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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055049
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】CPAP装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/00 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
A61M16/00 380
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161643
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小西 佳郎
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 啓介
(57)【要約】
【課題】メインユニットとベースユニットの電気接続部での不所望な短絡を抑制できる。
【解決手段】
CPAP装置10は、送風機を含む第1電気回路、および、第1電気回路に接続する接続端子24を備えるメインユニット20と、メインユニット20と連結可能であり、送風管、第1電気回路と異なる第2電気回路、第2電気回路に接続する接続端子50を備えるベースユニット30と、を備える。メインユニット20は、接続端子24の露出部を含む第1電気接続部と、第1電気接続部を囲む第1周囲部とを有する。ベースユニット30は、第2接続端子の露出部を含む第2電気接続部と、第2電気接続部を囲む第2周囲部とを有する。第1周囲部と第2周囲部とが対向する空間距離Gnrは、第1電気接続部における接続端子24の周りの近接部と第2電気接続部における接続端子50の周りの近接部とが対向する空間距離Gecよりも短い箇所を有する。
【選択図】 図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風機を含む第1電気回路、および、前記第1電気回路に接続する第1接続端子を備えるメインユニットと、
前記メインユニットと連結可能であり、送風管、第2電気回路、前記第2電気回路に接続する第2接続端子を備えるベースユニットと、
を備え、
前記メインユニットは、前記第1接続端子の露出部を含む第1電気接続部と、前記第1電気接続部を囲む第1周囲部とを有し、
前記ベースユニットは、前記第2接続端子の露出部を含む第2電気接続部と、前記第2電気接続部を囲む第2周囲部とを有し、
前記第1周囲部と前記第2周囲部とが対向する第1距離は、前記第1電気接続部における前記第1接続端子の周りの近接部と前記第2電気接続部における前記第2接続端子の周りの近接部とが対向する第2距離よりも短い箇所を有する、
CPAP装置。
【請求項2】
前記第1電気接続部における前記第1接続端子の周りの近接部と前記第2電気接続部における前記第2接続端子の周りの近接部とが対向する部分の周囲の全周に亘って、
前記第1距離は、前記第2距離よりも短い、
請求項1に記載のCPAP装置。
【請求項3】
前記メインユニットは第1面を有し、前記第1電気接続部は、前記第1面から凹む凹部の底面に配置され、
前記ベースユニットは第2面を有し、前記第2電気接続部は、前記第2面から突出する凸部の天面に配置され、
前記第1周囲部は、前記凹部の側面であり、前記第2周囲部は、前記凸部の側面である、
請求項1または請求項2に記載のCPAP装置。
【請求項4】
前記ベースユニットの前記第2面には、前記第2周囲部の外側に、前記凸部よりも高い第1枠体を備える、
請求項3に記載のCPAP装置。
【請求項5】
前記第2電気接続部は、前記第2面に直交する方向から視て前記第2接続端子を囲む第2枠体を備える、請求項3に記載のCPAP装置。
【請求項6】
前記第1距離は、0.15mmである、
請求項1または請求項2に記載のCPAP装置。
【請求項7】
前記ベースユニットは、水を貯留する貯留タンクを備える、
請求項1または請求項2に記載のCPAP装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メインユニットとベースユニットを備えるCPAP装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、本体ユニット(メインユニット)とベースユニットとを備えるCPAP装置が記載されている。本体ユニットは、単独でも利用可能であるが、ベースユニットと組み合わせて利用することもある。
【0003】
本体ユニットとベースユニットとを組み合わせて利用する場合、本体ユニットは、ベースユニットに装着され、固定される。この場合、本体ユニットとベースユニットとは、それぞれに筐体から露出する電気接点(接続端子)を有する。本体ユニットとベースユニットとは、これら電気接点を接触させることで、電気的に接続される。
【0004】
また、CPAP装置は、ベースユニット内に、水を貯留する容器を備える。CPAP装置は、容器の水を温めて気化させることで送風する気体とともにユーザに供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開2020/217843号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のCPAP装置の構成では、容器に水を供給するとき、または使用時において、水が電気接点にかかり、例えば複数の接続端子間の短絡等の不所望な短絡を起こす可能性がある。
【0007】
したがって、本発明の目的は、不所望な短絡を抑制できるCPAP装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のCPAP装置は、送風機を含む第1電気回路、および、第1電気回路に接続する第1接続端子を備えるメインユニットと、メインユニットと連結可能であり、送風管、第2電気回路、第2電気回路に接続する第2接続端子を備えるベースユニットと、を備える。
【0009】
メインユニットは、第1接続端子の露出部を含む第1電気接続部と、第1電気接続部を囲む第1周囲部とを有する。ベースユニットは、第2接続端子の露出部を含む第2電気接続部と、第2電気接続部を囲む第2周囲部とを有する。第1周囲部と第2周囲部とが対向する第1距離は、第1電気接続部における第1接続端子の周りの近接部と第2電気接続部における第2接続端子の周りの近接部とが対向する第2距離よりも短い箇所を有する。
【0010】
この構成では、第1周囲部と第2周囲部の外方からの水は、第1周囲部と第2周囲部との間で保持され、第1電気接続部と第2電気接続部との間に浸入しない。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、不所望な短絡を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施形態に係るCPAP装置の外観斜視図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係るCPAP装置の外観斜視図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係るCPAP装置の側面断面図である。
図4図4(A)、図4(B)は、本発明の実施形態に係るメインユニットの外観斜視図である。
図5図5(A)は、本発明の実施形態に係るメインユニットの上面図であり、図5(B)は、メインユニットの下面図である。
図6図6(A)、図6(B)、図6(C)は、本発明の実施形態に係るメインユニットの各側面図であり、図6(D)は、本発明の実施形態に係るメインユニットの側面断面図である。
図7図7(A)は、メインユニットの下面に形成された凹部を含む部分を拡大した下面図であり、図7(B)は、メインユニットの下面に形成された凹部を含む部分を拡大した側面断面図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係るベースユニットの外観斜視図である。
図9図9(A)はベースユニットの上面図であり、図9(B)はベースユニットの側面図である。
図10図10(A)、図10(B)はベースユニットの側面図である。
図11図11(A)は、ベースユニットの上面に形成された凸部を含む部分を拡大した上面図であり、図11(B)は、ベースユニットの上面に形成された凸部を含む部分を拡大した側面断面図である。
図12図12(A)は、メインユニットとベースユニットとの電気接続部を拡大した側面断面図であり、図12(B)は、水の浸入の抑止概念を示す図である。
図13図13は、変形例1におけるメインユニットとベースユニットとの電気接続部を拡大した側面断面図である。
図14図14は、変形例2におけるメインユニットとベースユニットとの電気接続部を拡大した側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態に係るCPAP装置について、図を参照して説明する。
【0014】
(CPAP装置10の概要)
図1図2は、本発明の実施形態に係るCPAP装置の外観斜視図である。図3は、本発明の実施形態に係るCPAP装置の側面断面図である。図1図3は、メインユニットがベースユニットに装着された状態(メインユニットとベースユニットとが連結された状態)を示し、図2は、メインユニットがベースユニットから外された状態を示す。
【0015】
図1図2図3に示すように、CPAP装置10は、メインユニット20、および、ベースユニット30を備える。
【0016】
メインユニット20は、平面視した状態では長尺方向と短尺方向とを有する矩形である。なお、本実施形態での矩形は、完全な矩形に限るものではなく、角が各種の面取りされているものも含む。メインユニット20の外形形状は、直方体であり、高さは長尺方向の長さおよび短尺方向の長さよりも短い。なお、本実施形態での直方体は、完全な直方体に限るものではなく、頂や稜が各種の面取りされているものも含む。
【0017】
ベースユニット30は、平面視した状態では長尺方向と短尺方向とを有する矩形である。ベースユニット30は、高背部と低背部とを有し、高背部は低背部よりも高い。すなわち、ベースユニット30の外形形状は、直方体の高背部と直方体の低背部とを、ベースユニット30の長尺方向に繋げた形状である。
【0018】
メインユニット20は、ベースユニット30の低背部の上面に装着可能である。メインユニット20がベースユニット30に装着された状態で、CPAP装置10の外形形状は、直方体である。
【0019】
メインユニット20がベースユニット30に装着された状態(装着状態)では、メインユニット20の気体の流路とベースユニット30の気体の流路とが連通する。また、メインユニット20の第1電気回路とベースユニット30の第2電気回路とは電気的に接続される。これにより、メインユニット20とベースユニット30とが協働して、CPAP装置10の機能を実現する。
【0020】
この際、ベースユニット30には水が貯留されており、メインユニット20がベースユニット30に装着された状態では、CPAP装置10は、この水を気化させることで、所定の湿度を有する気体をユーザに供給する。
【0021】
メインユニット20がベースユニット30から外された状態では、メインユニット20が単独で動作し、CPAP装置10の機能を実現する。
【0022】
メインユニット20とベースユニット30との装着状態、流路、電気接続の具体的な内容は後述し、メインユニット20とベースユニット30の具体的な構成例を先に説明する。
【0023】
(メインユニット20)
図4(A)、図4(B)は、本発明の実施形態に係るメインユニットの外観斜視図である。図4(A)は上面側から視た図であり、図4(B)は下面側から視た図である。図5(A)は、本発明の実施形態に係るメインユニットの上面図であり、図5(B)は、メインユニットの下面図である。図6(A)、図6(B)、図6(C)は、本発明の実施形態に係るメインユニットの各側面図であり、図6(D)は、本発明の実施形態に係るメインユニットの側面断面図である。図6(A)は、短尺の側面壁203側から視た図であり、図6(B)は、短尺の側面壁204側から視た図であり、図6(C)は、長尺の側面壁205側から視た図である。図6(D)は、図6(C)と同じ側から視た側面断面図である。
【0024】
図4(A)、図4(B)、図5(A)、図5(B)、図6(A)、図6(B)、図6(C)、図6(D)に示すように、メインユニット20は、筐体200を備える。
【0025】
筐体200の外形形状は、長尺方向(x20軸方向)と短尺方向(y20軸方向)を有し、所定の高さ(z20軸方向の長さ)を有する直方体である。上面壁201、下面壁202、側面壁203、側面壁204、側面壁205、および、側面壁206を備える。
【0026】
上面壁201と下面壁202とは、互いに対向する。側面壁203と側面壁204とは、短尺方向に平行な側面壁であり、互いに対向する。側面壁205と側面壁206とは、長尺方向に平行な側面壁であり、互いに対向する。側面壁203、側面壁204、側面壁205、および、側面壁206は、上面壁201および下面壁202の周部に接続している。これにより、筐体200は、上面壁201、下面壁202、側面壁203、側面壁204、側面壁205、および、側面壁206によって囲まれる内部空間S200を有する。内部空間S200には、第1電気回路が配置される(具体的な図示は省略する。)。
【0027】
側面壁203は、吸気口281および排気口291を有する。吸気口281が第1吸気口に対応し、排気口291が第1排気口に対応する。吸気口281および排気口291は、側面壁203を厚み方向に貫通している。これら吸気口281および排気口291によって、筐体200の内部空間S200は、筐体200の外部空間に連通する。側面壁203の外面がメインユニット20の流路形成面に対応する。
【0028】
吸気口281と排気口291は、側面壁203の幅方向に並んで配置される。側面壁203の幅方向の一方端部から他方端部に向かって、吸気口281、排気口291の順で配置される。側面壁203の幅方向の一方端部とは、側面壁203が側面壁205に接続する端部であり、他方端部とは、側面壁203が側面壁206に接続する端部である。
【0029】
側面壁203には、筒体290が設置されている。筒体290は、側面壁203の外面から突出する形状である。筒体290の中央の開口部が側面壁203に形成された排気口291に繋がり、この部分も排気口291として機能する。
【0030】
吸気口281には、エアフィルタ22が配置される。エアフィルタ22の外面側には、フィルタカバー21が設置される。エアフィルタ22は、フィルタカバー21と側面壁203に挟まれることで、吸気口281に固定される。
【0031】
側面壁203には、凹部231が形成されている。凹部231は、側面壁203における一方端部の近傍に形成されている。すなわち、凹部231は、排気口291を形成する筒体290と、側面壁203の幅方向に離間して配置される。
【0032】
側面壁204には、電源ポート26が配置されている。電源ポート26は、内部空間S200の第1電気回路に接続される。電源ポート26を外部の電源アダプタに接続することで、第1電気回路に電力が供給される。
【0033】
上面壁201には、操作ボタン29が配置されている。操作ボタン29は、内部空間S200の第1電気回路に接続される。操作ボタン29が操作されることで、第1電気回路の起動、停止等の動作が制御される。
【0034】
(メインユニット20の凹部230の具体的な構成)
下面壁202には、凹部230が形成されている。凹部230は、下面壁202の表面(本発明の「第2面」に対応する。)から上方(筐体200の内側方向)に凹む形状である。凹部230は、下面壁202の一方端部よりも他方端部に近い位置に形成されている。下面壁202の一方端部とは、下面壁202が側面壁203に接続する端部であり、他方端部とは、下面壁202が側面壁204に接続する端部である。
【0035】
図7(A)は、メインユニットの下面に形成された凹部を含む部分を拡大した下面図であり、図7(B)は、メインユニットの下面に形成された凹部を含む部分を拡大した側面断面図である。図7(B)は、図7(A)のBm-Bm断面を示す。
【0036】
凹部230は、底面壁23、側面壁233、側面壁234、側面壁235、および、側面壁236を備える。底面壁23は、筐体200の下面壁202よりも上方に配置される。
【0037】
側面壁233、側面壁234、側面壁235、および、側面壁236は、底面壁23と下面壁202とを接続する。側面壁233は、底面壁23と、下面壁202における側面壁203側の部分とを接続し、側面壁234は、底面壁23と、下面壁202における側面壁204側の部分とを接続する。側面壁235は、底面壁23と、下面壁202における側面壁205側の部分とを接続し、側面壁236は、底面壁23と、下面壁202における側面壁206側の部分とを接続する。側面壁233、側面壁234、側面壁235、および、側面壁236からなる部分が本発明の「第1周囲部」に対応する。
【0038】
底面壁23の平面面積は、凹部230の下面壁202での開口面積よりも小さい。したがって、側面壁233、側面壁234、側面壁235、側面壁236は、側面視して傾斜する形状である。そして、側面壁233、側面壁234、側面壁235、側面壁236と底面壁23との成す角(凹部230の内側の成す角)は、90度よりも大きい。
【0039】
底面壁23の表面(凹部230側の面)には、複数の接続端子24が配置されている。複数の接続端子24は、筐体200の下面壁202の短尺方向に平行に並んで配置される。底面壁23における複数の接続端子24が配置されている部分が、本発明の「第1電気接続部」に対応し、底面壁23における複数の接続端子24が配置されている部分の周りの部分が本発明の「第1接続端子の周りの近接部」に対応する。
【0040】
底面壁23の内部空間S200側には、第1電気回路を構成する回路基板240が配置されている。回路基板240は、底面壁23を厚み方向に貫通する導体によって、複数の接続端子24に接続される。
【0041】
底面壁23には、溝25が形成されている。溝25は、底面壁23を貫通しており、下面壁202の短尺方向に平行に延びる形状である。
【0042】
(ベースユニット30)
図8は、本発明の実施形態に係るベースユニットの外観斜視図である。図9(A)はベースユニットの上面図であり、図9(B)、図10(A)、図10(B)はベースユニットの側面図である。図9(B)は、長尺の側面壁315、325側から視た図であり、図10(A)は、短尺の側面壁314、324側から視た図であり、図10(B)は、短尺の側面壁313、323側から視た図である。
【0043】
図8図9(A)、図9(B)、図10(A)、図10(B)に示すように、ベースユニット30は、複数の筐体31、32を備える。
【0044】
(ベースユニット30の概略形状)
筐体31および筐体32の外形形状は、長尺方向(x30軸方向)と短尺方向(y30軸方向)を有し、所定の高さ(z30軸方向の長さ)を有する直方体である。筐体31の長尺方向の長さは、筐体32の長尺方向の長さよりも長い。
【0045】
筐体32は、筐体31の上面壁311側に配置され、筐体31と筐体32とは接続されている。この筐体31の内部空間S31と筐体32の内部空間S32とは、筐体31の開口3110と筐体32の開口3220によって連通する。筐体32は、筐体31に対して回動可能または取り外し可能である。
【0046】
筐体31の側面壁313と筐体32の側面壁323とは面一であり、また、筐体31の側面壁315と筐体32の側面壁325とは面一であり、筐体31の側面壁316と筐体32の側面壁326とは面一である。
【0047】
これにより、ベースユニット30は、長尺方向の途中位置に段差を有し、筐体31と筐体32とが重なる高背部と、筐体31のみの低背部とを有する。
【0048】
(筐体31)
筐体31は、上面壁311、下面壁312、側面壁313、側面壁314、側面壁315、および、側面壁316を備える。上面壁311と下面壁312とは、互いに対向する。側面壁313と側面壁314とは、短尺方向に平行な側面壁であり、互いに対向する。側面壁315と側面壁316とは、長尺方向に平行な側面壁であり、互いに対向する。
【0049】
側面壁313、側面壁314、側面壁315、および、側面壁316は、上面壁311および下面壁312の周部に接続している。これにより、筐体31は、上面壁311、下面壁312、側面壁313、側面壁314、側面壁315、および、側面壁316によって囲まれる内部空間S31を有する。内部空間S31には、第2電気回路の少なくとも一部が配置される(具体的な図示は省略する)。
【0050】
上面壁311には、開口3110が形成されている。開口3110は、上面壁311を厚み方向に貫通する穴である。開口3110は、長尺方向の所定長さで、上面壁311の短尺方向における略全体において開口している。開口3110は、上面壁311における側面壁314に接続する側の所定面積を残すように形成されている。言い換えれば、開口3110は、筐体32が配置される領域に対して所定幅内側の領域に形成される。
【0051】
上面壁311には、周部に枠体344、345、346が形成されている。枠体344、345、346は、上面壁311の上面から上方に突出する。枠体344は、上面壁311と側面壁314との接続部に沿っており、枠体345は、上面壁311と側面壁315との接続部に沿っており、枠体346は、上面壁311と側面壁316との接続部に沿っている。
【0052】
(ベースユニット30の凸部40の具体的な構成)
上面壁311には、凸部40が形成されている。凸部40は、上面壁311の表面(本発明の「第2面」に対応する。)から上方(筐体31の外側方向)に突出する形状である。凸部40は、上面壁311の一方端部よりも他方端部に近い位置に形成されている。上面壁311の一方端部とは、上面壁311が段差に接続する端部であり、他方端部とは、上面壁311が側面壁314に接続する端部である。
【0053】
図11(A)は、ベースユニットの上面に形成された凸部を含む部分を拡大した上面図であり、図11(B)は、ベースユニットの上面に形成された凸部を含む部分を拡大した側面断面図である。図11(B)は、図11(A)のBb-Bb断面を示す。
【0054】
凸部40は、天面壁401、側面壁403、側面壁404、側面壁405、および、側面壁406を備える。天面壁401は、筐体31の上面壁311よりも上方に配置される。
【0055】
側面壁403、側面壁404、側面壁405、および、側面壁406は、天面壁401と上面壁311とを接続する。側面壁403は、天面壁401と、上面壁311における断面側の部分とを接続し、側面壁404は、天面壁401と、上面壁311における側面壁314側の部分とを接続する。側面壁405は、天面壁401と、上面壁311における側面壁315側の部分とを接続し、側面壁406は、天面壁401と、上面壁311における側面壁316側の部分とを接続する。側面壁403、側面壁404、側面壁405、および、側面壁406からなる部分が、本発明の「第2周囲部」に対応する。
【0056】
天面壁401の平面面積は、凸部40の上面壁311に接続する部分の平面面積よりも小さい。したがって、側面壁403、側面壁404、側面壁405、側面壁406は、側面視して傾斜する形状である。そして、側面壁403、側面壁404、側面壁405、側面壁406と天面壁401との成す角(凸部40の内側の成す角)は、90度よりも大きい。また、凸部40における天面壁401の各側面壁と成す角は、凹部230における底面壁23と各側面壁との成す角と略同じである。
【0057】
天面壁401の表面(凸部40の露出面)には、複数の接続端子50が配置されている。複数の接続端子50は、天面壁401の表面から外方に所定高さで突出している。複数の接続端子50は、筐体31の上面壁311の短尺方向に平行に並んで配置される。天面壁401における複数の接続端子50が配置されている部分が、本発明の「第2電気接続部」に対応し、天面壁401における複数の接続端子50が配置されている部分の周りの部分が本発明の「第2接続端子の周りの近接部」に対応する。
【0058】
天面壁401の内部空間S31には、第2電気回路を構成する回路基板500が配置されている。回路基板500には、電子部品ECbが実装されている。回路基板240は、底面壁23を厚み方向に貫通する導体によって、複数の接続端子24に接続される。
【0059】
天面壁401には、溝600が形成されている。溝600には、フック部材60が挿通している。フック部材60は、メインユニット20をベースユニット30に着脱するときに利用される。
【0060】
(CPAP装置10の動作の概略)
(メインユニット20の単独使用)
メインユニット20は、第1電気回路に電気的に接続された送風機(図示を省略)を備える。送風機は、筐体200の内部空間S200に配置される。送風機が駆動すると、メインユニット20は、吸気口281から吸気して排気口291から排気する。吸気口281にエアフィルタ22を備えることによって、メインユニット20は、所望の清浄度の気体(空気)を、排気口291からユーザに供給する。
【0061】
(メインユニット20をベースユニット30に装着して使用)
メインユニット20がベースユニット30に装着される場合、メインユニット20は、ベースユニット30の低背部の上面(上面壁311の上面)上に配置される。メインユニット20の筐体200の下面壁202と、ベースユニット30の筐体31の上面壁311とは対向する。この際、ベースユニット30のフック部材60がメインユニット20における凹部230の底面壁23の溝25の形成部に係合することで、メインユニット20はベースユニット30に固定される。
【0062】
さらに、筐体200の側面壁203の外面と筐体32の側面壁324の外面とは、近接または当接し、密着状態となる。なお、側面壁203と側面壁324とは弾性体を介して密着してもよい。
【0063】
このとき、メインユニット20の排気口291を構成する筒体290は、ベースユニット30の吸気口39に挿嵌される。また、メインユニット20の吸気口281とベースユニット30の排気口38とは、x軸(x10軸)に視て重なる。これにより、メインユニット20側の流路形成面とベースユニット30側の流路形成面とが近接して対向する。そして、メインユニット20の吸気口281とベースユニット30の排気口38とは、気体の漏洩を起こさず挿通する。メインユニット20の排気口291とベースユニット30の吸気口39とは、気体の漏洩を起こさず挿通する。
【0064】
この状態で、送風機が駆動すると、ベースユニット30は、吸気口36から気体を吸気し、内部空間S31、内部空間S32を通じて、排気口38から排気する。メインユニット20は、排気口38から排気された気体を吸気口281から吸気し、排気口291から排気する。ベースユニット30は、排気口291から排気された気体を吸気口39から吸気し、送風管35の開口350から排気する。これにより、メインユニット20がベースユニット30に装着された状態のCPAP装置10は、所望の清浄度の気体(空気)を、送風管35の開口350からユーザに供給する。
【0065】
さらに、ベースユニット30の高背部には、貯水タンク390が収容されている。また、ベースユニット30は、貯水タンクの水を温めるヒータを備える。
【0066】
ベースユニット30は、吸気口39から送風管35の開口350に繋がる流路に、ヒータによって温められた水蒸気を取り込む取り込み口を有する。メインユニット20がベースユニット30に装着された状態のCPAP装置10は、ヒータによって貯水タンク390の水を温めることで気化させ、所望の湿度の気体(空気)を、送風管35の開口350からユーザに供給する。
【0067】
(電気接続部の具体的な構成)
図12(A)は、メインユニットとベースユニットとの電気接続部を拡大した側面断面図であり、図12(B)は、水の浸入の抑止概念を示す図である。
【0068】
図12に示すように、ベースユニット30の凸部40は、メインユニット20の凹部230に嵌め込まれる。そして、ベースユニット30の複数の接続端子50は、メインユニット20の複数の接続端子24に当接し、電気的に接続される。
【0069】
このとき、複数の接続端子50は、メインユニット20(複数の接続端子24)によって押し込まれる。これにより、複数の接続端子50は、複数の接続端子24に接続する方向(電気接続的接続方向)に付勢力を発生する。したがって、複数の接続端子50と複数の接続端子24との接続抵抗を低くでき、電気的接続の信頼性は向上する。
【0070】
このような状態において、凸部40の天面壁401と凹部230の底面壁23とは対向する。さらに、凸部40の側面壁403は、凹部230の側面壁233に対向する。凸部40の側面壁404は、凹部230の側面壁234に対向する。凸部40の側面壁405は、凹部230の側面壁235に対向する。凸部40の側面壁406は、凹部230の側面壁236に対向する。
【0071】
天面壁401と底面壁23の対向面間の距離(第1電気接続部と第2電気接続部とが対向する距離)は、Gec(以下、空間距離Gecとする。)である。なお、より詳細には、空間距離Gecは、天面壁401における底面壁23側の表面であり、複数の接続端子24の周りの近接部の表面と、底面壁23における天面壁401側の表面であり、複数の接続端子50の周りの近接部の表面との距離である。すなわち、空間距離Gecは、接続端子の近接部の空間距離である。空間距離Gecが、天面壁401と底面壁23と対向領域においてバラツキを有する場合は、最小値が空間距離Gecとなる。空間距離Gecが本発明の「第2距離」に対応する。
【0072】
側面壁405と側面壁235との対向面間の距離(第1周囲部と第2周囲部とが対向する距離)は、Gnr(以下、周囲部の空間距離Gnrとする。)である。なお、より詳細には、周囲部の空間距離Gnrは、側面壁405における側面壁235側の表面と、側面壁235における側面壁405側の表面との距離である。周囲部の空間距離Gnrが、側面壁405と側面壁235と対向領域においてバラツキを有する場合は、最大値が周囲部の空間距離Gnrとなる。空間距離Gnrが本発明の「第1距離」に対応する。
【0073】
同様に、側面壁403と側面壁233とは、周囲部の空間距離Gnrで対向し、側面壁404と側面壁234とは、周囲部の空間距離Gnrで対向し、側面壁406と側面壁236とは、周囲部の空間距離Gnrで対向する。この際、側面壁403と側面壁233との空間距離Gnr、側面壁404と側面壁234との空間距離Gnr、側面壁405と側面壁235との空間距離Gnr、および、側面壁406と側面壁236との空間距離Gnrが異なる場合は、最大値が周囲部の空間距離Gnrとなる。
【0074】
図12に示すように、周囲部の空間距離Gnrは、接続端子の近接部の空間距離Gecよりも短い。例えば、周囲部の空間距離Gnrは、0.7mm以下であり、特に約0.15mmであることが好ましい。一方、接続端子の近接部の空間距離Gecは、0.8mm以上である。
【0075】
このような構成では、ベースユニット30の上面壁311とメインユニット20の下面壁202との間(凹部230と凸部40とが対向する部分よりも外側)に水が存在した状態でメインユニット20がベースユニット30に装着されると、図12(B)に示すように、水は、側面壁405と側面壁235とが対向する部分(周囲部における狭小領域ZNnr)まで達するが、天面壁401と底面壁23とが対向する接続端子の近接部には到達しない。
【0076】
この現象は、周囲部(狭小領域ZNnr)の空間距離Gnrが、接続端子の近接部の空間距離Gecよりも小さいことによる水の毛細管現象によって生じる。特に、上述のように、周囲部の空間距離Gnrが約0.15mm以下であることによって、毛細管現象をより確実に生じさせることができる。
【0077】
したがって、CPAP装置10は、ベースユニット30の上面壁311の表面に水が存在していても、接続端子の近接部への水の浸入を防ぐことができる。これにより、CPAP装置10は、複数の接続端子24の不所望な短絡、複数の接続端子50の不所望な短絡を抑制できる。特に、上述のように、周囲部の空間距離Gnrが約0.15mm以下であることによって、毛細管現象による周囲部での水の保持と、接続端子の近接部への水の浸入をより確実に抑制できる。
【0078】
なお、周囲部の空間距離Gnrは、上述の具体例に限るものではない。周囲部(狭小領域ZNnr)の空間距離Gnrは、接続端子の近接部の空間距離Gecよりも短く、CPAP装置10で扱う水等の液体と凸部40および凹部230の各側面壁との密着性に基づいて、毛細血管現象が生じるように設定されていればよい。
【0079】
また、上述の構成では、平面視して接続端子の近接部を囲む全周に狭小領域ZNnrを備える場合を示した。しかしながら、狭小領域ZNnrが部分的に存在しない構成であっても、狭小領域ZNnrが全く存在しない構成よりも、接続端子の近接部への水の浸入抑制効果は得られる。また、狭小領域ZNnrが存在しない領域は、弾性のダム材等を上面壁311と下面壁202とで挟み込むように配置してもよい。
【0080】
また、CPAP装置10において、ベースユニット30の枠体344、345、345の高さを、凸部40の高さよりも低くする。言い換えれば、凸部40の高さは、ベースユニット30の枠体344、345、345の高さよりも大きい。これにより、CPAP装置10は、例えば、枠体344、345、345の高さまで、上面壁311上に水があっても、接続端子の近接部への水の浸入を抑制できる。
【0081】
(変形例1)
図13は、変形例1におけるメインユニットとベースユニットとの電気接続部を拡大した側面断面図である。
【0082】
変形例1のCPAP装置10Aは、上述のCPAP装置10に対して、ベースユニット30Aの凸部40Aの形状において異なる。CPAP装置10Aの他の構成は、CPAP装置10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0083】
凸部40Aは、天面壁401の周部に、天面壁401の表面から上方に突出する枠体49を備える。
【0084】
この構成によって、CPAP装置10Aは、接続端子の近接部への水の浸入をさらに抑制できる。
【0085】
(変形例2)
図14は、変形例2におけるメインユニットとベースユニットとの電気接続部を拡大した側面断面図である。
【0086】
変形例2のCPAP装置10Bは、上述のCPAP装置10に対して、ベースユニット30Bに凹部40Bを備える点で異なる。CPAP装置10Bの他の構成は、CPAP装置10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0087】
ベースユニット30Bは、凹部40Bを備える。凹部40Bは、上述の凸部40を筐体31の内部空間S31側に形成したものである。言い換えれば、凹部40Bは、筐体31の内部空間S31側の突起する形状である。
【0088】
CPAP装置10Bは、周囲部の狭小領域ZNnrを、メインユニット20の下面壁202とベースユニット30Bの上面壁311との対向部によって形成する。
【0089】
このような構成によって、CPAP装置10Bは、CPAP装置10と同様の作用効果を奏することができる。
【0090】
<1> 送風機を含む第1電気回路、および、前記第1電気回路に接続する第1接続端子を備えるメインユニットと、
前記メインユニットと連結可能であり、送風管、第2電気回路、前記第2電気回路に接続する第2接続端子を備えるベースユニットと、
を備え、
前記メインユニットは、前記第1接続端子の露出部を含む第1電気接続部と、前記第1電気接続部を囲む第1周囲部とを有し、
前記ベースユニットは、前記第2接続端子の露出部を含む第2電気接続部と、前記第2電気接続部を囲む第2周囲部とを有し、
前記第1周囲部と前記第2周囲部とが対向する第1距離は、前記第1電気接続部における前記第1接続端子の周りの近接部と前記第2電気接続部における前記第2接続端子の周りの近接部とが対向する第2距離よりも短い箇所を有する、CPAP装置。
【0091】
<2> 前記第1電気接続部における前記第1接続端子の周りの近接部と前記第2電気接続部における前記第2接続端子の周りの近接部とが対向する部分の周囲の全周に亘って、
前記第1距離は、前記第2距離よりも短い、<1>のCPAP装置。
【0092】
<3> 前記メインユニットは第1面を有し、前記第1電気接続部は、前記第1面から凹む凹部の底面に配置され、
前記ベースユニットは第2面を有し、前記第2電気接続部は、前記第2面から突出する凸部の天面に配置され、
前記第1周囲部は、前記凹部の側面であり、前記第2周囲部は、前記凸部の側面である、<1>または<2>のCPAP装置。
【0093】
<4> 前記ベースユニットの前記第2面には、前記第2周囲部の外側に、前記凸部よりも高い第1枠体を備える、<3>のCPAP装置。
【0094】
<5> 前記第2電気接続部は、前記第2面に直交する方向から視て前記第2接続端子を囲む第2枠体を備える、<3>または<4>のCPAP装置。
【0095】
<6> 前記第1距離は、0.15mmである、<1>乃至<5>のいずれかのCPAP装置。
【0096】
<7> 前記ベースユニットは、水を貯留する貯留タンクを備える、<1>乃至<6>のいずれかのCPAP装置。
【符号の説明】
【0097】
10、10A、10B:CPAP装置
20:メインユニット
21:フィルタカバー
22:エアフィルタ
23:底面壁
24:接続端子
25:溝
26:電源ポート
29:操作ボタン
30、30A、30B:ベースユニット
31、32:筐体
35:送風管
36:吸気口
38:排気口
39:吸気口
390:貯水タンク
40、40A:凸部
40B:凹部
49:枠体
50:接続端子
60:フック部材
200:筐体
201:上面壁
202:下面壁
203、204、205、206:側面壁
230:凹部
231:凹部
233、234、235、236:側面壁
240:回路基板
281:吸気口
290:筒体
291:排気口
311:上面壁
312:下面壁
313、314、315、316:側面壁
323、324、325、326:側面壁
344、345、346:枠体
350:開口
401:天面壁
403、404、405、406:側面壁
500:回路基板
600:溝
3110、3220:開口
ECb:電子部品
Gec:近接部の空間距離
Gnr:周囲部の空間距離
S200、S31、S32:内部空間
ZNnr:狭小領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14