(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055066
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】猫用のトイレ
(51)【国際特許分類】
A01K 1/01 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
A01K1/01 801Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161669
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】522394661
【氏名又は名称】平塚 正史
(74)【代理人】
【識別番号】100177714
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昌平
(72)【発明者】
【氏名】平塚 正史
【テーマコード(参考)】
2B101
【Fターム(参考)】
2B101AA13
2B101AA20
2B101CA10
2B101CC01
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、猫砂を用いずに簡易に掃除が可能な猫用トイレを提供することにある。
【解決手段】床面に形成された排水口の上方に設置する猫用のトイレであって、
複数の貫通孔が設けられた円形状の排水部と、前記排水部の周縁と当接し、前記周縁から延伸するように設けられ環状の枠体と、
前記環状の枠体の外縁に設けられた側壁と、
を備えた円形状の糞尿受け皿と、
前記円形状の糞尿受け皿に設けられた把持部と、
を備えたことを特徴とする、猫用のトイレを作製する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に形成された排水口の上方に設置する猫用のトイレであって、
複数の貫通孔が設けられた円形状の排水部と、前記排水部の周縁と当接し、前記周縁から延伸するように設けられた環状の枠体と、
前記環状の枠体の外縁に設けられた側壁と、
を備えた円形状の糞尿受け皿と、
前記円形状の糞尿受け皿に設けられた把持部と、
を備えたことを特徴とする、猫用のトイレ。
【請求項2】
前記糞尿受け皿の底面に設けられ、前記糞尿受け皿と前記床面との間に液体が流れる隙間を形成するための脚部を備えたことを特徴とする、請求項1に記載の猫用のトイレ。
【請求項3】
前記把持部が前記側壁の上端と同じ高さに水平方向に設けられ、外周の一部が直線状を有する耳形状であることを特徴とする、請求項1に記載の猫用のトイレ。
【請求項4】
前記糞尿受け皿の底面において、排水口に係止するための下方に延伸する凸部が1又は複数設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の猫用のトイレ。
【請求項5】
前記糞尿受け皿において、外側から排水部に向かって下りに傾斜する傾斜部が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の猫用のトイレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は猫用のトイレに関する。
【背景技術】
【0002】
猫のトイレには、所定の容器にゼオライト、ベントナイト、シリカゲル、紙、おから等を主原料とする、いわゆる猫砂が広く用いられている。猫砂を用いれば、尿によって固まった砂を取り除くことで掃除ができるほか、脱臭作用を有するものもあり、猫の糞尿の処理が簡易となる。
【0003】
しかしながら、猫砂は定期的に交換する必要があるため、長期的には経済的負担が大きくなるほか、猫砂自体がゴミとなるため環境に優しいとはいえない。また、猫砂は市町村ごとにゴミの処理方法が異なることや、主原料ごとに処理方法が異なるなど、ゴミとしての処理が煩雑である。中にはトイレに流せる猫砂も販売されているが、配水管の詰まりや浄化槽での処理能力の問題もある。
【0004】
猫砂を用いないペット用トイレとしては、水道直結型水洗ユニットと、猫用便座とから構成される猫用便器や(特許文献1参照)、函体の上部に大便を受ける網状の底部をもつトレイを置き、その下段に水が吐出する小穴が複数設けられ且つ傾斜面をもったし尿受けトレイを備えた小動物用二段式水洗トイレ(特許文献2参照)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-201620号公報
【特許文献2】特開2010-154830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、猫砂を用いずに簡易に掃除が可能な猫用トイレを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討するなかで、猫が円に興味を示す習性に着目した。猫用トイレとして円形状を有し、排水口上に設置することで、猫が猫用トイレを習慣的に利用し、かつ尿は排水口から排出可能な猫用トイレを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕床面に形成された排水口の上方に設置する猫用のトイレであって、
複数の貫通孔が設けられた円形状の排水部と、前記排水部の周縁と当接し、前記周縁から延伸するように設けられた環状の枠体と、
前記環状の枠体の外縁に設けられた側壁と、
を備えた円形状の糞尿受け皿と、
前記円形状の糞尿受け皿に設けられた把持部と、
を備えたことを特徴とする、猫用のトイレ。
〔2〕前記糞尿受け皿の底面に設けられ、前記糞尿受け皿と前記床面との間に液体が流れる隙間を形成するための脚部を備えたことを特徴とする、上記〔1〕に記載の猫用のトイレ。
〔3〕前記把持部が前記側壁の上端と同じ高さに水平方向に設けられ、外周の一部が直線状を有する耳形状であることを特徴とする、上記〔1〕に記載の猫用のトイレ。
〔4〕前記糞尿受け皿の底面において、排水口に係止するための下方に延伸する凸部が1又は複数設けられていることを特徴とする、上記〔1〕に記載の猫用のトイレ。
〔5〕前記糞尿受け皿において、外側から排水部に向かって下りに傾斜する傾斜部が形成されていることを特徴とする、上記〔1〕に記載の猫用のトイレ。
【発明の効果】
【0009】
本発明の猫用トイレを用いれば、猫砂を用いる必要がなく、経済性に優れている。また、尿は猫用トイレに蓄積せずにそのまま排水口へ流れるため臭気対策にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る猫用トイレの平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る猫用トイレの底面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る猫用トイレの斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る猫用トイレのA-A断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る猫用トイレのB-B断面図において、さらにカバーを備えた態様を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る猫用トイレを浴室の排水口上に設置した場合の使用態様図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る猫用トイレを壁際に設置する場合の概念図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る猫用トイレを角際に設置する場合の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の猫用トイレは、床面に形成された排水口の上方に設置する猫用のトイレであって、
複数の貫通孔が設けられた円形状の排水部と、前記排水部の周縁と当接し、前記周縁から延伸するように設けられた環状の枠体と、
前記環状の枠体の外縁に設けられた側壁と、
を備えた円形状の糞尿受け皿と、
前記円形状の糞尿受け皿に設けられた把持部と、
を備えたことを特徴とする、猫用のトイレであればよく、以下、「本件猫用トイレ」ともいう。
【0012】
(糞尿受け皿)
上記円形状の糞尿受け皿は、円形状の排水部と、その排水部の周縁と当接し、その周縁から延伸するように設けられ環状の枠体と、を備えている。本件猫用トイレを上から見ると、中央の排水部が円形状であり、さらに本件猫用トイレ自体も把持部を除くと真円形状となる。
【0013】
排水部は、猫が尿をした際、あるいは本件猫用トイレを水で洗浄した際の水を排水する部分である。排水部は、猫が糞又は尿をした場合に、その糞を保持すると共に、尿は複数の上下方向に貫通する貫通孔を介して本件猫用トイレの下に位置する排水口に流す作用を有する。尿はほぼ排水部から排出されて本件猫用トイレ上にほとんど残らないため、アンモニア臭などの尿由来の臭いが残りにくい。また、貫通孔を複数とすることで、上記排水機能を高めつつ、糞を受けることが可能となる。
【0014】
排水部は円形状、すなわち外縁が円形であり、円形状を好む習性がある猫が本件猫用トイレに近づきやすくなる。排水部の大きさとしては、たとえば直径30cm以内、25cm以内、20cm以内、15cm以内を挙げることができる。
【0015】
排水部の貫通孔の形状としては特に制限されないが、円形、楕円形、格子状、長方形、台形、直線、曲線、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0016】
枠体は環状であり、排水部の周縁と当接し、その周縁から延伸するように設けられている。上記環状の枠体は、猫が糞又は尿をした場合に、その糞を保持すると共に、尿は排水部へ誘導する作用を有する。上記枠体の全部又は一部には、外側から中心に向かって下りに傾斜する傾斜部が形成されていてもよく、この傾斜部により枠体上の尿が排水部の貫通孔へ流れるのを補助することができる。
【0017】
また、上記枠体の外縁には、糞尿が本件猫用トイレから漏れるのを防ぐために、上方に延伸する側壁を備えていることが好ましい。上記側壁の高さとしては1~4cm、好ましくは2~3cmを挙げることができる。上記側壁は、鉛直方向に設けられていることが好ましいが、鉛直方向に対して外側に80度以内の角度で広がっていても良い。また側壁には、側壁上端から下方を覆う略円弧状又は略L字状のカバーを設けてもよい。本件猫用トイレの下部は糞尿やカビなどで汚れる可能性も高い。そこで、カバーを設けることで、本件猫用トイレを斜めから見た際に、本件猫用トイレの下部の汚れを視覚的に隠すことができる。
【0018】
(底面の凸部)
前記糞尿受け皿の底面において、排水口に係止するための1又は複数の下方に延伸する凸部が設けられていてもよい。この凸部を排水口に挿入して係止(係架)することによって、本件猫用トイレに猫が触れて位置が排水口の上面からずれるのを防ぐことが可能となる。また、凸部を2以上設けることで、より排水口への係止効果が高まると共に、本件猫用トイレが回転するのも抑制することが可能となる。
【0019】
上記凸部の径としては、排水口に用いられる一般的な孔に挿入可能な大きさであることが好ましく、1~5mmを挙げることができ、複数の凸部を備える場合には、それぞれの凸部の径が同じであっても異なってもよい。さらに、複数の凸部を備える場合には、様々な排水口の孔の配置に対応できるよう、凸部の位置を水平方向に調整可能にしてもよい。
【0020】
(把持部)
糞尿受け皿における枠体の外縁には把持部が設けられている。把持部は1つであってもよいが、2つ、3つ、若しくは4つ以上であってもよい。また、把持部は枠体に着脱自在に備えられてもよい。この把持部によって本件猫用トイレを把持することができ、本件猫用トイレから糞を除くことが容易となる。さらに、本件猫用トイレを浴室で用いる場合には、この把持部があることによって、本件猫用トイレ自体をシャワー水や洗面器などで汲んだ水での洗浄が容易となり、洗浄のための労力の軽減や、洗浄のために必要な水を最小限に抑えることも可能となる。なお、把持部の少なくとも1つには穴を設けてもよく、本件猫用トイレを干したり、不使用時に上記穴を利用して壁に掛けることが可能となる。
【0021】
さらに、上記把持部の少なくとも1つ、好ましくは2つは、耳形状としてもよく、この形状とすることにより、本件猫用トイレ自体が猫の飼い主にとって視覚的に愛着のあるデザインとすることができる。また、上記耳形状の把持部には、外周の一部が直線状を有してもよく、この直線状を有することにより、本件猫用トイレを壁際に設置する際に、壁に沿って上記直線状の領域を配置することで、本件猫用トイレが横にずれたり回転して、排水部の位置が排水口の上方からずれることを抑制することが可能となる。また、上記耳形状の把持部を左右対称に2つ設けて、それぞれの外側に直線状の領域が配置されるようにしてもよい。また、上記把持部を2つ設ける場合には、その側壁の上端の面に対する水平方向の長さをそろえて左右対称に配置することや、その側壁の上端の面に対して所定の角度をもって配置することもできる。所定の角度をもって配置することで、少しでも把持部に尿や水が残ることを抑制して、防カビや除菌効果を高めることができる。側壁の上端の面に対する水平方向の長さをそろえて左右対称に配置することで、本件猫用トイレを、角をなす2面に接するように配置することができるようになり、より本件猫用トイレの配置がずれることを抑制することが可能となる。
【0022】
(脚部)
上記枠体又は上記糞尿受け皿の底面には、上記枠体又は糞尿受け皿の底面と、本件猫用トイレを設置する床面との間に液体が流れる隙間を形成するための脚部が設けられていてもよい。脚部の数としては1個でもよいが、2個、3個、4個、又は5個以上であってもよい。脚部の高さとしては2~40mmを挙げることができる。なお、上記凸部を設ける場合は、脚部の長さは凸部よりも少なくとも2mm以上短いことが好ましい。
【0023】
上記排水部、枠体、側壁、把持部、脚部の材質としては、ステンレス、プラスチック、ゴム、シリコン、カーボンファイバーなどを挙げることができ、それぞれの色としては、アイボリー、白を挙げることができる。また、脚部は、床面とのずれを抑制するために、ゴムやABS系弾性樹脂等の摩擦係数の高い素材を用いたり、細かな凹凸形状として摩擦係数を高めてもよい。
【0024】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの
例示に限定されるものではない。
【0025】
図1~3は、それぞれ本発明の猫用トイレ1の平面図、底面図及び斜視図である。中心に複数の貫通孔11を備えた直径100mmの円形状のプラスチックからなる排水部12があり、その周縁は環状の枠体13に当接している。枠体13には、その外縁に鉛直方向に高さ250mmの側壁14を備えており、この排水部12と枠体13と側壁14によって糞尿受け皿15が構成されている。
【0026】
枠体13には、穴21aを備えた把持部22a、穴21bを備えた耳形状の把持部22b、穴21cを備えた耳形状の把持部22cを備えている。把持部22b、22cは、その外周の外側が直線状となっており、側壁14の上端の面に対して水平方向に延伸するように、上記直線状の部位が形成されている。
【0027】
枠体の底面には、厚さ5mmの4個の脚部31が設けられている。この脚部31によって、枠体13及び糞尿受け皿15と、猫用トイレ1を設置する床面との間に隙間ができる。この隙間が形成されることによって、排水部12の貫通孔11から流れた尿、あるいは本件猫用トイレを液体で洗浄した際の洗浄液が、床面に沿って広がることなく排水口に流れるようになる。
【0028】
図4は、本発明の猫用トイレ1のA-A断面図である。枠体13は、外側から内側に向かって下りに傾斜する傾斜部が形成されている。また、枠体13の底面に設けられた高さ5mmの脚部31に対して、排水部12の底面に設けられた長さ20mmの凸部32が2つ設けられている。また、
図5は、本発明の猫用トイレ1のB-B断面図であるが、側壁から円弧状のカバー33が設けられている態様である。
【0029】
図6は、本件猫用トイレを浴室の排水口上に設置した場合の使用態様を示したものであり、浴室の排水口41の上方に本件猫用トイレ1が設置される。
【0030】
図7、
図8は、猫用トイレ1を浴室の壁面に沿って設置した場合の概念図である。
図7に示すように、耳形状の把持部22bの直線部が壁面に沿って配置されているため、猫が猫用トイレ1に触れた場合にも、猫用トイレ1が横にずれたり回転したりすることによって、排水部12が排水口の上方からずれるのを抑制することができる。また、
図8に示すように、浴室の角の床面に排水口41が設けられている場合には、把持部22b、22cの水平方向の長さをそろえることで、角をなす2つの面に両方接することができるため、より本件猫用トイレ1の配置がずれたり回転したりすることを抑制することが可能となる。
【符号の説明】
【0031】
1 猫用トイレ
11 貫通孔
12 排水部
13 枠体
14 側壁
15 糞尿受け皿
21a~c 穴
22a~c 把持部
21c 穴
31 脚部
32 凸部
33 カバー
41 排水口