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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055048
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】流動床炉および流動媒体回収方法
(51)【国際特許分類】
   F23C 10/26 20060101AFI20240411BHJP
   F23C 10/04 20060101ALI20240411BHJP
   F23G 5/30 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
F23C10/26
F23C10/04
F23G5/30 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161641
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000192590
【氏名又は名称】株式会社神鋼環境ソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】藤田 淳
【テーマコード(参考)】
3K064
【Fターム(参考)】
3K064AB03
3K064AB07
3K064AC20
3K064AD08
3K064AE13
(57)【要約】
【課題】炉本体に収容される流動媒体から有価金属を効率よく回収可能な流動床炉及び流動媒体回収方法を提供する。
【解決手段】有価金属を含む処理対象を焼却処理又はガス化する流動床炉であって、流動媒体13を収容する炉本体と、流動媒体13に向かって流動化ガスを吹き付ける散気機構19と、を備え、炉本体は、流動媒体13を支持する炉底板16と、炉底板16に隣接して設けられて流動媒体13を排出可能な排出口16aと、を有し、炉底板16は、散気機構Aを停止させて排出口16aから流動媒体13を抜き出した状態において、残存した流動媒体13を堆積させて堆積層13aを形成する堆積機構Bを、散気機構Aとは異なる位置に有している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有価金属を含む処理対象を焼却処理又はガス化する流動床炉であって、
流動媒体を収容する炉本体と、
前記流動媒体を流動させるための流動化ガスを吹き付ける散気機構と、を備え、
前記炉本体は、前記流動媒体を支持する炉底板と、前記炉底板に隣接して設けられて前記流動媒体を排出可能な排出口と、を有し、
前記炉底板は、前記散気機構を停止させて前記排出口から前記流動媒体を抜き出した状態において、残存した前記流動媒体を堆積させて堆積層を形成する堆積機構を、前記散気機構とは異なる位置に有している流動床炉。
【請求項2】
前記堆積機構は、前記炉底板に設けられ、前記流動媒体が前記排出口に流入するのを防止する堰止め部材で構成されている請求項1に記載の流動床炉。
【請求項3】
前記堰止め部材は、前記炉底板の前記排出口側の端部に設けられている請求項2に記載の流動床炉。
【請求項4】
前記堆積機構は、前記炉底板のうち前記排出口側の端部が最も低くなるように前記炉底板の表面に複数の段差部が設けられている請求項1に記載の流動床炉。
【請求項5】
前記炉底板は、前記排出口側の前記端部が水平面で形成されている請求項4に記載の流動床炉。
【請求項6】
前記散気機構は、前記炉底板の表面から突出した複数の散気管を含んでいる請求項1に記載の流動床炉。
【請求項7】
前記炉底板の全体又は一部が、前記流動媒体の安息角よりも小さい角度で傾斜している請求項1から6のいずれか一項に記載の流動床炉。
【請求項8】
有価金属を含む処理対象を焼却処理又はガス化する流動床炉を停止して流動媒体を回収する流動媒体回収方法であって、
前記流動床炉は、
前記流動媒体を収容する炉本体と、
前記流動媒体を流動させるための流動化ガスを吹き付ける散気機構と、を備え、
前記炉本体は、前記流動媒体を支持する炉底板と、前記炉底板に隣接して設けられて前記流動媒体を排出可能な排出口と、を有し、
前記炉底板は、前記散気機構を停止させて前記排出口から前記流動媒体を抜き出した状態において、残存した前記流動媒体を堆積させて堆積層を形成する堆積機構を、前記散気機構とは異なる位置に有し、
前記散気機構を停止させて前記炉底板に支持された前記流動媒体を前記排出口に流入させて抜き出す抜出工程と、
前記抜出工程の後に前記炉底板に残存した前記流動媒体を回収する回収工程と、を含み、
前記抜出工程では、前記堆積機構によって前記炉底板に前記流動媒体を堆積させる流動媒体回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動床炉および流動床炉における流動媒体回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、流動床炉として、砂等の流動媒体が流動した状態で各種廃棄物を焼却処理する流動床式焼却炉や当該廃棄物をガス化する流動床式ガス化炉が知られている。これらの流動床炉には、流動媒体を炉底から抜き出して当該流動媒体から不燃物を分離した後に炉本体に戻す循環機構が設けられている。
【0003】
特許文献1に記載の流動床炉は、炉底に設けれた排出口(文献では、「抜出口」)から抜き出して流動媒体を回収するよう構成されている。流動床炉により焼却等される廃棄物には、金や銀等の貴金属或いは鉛や亜鉛等の重金属等、有価金属が微量に含まれている。流動床炉に収容された流動媒体のうち、排出口から抜き出されずに炉底板上に残存した流動媒体に、廃棄物由来の有価金属が高濃度に含まれていることが知られている。そこで、流動床炉では、炉底板を排出口に向けて傾斜させて重力により排出口から流動媒体を排出した後に、炉底板に残存した流動媒体から有価金属を回収する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-25699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、特許文献1に記載の流動床炉では、流動媒体から多くの有価金属を回収するうえで、炉底板に一定量以上の流動媒体を残存させる必要がある。そのため、炉底板に残存する流動媒体から有価金属を効率よく回収するうえで改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、炉本体に収容される流動媒体から有価金属を効率よく回収可能な流動床炉および流動媒体回収方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る流動床炉の特徴構成は、有価金属を含む処理対象を焼却処理又はガス化する流動床炉であって、流動媒体を収容する炉本体と、前記流動媒体を流動させるための流動化ガスを吹き付ける散気機構と、を備え、前記炉本体は、前記流動媒体を支持する炉底板と、前記炉底板に隣接して設けられて前記流動媒体を排出可能な排出口と、を有し、前記炉底板は、前記散気機構を停止させて前記排出口から前記流動媒体を抜き出した状態において、残存した前記流動媒体を堆積させて堆積層を形成する堆積機構を、前記散気機構とは異なる位置に有している点にある。
【0008】
本構成によれば、流動床炉が堆積機構を有しているので、散気機構を停止させて炉本体内に充填された流動媒体を排出口から抜き出した状態において、炉底板に多くの流動媒体を堆積層にして残存させる。また、散気機構とは異なる位置に堆積機構を設けているため、稼働時における散気機構の散気処理を阻害すること無く、堆積機構により効率的に堆積層を形成することができる。これにより、排出口から不燃物を含む流動媒体を抜き出しつつ、炉底板上に堆積機構を備えない場合に比べて多くの流動媒体を残存させることができる。その結果、炉底板に残存する流動媒体から有価金属を効率よく回収することができる。
【0009】
他の特徴構成は、前記堆積機構は、前記炉底板に設けられ、前記流動媒体が前記排出口に流入するのを防止する堰止め部材で構成されている点にある。
【0010】
本構成によれば、堆積機構としての堰止め部材が炉底板に設けられているので、堰止め部材によって流動媒体が重力により排出口に流入するのを防止することができる。これにより、堰止め部材で堰き止められた流動媒体が、炉底板の表面に沿って排出口の側に移動する流動媒体の抵抗となって、炉底板に多くの流動媒体を堆積させることが可能となり、流動媒体から堆積層を形成することができる。
【0011】
他の特徴構成は、前記堰止め部材は、前記炉底板の前記排出口側の端部に設けられている点にある。
【0012】
本構成によれば、堆積機構としての堰止め部材は、炉底板の排出口側の端部に設けるだけで良いため、既存の流動床炉に後付けすることが可能であり、効率的である。その結果、炉底板に残存する流動媒体の堆積層から有価金属を効率よく回収することができる。
【0013】
他の特徴構成は、前記堆積機構は、前記炉底板のうち前記排出口側の端部が最も低くなるように前記炉底板の表面に複数の段差部が設けられている点にある。
【0014】
本構成の如く、堆積機構として、炉底版のうち排出口側の端部が最も低くなるように炉底板の表面に複数の段差部が設けられていると、流動媒体は炉底板の段差部に留まって堆積するようになり、複数の段差部周辺に亘って多くの流動媒体が堆積層を形成する。その結果、炉底板に残存する流動媒体から有価金属を効率よく回収することができる。
【0015】
他の特徴構成は、前記炉底板は、前記排出口側の前記端部が水平面で形成されている点にある。
【0016】
本構成の如く、炉底板において排出口側の端部が水平面で形成されていると、流動媒体は炉底板の水平面に留まって堆積するようになる。これにより、炉底板において流動媒体による堆積層を形成することができる。その結果、炉底板に残存する流動媒体から有価金属を効率よく回収することができる。
【0017】
他の特徴構成は、前記散気機構は、前記炉底板の表面から突出した複数の散気管を含んでいる点にある。
【0018】
本構成によれば、散気機構が炉底板の表面から突出した複数の散気管を含んでいるので複数の散気管を炉底板に容易に分散配置することができ、複数の散気管によって炉底板に支持される流動媒体を効率よく流動させることができる。
【0019】
他の特徴構成は、前記炉底板の全体又は一部が、前記流動媒体の安息角よりも小さい角度で傾斜している点にある。
【0020】
本構成によれば、炉底板は、その全体又は一部が流動媒体の安息角よりも小さい角度で傾斜しているため、炉底板に支持された流動媒体を重力により排出口に流入させて抜き出すとき、炉本体内に充填された流動媒体が全て炉外へ抜き出されることはなく、一部の流動媒体を炉底板上に確実に残存させることができる。
【0021】
本発明に係る流動媒体回収方法の特徴は、有価金属を含む処理対象を焼却処理又はガス化する流動床炉を停止して流動媒体を回収する流動媒体回収方法であって、前記流動床炉は、前記流動媒体を収容する炉本体と、前記流動媒体を流動させるための流動化ガスを吹き付ける散気機構と、を備え、前記炉本体は、前記流動媒体を支持する炉底板と、前記炉底板に隣接して設けられて前記流動媒体を排出可能な排出口と、を有し、前記炉底板は、前記散気機構を停止させて前記排出口から前記流動媒体を抜き出した状態において、残存した前記流動媒体を堆積させて堆積層を形成する堆積機構を、前記散気機構とは異なる位置に有し、前記散気機構を停止させて前記炉底板に支持された前記流動媒体を前記排出口に流入させて抜き出す抜出工程と、前記抜出工程の後に前記炉底板に残存した前記流動媒体を回収する回収工程と、を含み、前記抜出工程では、前記堆積機構によって前記炉底板に前記流動媒体を堆積させる点にある。
【0022】
本方法によれば、散気機構を停止させた後、炉本体内に充填された流動媒体を、排出口に流入させて炉本体の外へ抜き出す(抜出工程)。このとき、抜出工程では、炉底板が有する堆積機構によって炉底板に流動媒体を堆積層として堆積させて残存させることができる。また、炉底板の堆積層は、炉底板の表面に沿って排出口の側に移動する流動媒体の抵抗となるので、炉底板上の流動媒体が排出口に向けて流れ難くなる。これにより、抜出工程において、排出口から不燃物を含む流動媒体を抜き出しつつ、炉底板上に堆積機構を備えない場合に比べて多くの流動媒体を残存させることができる。その結果、炉底板に残存する流動媒体から有価金属を効率よく回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態における流動床炉設備の構成を模式的に示す図である。
図2】流動床炉における炉底板の構成を示す部分断面図である。
図3】流動床炉における散気管の構成を示す部分平面図である。
図4】流動床炉の平断面図である。
図5】炉底板上に流動媒体が残存した状態の流動床炉の断面図である。
図6】第2実施形態の流動床炉における炉底板の構成を示す部分断面図である。
図7】第2実施形態の変形例1の炉底板の構成を示す部分断面図である。
図8】第2実施形態の変形例2の炉底板の構成を示す部分断面図である。
図9】第3実施形態の流動床炉における炉底板の構成を示す平面図である。
図10】第3実施形態の流動床炉における炉底板の構成を示す部分断面図である。
図11】別実施形態の流動床炉の平断面図である。
図12】別実施形態において炉底板上に流動媒体が残存した状態の流動床炉の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係る流動床炉および流動床炉における流動媒体の回収方法を詳細に説明する。なお、以下に記載される実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定するものではない。したがって、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。
【0025】
〔第1実施形態〕
(流動床式炉設備の構成)
流動床炉設備1の構成を、図1図5を参照して説明する。図1に示すように、流動床炉設備1は、流動床式ガス化炉10(流動床炉の一例、以下、「流動床炉10」と略称する。)と、旋回流溶融炉20と、ダクト30と、を主に備えている。以下、これらの構成要素についてそれぞれ説明する。
【0026】
流動床炉10は、処理対象として、例えば都市ごみ、下水汚泥、自動車破砕残渣(ASR:Automobile Shredder Residue)、又は廃家電製品等の各種廃棄物や、有価金属を含む家電等の被燃焼物を、可燃性ガス(一酸化炭素、水素、炭化水素等)、未燃物(チャー)及び灰に熱分解するための設備である。処理対象は有価金属を含み、流動床炉10は処理対象を焼却処理又はガス化する。図1に示すように、流動床炉10は、流動媒体13を収容する炉本体12を備えている。炉本体12(流動床炉10)は、流動媒体13を支持する炉底板16と、炉底板16に隣接して設けられて流動媒体13を排出可能な排出口16aと、を有する。本実施形態では、炉底板16の中央部位に円形の開口が形成されており、排出口16aは当該開口によって構成されている。また、排出口16aには炉底板16の下方に延出される排出管15が接続されている。さらに、流動床炉10は、流動媒体13に向かって流動化ガスを吹き付ける散気機構Aを備えている。本実施形態では、散気機構Aは、炉底板16よりも下部から流動化ガスを吹き付けるように構成されている。図示しないが、散気機構Aは、炉底板16の上方であって炉本体12の側面側から流動化ガスを吹き付ける構成でもよい。
【0027】
炉本体12は、例えば上下方向に延びる円筒形状を有している。炉本体12には、供給口14と、流出口11と、導入口17と、がそれぞれ設けられている。処理対象は供給口14から炉本体12内に供給される。炉本体12内で発生した可燃性ガスは流出口11から炉外へ流出される。散気機構Aとして、炉本体12内における炉底板16よりも下側の空間に風箱18が設けられ、流動媒体13を流動させるための流動化ガス(例えば、空気)が導入口17から風箱18に導入される。図1に示すように、供給口14は、炉本体12の側部のうち炉底板16よりも上側の部位に設けられている。流出口11は、炉本体12の頂部に設けられている。導入口17は、炉本体12の側部のうち炉底板16よりも下側の部位に設けられている。
【0028】
炉底板16は炉本体12の底部側に配置されている。流動媒体13の排出口16aは炉底板16の内周側に形成されている。炉底板16には多数の散気管19が貫通している。図1に示すように、炉底板16は、内周側の排出口16aに向かって下向きに傾斜しており、その傾斜角は、流動媒体13の安息角よりも小さい角度となっている。具体的には、流動媒体13の安息角が好ましくは30度~40度であるのに対し、炉底板16の傾斜角は10度~30度となっている。なお、図5では、炉底板16の傾斜角(角度θ)が、水平方向(図5中の一点鎖線Y)と炉底板16の表面16cとの間の角として示されている。本実施形態では、炉底板16は、全体が流動媒体13の安息角よりも小さい角度で傾斜しているが、炉底板16はその一部が流動媒体13の安息角よりも小さい角度で傾斜する構成でもよい。
【0029】
流動媒体13は、例えば珪砂やオリビン砂等の流動砂であり、炉底板16上に充填されている。これにより、図1に示すように、所定の厚さを有する流動層(砂層)が、炉底板16上に形成されている。流動床炉10は、流動媒体13が流動した状態で有価金属(例えば、金、銀、銅、鉛又は亜鉛)を含む処理対象を処理する。
【0030】
排出管15は、流動媒体13を不燃物と共に炉本体12の外へ抜き出すためのものである。図1に示すように、排出管15は、排出口16aに接続された上端部と、炉本体12の外側に位置する下端部と、を有し、炉本体12の底壁部を貫通して上端部から下端部まで上下に延びている。
【0031】
散気機構Aは、導入口17、風箱18、及び、複数の散気管19によって構成されている。図2図3に示すように、各散気管19は、炉底板16を厚さ方向に貫通する直管部19aと、直管部19aの上端に接続されたU字管部19bと、を有している。図1に示すように、散気機構Aは、流動媒体13を流動させるために、導入口17から風箱18に導入された流動化ガスを散気管19に流通させて、炉本体12の炉底板16よりも下部から流動媒体13に向かって流動化ガスを吹き付ける。図3及び図4に示すように、炉底板16において複数の散気管19が放射状に配置されている。導入口17から風箱18に導入された流動化ガスは、直管部19a内を上昇した後、U字管部19bの開口から流動媒体13に向けて送り出される(図3中矢印)。
【0032】
図1図4に示すように、炉底板16は、散気機構Aを停止させて排出口16aから流動媒体13を抜き出した状態において流動媒体13を堆積させて堆積層13aを形成する堆積機構Bを、散気機構Aとは異なる位置に有している。堆積機構Bは、炉底板16に設けられた堰止め部材16bで構成されている。本実施形態では、堰止め部材16bは、炉底板16の排出口16a側の端部である開口周縁に設けられており、炉底板16に残存する流動媒体13が重力により排出口16aに流入するのを防止する。
【0033】
図1に示すように、旋回流溶融炉20は、流動床炉10で発生した可燃性ガスの旋回流100を形成しつつ可燃性ガス及び未燃物を完全燃焼させると共に、可燃性ガスに同伴された灰を溶融させる炉である。旋回流溶融炉20は溶融炉本体23を有する。溶融炉本体23には、可燃性ガスの流入口21及び溶融スラグを炉外へ排出する出滓口22がそれぞれ設けられている。溶融スラグは、流入口21から溶融炉本体23に流入した可燃性ガスの灰が溶融することにより形成される。
【0034】
流入口21は、溶融炉本体23の側部のうち頂部近傍の部位に設けられている。流入口21は、ダクト30により流動床炉10の流出口11に接続されている。出滓口22は、溶融炉本体23の底部に設けられている。旋回流溶融炉20において可燃性ガスが燃焼することにより発生した排ガスは、旋回流溶融炉20の後段に配置された各種設備(ボイラ、減温塔、バグフィルタ、触媒反応塔等)を通過した後、煙突(図示しない)から大気中に放出される。
【0035】
流動床炉10は、循環路40を有している。循環路40は、炉本体12の外へ抜き出された流動媒体13を、不燃物から分離した後に炉本体12へ戻すものである。循環路40は、抜出スクリュ41と、分級装置42と、循環エレベータ43と、貯留槽44と、第1搬送経路45と、第2搬送経路46と、第3搬送経路47と、を有している。
【0036】
抜出スクリュ41は、回転駆動によって炉本体12の底部から流動媒体13を不燃物と共に抜き出すためのものであり、排出管15の下端部に設けられている。分級装置42は、抜出スクリュ41の下流端に設けられており、篩によって流動媒体13と不燃物とを分離する。なお、流動媒体13から分離された不燃物は、粉砕された後に旋回流溶融炉20においてスラグ化され、又は系外へ搬出される。
【0037】
循環エレベータ43は、分級装置42により不燃物が除去された流動媒体13を、所定の高さまで搬送するものである。図1に示すように、循環エレベータ43の下部には流動媒体13の入口43Aが設けられており、この入口43Aは第1搬送経路45により分級装置42の出口42A(流動媒体13の出口)と接続されている。また循環エレベータ43の上部には、流動媒体13の出口43Bが設けられている。
【0038】
貯留槽44は、循環エレベータ43により上方に搬送された流動媒体13を貯留する。第2搬送経路46は、循環エレベータ43の出口43Bから入口43Aに向けて設けられており、途中に貯留槽44が配置されている。これにより、循環エレベータ43によって上方に搬送された流動媒体13を、第2搬送経路46を介して貯留槽44へ落下させて貯留槽44に貯留することができる。
【0039】
第3搬送経路47は、一端が第2搬送経路46における貯留槽44よりも上側の部位に接続され、他端が炉本体12の側部に接続されている。これにより、循環エレベータ43の出口43Bから出た流動媒体13を、第3搬送経路47を介して炉本体12に戻すことができる。なお、図示は省略するが、循環路40は、循環エレベータ43の出口43Bから出た流動媒体13を、貯留槽44へ導くか又は炉本体12へ導くかを切り替える切替部(バルブ等)をさらに有していてもよい。
【0040】
<流動床炉における流動媒体回収方法>
本実施形態に係る流動床炉10における流動媒体13の回収方法を説明する。本回収方法は、例えば流動床炉10のメンテナンス時等、流動床炉10を停止した時に炉本体12内から流動媒体13を回収する方法である。流動媒体回収方法は、散気機構Aを停止させて炉底板16に支持された流動媒体13を排出口16aに流入させて抜き出す抜出工程と、抜出工程の後に炉底板16に残存した流動媒体13を回収する回収工程と、を含んでいる。また、抜出工程では、堆積機構B(堰止め部材16b)によって炉底板16に流動媒体13を堆積させる。本実施形態では、この抜出工程において、堆積機構B(堰止め部材16b)によって炉底板16に残存した流動媒体13が堆積させて堆積層13aを形成する。また、堆積層13aは、その厚みが炉本体12の平面視における中心Xを基準として中心Xから炉本体12の内面12aに亘る径方向Rのうち中央部分Cよりも排出口16aの側が大きくなるように、流動媒体13が堆積されている(図4図5参照)。
【0041】
図1に示すように、流動床炉10のメンテナンス前、すなわち流動床炉10の定常運転においては、散気管19により送り込まれる流動化ガス(例えば、空気)により流動媒体13が流動した状態で、処理対象が供給口14から炉本体12内に供給される。この処理対象は、炉本体12内で流動媒体13によって加熱されることにより可燃性ガス、未燃物及び灰に熱分解される。ここで、処理対象中には、貴金属(金、銀、銅等)や重金属(鉛、亜鉛等)等の有価金属が相当量含まれている。
【0042】
流動床炉10で発生した可燃性ガスは、未燃物及び灰と共にダクト30を通じて旋回流溶融炉20内に流入する。そして、この旋回流溶融炉20において、可燃性ガス及び未燃物が完全燃焼すると共に灰が溶融する。この定常運転の間、循環路40を作動させることにより、炉本体12内に充填された流動媒体13を不燃物と共に炉外へ抜き出すと共に、不燃物が除去された流動媒体13を炉本体12に戻すことができる。
【0043】
次に、流動床炉10のメンテナンス時期が到来すると、まず、炉本体12への処理対象の供給を停止する。続いて風箱18への流動化ガスの供給を停止する。すなわち、散気機構Aを停止する。その後、炉本体12内に充填された流動媒体13を、炉本体12の外へ抜き出す抜出工程が行われる。
【0044】
抜出工程では、炉本体12内に充填された流動媒体13を、排出口16aに流入させて炉本体12の外へ抜き出す。具体的には、抜出スクリュ41を回転駆動させることにより、炉本体12内に充填された流動媒体13を、排出口16aと排出口16aに連通する排出管15とを介して炉本体12の外へ抜き出す。
【0045】
炉外へ抜き出された流動媒体13は、分級装置42で不燃物と分離され、循環エレベータ43により上方に搬送された後に貯留槽44に貯留される。つまり、抜出工程では、炉本体12から抜き出された流動媒体13が、炉本体12に戻されず、全て貯留槽44に貯留される。
【0046】
図5には、上記抜出工程の後における炉本体12内の様子(炉底板16の近傍の様子)が示されている。上述の通り、炉底板16は、流動媒体13の安息角よりも小さい角度θで排出口16aに向かって下向きに傾斜している。このため、抜出工程で炉本体12内の流動媒体13が全て炉外へ抜き出されることはなく、抜出工程の後に炉底板16上において一部の流動媒体13が堆積されて堆積層13aを形成して残存する。
【0047】
本実施形態では、さらに、炉底板16が、流動媒体13の堆積機構Bとして炉底板16のうち排出口16a側の端部である開口周縁に設けられた堰止め部材16bを有する(図2図3参照)。したがって、抜出工程において、流動媒体13は排出口16aへの流入が堰止め部材16bによって阻止されるので、炉底板16には堆積層13aとして多くの流動媒体13が残存する。また、本実施形態では、この抜出工程において、堆積機構B(堰止め部材16b)によって炉底板16に残存した流動媒体13による堆積層13aの厚みが、炉本体12の平面視において炉底板16が配置された領域における中心Xを基準として中心Xから炉本体12の内面12aに亘る径方向Rのうち中央部分Cよりも排出口16aの側が大きくなるように、流動媒体13が堆積されている(図2及び図5参照)。具体的には、図2に示すように、堆積層13aの厚みは、中心Xから炉本体12の内面12aに亘る径方向Rのうち中央部分Cの厚みT2,T3よりも排出口16aの側の厚みT1の方が大きくなる。また、排出口16a側の堆積層13aが、炉底板16の表面16cに沿って排出口16aの側に移動する流動媒体13の抵抗となって、流動媒体13が排出口16aに向けて流れ難くなる。これにより、炉底板16は、排出口16aの近くの部位に多量の流動媒体13を残存させることができる。その結果、炉底板16に残存する流動媒体13(堆積層13a)から有価金属を効率よく回収することができる。
【0048】
図4に示すように、本実施形態における堰止め部材16bは、複数の散気管19で構成される同心円状に配置された散気管群のうち、最も内周側に位置する散気管群よりも排出口16a側の端部(開口端縁)に、平面視円形状に形成されている。図2に示すように、この堰止め部材16bは、炉底板16の表面16cを基準とした高さが、散気管19の高さよりも小さい。特に、散気管19のU字管部19bよりも低い位置に堰止め部材16bがあるため、稼働時における散気機構Aの散気処理を阻害すること無く、堆積機構Bにより効率的に堆積層13aを形成することができる。なお、堰止め部材16bは、炉底板16の表面16cから突出する状態と炉底板16の表面16cから突出しない状態とに出退移動自在に構成してもよい。
【0049】
このように、炉本体12に収容された流動媒体13のうち、大半(例えば90%以上)が抜出工程で貯留槽44に送られ、残りが炉本体12の内部に残存する。ここで、流動床炉10において、抜出工程後に炉本体12に残存する流動媒体13に処理対象由来の有価金属(金、銀、銅、鉛、亜鉛等)が高濃度の状態で含まれていることが知られている。
【0050】
このため、抜出工程に続く回収工程において、抜出工程で炉本体12内から抜き出した流動媒体13(貯留槽44に貯留された流動媒体13)と分離した状態で、炉本体12に残存した流動媒体13を別途回収する。具体的には、抜出工程が完了した後に作業者が炉本体12の内部に立ち入り、炉底板16に残存した流動媒体13を採取することによって流動媒体13を炉本体12の内部から直接回収する。
【0051】
その後、作業者は、炉本体12の内部の清掃や点検等のメンテナンス作業を行う。なお残存した流動媒体13の回収前に炉内の清掃、点検等が行われてもよいし、炉底板16に残存した流動媒体13の回収と炉本体12の内部のメンテナンス作業とが併行して行われてもよい。つまり、散気機構Aを停止させてから回収工程を実施すればよい。
【0052】
このように、本実施形態に係る回収方法では、流動床炉10のメンテナンスのタイミングを利用して、処理対象由来の有価金属を高濃度に含んだ流動媒体13を回収する。
【0053】
最後に、回収工程で回収した流動媒体13から有価金属を分離する。具体的には、熱処理、化学処理又は物理選別等の方法により、流動媒体13に含まれる有価金属を流動媒体13から分離する。熱処理としては、例えば、溶融処理(製錬)、焼成処理又は塩化揮発等が挙げられる。化学処理としては、例えば、酸等の溶媒抽出がある。また物理選別としては、例えば、風力選別、磁力選別、振動選別、渦電流選別、静電選別又は比重選別等が挙げられる。
【0054】
上述したように、流動床炉10が堆積機構Bを有しているので、散気機構Aを停止させて炉本体12内に充填された流動媒体13を排出口16aから抜き出した状態において、炉底板16に多くの流動媒体13を堆積層13aにして残存させる。また、散気機構Aとは異なる位置に堆積機構Bを設けているため、稼働時における散気機構Aの散気処理を阻害すること無く、堆積機構Bにより効率的に堆積層13aを形成することができる。これにより、排出口16aから不燃物を含む流動媒体13を抜き出しつつ、炉底板16上に堆積機構Bを備えない場合に比べて多くの流動媒体13を残存させることができる。その結果、炉底板16に残存する流動媒体13から有価金属を効率よく回収することができる。
【0055】
堆積機構Bとしての堰止め部材16bが炉底板16のうち排出口16a側の端部(開口周縁)に設けられているので、堰止め部材16bによって流動媒体13が重力により排出口16aに流入するのを防止することができる。これにより、堰止め部材16bで堰き止められた流動媒体13が、炉底板16の表面16cに沿って排出口16aの側に移動する流動媒体13の抵抗となって、炉底板16に多くの流動媒体13を堆積させることが可能となり、流動媒体13から堆積層13aを形成することができる。また、堰止め部材16b(堆積機構B)は、炉底板16のうち排出口16a側の端部(開口周縁)に設けるだけで良いため、既存の流動床炉10に後付けすることが可能であり、効率的である。
【0056】
〔第2実施形態〕
第2実施形態の流動床炉10を図6に基づいて説明する。以下、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。第2実施形態に係る流動床炉10における流動媒体13の回収方法は、基本的に第1実施形態に係る流動床炉10における流動媒体13の回収方法と同様である。
【0057】
図6は、第2実施形態の流動床炉10における炉底板16の構成を模式的に示している。第2実施形態における流動床炉10において、堆積機構Bは、炉底板16のうち排出口16a側の端部が最も低くなるように炉底板16の表面16cに複数の段差部50が設けられている。複数の段差部50は、排出口16a側の端部から平坦部51及び立上がり部52が交互に設けられて構成されている。炉底板16は、排出口16a側の端部(表面16c)が傾斜していない水平面(平坦部51a)で形成されている。
【0058】
このように、堆積機構Bとして、炉底板16のうち排出口16a側の端部が最も低くなるように炉底板16の表面に複数の段差部50が設けられていると、流動媒体13は炉底板16の複数の段差部50に留まって堆積するようになり、複数の段差部50周辺に亘って多くの流動媒体13による堆積層13aを形成する。また、複数の段差部50の平坦部51の何れかにおいて堆積層13aの厚みが大きくなる箇所が発生した場合には、厚みの大きい堆積層13aは流動媒体13の堰き止め機能を発揮する。その結果、炉底板16に残存する流動媒体13から有価金属を効率よく回収することができる。
【0059】
〔第2実施形態の変形例1〕
第2実施形態の変形例1では、図7に示すように、堆積機構Bは、複数の段差部50が、炉底板16の排出口16a側の端部から傾斜面53及び立上がり部52が交互に設けられて構成されている。炉底板16は、排出口16a側の端部(表面16c)が傾斜した平坦部53aによって形成されている。この傾斜面53の傾斜角(炉底板16の傾斜角)は、流動媒体13の安息角(30度~40度)よりも小さい。また、傾斜面53の傾斜角は、段差部50により流動媒体13が階段を下るように移動するため、第1実施形態のように段差部50が無い炉底板16の傾斜角(角度θ)に比べて小さくしてもよく、5度~20度となっている。
【0060】
〔第2実施形態の変形例2〕
第2実施形態の変形例2では、図8に示すように、堆積機構Bは、炉底板16のうち排出口16a側の端部が最も低くなるように炉底板16の表面16cに複数の段差部50が設けられている。複数の段差部50は、炉底板16の排出口16a側の端部から平坦部51と傾斜面53とが順に設けられて構成されている。炉底板16は、排出口16a側の端部(表面16c)が水平面(平坦部51)で形成されている。炉底板16において排出口16a側の端部(表面16c)が水平面(平坦部51)で形成されていると、流動媒体13は炉底板16の平坦部51に留まって堆積するようになる。また、炉底板16のうち最も排出口16a側の端部である平坦部51に堆積された堆積層13aの厚みが大きくなり、最も排出口16a側の端部に形成された堆積層13aが流動媒体13の堰き止め機能を発揮する。
【0061】
〔第3実施形態〕
第3実施形態の流動床炉10を図9及び図10に基づいて説明する。以下、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。第3実施形態に係る流動床炉10における流動媒体13の回収方法は、基本的に第1実施形態に係る流動床炉10における流動媒体13の回収方法と同様である。
【0062】
図9及び図10に示すように、第3実施形態における流動床炉10において、散気機構Aは、炉底板16の表面16cから突出した複数の散気管19を含んでおり、堆積機構Bは、炉底板16の表面16cにおいて散気管19が配置されていない位置に設けられた突起部55(堰止め部材の一例)で構成されている。
【0063】
具体的には、突起部55は、炉底板16の径方向又は周方向に隣接する複数の散気管19の間に配置されている。突起部55は、例えば平面視において矩形状に形成され、長手方向が炉底板16の径方向に対して交差するように配置されている。この突起部55は、散気管19のU字管部19bよりも低い位置にある。このため、稼働時における散気機構Aの散気処理を阻害すること無く、堆積機構Bにより効率的に堆積層13aを形成することができる。なお、突起部55は平面視において円弧状や円形状でもよく、特に限定されない。
【0064】
このように、堆積機構Bとして散気管19が配置されていない位置に設けられた突起部55によって、流動媒体13は炉底板16において排出口16aに向けて流れ難くなり炉底板16に留まり易くなる。この突起部55が炉底板16の表面16cに沿って排出口16aの側に移動する流動媒体13の抵抗となって、流動媒体13が排出口16aに向けて流れ難くなる。つまり、流動媒体13は炉底板16の突起部55に留まって堆積するようになり、突起部55の周辺に亘って多くの流動媒体13が堆積層13aを形成する。
【0065】
〔別実施形態〕
(1)上記の実施形態では、回収工程において、作業者が炉本体12内に立ち入り、炉底板16に残存した流動媒体13を採取することによって流動媒体13を炉本体12内から直接回収する例を示した。これに代えて、回収工程では、第1搬送経路45の途中で炉底板16に残存した流動媒体13を回収してもよい。例えば、作業者が炉本体12内に立ち入り、炉底板16に残存した流動媒体13を排出口16aから排出管15内に落下させ、その後に抜出スクリュ41を回転駆動させて流動媒体13を回収してもよい。
【0066】
これにより、抜出工程の後に炉底板16に残存した流動媒体13は、炉本体12の外へ排出された後、貯留槽44とは異なる場所(第1搬送経路45の途中)で回収することができる。その結果、抜出工程で貯留槽44に貯留した流動媒体13と分離した状態で、炉底板16に残存した流動媒体13を別途回収することができる。
【0067】
その他、循環路40における別の場所(例えば、循環エレベータ43等)において炉底板16に残存した流動媒体13の回収口が設けられてもよい。
【0068】
(2)上記の実施形態では、散気管19が炉底板16から上方に突出する例を示したが、流動床炉10は散気管19が炉底板16から上方に突出しない構成であってもよい。つまり、散気管19は、炉底板16の表面16cから流動化ガスを噴出させることとなる。
【0069】
(3)上記の実施形態では、排出口16aが炉本体12の平面視における中心側、すなわち、炉底板16の内周側に配置される例を示したが、図11及び図12に示すように、流動床炉10は、排出口16aが炉本体12の平面視において炉底板16の外周側に配置されてもよい。
【0070】
(4)回収工程において、作業者が炉底板16に残存した流動媒体13を排出管15内に落下させる際に、散気管19から流動化ガスを供給することにより炉底板16に残存した流動媒体13を排出管15内に落下させてもよい。
【0071】
(5)上記の実施形態では、流動床炉10として処理対象をガス化する流動床式ガス化炉10を用いた例を示したが、流動床炉10として処理対象を焼却処理する流動床式焼却炉を適用することもできる。
【0072】
(6)上記の実施形態では、流動床炉10の炉本体12が円筒状に形成された例を示したが、流動床炉10は炉本体12が角筒状であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、有価金属を含む処理対象を焼却処理又はガス化する流動床炉および流動床炉における流動媒体回収方法に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 :流動床炉設備
10 :流動床式ガス化炉(流動床炉)
12 :炉本体
13 :流動媒体
13a :堆積層
16 :炉底板
16a :排出口
16b :堰止め部材
16c :表面
19 :散気管
19a :直管部
19b :U字管部
40 :循環路
43 :循環エレベータ
44 :貯留槽
45 :第1搬送経路
46 :第2搬送経路
47 :第3搬送経路
50 :段差部
51,51a,53a:平坦部
52 :立上がり部
53 :傾斜部
55 :突起部
A :散気機構
B :堆積機構
C :中央部分
R :径方向
T1,T2,T3:厚み
X :中心
θ :角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12