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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055063
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】配線モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/298 20210101AFI20240411BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20240411BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20240411BHJP
   H01M 50/557 20210101ALI20240411BHJP
   H01M 50/50 20210101ALI20240411BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20240411BHJP
   H01M 50/591 20210101ALI20240411BHJP
   H01M 50/569 20210101ALI20240411BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240411BHJP
【FI】
H01M50/298
H01M50/211
H01M50/548 301
H01M50/557
H01M50/50 201Z
H01M50/588 101
H01M50/591
H01M50/569
H01M50/204 401D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161666
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社AESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高田 孝太郎
(72)【発明者】
【氏名】中山 治
(72)【発明者】
【氏名】池田 修哉
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 克司
(72)【発明者】
【氏名】井澤 貴美
(72)【発明者】
【氏名】中井 昌之
(72)【発明者】
【氏名】柳原 康宏
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA03
5H040AA22
5H040AS07
5H040AT04
5H040AT06
5H040AY06
5H040DD03
5H040JJ03
5H040NN03
5H043AA13
5H043AA19
5H043AA20
5H043CA08
5H043DA01
5H043FA04
5H043FA36
5H043JA09F
5H043LA22F
(57)【要約】
【課題】配線モジュールを提供する。
【解決手段】配線モジュール20は、電極リード12を備えるラミネート型電池11が複数個積層されて構成され、ラミネート型電池11の電極リード12同士が重ね合わせられて接合された接合部13を備える電池積層体11Lに対して、接合部13の板厚方向に直交する組み付け方向に組み付けられる配線モジュール20であって、端子30と、端子30に接続される電線45と、端子30と電線45とを保持するプロテクタ50と、を備え、電極リード12のうち、接合部13を構成するものは、接合電極リード12Aとされており、端子30は、接合電極リード12Aに電気的に接続される電極接続部31を備え、プロテクタ50は、プロテクタ本体51と、端子30を位置決めして収容する端子収容部56と、を備え、端子収容部56は、プロテクタ本体51にヒンジ部57を介して遊動自在に結合されている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極リードを備えるラミネート型電池が複数個積層されて構成され、前記ラミネート型電池の前記電極リード同士が重ね合わせられて接合された接合部を備える電池積層体に対して、前記接合部の板厚方向に直交する組み付け方向に組み付けられる配線モジュールであって、
端子と、
前記端子に接続される電線と、
前記端子と前記電線とを保持するプロテクタと、を備え、
前記電極リードのうち、前記接合部を構成するものは、接合電極リードとされており、
前記端子は、前記接合電極リードに電気的に接続される電極接続部を備え、
前記プロテクタは、プロテクタ本体と、前記端子を位置決めして収容する端子収容部と、を備え、
前記端子収容部は、前記プロテクタ本体にヒンジ部を介して遊動自在に結合されている、配線モジュール。
【請求項2】
前記ヒンジ部は、複数の肉薄部を備えて構成されている、請求項1に記載の配線モジュール。
【請求項3】
前記ヒンジ部は、1つの前記端子収容部につき、複数設けられている、請求項1または請求項2に記載の配線モジュール。
【請求項4】
前記端子は、前記電極接続部に連なって設けられ、前記組み付け方向における奥方に向かうほど前記板厚方向における一方側に位置するように傾斜する傾斜面を備え、
前記傾斜面は、前記接合電極リードが配され得る前記板厚方向における位置の範囲の少なくとも一部を含むように配されている、請求項1または請求項2に記載の配線モジュール。
【請求項5】
前記端子収容部は、前記板厚方向について前記電極接続部と対向して配される電極支持片を備え、
前記傾斜面は、前記組み付け方向における奥方に向かうほど前記電極支持片から離れるように傾斜しており、
前記接合電極リードが前記板厚方向について前記電極接続部と前記電極支持片との間に配されるようになっている、請求項4に記載の配線モジュール。
【請求項6】
前記電極支持片の前記組み付け方向における奥方側の端部には、前記組み付け方向における奥方に向かうほど前記板厚方向における他方側に位置するように傾斜する電極支持片側傾斜面が設けられ、
前記電極支持片側傾斜面は、前記接合電極リードが配され得る前記板厚方向における位置の範囲の少なくとも一部を含むように配されている、請求項5に記載の配線モジュール。
【請求項7】
前記板厚方向及び前記組み付け方向に直交する方向は、端子幅方向とされており、
前記端子収容部は、前記電極接続部の前記端子幅方向における両側に、前記傾斜面より前記組み付け方向における奥方にのびる一対の端子保護アームを備え、
前記一対の端子保護アームは、前記接合電極リードに対して前記板厚方向における一方側に配されるようになっている、請求項6に記載の配線モジュール。
【請求項8】
前記一対の端子保護アームの前記組み付け方向における奥方側の端部には、前記組み付け方向における奥方に向かうほど前記板厚方向における一方側に位置するように傾斜する端子保護アーム側傾斜面が設けられ、
前記端子保護アーム側傾斜面は、前記接合電極リードが配され得る前記板厚方向における位置の範囲の少なくとも一部を含むように配されている、請求項7に記載の配線モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車等に用いられる高圧のバッテリーパックは、通常、多数のバッテリーセルが積層され、配線モジュールによって直列あるいは並列に電気接続されている。このような配線モジュールとして、従来、特表2020-527848号公報(下記特許文献1)に記載のものが知られている。特許文献1に記載のバッテリーモジュールは、前端部及び後端部に電極リードを備えたバッテリーセルが左右方向に複数個積層されたセルアセンブリーと、上下左右の4つの側壁によって構成される内部空間にセルアセンブリーを収容するように構成されたモジュールハウジングと、セルアセンブリーの前後に組み付けられ、セルアセンブリーと外部デバイスとの電気的接続をなすエンドフレームと、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2020-527848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成では、セルアセンブリーは、隣り合うバッテリーセルの電極リードが互いに近づくように折り曲げられ、重ねられて、電気的に接続されている部分を有するため、電極リード同士を接続するバスバーを設ける必要がない。電極リードは、エンドフレームに設けられるモジュール端子に電気的に接続されるようになっている。しかし、電極リード同士が接続された部分には、電極リードの折り曲げ加工や、電極リード同士の溶接により、特に前後方向に大きな製造公差が生じやすい。このため、セルアセンブリーにエンドフレームを組み付ける際、電極リードとモジュール端子とが十分に接触していない状態で溶接がされ、電気的接続が不良となる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の配線モジュールは、電極リードを備えるラミネート型電池が複数個積層されて構成され、前記ラミネート型電池の前記電極リード同士が重ね合わせられて接合された接合部を備える電池積層体に対して、前記接合部の板厚方向に直交する組み付け方向に組み付けられる配線モジュールであって、端子と、前記端子に接続される電線と、前記端子と前記電線とを保持するプロテクタと、を備え、前記電極リードのうち、前記接合部を構成するものは、接合電極リードとされており、前記端子は、前記接合電極リードに電気的に接続される電極接続部を備え、前記プロテクタは、プロテクタ本体と、前記端子を位置決めして収容する端子収容部と、を備え、前記端子収容部は、前記プロテクタ本体にヒンジ部を介して遊動自在に結合されている、配線モジュールである。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、電極リードと端子との接触不良を抑制することができる配線モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態1にかかる蓄電モジュールの斜視図である。
図2図2は、蓄電モジュールの正面図である。
図3図3は、端子収容部周辺を示す蓄電モジュールの拡大正面図である。
図4図4は、蓄電モジュールの背面図である。
図5図5は、端子収容部周辺を示す蓄電モジュールの拡大斜視図である。
図6図6は、端子収容部周辺を示すプロテクタの拡大斜視図である。
図7図7は、端子の斜視図である。
図8図8は、電池積層体の斜視図である。
図9図9は、電池積層体に配線モジュールを組み付け方向に組み付ける様子を示す図である。
図10図10は、図2のA-A断面図である。
図11図11は、図3のB-B断面においてヒンジ部が変形していない状態を示す図である。
図12図12は、図3のB-B断面において接合電極リードの端部が傾斜面に接触した状態を示す図である。
図13図13は、図3のB-B断面においてヒンジ部が変形することにより端子収容部が前方に移動した状態で接合電極リードと電極接続部とが接続された状態を示す図である。
図14図14は、図3のB-B断面においてヒンジ部が変形することにより端子収容部が後方に移動した状態で接合電極リードと電極接続部とが接続された状態を示す図である。
図15図15は、図3のC-C断面図である。
図16図16は、図3のD-D断面図である。
図17図17は、図3のD-D断面において接合電極リードが左側に向かうにつれて後方に配されている状態を示す図である。
図18図18は、図3のE-E断面において接合電極リードが反り部を有する状態を示す図である。
図19図19は、図12のF-F断面図である。
図20図20は、実施形態2にかかる端子収容部周辺を示す蓄電モジュールの拡大正面図である。
図21図21は、図20のG-G断面図である。
図22図22は、図20のG-G断面において端子収容部が回転した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。
【0009】
(1)本開示の配線モジュールは、電極リードを備えるラミネート型電池が複数個積層されて構成され、前記ラミネート型電池の前記電極リード同士が重ね合わせられて接合された接合部を備える電池積層体に対して、前記接合部の板厚方向に直交する組み付け方向に組み付けられる配線モジュールであって、端子と、前記端子に接続される電線と、前記端子と前記電線とを保持するプロテクタと、を備え、前記電極リードのうち、前記接合部を構成するものは、接合電極リードとされており、前記端子は、前記接合電極リードに電気的に接続される電極接続部を備え、前記プロテクタは、プロテクタ本体と、前記端子を位置決めして収容する端子収容部と、を備え、前記端子収容部は、前記プロテクタ本体にヒンジ部を介して遊動自在に結合されている。
【0010】
このような構成によると、配線モジュールが電池積層体に組み付けられる際、電極接続部が接合電極リードに沿うように移動しやすいため、接合電極リードと端子との接触不良を抑制することができる。
【0011】
(2)前記ヒンジ部は、複数の肉薄部を備えて構成されていることが好ましい。
【0012】
このような構成によると、ヒンジ部が変形しやすくなり、端子収容部がプロテクタ本体に対して動きやすくなる。
【0013】
(3)前記ヒンジ部は、1つの前記端子収容部につき、複数設けられていることが好ましい。
【0014】
このような構成によると、端子収容部のプロテクタ本体に対する動きを制御しやすい。
【0015】
(4)前記端子は、前記電極接続部に連なって設けられ、前記組み付け方向における奥方に向かうほど前記板厚方向における一方側に位置するように傾斜する傾斜面を備え、前記傾斜面は、前記接合電極リードが配され得る前記板厚方向における位置の範囲の少なくとも一部を含むように配されていることが好ましい。
【0016】
このような構成によると、配線モジュールが電池積層体に組み付けられる際、傾斜面が接合電極リードの組み付け方向における手前側の端部に摺接することで、端子が接合電極リードに対して板厚方向に移動することができるため、電極接続部が接合電極リードに沿うように移動しやすい。
【0017】
(5)前記端子収容部は、前記板厚方向について前記電極接続部と対向して配される電極支持片を備え、前記傾斜面は、前記組み付け方向における奥方に向かうほど前記電極支持片から離れるように傾斜しており、前記接合電極リードが前記板厚方向について前記電極接続部と前記電極支持片との間に配されるようになっていることが好ましい。
【0018】
このような構成によると、配線モジュールが電池積層体に組み付けられる際、電極接続部と電極支持片との間に接合電極リードが配されるため、電極接続部が接合電極リードに沿うように移動しやすい。
【0019】
(6)前記電極支持片の前記組み付け方向における奥方側の端部には、前記組み付け方向における奥方に向かうほど前記板厚方向における他方側に位置するように傾斜する電極支持片側傾斜面が設けられ、前記電極支持片側傾斜面は、前記接合電極リードが配され得る前記板厚方向における位置の範囲の少なくとも一部を含むように配されていることが好ましい。
【0020】
このような構成によると、配線モジュールが電池積層体に組み付けられる際、電極支持片側傾斜面が接合電極リードの組み付け方向における手前側の端部に摺接することで、端子収容部が接合電極リードに対して板厚方向に移動することができるため、電極接続部と電極支持片との間に接合電極リードが配されやすくなる。
【0021】
(7)前記板厚方向及び前記組み付け方向に直交する方向は、端子幅方向とされており、前記端子収容部は、前記電極接続部の前記端子幅方向における両側に、前記傾斜面より前記組み付け方向における奥方にのびる一対の端子保護アームを備え、前記一対の端子保護アームは、前記接合電極リードに対して前記板厚方向における一方側に配されるようになっていることが好ましい。
【0022】
このような構成によると、端子保護アームにより端子を保護することができる。
【0023】
(8)前記一対の端子保護アームの前記組み付け方向における奥方側の端部には、前記組み付け方向における奥方に向かうほど前記板厚方向における一方側に位置するように傾斜する端子保護アーム側傾斜面が設けられ、前記端子保護アーム側傾斜面は、前記接合電極リードが配され得る前記板厚方向における位置の範囲の少なくとも一部を含むように配されていることが好ましい。
【0024】
このような構成によると、配線モジュールが電池積層体に組み付けられる際、端子保護アーム側傾斜面が接合電極リードの組み付け方向における手前側の端部に摺接することで、端子収容部が接合電極リードに対して板厚方向に移動することができるため、電極接続部と電極支持片との間に接合電極リードが配されやすくなる。
【0025】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0026】
<実施形態1>
本開示の実施形態1について、図1から図19を参照しつつ説明する。本実施形態の配線モジュール20を備えた蓄電モジュール10は、例えば、電気自動車またはハイブリッド自動車等の車両に搭載されて、車両の駆動源として用いられる。以下の説明においては、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材の符号を省略する場合がある。以下では、矢線Xの示す方向を下方、矢線Yの示す方向を左方、矢線Zの示す方向を前方として説明する。
【0027】
[電池積層体]
蓄電モジュール10は、図8に示す電池積層体11Lと、図9に示すように電池積層体11Lの前側および後側に組み付けられる配線モジュール20と、を備える。図1及び図9に示すように、本実施形態の蓄電モジュール10は、さらに電池積層体11Lを上下左右の四方から覆う筐体14を備える。筐体14は、電池積層体11Lの下面側に配される底部15と、電池積層体11Lの上面側に配される天井部16と、底部15と天井部16とを左右両側において接続する一対の側方部17と、からなる。
【0028】
[組み付け方向]
図9に示すように、本実施形態の配線モジュール20は、筐体14に収容された電池積層体11Lに対して、組み付け方向(矢線Xの示す方向)に組み付けられるようになっている(詳細は後述する)。本明細書では、便宜上、矢線Xの示す方向を下方に統一し、組み付け方向を下方として説明するが、例えば、組み付け方向が前方や左方となるように、電池積層体11Lや配線モジュール20を配置してもよい。また、電池積層体11Lに配線モジュール20を組み付ける時と蓄電モジュール10の使用時において、明細書における矢線Xの示す方向に対応する方向(電極リード12の幅方向)は同一でなくてもよい。
【0029】
[ラミネート型電池、電極リード]
図8に示すように、電池積層体11Lは、ラミネート型電池11が左右方向に複数個(本実施形態では8個)積層されて構成されている。ラミネート型電池11は、前後方向に長く、左右方向に扁平な形状をなしている。ラミネート型電池11の内部には、蓄電要素(図示せず)が収容されている。ラミネート型電池11の前後方向の両側には、一対の電極リード12が配置され、互いに反対方向を向くようにして突出している。一対の電極リード12は、板状をなし、互いに反対の極性を有している。
【0030】
[接合部、接合電極リード、板厚方向、端子幅方向]
図8に示すように、電池積層体11Lには、隣り合うラミネート型電池11の電極リード12同士が電気的に接続された接合部13が設けられている。すなわち、電極リード12が、直角に左方または右方に折り曲げられ、重ね合わせられて、レーザー溶接により接合されることにより、接合部13が構成されている。接合部13の板厚方向は、前後方向とされている。接合部13の板厚方向及び組み付け方向に直交する方向は、端子幅方向(本実施形態では左右方向)とされている。電極リード12のうち、接合部13を構成するものは、接合電極リード12Aとされている。
【0031】
接合部13の形成工程には、電極リード12の折り曲げ加工や、レーザー溶接等が含まれるため、特に接合部13(及び接合電極リード12A)の板厚方向における公差が大きくなりやすい。例えば、本実施形態では、接合部13(及び接合電極リード12A)の板厚方向における公差は、電極リード12の厚みに比べて大きな数値となっている。
【0032】
[正規位置範囲]
接合電極リード12Aの板厚方向の公差を考慮すると、図12に示すように、接合電極リード12Aの前後方向における位置は、幅を有することとなる。以下、接合電極リード12Aが配され得る前後方向における位置の範囲を、正規位置範囲WTとする。なお、以下の説明で参照する図11から図15においては、見易さのために、断面を含む接合部13(接合電極リード12A)、端子30、端子収容部56、ヒンジ部57等について図示し、端部電極リード12Bやバスバー40等の一部の背景については図示を省略する。
【0033】
図8に示すように、電極リード12のうち、接合電極リード12A以外のもの、すなわち、接合部13を構成しないものは、端部電極リード12Bとされている。端部電極リード12Bは、電池積層体11Lの両端部に配され、前方に突出している。端部電極リード12Bは、電池積層体11L全体の正極あるいは負極を構成している。
【0034】
[配線モジュール]
図2に示すように、本実施形態の配線モジュール20は、接合電極リード12Aに接続される端子30と、端部電極リード12Bに接続されるバスバー40と、端子30またはバスバー40に接続される電線45と、端子30とバスバー40と電線45とを保持するプロテクタ50と、を備えている。以下では、電池積層体11Lの前側に配される配線モジュール20の構成について詳細に説明する。図4に示すように、電池積層体11Lの後側に配される配線モジュール20は、バスバー40を備えていない点を除き、電池積層体11Lの前側に配される配線モジュール20と同様に構成されている。
【0035】
[プロテクタ]
図1に示すように、プロテクタ50は、絶縁性の合成樹脂からなり、板状をなしている。プロテクタ50は、筐体14(及び電池積層体11L)に対して位置決めされるプロテクタ本体51を備える。詳細な構成については説明を省略するが、プロテクタ本体51と筐体14とは、組み付け方向にのびるとともに互いに係合する凹凸形状を有しており、電池積層体11Lに対する配線モジュール20の組み付けが案内されるようになっている。
【0036】
図2に示すように、プロテクタ本体51の上下方向の中央部には、左右方向に並列して、電極受け部54が設けられている。電極受け部54は、前後方向に貫通形成され、上下に長い矩形状をなしている。電極受け部54は、接合部13及び接合電極リード12Aを受け入れる接合電極受け部54Aと、端部電極リード12Bを受け入れる端部電極受け部54Bと、から構成されている。図10に示すように、電極受け部54の下側は、下方にも開口しており、配線モジュール20の組み付けの際、電極リード12が電極受け部54と干渉しないようになっている。
【0037】
図2に示すように、端部電極受け部54Bの上側及び下側には、バスバー40を保持するバスバー保持部55が設けられている。上側のバスバー保持部55の近傍には、バスバー40をボルト締結するためのボルト締結部55Aが設けられている。図6に示すように、接合電極受け部54Aの上側には、端子30を位置決めして収容する端子収容部56が設けられている。端子収容部56は、プロテクタ本体51に1つのヒンジ部57を介して結合されている。
【0038】
[ヒンジ部]
図11に示すように、ヒンジ部57は、プロテクタ本体51から前方に突出する突出片58と、突出片58から組み付け方向の奥方(下方)にのび、端子収容部56に接続される延長片59と、を備える。ヒンジ部57は、端子収容部56と延長片59との結合部分、延長片59と突出片58との結合部分、及び突出片58とプロテクタ本体51との結合部分に、周囲より板厚方向に肉薄化された肉薄部60を備える。肉薄部60は、側方視でU字状をなす溝状に形成され、左右方向にのびている。端子収容部56と延長片59との結合部分、及び延長片59と突出片58との結合部分に設けられた肉薄部60は、第1肉薄部60Aとされている。突出片58とプロテクタ本体51との結合部分に設けられた肉薄部60は、第2肉薄部60Bとされている。第1肉薄部60Aは、第2肉薄部60Bよりもさらに肉薄に形成されている。
【0039】
図13及び図14に示すように、端子収容部56に力が加わった際、肉薄部60が折り目として機能することで、ヒンジ部57は折れ曲がって変形できるように構成されている。すなわち、ヒンジ部57が変形することにより、端子収容部56はプロテクタ本体51に対して遊動自在とされている。後述するように、ヒンジ部57は、特に肉薄である第1肉薄部60Aにおいて折れ曲がることで変形しやすくなっている。
【0040】
[端子収容部]
図6に示すように、端子収容部56は、ヒンジ部57に結合されるバレル収容凹部61と、組み付け方向における奥方側に配される電極支持片62と、バレル収容凹部61と電極支持片62との間に配される中央枠部63と、を備える。バレル収容凹部61は、組み付け方向にのび、後方に窪んだ門形状をなしている。図5に示すように、バレル収容凹部61には、端子30のワイヤーバレル部35A、インシュレーションバレル部35B、及び電線45の一部が収容されるようになっている。
【0041】
[電極支持片]
図11に示すように、電極支持片62は、板状の部材であって、端子30の電極接続部31の後方に配されるようになっている。電極支持片62は、中央枠部63の左右中央部の下端部から下方にのびるとともに、やや前方に傾いている。電極支持片62の下端部には、下方に向かうほど後側に位置するように傾斜する電極支持片側傾斜面62Aが設けられている。図12に示すように、配線モジュール20が電池積層体11Lに組み付けられる際、電極支持片側傾斜面62Aは、正規位置範囲WTの後側部分を含むように配されている。
【0042】
図15及び図19に示すように、中央枠部63の内部には、下側当接部64A及び上側当接部64Bが上下方向に間隔を空けて設けられている。下側当接部64Aは端子30の屈曲部33の左右方向中央付近に下側から当接するように配されている。上側当接部64Bは屈曲部33の左右方向の両端部に上側から当接するように配されている。したがって、下側当接部64A及び上側当接部64Bは、上下方向における端子30の変位を抑制する第1変位抑制部65を構成している。
【0043】
図15に示すように、上側当接部64Bの前側部分には、下方に突出する係止突起66が設けられている。係止突起66は、後方に向かうほど下方に位置するように傾斜する係合面66Aと、屈曲部33と垂直に配され、係止突起66の後端面とされる前方係止部66Bと、を有する。係合面66Aに対して屈曲部33の後端部を滑らせることにより、容易に端子30を端子収容部56に収容することができる。前方係止部66Bは、屈曲部33の前端部に係止することで、端子30が前方に変位することを抑制する。図11に示すように、中央枠部63の後側部分には、屈曲部33の後端部に当接する後方係止部63Aが設けられている。後方係止部63Aは、端子30が後方に変位することを抑制する。
【0044】
図6に示すように、中央枠部63の下側の壁部には、切り欠き状をなして第2変位抑制部68が設けられている。図5及び図16に示すように、第2変位抑制部68は、端子30の電極接続部31に左右両側から当接可能に配されており、左右方向における端子30の変位を抑制するようになっている。
【0045】
[端子保護アーム]
図5に示すように、中央枠部63の左右両側の下端部には、一対の端子保護アーム67が下方にのびて設けられている。一対の端子保護アーム67は、電極接続部31の左右両側に配されるようになっている。図11に示すように、端子保護アーム67は、接合電極リード12Aに対して前側に配されるとともに、傾斜面32よりも下方にのびている。端子保護アーム67の下端部には、下方に向かうほど前方側に位置するように傾斜する端子保護アーム側傾斜面67Aが設けられている。図12に示すように、配線モジュール20が電池積層体11Lに組み付けられる際、端子保護アーム側傾斜面67Aは、正規位置範囲WTの前側部分を含むように配されている。
【0046】
[端子]
図7に示すように、端子30は、導電性の金属板材を加工して設けられている。端子30は、電極接続部31と、電極接続部31の組み付け方向の奥方(下方)に連なって設けられる傾斜面32と、電極接続部31の上端部から後方にのびて設けられる屈曲部33と、を備える。電極接続部31と傾斜面32の間には、下方に向かうにつれて幅狭に形成された台形部38が設けられている。屈曲部33の後端部には、連結部34を介して、電線接続部35が接続されている。電線接続部35は、電線45の芯線46と圧着されるワイヤーバレル部35Aと、電線45の絶縁被覆47と圧着されるインシュレーションバレル部35Bと、から構成されている。
【0047】
図11に示すように、端子30は、接合部13あるいは接合部13を構成する接合電極リード12Aの一部に接続される態様とされている。すなわち、端子30は、隣り合う接合電極リード12A間を接続するための部材ではなく、予め接続された接合電極リード12A(接合部13)と電線45との間を接続するための部材である。このため、端子30の上下方向の寸法は、接合電極リード12Aの上下方向の寸法に比べて小さくてもよい。
【0048】
[電極接続部]
図12に示すように、配線モジュール20において、電極接続部31は電極支持片62の前方に間隔を空けて配されている。前後方向における電極接続部31と電極支持片62との間の最小寸法は、接合部13の板厚寸法と略同一とされている。図11に示すように、配線モジュール20が電池積層体11Lに組み付けられた状態では、接合電極リード12Aが前後方向について電極接続部31と電極支持片62との間に配されるようになっている。電極接続部31は、レーザー溶接により、接合電極リード12Aに電気的に接続される。
【0049】
[屈曲部]
図15に示すように、屈曲部33は、上下方向を厚み方向とする板状をなし、接合部13と垂直に配されるようになっている。配線モジュール20において、屈曲部33は、下側当接部64Aと上側当接部64Bとの間に配されている。図7に示すように、屈曲部33の左右両側の前端部には、切り欠き状をなす前方被係止部37が設けられている。図15に示すように、前方被係止部37は、前方係止部66Bと係止するように配されている。図11に示すように、屈曲部33の後端部は、後方被係止部36とされており、後方係止部63Aに当接するように配されている。
【0050】
[傾斜面]
図12に示すように、傾斜面32は、下方に向かうほど前側に位置するように傾斜して設けられている。すなわち、傾斜面32は、下方に向かうほど電極支持片62から前後方向について離れるように傾斜している。配線モジュール20が電池積層体11Lに組み付けられる際、傾斜面32は、正規位置範囲WTの前側部分を含むように配されている。
【0051】
図3に示すように、傾斜面32は、電極接続部31の左右中央位置の下端部に連なって形成されており、傾斜面32の左右方向における寸法D1は、電極接続部31の左右方向における寸法D2より小さくなっている。したがって、電極接続部31と接合電極リード12Aとを図示しない治具で密着させてレーザー溶接を行う際、傾斜面32を避けて電極接続部31の左右両端部を治具で押さえつつ、電極接続部31の中央部を溶接することができる。
【0052】
図3に示すように、電極接続部31と傾斜面32の間には、台形部38が電極接続部31と面一に設けられている。台形部38は、下方に向かうにつれて左右方向における寸法が小さくなっている。台形部38は左右方向について対称な形状を有する。台形部38の下端部は、電極接続部31に対して左右方向中央位置に配され、傾斜面32に連なっている。台形部38の下端部の左右方向における寸法D3は、傾斜面32の左右方向における寸法D1と同一とされている。台形部38は、傾斜面32の左右両端部と電極接続部31の左右両端部とを連続的に接続する外縁部38Aを有する。
【0053】
[バスバー]
バスバー40は、板状の形状をなし、導電性の金属板材を加工することにより形成されている。図2に示すように、バスバー40は、板厚方向が左右方向となるように、プロテクタ50のバスバー保持部55に保持される。図1に示すように、バスバー40の中央部分は、端部電極リード12Bが接続されるバスバー本体部41となっている。バスバー本体部41と端部電極リード12Bとを接続する際、端部電極リード12Bは、バスバー本体部41に当接するように適宜折り曲げてもよい。バスバー40の上部には、バスバー本体部41に対して左方または右方に折り曲げられたバスバー側接続部42が設けられている。
【0054】
図2に示すように、バスバー側接続部42は、ボルト42Aが挿通される貫通孔(図示せず)を有し、プロテクタ50のボルト締結部55Aにボルト締結されるようになっている。図1に示すように、バスバー側接続部42の上には、外部接続端子43及び中継端子44が重ねられ、バスバー側接続部42とともにボルト締結されるようになっている。これにより、バスバー側接続部42は、外部接続端子43及び中継端子44と電気的に接続される。外部接続端子43は、蓄電モジュール10の左方または右方に突出して配される導電性の金属板であって、図示しない外部機器と蓄電モジュール10とを接続するために用いられる。中継端子44は、導電性の金属板材からなり、バスバー側接続部42と電線45とを接続するためのものである。中継端子44は、端子30と同様に電線45に接続されている。
【0055】
[電線]
図3に示すように、電線45は、芯線46(図3及び図7以外では図示省略)と、芯線46を覆う絶縁被覆47と、を有している。図2に示すように、電線45の一方の端部は端子30または中継端子44と接続されており、電線45の他方の端部は一束にまとめられ、コネクタ48に接続されている。電線45は、プロテクタ50の上側に設けられた配索用突起69、電線留め部70、配索用溝71等によりプロテクタ50の所定位置に配索されるようになっている。
【0056】
コネクタ48は、絶縁性の合成樹脂製であって、図1に示すように、ブロック状をなしている。コネクタ48の内部には、図示しない雌端子が収容されるようになっている。コネクタ48は、雄端子を有する相手側コネクタ(図示せず)と嵌合するようになっている。相手側コネクタは、図示しない電線を介して外部のECU(Electronic Control Unit)等に接続されている。ECUは、マイクロコンピュータ、素子等が搭載されたものであって、各ラミネート型電池11の電圧、電流、温度等の検知や、各ラミネート型電池11の充放電制御コントロール等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
【0057】
本実施形態は以上のような構成であって、以下に配線モジュール20を電池積層体11Lに対して組み付ける際の端子30の動きについて説明する。
【0058】
まず、接合電極リード12Aが左右方向において同一の前後方向の位置を占める場合について考える。図12に示すように、接合電極リード12Aが正規位置範囲WTの前側に配された場合、接合電極リード12Aの上端部は、端子保護アーム側傾斜面67Aに当たるようになっている。接合電極リード12Aと端子保護アーム側傾斜面67Aとが接触したとき、端子収容部56には、組み付け方向の手前側(上方)に向かう力がかかる。端子収容部56は、ヒンジ部57によりプロテクタ本体51に対して遊動可能とされているから、ヒンジ部57が主として第2肉薄部60Bにおいて折れ曲がることにより、端子収容部56にかかる上向きの力を吸収することができる(図6参照)。
【0059】
配線モジュール20が下方に移動するにつれて、接合電極リード12Aの上端部が端子保護アーム側傾斜面67Aに摺接することにより、端子収容部56が前方に移動しようとする。ここで、図13に示すように、ヒンジ部57が第1肉薄部60Aにおいて折れ曲がることにより、端子収容部56は、接合電極リード12Aの前後方向の位置に合わせて前方に移動する。接合電極リード12Aは傾斜面32とも摺接し、最終的に接合電極リード12A(接合部13)は電極接続部31と電極支持片62との間に配される。
【0060】
なお、本実施形態では、端子30の傾斜面32よりも下方に端子保護アーム側傾斜面67Aが設けられているため、接合電極リード12Aは傾斜面32より前に端子保護アーム側傾斜面67Aに摺接するようになっている。これにより、接合電極リード12Aと傾斜面32との摺接を最小限にすることができ、接合電極リード12Aと傾斜面32とが摺接せずに?み合ってしまうことを回避しやすい。
【0061】
接合電極リード12Aが正規位置範囲WTの後側に配された場合には、接合電極リード12Aの上端部は、電極支持片側傾斜面62Aに当たるようになっている(図12参照)。配線モジュール20が下方に移動するにつれて、接合電極リード12Aの上端部が電極支持片側傾斜面62Aに摺接することにより、端子収容部56が後方に移動する。ここで、図14に示すように、ヒンジ部57が第1肉薄部60Aにおいて折れ曲がることにより、端子収容部56は、接合電極リード12Aの前後方向の位置に合わせて後方に移動する。
【0062】
また、接合電極リード12Aがちょうど端子保護アーム側傾斜面67Aと電極支持片側傾斜面62Aとの間に配された場合には、接合電極リード12A(接合部13)はそのまま電極接続部31と電極支持片62との間に配される(図11参照)。すなわち、ヒンジ部57は変形せず、端子収容部56の位置も接合電極リード12Aを組み付ける前と変わらない。
【0063】
次に、接合電極リード12Aが左右方向において異なる前後方向の位置を占める場合、例えば、図17に示すように、接合電極リード12Aが左側に向かうにつれて後側に配されている場合について考える。接合電極リード12Aの右側部分は、正規位置範囲WTの前側に位置するため、図13に示す場合と同様に、端子収容部56の右側部分はヒンジ部57の変形により前方に移動する。一方、接合電極リード12Aの左側部分は、正規位置範囲WTの後側に位置するため、図14に示す場合と同様に、端子収容部56の左側部分はヒンジ部57の変形により後方に移動する。結果として、ヒンジ部57の変形する向きが左右方向について変化することで、図17に示すように、端子収容部56が上下方向(紙面垂直方向)にのびる軸を中心として回転するように移動することができる。したがって、電極接続部31と電極支持片62との間に接合電極リード12A(接合部13)を配することができる。
【0064】
最後に、図18に示すように、傾斜面32に当接しない位置に配された接合電極リード12Aが端子30側(前側)に反っている反り部12Cを有する場合を考える。なお、図18は、配線モジュール20を電池積層体11Lに組み付けている途中の状態であって、接合電極リード12Aの上端部が端子30に当たる前の状態を示しているものとする。本実施形態では、図3に示すように、傾斜面32と電極接続部31との間に、台形部38が連続的に左右方向に広がるように設けられている。このため、配線モジュール20を移動させ、端子30を接合電極リード12Aに接触させる際、接合電極リード12Aの反り部12Cは、台形部38の外縁部38Aと摺接することができる。これにより、接合電極リード12Aと電極接続部31との干渉が抑制される。
【0065】
[実施形態1の作用効果]
実施形態1によれば、以下の作用、効果を奏する。
実施形態1にかかる配線モジュール20は、電極リード12を備えるラミネート型電池11が複数個積層されて構成され、ラミネート型電池11の電極リード12同士が重ね合わせられて接合された接合部13を備える電池積層体11Lに対して、接合部13の板厚方向に直交する組み付け方向に組み付けられる配線モジュール20であって、端子30と、端子30に接続される電線45と、端子30と電線45とを保持するプロテクタ50と、を備え、電極リード12のうち、接合部13を構成するものは、接合電極リード12Aとされており、端子30は、接合電極リード12Aに電気的に接続される電極接続部31を備え、プロテクタ50は、プロテクタ本体51と、端子30を位置決めして収容する端子収容部56と、を備え、端子収容部56は、プロテクタ本体51にヒンジ部57を介して遊動自在に結合されている。
【0066】
上記の構成によれば、配線モジュール20が電池積層体11Lに組み付けられる際、電極接続部31が接合電極リード12Aに沿うように移動しやすいため、接合電極リード12Aと端子30との接触不良を抑制することができる。
【0067】
実施形態1では、ヒンジ部57は、複数の肉薄部60を備えて構成されている。
【0068】
上記の構成によれば、ヒンジ部57が変形しやすくなり、端子収容部56がプロテクタ本体51に対して動きやすくなる。
【0069】
実施形態1では、端子30は、電極接続部31に連なって設けられ、組み付け方向における奥方に向かうほど板厚方向における一方側に位置するように傾斜する傾斜面32を備え、傾斜面32は、接合電極リード12Aが配され得る板厚方向における位置の範囲WTの少なくとも一部を含むように配されている。
【0070】
上記の構成によれば、配線モジュール20が電池積層体11Lに組み付けられる際、傾斜面32が接合電極リード12Aの組み付け方向における手前側の端部に摺接することで、端子30が接合電極リード12Aに対して板厚方向に移動することができるため、電極接続部31が接合電極リード12Aに沿うように移動しやすい。
【0071】
実施形態1では、端子収容部56は、板厚方向について電極接続部31と対向して配される電極支持片62を備え、傾斜面32は、組み付け方向における奥方に向かうほど電極支持片62から離れるように傾斜しており、接合電極リード12Aが板厚方向について電極接続部31と電極支持片62との間に配されるようになっている。
【0072】
上記の構成によれば、配線モジュール20が電池積層体11Lに組み付けられる際、電極接続部31と電極支持片62との間に接合電極リード12Aが配されるため、電極接続部31が接合電極リード12Aに沿うように移動しやすい。
【0073】
実施形態1では、電極支持片62の組み付け方向における奥方側の端部には、組み付け方向における奥方に向かうほど板厚方向における他方側に位置するように傾斜する電極支持片側傾斜面62Aが設けられ、電極支持片側傾斜面62Aは、接合電極リード12Aが配され得る板厚方向における位置の範囲WTの少なくとも一部を含むように配されている。
【0074】
上記の構成によれば、配線モジュール20が電池積層体11Lに組み付けられる際、電極支持片側傾斜面62Aが接合電極リード12Aの組み付け方向における手前側の端部に摺接することで、端子収容部56が接合電極リード12Aに対して板厚方向に移動することができるため、電極接続部31と電極支持片62との間に接合電極リード12Aが配されやすくなる。
【0075】
実施形態1では、板厚方向及び組み付け方向に直交する方向は、端子幅方向とされており、端子収容部56は、電極接続部31の端子幅方向における両側に、傾斜面32より組み付け方向における奥方にのびる一対の端子保護アーム67を備え、一対の端子保護アーム67は、接合電極リード12Aに対して板厚方向における一方側に配されるようになっている。
【0076】
上記の構成によれば、端子保護アーム67により端子30を保護することができる。
【0077】
実施形態1では、一対の端子保護アーム67の組み付け方向における奥方側の端部には、組み付け方向における奥方に向かうほど板厚方向における一方側に位置するように傾斜する端子保護アーム側傾斜面67Aが設けられ、端子保護アーム側傾斜面67Aは、接合電極リード12Aが配され得る板厚方向における位置の範囲WTの少なくとも一部を含むように配されている。
【0078】
上記の構成によれば、配線モジュール20が電池積層体11Lに組み付けられる際、端子保護アーム側傾斜面67Aが接合電極リード12Aの組み付け方向における手前側の端部に摺接することで、端子収容部56が接合電極リード12Aに対して板厚方向に移動することができるため、電極接続部31と電極支持片62との間に接合電極リード12Aが配されやすくなる。
【0079】
<実施形態2>
本開示の実施形態2について、図20から図22を参照しつつ説明する。実施形態2にかかる配線モジュール120は、端子収容部56とプロテクタ本体51とを結合するヒンジ部157を除いて、実施形態1の配線モジュール20と同様に構成されている。以下、実施形態1と同一の部材には実施形態1で用いた符号を付し、実施形態1と同一の構成、作用効果については説明を省略する。
【0080】
図20に示すように、実施形態2にかかるヒンジ部157は、1つの端子収容部56につき2つ設けられている。ヒンジ部157は、バレル収容凹部61の左右の側壁とプロテクタ本体51とを接続している。図21及び図22に示すように、ヒンジ部157は、実施形態1のヒンジ部57と同様に構成されており、主に第1肉薄部60Aにおいて折れ曲がることにより、端子収容部56が前後方向に移動できるようになっている。
【0081】
ヒンジ部157は端子収容部56の左右に配置されているため、特に端子収容部56が上下方向にのびる軸を中心として回転するように移動しやすくなっている。例えば、接合電極リード12Aが左側に向かうにつれて後側に配されている場合(図17参照)には、図22に示すように、右側のヒンジ部157の延長片59が前方に傾くとともに、左側のヒンジ部157の延長片59が後方に傾くように変形することにより、端子収容部56が上方から見て反時計回りに回転することができる。
【0082】
また、図20に示すように、ヒンジ部157の肉薄部60は、上下方向にのびて配されているため、実施形態1のヒンジ部57と比べると、ヒンジ部157は上下方向に撓みにくくなっている。上記のように、端子収容部56に対して複数のヒンジ部157を設けることにより、端子収容部56の移動しやすい方向等を制御しやすくなる。
【0083】
[実施形態2の作用効果]
実施形態2によれば、以下の作用、効果を奏する。
実施形態2では、ヒンジ部157は、1つの端子収容部56につき、複数設けられている。
【0084】
このような構成によると、端子収容部56のプロテクタ本体51に対する動きを制御しやすい。
【0085】
<他の実施形態>
(1)上記実施形態では、接合部13は2つの電極リード12が接合されて構成され、ラミネート型電池11は直列接続されていたが、これに限られることはない。接合部は3つ以上の電極リードが接合されて構成され、ラミネート型電池は並列接続されていてもよい。
(2)上記実施形態では、端子収容部56に端子保護アーム67が設けられたが、これに限られることはなく、端子保護アーム67は設けなくてもよい。
(3)実施形態1では、ヒンジ部57は1つの端子収容部56につき1つ設けられ、実施形態2では、ヒンジ部157は1つの端子収容部56につき2つ設けられたが、これに限られることはなく、ヒンジ部は1つの端子収容部につき3つ以上設けられてもよい。また、端子収容部に対するヒンジ部の位置は、任意に変更することができる。
(4)上記実施形態では、電極接続部31と傾斜面32との間に台形部38が設けられたが、これに限られることはなく、台形部は設けられなくてもよい。
【符号の説明】
【0086】
10: 蓄電モジュール
11: ラミネート型電池
11L: 電池積層体
12: 電極リード
12A: 接合電極リード
12B: 端部電極リード
12C: 反り部
13: 接合部
14: 筐体
15: 底部
16: 天井部
17: 側方部
20,120: 配線モジュール
30: 端子
31: 電極接続部
32: 傾斜面
33: 屈曲部
34: 連結部
35: 電線接続部
35A: ワイヤーバレル部
35B: インシュレーションバレル部
36: 後方被係止部
37: 前方被係止部
38: 台形部
38A: 外縁部
40: バスバー
41: バスバー本体部
42: バスバー側接続部
42A: ボルト
43: 外部接続端子
44: 中継端子
45: 電線
46: 芯線
47: 絶縁被覆
48: コネクタ
50: プロテクタ
51: プロテクタ本体
54: 電極受け部
54A: 接合電極受け部
54B: 端部電極受け部
55: バスバー保持部
55A: ボルト締結部
56: 端子収容部
57,157: ヒンジ部
58: 突出片
59: 延長片
60: 肉薄部
60A: 第1肉薄部
60B: 第2肉薄部
61: バレル収容凹部
62: 電極支持片
62A: 電極支持片側傾斜面
63: 中央枠部
63A: 後方係止部
64A: 下側当接部
64B: 上側当接部
65: 第1変位抑制部
66: 係止突起
66A: 係合面
66B: 前方係止部
67: 端子保護アーム
67A: 端子保護アーム側傾斜面
68: 第2変位抑制部
69: 配索用突起
70: 電線留め部
71: 配索用溝
D1: 傾斜面の端子幅方向における寸法
D2: 電極接続部の端子幅方向における寸法
D3: 台形部の組み付け方向における奥方側の端部の端子幅方向における寸法
WT: 接合電極リードが配され得る板厚方向における位置の範囲(正規位置範囲)
図1
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