(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055071
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/3233 20160101AFI20240411BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09G3/20 622E
G09G3/20 624B
G09G3/20 670E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161675
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 賢治
(72)【発明者】
【氏名】森田 哲生
【テーマコード(参考)】
5C080
5C380
【Fターム(参考)】
5C080AA06
5C080BB05
5C080DD09
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
5C380AA01
5C380AB06
5C380CB01
5C380CB12
5C380CB25
5C380CB26
5C380CC26
5C380CC39
5C380CD072
5C380CF07
5C380CF10
5C380CF31
5C380CF32
5C380CF33
(57)【要約】
【課題】 所望しない発光を防ぎ、表示品質が向上した表示装置を提供する。
【解決手段】 表示装置は、複数の画素それぞれに設けられる、画素回路と、シフトレジスタに設けられる、複数のフリップフロップ回路と、前記複数のフリップフロップ回路それぞれに設けられる、リセット素子と、を備え、前記リセット素子は、nチャネル型トランジスタであり、前記画素回路は、発光素子と、発光電源と、スイッチ素子と、を有し、前記発光電源が立ち上がる間、前記発光素子は、前記発光電源から切り離されている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素と、
前記複数の画素それぞれに設けられる、画素回路と、
前記複数の画素に接続される、複数の走査線と、
前記複数の画素に接続される、複数の信号線と、
前記複数の走査線に接続される、走査線駆動回路と、
前記複数の画素に接続される、信号線駆動回路と、
前記走査線駆動回路に設けられる、シフトレジスタと、
前記シフトレジスタに設けられる、複数のフリップフロップ回路と、
前記複数のフリップフロップ回路それぞれに設けられる、リセット素子と、
を備え、
前記リセット素子は、nチャネル型トランジスタであり、
前記画素回路は、発光素子と、発光電源と、スイッチ素子と、を有し、
前記発光電源が立ち上がる間、前記発光素子は、前記発光電源から切り離されている、表示装置。
【請求項2】
前記発光素子は、有機エレクトロルミネセンス発光素子である、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記フリップフロップ回路は、NORゲートと、トランスミッションゲートと、インバータと、を備え、
前記nチャネル型トランジスタのソース又はドレインの一方は、前記NORゲートの出力端子と、前記インバータの入力端子に接続され、
前記nチャネル型トランジスタのソース又はドレインの他方は、低電位電源に接続され、
前記nチャネル型トランジスタのゲートには、リセット信号が入力され、
前記インバータの出力端子から、前記画素回路に発光信号が出力される、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記発光電源が立ち上がる間に、前記nチャネル型トランジスタのゲートに入力されるリセット信号は、ロウレベルである、請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
複数の画素と、
前記複数の画素それぞれに設けられる、画素回路と、
前記複数の画素に接続される、複数の走査線と、
前記複数の画素に接続される、複数の信号線と、
前記複数の走査線に接続される、走査線駆動回路と、
前記複数の画素に接続される、信号線駆動回路と、
前記走査線駆動回路に設けられる、シフトレジスタと、
前記シフトレジスタに設けられる、複数のフリップフロップ回路と、
前記複数のフリップフロップ回路それぞれに接続される、リセット素子と、
を備え、
前記リセット素子は、NANDゲートであり、
前記画素回路は、発光素子と、発光電源と、スイッチ素子と、を有し、
前記発光電源が立ち上がる間、前記発光素子は、前記発光電源から切り離されている、表示装置。
【請求項6】
前記発光素子は、有機エレクトロルミネセンス発光素子である、請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
リセット信号が入力される配線をさらに備え、
前記フリップフロップ回路は、NORゲートと、トランスミッションゲートと、インバータと、を備え、
前記NANDゲートの入力端子の一方は、前記インバータの出力端子に接続され、
前記NANDゲートの入力端子の他方は、前記配線に接続され、
前記NANDゲートの出力端子から、前記画素回路に発光信号が出力される、請求項5に記載の表示装置。
【請求項8】
前記発光電源が立ち上がる間に、前記配線を介して、前記NANDゲートの前記入力端子の他方に入力されるリセット信号は、ロウレベルである、請求項7に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置の液晶層の電位を所定の電位にするリセット回路や、シフトレジスタをリセットするリセット回路が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-304512号公報
【特許文献2】特開2006-101483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態は、所望しない発光を防ぎ、表示品質が向上した表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る表示装置は、
複数の画素と、
前記複数の画素それぞれに設けられる、画素回路と、
前記複数の画素に接続される、複数の走査線と、
前記複数の画素に接続される、複数の信号線と、
前記複数の走査線に接続される、走査線駆動回路と、
前記複数の画素に接続される、信号線駆動回路と、
前記走査線駆動回路に設けられる、シフトレジスタと、
前記シフトレジスタに設けられる、複数のフリップフロップ回路と、
前記複数のフリップフロップ回路それぞれに設けられる、リセット素子と、
を備え、
前記リセット素子は、nチャネル型トランジスタであり、
前記画素回路は、発光素子と、発光電源と、スイッチ素子と、を有し、
前記発光電源が立ち上がる間、前記発光素子は、前記発光電源から切り離されている。
【0006】
また、一実施形態に係る表示装置は、
複数の画素と、
前記複数の画素それぞれに設けられる、画素回路と、
前記複数の画素に接続される、複数の走査線と、
前記複数の画素に接続される、複数の信号線と、
前記複数の走査線に接続される、走査線駆動回路と、
前記複数の画素に接続される、信号線駆動回路と、
前記走査線駆動回路に設けられる、シフトレジスタと、
前記シフトレジスタに設けられる、複数のフリップフロップ回路と、
前記複数のフリップフロップ回路それぞれに接続される、リセット素子と、
を備え、
前記リセット素子は、NANDゲートであり、
前記画素回路は、発光素子と、発光電源と、スイッチ素子と、を有し、
前記発光電源が立ち上がる間、前記発光素子は、前記発光電源から切り離されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態の表示装置の概略的な構成の一例を示す平面図である。
【
図6】
図6は、比較例のシフトレジスタの構成を示す回路図である。
【
図7】
図7は、比較例のシフトレジスタのタイミングチャートである。
【
図8】
図8は、比較例の画素回路に対する電源投入シーケンスを示すタイミングチャートである。
【
図9】
図9は、
図8の動作を行うシフトレジスタの概略的な構成を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、実施形態のシフトレジスタの構成を示す回路図である。
【
図11】
図11は、実施形態のシフトレジスタのタイミングチャートである。
【
図12】
図12は、実施形態における表示装置の構成例を示す図である。
【
図13】
図13は、構成例1のシフトレジスタのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
本明細書で述べる実施形態は、一般的なものでなく、本発明の同一又は対応する特別な技術的特徴について説明する実施形態である。以下、図面を参照しながら一実施形態に係る表示装置について詳細に説明する。
【0010】
本実施形態においては、第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。第3方向Zの矢印の先端に向かう方向を上又は上方と定義し、第3方向Zの矢印の先端に向かう方向とは反対側の方向を下又は下方と定義する。なお第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zを、それぞれ、X方向、Y方向、及び、Z方向と呼ぶこともある。
【0011】
また、「第1部材の上方の第2部材」及び「第1部材の下方の第2部材」とした場合、第2部材は、第1部材に接していてもよく、又は第1部材から離れて位置していてもよい。後者の場合、第1部材と第2部材との間に、第3の部材が介在していてもよい。一方、「第1部材の上の第2部材」及び「第1部材の下の第2部材」とした場合、第2部材は第1部材に接している。
【0012】
また、第3方向Zの矢印の先端側に表示装置を観察する観察位置があるものとし、この観察位置から、第1方向X及び第2方向Yで規定されるX-Y平面に向かって見ることを平面視という。第1方向X及び第3方向Zによって規定されるX-Z平面、あるいは第2方向Y及び第3方向Zによって規定されるY-Z平面における表示装置の断面を見ることを断面視という。
【0013】
[実施形態]
図1は、実施形態の表示装置の概略的な構成の一例を示す平面図である。
図1に示す表示装置DSPには、基板SUB1には、表示領域DAと、表示領域DAを囲む周辺領域FAと、周辺領域FAに設けられた走査線駆動回路GDV(GDV1及びGDV2)並びに信号線駆動回路SDVとが設けられている。
【0014】
表示領域DAは、複数の画素PXを含み、複数の画素PXは、マトリクス状に配置される。複数の画素PXそれぞれは、複数の走査線GLそれぞれ及び複数の信号線SLそれぞれの交点に設けられている。複数の画素PXそれぞれは、対応する走査線GL及び信号線SLに接続されている。
【0015】
周辺領域FAは、表示領域DAの外側の領域をいう。周辺領域FAには、走査線駆動回路GDV(GDV1及びGDV2)、信号線駆動回路SDV、及び、図示しない端子を介して接続される配線基板FPCを有している。
図1に示す例では、走査線駆動回路GDVから走査線GLが延伸している。奇数番目の走査線GLは、走査線駆動回路GDV1に接続されている。偶数番目の走査線GLは、走査線駆動回路GDV2に接続されている。なお走査線駆動回路は、2つに分かれておらずともよく、1つの走査線駆動回路に全ての走査線GLが接続されていてもよい。信号線駆動回路SDVから信号線SLが延伸している。駆動素子CTLは、配線基板FPC上に設けられている。駆動素子CTLは、例えばドライバICが挙げられる。
【0016】
表示装置DSPの外部から、配線基板FPCを介して、映像信号及び各種制御信号が供給される。映像信号は、駆動素子CTLを介して複数の画素PXに入力される。各種駆動信号は、駆動素子CTLを介して、走査線駆動回路GDV及び信号線駆動回路SDVに入力される。映像信号及び各種制御信号に基づいて、画素PXが発光する。
【0017】
図1に示す走査線駆動回路GDV及び信号線駆動回路SDVは、それぞれ、シフトレジスタを備えている。シフトレジスタは、例えば、複数のフリップフロップ回路が連結接続されることにより構成される。本実施形態の表示装置DSPは、m本の走査線GL及びn本の信号線SLを有する場合、すなわち、m×n個の画素PXを有するものとする。例えば、走査線駆動回路GDVのシフトレジスタは、m個(m段)のフリップフロップ回路を有する。当該m個のフリップフロップ回路は、それぞれ、走査線GLに接続されている。
【0018】
当該シフトレジスタの動作を説明する。まず、最初の段のフリップフロップ回路にスタートパルス(スタート信号)が入力される。各段のフリップフロップ回路がパルスを出力すると、そのパルスがゲート信号として走査線GLに供給される。これと共に、次段のフリップフロップ回路にパルスがキャリー信号として入力される。これにより、最初の段から順に、各段のフリップフロップがパルスを出力する。
【0019】
図2乃至
図5は、画素回路を示す回路図である。
図2において、複数の画素PXそれぞれに設けられる画素回路PCは、スイッチ素子として機能するトランジスタTRSと、電流制御トランジスタであるトランジスタTRIと、発光素子ELMとを備えている。発光素子ELMは、有機エレクトロルミネセンス(Electro Luminescence:EL)発光素子である。
【0020】
トランジスタTRSのゲートには、発光信号EMが入力される。トランジスタTRSのソース又はドレインの一方には、高電位電源ELVDDに接続されている。トランジスタTRSのソース又はドレインの他方には、トランジスタTRIのソース又はドレインの一方に接続されている。発光信号EMは、上述した走査線GLに供給されるゲート信号に該当する。
【0021】
トランジスタTRIのゲートは、画素回路PCの他の素子に接続されている。トランジスタTRIのソース又はドレインの一方は、トランジスタTRSのソース又はドレインの他方に接続されている。トランジスタTRIのソース又はドレインの他方は、発光素子ELMの陽極(アノード)に接続されている。発光素子ELMの陰極(カソード)は、低電位電源ELVSSに接続されている。
【0022】
トランジスタTRSは、発光素子ELMに高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSを接続するスイッチ素子として機能する。
図3乃至
図5は、
図2のトランジスタTRSをスイッチ素子SWTに書き換えた画素回路PCを示している。
【0023】
発光素子ELMを発光させる駆動において、まず、高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSを立ち上げる動作を行う。高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSは、例えば、5V及び0Vの電源である。電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSの立ち上げとは、高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSとの電位差が5Vとなるように、高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSの電位を固定することである。
【0024】
このとき、スイッチ素子SWTをオフ状態、すなわち、電気的に非接続の状態で、高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSを立ち上げる(
図3参照)。なお本実施形態では、高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSを併せて、単に「電源」又は「EL電源」もしくは「発光電源」と呼ぶこともある。また高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSの立ち上げを、単に「電源の立ち上げ」ともいう。
【0025】
スイッチ素子SWTであるトランジスタTRSがpチャネル型トランジスタの場合を考える。スイッチ素子SWTに入力される発光信号EMがハイレベル(H)のとき、スイッチ素子SWTはオフ状態(非接続状態)となる(
図4参照)。一方、発光信号EMがロウレベル(L)のとき、スイッチ素子SWTは、オン状態(接続状態)となる(
図5参照)。
【0026】
上述したように、本実施形態の発光素子ELMを発光させるには、高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSを立ち上げる動作が必要である。当該電源(ELVDD及びELVSS)を立ち上げている間に、スイッチ素子SWTにロウレベル(L)の信号が入力されてしまうと、発光素子ELMに当該電源が接続されてしまう。よって、発光素子ELMに不要な発光が起こる恐れが生じる。
【0027】
このため、高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSを立ち上げる間は、スイッチ素子SWTに入力される信号を、ハイレベル(H)で維持することが必要である。
【0028】
図6は、比較例のシフトレジスタの構成を示す回路図である。
図6に示すシフトレジスタSRrは、i段目(ただし、iは、1≦i≦(m-1)満たす自然数)のフリップフロップ回路FF_i及び(i+1)段目のフリップフロップ回路FF_i+1を含んでいる。
【0029】
フリップフロップ回路FF_iは、NORゲートNR_iと、トランジスタTRRr_iと、インバータINV_iと、トランジスタTMP_iと、トランジスタTMN_iと、トランジスタTRF_iと、を有している。
【0030】
なお
図6では、図面を分かり易くするために線で結んでいないが、ノードNDa_i同士は接続されている。同様に、ノードNDb_i同士は接続されている。
【0031】
NORゲートNR_iの入力端子の一方は、ノードINP_iに接続されている。NORゲートNR_iの入力端子の他方は、トランジスタTMP_iのソース又はドレインの一方、トランジスタTMN_iのソース又はドレインの一方、トランジスタTRF_iのソース又はドレインの一方、及び、ノードOTP_iに接続されている。NORゲートNR_iの出力端子は、トランジスタTRRr_iのソース又はドレインの一方、インバータINV_iの入力端子、及び、ノードNDb_iに接続されている。
【0032】
トランジスタTRRr_iは、pチャネル型トランジスタである。トランジスタTRRr_iのソース又はドレインの一方は、NORゲートNR_iの出力端子、インバータINV_iの入力端子、及び、ノードNDb_iに接続されている。トランジスタTRRr_iのソース又はドレインの他方は、高電位電源VGHに接続されている。トランジスタTRRr_iのゲートには、リセット信号RSTが入力される。トランジスタTRRr_iがリセット素子に該当する。
【0033】
トランジスタTMP_iは、pチャネル型トランジスタである。トランジスタTMP_iのソース又はドレインの一方は、NORゲートNR_iの入力端子の他方、トランジスタTMN_iのソース又はドレインの一方、トランジスタTRF_iのソース又はドレインの一方、及び、ノードOTP_iに接続されている。トランジスタTMP_iのソース又はドレインの他方は、トランジスタTMN_iのソース又はドレインの他方に接続されており、クロック信号CLKが入力される。トランジスタTMP_iのゲートは、ノードNDb_iに接続されている。
【0034】
トランジスタTMN_iは、nチャネル型トランジスタである。トランジスタTMN_iのソース又はドレインの一方は、トランジスタTMP_iのソース又はドレインの一方、NORゲートNR_iの入力端子の他方、トランジスタTRF_iのソース又はドレインの一方、及び、ノードOTP_iに接続されている。トランジスタTMN_iのソース又はドレインの他方は、トランジスタTMP_iのソース又はドレインの他方に接続されており、クロック信号CLKが入力される。トランジスタTMN_iのゲートは、ノードNDa_iに接続されている。
【0035】
トランジスタTMN_i及びトランジスタTMP_iは、ソース同士及びドレイン同士が接続され、トランスミッションゲートを構成する。
【0036】
トランジスタTRF_iは、nチャネル型トランジスタである。トランジスタTRF_iのソース又はドレインの一方は、トランジスタTMN_iのソース又はドレインの一方、トランジスタTMP_iのソース又はドレインの一方、NORゲートNR_iの入力端子の他方、及び、ノードOTP_iに接続されている。トランジスタTRF_iのソース又はドレインの他方は、低電位電源VGLに接続されている。トランジスタTRF_iのゲートは、ノードNDb_iに接続されている。
【0037】
ノードINP_iは、フリップフロップ回路FF_iの入力端子である。ノードINP_iには、前段のフリップフロップ回路(図示しないフリップフロップ回路FF_i-1)の出力端子(図示しないノードOTP_i-1)からキャリー信号が入力される。
【0038】
ノードOTP_iは、フリップフロップ回路FF_iの出力端子である。ノードOTP_iから、次段のフリップフロップ回路FF_i+1の入力端子(ノードINP_i+1)にキャリー信号が出力される。
【0039】
インバータINV_iの出力端子から、ノードNDa_iを介して、発光信号EMiが出力される。上述のように、発光信号EMiが画素PXの画素回路PCに入力されると、発光素子ELMが発光する。
【0040】
(i+1)段目のフリップフロップ回路FF_i+1には、NORゲートNR_i+1と、トランジスタTRRr_i+1と、インバータINV_i+1と、トランジスタTMP_i+1と、トランジスタTMN_i+1と、トランジスタTRF_i+1と、インバータINE_i+1と、を有している。
【0041】
上述と同様、図面を分かり易くするために線で結んでいないが、ノードNDa_i+1同士は接続されている。同様に、ノードNDb_i+1同士は接続されている。
【0042】
NORゲートNR_i+1の入力端子の一方は、ノードINP_i+1に接続されている。NORゲートNR_i+1の入力端子の他方は、インバータINE_i+1の出力端子、及び、ノードOTP_i+1に接続されている。NORゲートNR_i+1の出力端子は、トランジスタTRRr_i+1のソース又はドレインの一方、インバータINV_i+1の入力端子、及び、ノードNDb_i+1に接続されている。
【0043】
トランジスタTRRr_i+1は、pチャネル型トランジスタである。トランジスタTRRr_i+1のソース又はドレインの一方は、NORゲートNR_i+1の出力端子、インバータINV_i+1の入力端子、及び、ノードNDb_i+1に接続されている。トランジスタTRRr_i+1のソース又はドレインの他方は、高電位電源VGHに接続されている。トランジスタTRRr_i+1のゲートには、リセット信号RSTが入力される。トランジスタTRRr_i+1がリセット素子に該当する。
【0044】
トランジスタTMP_i+1は、pチャネル型トランジスタである。トランジスタTMP_i+1のソース又はドレインの一方は、インバータINE_i+1の入力端子、トランジスタTMN_i+1のソース又はドレインの一方、及び、トランジスタTRF_i+1のソース又はドレインの一方に接続されている。トランジスタTMP_i+1のソース又はドレインの他方は、トランジスタTMN_i+1のソース又はドレインの他方に接続されており、クロック信号CLKが入力される。トランジスタTMP_i+1のゲートは、ノードNDb_i+1に接続されている。
【0045】
トランジスタTMN_i+1は、nチャネル型トランジスタである。トランジスタTMN_i+1のソース又はドレインの一方は、インバータINE_i+1の入力端子、トランジスタTMP_i+1のソース又はドレインの一方、及び、トランジスタTRF_i+1のソース又はドレインの一方に接続されている。トランジスタTMN_i+1のソース又はドレインの他方は、トランジスタTMP_i+1のソース又はドレインの他方に接続されており、クロック信号CLKが入力される。トランジスタTMN_i+1のゲートは、ノードNDa_i+1に接続されている。
トランジスタTMN_i+1及びトランジスタTMP_i+1は、ソース同士及びドレイン同士が接続され、トランスミッションゲートを構成する。
【0046】
トランジスタTRF_i+1は、nチャネル型トランジスタである。トランジスタTRF_i+1のソース又はドレインの一方は、インバータINE_i+1の入力端子、トランジスタTMN_i+1のソース又はドレインの一方、及び、トランジスタTMP_i+1のソース又はドレインの一方に接続されている。トランジスタTRF_i+1のソース又はドレインの他方は、高電位電源VGHに接続されている。トランジスタTRF_iのゲートは、ノードNDb_i+1に接続されている。
【0047】
インバータINE_i+1の入力端子は、トランジスタTRF_i+1のソース又はドレインの一方、トランジスタTMN_i+1のソース又はドレインの一方、及び、トランジスタTMP_i+1のソース又はドレインの一方に接続されている。インバータINE_i+1の出力端子は、NORゲートNR_i+1の入力端子の他方、及び、ノードOTP_i+1に接続されている。
【0048】
インバータINV_i+1の出力端子から、ノードNDa_i+1を介して、発光信号EMi+1が出力される。上述のように、発光信号EMi+1が画素PXの画素回路PCに入力されると、発光素子ELMが発光する。
【0049】
ノードINP_i+1は、フリップフロップ回路FF_i+1の入力端子である。ノードINP_i+1には、前段のフリップフロップ回路FF_iの出力端子(ノードOTP_i)からキャリー信号が入力される。
【0050】
ノードOTP_i+1は、フリップフロップ回路FF_i+1の出力端子である。ノードOTP_i+1から、次段のフリップフロップ回路(図示しないフリップフロップ回路FF_i+2)の入力端子(図示しないノードINP_i+2)にキャリー信号が出力される。なおフリップフロップ回路FF_i+1が最終段の場合(i+1=m)は、次段のフリップフロップ回路は存在しない。
【0051】
フリップフロップ回路FF_iの回路構成は、例えば、奇数段のフリップフロップ回路に用いられる。フリップフロップ回路FF_i+1回路構成は、例えば、偶数段のフリップフロップ回路に用いられる。
【0052】
図7は、比較例のシフトレジスタのタイミングチャートである。
電源信号PSLが立ち上がる、すなわち、ロウレベル(L)からハイレベル(H)に変化した後、リセット信号RSTがロウレベル(L)からハイレベル(H)に変化する。電源信号PSLが立ち上がった後、リセット信号RSTがハイレベル(H)に変化するまでの期間をリセット期間PRSrとする。
【0053】
なお、電源信号PSLが立ち上がる前では、発光信号EMは、ハイレベル(H)又はロウレベル(L)のいずれの状態も取り得る。比較例では、電源信号PSLが立ち上がる前の発光信号EM(
図7では発光信号EM1乃至EM4)の電位を不定(「indifinite」と記載)とする。
【0054】
ロウレベル(L)のリセット信号RSTがトランジスタTRRr_iに入力されると、トランジスタTRRr_iはオン状態となる。トランジスタTRRr_iのソース及びドレインが、高電位電源VGHと同電位(ハイレベル(H))となる。トランジスタTRRr_iのソース又はドレインの一方に接続されている、インバータINV_iの入力端子もハイレベル(H)となる。入力端子がハイレベル(H)となるので、インバータINV_iは、出力端子からロウレベル(L)の発光信号EMiを出力する。
【0055】
発光信号EMiがロウレベル(L)のとき、
図5に示すように、発光素子ELMは高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSに接続される。全てのフリップフロップ回路FFにおいて、フリップフロップ回路FF_iと同様の動作が行われる。よって全ての画素PXの発光素子ELMが、リセット期間PRSrにおいて、高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSに接続される。
【0056】
リセット期間PRSが終了しても、全ての発光信号EMは、ロウレベル(L)が維持される。すなわち、発光素子ELMが高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSから接続された状態が、維持される。
【0057】
リセット期間PRSr後、クロック信号CLKが全てのフリップフロップ回路FFのトランジスタTMNのソース又はドレインの他方、及び、トランジスタTMPのソース又はドレインの他方に入力される。さらにその後、スタートパルスSTPがフリップフロップ回路FF_1の入力端子であるノードINP_1に入力される。すなわち、スタートパルスSTPがロウレベル(L)からハイレベル(H)に変化する。
【0058】
スタートパルスSTPがハイレベル(H)に変化後、クロック信号CLKが立ち上がるタイミングで、発光信号EM1がロウレベル(L)からハイレベル(H)に変化する。発光信号EM1がハイレベル(H)となると、
図4に示すように、発光素子ELMが高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSと切り離される。
【0059】
高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSは、リセット信号RSTが立ち上がった後、最初のスタートパルスSTPが立ち上がるまで、発光素子ELMは接続されている。比較例では、リセット信号RSTが立ち上がった後、最初のスタートパルスSTPが立ち上がるまでの期間を、電源立上期間PSPrとする。電源立上期間PSPrに、高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSを立ち上げる。
【0060】
高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSは、上述のように、例えば、5V及び0Vの電源である。すなわち、高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSとの電位差が5Vであればよい。発光素子ELMが高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSに接続された状態であっても、画素回路PCの電流制御トランジスタであるトランジスタTRIのゲート電位がオフ電位であれば電流が流れないため、発光素子ELMは発光しない。
【0061】
しかしながら、電流制御トランジスタTRIのゲート電位は、電源立ち上げ直後は不定状態であり、電流制御トランジスタがオフ状態になっておらず電流を流してしまう可能性がある。この場合、発光素子ELMは、所望しない発光が生じてしまう。
【0062】
図6に示すシフトレジスタSRrであっても、電源の立ち上げの際に、最初の1フレームのスタートパルスをハイレベル(H)固定にすることにより、所望しない発光を抑制することが可能である。以下にその動作について説明する。
【0063】
図8は、比較例の画素回路に対する電源投入シーケンスを示すタイミングチャートである。
図9は、
図8の動作を行うシフトレジスタの概略的な構成を示すブロック図である。1フレーム目では、スタートパルスSTPは、ハイレベル(H)に固定されている。
【0064】
まず、シフトレジスタSRの1段目のフリップフロップ回路FF_1にスタートパルスSTPが入力される。フリップフロップ回路FF_1は、発光信号EM1を出力すると共に、2段目のフリップフロップ回路FF_2にパルス(キャリー信号)を出力する。スタートパルスSTPがハイレベル(H)のため、発光信号EM1もハイレベル(H)となる。発光信号EM1は、走査線GLを介して、1行目(1段目)の画素PXそれぞれの画素回路PCに入力される。これにより、1行目の画素PXそれぞれのスイッチ素子SWTに発光信号EM1が入力され、スイッチ素子SWTがオフ状態となる。よって、1行目の画素PXそれぞれの発光素子ELMは、高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSから切り離される。
【0065】
上述のパルス(キャリー信号)が入力された2段目のフリップフロップ回路FF_2は、発光信号EM2を出力すると共に、3段目のフリップフロップ回路FF_2にパルス(キャリー信号)を出力する。1行目の画素PXと同様に、2行目の画素PXそれぞれの発光素子ELMは、高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSから切り離される。
【0066】
3段目から最終段目(m段目)まで、上記と同様の動作が行われ、全ての画素PXそれぞれの発光素子ELMは、高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSから切り離される。このとき、全ての画素PXそれぞれのスイッチ素子SWTには、ハイレベル(H)の発光信号EM(EM1乃至EMm)が維持される。
【0067】
全ての画素PXそれぞれの発光素子ELMが、EL電源(ELVDD及びELVSS)から切り離されると、当該EL電源が立ち上がる。当該EL電源の立ち上がりが終了すると、スタートパルスSTPが、ハイレベル(H)からロウレベル(L)に変化する。ここから2フレーム目の動作が開始される。
【0068】
ロウレベル(L)のスタートパルスSTPが1段目のフリップフロップ回路FF_1に入力される。これにより、発光信号EM1がロウレベル(L)となる。1段目(1行目)の走査線GLに接続されている画素PXそれぞれのスイッチ素子SWTがオン状態となる。高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSが、1行目の画素PXそれぞれの発光素子ELMに接続され、発光素子ELMが点灯する。
【0069】
フリップフロップ回路FF_1に、ロウレベル(L)のスタートパルスSTPが入力されると共に、2段目のフリップフロップ回路FF_2にパルス(キャリー信号)が出力される。2段目(2行目)の走査線GLに接続されている画素PXそれぞれのスイッチ素子SWTがオン状態となる。高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSが、2行目の画素PXそれぞれの発光素子ELMに接続され、発光素子ELMが点灯する。
【0070】
3段目から最終段目(m段目)まで、上記と同様の動作が行われ、全ての画素PXそれぞれの発光素子ELMが点灯する。以上で2フレーム目の動作が終了する。
【0071】
1フレーム目では、全ての画素PXの発光素子ELMが消灯するまで、スタートパルスSTPは、ハイレベル(H)が維持される。2フレーム目では、全ての画素PXの発光素子ELMが点灯するまで、スタートパルスSTPは、ロウレベル(L)が維持される。しかしながら、3フレーム目以降では、スタートパルスSTPは、各フレームの最初にパルスとして出力される。
【0072】
図8及び
図9に示すシフトレジスタの動作では、高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSの立ち上げにおいて、全ての画素PXの発光素子ELMを、当該電源から切り離すことが可能である。これにより、発光素子ELMの意図しない発光が生じない。
【0073】
しかしながら、
図8及び
図9に示すシフトレジスタの動作では、スタートパルスSTPを1フレームの間ハイレベル(H)に固定する必要がある。また、高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSの立ち上げに、1フレームが必要である。このような複雑な動作は、高度な制御が必要となり、システムが複雑化する。またこのようなシフトレジスタを有する表示装置は、製造コストが上昇してしまうという恐れがある。
【0074】
本実施形態では、シフトレジスタにリセット素子を設け、シフトレジスタの出力を一括してオフとする。これにより、当該リセット素子に入力されるリセット信号のみで、全ての画素PXの発光素子ELMを電源から切り離すことが可能となる。
【0075】
図10は、実施形態のシフトレジスタの構成を示す回路図である。
図10に示すシフトレジスタSRは、i段目(ただし、iは、1≦i≦(m-1)満たす自然数)のフリップフロップ回路FF_i及び(i+1)段目のフリップフロップ回路FF_i+1を含んでいる。
【0076】
フリップフロップ回路FF_iは、NORゲートNR_iと、トランジスタTRR_iと、インバータINV_iと、トランジスタTMP_iと、トランジスタTMN_iと、トランジスタTRF_iと、を有している。
【0077】
なお
図10では、図面を分かり易くするために線で結んでいないが、ノードNDa_i同士は接続されている。同様に、ノードNDb_i同士は接続されている。
【0078】
NORゲートNR_iの入力端子の一方は、ノードINP_iに接続されている。NORゲートNR_iの入力端子の他方は、トランジスタTMP_iのソース又はドレインの一方、トランジスタTMN_iのソース又はドレインの一方、トランジスタTRF_iのソース又はドレインの一方、及び、ノードOTP_iに接続されている。NORゲートNR_iの出力端子は、トランジスタTRR_iのソース又はドレインの一方、インバータINV_iの入力端子、及び、ノードNDb_iに接続されている。
【0079】
トランジスタTRR_iは、nチャネル型トランジスタである。トランジスタTRR_iのソース又はドレインの一方は、NORゲートNR_iの出力端子、インバータINV_iの入力端子、及び、ノードNDb_iに接続されている。トランジスタTRR_iのソース又はドレインの他方は、低電位電源VGLに接続されている。トランジスタTRR_iのゲートには、リセット信号RSTが入力される。トランジスタTRR_iがリセット素子に該当する。
【0080】
トランジスタTMP_iは、pチャネル型トランジスタである。トランジスタTMP_iのソース又はドレインの一方は、NORゲートNR_iの入力端子の他方、トランジスタTMN_iのソース又はドレインの一方、トランジスタTRF_iのソース又はドレインの一方、及び、ノードOTP_iに接続されている。トランジスタTMP_iのソース又はドレインの他方は、トランジスタTMN_iのソース又はドレインの他方に接続されており、クロック信号CLKが入力される。トランジスタTMP_iのゲートは、ノードNDb_iに接続されている。
【0081】
トランジスタTMN_iは、nチャネル型トランジスタである。トランジスタTMN_iのソース又はドレインの一方は、トランジスタTMP_iのソース又はドレインの一方、NORゲートNR_iの入力端子の他方、トランジスタTRF_iのソース又はドレインの一方、及び、ノードOTP_iに接続されている。トランジスタTMN_iのソース又はドレインの他方は、トランジスタTMP_iのソース又はドレインの他方に接続されており、クロック信号CLKが入力される。トランジスタTMN_iのゲートは、ノードNDa_iに接続されている。
【0082】
トランジスタTMN_i及びトランジスタTMP_iは、ソース同士及びドレイン同士が接続され、トランスミッションゲートを構成する。
【0083】
トランジスタTRF_iは、nチャネル型トランジスタである。トランジスタTRF_iのソース又はドレインの一方は、トランジスタTMN_iのソース又はドレインの一方、トランジスタTMP_iのソース又はドレインの一方、NORゲートNR_iの入力端子の他方、及び、ノードOTP_iに接続されている。トランジスタTRF_iのソース又はドレインの他方は、低電位電源VGLに接続されている。トランジスタTRF_iのゲートは、ノードNDb_iに接続されている。
【0084】
ノードINP_iは、フリップフロップ回路FF_iの入力端子である。ノードINP_iには、前段のフリップフロップ回路(図示しないフリップフロップ回路FF_i-1)の出力端子(図示しないノードOTP_i-1)からキャリー信号が入力される。
【0085】
ノードOTP_iは、フリップフロップ回路FF_iの出力端子である。ノードOTP_iから、次段のフリップフロップ回路FF_i+1の入力端子(ノードINP_i+1)にキャリー信号が出力される。
【0086】
インバータINV_iの出力端子から、ノードNDa_iを介して、発光信号EMiが出力される。上述のように、発光信号EMiが画素PXの画素回路PCに入力されると、発光素子ELMが発光する。
【0087】
(i+1)段目のフリップフロップ回路FF_i+1には、NORゲートNR_i+1と、トランジスタTRR_i+1と、インバータINV_i+1と、トランジスタTMP_i+1と、トランジスタTMN_i+1と、トランジスタTRF_i+1と、インバータINE_i+1と、を有している。
【0088】
上述と同様、図面を分かり易くするために線で結んでいないが、ノードNDa_i+1同士は接続されている。同様に、ノードNDb_i+1同士は接続されている。
【0089】
NORゲートNR_i+1の入力端子の一方は、ノードINP_i+1に接続されている。NORゲートNR_i+1の入力端子の他方は、インバータINE_i+1の出力端子、及び、ノードOTP_i+1に接続されている。NORゲートNR_i+1の出力端子は、トランジスタTRR_i+1のソース又はドレインの一方、インバータINV_i+1の入力端子、及び、ノードNDb_i+1に接続されている。
【0090】
トランジスタTRR_i+1は、nチャネル型トランジスタである。トランジスタTRR_i+1のソース又はドレインの一方は、NORゲートNR_i+1の出力端子、インバータINV_i+1の入力端子、及び、ノードNDb_i+1に接続されている。トランジスタTRR_i+1のソース又はドレインの他方は、低電位電源VGLに接続されている。トランジスタTRR_i+1のゲートには、リセット信号RSTが入力される。トランジスタTRR_i+1がリセット素子に該当する。
【0091】
トランジスタTMP_i+1は、pチャネル型トランジスタである。トランジスタTMP_i+1のソース又はドレインの一方は、インバータINE_i+1の入力端子、トランジスタTMN_i+1のソース又はドレインの一方、及び、トランジスタTRF_i+1のソース又はドレインの一方に接続されている。トランジスタTMP_i+1のソース又はドレインの他方は、トランジスタTMN_i+1のソース又はドレインの他方に接続されており、クロック信号CLKが入力される。トランジスタTMP_i+1のゲートは、ノードNDb_i+1に接続されている。
【0092】
トランジスタTMN_i+1は、nチャネル型トランジスタである。トランジスタTMN_i+1のソース又はドレインの一方は、インバータINE_i+1の入力端子、トランジスタTMP_i+1のソース又はドレインの一方、及び、トランジスタTRF_i+1のソース又はドレインの一方に接続されている。トランジスタTMN_i+1のソース又はドレインの他方は、トランジスタTMP_i+1のソース又はドレインの他方に接続されており、クロック信号CLKが入力される。トランジスタTMN_i+1のゲートは、ノードNDa_i+1に接続されている。
【0093】
トランジスタTMN_i+1及びトランジスタTMP_i+1は、ソース同士及びドレイン同士が接続され、トランスミッションゲートを構成する。
【0094】
トランジスタTRF_i+1は、nチャネル型トランジスタである。トランジスタTRF_i+1のソース又はドレインの一方は、インバータINE_i+1の入力端子、トランジスタTMN_i+1のソース又はドレインの一方、及び、トランジスタTMP_i+1のソース又はドレインの一方に接続されている。トランジスタTRF_i+1のソース又はドレインの他方は、高電位電源VGHに接続されている。トランジスタTRF_iのゲートは、ノードNDb_i+1に接続されている。
【0095】
インバータINE_i+1の入力端子は、トランジスタTRF_i+1のソース又はドレインの一方、トランジスタTMN_i+1のソース又はドレインの一方、及び、トランジスタTMP_i+1のソース又はドレインの一方に接続されている。インバータINE_i+1の出力端子は、NORゲートNR_i+1の入力端子の他方、及び、ノードOTP_i+1に接続されている。
【0096】
インバータINV_i+1の出力端子から、ノードNDa_i+1を介して、発光信号EMi+1が出力される。上述のように、発光信号EMi+1が画素PXの画素回路PCに入力されると、発光素子ELMが発光する。
【0097】
ノードINP_i+1は、フリップフロップ回路FF_i+1の入力端子である。ノードINP_i+1には、前段のフリップフロップ回路FF_iの出力端子(ノードOTP_i)からキャリー信号が入力される。
【0098】
ノードOTP_i+1は、フリップフロップ回路FF_i+1の出力端子である。ノードOTP_i+1から、次段のフリップフロップ回路(図示しないフリップフロップ回路FF_i+2)の入力端子(図示しないノードINP_i+2)にキャリー信号が出力される。なおフリップフロップ回路FF_i+1が最終段の場合(i+1=m)は、次段のフリップフロップ回路は存在しない。
【0099】
フリップフロップ回路FF_iの回路構成は、例えば、奇数段のフリップフロップ回路に用いられる。フリップフロップ回路FF_i+1回路構成は、例えば、偶数段のフリップフロップ回路に用いられる。
【0100】
図11は、実施形態のシフトレジスタのタイミングチャートである。まず電源信号PSLが立ち上がる、すなわちロウレベル(L)からハイレベル(H)に変化する。
【0101】
電源信号PSLがロウレベル(L)からハイレベル(H)に変化するタイミングで、リセット信号RSTが入力される。リセット信号RSTがロウレベル(L)からハイレベル(H)に変化する。ハイレベル(H)のリセット信号RSTが、次にロウレベル(L)に変化するまでの期間をリセット期間PRSとする。
【0102】
ハイレベル(H)のリセット信号RSTがトランジスタTRR_iに入力されると、トランジスタTRR_iはオン状態となる。トランジスタTRR_iのソース及びドレインが、低電位電源VGLと同電位(ロウレベル(L))となる。トランジスタTRR_iのソース又はドレインの一方に接続されている、インバータINV_iの入力端子もロウレベル(L)となる。入力端子がロウレベル(L)となるので、インバータINV_iは、出力端子からハイレベル(H)の発光信号EMiを出力する。
【0103】
発光信号EMiがハイレベル(H)のとき、
図4に示すように、発光素子ELMは高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSから切り離される。全てのフリップフロップ回路FFにおいて、フリップフロップ回路FF_iと同様の動作が行われる。よって全ての画素PXの発光素子ELMが、リセット期間PRSにおいて、高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSから切り離される。
【0104】
リセット期間PRSが終了しても、全ての発光信号EMは、ハイレベル(H)が維持される。すなわち、発光素子ELMが高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSから切り離された状態が、維持される。
【0105】
リセット期間PRS後、クロック信号CLKが全てのフリップフロップ回路FFのトランジスタTMNのソース又はドレインの他方、及び、トランジスタTMPのソース又はドレインの他方に入力される。さらにその後、スタートパルスSTPがフリップフロップ回路FF_1の入力端子であるノードINP_1に入力される。すなわち、スタートパルスSTPがロウレベル(L)からハイレベル(H)に変化する。
【0106】
スタートパルスSTPが立ち下がるタイミング、ハイレベル(H)からロウレベル(L)に変化するタイミングで、発光信号EM1がハイレベル(H)からロウレベル(L)に変化する。発光信号EM1がロウレベル(L)となると、
図5に示すように、発光素子ELMが高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSと接続される。これにより、1行目(1段目)の走査線GLに接続されている画素PXが発光する。
【0107】
1段目のフリップフロップ回路FF_1から2段目のフリップフロップ回路FF_2に、キャリー信号が出力されると、フリップフロップ回路FF_2は、フリップフロップ回路FF_1と同様に動作する。その後、3段目のフリップフロップ回路FF_3から最終段のフリップフロップ回路FF_mまで、上述の動作が順に繰り返される。
【0108】
発光信号EM2からEMmは、発光信号EM1がハイレベル(H)からロウレベル(L)に変化した後、クロック信号CLKが立ち下がるタイミング(ハイレベル(H)からロウレベル(L)に変化)で、順にハイレベル(H)からロウレベル(L)に変化する。
【0109】
高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSは、リセット信号RSTが入力された後、最初のスタートパルスSTPが立ち下がるまで、発光素子ELMから切り離されている。リセット信号RSTが入力された後、最初のスタートパルスSTPが立ち下がるまでの期間を、電源立上期間PSPとする。電源立上期間PSPに、高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSの立ち上げを完了すればよい。
【0110】
本実施形態において、電源立上期間PSPでは、発光素子ELMは、高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSから切り離されている。よって、所望しない発光は生じない。これにより、発光品質が向上した表示装置DSPを得ることが可能である。
【0111】
<構成例1>
図12は、実施形態における表示装置の他の構成例を示す図である。
図12に示した構成例では、
図10に示した構成例と比較して、シフトレジスタにNANDゲートが接続されている、という点で異なっている。
【0112】
図12に示すシフトレジスタSRでは、フリップフロップ回路FF_iのインバータINV_iの出力端子に、ノードNDa_iを介して、NANDゲートNND_iが接続されている。NANDゲートNND_iの入力端子の一方は、上述の通り、インバータINV_iの出力端子に接続されている。NANDゲートNND_iの入力端子の他方は、配線LRを介して、他段のNANDゲートNND_iの入力端子の他方に接続されている。
図12では、NANDゲートNND_iの入力端子の他方は、配線LRを介して、NANDゲートNND_i+1に接続されている。NANDゲートNND_iの出力端子から、発光信号EMiが出力される。配線LRには、リセット信号RSTが入力される。
【0113】
図12に示すシフトレジスタSRにおいて、NANDゲートNND(NND_i及びNND_i+1)及び配線LR以外の構成は、
図6と同様である。NANDゲートNNDは、フリップフロップ回路FFに接続される、リセット素子に該当する。
【0114】
図13は、構成例1のシフトレジスタのタイミングチャートである。
図11と同様、電源信号PSLがロウレベル(L)からハイレベル(H)に変化した後、リセット信号RSTがロウレベル(L)からハイレベル(H)に変化する。電源信号PSLが立ち上がった後、リセット信号RSTがハイレベル(H)に変化するまでの期間をリセット期間PRSとする。
【0115】
なお、
図11と同様、電源信号PSLが立ち上がる前では、発光信号EMは、ハイレベル(H)又はロウレベル(L)のいずれの状態も取り得る。本構成例では、電源信号PSLが立ち上がる前の発光信号EM(
図13では発光信号EM1乃至EM4)の電位を不定(「indifinite」と記載)とする。
【0116】
ロウレベル(L)のリセット信号RSTがトランジスタTRRr_iに入力されると、トランジスタTRRr_iはオン状態となる。トランジスタTRRr_iのソース及びドレインが、高電位電源VGHと同電位(ハイレベル(H))となる。トランジスタTRRr_iのソース又はドレインの一方に接続されている、インバータINV_iの入力端子もハイレベル(H)となる。両方の入力端子の電位がハイレベル(H)となるので、インバータINV_iは、出力端子からロウレベル(L)の信号が出力される。
【0117】
インバータINV_iの出力端子から、NANDゲートNND_iの入力端子の一方に、ロウレベル(L)の信号が入力される。一方、NANDゲートNND_iの入力端子の他方に、ロウレベル(L)のリセット信号RSTが入力される。両方の入力端子からロウレベル(L)の信号が入力されるので、NANDゲートNND_iは、出力端子からハイレベル(H)の発光信号EMiを出力する。
図13では、発光信号EM1乃至EM4が、ハイレベル(H)であることが示されている。
【0118】
発光信号EMiがハイレベル(H)のとき、
図4に示すように、発光素子ELMは高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSから切り離される。全てのフリップフロップ回路FFにおいて、フリップフロップ回路FF_iと同様の動作が行われる。よって全ての画素PXの発光素子ELMが、リセット期間PRSにおいて、高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSから切り離される。
【0119】
リセット信号RSTが、ロウレベル(L)からハイレベル(H)に変化すると、NANDゲートNND_iの両方の入力端子には、ハイレベル(H)の信号が入力されることとなる。よってNANDゲートNND_iの出力端子から出力される発光信号EMiは、ロウレベル(L)に変化する。発光信号EMiがロウレベル(L)となるので、
図5に示すように、発光素子ELMは高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSに接続される。
【0120】
高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSの立ち上げは、リセット期間PRSと同じ期間に行えばよい。すなわち、本構成例では、リセット期間PRS及び電源立上期間PSPが同時であればよい。本構成例においても、高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSS、並びに、発光素子ELMが切り離されている期間に、高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSの立ち上げを行う。よって、所望しない発光は生じず、発光品質が向上した表示装置DSPを得ることが可能である。
【0121】
リセット期間PRS及び電源立上期間PSP終了後に、クロック信号CLKが画素回路PCに入力される。その後、スタートパルスSTPが、シフトレジスタSRのフリップフロップ回路FF_1から順に入力される。
【0122】
スタートパルスSTPが入力された後、クロック信号CLKが立ち上がるタイミングで、発光信号EM1がロウレベル(L)からハイレベル(H)に変化する。発光信号EM1がハイレベル(H)になるので、発光素子ELMは、高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSから切り離される。
【0123】
次のクロック信号CLKが立ち上がるタイミングで、発光信号EM1がハイレベル(H)からロウレベル(L)に変化する。これにより、発光素子ELMが、高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSに接続される。よって発光素子ELMが発光する。
【0124】
本構成例では、リセット期間RST後スタートパルスSTPが入力される前に、画素回路PC、並びに、高電位電源ELVDD及び低電位電源ELVSSに接続される際、不要な発光のないように、画素回路PC内の電位を設定することが好適である。
【0125】
発光信号EM1がロウレベル(L)からハイレベル(H)に変化後、クロック信号CLKの立ち下がるタイミングで、発光信号EM2がロウレベル(L)からハイレベル(H)に変化する。発光信号EM2は、次のクロック信号CLKが立ち下がるタイミングで、ハイレベル(H)からロウレベル(L)に変化する。
【0126】
以上を繰り返すことにより、段ごと(走査線GL1本ごと)に、発光信号EMの変化に基づき、当該走査線GLに接続されている画素PXの発光素子ELMが発光する。
本構成例においても、実施形態と同様の効果を奏する。
【0127】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0128】
DSP…表示装置、ELM…発光素子、ELVDD…高電位電源、ELVSS…低電位電源、EM…発光信号、FF…フリップフロップ回路、GDV…走査線駆動回路、NND…NANDゲート、PC…画素回路、PRS…リセット期間、PSL…電源信号、PSP…電源立上期間、PX…画素、RST…リセット信号、SR…シフトレジスタ、STP…スタートパルス、TMN…トランジスタ、TMP…トランジスタ、TRF…トランジスタ、TRI…トランジスタ、TRR…トランジスタ、TRS…トランジスタ。