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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055036
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】配車システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/123 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
G08G1/123 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161617
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉下 雅一
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA14
5H181BB04
5H181FF04
5H181MA13
5H181MA41
(57)【要約】
【課題】車内状態に対する乗客の不満を少なくすることができる技術を提供する。
【解決手段】旅客車両の制御部は、乗客用端末が乗客から乗車希望を受け付ける場合に、旅客車両が乗車希望位置に到着するまでの所要時間である第1の所要時間と、旅客車両の車内状態が所定の目標状態に到達するまでの所要時間である第2の所要時間とを比較し、第2の所要時間が第1の所要時間より長い場合に、乗客用端末が乗客から受け付ける所定の選択肢に応じて旅客車両の配車の態様を変えてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
旅客車両と、前記旅客車両と通信可能な乗客用端末とを備え、乗客が希望する乗車希望位置に前記旅客車両を配車するための配車システムであって、
前記旅客車両の制御部は、前記乗客用端末が乗客から乗車希望を受け付ける場合に、前記旅客車両が前記乗車希望位置に到着するまでの所要時間である第1の所要時間と、前記旅客車両の車内状態が所定の目標状態に到達するまでの所要時間である第2の所要時間とを比較し、前記第2の所要時間が前記第1の所要時間より長い場合に、前記乗客用端末が乗客から受け付ける所定の選択肢に応じて前記旅客車両の配車の態様を変える、配車システム。
【請求項2】
請求項1に記載の配車システムであって、
前記選択肢は、(1)前記旅客車両の車内状態が前記目標状態に到達した後に配車する、(2)前記旅客車両の車内状態が前記目標状態に到達しなくても配車する、又は(3)乗車希望を取り消す、のいずれかである、配車システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の配車システムであって、
前記旅客車両は、自動運転車両である、配車システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、配車システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているシステムは、乗客から乗車希望を受け付ける場合に、車両運行スケジュールを作成し、作成された車両運行スケジュールを乗客に出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-280734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、車両運行スケジュールによっては車内を十分に空調することができず、車内状態に対して乗客が不満を感じることがある。また、車両が自動運転車両である場合は、乗客が車両に乗車していない空車状態のときに車内を空調しないことがある。そうすると、その後に乗客が車両に乗車したときに車内状態に対して乗客が不満を感じることがある。そこで本明細書は、車内状態に対する乗客の不満を少なくすることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本技術の第1の態様では、配車システムが、旅客車両と、前記旅客車両と通信可能な乗客用端末とを備えている。配車システムは、乗客が希望する乗車希望位置に前記旅客車両を配車するためのシステムである。前記旅客車両の制御部は、前記乗客用端末が乗客から乗車希望を受け付ける場合に、前記旅客車両が前記乗車希望位置に到着するまでの所要時間である第1の所要時間と、前記旅客車両の車内状態が所定の目標状態に到達するまでの所要時間である第2の所要時間とを比較し、前記第2の所要時間が前記第1の所要時間より長い場合に、前記乗客用端末が乗客から受け付ける所定の選択肢に応じて前記旅客車両の配車の態様を変えてもよい。
【0006】
第2の所要時間が第1の所要時間より長い場合は、旅客車両がそのまま乗車希望位置に移動すると、旅客車両の車内状態が目標状態に到達する前に旅客車両が乗車希望位置に到着することになる。その状態で乗客が旅客車両に乗車すると、車内状態に対して乗客が不満を感じることが考えられる。しかしながら、上記の構成によれば、乗客用端末が乗客から受け付ける選択肢に応じて旅客車両の配車の態様を変えるので、車内状態に対する乗客の不満を少なくすることができる。例えば、旅客車両の車内状態が目標状態に到達した後に配車するという選択肢に応じて旅客車両を乗車希望位置に配車することにより、乗客の不満を少なくすることができる。
【0007】
第2の態様では、上記第1の態様において、前記選択肢が、(1)前記旅客車両の車内状態が前記目標状態に到達した後に配車する、(2)前記旅客車両の車内状態が前記目標状態に到達しなくても配車する、又は(3)乗車希望を取り消す、のいずれかであってもよい。
【0008】
この構成によれば、例えば、旅客車両の車内状態が目標状態に到達した後に配車するという選択肢に応じて旅客車両を乗車希望位置に配車することにより、乗客の不満を少なくすることができる。また、旅客車両の車内状態が目標状態に到達しなくても配車するという選択肢の場合は、車内状態が目標状態でないことを乗客が自ら選択することができるので、乗客の不満を少なくすることができる。また、乗客の希望に沿わない場合は、乗車希望を取り消すこともできる。よって、乗客の不満を少なくすることができる。
【0009】
第3の態様では、上記第1又は第2の態様において、前記旅客車両が、自動運転車両であってもよい。
【0010】
旅客車両が自動運転車両である場合は、乗客が旅客車両に乗車していない空車状態のときに車内を空調しないことがある。そうすると、その後に乗客が旅客車両に乗車したときに車内状態に対して乗客が不満を感じることがある。しかしながら、上記の構成によれば、乗客用端末が乗客から受け付ける選択肢に応じて旅客車両の配車の態様を変えることにより、車内状態に対する乗客の不満を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例の配車システムのブロック図。
図2】実施例の乗客用端末側の処理のフローチャート(1)。
図3】実施例の乗客用端末側の処理のフローチャート(2)。
図4】実施例の旅客車両側の処理のフローチャート(1)。
図5】実施例の旅客車両側の処理のフローチャート(2)。
図6】実施例の配車画面を示す図。
図7】実施例の選択画面を示す図。
図8】実施例の準備画面を示す図。
図9】実施例の取消画面を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施例の配車システムについて図面を参照して説明する。図1は、実施例の配車システム2のブロックである。図1に示すように、配車システム2は、旅客車両10と乗客用端末30を備えている。旅客車両10と乗客用端末30は、通信ネットワーク90(例えばインターネット)を介して互いに通信可能である。配車システム2は、乗客が希望する乗車希望位置に旅客車両10を配車するためのシステムである。
【0013】
旅客車両10は、例えば、ガソリン自動車、電気自動車、ハイブリッド自動車等である。また、旅客車両10は、自動運転車両である。旅客車両10は、エアコン12と、温度センサ14と、通信部16と、制御部18とを備えている。エアコン12は、旅客車両10の車内を空調(冷房又は暖房)する。温度センサ14は、旅客車両10の車内の温度を検出する。通信部16は、通信ネットワーク90を介して、旅客車両10と乗客用端末30との通信を実行する。制御部18は、例えば、CPUとメモリ(例えば、ROM、RAM等)を備えており、所定のプログラムに従って旅客車両10に関する制御や処理を実行する。また、制御部18は、GPS(Global Positioning System)の技術により旅客車両10の現在位置を特定することができる。また、制御部18は、旅客車両10の自動運転を制御する。
【0014】
乗客用端末30は、例えば、スマートフォン、タブレット等である。乗客用端末30は、タッチパネル32と、通信部34と、制御部36とを備えている。タッチパネル32は、配車システム2に関する様々な情報を表示すると共に、様々な情報入力を受け付ける。通信部34は、通信ネットワーク90を介して、乗客用端末30と旅客車両10との通信を実行する。制御部36は、例えば、CPUとメモリ(例えば、ROM、RAM等)を備えており、所定のプログラムに従って乗客用端末30に関する制御や処理を実行する。
【0015】
(乗客用端末側の処理;図2図3
次に、乗客用端末30で実行される乗客用端末側の処理について説明する。乗客用端末側の処理は、例えば、乗客用端末30にインストールされている所定のアプリケーションソフトが起動されると開始される。図2に示すように、乗客用端末側の処理のS2では、乗客用端末30の制御部36が、乗車希望が受け付けられたか否かを判断する。乗車希望は、旅客車両10への乗車を希望する乗客が乗客用端末30のタッチパネル32を操作することにより受け付けられる。旅客車両10への乗車を希望する乗客は、例えば、タッチパネル32に表示される乗車希望のボタン(不図示)を押すことにより乗車希望の意思を表示する。また、旅客車両10への乗車を希望する乗客は、タッチパネル32をタッチ操作することにより乗車希望位置(例えば、自宅前等)を入力する。タッチパネル32で乗車希望が受け付けられた場合(YESの場合)は、処理はS4に進む。乗車希望が受け付けられない場合(NOの場合)は、処理は待機する。
【0016】
続くS4では、制御部36が、上記のS2で受け付けられた乗車希望の旨を示す乗車希望情報を旅客車両10に送信する。また、制御部36は、タッチパネル32で入力された乗車希望位置を特定するための乗車希望位置情報を旅客車両10に送信する。
【0017】
(旅客車両側の処理;図4図5
次に、乗客用端末側の処理の説明を中断して、旅客車両10で実行される旅客車両側の処理について説明する。旅客車両側の処理は、例えば、前の乗客が旅客車両10から降車すると開始される。乗客の降車は、例えば、旅客車両10のドアに設けられているセンサ(不図示)により検出される。図4に示すように、旅客車両側の処理のS52では、旅客車両10の制御部18が、旅客車両10のエアコン12をオフにする。エアコン12がオフになると旅客車両10の車内が空調されなくなる。続くS54では、制御部18が、乗客用端末30から送信される乗車希望情報と乗車希望位置情報(図2のS4参照)を受信したか否かを判断する。乗車希望情報と乗車希望位置情報を受信した場合(YESの場合)は、処理はS56に進む。乗車希望情報と乗車希望位置情報を受信しない場合(NOの場合)は、処理は待機する。
【0018】
続くS56では、制御部18が、旅客車両10の現在位置を特定するための現在位置情報を取得する。旅客車両10の現在位置は、GPSにより特定される。現在位置情報は、例えば、旅客車両10の現在位置の緯度と経度の情報を含む。また、S56では、制御部18が、旅客車両10の現在の車内温度(車内状態の一例)を示す車内温度情報を取得する。旅客車両10の車内温度は、旅客車両10の温度センサ14により検出される。
【0019】
続くS58では、制御部18が、旅客車両10が乗車希望位置に到着するまでの所要時間である第1の所要時間T1を算出する。制御部18は、上記のS54で受信する乗車希望位置情報と、上記のS56で取得する現在位置情報とに基づいて第1の所要時間T1を算出する。制御部18は、所定の計算プログラムに従って第1の所要時間T1を算出する。
【0020】
また、S58では、制御部18が、旅客車両10の車内温度が所定の目標温度(例えば25℃)に到達するまでの所要時間である第2の所要時間T2を算出する。制御部18は、上記のS56で取得する車内温度情報と、メモリに予め記憶されている目標温度の情報とに基づいて第2の所要時間T2を算出する。制御部18は、所定の計算プログラムに従って第2の所要時間T2を算出する。
【0021】
続くS60では、制御部18が、S58で算出した第1の所要時間T1と第2の所要時間T2を比較して、第1の所要時間T1が第2の所要時間T2以上の長さである否かを判断する。第1の所要時間T1が第2の所要時間T2以上の長さである場合(YESの場合)は、処理はS62に進む。S62では、制御部18が、第1の結果情報を乗客用端末30に送信する。一方、第1の所要時間T1が第2の所要時間T2未満の長さである場合(S60でNOの場合)は、処理はS64に進む。即ち、第2の所要時間T2が第1の所要時間T1より長い場合は、処理はS64に進む。S64では、制御部18が、第2の結果情報を乗客用端末30に送信する。
【0022】
S62に続くS66では、制御部18が、旅客車両10のエアコン12をオンにする。エアコン12がオンになると旅客車両10の車内が空調される。続くS68では、制御部18が、上記のS54で受信した乗車希望位置情報により特定される乗車希望位置に旅客車両10を移動させる。制御部18は、自動運転制御により旅客車両10を乗車希望位置に移動させる。
【0023】
(乗客用端末側の処理;図2図3
次に、旅客車両側の処理の説明を中断して、再び乗客用端末側の処理について説明する。図2に示すように、乗客用端末側の処理のS6では、乗客用端末30の制御部36が、旅客車両10から送信される第1の結果情報(図4のS62参照)を受信したか否かを判断する。第1の結果情報を受信した場合(YESの場合)は、処理はS8に進む。S8では、制御部36が、例えば図6に示すような所定の配車画面SC1をタッチパネル32に表示する。一方、第1の結果情報を受信しない場合(S6でNOの場合)は、処理はS10に進む。S10では、制御部36が、旅客車両10から送信される第2の結果情報(図4のS64参照)を受信したか否かを判断する。第2の結果情報を受信した場合(YESの場合)は、処理はS12に進む。第2の結果情報を受信しない場合(NOの場合)は、処理はS6に戻る。
【0024】
S10でYESの後のS12では、制御部36が、例えば図7に示すような所定の選択画面SC2をタッチパネル32に表示する。選択画面SC2は、第1の選択肢と、第2の選択肢と、第3の選択肢とのいずれかを選択するための画面である。選択画面SC2は、第1の選択肢を選択するための第1の選択肢ボタンB1と、第2の選択肢を選択するための第2の選択肢ボタンB2と、第3の選択肢を選択するための第3の選択肢ボタンB3とを含む。第1の選択肢は、例えば、旅客車両10の車内温度が目標温度に到達した後に配車するという選択肢である。第2の選択肢は、例えば、旅客車両10の車内温度が目標温度に到達しなくても配車するという選択肢である。第3の選択肢は、例えば、乗車希望を取り消すという選択肢である。
【0025】
図3に示すように、S12(図2参照)に続くS14では、制御部36が、第1の選択肢が選択されたか否かを判断する。タッチパネル32の選択画面SC2(図7参照)に表示される第1の選択肢ボタンB1が押されると第1の選択肢が選択される。第1の選択肢が選択された場合(YESの場合)は、処理はS16に進む。S16では、制御部36が、第1の選択肢が選択されたことを示す第1の選択肢情報を旅客車両10に送信する。続くS18では、制御部36が、例えば図8に示すような所定の準備画面SC3をタッチパネル32に表示する。一方、第1の選択肢が選択されない場合(S14でNOの場合)は、処理はS20に進む。
【0026】
S20では、制御部36が、第2の選択肢が選択されたか否かを判断する。タッチパネル32の選択画面SC2(図7参照)に表示される第2の選択肢ボタンB2が押されると第2の選択肢が選択される。第2の選択肢が選択された場合(YESの場合)は、処理はS22に進む。S22では、制御部36が、第2の選択肢が選択されたことを示す第2の選択肢情報を旅客車両10に送信する。続くS32では、制御部36が、例えば図6に示すような所定の配車画面SC1をタッチパネル32に表示する。一方、第2の選択肢が選択されない場合(S20でNOの場合)は、処理はS24に進む。
【0027】
続くS24では、制御部36が、第3の選択肢が選択されたか否かを判断する。タッチパネル32の選択画面SC2(図7参照)に表示される第3の選択肢ボタンB3が押されると第3の選択肢が選択される。第3の選択肢が選択された場合(YESの場合)は、処理はS26に進む。S26では、制御部36が、第3の選択肢が選択されたことを示す第3の選択肢情報を旅客車両10に送信する。続くS28では、制御部36が、例えば図9に示すような所定の取消画面SC4をタッチパネル32に表示する。一方、第3の選択肢が選択されない場合(S24でNOの場合)は、処理はS14に戻る。
【0028】
(旅客車両側の処理;図4図5
次に、乗客用端末側の処理の説明を再び中断して、旅客車両10で実行される旅客車両側の処理について再び説明する。図5に示すように、旅客車両側の処理のS64(図4参照)に続くS70では、旅客車両10の制御部18が、乗客用端末30から送信される第1の選択肢情報(図3のS16参照)を受信したか否かを判断する。第1の選択肢情報を受信した場合(YESの場合)は、処理はS72に進む。第1の選択肢情報を受信しない場合(NOの場合)は、処理はS78に進む。
【0029】
S70でYESの後のS72では、制御部18が、旅客車両10のエアコン12をオンにする。エアコン12がオンになると旅客車両10の車内が空調される。続くS74では、制御部18が、上記のS54(図4参照)で受信した乗車希望位置情報により特定される乗車希望位置に旅客車両10を移動させる。制御部18は、自動運転制御により旅客車両10を乗車希望位置に移動させる。続くS76では、制御部18が、乗車希望位置へ移動中の旅客車両10を乗車希望位置の手前で待機させる。
【0030】
上記のS70でNOの後のS78では、制御部18が、乗客用端末30から送信される第2の選択肢情報(図3のS22参照)を受信したか否かを判断する。第2の選択肢情報を受信した場合(YESの場合)は、処理はS80に進む。第2の選択肢情報を受信しない場合(NOの場合)は、処理はS82に進む。
【0031】
S78でYESの後のS80では、制御部18が、旅客車両10のエアコン12をオンにする。エアコン12がオンになると旅客車両10の車内が空調される。続くS90では、制御部18が、上記のS54(図4参照)で受信した乗車希望位置情報により特定される乗車希望位置に旅客車両10を移動させる。制御部18は、自動運転制御により旅客車両10を乗車希望位置に移動させる。
【0032】
上記のS78でNOの後のS82では、制御部18が、乗客用端末30から送信される第3の選択肢情報(図3のS26参照)を受信したか否かを判断する。第3の選択肢情報を受信した場合(YESの場合)は、処理はS84に進む。第3の選択肢情報を受信しない場合(NOの場合)、処理はS70に戻る。S82でYESの後のS84では、制御部18が、旅客車両10を乗車希望位置へ移動させずに所定の車両基地(例えば、タクシーの営業基地等)へ移動させる。制御部18は、自動運転制御により旅客車両10を車両基地に移動させる。
【0033】
上記のS76に続くS86では、旅客車両10が乗車希望位置の手前で待機している状態で、制御部18が、旅客車両10の車内温度が所定の目標温度に到達したか否かを判断する。旅客車両10の車内温度は、旅客車両10の温度センサ14により検出される。車内温度が目標温度に到達した場合(YESの場合)は、処理はS88に進む。車内温度が目標温度に到達しない場合(NOの場合)は、処理は待機する。続くS88では、制御部18が、車内温度が目標温度に到達したことを示す目標温度到達情報を乗客用端末30に送信する。続くS90では、制御部18が、乗車希望位置の手前で待機している旅客車両10を再び乗車希望位置に移動させる。制御部18は、自動運転制御により旅客車両10を乗車希望位置に移動させる。
【0034】
旅客車両側の処理のS68、S84又はS90に続くS92では、制御部18が、旅客車両10が乗車希望位置又は車両基地に到着したか否かを判断する。旅客車両10が乗車希望位置又は車両基地に到着した場合(YESの場合)は、旅客車両側の処理が終了する。旅客車両10が乗車希望位置又は車両基地に到着しない場合(NOの場合)は、処理は待機する。
【0035】
(乗客用端末側の処理;図2図3
次に、再び乗客用端末30で実行される乗客用端末側の処理について説明する。図3に示すように、乗客用端末側の処理のS18に続くS30では、乗客用端末30の制御部36が、旅客車両10から送信される目標温度到達情報(図5のS88参照)を受信したか否かを判断する。目標温度到達情報を受信した場合(YESの場合)は、処理はS32に進む。目標温度到達情報を受信しない場合(NOの場合)、処理は待機する。S32では、制御部36が、例えば図6に示すような所定の配車画面SC1をタッチパネル32に表示する。乗客用端末側の処理は、S32、S28、又はS8(図2参照)の処理の後に終了する。
【0036】
(効果)
以上、実施例の配車システム2について説明した。以上の説明から明らかなように、配車システム2では、旅客車両10の制御部18が、乗客用端末30が乗客から乗車希望を受け付ける場合に、旅客車両10が乗車希望位置に到着するまでの所要時間である第1の所要時間T1と、旅客車両10の車内温度が目標温度に到達するまでの所要時間である第2の所要時間T2とを比較し、第2の所要時間T2が第1の所要時間T1より長い場合に、乗客用端末30が乗客から受け付ける選択肢に応じて旅客車両10の配車の態様を変える。
【0037】
乗客用端末30が乗客から受け付ける選択肢は、例えば、(1)旅客車両10の車内温度が目標温度に到達した後に配車する、(2)旅客車両10の車内温度が目標温度に到達しなくても配車する、又は(3)乗車希望を取り消す、のいずれかである。
【0038】
第2の所要時間T2が第1の所要時間T1より長い場合は、旅客車両10がそのまま乗車希望位置に移動すると、旅客車両10の車内温度が目標温度に到達する前に旅客車両10が乗車希望位置に到着することになる。その状態で乗客が旅客車両10に乗車すると、車内温度に対して乗客が不満を感じることが考えられる。しかしながら、上記の構成によれば、乗客用端末30が乗客から受け付ける選択肢に応じて旅客車両10の配車の態様を変えるので、車内温度に対する乗客の不満を少なくすることができる。例えば、旅客車両10の車内温度が目標温度に到達した後に配車するという第1の選択肢に応じて旅客車両10を乗車希望位置に配車することにより、乗客の不満を少なくすることができる。また、第2の選択肢の場合は、車内温度が目標温度でないことを乗客が自ら選択することができるので、乗客の不満を少なくすることができる。また、乗客の希望に沿わない場合は、第3の選択肢により乗車希望を取り消すことにより乗客の不満を少なくすることができる。
【0039】
また、旅客車両10が自動運転車両である場合は、乗客が旅客車両10に乗車していない空車状態のときに車内を空調しないことがある。そうすると、その後に乗客が旅客車両10に乗車したときに車内温度に対して乗客が不満を感じることがある。しかしながら、上記の構成によれば、乗客用端末30が乗客から受け付ける選択肢に応じて旅客車両10の配車の態様を変えることにより、車内温度に対する乗客の不満を少なくすることができる。
【0040】
(変形例)
旅客車両10の制御部18は、温度センサ14の検出温度に基づいて車内温度の温度マップを作成してもよい。また、制御部18は、車内温度の温度マップと目標温度の温度マップとを比較することにより、車内温度が目標温度に到達したか否かを判断してもよい。
【0041】
変形例では、旅客車両10は、車内の湿度を検出する湿度センサを備えていてもよい。上記の実施例では車内状態の一例として車内温度を説明し、目標状態の一例として目標温度を説明したが、車内状態の他の一例が車内湿度であり、目標状態の他の一例が目標湿度であってもよい。
【0042】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0043】
2:配車システム、10:旅客車両、12:エアコン、14:温度センサ、16:通信部、18:制御部、30:乗客用端末、32:タッチパネル、34:通信部、36:制御部、90:通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9