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<図1>
  • 特開-可動式整流装置 図1
  • 特開-可動式整流装置 図2
  • 特開-可動式整流装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054991
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】可動式整流装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 37/02 20060101AFI20240411BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
B62D37/02 B
B62D25/20 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161519
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿佐 亮祐
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BB03
3D203CB19
3D203CB28
3D203DA22
(57)【要約】
【課題】 前突時に衝突箇所と前輪の間に可動式整流装置が挟まれることを防止する。
【解決手段】 車両であって、アンダーカバーと、前記車両の前輪の前方において前記アンダーカバーに取り付けられた可動式整流装置、を有する。前記可動式整流装置が、整流部材と、前記アンダーカバーと前記整流部材とを接続しているとともに前記整流部材を前記アンダーカバーに対して上下に移動させる移動機構、を有する。前記移動機構が前記アンダーカバーに対して爪構造により取り付けられている。前記車両の前突時に前記爪構造が変形して前記アンダーカバーから前記可動式整流装置が脱離する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両であって、
アンダーカバーと、
前記車両の前輪の前方において前記アンダーカバーに取り付けられた可動式整流装置、
を有し、
前記可動式整流装置が、
整流部材と、
前記アンダーカバーと前記整流部材とを接続しており、前記整流部材を前記アンダーカバーに対して上下に移動させる移動機構、
を有し、
前記移動機構が前記アンダーカバーに対して爪構造により取り付けられており、
前記車両の前突時に前記爪構造が変形して前記アンダーカバーから前記可動式整流装置が脱離する、
車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、可動式整流装置に関する。
【0002】
特許文献1には、車両に搭載された可動式整流装置が開示されている。この可動式整流装置は、車両の前輪の前方に配置されている。この可動式整流装置は、整流部材(すなわち、スパッツ)と移動機構を有している。移動機構は、整流部材を上下に移動させる。移動機構は、整流部材が車両底面から突出する展開位置と、整流部材が車両底面から突出しない収納位置の間で整流部材を移動させる。移動機構によって整流部材を移動させることで、車両の空力性能を変化させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-118583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、車両前部における衝突(以下、前突という)が生じたときに、衝突箇所と前輪の間に可動式整流装置が挟まれる場合がある。衝突箇所と前輪の間に可動式整流装置が挟まれる場合には、可動式整流装置が挟まれない場合に対して、衝突時における車体の変形モードが変化して衝撃を十分に吸収できない場合がある。本明細書では、前突時に衝突箇所と前輪の間に可動式整流装置が挟まれることを防止する技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する車両は、アンダーカバーと、前記車両の前輪の前方において前記アンダーカバーに取り付けられた可動式整流装置、を有する。前記可動式整流装置が、整流部材と、前記アンダーカバーと前記整流部材とを接続しているとともに前記整流部材を前記アンダーカバーに対して上下に移動させる移動機構、を有する。前記移動機構が前記アンダーカバーに対して爪構造により取り付けられている。前記車両の前突時に前記爪構造が変形して前記アンダーカバーから前記可動式整流装置が脱離する。
【0006】
この車両では、前突時に爪構造が変形してアンダーカバーから移動機構が外れる。その結果、アンダーカバーから可動式整流装置が脱離する。このため、衝突箇所と前輪の間に可動式整流装置が挟まれることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】可動式整流装置を有する車両の側面図。
図2】可動式整流装置の爪部を含む部分の斜視図と断面図(図2(b)と図2(c)は、図2(a)のA-A線における断面図である。)
図3】前突時の車両の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、実施形態の車両10の前方部分の側面を示している。車両10は、その底面を覆うアンダーカバー20を有している。車両10の前輪12の前方(すなわち、車両10の前端部10aと前輪12の間)に、可動式整流装置30が配置されている。可動式整流装置30は、アンダーカバー20に固定されている。可動式整流装置30は、整流部材32と移動機構34を有している。移動機構34は、前輪12の前方でアンダーカバー20に固定されている。移動機構34は、複数の可動リンクを有しており、可動リンクに整流部材32が固定されている。すなわち、移動機構34は、アンダーカバー20と整流部材32とを接続している。図示していないが、移動機構34は、可動リンクを動かすモータを有している。移動機構34は、モータによって可動リンクを動かすことで、整流部材32を上下に移動させる。移動機構34は、図1(a)に示す展開位置と図1(b)に示す収納位置の間で整流部材32を移動させる。展開位置では、整流部材32が車両10のボディ下面よりも下側に突出する。収納位置では、整流部材32が車両10のボディ下面から突出しない。整流部材32を展開位置と収納位置の間で移動させることで、車両10の空力性能を変化させることができる。例えば、移動機構34は、車速に応じて整流部材32の位置を制御する。
【0009】
図2は、移動機構34のアンダーカバー20に対する取付構造を示している。図2(b)に示すように、移動機構34は、移動機構本体36と樹脂カバー38を有している。上述したモータ及び可動リンクは、移動機構本体36に内蔵されている。樹脂カバー38は、プレート部38aと壁部38bを有している。プレート部38aは、略水平に伸びている。移動機構本体36は、プレート部38a上に固定されている。アンダーカバー20は、プレート部38aの後端に対向する位置に、収容溝20aを有している。プレート部38aの後端は、収容溝20a内に挿入されている。壁部38bは、プレート部38aの前端から上方向に伸びている。図2(a)に示すように、壁部38bには2つのスリット38cが設けられている。2つのスリット38cの間の壁部38bは、弾性変形によって反ることができる。2つのスリット38cの間の壁部38bの上端に、爪部38dが設けられている。図2(b)に示すように、爪部38dは、アンダーカバー20よりも上側まで伸びてアンダーカバー20に係合している。これによって、樹脂カバー38がアンダーカバー20に固定されている。
【0010】
図3に示すように車両10が前端部10aで障害物50に衝突すると、車両10のボディが圧縮される。また、図3に示すように前突が生じると、衝撃によって図2(c)に示すように樹脂カバー38の爪部38d及び壁部38bが変形し、爪部38dがアンダーカバー20から外れる。その結果、可動式整流装置30全体(すなわち、樹脂カバー38、移動機構本体36、及び、整流部材32)が、自重により下方向へ移動し、アンダーカバー20から脱離する。すなわち、可動式整流装置30が車両10から脱落する。これにより、衝突箇所と前輪12の間に可動式整流装置30が挟まれることが防止される。このため、前端部10aと前輪12の間で車両10のボディが適切に圧縮され、衝撃が効果的に吸収される。
【0011】
また、この構造によれば、可動式整流装置30が故障等した場合に、爪部38dとアンダーカバー20との係合を解除することで、可動式整流装置30をアンダーカバー20から容易に取り外すことができる。また、爪部38dをアンダーカバー20に係合させることで、可動式整流装置30をアンダーカバー20に容易に取り付けることができる。したがって、この取付構造によれば、高いメンテナンス性を実現できる。
【0012】
以上、実施形態について詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独あるいは各種の組み合わせによって技術有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの1つの目的を達成すること自体で技術有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0013】
10 :車両
12 :前輪
20 :アンダーカバー
30 :可動式整流装置
32 :整流部材
34 :移動機構
38 :樹脂カバー
38d :爪部
図1
図2
図3