(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055007
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】減速機を含む回転駆動装置
(51)【国際特許分類】
H02K 7/116 20060101AFI20240411BHJP
B25J 17/00 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
H02K7/116
B25J17/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161557
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】518204545
【氏名又は名称】株式会社Keigan
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徳田 貴司
(72)【発明者】
【氏名】栗本 直彰
【テーマコード(参考)】
3C707
5H607
【Fターム(参考)】
3C707BS09
3C707CX01
3C707CX03
3C707CY39
3C707HS27
3C707HT02
3C707HT21
3C707KS21
3C707KV08
3C707KW07
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB05
5H607BB14
5H607CC03
5H607DD03
5H607EE31
5H607HH01
5H607HH09
(57)【要約】
【課題】被駆動部の可動範囲を制限しない回転駆動装置を提供する。
【解決手段】回転駆動装置10は、第1回転軸C1周りに回転する出力軸23を含むモータ20と、出力軸23が回転すると第2回転軸C2周りに回転する出力部33を有する減速機30と、出力部33が回転すると被駆動部103bとともに第2回転軸C2周りに回転する回転伝達体40と、回転伝達体40に直接的に係合し、回転伝達体40が回転すると第2回転軸C2に平行または垂直な第3回転軸C3周りに回転する回転被伝達体50と、回転被伝達体50の回転を検出する回転検出部60とを備えている。回転伝達体40は、減速機本体部31を取り囲む環状を有している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1回転軸周りに回転する出力軸を含むモータと、
前記モータの前記出力軸が回転すると前記第1回転軸に平行な第2回転軸周りに回転する出力部を有する減速機と、
前記減速機の前記出力部が回転すると該出力部に取り付けられた被駆動部とともに前記第2回転軸周りに回転する回転伝達体と、
前記回転伝達体に直接的または間接的に係合し、前記回転伝達体が回転すると前記第2回転軸に平行または垂直な第3回転軸周りに回転する回転被伝達体と、
前記回転被伝達体の回転を検出する回転検出部と、
を備え、
前記モータは、前記出力軸が設けられた上面を有する円柱状のモータ本体部を含み、
前記減速機は、前記出力部が設けられた上面と該上面に対向する底面とを有する円柱状の減速機本体部を含み、前記底面が前記モータ本体部の前記上面に接するように該モータに取り付けられ、
前記回転伝達体は、前記減速機本体部を取り囲む環状を有し、
前記回転被伝達体および前記回転検出部は、前記モータおよび前記減速機の少なくとも一方の側方に位置する
ことを特徴とする回転駆動装置。
【請求項2】
前記回転伝達体および前記回転被伝達体は、直接的に係合し合う歯車である
ことを特徴とする請求項1に記載の回転駆動装置。
【請求項3】
前記回転伝達体および前記回転被伝達体は、タイミングベルトを介して間接的に係合し合う平歯車である
ことを特徴とする請求項1に記載の回転駆動装置。
【請求項4】
前記回転被伝達体は、外歯車であり、
前記回転伝達体は、前記減速機本体部および前記回転被伝達体を取り囲む内歯車であり、前記回転被伝達体に直接的に係合する
ことを特徴とする請求項1に記載の回転駆動装置。
【請求項5】
前記第1回転軸上に前記第2回転軸がある
ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の回転駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットアームの関節等として使用可能な回転駆動装置に関し、特に、モータの出力軸の回転を減速するための減速機を含む回転駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボットアームの関節等として使用可能な種々の回転駆動装置が提案されている。そのひとつに、
図7に示す回転駆動装置110がある(特許文献1参照)。
【0003】
回転駆動装置110は、被駆動部としてのアーム120を回転軸C周りに回転(可動)させるためのもので、ケース111に収容された不図示のモータと、モータとアーム120の間に位置する減速機112と、回転軸C上でアーム120とともに回転する軸部113と、軸部113の回転、すなわちアーム120の回転を検出するエンコーダ114と、エンコーダ114を支持する支持部115とを備えている。この回転駆動装置110によれば、エンコーダ114から出力される電気信号を参照することにより、意図した通りにアーム120が可動したかどうかを確認することができる。なお、このような確認は、モータの回転が減速機を介して被駆動部に伝達される場合に特に意義がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記回転駆動装置110は、支持部115が存在するためにアーム120の可動範囲を広くとることが困難であった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、被駆動部の可動範囲を制限しない回転駆動装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る回転駆動装置は、第1回転軸周りに回転する出力軸を含むモータと、モータの出力軸が回転すると第1回転軸に平行な第2回転軸周りに回転する出力部を有する減速機と、減速機の出力部が回転すると該出力部に取り付けられた被駆動部とともに第2回転軸周りに回転する回転伝達体と、回転伝達体に直接的または間接的に係合し、回転伝達体が回転すると第2回転軸に平行または垂直な第3回転軸周りに回転する回転被伝達体と、回転被伝達体の回転を検出する回転検出部と、を備え、モータは、出力軸が設けられた上面を有する円柱状のモータ本体部を含み、減速機は、出力部が設けられた上面と該上面に対向する底面とを有する円柱状の減速機本体部を含み、底面がモータ本体部の上面に接するように該モータに取り付けられ、回転伝達体は、減速機本体部を取り囲む環状を有し、回転被伝達体および回転検出部は、モータおよび減速機の少なくとも一方の側方に位置する、との構成を有している。
【0008】
上記回転駆動装置の回転伝達体および回転被伝達体は、直接的に係合し合う歯車であってもよい。
【0009】
上記回転駆動装置の回転伝達体および回転被伝達体は、タイミングベルトを介して間接的に係合し合う平歯車であってもよい。
【0010】
上記回転駆動装置の回転被伝達体は、減速機本体部および外歯車である回転被伝達体を取り囲む、回転被伝達体に直接的に係合する内歯車であってもよい。
【0011】
上記回転駆動装置の第2回転軸は、第1回転軸上にあってもよい。
【0012】
なお、本明細書で使用する用語「円柱」には、理想的な円柱だけでなく、上面、底面および側面の一部または全部に凹凸があるものも含まれることとする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、被駆動部の可動範囲を制限しない回転駆動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る回転駆動装置を関節として使用したロボットアームの斜視図である。
【
図2】本発明の実施例に係る回転駆動装置の側面図である。
【
図3】本発明の実施例に係る回転駆動装置の簡略化された断面図である。
【
図4】本発明の実施例に係る回転駆動装置の分解斜視図である。
【
図5】本発明の実施例に係る回転駆動装置における、回転伝達体および回転被伝達体の関係を示す図である。
【
図6】本発明の変形例に係る回転駆動装置における、回転伝達体および回転被伝達体の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る回転駆動装置および該装置を関節として使用したロボットアームについて説明する。
【0016】
[ロボットアーム]
まず、
図1を参照しながら、本発明に係る回転駆動装置を関節として使用したロボットアーム100について説明する。同図に示すように、ロボットアーム100は、基部101と、第1アーム102と、第2アーム103とを備えている。
【0017】
第1アーム102は、長尺円筒状のアーム本体部102aと、アーム本体部102aの一端に接続された基端部102bと、アーム本体部102aの他端に接続された先端部102cとを含んでいる。基端部102bは、基部101および回転駆動装置10’とともに第1関節104を構成している。
【0018】
第2アーム103は、長尺円筒状のアーム本体部103aと、アーム本体部103aの一端に接続された基端部103bと、アーム本体部103aの他端である先端部103cとを含んでいる。基端部103bは、第1アーム102の先端部102cおよび回転駆動装置10とともに第2関節105を構成している。先端端103cには、ワークを掴むためのハンド機構等を取り付けることができる。
【0019】
第1アーム102の先端部102cに対する第2アーム103の回転、すなわち第2関節105の可動は、回転駆動装置10によって実現されている。また、基部101に対する第1アーム102の回転、すなわち第1関節104の可動は、本発明に係る回転駆動装置10’によって実現されている。
【0020】
[回転駆動装置(実施例)]
続いて、本発明の実施例として、上記回転駆動装置10について説明する。
図2-
図4に示すように、実施例に係る回転駆動装置10は、第1回転軸C1周りに回転する出力軸23を含むモータ20と、モータ20の出力軸23が回転すると第1回転軸C1上にある第2回転軸C2周りに回転する出力部33を有する減速機30と、減速機30の出力部33が回転すると該出力部33に取り付けられた被駆動部としての基端部103bとともに第2回転軸C2周りに回転する回転伝達体40と、回転伝達体40に係合し、回転伝達体40が回転すると第2回転軸C2に平行な第3回転軸C3周りに回転する回転被伝達体50と、回転被伝達体50の回転を検出する回転検出部60と、回転被伝達体50を支持するとともに保護するカバー70とを備えている。
【0021】
モータ20は、出力軸23が設けられた上面を有する略円柱状のモータ本体部21と、上面を拡張してなるフランジ部22とを含んでいる。モータ20は、外部から入力された指令信号に従って出力軸23が回転するよう構成されている。なお、出力軸23の回転は、モータ本体部21の内部に設けられた回転検出部によって検出されることが好ましい。
【0022】
減速機30は、出力部33が設けられた上面と該上面に対向する底面とを有する略円柱状の減速機本体部31と、底面を拡張してなるフランジ部32とを含んでいる。
図3に示すように、減速機30の底面には、モータ20の出力軸23を受け入れる挿入口(入力部)が開口している。減速機30は、入力部に挿入された出力軸23が第1回転軸C1周りに回転すると、予め設定された減速比に従って出力部33が第2回転軸C2周りに回転するよう構成されている。前述した通り、本実施例では、第2回転軸C2は第1回転軸C1上にある。
【0023】
減速機30のフランジ部32は、不図示のボルト等によってモータ20のフランジ部22に固定されている。これにより、減速機本体部31の挿入口にモータ20の出力軸23が挿入され、かつ減速機本体部31の底面とモータ本体部21の上面とが接した状態となっている。
【0024】
減速機30のフランジ部32は、不図示のボルト等によって第1アーム102の先端部102cにも固定されている。これにより、減速機本体部31が先端部102cの取付穴102dを貫通した状態となっている。なお、
図4における先端部102c、モータ20および減速機30の並びは、実際の並びとは異なっている。
【0025】
減速機30の出力部33は、被駆動部としての第2アーム103の基端部103bに不図示のボルト等によって固定されている。
図3に示すように、出力部33を基端部103bに固定したとき、減速機本体部31の上面と基端部103bとの間にはわずかな隙間が存在する。このため、出力部33の回転に伴って基端部103bが回転しても、減速機本体部31の上面と基端部103bとが擦れ合うことはない。
【0026】
回転伝達体40は、減速機本体部31を取り囲む環状の回転伝達体本体部41と、回転伝達体本体部41の外周に等間隔に配置された複数の歯からなる第1係合部42とを含んでいる。回転伝達体40は、平歯車(外歯車)であると言える。
【0027】
回転伝達体40は、不図示のボルト等によって第2アーム103の基端部103bに固定されている。このため、減速機30の出力部33が第2回転軸C2周りに回転すると、第2アーム103の基端部103bだけでなく回転伝達体40(平歯車,外歯車)も第2回転軸C2周りに回転する。
【0028】
回転被伝達体50は、カバー70によって第3回転軸C3上に位置するように支持された軸部52と、軸部52の先端寄りの外周に等間隔に配置された複数の歯からなる第2係合部51とを含んでいる。回転被伝達体50は、回転伝達体40よりも小径な平歯車(外歯車)であると言える。
【0029】
図5に示すように、回転伝達体40の第1係合部42および回転被伝達体50の第2係合部51は、直接的に係合し合っている。このため、回転伝達体40が第2回転軸C2周りに回転すると、回転被伝達体50は第3回転軸C3周りに回転する。
【0030】
回転検出部60は、軸部52の回転を磁気的に検出する磁気センサで構成されている。回転検出部60は、検出した軸部52の回転、すなわち回転被伝達体50の回転に対応した電気信号を出力するよう構成されている。モータ本体部21の内部に設けられた回転検出部を入力エンコーダとすると、回転検出部60は出力エンコーダであると言える。ユーザは、入力エンコーダが出力した出力軸23の回転に関する電気信号と出力エンコーダ(回転検出部60)が出力した回転被伝達体50の回転に関する電気信号とを参照することにより、被駆動部としての基端部103b(第2アーム103)が意図した通りに可動したかどうかをリアルタイムに確認することができる。
【0031】
回転被伝達体50は、モータ20および減速機30からなるべく離れないように該モータ20および減速機30の側方に位置している。回転検出部60も、モータ20からなるべく離れないように該モータ20の側方に位置している。このため、回転被伝達体50および回転検出部60によって、被駆動部としての基端部103b(第2アーム103)の可動が制限されることはない。
【0032】
[回転駆動装置(変形例)]
以上、本発明の実施例に係る回転駆動装置10について説明してきたが、本発明の構成はこれに限定されない。
【0033】
例えば、回転伝達体40の第1係合部42および回転被伝達体50の第2係合部51は、平歯車に限定されず、はすば歯車、かさ歯車、ウォーム歯車等の他の歯車であってもよい。また、回転伝達体40の第1係合部42および回転被伝達体50の第2係合部51は、
図6(A)に示すように、タイミングベルト80を介して間接的に係合し合っていてもよい。あるいは、回転伝達体40は、
図6(B)に示すように、減速機本体部31および回転被伝達体50を取り囲む内歯車であってもよい。この場合は、回転伝達体本体部41の内周に等間隔に配置された複数の歯からなる第1係合部42と回転被伝達体50の第2係合部51(外歯車)とが直接的に係合し合うように、第3回転軸C3の位置を決定すればよい。なお、第1係合部42および第2係合部51を平歯車やはすば歯車とした態様、および
図6(A),(B)に示した態様では、第3回転軸C3は第2回転軸C2に対して平行であり、第1係合部42および第2係合部51をかさ歯車やウォーム歯車とした態様では、第3回転軸C3は第2回転軸C2に対して垂直である。
【0034】
また、第2回転軸C2は、第1回転軸C1上になくてもよい。ただし、第2回転軸C2は、第1回転軸C1に平行であることが好ましい。
【0035】
また、回転検出部60は、軸部52の回転を磁気的に検出するタイプに限定されない。
【0036】
また、回転被伝達体50および回転検出部60は、減速機30の側方に位置していてもよいし、モータ20の側方に位置していてもよい。
【0037】
また、本発明に係る回転駆動装置の適用先は、ロボットアームの関節に限定されない。つまり、本発明に係る回転駆動装置は、ロボットアームのアーム以外の任意の被駆動部を回転駆動させるために使用されてもよい。
【符号の説明】
【0038】
10 回転駆動装置
20 モータ
21 モータ本体部
22 フランジ部
23 出力軸
30 減速機
31 減速機本体部
32 フランジ部
33 出力部
40 回転伝達体
41 回転伝達体本体部
42 第1係合部
50 回転被伝達体
51 第2係合部
52 軸部
60 回転検出部
70 カバー
80 タイミングベルト
100 ロボットアーム
101 基部
102 第1アーム
102a アーム本体部
102b 基端部
102c 先端部
103 第2アーム
103a アーム本体部
103b 基端部
103c 先端部
104 第1関節
105 第2関節
C1 第1回転軸
C2 第2回転軸
C3 第3回転軸