(1)本発明の一態様に係る背凭れは、背凭れ本体と、該背凭れ本体に取り付けられたヘッドレストとを備える背凭れであって、前記ヘッドレストは、前記背凭れ本体よりも上方に配置されたヘッドレスト本体と、前記ヘッドレスト本体を覆う表皮材と、前記ヘッドレスト本体を前記背凭れ本体に取り付ける取付部とを備え、前記取付部は、前記背凭れ本体と前記ヘッドレスト本体との間に設けられて、前記背凭れ本体の上面および前記表皮材の間に隙間無く挟みこまれた塞ぎ部を有する。
本態様によれば、背凭れ本体と、ヘッドレスト本体を覆う表皮材との間に空気中のほこりが流入しにくい。その結果、背凭れ本体および表皮材のうち1つ以上でほこりが捕捉されたとしても、捕捉されたほこりが互いに吸着し合って大きなほこりが形成されることが防止される。
【0007】
(2)上記(1)の態様に係る背凭れにおいて、前記背凭れ本体の上面は、上方を向く第1上面と、該第1上面に左右方向の両側から接続されて、前記左右方向に向かうにしたがって前記ヘッドレスト本体から離間するように湾曲する一対の第2上面とを有し、前記塞ぎ部は、前記第1上面に沿って前記左右方向に延びる第1部分と、該第1部分に前記左右方向の両側から接続されて、前記第2上面の湾曲に沿って前記左右方向に延びる一対の第2部分とを有することが好ましい。
本態様によれば、左右方向における上部枠杆の上面が湾曲した場合であっても、塞ぎ部と上部枠杆との間に隙間が形成されることが抑制される。したがって、上面がヘッドレスト本体から離間するように湾曲した背凭れ本体に対しても、上記(1)の作用を実現することができる。
【0008】
(3)上記(2)の態様に係る背凭れにおいて、前記ヘッドレスト本体は、下方に開口する挿入穴を有し、前記取付部は、前記塞ぎ部から上方に延びて、前記挿入穴に挿入されて前記ヘッドレスト本体に固定された挿入部を更に有し、前記ヘッドレスト本体は、前記挿入部が前記ヘッドレスト本体に固定された際、前記塞ぎ部と共に前記表皮材を挟み込んだ状態で拘束する下縁部を有することが好ましい。
本態様によれば、塞ぎ部がヘッドレスト本体を覆う第2表皮材を拘束するための部品の一部を兼ねている。したがって、背凭れの部品点数の増加を抑制するとともに、ヘッドレスト周辺の省スペース化を図ることができる。
【0009】
(4)上記(3)の態様に係る背凭れにおいて、前記ヘッドレスト本体の前記下縁部は、前記第1上面に沿って前記左右方向に延びる第1下縁部と、該第1下縁部に前記左右方向の両側から接続されて、前記第2上面の湾曲に沿って前記左右方向に延びる一対の第2下縁部とを有することが好ましい。
本態様によれば、背凭れ本体の第2上面、およびヘッドレスト本体の第2下縁部の間に位置した塞ぎ部の上下方向における寸法が大きくなることを抑制することができる。
【0010】
(5)上記(1)から(4)のうちいずれかの態様に係る背凭れにおいて、前記取付部は、前記塞ぎ部と一体形成され、前記塞ぎ部を前記背凭れ本体に固定する固定部を更に有することが好ましい。
本態様によれば、塞ぎ部が上部枠杆に対して安定的に位置決めされる。また、例えば、塞ぎ部および固定部が別々の部品である場合と比較して背凭れの部品点数の増加を抑制することができる。
【0011】
(6)本発明の一態様に係る椅子は、上記(1)から(5)のうちいずれかの態様に係る背凭れを備える。
【0012】
(7)本発明の一態様に係るヘッドレストは、背凭れ本体に取り付けられたヘッドレストであって、前記背凭れ本体よりも上方に配置されたヘッドレスト本体と、前記ヘッドレスト本体を覆う表皮材と、前記ヘッドレスト本体を前記背凭れ本体に取り付ける取付部とを備え、前記取付部は、前記背凭れ本体および前記ヘッドレスト本体との間に設けられて、前記背凭れ本体の上面および前記表皮材の間に挟みこまれた塞ぎ部を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、より清潔に保たれた背凭れ、椅子、およびヘッドレストを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る椅子を前方から見た正面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る椅子を右斜め後方から見た斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る椅子が備える背凭れ本体およびヘッドレストの内部構造を示した斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る背凭れ本体が備える枠体の上部枠杆の構成を示した斜視図である。(a)は右斜め後方から見た斜視図であり、(b)は、左斜め前方から見た斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るヘッドレストが備える取付部の構成を示した斜視図である。(a)は右斜め後方から見た斜視図であり、(b)は、左斜め前方から見た斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る上部枠杆およびヘッドレストを前方から見た正面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るヘッドレストのインナーシェルの構成を示した斜視図である。(a)は右斜め後方から見た斜視図であり、(b)は、左斜め前方から見た斜視図である。
【
図8】
図7中に示したVIII-VIII線方向における断面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る上部枠杆、取付部、およびインナーシェルを前方から見た正面図である。
【
図10】本発明の実施形態に係るヘッドレストのクッション材の構成を示した斜視図である。(a)は右斜め後方から見た斜視図であり、(b)は、左斜め前方から見た斜視図である。
【
図11】
図10中に示したXI-XI線方向における断面図である。
【
図12】本発明のその他の実施形態に係る椅子を右斜め後方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る背凭れ、およびこれを備えている椅子の一実施形態について説明する。
【0016】
(椅子の実施形態)
本実施形態における椅子は、着座者を着座姿勢の状態で支持する什器であり、例えばオフィスや店舗などで用いられる。
図1および
図2に示すように、椅子1は、脚部2と、支基3と、座4と、背凭れ5とを備えている。
【0017】
なお、以下の説明においては、説明の便宜上、座4に正規姿勢で着座した着座者から見た側を椅子1の前後方向Dsにおける「前方側Dsf」(
図2参照)と称し、その反対側を前後方向Dsにおける「後方側Dsb」(
図2参照)と称する。例えば、着座者から見て前方側Dsfは椅子1の前方側となり、着座者から見て後方側Dsbは椅子1の後方側となる。また、着座者から見て左側は椅子1の左右方向Dwにおける「左方側Dwl」と称し、その反対側(右側)を左右方向Dwにおける「右方側Dwr」と称する。また、着座者から見て上側は椅子1の上下方向Dvにおける「上方側Dvu」と称し、その反対側を上下方向Dvにおける「下方側Dvd」と称する。
【0018】
脚部2は、床面Fに接触し、下方側Dvdから直接的または間接的に支基3、座4、および背凭れ5を支持する。脚部2は、多岐脚2aと、脚柱2bとを有している。多岐脚2aは、中央部から放射状に延びる複数の脚体2a1と、各々の脚体2a1の先端部に設けられたキャスタ2a2とを有している。各々のキャスタ2a2は、床面Fに対して転動可能に接触している。
【0019】
脚柱2bは、多岐脚2aの中央部にこの多岐脚2aから上方側Dvuに立ち上がるように設けられている。脚柱2bは、外筒2b1と、内筒2b2とを有している。外筒2b1は、多岐脚2aに固定されている。内筒2b2は、下部が外筒2b1に接続されており、外筒2b1に対して上下方向Dvに移動可能に接続されている。内筒2b2は、例えば、脚柱2bの内部に収容されたスプリングなど(図示省略)によって支持されている。また、内筒2b2の上端部は、支基3に固定されている。このような脚柱2bは、支基3を介して、座4を上下方向Dvに移動可能に支持している。
【0020】
支基3は、脚部2の上方側Dvuに位置するボックス状の部位である。支基3は、内部に、例えば、座4の昇降機構(図示省略)と、背凭れ5の傾動機構(図示省略)とを有している。支基3は、座4よりも下方側Dvdに位置し、座4を下方側Dvdから支持している。支基3の後部には、背凭れ5が接続される。座4は、着座者が直接的に座る部位であり、上方側Dvuを向く上面が着座面とされている。なお、椅子1は、着座者の肘や腕先が載せ置かれる肘掛けを備えてもよい。このような肘掛けは、例えば、座4の側部に固定される。
【0021】
背凭れ5は、着座者を背中および頭部を後方側Dsbから支持する部位である。
図1から
図3に示すように、背凭れ5は、背凭れ本体51と、ヘッドレスト52とを備えている。
【0022】
背凭れ本体51は、主として着座者の背中を後方側Dsbから支持する部位である。背凭れ本体51は、接続部510と、枠体511と、第1表皮材512とを有している。
図2に示すように、接続部510は、枠体511を下方側Dvdから支持した状態で支基3に接続されている。接続部510は、支基3に係合されて、上記の傾動機構によって傾動可能に接続された第1接続部510aと、この第1接続部510aから二股に分岐した状態で上方側Dvuに延びる一対の第2接続部510bとによって構成されている。詳細な図示は省略するが、第1接続部510aは、例えば、前方側Dsfの部分が前方側Dsfに向かって矩形状に開口した筒状を成しており、上記の傾動機構の少なくとも一部に外嵌した状態で内側に収容する。一対の第2接続部510bは、座4よりも後方側Dsbで左右方向Dwに離間して配置されている。したがって、接続部510の全体は、支基3に対して傾動可能に保持されている。
【0023】
枠体511は、背凭れ5における骨格部分を成している。枠体511は、例えば合成樹脂材料や金属材料などによって形成されている。本実施形態における枠体511は、下部枠杆511aと、上部枠杆511bと、一対の側部枠杆511cとを有している。
【0024】
下部枠杆511aは、一対の第2接続部510bのそれぞれの上端を左右方向Dwに接続している。上部枠杆511bは、下部枠杆511aよりも上方側Dvuに配置されて左右方向Dwに延びている。一対の側部枠杆511cは、左右方向Dwに離間して配置されて、これら下部枠杆511aと上部枠杆511bとを上下方向Dvに接続している。具体的には、一対の側部枠杆511cのうち右方側Dwrに配置された側部枠杆511cは、上下方向Dvに延びた状態で、下部枠杆511aの右方側Dwrの部分と上部枠杆511bの右方側Dwrの部分とを上下方向Dvに接続している。一方、一対の側部枠杆511cのうち左方側Dwlに配置された側部枠杆511cは、上下方向Dvに延びた状態で、下部枠杆511aの左方側Dwlの部分と上部枠杆511bの左方側Dwlの部分とを上下方向Dvに接続している。
【0025】
本実施形態では、これら下部枠杆511a、上部枠杆511b、および一対の側部枠杆511cによって、枠体511に枠開口51hが形成されている。
【0026】
第1表皮材512は、枠体511の枠開口51hを前方側Dsfから覆うように枠体511に設けられている。第1表皮材512は、例えば、下部枠杆511a、上部枠杆511b、および側部枠杆511cのそれぞれに形成された溝51gの内部に固定されることによって(タッキング)、枠体511に固定されている。第1表皮材512は、例えば布材や皮材によって形成されている。第1表皮材512は、メッシュなどの張り材で形成されていてもよい。
【0027】
ヘッドレスト52は、主として着座者の頭部を後方側Dsbから支持する部位である。ヘッドレスト52は、背凭れ本体51に取り付けられている。ヘッドレスト52は、ヘッドレスト本体521と、第2表皮材522(表皮材)と、取付部523とを備えている。
【0028】
図3に示すように、ヘッドレスト本体521は、複数の部材によって構成されている。なお、
図3中では、便宜上、第2表皮材522の図示を省略している。ヘッドレスト本体521は、取付部523によって枠体511に取り付けられている。ヘッドレスト本体521は、枠体511よりも上方側Dvuに配置されている。
【0029】
以下、
図4以降の図面を参照しながら、取付部523およびヘッドレスト本体521の構成、ならびに、取付部523によってヘッドレスト本体521がどのように枠体511に取り付けられているのかを説明する。
【0030】
はじめに、上述した枠体511の上部枠杆511bについて説明する。
図4に示すように、上部枠杆511bは、上方側Dvuを向く第1上面511eと、この第1上面511eに左右方向Dwの両側から接続されて、左右方向Dwに向かうにしたがって左右方向Dwを向くように湾曲した一対の第2上面511fとを有している。本実施形態では、これら第1上面511eと第2上面511fとによって上部枠杆511bの上面511dが構成されている。第2上面511fは、左右方向Dwに向かうにしたがって、ヘッドレスト本体521から離間するように湾曲している。また、第2上面511fは、第1上面511e、および側部枠杆511cにおける左右方向Dwを向く側面511sのそれぞれに滑らかに接続されている。
【0031】
また、上部枠杆511bには、後方側Dsbを向く面から前方側Dsfに向かって凹む収容凹部511gが形成されている。収容凹部511gは、左右方向Dwに延びている。さらに、上部枠杆511bには、この収容凹部511gの内面のうち後方側Dsbを向く面から前方側Dsfに向かって凹む結合穴511hが形成されている。結合穴511hは、ボルトのような結合具523nが結合可能である。本実施形態では、2つの結合穴511hが左右方向Dwに離間して配置されている。また、上部枠杆511bに形成された上記の溝51gは、収容凹部511gよりも上方側Dvuで第1上面511eおよび第2上面511fに沿うように左右方向Dwに延びている。
【0032】
続いて、取付部523について説明する。取付部523は、例えば合成樹脂材料によって形成されている。なお、取付部523は、金属材料などによって形成されてもよい。
図5および
図6に示すように、取付部523は、塞ぎ部523aと、挿入部523bと、固定部523cとを有している。
【0033】
塞ぎ部523aは、上部枠杆511bの上面511dに第1表皮材512(図示省略)を介して載置されている。塞ぎ部523aは、上部枠杆511bの第1上面511eに沿って左右方向Dwに延びる第1部分520aと、第1部分520aに左右方向Dwの両側から接続されて、上部枠杆511bの第2上面511fの湾曲に沿って左右方向Dwに延びる一対の第2部分520bとを有している。これら第1部分520aおよび第2部分520bは、前後方向Dsにおける寸法が上部枠杆511bの前後方向Dsにおける寸法と同一である。
【0034】
図6に示すように、第1部分520aは、上方側Dvuを向く第1面520a1と、この第1面520a1とは反対側(下方側Dvd)を向く第2面520a2とを有している。これら第1面520a1および第2面520a2は、平滑に形成されている。第2面520a2は、上部枠杆511bの第1上面511eに平行に配置されている。第2面520a2は、この第1上面511eに上方側Dvuから第1表皮材512を間に挟みこんだ状態で対向している。第2面520a2と第1上面511eとの間には、第1表皮材512が隙間無く配置されている。
【0035】
また、第1部分520aには、後述のインナーシェル521aのタッキング部521pと共にヘッドレスト52の第2表皮材522を集めるとともに挟持するための隆起部520pが形成されている。隆起部520pは、第1部分520aの第1面520a1から隆起するように突出している。本実施形態では、2つの隆起部520pが左右方向Dwに離間して第1部分520aに配置されている。
【0036】
一対の第2部分520bのそれぞれは、第1部分520aに左右方向Dwから接続されて上部枠杆511bの第2上面511fの湾曲に沿って湾曲する第1曲面520b1と、この第1曲面520b1とは反対側で第2上面511fに沿って湾曲する第2曲面520b2とを有している。第2曲面520b2は、第1部分520aの第2面520a2に左右方向Dwから滑らかに接続されている。第2曲面520b2は、上部枠杆511bの第2上面511fに上方側Dvuから第1表皮材512を間に挟みこんだ状態で対向している。第2曲面520b2と第2上面511fとの間には、第1表皮材512が隙間無く配置されている。したがって、第1表皮材512は、背凭れ本体51における上面を成している。
【0037】
挿入部523bは、第1部分520aにおける第1面520a1から上方側Dvuに向かって延びた部分である。
図3に示すように、挿入部523bは、ヘッドレスト本体521に挿入されてヘッドレスト本体521に固定される部分である。
図5に示すように、本実施形態における挿入部523bは、塞ぎ部523aと一体に形成されている。挿入部523bは、第1部分520aに形成された2つの隆起部520pの間に配置されている。また、挿入部523bは、第1部分520aの第1面520a1の中央に配置されている。
【0038】
図6に示すように、挿入部523bは、前方側Dsfから見て矩形状を成している。また、
図5に示すように、挿入部523bは、上方側Dvuに向かうにしたがって前後方向Dsにおける幅寸法が漸次小さくなるように形成されている。挿入部523bは、ヘッドレスト本体521と係合可能な係合爪部523iを有している。係合爪部523iは、挿入部523bにおける中央の部分に配置されている。
【0039】
固定部523cは、塞ぎ部523aを枠体511の上部枠杆511bに固定する部分である。固定部523cは、塞ぎ部523aの第1部分520aに一体に形成されている。固定部523cは、上部枠杆511bに形成された収容凹部511gを後方側Dsbから覆うように配置されている。本実施形態における固定部523cは、固定部本体523mと、結合具523nと、カバー523oとを有している。
【0040】
固定部本体523mは、第1部分520aにおける後方側Dsbの部分から下方側Dvdに向かって広がっており、上部枠杆511bと前後方向Dsに隣り合って配置されている。固定部本体523mには、後方側Dsbを向く面から前方側Dsfに向かって凹むカバー収容部523gが形成されている。このカバー収容部523gは、上部枠杆511bに形成された収容凹部511gに嵌り込んでいる。さらに、
図3に示すように、カバー収容部523gの内面のうち後方側Dsbを向く面から前方側Dsfに向かって固定部本体523mを貫通した挿通孔523hが形成されている。本実施形態では、2つの挿通孔523hが左右方向Dwに離間して配置されている。これら2つの挿通孔523hは、上部枠杆511bの収容凹部511gに形成された結合穴511hと前後方向Dsに重なるように配置されている。
【0041】
図3および
図5に示すように、結合具523nは、固定部本体523mのカバー収容部523gに形成された挿通孔523hと、上部枠杆511bの収容凹部511gに形成された結合穴511hとにわたって螺合したボルトである。すなわち、結合具523nは、固定部本体523mと上部枠杆511bとを結合することで、塞ぎ部523aを上部枠杆511bに固定している。つまり、結合具523nが固定部本体523mを上部枠杆511bに固定することによって、塞ぎ部523aが上面511d上に第1表皮材512を介して載置された状態で移動不能に位置決めされている。結合具523nの頭部は、カバー収容部523g内に収容されている。
【0042】
カバー523oは、固定部本体523mに形成されたカバー収容部523gに嵌るように配置されている(
図7参照)。具体的には、
図5に示すように、カバー523oは、このカバー523oが有する係合爪部が収容凹部511g内に配置された係合凹部に係合することで、カバー収容部523gに嵌っている。カバー523oは、収容凹部511gに嵌ることで、収容凹部511gの内面および結合具523nが外側から見えなくなるように遮蔽している。カバー523oにおける後方側Dsbを向く面は、カバー523oが収容凹部511gに嵌った際、固定部本体523mにおける後方側Dsbを向く面と面一を成している(
図7参照)。
【0043】
続いて、ヘッドレスト本体521について説明する。
図3に示すように、ヘッドレスト本体521は、インナーシェル521aと、クッション材521bとを有している。以下、
図7から
図9を参照しながらインナーシェル521aの構成を説明し、
図10および
図11を参照しながらクッション材521bの構成を説明する。
【0044】
図7に示すように、インナーシェル521aは、上方側Dvuから取付部523に設けられた部材である。インナーシェル521aは、例えば合成樹脂材料によって形成されている。なお、インナーシェル521aは、金属材料などによって形成されてもよい。インナーシェル521aは、左右方向Dwに板状に広がっている。インナーシェル521aは、取付部523の挿入部523bが下方側Dvdから挿入される挿入穴521hを有している。挿入穴521hは、下方側Dvdに向かって開口している。
図8に示すように、挿入穴521hの内部には、挿入部523bの係合爪部523iが係合可能な係合部521jが形成されている。具体的には、挿入部523bが挿入穴521hに挿入された際、係合爪部523iにおける下方側Dvdを向く面が係合部521jにおける上方側Dvuを向く面と対向した状態で当接することで、インナーシェル521aの全体が上方側Dvuに変位しにくい状態となる。つまり、取付部523の挿入部523bは、インナーシェル521aの挿入穴521hに挿入されてヘッドレスト本体521に固定されている。
【0045】
また、
図8および
図9に示すように、インナーシェル521aは、挿入部523bがインナーシェル521aに固定された際、塞ぎ部523aと共に第2表皮材522を挟み込んだ状態で拘束する下縁部521dを有している。
図8に示すように、本実施形態におけるインナーシェル521aは、左右方向Dwに延びた状態で、前後方向Dsに並ぶ一対の下縁部521dを有している。下縁部521dは、下方側Dvdに向かって凸となる凸曲面状を成している。挿入穴521hは、前後方向Dsに並ぶ一対の下縁部521dの間に配置されている。具体的には、下縁部521dは、塞ぎ部523aの第1面520a1および第1曲面520b1と共にヘッドレスト本体521を覆う第2表皮材522を上下方向Dvに挟み込んだ状態で拘束している。本実施形態における第2表皮材522は、例えば布材や皮材によって形成されている。第2表皮材522は、メッシュなどの張り材で形成されていてもよい。なお、
図7中および
図9中では、便宜上、第2表皮材522の図示を省略している。
【0046】
また、
図7および
図9に示すように、インナーシェル521aは、塞ぎ部523aに形成された隆起部520pに対応するように1つずつ配置されたタッキング部521pを有している。すなわち、2つのタッキング部521pが挿入穴521hを間に挟んだ状態で左右方向Dwに離間して配置されている。タッキング部521pは、上方側Dvuに配置された一端が閉塞された円筒状を成しており、隆起部520pに向かって下方側Dvdに開口している。タッキング部521pは、上下方向Dvに延びる円柱状を成す押圧部材(図示省略)を収容している。押圧部材は、第2表皮材522を介して隆起部520pに上方側Dvuから当接した状態で隆起部520pを下方側Dvdに押圧している。つまり、タッキング部521pは、隆起部520pを下方側Dvdに押圧した状態で第2表皮材522を挟持している。
【0047】
図10に示すように、クッション材521bは、塞ぎ部523aの上面511dに載置された状態でインナーシェル521aを周りから取り囲むように配置されている。言い換えれば、クッション材521bは、インナーシェル521aを収容している。本実施形態におけるインナーシェル521aは、例えば、ウレタンなどの材料で形成されている。
図11に示すように、インナーシェル521aは、前方側Dsfに向かって凸となる凸曲面を有している。インナーシェル521aの凸曲面は、上部枠杆511bよりも前方側Dsfにせり出している。また、クッション材521bは、第2表皮材522によって覆われている。第2表皮材522は、上方側Dvuからこのクッション材521bに被さるように設けられ、クッション材521bの全体を覆うとともに、インナーシェル521aの下縁部521dと、塞ぎ部523aの第1面520a1および第1曲面520b1との間に隙間無く挟みこまれている(タッキング)。
【0048】
以上説明した構成により、塞ぎ部523aは、背凭れ本体51とヘッドレスト本体521との間で、背凭れ本体51における上部枠杆511bの上面511d(第1上面511eおよび第2上面511f)に設けられた第1表皮材512、および第2表皮材522の間に隙間無く挟みこまれるように配置されている。
【0049】
本実施形態によれば、以下のような作用効果が発揮される。
【0050】
本実施形態では、取付部523の塞ぎ部523aが、背凭れ本体51、およびヘッドレスト本体521を覆う第2表皮材522の間に隙間無く配置されているため、背凭れ本体51とヘッドレスト本体521との間に空気中のほこりが流入しにくい。その結果、仮に背凭れ本体51およびヘッドレスト本体521を覆う第2表皮材522のうち1つ以上でほこりが捕捉されたとしても、塞ぎ部523aが背凭れ本体51および第2表皮材522の間の隙間を塞いでいるため、捕捉されたほこりが互いに吸着し合ってより大きなほこりが形成されることが防止される。したがって、背凭れ5を清潔に保つことができる。
【0051】
また、本実施形態では、塞ぎ部523aの第2部分520bが上部枠杆511bの第2上面511fの湾曲に沿うように左右方向Dwに延びている。このため、左右方向Dwにおける上部枠杆511bの上面511dが湾曲した場合であっても、塞ぎ部523aと上部枠杆511bとの間に隙間が形成されることが抑制される。すなわち、背凭れ本体51における上面511dがヘッドレスト本体521から離間するように湾曲していたとしても、背凭れ本体51と塞ぎ部523aとの間に隙間が生じにくいため、背凭れ本体51と塞ぎ部523aとの間にほこりが溜まることが防止される。
【0052】
また、本実施形態では、塞ぎ部523aがヘッドレスト本体521を覆う第2表皮材522を拘束するための部品の一部を兼ねている。したがって、背凭れ5の部品点数の増加を抑制するとともに、ヘッドレスト52周辺の省スペース化を図ることができる。
【0053】
また、本実施形態では、インナーシェル521aの第2下縁部521fが上部枠杆511bの第2上面511fの湾曲に沿うように左右方向Dwに延びている。このため、背凭れ本体51の第2上面511f、およびヘッドレスト本体521の第2下縁部521fの間に位置した塞ぎ部523aの上下方向Dvにおける寸法が大きくなることを抑制することができる。その結果、ヘッドレスト本体521がより大きな領域を確保することができる。
【0054】
また、塞ぎ部523aを上部枠杆511bに固定する固定部523cが、塞ぎ部523aと一体に形成されているため、塞ぎ部523aが上部枠杆511bに対して安定的に位置決めされる。その結果、取付部523に外力が加わった際の塞ぎ部523aの変位が抑制される。また、例えば、塞ぎ部523aおよび固定部523cが別々の部品である場合と比較して、背凭れ5の部品点数の増加を抑制することができる。したがって、背凭れ5を容易に組み立てることができる。
【0055】
以上、本開示の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成は実施形態の構成に限られることはなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内での構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
【0056】
例えば、
図12に示すように、第1表皮材512は、上記実施形態で説明したように前方側Dsfから枠体511を覆う構成に限られず、後方側Dsbからも枠体511を覆うように枠体511に設けられてもよい。この場合、枠体511は、枠開口51h(図示省略)を塞ぐように各枠杆(下部枠杆511a、上部枠杆511b、側部枠杆511c)に設けられたシェルなど(図示省略)を更に有してもよい。また、この場合、これら枠体511およびシェルと第1表皮材512との間にクッション材が配置されてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…椅子 2…脚部 2a…多岐脚 2a1…脚体 2a2…キャスタ 2b…脚柱 2b1…外筒 2b2…内筒 3…支基 4…座 5…背凭れ 51…背凭れ本体 51g…溝 51h…枠開口 52…ヘッドレスト 510…接続部 510a…第1接続部 510b…第2接続部 511…枠体 511a…下部枠杆 511b…上部枠杆 511c…側部枠杆 511d…上面 511e…第1上面 511f…第2上面 511g…収容凹部 511h…結合穴 511s…側面 512…第1表皮材 520a…第1部分 520a1…第1面 520a2…第2面 520b…第2部分 520b1…第1曲面 520b2…第2曲面 520p…隆起部 521…ヘッドレスト本体 521a…インナーシェル 521b…クッション材 521d…下縁部 521e…第1下縁部 521f…第2下縁部 521h…挿入穴 521j…係合部 521p…タッキング部 522…第2表皮材 523…取付部 523a…塞ぎ部 523b…挿入部 523i…係合爪部 523c…固定部 523g…カバー収容部 523h…挿通孔 523m…固定部本体 523n…結合具 523o…カバー Ds…前後方向 Dsb…後方側 Dsf…前方側 Dv…上下方向 Dvd…下方側 Dvu…上方側 Dw…左右方向 Dwl…左方側 Dwr…右方側 F…床面