(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055027
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】台紙
(51)【国際特許分類】
B65D 73/00 20060101AFI20240411BHJP
B65D 77/04 20060101ALI20240411BHJP
B65D 77/26 20060101ALI20240411BHJP
B65D 81/05 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
B65D73/00 L
B65D73/00 M
B65D77/04 C
B65D77/26 E
B65D81/05
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161598
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】和久 俊英
【テーマコード(参考)】
3E066
3E067
【Fターム(参考)】
3E066AA80
3E066BA06
3E066CA03
3E066FA06
3E066FA12
3E066GA01
3E066HA01
3E066JA01
3E066MA09
3E067AA24
3E067AC01
3E067BA05C
3E067BA15B
3E067BA18B
3E067BB01B
3E067BB01C
3E067BB14B
3E067BC06C
3E067CA01
3E067EA04
3E067EC32
3E067FA04
3E067FC01
3E067GD03
(57)【要約】
【課題】箱体の内部に収容された被包装物を衝撃から可及的に保護することが可能な台紙を提供する。
【解決手段】被包装物1が保護フィルム(シュリンクフィルム)2に保持された状態で表面に取り付けられ且つ箱体5の内部に収容される台紙であって、台紙3と箱体5の内側面との間に介装されて台紙3の少なくとも裏面3b及び被包装物1を箱体5の内側面5aと非当接状態に保持する脚部7を設けた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物が保護フィルムに保持された状態で表面に取り付けられ且つ箱体の内部に収容される、枚葉の台紙において、
前記台紙と前記箱体の内側面との間に介装されて前記台紙の少なくとも裏面及び前記被包装物を前記箱体の内側面と非当接状態に保持する脚部が設けられた、台紙。
【請求項2】
前記脚部は、前記台紙と同一の台紙部材を折り曲げて形成される、請求項1に記載の台紙。
【請求項3】
前記脚部に前記箱体からの衝撃を緩和する緩衝構造が設けられた、請求項2に記載の台紙。
【請求項4】
前記緩衝構造は、前記脚部を構成する台紙部材を蛇腹状に折り曲げて構成される、請求項3に記載の台紙。
【請求項5】
前記台紙部材を蛇腹状に折り曲げる折り曲げ線が曲線又は屈曲線である、請求項4に記載の台紙。
【請求項6】
前記脚部を構成する台紙部材に、前記折り曲げ線と交差する方向に長手な穴部が設けられた、請求項5に記載の台紙。
【請求項7】
前記保護フィルムがシュリンクフィルムであり、前記表面に筒状の又は袋状の又は筒又は袋が形成されるように前記シュリンクフィルムが接合手段によって予め接合されている、請求項1に記載の台紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台紙、特に、被包装物が保護フィルムに保持された状態で表面に取り付けられ且つ箱体の内部に収容される枚葉の台紙に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1に記載されるように、接着剤や接着テープ、或いは熱溶着などの接合手段により筒状のシュリンクフィルムを台紙の表面に接合させてシュリンクフィルム付き台紙とし、被包装物を筒内に収容した状態で、シュリンクフィルムを熱収縮させて、被包装物を台紙に取り付けた包装体が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記包装体では、落下などによって大きな衝撃が加わると、被包装物の変形や台紙からの脱落が生じるおそれがある。そこで、上記包装体を外装箱などの箱体の内部に動かないように収容することがある。或いは、上記包装体の台紙の台紙部材で箱体を構成し、同じく被包装物が箱体の内部に収容されるようにすることもある。この場合も、被包装物は箱体の内部で動かない。これらは、何れも落下などによる大きな衝撃が加わった際、箱体が変形することで被包装物の変形や台紙からの脱落を防止しようとするものである。しかしながら、箱体と被包装物の相対的な位置関係は変わらないので、衝撃によって変形した箱体が被包装物に当接すれば、被包装物が変形したり台紙から脱落したりしてしまう。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、箱体の内部に収容された被包装物を衝撃から可及的に保護することが可能な台紙を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る台紙は、被包装物が保護フィルムに保持された状態で表面に取り付けられ且つ箱体の内部に収容される、枚葉の台紙において、前記台紙と前記箱体の内側面との間に介装されて前記台紙の少なくとも裏面及び前記被包装物を前記箱体の内側面と非当接状態に保持する脚部が設けられたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の台紙によれば、台紙に設けられた脚部によって台紙の裏面及び被包装物は箱体の内側面と非当接状態に保持されているので、箱体に作用する衝撃は箱体と脚部の変形によって吸収されると共に、衝撃によって箱体が変形すると脚部も変形・変位して被包装物を衝撃の入力側と反対側に逃がす(移動させる)ことができ、これにより箱体の内部に収容された被包装物を衝撃から可及的に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の台紙の第1実施形態を示す包装体の三面図である。
【
図2】
図1の台紙の第1変形例を示す包装体の三面図である。
【
図3】
図1の台紙の第2変形例を示す包装体の三面図である。
【
図4】
図1の台紙の第3変形例を示す包装体の三面図である。
【
図5】本発明の台紙の第2実施形態を示す包装体の三面図である。
【
図6】本発明の台紙の第3実施形態を示す包装体の三面図である。
【
図8】
図6の台紙部材の変形例を示す展開図である。
【
図9】本発明の台紙の第4実施形態を示す包装体の三面図である。
【
図12】
図10の台紙部材の更なる変形例を示す展開図である。
【
図13】従来のシュリンクフィルム付き台紙の一例を示す中間包装体の三面図である。
【
図14】
図13のシュリンクフィルム付き台紙の包装過程の説明図である。
【
図15】
図13のシュリンクフィルム付き台紙の包装過程の説明図である。
【
図17】
図13の中間包装体を箱体の内部に収容した包装体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の台紙の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。また、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
以下の実施形態は、何れも、上記特許文献1と同様に、台紙3にシュリンクフィルム2が予め接合されているシュリンクフィルム付き台紙について説明する。
図1は、シュリンクフィルム付き台紙の第1実施形態を示す包装体の三面図であり、
図1aは上面図に相当し、
図1bは正面図に相当するが、何れも箱体5の一部(図示手前側壁部)を除去した状態のいわゆる一部断面図である。
図1を含めて、以下の図面では、何れも被包装物1がシュリンクフィルム2で覆われている状態を示しているが、実際には被包装物1とシュリンクフィルム2は密着しており、また商品である被包装物1を包装するシュリンクフィルム2は一般に透明であることから、被包装物1を覆っているシュリンクフィルム2は模式的に示されている。以下の実施形態では、何れも比較的厚さの小さい直方体の被包装物1を対象としているが、被包装物1の外形は、これに限定されるものではない。また、この実施形態の台紙3又は台紙部材4は紙製であるが、紙を主体とする材料製であってもよい。同様に、この実施形態の箱体5は紙製であるが、紙を主体とする材料製であってもよい。
【0010】
実施形態のシュリンクフィルム付き台紙について説明する前に、上記特許文献1に記載される従来のシュリンクフィルム付き台紙及びそれを用いた包装体について説明する。なお、この説明では、特許文献1に記載される包装体を更に外装箱などの箱体5に収容して最終的な包装体とするので、箱体5に収容される以前のものを中間包装体と規定する。また、この例では、被包装物1は円筒形状の外周面を有する円柱形状のものとした。
図13は、従来のシュリンクフィルム付き台紙を用いた中間包装体の三面図であり、
図13aは上面図、
図13bは正面図である。同図に「模式的に」示すように、円柱形状の被包装物1の円筒外周面はシュリンクフィルム2で緊密に覆われている。台紙3は、比較的厚さの大きい平板な方形の枚葉体であり、この例では単層体であるが、例えば台紙部材4を折り返して重ね合わせた積層体もあり得る。すなわち、この例の単層の台紙3は平板な1枚の台紙部材4で構成されている。円柱形状の被包装物1は、
図13bにおいて、台紙3の表面3aの幅方向中央部で長手(軸)方向を上下方向に向けて台紙3に取り付けられている。被包装物1の台紙3への取り付けは、被包装物1に密着されているシュリンクフィルム2を両面接着テープ6で台紙3に接合することでなされている。
【0011】
図14、
図15は、
図13の中間包装体における被包装物1の包装過程の説明図であり、
図16は、その包装過程で得られる
図13の中間包装体の斜視図である。
図14に示すように、被包装物1を包装する以前に、台紙3の表面3aには筒状のシュリンクフィルム2が両面接着テープ6で予め接合されてシュリンクフィルム付き台紙とされている。シュリンクフィルム2は、筒の周方向の1箇所で長手方向に伸長する両面接着テープ6によって台紙3に貼り付けられている。被包装物1を包装する際には、
図14に示すように、シュリンクフィルム2の筒を広げ、次いで
図15に示すように、そのシュリンクフィルム2の筒の中に被包装物1を差し込む。シュリンクフィルム2の筒の中に被包装物1が規定の位置まで差し込まれたら、シュリンクフィルム2を加熱することによって熱収縮させ、これにより
図16に示すように、被包装物1の外周面にシュリンクフィルム2が密着され、そのシュリンクフィルム2が両面接着テープ6で台紙3に接合されていることにより被包装物1が台紙3に取り付けられた中間包装体となる。なお、ここでは、被包装物1が保持される台紙部分を台紙3と規定し、台紙3を構成する部材を台紙部材4と規定する。
【0012】
このようにして構成される中間包装体を更に外装箱などの箱体5の内部に収容したものを
図17に示す。
図17は、
図1aと同様に、
図13aに示す中間包装体を直方体形状の箱体5の内部に収容した状態で箱体5の一部を切断した上面図に相当する一部断面図である。この例では、例えば、中間包装体の台紙3の裏面3bを箱体5の内側面5aに接着して固定している。この包装体では、外部からの衝撃が被包装物1に直接作用しないので、衝撃が小さければ、被包装物1が変形したり台紙3から脱落したりすることはない。しかし、外部からの衝撃によって箱体5が変形し、その箱体5が被包装物1に当接すると、やはり被包装物1が変形したり台紙3から脱落したりするおそれがある。
【0013】
こうした衝撃から、箱体5の内部に収容されている被包装物1を可及的に保護することが可能な包装体の一例として
図1の包装体を開発した。この例では、
図1bの上下方向に長手な両面接着テープ6が台紙3の表面3aの左右方向中央部に貼り付けられ、この両面接着テープ6に上下方向に長手な筒状のシュリンクフィルム2が接合されている。そして、上記従来の中間包装体と同様に、この筒状のシュリンクフィルム2の内部に、
図1bの上下方向に長手な直方体形状の被包装物1が密着状態で収容され、台紙3に被包装物1が取り付けられている。なお、シュリンクフィルム2を台紙3に接合する手段としては、両面接着テープ6の他、接着剤を用いる方法や、台紙3側に設けられた樹脂層とシュリンクフィルム2を熱溶着させる方法などが挙げられるが、以下の実施形態では、これらの接合手段を代表して、両面接着テープ6を用いた例についてのみ詳述する。したがって、両面接着テープ6によるシュリンクフィルム2と台紙3の接合は、他に適用可能なあらゆる接合手段によるシュリンクフィルム2と台紙3の接合と読み替え可能である。
【0014】
以下の同様の包装体の概要は、被包装物1が保持されている台紙3の少なくとも裏面3b、被包装物1そのもの、及び/又は、被包装物1を台紙3に取り付けるためのシュリンクフィルム2が箱体5の内側面5aと接触しないように保持する脚部7を台紙3と箱体5の間に配設した。具体的には、例えば
図1bの左右方向に長手な枚葉の台紙部材4の長手方向中央部に台紙3が残るようにして台紙部材4を
図1aに示すように略M字状に折り曲げ、M字の左右両端を箱体5の左右の内側面5aの全面に面接触する当接部8とし、この当接部8と台紙3の間のM字の傾斜部分を脚部7とする。すなわち、当接部8は、箱体5に対する台紙3及び被包装物1の相対位置を規定する基部となる。なお、
図1bにおける台紙3の上下端、脚部7の上下端は箱体5の上下の内側面5aに当接している。したがって、被包装物1が取り付けられている台紙3、脚部7、及び当接部8が、この実施形態における中間包装体といえる。
【0015】
この包装体では、例えば
図1bの左右方向の何れか一方から衝撃が箱体5に作用すると、箱体5の変形に伴って脚部7が変形することで衝撃が吸収される。また、衝撃によって箱体5の衝撃入力側部分が変形すると、その変形に伴って衝撃入力側の脚部7が移動され(変位し)、衝撃入力側と反対側の脚部7が変位したり変形したりすることで台紙3、すなわち被包装物1が衝撃入力側と反対側に移動される(変位する)。これらにより、衝撃が箱体5に作用して箱体5が変形しても、その変形部分が被包装物1に当接することが可及的に回避され、結果として衝撃から被包装物1を保護することができる。箱体5に作用する衝撃力の大きさは、例えば、通常使用範囲の高さから包装体が落下したときの衝撃力から推定することができるので、その衝撃力が箱体5に作用しても、箱体5及び脚部7の変形による衝撃吸収作用や、衝撃入力側と反対側への被包装物1の変位によって変形した箱体5が被包装物1に当接しないように脚部7の剛性や長さ、箱体5の剛性や大きさなどを設定すればよい。
【0016】
図2は、
図1の包装体の第1変形例であり、
図2aは一部断面上面図、
図2bは一部断面正面図である。
図2の包装体と
図1の包装体は類似しており、したがって同等の構成には同等の符号を付して、その詳細な説明を省略する。ここでは、
図2の包装体の
図1の包装体との相違点についてのみ説明する。この例では、台紙3(台紙部材4)への被包装物1の取り付け形態が変更されている。具体的には、台紙部材4で構成される2つの脚部7の夫々に
図2bの上下方向に長手な両面接着テープ6を貼り付け、これら両面接着テープ6に架け渡すようにして枚葉のシュリンクフィルム2を余裕を持たせて接合し、台紙部材4の台紙3の部分とシュリンクフィルム2で被包装物1を差し込む筒ができるようにしている。したがって、この台紙部材4の台紙3の部分とシュリンクフィルム2で構成される筒の内部に被包装物1を差し込んだ後、シュリンクフィルム2を熱収縮させて被包装物1に密着させ、このシュリンクフィルム2の熱収縮で被包装物1が台紙3に取り付けられている。
【0017】
図3は、
図1の包装体の第2変形例であり、
図3aは一部断面上面図、
図3bは一部断面正面図である。
図3の包装体と
図1の包装体は類似しており、したがって同等の構成には同等の符号を付して、その詳細な説明を省略する。ここでは、
図3の包装体の
図1の包装体との相違点についてのみ説明する。この例では、台紙部材4を折り曲げて形成する当接部8の形態が変更されている。具体的には、
図1bで箱体5の左右の内側面5aに当接している当接部8を更に延伸して折り返し、
図3aに示すように、
図3aの下面、すなわち
図3bで取り払われている手前側面にも当接する当接部8を設けた。これにより、
図3aの下面、すなわち
図3bで取り払われている手前側面から衝撃が作用した場合、箱体5の
図3bの左右の内側面5aに当接している当接部8が
図3aの内側面5aの左右下端を支点としてアームのように回転変位し、これにより台紙3、すなわち被包装物1の
図3aの下方への変位を許容し、この変位、すなわち質量体の移動によっても衝撃が吸収される。
【0018】
図4は、
図1の包装体の第3変形例であり、
図4aは一部断面上面図、
図4bは一部断面正面図である。
図4の包装体と
図1の包装体は類似しており、したがって同等の構成には同等の符号を付して、その詳細な説明を省略する。ここでは、
図4の包装体の
図1の包装体との相違点についてのみ説明する。この変形例は、
図1の例に対して、
図2の被包装物1の台紙3への取り付け形態と、
図3の当接部8の形態を組み合わせたものである。したがって、この変形例の効果は、
図2の効果と
図3の効果を
図1の効果に組み合わせたものとなる。
このように、これらの実施形態では、熱収縮されたシュリンクフィルム2によって被包装物1が台紙3の表面3aに取り付けられた中間包装体を箱体5の内部に収容する場合に、台紙3の少なくとも裏面3b及び被包装物1及び/又はシュリンクフィルム2を箱体5の内側面5aと非当接状態に保持する脚部7を台紙3と箱体5の内側面5aとの間に介装した。これにより、箱体5に作用する衝撃は箱体5と脚部7の変形によって吸収されると共に、衝撃によって箱体5が変形すると脚部7も変形及び/又は変位して被包装物1を衝撃の入力側と反対側に移動させることができ、これらにより箱体5の内部に収容された被包装物1を衝撃から可及的に保護することができる。
【0019】
また、台紙3と同一の台紙部材4を折り曲げて脚部7が形成されるようにすることで、脚部7を簡易に形成することができると共に、容易に実施することができる。
次に、シュリンクフィルム付き台紙の第2実施形態について、
図5を用いて説明する。
図5aは、この実施形態のシュリンクフィルム付き台紙を用いた包装体の一部断面上面図、
図5bは、その一部断面正面図であり、
図1と同様に、箱体5の一部を除去した状態を示す。
図5の包装体と
図1の包装体は類似しており、したがって同等の構成には同等の符号を付して、その詳細な説明を省略する。ここでは、
図5の包装体の
図1の包装体との相違点についてのみ説明する。この実施形態では、シュリンクフィルム付き台紙に設けられた脚部7に、外部からの衝撃を緩和する緩衝構造9が設けられている。具体的には、脚部7を構成する台紙部材4を蛇腹状に折り曲げて緩衝構造9とした。蛇腹状に折り曲げられた紙製の台紙部材4は、或る程度の厚さを有する紙素材が持つ保形性と変形性、復元性で衝撃を吸収・緩和することができる。台紙素材における折り曲げ線は、脚部7を構成する台紙素材の伸長方向と交差する方向、この実施形態では直交方向とされ、直線状の折れ線を構成する。この蛇腹からなる緩衝構造9は、
図5aの左右方向だけでなく、上下方向にも変位・変形するので、上下方向からの衝撃も緩和・吸収することができる。
【0020】
このように、この実施形態のシュリンクフィルム付き台紙では、箱体5からの衝撃を緩和する緩衝構造9が脚部7に設けられているので、衝撃による箱体5の変形が被包装物1に直接的に及ばないような場合であっても、衝撃を緩和・吸収することにより、被包装物1の性能を保護することができる。また、衝撃による箱体5の変形が被包装物1に及ぶような場合には、緩衝構造9によって脚部7を変位・変形せしめて被包装物1を衝撃の入力側と反対側に移動させることができ、これにより被包装物1を衝撃から可及的に保護することができる。
また、脚部7を構成する台紙部材4を蛇腹状に折り曲げて緩衝構造9を構成することにより、簡易な構成で高い緩衝機能の緩衝構造9を得ることができる。
【0021】
次に、シュリンクフィルム付き台紙の第3実施形態について、
図6を用いて説明する。
図6aは、この実施形態のシュリンクフィルム付き台紙を用いた包装体の一部断面正面図、
図6bは、その一部断面右側面図であり、
図1と同様に、箱体5の一部を除去した状態を示す。
図6の包装体と
図1の包装体は類似しており、したがって同等の構成には同等の符号を付して、その詳細な説明を省略する。ここでは、
図6の包装体の
図1の包装体との相違点についてのみ説明する。この実施形態では、
図6aに示す台紙3の上下端と箱体5の上下の内側面5aの間に脚部7が配設されている。したがって、箱体5の内側面5aに当接する当接部8は、脚部7を介して台紙3の上下に配設され、箱体5の上下の内側面5aに当接する。この脚部7にも、
図6aの上下方向に長手な枚葉の台紙部材4の長手方向中央部に台紙3が残るようにして、その上下伸長部分を山谷交互に折り曲げて蛇腹状の緩衝構造9が設けられている。その詳細については後述する。また、この実施形態では、台紙3の左右端、脚部7の左右端は、箱体5の左右の内側面5aと非当接とされている。
【0022】
図7は、
図6の台紙部材4の一例を示す展開図である。図から明らかなように、脚部7を構成する台紙部材4は当接部8に向けて次第に幅広とされている。図中の一点鎖線が、蛇腹を構成するための折り曲げ線である谷折り線を示し、二点鎖線は山折り線を示す。これら谷折り線や山折り線は、紙素材を一面側から厚さ方向に線状に押圧して窪ませた、いわゆる「罫線」で構成することができる(前出の実施形態にも適用可能)。同図から明らかなように、この例における折り曲げ線は、脚部7を構成する台紙部材4の伸長方向と直交する直線である。前述のように、紙には保形性と共に変形性と復元性があるので、直線の折り曲げ線で台紙部材4を山谷に折り曲げた蛇腹が変形・変位したり復元したりすることで衝撃が緩和・吸収される。
図8は、
図6の台紙部材4の変形例を示す展開図であり、台紙部材4の外形は
図7のものと同等である。図中の谷折り線や山折り線の規定は、
図7と同様であり、それらの伸長方向は、脚部7を構成する台紙部材4の伸長方向と交差している。この例では、折り曲げ線が曲線(円弧曲線)で構成されている。このような曲線の折り曲げ線で紙製の台紙部材4を折り曲げると、折り曲げられた蛇腹の面が湾曲する。蛇腹の面が湾曲している場合、その面そのものが平面に復元しようとする復元力があるので、折り曲げ線が直線である場合に比べて、蛇腹、すなわち緩衝構造9の復元力が大きくなり、その分だけ、衝撃の緩和・吸収効果が大きくなる。また、この実施形態では、
図6aにおける台紙3の左右端や脚部7の左右端は箱体5の左右の内側面5aと非当接とされているので、箱体5の左右方向からの衝撃入力は台紙3や被包装物1に直接的には作用しない。
【0023】
次に、シュリンクフィルム付き台紙の第4実施形態について、
図9を用いて説明する。
図9aは、この実施形態のシュリンクフィルム付き台紙を用いた包装体の一部断面正面図、
図9bは、その一部断面右側面図であり、
図1と同様に、箱体5の一部を除去した状態を示す。
図6の包装体と
図6の包装体は類似しており、したがって同等の構成には同等の符号を付して、その詳細な説明を省略する。この実施形態でも、
図9aに示す台紙3の上下端と箱体5の上下の内側面5aの間に脚部7が配設されている。したがって、箱体5の内側面5aに当接する当接部8は、脚部7を介して台紙3の上下に配設され、箱体5の上下の内側面5aに当接する。この脚部7にも、
図9aの上下方向に長手な枚葉の台紙部材4の長手方向中央部に台紙3が残るようにして、その上下伸長部分を折り曲げて蛇腹状の緩衝構造9が設けられているが、蛇腹の折り曲げ数が
図6のものよりも少ない。その詳細については後述する。また、この実施形態でも、台紙3の左右端、脚部7の左右端は、箱体5の左右の内側面5aと非当接とされている。
【0024】
図10は、
図9の台紙部材4の一例を示す展開図である。この実施形態でも、脚部7を構成する台紙部材4は当接部8に向けて次第に幅広とされているが、蛇腹の折り曲げ数が少ないことから脚部7を構成する台紙部材4の長さが小さい。また、図中の谷折り線や山折り線の規定は、
図7と同様であり、それらの伸長方向は、脚部7を構成する台紙部材4の伸長方向と交差している。この例でも、
図8の台紙部材4と同様に、蛇腹を構成するための折り曲げ線が曲線(円弧曲線)で構成されている。このような曲線の折り曲げ線で紙製の台紙部材4を折り曲げると、折り曲げられた蛇腹の面が湾曲し、折り曲げ線が直線である場合に比べて、蛇腹、すなわち緩衝構造9の復元力が大きくなり、その分だけ、衝撃の緩和・吸収効果が大きくなる。
図11は、
図9の台紙部材4の変形例を示す展開図であり、台紙部材4の外形は
図10のものと同等である。図中の谷折り線や山折り線の規定は、
図7と同様であり、それらの伸長方向は、脚部7を構成する台紙部材4の伸長方向と交差している。この例では、蛇腹を構成するための谷折り線や山折り線などの折り曲げ線が山型の屈曲線で構成されている。このような屈曲線の折り曲げ線で紙製の台紙部材4を折り曲げると、折り曲げられた蛇腹の面は折り曲げ線の近傍で屈曲、折り曲げ線から離れた部分では湾曲し、折り曲げ線が直線である場合に比べて、蛇腹、すなわち緩衝構造9の復元力が大きくなり、その分だけ、衝撃の緩和・吸収効果が大きくなる。
【0025】
このように、これらの実施形態のシュリンクフィルム付き台紙では、台紙部材4を蛇腹状に折り曲げる折り曲げ線が曲線又は屈曲線で構成されているので、折り曲げ線が直線で構成されている場合に比べて、蛇腹、すなわち緩衝構造9の復元力が大きくなり、その分だけ、衝撃の緩和・吸収効果が大きくなる。
図12は、
図9の台紙部材4の更なる変形例を示す展開図であり、台紙部材4の外形は
図10、
図11のものと同等である。図中の谷折り線や山折り線の規定は、
図7と同様であり、それらの伸長方向は、脚部7を構成する台紙部材4の伸長方向と交差している。この例でも、
図11の台紙部材4と同様に、蛇腹を構成するための折り曲げ線が山型の屈曲線で構成されている。したがって、折り曲げ線が直線状である場合に比べて、蛇腹、すなわち緩衝構造9の復元力が大きくなり、その分だけ、衝撃の緩和・吸収効果が大きくなる。更に、この例では、脚部7を構成する台紙部材4の幅方向中央部に、蛇腹を構成するための折り曲げ線と交差する方向、この場合は折り曲げ線と直交方向に長手な穴部10が設けられている。このように蛇腹を構成するための折り曲げ線と直交方向、すなわち脚部7の伸長方向に長手な穴部10が設けられていると、前述した蛇腹そのものによる衝撃の緩和・吸収方向と異なる方向、すなわち蛇腹の折り曲げ線の伸長方向(
図17の左右方向)から衝撃が入力されると、この長手な穴部10が幅(短手)方向に変形する。このように穴部10が幅方向に変形すると、
図17の穴部10の左右で蛇腹に異なる変位・変形が生じ、それぞれの変位・変形が左右の蛇腹によって緩和・吸収されることから、この方向からの衝撃も緩和・吸収される。
【0026】
このように、この実施形態のシュリンクフィルム付き台紙では、蛇腹を構成するための折り曲げ線と直交方向、すなわち脚部7の伸長方向に長手な穴部10が設けられているので、蛇腹の折り曲げ線の伸長方向からの衝撃も緩和・吸収することができる。
以上、実施形態に係るシュリンクフィルム付き台紙について説明したが、本件発明は、上記実施の形態で述べた構成に限定されるものではなく、本件発明の要旨の範囲内で種々変更が可能である。例えば、上記実施形態では、正面視方形の台紙3についてのみ詳述したが、台紙3の形態は、凡そ枚葉体であれば、その外形は如何様な形状であってもよい。同様に、箱体5の形態も、脚部7付きの台紙3及び被包装物1を収容可能なものであれば、どのような形状・大きさのものであってもよい。
【0027】
また、前述したように、台紙3とシュリンクフィルム2を接合する手段は、両面接着テープの他、接着剤を用いたり、台紙3に設けた樹脂層と熱溶着させたりする方法が適用可能である。
また、シュリンクフィルム2は必ずしも被包装物1の外周面の全面を覆う必要はなく、被包装物1を台紙3に固定して保持できるのであれば、その大きさや被包装物1を覆う部分は任意である。
また、上記実施形態では、筒状の又は筒を形成するようにシュリンクフィルム2が台紙3の表面に予め接合されたシュリンクフィルム付き台紙についてのみ説明したが、台紙3の表面に接合されるシュリンクフィルム2は、袋状のものや、袋が形成されるように接合されるものであってもよい。
【0028】
また、上記実施形態では、何れも台紙3に予めシュリンクフィルム2が接合されているシュリンクフィルム付き台紙についてのみ説明したが、本発明の台紙は、例えば、被包装物1がシュリンクフィルム2を含む保護フィルムに保持された状態で表面に取り付けられ、それが箱体5の内部に収容されて用いられるものであれば、如何様な台紙にも適用可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 被包装物
2 シュリンクフィルム(保護フィルム)
3 台紙
3a 表面
3b 裏面
4 台紙部材
5 箱体
5a 内側面
6 両面接着テープ(接合手段)
7 脚部
8 当接部
9 緩衝構造
10 穴部