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特開2024-55067三次元再構築システムおよび三次元再構築方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055067
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】三次元再構築システムおよび三次元再構築方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/17 20060101AFI20240411BHJP
   G01N 1/36 20060101ALI20240411BHJP
   G01N 1/30 20060101ALI20240411BHJP
   G01N 1/28 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
G01N21/17 A
G01N1/36
G01N1/30
G01N1/28 J
G01N1/28 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161670
(22)【出願日】2022-10-06
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、戦略的創造研究推進事業、チーム型研究(CREST)、細胞外微粒子に起因する生命現象の解明とその制御に向けた基盤技術の創出、「環境中微粒子の体内、細胞内動態、生体・免疫応答機序の解明と外因的、内因的健康影響決定要因、分子の同定」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】304027279
【氏名又は名称】国立大学法人 新潟大学
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】三上 剛和
(72)【発明者】
【氏名】早津 学
【テーマコード(参考)】
2G052
2G059
【Fターム(参考)】
2G052AA33
2G052AA35
2G052AD32
2G052AD52
2G052EC03
2G052FA01
2G052FA08
2G052FC02
2G052FC15
2G052GA32
2G052JA07
2G059AA05
2G059BB08
2G059BB12
2G059BB14
2G059DD03
2G059DD11
2G059DD12
2G059EE01
2G059EE07
2G059EE13
2G059FF02
2G059FF03
2G059FF12
2G059KK04
2G059MM09
2G059MM10
(57)【要約】
【課題】動物組織・器官の三次元再構築のハイスループット化を実現することができる三次元再構築システムおよび三次元再構築方法を提供する。
【解決手段】三次元再構築システムは、動物の組織または器官である動物組織・器官を含む生物試料を透明化する透明化部と、前記透明化部において透明化された前記動物組織・器官を包埋する包埋部と、前記包埋部において包埋された前記動物組織・器官の連続切片を作製する連続切片作製部と、前記連続切片作製部において作製された前記動物組織・器官の連続切片を免疫染色する免疫染色部と、前記免疫染色部において免疫染色された前記動物組織・器官の連続切片のそれぞれの画像を取り込む画像取り込み部と、前記画像取り込み部において取り込まれた前記動物組織・器官の連続切片のそれぞれの画像から前記動物組織・器官の三次元再構築を行う三次元再構築部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の組織または器官である動物組織・器官を含む生物試料を透明化する透明化部と、
前記透明化部において透明化された前記動物組織・器官を包埋する包埋部と、
前記包埋部において包埋された前記動物組織・器官の連続切片を作製する連続切片作製部と、
前記連続切片作製部において作製された前記動物組織・器官の連続切片を免疫染色する免疫染色部と、
前記免疫染色部において免疫染色された前記動物組織・器官の連続切片のそれぞれの画像を取り込む画像取り込み部と、
前記画像取り込み部において取り込まれた前記動物組織・器官の連続切片のそれぞれの画像から前記動物組織・器官の三次元再構築を行う三次元再構築部とを備える三次元再構築システム。
【請求項2】
前記透明化部は、
透明化された前記動物組織・器官のBB(安息香酸ベンジル)洗浄を行うBB置換部を備える、
請求項1に記載の三次元再構築システム。
【請求項3】
前記透明化部は、
固定液を用いて前記動物組織・器官の固定を行う固定部と、
前記固定部において固定が行われた前記動物組織・器官の脱色および脱脂を行う脱色・脱脂部と、
前記脱色・脱脂部において脱色および脱脂が行われた前記動物組織・器官のホールマウント染色を行う染色部と、
前記染色部においてホールマウント染色が行われた前記動物組織・器官をPBSで洗浄する洗浄部と、
前記洗浄部において洗浄された前記動物組織・器官の屈折率調整を行う屈折率調整部とを備え、
前記BB置換部では、前記屈折率調整部において屈折率調整が行われた前記動物組織・器官のBB洗浄が行われる、
請求項2に記載の三次元再構築システム。
【請求項4】
前記包埋部では、前記BB置換部によるBB洗浄が行われた前記動物組織・器官のパラフィン包埋が行われる、
請求項3に記載の三次元再構築システム。
【請求項5】
前記免疫染色部では、前記連続切片作製部において作製された前記動物組織・器官の連続切片の隣接する切片ごとで異なる免疫染色が行われる、
請求項1に記載の三次元再構築システム。
【請求項6】
動物の組織または器官である動物組織・器官を含む生物試料を透明化する透明化ステップと、
前記透明化ステップにおいて透明化された前記動物組織・器官を包埋する包埋ステップと、
前記包埋ステップにおいて包埋された前記動物組織・器官の連続切片を作製する連続切片作製ステップと、
前記連続切片作製ステップにおいて作製された前記動物組織・器官の連続切片を免疫染色する免疫染色ステップと、
前記免疫染色ステップにおいて免疫染色された前記動物組織・器官の連続切片のそれぞれの画像を取り込む画像取り込みステップと、
前記画像取り込みステップにおいて取り込まれた前記動物組織・器官の連続切片のそれぞれの画像から前記動物組織・器官の三次元再構築を行う三次元再構築ステップとを備える三次元再構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元再構築システムおよび三次元再構築方法に関する。
特には、本発明は、生体内の組織または器官を三次元的解析するための手法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、厚さ(深さ)のある生物試料でも、透明化することにより光の散乱を抑えて非破壊で内部の観察が可能となる試料調整技法が開発されている。透明化の技法では、組織・器官を構成する細胞を透明にし、特殊な染色技術を用いることで特定の細胞の三次元的な局在やそれら細胞によって作られる構造の形状を明らかにすることができる。しかし、厚さのある試料では、染色が不均一になったり、試料中に金属や石などの無機的構造物が存在している場合は光やレーザーが透過できず目的の細胞や構造の観察の障害となったりすることがある。また、顕微鏡によって解像度が十分でないため、一細胞の局在までを明らかにすることは困難である。
透明化された臓器の観察は、特定の細胞の局在や構造の形状を調べるため細胞または構造特異的な抗体で染色し、蛍光顕微鏡による観察を行う。この手法では、臓器全体に対して薬品処理を行う必要があるため、試料の大きさに比例して薬品使用量が多くなる。また、染色後は非特異的な反応を避けるため洗浄を行うが、大きい臓器の深部は洗浄が不十分となり、蛍光顕微鏡による観察が十分に行うことができない場合がある。
一方、光学顕微鏡にて生体内の組織や器官の内部を観察する方法としてパラフィン包埋切片法が広く用いられている。通常、この方法では、作製した切片を染色して光学顕微鏡にて観察し、標的となる細胞や構造の二次元的な画像を得るために用いられる。また、臓器などの厚さのある試料を三次元的に観察するためには、連続切片を作製、染色した切片の画像を取得し、三次元構築ソフト等を使用し、三次元再構築像を得る方法もあるが、切片一枚一枚を光学顕微鏡で観察することにはかなりの時間を要する。さらに高解像度の画像を得る場合は、これ以上に膨大な時間を要する。
【0003】
特許文献1には、組織標本を包埋し、包埋された組織標本を薄切し、複数の薄切切片を調製し、薄切切片の外的観察および/または内的観察を実施し、外的観察および/または内的観察情報を含む三次元組織像を再構成する技術について記載されている。特許文献1に記載された技術では、薄切切片を用いて組織を分析する際に薄切切片に生じるゆがみを補正して三次元組織像の再構成が行われる。
ところで、特許文献1に記載された技術では、組織標本が包埋される前に、組織の透明化が行われない。そのため、特許文献1に記載された技術によっては、三次元組織像の再構成に必要なタイリング処理を適切に行うことができないおそれがある。また、特許文献1に記載された技術によっては、組織のバックグラウンドが障害となり、コンピュータを用いて三次元組織像の再構成を自動で行うことができないおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-138697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した点に鑑み、本発明は、動物の組織または器官である動物組織・器官の三次元再構築のハイスループット化を実現することができる三次元再構築システムおよび三次元再構築方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、動物の組織または器官である動物組織・器官を含む生物試料を透明化する透明化部と、前記透明化部において透明化された前記動物組織・器官を包埋する包埋部と、前記包埋部において包埋された前記動物組織・器官の連続切片を作製する連続切片作製部と、前記連続切片作製部において作製された前記動物組織・器官の連続切片を免疫染色する免疫染色部と、前記免疫染色部において免疫染色された前記動物組織・器官の連続切片のそれぞれの画像を取り込む画像取り込み部と、前記画像取り込み部において取り込まれた前記動物組織・器官の連続切片のそれぞれの画像から前記動物組織・器官の三次元再構築を行う三次元再構築部とを備える三次元再構築システムである。
【0007】
本発明の一態様の三次元再構築システムでは、透明化部において得られた透明化標本から包埋部および連続切片作製部における処理を経て作製された切片から二次元画像を画像取り込み部により短時間で得ることができる。更に、三次元再構築部において標的となる細胞や構造の抽出をコンピューテーショナルに行うことが可能となる。また、画像取り込み部により高解像度の画像を得ることによって、三次元再構築部における三次元構築のハイスループット化も可能となり、一細胞の解析も可能となる。
また、本発明の一態様の三次元再構築システムでは、三次元再構築部において、標的となる細胞や構造の局在や構造の形状を明らかにすることができ、透明化された生物試料に含まれる無機的構造物についてもその局在や形状を明らかにすることができる。
更に、本発明の一態様の三次元再構築システムでは、免疫染色部において標的となる細胞や構造を明らかにするための染色が切片に対して行われるため、例えば隣接する切片ごとで異なる染色を行うことも可能であり、これを全ての切片に適応することにより複数種の細胞の組織・器官内における局在を明らかにすることができる。
また、本発明の一態様の三次元再構築システムでは、例えば免疫染色部において染色液等をごく限られた領域の切片に使用することによって染色液等の容量を抑えることができる。
【0008】
本発明の一態様は、動物の組織または器官である動物組織・器官を含む生物試料を透明化する透明化ステップと、前記透明化ステップにおいて透明化された前記動物組織・器官を包埋する包埋ステップと、前記包埋ステップにおいて包埋された前記動物組織・器官の連続切片を作製する連続切片作製ステップと、前記連続切片作製ステップにおいて作製された前記動物組織・器官の連続切片を免疫染色する免疫染色ステップと、前記免疫染色ステップにおいて免疫染色された前記動物組織・器官の連続切片のそれぞれの画像を取り込む画像取り込みステップと、前記画像取り込みステップにおいて取り込まれた前記動物組織・器官の連続切片のそれぞれの画像から前記動物組織・器官の三次元再構築を行う三次元再構築ステップとを備える三次元再構築方法である。
【0009】
本発明の一態様の三次元再構築方法では、透明化ステップにおいて得られた透明化標本から包埋ステップおよび連続切片作製ステップにおける処理を経て作製された切片から二次元画像を画像取り込みステップにおいて短時間で得ることができる。更に、三次元再構築ステップにおいて標的となる細胞や構造の抽出をコンピューテーショナルに行うことが可能となる。また、画像取り込みステップにおいて高解像度の画像を得ることによって、三次元再構築ステップにおける三次元構築のハイスループット化も可能となり、一細胞の解析も可能となる。
また、本発明の一態様の三次元再構築方法では、三次元再構築ステップにおいて、標的となる細胞や構造の局在や構造の形状を明らかにすることができ、透明化された生物試料に含まれる無機的構造物についてもその局在や形状を明らかにすることができる。
更に、本発明の一態様の三次元再構築方法では、免疫染色ステップにおいて標的となる細胞や構造を明らかにするための染色が切片に対して行われるため、例えば隣接する切片ごとで異なる染色を行うことも可能であり、これを全ての切片に適応することにより複数種の細胞の組織・器官内における局在を明らかにすることができる。
また、本発明の一態様の三次元再構築方法では、例えば免疫染色ステップにおいて染色液等をごく限られた領域の切片に使用することによって染色液等の容量を抑えることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、動物の組織または器官である動物組織・器官の三次元再構築のハイスループット化を実現することができる三次元再構築システムおよび三次元再構築方法を提供することができる。
【0011】
詳細には、本発明によれば、従来、手作業で行わなければならず、膨大な時間を要していた生物試料、主に動物組織・器官など厚さのある試料に観察される標的となる細胞や構造の抽出を、コンピューテーショナルに行うことができ、三次元構築のハイスループット化を実現することができる。また、本発明によれば、組織・器官中の透明化された細胞と透明化できない無機的構造物の局在や形状、両者の関連性を三次元的解析によって明らかにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態の三次元再構築システム1の一例を示す図である。
図2】第1実施形態の三次元再構築システム1において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図3】透明化部11における透明化の一例を説明するための図である。
図4】透明化部11において透明化された正常なマウスの肺を示す図である。
図5】透明化部11において透明化されたマウスの肺であって、異物が気管から複数回投与されたマウスの肺である異物投与マウス肺を示す図である。
図6】連続切片作製部13において作製された連続切片(複数の切片)のうちの1つの切片を示す図などである。
図7】マウス肺組織三次元再構築の具体例を説明するための図である。
図8】マウス肺組織三次元再構築の他の具体例を説明するための図である。
図9】透明化部11における透明化の具体例を説明するための図である。
図10】蛍光を遮断する異物が存在するためにシート型蛍光顕微鏡での撮影が困難な例を説明するための図である。
図11】透明化マウス肺の薄切と免疫組織化学染色の一例を説明するための図である。
図12】第1実施形態の三次元再構築システム1において行われるマウス肺の三次元再構築を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1実施形態>
以下、本発明の三次元再構築システムおよび三次元再構築方法の第1実施形態について説明する。
【0014】
図1は第1実施形態の三次元再構築システム1の一例を示す図である。
図1に示す例では、三次元再構築システム1が、透明化部11と、包埋部12と、連続切片作製部13と、免疫染色部14と、画像取り込み部15と、三次元再構築部16とを備えている。
透明化部11では、動物の組織または器官である動物組織・器官を含む生物試料が透明化される。透明化部11は、例えば固定部11Aと、脱色・脱脂部11Bと、染色部11Cと、洗浄部11Dと、屈折率調整部11Eと、BB置換部11Fとを備えている。
固定部11Aでは、例えば4%パラホルムアルデヒド固定液などの固定液を用いて動物組織・器官の固定が行われる。脱色・脱脂部11Bでは、固定部11Aにおいて固定が行われた動物組織・器官の脱色および脱脂が行われる。脱色・脱脂部11Bでは、例えば下記のURLが示すwebサイトに記載されたCUBIC(Clear, Unobstructed Brain/Body Imaging Cocktails and Computational Analysis)-Lを用いて動物組織・器官の脱色および脱脂が行われる。
https://labchem-wako.fujifilm.com/jp/siyaku-blog/021486.html
【0015】
染色部11Cでは、脱色・脱脂部11Bにおいて脱色および脱脂が行われた動物組織・器官のホールマウント染色が行われる。洗浄部11Dでは、染色部11Cにおいてホールマウント染色が行われた動物組織・器官がPBS(リン酸緩衝液)で洗浄される。屈折率調整部11Eでは、洗浄部11Dにおいて洗浄された動物組織・器官の屈折率調整が行われる。屈折率調整部11Eでは、例えば上記のURLが示すwebサイトに記載されたCUBIC-Rを用いて動物組織・器官の屈折率調整が行われる。BB置換部11Fでは、透明化された動物組織・器官のBB(安息香酸ベンジル)洗浄が行われる。詳細には、BB置換部11Fでは、屈折率調整部11Eにおいて屈折率調整が行われた動物組織・器官のBB洗浄が行われる。
【0016】
図1に示す例では、透明化部11において透明化された動物組織・器官が、包埋部12において包埋される。包埋部12では、動物組織・器官の例えばパラフィン包埋が行われる。詳細には、図1に示す例では、BB置換部11Fにおいて動物組織・器官のBB洗浄が行われるため、包埋部12において動物組織・器官のパラフィン包埋を行うことができる。
【0017】
連続切片作製部13では、包埋部12において包埋された動物組織・器官の連続切片が作製される。連続切片作製部13では、例えばミクロトーム等を用いることによって動物組織・器官の連続切片が作製される。
免疫染色部14では、連続切片作製部13において作製された動物組織・器官の連続切片が免疫染色される。免疫染色部14では、例えば下記のURLが示すwebサイトに記載された技術と同様の技術を用いることによって、連続切片の免疫染色が行われる。
https://catalog.takara-bio.co.jp/CONTENTS/catalog_request/pdf/immunohistochemistry.pdf
【0018】
画像取り込み部15では、免疫染色部14において免疫染色された動物組織・器官の連続切片のそれぞれの画像が取り込まれる。画像取り込み部15では、例えば下記のURLが示すwebサイトに記載されたスキャナー等を用いることによって、動物組織・器官の連続切片のそれぞれの画像の取り込みが行われる。
https://www.hamamatsu.com/jp/ja/product/life-science-and-medical-systems/digital-slide-scanner/C13239-01.html
【0019】
三次元再構築部16では、画像取り込み部15において取り込まれた動物組織・器官の連続切片のそれぞれの画像から動物組織・器官の三次元再構築が行われる。三次元再構築部16では、例えば下記のURLが示すwebサイトに記載された3D可視化解析ソフトウェア等を用いることによって、動物組織・器官の三次元再構築が行われる。
https://www.thermofisher.com/jp/ja/home/industrial/electron-microscopy/electron-microscopy-instruments-workflow-solutions/3d-visualization-analysis-software.html
【0020】
図2は第1実施形態の三次元再構築システム1において実行される処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図2に示す例では、ステップS11において、動物の組織または器官である動物組織・器官を含む生物試料の透明化が行われる。
ステップS12では、ステップS11において透明化された動物組織・器官が包埋される。
ステップS13では、ステップS12において包埋された動物組織・器官の連続切片が作製される。
ステップS14では、ステップS13において作製された動物組織・器官の連続切片の免疫染色が行われる。
ステップS15では、ステップS14において免疫染色された動物組織・器官の連続切片のそれぞれの画像の取り込みが行われる。
ステップS16では、ステップS15において取り込まれた動物組織・器官の連続切片のそれぞれの画像から動物組織・器官の三次元再構築が行われる。
【0021】
[実施例]
図3は透明化部11における透明化の一例を説明するための図である。詳細には、図3(A)は透明化部11における透明化が行われる前の試料(マウスの肺)を示しており、図3(B)は透明化部11における透明化が行われた後の試料(マウスの肺)を示している。
図4は透明化部11において透明化された正常なマウスの肺を示す図である。詳細には、図4(A)は透明化部11において透明化された正常なマウスの肺の明視野像を示している。図4(B)は透明化部11において透明化された正常なマウスの肺を蛍光顕微鏡によって観察した蛍光像を示している。図4(C)は図4(B)中の矩形で囲まれた部分を拡大して示している。
図5は透明化部11において透明化されたマウスの肺であって、異物が気管から複数回投与されたマウスの肺である異物投与マウス肺を示す図である。詳細には、図5(A)は透明化部11において透明化された異物投与マウス肺の明視野像を示している。図5(B)は透明化部11において透明化された異物投与マウス肺を蛍光顕微鏡によって観察した蛍光像を示している。図5(C)は図5(B)中の矩形で囲まれた部分を拡大して示している。
【0022】
図4(C)に示すように、透明化部11において透明化された正常なマウスの肺の蛍光像では、肺の中の気管支や血管を観察することができる。一方、図5(C)に示すように、透明化部11において透明化された異物投与マウス肺の蛍光像では、異物によって肺の中の気管支や血管の一部が観察できないことがわかる。
【0023】
図6は連続切片作製部13において作製された連続切片(複数の切片)のうちの1つの切片を示す図などである。
詳細には、図6(A)は連続切片作製部13において作製された1つの切片の光学顕微鏡像を示している。つまり、図6(A)は、透明化部11において透明化され、包埋部12においてパラフィン包埋され、連続切片作製部13において作製された連続切片のうちの1つの切片(異物投与マウス肺を含む切片)の光学顕微鏡像を示している。
図6(B)は図6(A)に示す切片に対して免疫染色部14において免疫染色が行われた切片の画像(画像取り込み部15において取り込まれた画像)を示している。詳細には、図6(B)に示す画像では、図6(A)に示す切片に含まれる異物投与マウス肺の気管支が第1色に着色され、血管が第2色に着色され、異物が第3色に着色されている。
図6(C)は図6(B)に示すような連続切片の画像(複数の切片の画像)から三次元再構築部16において三次元再構築された気管支(第1色)および血管(第2色)を含む異物投与マウス肺の三次元再構築像を示している。
図6(D)は図6(B)に示すような連続切片の画像(複数の切片の画像)から三次元再構築部16において三次元再構築された気管支(第1色)、血管(第2色)および異物(第3色)を含む異物投与マウス肺の三次元再構築像を示している。つまり、図6(D)に示す三次元再構築像では、異物の局在が図6(C)に示す三次元再構築像に対して加えられている。
第1実施形態の三次元再構築システム1では、画像取り込み部15において取り込まれる高解像度の画像をもとに、三次元再構築部16において図3図6に示すマウスの肺などのような動物組織・器官の三次元再構築が行われる。そのため、第1実施形態の三次元再構築システム1では、標的となる細胞や構造の解析を行うことができ、動物組織・器官の三次元再構築のハイスループット化を実現することができる。
【0024】
図7はマウス肺組織三次元再構築の具体例を説明するための図である。
図7に示す例では、まず、透明化部11においてマウス肺が透明化された。詳細には、透明化部11のBB置換部11Fにおいて透明化されたマウス肺のBB洗浄が行われた。
次いで、透明化部11において透明化されたマウス肺が、包埋部12においてパラフィン包埋された。
次いで、連続切片作製部13では、包埋部12においてパラフィン包埋されたマウス肺の連続切片が作製された。
各切片の厚さを7μmに設定した。マウス肺では、約700枚程度の切片になった。そのうち、3~5枚間隔の切片(140枚~200枚)を用いることによって、マウス肺全体の三次元再構築を行うことができた。マウス肺の末端部分を削除すれば、最少で60枚程度の切片を用いることによってマウス肺の三次元再構築を行うことができる。異なる標的を染色した切片を合わせることも可能である。
【0025】
次いで、免疫染色部14では、連続切片作製部13において作製されたマウス肺の連続切片が免疫染色された。
免疫染色の場合、抗体希釈溶液はスライドガラス1枚につき200μl必要である(図7に示すようにスライドガラス1枚に切片8枚を乗せた場合)。マウス肺全体で抗体を約50μl使用した。
【0026】
次いで、画像取り込み部15では、免疫染色部14において免疫染色されたマウス肺の連続切片のそれぞれの画像が取り込まれた。
画像取り込み部15として、約200枚のスライドを自動でスキャンすることができる浜松ホトニクス株式会社製NanoZoomer(登録商標)を使用した。40倍モードで約200枚のスライドを自動でスキャンする場合、スキャンの所要時間は約10時間になる。
【0027】
次いで、三次元再構築部16では、画像取り込み部15において取り込まれたマウス肺の連続切片のそれぞれの画像からマウス肺の三次元再構築が行われた。
三次元再構築部16として、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製の3D可視化解析ソフトウエア(Amira-Avizo)をベースとしたものを使用した。マウス肺組織の3D構築に最適化したオリジナルレシピを使用した。三次元再構築部16では、標的構造物や細胞の占有体積等の定量も可能である。
【0028】
図7に示す例では、マウス肺の三次元再構築の完了までに2~3週間程度を要した。マウス肺の三次元再構築にかかる費用は、基本的に抗体の費用のみ(最低50μl)であった。標的として、気管支、血管+4種類までの細胞を設定した。
【0029】
図8はマウス肺組織三次元再構築の他の具体例を説明するための図である。詳細には、図8(A)は第1実施形態の三次元再構築システム1によって三次元再構築された正常なマウス肺を示している。図8(B)は第1実施形態の三次元再構築システム1によって三次元再構築された環境中微粒子を曝露したマウス肺を示している。
【0030】
図8(A)に示す例では、まず、透明化部11において正常なマウス肺が透明化された。
次いで、透明化部11において透明化された正常なマウス肺が、包埋部12においてパラフィン包埋された。
次いで、連続切片作製部13では、包埋部12においてパラフィン包埋された正常なマウス肺の連続切片が作製された。各切片の厚さを7μmに設定した。
次いで、免疫染色部14では、連続切片作製部13において作製された正常なマウス肺の連続切片が免疫染色された。詳細には、マクロファージとB細胞のそれぞれのマーカーに対する抗体で染色した。
次いで、画像取り込み部15では、免疫染色部14において免疫染色された正常なマウス肺の連続切片のそれぞれの画像が取り込まれた。
次いで、三次元再構築部16では、画像取り込み部15において取り込まれた正常なマウス肺の連続切片のそれぞれの画像から正常なマウス肺の三次元再構築が行われた。
【0031】
図8(B)に示す例では、まず、透明化部11において環境中微粒子を曝露したマウス肺が透明化された。
次いで、透明化部11において透明化された環境中微粒子を曝露したマウス肺が、包埋部12においてパラフィン包埋された。
次いで、連続切片作製部13では、包埋部12においてパラフィン包埋された環境中微粒子を曝露したマウス肺の連続切片が作製された。各切片の厚さを7μmに設定した。
次いで、免疫染色部14では、連続切片作製部13において作製された環境中微粒子を曝露したマウス肺の連続切片が免疫染色された。詳細には、マクロファージとB細胞のそれぞれのマーカーに対する抗体で染色した。
次いで、画像取り込み部15では、免疫染色部14において免疫染色された環境中微粒子を曝露したマウス肺の連続切片のそれぞれの画像が取り込まれた。
次いで、三次元再構築部16では、画像取り込み部15において取り込まれた環境中微粒子を曝露したマウス肺の連続切片のそれぞれの画像から環境中微粒子を曝露したマウス肺の三次元再構築が行われた。
【0032】
図8(B)に示すように、環境中微粒子を曝露したマウスでは、マクロファージが血管や気管支を鞘状に取り囲んでいることが確認できる。また、血管や気管支に付随したB細胞の集塊も確認できる。
【0033】
三次元再構築部16において行われる三次元再構築の重要性として、下記の点があげられる。
各組織、器官を3次元的に観察することによって、誰でも簡単にその形状を把握することができる。
組織の凹凸や血管、気管支の走行などは2次元画像では捉えにくい。
三次元再構築部16において再構築された3Dデータから標的となる構造や細胞集塊の体積や表面積を定量できる。
【0034】
従来から行われてきた組織切片を用いた三次元再構築の問題点として、時間がかかることがあげられる。
その理由として、細胞レベルの解像度の広視野画像の取得にはタイリング処理(画像の繋ぎ合わせ)が必要である点、標的となる細胞や構造の抽出において、バックグラウンドが障害となり、コンピュータによる自動処理が困難である点などがあげられる。
その点に鑑み、第1実施形態の三次元再構築システム1では、透明化部11において、動物組織・器官を含む生物試料が透明化される。
【0035】
図9は透明化部11における透明化の具体例を説明するための図である。
図9に示す例では、まず、透明化部11の固定部11Aにおいて、4%パラホルムアルデヒド固定液を用いてマウス肺の固定が行われた。
次いで、透明化部11の脱色・脱脂部11Bでは、固定部11Aにおいて固定が行われたマウス肺の脱色および脱脂が行われた(3-7日、37-45℃)。
次いで、透明化部11の染色部11Cでは、脱色・脱脂部11Bにおいて脱色および脱脂が行われたマウス肺のホールマウント染色が行われた(5-7日、25℃)。
次いで、透明化部11の洗浄部11Dでは、染色部11Cにおいてホールマウント染色が行われたマウス肺のPBS(リン酸緩衝液)洗浄が行われ、屈折率調整部11Eでは、洗浄部11DにおいてPBS洗浄されたマウス肺の屈折率調整が行われた(2日、25℃)。
【0036】
更に、図9に示す例では、シート型蛍光顕微鏡により得られる透明化されたマウス肺の画像に基づいて、透明化されたマウス肺の3D画像が構築された。
図9に示すように、透明化されたマウス肺の3D画像では、マウス肺の内部構造(気管支)を観察することができた。また、蛍光標識した細胞を検出することもできた。
【0037】
しかしながら、図9に示すような組織透明化による3次元構築では、適応範囲が限定されてしまう。その理由としては、特殊な顕微鏡が必要である点、蛍光を遮断する異物が存在するとシート型蛍光顕微鏡での撮影が困難である点、解像度が低く、1細胞レベルの局在は解析できない点などがあげられる。
【0038】
図10は蛍光を遮断する異物が存在するためにシート型蛍光顕微鏡での撮影が困難な例を説明するための図である。詳細には、図10(A)は環境中微粒子として黄砂を曝露したマウス肺を透明化したもののシート型蛍光顕微鏡画像を示している。図10(B)は環境中微粒子としてDEP(ディーゼル排気粒子)を曝露したマウス肺を透明化したもののシート型蛍光顕微鏡画像を示している。図10(C)は環境中微粒子としてTiO2(酸化チタン)を曝露したマウス肺を透明化したもののシート型蛍光顕微鏡画像を示している。
図10(A)~図10(C)に示すように、DEPを曝露したマウス肺および酸化チタンを曝露したマウス肺では、肺組織内への環境中微粒子の沈着が著しく、シート型蛍光顕微鏡での撮影が困難(シート型蛍光顕微鏡画像からの三次元再構築が困難)であると考えられる。
【0039】
上述した点に鑑み、本発明者等は、透明化された動物組織・器官のシート型蛍光顕微鏡画像からの動物組織・器官の三次元再構築ではなく、動物組織・器官の切片を用いた動物組織・器官の三次元再構築が必要であると考えた。
【0040】
動物組織・器官の切片を用いた動物組織・器官の三次元再構築を行うためには、細胞レベルの解像度の広視野画像の取得が必要であり、細胞レベルの解像度の広視野画像の取得には、タイリング処理(画像の繋ぎ合わせ)が必要である。
そこで、第1実施形態の三次元再構築システム1では、画像取り込み部15において動物組織・器官の連続切片(複数の切片)のそれぞれの画像が取り込まれる。具体的には、スライドスキャナー等を用いることによって、動物組織・器官の連続切片(複数の切片)のそれぞれの画像が自動で取り込まれる。
また、動物組織・器官の切片を用いた動物組織・器官の三次元再構築を行うためには、標的となる細胞や構造の抽出時にバックグラウンドが障害となりとコンピュータによる自動処理が困難になる点を考慮する必要がある。
そこで、第1実施形態の三次元再構築システム1では、透明化部11において動物組織・器官の透明化が行われる。
ところで、動物組織・器官を透明化するために例えば下記のURLが示すwebサイトに記載された一般的な透明化手法(水溶性透明化試薬)が用いられると、透明化された動物組織・器官の連続切片を作製するために透明化された動物組織・器官をパラフィン包埋する処理が不可能になる場合(透明化された動物組織・器官がパラフィン不溶になる場合)がある。
https://www.bri.niigata-u.ac.jp/research/column/001682.html
そこで、第1実施形態の三次元再構築システム1では、透明化部11のBB置換部11Fにおいて、透明化された動物組織・器官のBB(安息香酸ベンジル)洗浄が行われる。
【0041】
図11は透明化マウス肺の薄切と免疫組織化学染色の一例を説明するための図である。詳細には、図11は透明化マウス肺の薄切を実現するためにBB置換が行われる一例を示している。
図11に示す例では、透明化マウス肺の薄切と免疫組織化学染色を実現するために、まず、透明化部11の固定部11Aにおいて、4%パラホルムアルデヒド固定液を用いてマウス肺の固定が行われる。次いで、透明化部11においてマウス肺のメタノール脱水(MeOH脱水)が行われる。次いで、透明化部11においてマウス肺のCUBIC透明化が行われる。次いで、透明化部11のBB置換部11Fにおいて、透明化されたマウス肺のBB洗浄(25℃、1h×3)が行われる。その結果、透明化されたマウス肺のパラフィン包埋が可能になる。
図11に示す例では、透明化されたマウス肺が、包埋部12においてパラフィン包埋される。次いで、連続切片作製部13においてマウス肺の連続切片が作製される。次いで、免疫染色部14においてマウス肺の連続切片が免疫染色される(DAB(ジアミノベンジジン)/ヘマトキシリン)。その結果、透明化マウス肺の切片画像からマウス肺の三次元再構築が可能になる。
【0042】
図12は第1実施形態の三次元再構築システム1において行われるマウス肺の三次元再構築を説明するための図である。詳細には、図12(A)は透明化部11において透明化が行われる前のマウス肺のシート型蛍光顕微鏡画像を示している。図12(B)は透明化部11において透明化が行われた後のマウス肺のシート型蛍光顕微鏡画像を示している。図12(C)は包埋部12において包埋が行われる段階、連続切片作製部13において連続切片が作製される段階、および、免疫染色部14において免疫染色が行われる段階におけるマウス肺の一部を拡大して示している。図12(D)は三次元再構築部16において三次元再構築が行われたマウス肺の一部を拡大して示している。
図12に示すように、第1実施形態の三次元再構築システム1によれば、広視野かつ高解像度なマウス肺の三次元再構築を実現することができる。
【0043】
上述したように、第1実施形態の三次元再構築システム1では、透明化した生物試料、主に動物組織・器官など厚さのある試料に観察される標的となる細胞や構造の抽出をコンピューテーショナルに行い、さらに三次元再構築のハイスループット化を図るため、透明化した生物試料から作製した連続切片に対して特殊染色法を実施し、高解像度スキャナーを用いて短時間に二次元画像を取得し、取得した画像から組織・器官を三次元再構築した像で構造解析する。
【0044】
<第2実施形態>
以下、本発明の三次元再構築システムおよび三次元再構築方法の第2実施形態について説明する。
第2実施形態の三次元再構築システム1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の三次元再構築システム1と同様に構成されている。従って、第2実施形態の三次元再構築システム1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の三次元再構築システム1と同様の効果を奏することができる。
【0045】
第2実施形態の三次元再構築システム1は、図1に示す第1実施形態の三次元再構築システム1と同様に構成されている。
第1実施形態の三次元再構築システム1では、複数の細胞によって構成される動物組織・器官の三次元再構築が行われるのに対し、第2実施形態の三次元再構築システム1では、動物組織・器官としての一細胞の三次元再構築が行われる。そのため、第2実施形態の三次元再構築システム1によれば、一細胞の高解像度の解析および一細胞の三次元再構築のハイスループット化を実現することができる。
【0046】
<第3実施形態>
以下、本発明の三次元再構築システムおよび三次元再構築方法の第3実施形態について説明する。
第3実施形態の三次元再構築システム1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の三次元再構築システム1と同様に構成されている。従って、第3実施形態の三次元再構築システム1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の三次元再構築システム1と同様の効果を奏することができる。
【0047】
第1実施形態の三次元再構築システム1では、透明化部11がBB置換部11Fを備えているのに対し、第3実施形態の三次元再構築システム1では、透明化部11がBB置換部11Fを備えていない。
つまり、第1実施形態の三次元再構築システム1では、動物組織・器官のパラフィン包埋を可能にするために、透明化部11のBB置換部11Fにおいて動物組織・器官のBB洗浄が行われる。
一方、第3実施形態の三次元再構築システム1では、透明化部11がBB置換部11Fを備えておらず、包埋部12においてパラフィン包埋以外の包埋が行われる。
第3実施形態の三次元再構築システム1の第1例では、連続切片作製部13において動物組織・器官の凍結切片が作製される。
第3実施形態の三次元再構築システム1の第2例では、例えば下記のURLが示すwebサイト等に記載された技術と同様の技術を用いることによって、包埋部12において樹脂包埋が行われる。
https://labchem-wako.fujifilm.com/jp/category/lifescience/pathology/embedation/index.html
https://www.technochemical.com/polysciences/embeddingagent/embeddingagent_2.html
http://www.med.miyazaki-u.ac.jp/2anat/cn9/cn12/cn20/pg277.html
https://www.kemet.jp/houmai_jushi.html
【0048】
<第4実施形態>
以下、本発明の三次元再構築システムおよび三次元再構築方法の第4実施形態について説明する。
第4実施形態の三次元再構築システム1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の三次元再構築システム1と同様に構成されている。従って、第4実施形態の三次元再構築システム1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の三次元再構築システム1と同様の効果を奏することができる。
【0049】
第4実施形態の三次元再構築システム1は、図1に示す第1実施形態の三次元再構築システム1と同様に構成されている。
上述したように、第1実施形態の三次元再構築システム1では、連続切片作製部13において動物組織・器官の連続切片が作製され、免疫染色部14において動物組織・器官の連続切片の隣接する切片ごとに同一の免疫染色が行われる。
一方、第4実施形態の三次元再構築システム1では、連続切片作製部13において動物組織・器官の連続切片が作製され、免疫染色部14において動物組織・器官の連続切片の隣接する切片ごとに異なる免疫染色が行われる。
【0050】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。上述した各実施形態および各例に記載の構成を組み合わせてもよい。
【0051】
なお、上述した実施形態における三次元再構築システム1が備える各部の機能全体あるいはその一部は、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【符号の説明】
【0052】
1…三次元再構築システム、11…透明化部、11A…固定部、11B…脱色・脱脂部、11C…染色部、11D…洗浄部、11E…屈折率調整部、11F…BB置換部、12…包埋部、13…連続切片作製部、14…免疫染色部、15…画像取り込み部、16…三次元再構築部
図1
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図4
図5
図6
図7
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