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特開2024-55025物品収納トレー、物品収納箱、トレー製造方法、及び金型
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055025
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】物品収納トレー、物品収納箱、トレー製造方法、及び金型
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/04 20060101AFI20240411BHJP
   B65D 77/26 20060101ALI20240411BHJP
   B29C 33/42 20060101ALI20240411BHJP
   B29C 51/30 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
B65D25/04 G
B65D77/26 D
B29C33/42
B29C51/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161596
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】佐野 聡
(72)【発明者】
【氏名】黒部 祐夫
【テーマコード(参考)】
3E062
3E067
4F202
【Fターム(参考)】
3E062AA03
3E062AB14
3E062AC02
3E062AC05
3E062BA20
3E062BB06
3E062BB09
3E062EA02
3E062EB01
3E062EC07
3E062EC10
3E067AA11
3E067AB01
3E067AB16
3E067AB86
3E067AC04
3E067BA05A
3E067BA05C
3E067BA06A
3E067BA06C
3E067BA10B
3E067BB02A
3E067BB02C
3E067BB14A
3E067BB14B
3E067BB14C
3E067BB15B
3E067BB16B
3E067EB27
3E067EC33
3E067EC35
3E067FA02
3E067FC01
4F202AC03
4F202AG04
4F202AG28
4F202AH58
4F202CA17
4F202CB02
4F202CK12
4F202CN01
4F202CP01
(57)【要約】
【課題】物品を傾斜させて収容すると共に、収容する物品の数を増やすことを目的とする。
【解決手段】複数の物品を並べて載置可能な底面を有し、底面には、並び方向で隣り合う物品間を仕切る中仕切り11が形成された物品収納トレーであって、中仕切り11は、前側の物品の背面を支持する傾斜部11Aと、その傾斜部の上端部に連続して下方に延びる縦壁部11Bとを有する山折り形状で構成され、底面を規定する水平面に対し、傾斜部の外面の角度は90度よりも大きく、縦壁部の外面の角度は、90度よりも小さく、傾斜部の外面の角度と縦壁部の外面の角度の合計は180度より小さく、隣り合う2つの中仕切りの間に、隣り合う2つの中仕切り11の間を面外方向に変形しやすくする平面部12を有し、更に、トレー10は、樹脂製である。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品を並べて載置可能な底面を有し、上記底面には、上記並び方向で隣り合う物品間を仕切る中仕切りが形成された物品収納トレーであって、
上記中仕切りは、物品の背面を支持する傾斜部と、その傾斜部の上端部に連続して下方に延びる縦壁部とを有する山折り形状で構成され、
上記底面を規定する水平面に対し、上記傾斜部の外面の角度は90度よりも大きく、上記縦壁部の外面の角度は90度よりも小さく、上記傾斜部の外面の角度と上記縦壁部の外面の角度の合計は180度より大きく、
隣り合う2つの上記中仕切りの間に、隣り合う2つの中仕切りの間を面外方向に変形しやすくするフレキシブル部を有し、
更に、トレーは、樹脂製である、
ことを特徴とする物品収納トレー。
【請求項2】
上記フレキシブル部は、隣り合う上記中仕切りの間を含み且つ上記中仕切りの並び方向に交差する方向に上記底面の一端部から他端部まで延在する平面部を有し、その平面部の全域に渡って、上記中仕切りの並び方向と平行な方向に沿った方向に延在する立上り部を有しない構造である、
ことを特徴とする請求項1に記載した物品収納トレー。
【請求項3】
上記フレキシブル部は、隣り合う上記中仕切りの間を通過し且つ上記中仕切りの並び方向に交差する方向に上記底面の一端部から他端部まで延在する1条又は2条以上のビードを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した物品収納トレー。
【請求項4】
上記底面の外周に、フランジ部を有しない、
ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載した物品収納トレー。
【請求項5】
トレーは、一枚のシート体から構成される、
ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか1項に記載した物品収納トレー。
【請求項6】
上記物品が食品である、
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載した物品収納トレー。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載した物品収納トレーと、
上記物品収納トレーを収容する外装箱と、
を備える物品収納箱。
【請求項8】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載した物品収納トレーの製造方法であって、
樹脂製のシート体をシート成型して製造する、
ことを特徴とするトレー製造方法。
【請求項9】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載した物品収納トレーを樹脂製のシート体からシート成型で製造する際に使用する金型であって、
上記底面を形成するための底面成形面に、上記中仕切りを成形する位置に断面山形の突起部を有し、
その断面山形の突起部は、上記中仕切りの形状に倣った形状となっており、
上記底面成形面は、隣り合う上記突起部間に平坦部を有し、その平坦部は、突起部の並び方向に交差する方向に向けて上記底面成形面の一端から他端部まで延在し、その平坦部の全域に渡って、上記突起部の並び方向に交差する方向に延在する立上り部を有しない形状である、
ことを特徴とする金型。
【請求項10】
上記底面成形面は、上記隣り合う突起部間に、上記突起部の並び方向に交差する方向に上記底面成形面の一端部から端部まで延在する1条又は2条以上のビードを成型するためのビード成型部を有する、
ことを特徴とする請求項9に記載した金型。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品間を仕切る中仕切りを有すると共に当該物品を効率よく整列(陳列)するための物品収納トレー、それを用いた物品収納箱、及びトレー製造方法に関する。物品が、例えば、菓子などの食品に好適な技術である。
【背景技術】
【0002】
複数の食品を、並べて収容するための収容体としては、例えば特許文献1や2に記載の技術がある。これらの技術では、中仕切りによって、収納する食品間が仕切られている。
特許文献1に記載の技術は、紙製のシート体を仕切り板と底繋ぎ板仕切り板と連続する形状に折って形成した中敷を、贈答用の外箱の底に配置して構成され、板仕切り板で、収容する物品を仕切る構造となっている。
【0003】
また、特許文献2では、厚紙からなるシート体を山折り及び谷折りして、底面の部分を、側面視で鋸状の形状とした構造の中敷が記載されている。特許文献2の中敷は、特許文献1の中敷に比べ、仕切りの傾斜面によって物品の背面を支持させることで、菓子等の物品の姿勢を変化させて、物品を見栄え良く整列させることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-35648号公報
【特許文献2】実用新案登録第3129310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献2のように、中仕切りを連続した山形形状とし、山形形状の前面の傾斜に物品の背面を載せる構成の場合、山形形状の後面の傾斜分だけ、収容する物品の個数が抑えられるといった課題がある。
また、中敷(物品収納トレー)を段ボール等の紙製とした場合、トリムした紙製のシートを折り込む作業が必要となり、作製に手間が掛かる。
【0006】
本発明は、上記のような点に鑑みてなされたものであり、物品を傾斜させて収容すると共に、収容する物品の数を増やすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
課題解決のために、本発明の態様は、複数の物品を並べて載置可能な底面を有し、上記底面には、上記並び方向で隣り合う物品間を仕切る中仕切りが形成された物品収納トレーであって、上記中仕切りは、物品の背面を支持する傾斜部と、その傾斜部の上端部に連続して下方に延びる縦壁部とを有する山折り形状で構成され、上記底面を規定する水平面に対し、上記傾斜部の外面の角度は90度よりも大きく、上記縦壁部の外面の角度は90度よりも小さく、上記傾斜部の外面の角度と上記縦壁部の外面の角度の合計は180度より小さく、隣り合う2つの上記中仕切りの間に、隣り合う2つの中仕切りの間を面外方向に変形しやすくするフレキシブル部を有し、更に、トレーは、樹脂製である、ことを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の態様によれば、仕切りの前面を構成する傾斜部で物品を傾けて配置可能となると共に、仕切りの後面を構成する縦壁部の下部を従来よりも前側に配置されて、前後に並ぶ物品間の間隔が縮まる。この結果、収容する物品の数を増やすことが可能となる。
【0009】
また、従来の紙製のトレーの場合には、谷折り・山折りなどの成形に手間が掛かるが、樹脂製とすることで、真空成型その他のシート成型によって簡易に立体形状のトレーに製造可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に基づく実施形態に係る物品収納箱(収納した物品及び上蓋は省略)を示す斜視図である。
図2図1のX-X断面図である。
図3】中仕切りの部分を拡大した図である。
図4】物品収納トレーの他の例を示す断面図である。
図5】物品収納トレーの他の例を説明する拡大図である。
図6】物品収納トレーの他の例を示す斜視図である。
図7】物品収納トレーの製造方法の処理フローの一例を示す図である。
図8】物品収納トレーの製造で用いる金型の例を示す模式図である。
図9】紙製の中仕切りの例を示す図である。
図10】中仕切りの縦壁部の傾斜による違いを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する
本実施形態の物品収容トレーは、外装箱(化粧箱)に収容する中敷きとして好適なトレーである。
【0012】
(物品収納箱100)
本実施形態の物品収納箱100は、図1に示すように、外装箱20と物品収納トレー10とを備える。図1では、物品収納トレー10の形状を分かりやすくするため、整列して収納する物品を省略して図示している。
【0013】
外装箱20は、化粧箱その他の外箱である。図1では、上蓋が外された状態を図示している。
本実施形態の外装箱20は、横断面矩形状の場合を例示しているが、内側に物品収納トレー10を収容可能な形状であれば、横断面円形形状など、箱の外径形状に制限は無い。
【0014】
(物品収納トレー10)
本実施形態の物品収納トレー10は、外装箱20内に収容された中敷きとしての物品収納トレーである。以下、物品収納トレー10を、単に、トレー10とも記載する。
本実施形態の物品収納トレー10は、図1及び図2に示すように、複数の物品を並べて載置可能な底面を有する。その底面には、上記物品の並び方向で隣り合う物品間を仕切る中仕切り11が形成されている。
【0015】
本実施形態のトレー10は、後述のように、一枚の樹脂製シートをシート成型することで構成されたトレーである。一枚のシート体から構成されるので、本実施形態のトレー10は、その内部に繋ぎ目を有さず、全体に渡って連続的である。
本実施形態のトレー10は、底面だけから構成され底面の外周部から立ち上がる立上り部を構成するフランジ部を有しない場合を例示している。本実施形態のトレー10は、図1のX-X断面である図2に示すように、底面が、山折り形状の複数の中仕切り11と、中仕切り11間を繋ぐ平面部12(フレキシブル部)とで構成されている。本実施形態では、複数の中仕切り11が、上記並び方向である前後に沿って並んでいる。すなわち、本実施形態では、複数の物品を前後に整列して陳列する場合を例示している。
【0016】
各中仕切り11は、図2及び図3に示すように、物品の背面を支持する傾斜部11Aと、その傾斜部11Aの上端部に連続して下方に延びる縦壁部11Bとを有する山折り形状で構成されている。
【0017】
ここで、底面の面を規定する水平面Hに対し、傾斜部11Aの外面の角度θ1は90度よりも大きく、縦壁部11Bの外面の角度θ2は90度よりも小さくなっている。縦壁部11B側の角度θ2は、40度以上90度未満が好ましく、より好ましくは、50度以上80度以下である。
【0018】
ただし、中仕切り11が自立するように、傾斜部11Aの下端部と縦壁部11Bの下端部とは、上記並び方向に間隔を開けて配置されている。すなわち、傾斜部11Aの上下方向の長さが縦壁部11Bの上下方向の長さよりも長い。つまりθ1+θ2 > 180度となっている。
【0019】
ここで、トレー10を構成する樹脂素材が軟らかい場合には、中仕切り11の自立が悪くなる恐れがある。この場合、傾斜部11Aや縦壁部11Bに対し、上下方向に延びるビード状のリブを形成しても良い。
また、隣り合う中仕切り11間には、フレキシブル部を有する。フレキシブル部は、隣り合う2つの中仕切り11の間を面外方向に変形しやすく構造からなる。
【0020】
本実施形態のフレキシブル部は、隣り合う上記中仕切り11の間を含み、且つ上記並び方向に交差する方向に上記底面の一端部から端部まで延在する平面部12からなる。平面部12は、底面を規定する水平面Hに沿って平坦な面からなる。そして、その平面部12の全域に渡って、上記並び方向と平行な方向に沿った方向に延在する立上り部を有しない構造とすることで、面外方向に変形しやすくする。本実施形態では、底面の外周にフランジ部を有しないので、平面部12の延在方向両端部に、平面部12が面外方向に変形することを抑制する立上り部がない。
【0021】
これによって、隣り合う中仕切り11間を離隔し、その隣り合う中仕切り11間の底面部分を、隣り合う中仕切り11並び方向に交差する方向(本例では直交方向)を軸として、つまり隣り合う中仕切り11が接近・離隔するように変形する際に、その変形挙動を、隣り合う中仕切り11間の底面部分が抑制しないようになる。
なお、フレキシブル部の延在方向両端部にフランジ部を形成しないが、中仕切り11の延在方向両端部にはフランジ部を形成して、中仕切り11の強度を高めても良い。
【0022】
ここで、フレキシブル部(隣り合う上記中仕切り11の間を連結する底面部分)は、必ずしも平坦である必要は無い、例えば、図4図5のように、面外方向に突出し且つ隣り合う中仕切り11並び方向に交差する方向(直交方向)に延びる、溝状のビード13を有していても良い。
【0023】
ビード13は、上方に凸のビード形状であっても良い。また、2以上のビード13が、隣り合う中仕切り11間に並ぶように形成されていてもよい。
この場合、ビード13によって、隣り合う中仕切り11が接近・離隔する変形挙動が、ビード13の延在を軸にして変形するようになり、当該変形挙動が安定化する。
【0024】
ここで、一つの中仕切り11について、図6に示すように、幅方向の途中にスリット14が形成されていても良い。
【0025】
また、以下の説明では、本実施形態の物品収納トレー10を、外装箱20の中敷として用いる場合を例にして説明しているが、物品収納トレー10だけで物品の陳列用に用いてもよい。
【0026】
ここで、本実施形態の物品収納トレー10は、樹脂製である。そして、一枚の樹脂製シートを加工して、本実施形態で規定される物品収納トレー10の形状に成型される。
そのトレー10の製造には、例えば、真空成型や圧空成型などのシート成型を用いればよい。
【0027】
樹脂製シートの素材、つまりトレー10の素材は、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)などを用いれば良い。
トレー10を構成する材料は、柔軟性のある樹脂材料であることが好ましい。柔軟性のある樹脂材料の例としては、セルロース粒子が混錬されたポリエチレン樹脂が挙げられる。セルロース粒子は、セルロース繊維であってもよく、セルロース繊維の凝集物であってもよく、セルロース繊維の塊を粉砕したものであってもよい。セルロース粒子が混錬されたポリプロピレン樹脂としては例えば、MAPKA(登録商標)である。
【0028】
セルロース粒子が混錬されたポリプロピレン樹脂は、柔軟性があるばかりでなく、セルロース比率が高いため、樹脂使用量を多くする必要がなく、環境負荷が小さい材料でもある。
【0029】
(製造方法)
トレー10の製造方法の例を説明する。
本例では、真空成型を採用する場合を例示する。
本実施形態の製造方法は、図7に示すように、軟化工程S10、成型工程S20、冷却工程S30、及び離型工程S40を備える。
【0030】
<軟化工程S10>
軟化工程S10は、樹脂製の平面状のシートを加熱する工程であり、加熱することで、シートを軟化させる。加熱は、例えばヒーターによって行う。
【0031】
<成型工程S20>
成型工程S20は、軟化工程S10で軟化したシートを金型に押し当て、目的のトレー形状に変形する工程である。
【0032】
本例では、図8に示すように、目的のトレー形状に倣った成形面形状の金型210を使用し、軟化したシート200と金型210との間の空気を吸引して真空状態にして、軟化したシート200を金型210の成型面に密着させて成型する。
【0033】
本実施形態の金型210は、底面を形成するための底面成形面に、中仕切り11を成形する位置に断面山形の突起部211が形成されている。その断面山形の突起部211は、中仕切り11の形状に倣った形状となっている。すなわち、突起部211は、傾斜した面211Aと逆テーパー状に傾斜した面211Bとを有し、面211Bで縦壁部を成形する。また、底面成形面は、隣り合う突起部211間に平坦部212を有し、その平坦部212は、突起部211の並び方向に交差する方向(本例では直交方法)に向けて底面成形面の一端から他端部まで延在し、その平坦部212の全域に渡って、突起部211の並び方向に交差する方向に延在する立上り部を有しない面形状となっている。
【0034】
なお、図4図5のような形状に成型する場合には、底面成形面における隣り合う突起部211間に、突起部211の並び方向に交差する方向に上記底面成型面の一端部から端部まで延在する1条又は2条以上のビード13を成型するためのビード成型部を形成しておけばよい。
【0035】
また、シート200と金型210との間の空気を吸引する吸引用の開口213は、図8のように、突起部211における縦壁部11Bの面を形成する面と平面部12を形成する平坦部212の面との接合部位置に設けておくと良い。
【0036】
本実施形態では、縦壁部11Bの面を形成する面と平面部12を形成する面との成す角度が90度未満であることを考慮し、確実に縦壁部11Bの面を形成する面と平面部12を形成する面との接合部位置に、軟化したシートを真空引きして、確実に中仕切り11の縦壁部11Bを形成する。
【0037】
縦壁部11Bの面を形成する面211Bにも空気を吸引する吸引用の開口を形成してもよい。
【0038】
<冷却工程S30>
冷却工程S30は、金型に密着させたシートを金型210に押し当てたまま冷却する工程である。冷却工程S30は、金型で成型する工程が行われている最中に実行されてもよいし、成型工程S20後に実行してもよい。
【0039】
<離型工程S40>
離型工程S40は、真空を解放し、成型品を相対的に金型から離す工程である。
この離型工程S40において、フレキシブルな構造が変形しながら成型品が金型210から離される。これにより、逆テーパー部分の縦壁部11Bが、離型時に離型方向と平行になるように変化して、相対的に金型が一方向(図8では上下方向)に真っ直ぐ離型される。逆テーパー部分とは、縦壁部11Bと平面部12からなる部分である。金型の離型方向は、成型品の底面に対して垂直な方向であるが、垂直な方向以外の方向でもよい。例えば、離型方向を傾斜面と平行な方向に設定してもよい。
【0040】
また、金型は複数の分割された構造であってもよい。
その後、後加工にて、外周抜き、トリミングを行う。
【0041】
(動作その他)
先行文献1に記載のような、図9に示す中仕切り11の形状は、真空成型等のシート成型では成型出来ない。
また、箱状容器内に収容することができる物品400の個数を多くする目的においては、隣接する物品400間の中仕切り11の縦壁部11Bの角度θ2をできるだけ鉛直よりも小さい角度にしたい。しかし、トレー10の素材を樹脂とし、中仕切り11の縦壁部11Bの角度θ2を90度よりも小さい角度としたトレー10を真空成型等のシート成型により作ろうとすると、縦壁部11Bの角度θ2が鋭角、つまり逆テーパー状であるため、成形品を金型から離型させることが容易ではないとの課題があった。
【0042】
これに対し、本実施形態では、隣り合う中仕切り11間に平面部12などのフレキシブル部を設けることで、離型時に、逆テーパー状の縦壁部11Bが一時的に離型方向と平行になるように変化することで、縦壁部11Bの角度θ2が鋭角でも成型可能となる。
本例では、傾斜部11Aで物品400の背面を支持させて複数の物品400を整列状態で収容する。そして、連続する中仕切り11間が離間し且つ立上り部が形成されていないことにより、トレー10を製造する際に金型210から成型品を離型する工程において、成型品が離型しやすくなる。
【0043】
フレキシブル部は、トレー10の他の部分に比べてフレキシブルであるために変形しやすい構造となっている。そのため、トレー10を製造する際に金型210から成型品を離型する工程において、フレキシブルな構造が優先的に変形することによって離型しやすくなる。また、金型210から離型した後は、フレキシブルな構造は変形前の形状に容易に復元することができる。
【0044】
フレキシブル部のフレキシブルな構造は、図4図5のように、中仕切り11の並び方向と直交方向に延びる断面凹状と凸状のビード形状であってもよい。また、フレキシブルな構造は、トレー10の他の部分と比べて、中仕切り11間を薄肉になっている構造であってもよい。
【0045】
ここで、平面部12と縦壁部11Bとが成す角度θ2は、上述の通り、40度以上90度未満(好ましくは、50度以上80度以下)である。これにより、収容する物品同士の間隔を近くすることができるので、トレー10に収容する被収容物の個数を多くしやすい。また、用いる材料が柔らかい材料が好ましい。柔らかい材料ほど、そのような形状のトレー10を真空成型により成型することが可能となる。
【0046】
トレー10の素材に用いられる「柔軟性のある樹脂材料」とは、真空成型で成形する際に金型から成型品を離型する工程において、成型品が変形することによって、成型品に破損が生じることなく離型することが可能な材料のことを意味する。
なお、収容する物品400は、図10(b)のような厚さの場合、その一部が縦壁部11Bと平面部12との間に挿入された状態で収容される。
【0047】
そして、縦壁部11Bを逆テーパー状とすれば、図10に示すように、中仕切り11間に間隔をも設けても、収容可能な物品の数を多く出来ることが分かる。
【0048】
ここで、中仕切り11を構成する傾斜部11Aと縦壁部11Bの延在方向端部を連結する側面を有していてもよい。
またフレキシブル部をビード13だけから構成してもよい。樹脂の使用量を削減することができる。
【0049】
外装箱20の素材は、紙製のカートンであってもよく、プラスチック製の容器でもよい。また、外装箱20は、少なくとも底面と側面とを有するが、蓋材を備えてもよい。
収容する物品は、食品が好ましいが、玩具などの雑貨であってもよい。食品の場合には、被収容物が軟包装材である一次包装に包装された上で、トレー10に収容されてもよい。
【0050】
(その他)
本開示は、下記の構成も取り得る。
(1)複数の物品を並べて載置可能な底面を有し、上記底面には、上記並び方向で隣り合う物品間を仕切る中仕切りが形成された物品収納トレーであって、
上記中仕切りは、物品の背面を支持する傾斜部と、その傾斜部の上端部に連続して下方に延びる縦壁部とを有する山折り形状で構成され、
上記底面を規定する水平面に対し、上記傾斜部の外面の角度は90度よりも大きく、上記縦壁部の外面の角度は90度よりも小さく、上記傾斜部の外面の角度と上記縦壁部の外面の角度の合計は180度より大きく、
隣り合う2つの上記中仕切りの間に、隣り合う2つの中仕切りの間を面外方向に変形しやすくするフレキシブル部を有し、
更に、トレーは、樹脂製である。
(2)上記フレキシブル部は、隣り合う上記中仕切りの間を含み且つ上記中仕切りの並び方向に交差する方向に上記底面の一端部から他端部まで延在する平面部を有し、その平面部の全域に渡って、上記中仕切りの並び方向と平行な方向に沿った方向に延在する立上り部を有しない構造である。
(3)上記フレキシブル部は、隣り合う上記中仕切りの間を通過し且つ上記中仕切りの並び方向に交差する方向に上記底面の一端部から他端部まで延在する1条又は2条以上のビードを有する。
(4)上記底面の外周に、フランジ部を有しない。
(5)トレーは、一枚のシート体から構成される。
(6)上記物品が食品である。
(7)本開示の物品収納トレーと、上記物品収納トレーを収容する外装箱と、
を備える物品収納箱。
(8)本開示の物品収納トレーの製造方法であって、
樹脂製のシート体をシート成型して製造する。
(9)本開示の物品収納トレーを樹脂製のシート体からシート成型で製造する際に使用する金型であって、
上記底面を形成するための底面成形面に、上記中仕切りを成形する位置に断面山形の突起部を有し、
その断面山形の突起部は、上記中仕切りの形状に倣った形状となっており、
上記底面成形面は、隣り合う上記突起部間に平坦部を有し、その平坦部は、突起部の並び方向に交差する方向に向けて上記底面成形面の一端から他端部まで延在し、その平坦部の全域に渡って、上記突起部の並び方向に交差する方向に延在する立上り部を有しない形状である。
(10)上記底面成形面は、上記隣り合う突起部間に、上記突起部の並び方向に交差する方向に上記底面成形面の一端部から端部まで延在する1条又は2条以上のビードを成型するためのビード成型部を有する。
【符号の説明】
【0051】
10 物品収納トレー
11 中仕切り
11A 傾斜部
11B 縦壁部
12 平面部(フレキシブル部)
13 ビード(フレキシブル部)
20 外装箱
100 物品収納箱
200 シート
210 金型
211 突起部
212 平坦部
213 開口
400 物品
θ1 傾斜部の角度
θ2 縦壁部の角度
H 水平面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10