(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055075
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】プローブ
(51)【国際特許分類】
G01R 1/067 20060101AFI20240411BHJP
H01R 43/01 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
G01R1/067 C
H01R43/01 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161684
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】I-PEX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100208591
【弁理士】
【氏名又は名称】井後 智哉
(72)【発明者】
【氏名】本村 一生
【テーマコード(参考)】
2G011
5E051
【Fターム(参考)】
2G011AA10
2G011AA12
2G011AB01
2G011AB03
2G011AB07
2G011AC06
2G011AC32
2G011AE00
2G011AF07
5E051GA09
(57)【要約】
【課題】コネクタの検査精度を向上させるプローブを提供する。
【解決手段】プローブ1は、複数の列に沿って配置された複数のコンタクト101を備えるコネクタ100の検査に用いられる。プローブ1は、複数のコンタクト101に対応して、複数の列に沿って配置された複数のプローブピン3と、複数のプローブピン3を内包する導電性のプランジャ5と、複数のプローブピン3が並ぶ複数の列の間において、複数のプローブピン3の延伸方向に沿って、複数のプローブピン3の先端よりも突出する突起522cと、プランジャ5を摺動可能に収容し、プランジャ5の摺動に応じて複数のプローブピン3の先端及び突起522cを露出させる導電性のハウジング7と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の列に沿って配置された複数のコンタクトを備えるコネクタの検査に用いられるプローブであって、
前記複数のコンタクトに対応して、複数の列に沿って配置された複数のプローブピンと、
前記複数のプローブピンを内包する導電性のプランジャと、
前記複数のプローブピンが並ぶ複数の列の間において、前記複数のプローブピンの延伸方向に沿って、前記複数のプローブピンの先端よりも突出する突起と、
前記プランジャを摺動可能に収容し、前記プランジャの摺動に応じて前記複数のプローブピンの先端及び前記突起を露出させる導電性のハウジングと、
を備えるプローブ。
【請求項2】
前記突起は、導電性の部材を介してグランドに接続されている、請求項1に記載のプローブ。
【請求項3】
前記プランジャは、前記複数のプローブピンが並ぶ複数の列を挟む端部から、前記複数のプローブピンの延伸方向に沿って、前記複数のプローブピンの先端よりも突出するグランド突起を有する、請求項1に記載のプローブ。
【請求項4】
前記グランド突起は、前記複数のプローブピンが並ぶ複数の列に沿う方向において、前記複数の列を挟む第1グランド突起と、前記複数のプローブピンが並ぶ複数の列に沿う方向と交差する方向において、前記複数のプローブピンが並ぶ複数の列を挟む第2グランド突起とを有する、請求項3に記載のプローブ。
【請求項5】
前記プランジャの側面には、前記ハウジングの内面から離間するように段状に窪む第1段差部が設けられており、
前記ハウジングの先端部には、前記ハウジングの内面から前記ハウジングの内方に向けて段状に張り出す第2段差部が設けられており、
前記第1段差部は、前記プランジャの摺動に伴って前記第2段差部に当接する、
請求項1に記載のプローブ。
【請求項6】
前記突起には、前記複数の列に沿うと共に、前記突起の先端に向けて先細りになる傾斜面が設けられている、請求項1に記載のプローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタの検査に用いられるプローブに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プランジャと、プランジャの先端面から突出したプローブピン及びプローブピンを挟む複数の突起部とを備えるプローブが開示されている。このプローブでは、コネクタの検査時において、複数の突起部がコネクタの窪みに挿入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検査対象のコネクタにおいて、複数のコンタクトが並ぶ複数の列の間にはクリアランス(隙間)が存在し得る。このクリアランスは、相手コネクタとの嵌合時において、相手コネクタの絶縁ハウジングの進入等により減少する。一方、従来のプローブでは、コネクタの検査時において、クリアランスの減少が相手コネクタとの嵌合時よりも少ない。よって従来のプローブでは、複数のコンタクトが並ぶ複数の列の間における電磁的絶縁性を確保することができない。すなわち、コネクタの検査時の特性インピーダンスと、コネクタ同士の嵌合時の特性インピーダンスとが整合しない。その結果、従来のプローブでは、コネクタの高精度な検査が阻害される。
【0005】
本開示は、コネクタの検査精度を向上させるプローブを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るプローブは、複数の列に沿って配置された複数のコンタクトを備えるコネクタの検査に用いられる。プローブは、複数のコンタクトに対応して、複数の列に沿って配置された複数のプローブピンと、複数のプローブピンを内包する導電性のプランジャと、複数のプローブピンが並ぶ複数の列の間において、複数のプローブピンの延伸方向に沿って、複数のプローブピンの先端よりも突出する突起と、プランジャを摺動可能に収容し、プランジャの摺動に応じて複数のプローブピンの先端及び突起を露出させる導電性のハウジングと、を備える。
【0007】
本開示の一態様に係るプローブでは、複数のプローブピンが並ぶ複数の列の間において、複数のプローブピンの先端よりも突起が突出している。このような構成によれば、コネクタの検査時において、複数のプローブピンが複数のコンタクトにそれぞれ接触すると共に、複数のコンタクトが並ぶ複数の列の間に突起が進入する。すなわち、複数のコンタクトが並ぶ複数の列の間におけるクリアランスが減少する。この場合、複数のコンタクトが並ぶ複数の列の間において、電磁的絶縁性が確保される。これにより、コネクタの検査時の特性インピーダンスと、コネクタ同士の嵌合時の特性インピーダンスとを整合させることができる。その結果、コネクタの検査精度を向上させることができる。
【0008】
突起は、導電性の部材を介してグランドに接続されていてもよい。突起がグランド電位を有することによって、特性インピーダンスの整合を向上させることができる。
【0009】
プランジャは、複数のプローブピンが並ぶ複数の列を挟む端部から、複数のプローブピンの延伸方向に沿って、複数のプローブピンの先端よりも突出するグランド突起を有していてもよい。検査対象のコネクタにおいて、複数のコンタクトが並ぶ複数の列を挟む位置にはクリアランスが存在し得る。このクリアランスは、コネクタ同士の嵌合時において、相手コネクタの絶縁ハウジングの進入等により減少する。同様に、コネクタの検査時において、複数のプローブピンを挟み、且つ複数のプローブピンの先端よりも突出したグランド突起が、複数のコンタクトが並ぶ複数の列を挟む位置に進入する。複数のコンタクトを挟む位置におけるクリアランスが減少することにより、外部からのノイズの影響を抑制することができる。その結果、特性インピーダンスの整合を向上させることができる。
【0010】
グランド突起は、複数のプローブピンが並ぶ複数の列に沿う方向において、複数の列を挟む第1グランド突起と、複数のプローブピンが並ぶ複数の列に沿う方向と交差する方向において、複数のプローブピンが並ぶ複数の列を挟む第2グランド突起とを有していてもよい。コネクタの検査時において、第1グランド突起及び第2グランド突起が、複数のコンタクトが並ぶ複数の列を二方向から挟む位置に進入する。これにより、特性インピーダンスの整合を向上させることができる。
【0011】
プランジャの側面には、ハウジングの内面から離間するように段状に窪む第1段差部が設けられていてもよい。ハウジングの先端部には、ハウジングの内面からハウジングの内方に向けて段状に張り出す第2段差部が設けられていてもよい。第1段差部は、プランジャの摺動に伴って第2段差部に当接してもよい。コネクタの検査時において、第1段差部が第2段差部に当接することにより、プランジャの振れが低減される。これにより、複数のプローブピンと複数のコンタクトとの位置ずれを防止できる。また、ハウジングとプランジャとの接触箇所が安定するため、グランド電位の安定化を図ることができる。
【0012】
突起には、複数の列に沿うと共に、突起の先端に向けて先細りになる傾斜面が設けられていてもよい。複数のコンタクトが並ぶ複数の列に突起が進入する際に、突起が複数のコンタクト又は複数のコンタクトを保持する絶縁体に接触する場合があり得る。突起に傾斜面が設けられていることにより、突起が複数のコンタクト又は絶縁体に接触することによる接触箇所の損傷を防止できる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、コネクタの検査精度を向上させるプローブを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1(a)はプローブの平面図、
図1(b)はプローブの側面図、
図1(c)はプローブの別の側面図、
図1(d)はプローブの底面図である。
【
図2】
図2(a)は、プローブ及びコネクタの外観を示す斜視図である。
図2(b)は、プローブ及びコネクタの外観を示す別の斜視図である。
【
図3】
図3は、コネクタの外観の一例を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、コネクタの外観の一例を示す平面図である。
【
図5】
図5は、プローブがコネクタに当接した状態において、
図1(a)のA-A線に沿う断面を示す断面図である。
【
図6】
図6は、プローブがコネクタに当接した状態において、
図1(a)のB-B線に沿う断面を示す断面図である。
【
図7】
図7は、
図1(d)の範囲R1を拡大して示す図である。
【
図8】
図8は、ストローク状態において、
図1(a)のA-A線に沿う断面を示す断面図である。
【
図9】
図9は、ストローク状態において、
図1(a)のB-B線に沿う断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
[概要]
本開示のプローブ1は、多芯コネクタの検査に用いられる器具である。
図1(a)はプローブ1の平面図、
図1(b)はプローブ1の側面図、
図1(c)はプローブ1の別の側面図、
図1(d)はプローブ1の底面図である。プローブ1を平面視した形状(
図1(a)参照)、及びプローブ1を底面視した形状(
図1(d)参照)はいずれも長方形に近似している。以下、当該長方形の長辺に沿う方向をX軸方向といい、当該長方形の短辺に沿う方向をY軸方向という。X軸及びY軸に直交する方向である高さ方向をZ軸方向という。X軸、Y軸、及びZ軸は互いに直交している。プローブ1は、全体としてZ軸方向に延伸する略柱状の形状を有する。
【0017】
図2(a)は、プローブ1及びコネクタ100の外観を示す斜視図である。
図2(b)は、プローブ1及びコネクタ100の外観を示す別の斜視図である。コネクタ100は、プローブ1の検査対象の多芯コネクタである。プローブ1は、Z軸方向に動作することによって、コネクタ100に電気的に接続される。以下、Z軸方向のうち、プローブ1から見たコネクタ100が位置する方向を「下」、コネクタ100から見たプローブ1が位置する方向を「上」という。プローブ1は、コネクタ100から見て上方向に配置される。
【0018】
プローブ1とコネクタ100とが接続されるとき、プローブ1を下方向に押し付けた力に対する反作用として、プローブ1に対して上方向に向けて押圧する力(以下、「押圧力」という。)が加えられる。プローブ1に対し、押圧力が加えられていない状態を初期状態といい、押圧力が加えられた状態をストローク状態という。本開示のプローブ1は、ストローク状態において、コネクタ100に設けられたクリアランスを減少させる。
【0019】
[クリアランス]
図3及び
図4を参照して、コネクタ100に設けられたクリアランスについて説明する。
図3は、コネクタ100の外観の一例を示す斜視図である。コネクタ100は、プリント基板(不図示)に配置され、プリント基板に電気的に接続されている。プリント基板には、コネクタ100以外にも様々な部品が配置されていてもよい。コネクタ100は、複数のコンタクト101と、絶縁ハウジング102と、シェル103と、を備える。
【0020】
複数(例えば10本)のコンタクト101は、プリント基板の信号導体に電気的に接続される導電性の部材である。一例では、複数のコンタクト101は、金属板が折り曲げられ、絶縁ハウジング102にインサート成形された所謂プラグコンタクトである。複数のコンタクト101は、Z軸方向に沿って、プローブ1に向けてそれぞれ突出した頂部101aを有している。頂部101aは、後述する絶縁ハウジング102の第1壁部P11,P11の上面に沿って湾曲している。複数のコンタクト101は、複数の列に沿って配置されている。本実施形態において、複数のコンタクト101は、Y軸方向において対向する一対のコンタクト101A,101Aを備える。一対のコンタクト101A,101Aは、X軸方向に沿って5セット配置されている。
【0021】
絶縁ハウジング102は、複数のコンタクト101を保持する絶縁性の部材である。絶縁ハウジング102は、プローブ1から見て長方形に近似する第1部分P1と、X軸方向における第1部分P1の両端部に設けられた第2部分P2とを備える。第1部分P1は、X軸方向に沿って延びる一対の第1壁部P11,P11と、Y軸方向に沿って延びる一対の第2壁部P12,P12と、を備える。第1部分P1には、一対の第1壁部P11,P11及び一対の第2壁部P12,P12によって囲われた凹部P13が設けられている。
【0022】
シェル103は、プリント基板のグランド導体に電気的に接続される導電性の部材である。シェル103は、プローブ1から見て長方形に近似する外形の領域を包囲する。シェル103は、絶縁ハウジング102の外周を囲むように配置される。シェル103は、X軸方向に沿って延びる一対の第1側部103A,103Aと、Y軸方向に沿って延びる一対の第2側部103B,103Bと、を備える。
【0023】
図4は、コネクタ100の外観の一例を示す平面図である。コネクタ100には、Y軸方向の両端においてクリアランスC1,C1が設けられている。クリアランスC1,C1は、一方の第1側部103Aと一方の第1壁部P11との間のY軸方向における隙間、及び他方の第1側部103Aと他方の第1壁部P11との間のY軸方向における隙間である。
【0024】
コネクタ100には、X軸方向の両端においてクリアランスC2,C2が設けられている。クリアランスC2,C2は、一方の第2側部103Bと一方の第2壁部P12との間のX軸方向における隙間、及び他方の第2側部103Bと他方の第2壁部P12との間のX軸方向における隙間である。
【0025】
コネクタ100には、中央部分にクリアランスC3が設けられている。クリアランスC3は、一対の第1壁部P11,P11の間のY軸方向における隙間、及び一対の第2壁部P12,P12の間のX軸方向における隙間である。クリアランスC3は、凹部P13に対応している。
【0026】
クリアランスC1~C3は、コネクタ100(例えばプラグコネクタ)に対応する相手コネクタ(例えばリセプタクルコネクタ)との嵌合時において、相手コネクタの絶縁ハウジングの進入等により減少する。
【0027】
[初期状態]
図5及び
図6を参照して、プローブ1の構成及び初期状態について説明する。
図5は、プローブがコネクタに当接した状態において、
図1(a)のA-A線に沿う断面を示す断面図である。プローブ1は、導電部2と、プローブピン3と、基板4と、プランジャ5と、フランジ6と、ハウジング7と、スプリング8と、キャップ9と、を備える。
【0028】
導電部2は、複数(例えば10本)の同軸ケーブル21と、複数(例えば10本)の導電部材22と、を有する。導電部2の一端は、プローブピン3に電気的に接続される。ここでの「電気的に接続される」とは、導電部2とプローブピン3とが物理的に直接接続されることによって導電部2とプローブピン3とが電気的に接続される場合だけでなく、導電部2とプローブピン3との間に配置された基板4を介して、導電部2とプローブピン3とが間接的に接続されることによって導電部2とプローブピン3とが電気的に接続される場合を含む。導電部2の他端は、例えば外部の検査設備(不図示)等に電気的に接続される。
【0029】
同軸ケーブル21は、Z軸方向に延伸する絶縁体で被覆された導体である。導電部材22は、Z軸方向に延伸する導電性の部品(例えば金属によって構成された導体又は配線)である。同軸ケーブル21は、導電部材22に電気的に接続される。導電部2は、同軸ケーブル21及び導電部材22の少なくとも一方のみで構成されていてもよい。
【0030】
プローブピン3は、針状の導電性の部品である。プローブピン3は、コネクタ100の複数のコンタクト101に一対一で対応するように複数(例えば10本)設けられ、Z軸方向に沿って延伸する。プローブピン3の先端(下端)は、Z軸方向においてコネクタ100に対向する。一例では、プローブピン3はポゴピンである。プローブピン3は、筒状のバレル31と、コイルスプリング32と、棒状の一対の接触ピン33とを有する(
図10参照)。バレル31は、コイルスプリング32を収容する。一対の接触ピン33は、コイルスプリング32を挟み、バレル31の両端に摺動可能に挿入されて配置される。一方の接触ピン33が複数のコンタクト101にそれぞれ接触し、複数のコンタクト101からの押圧力を受けると、コイルスプリング32が圧縮する。これにより、一方の接触ピン33がバレル31内を摺動する。
【0031】
基板4は、導電部2と、複数のプローブピン3とを互いに電気的に接続する略円柱状の部品である。基板4は、第1主面41と、第1主面41とは逆の面である第2主面42と、第1主面41から第2主面42に亘ってZ軸方向に設けられた側面43とを有する。第1主面41は、複数の導電部材22のピッチに対応して、導電部2に電気的に接続される。第2主面42は、複数のプローブピン3のピッチに対応して、複数のプローブピン3に電気的に接続される。第1主面41と第2主面42との間に設けられた回路等によって、導電部2と複数のプローブピン3とが電気的に接続される。このようにして、基板4は、導電部2のピッチと複数のプローブピン3のピッチとを変換する。
【0032】
プランジャ5は、柱状の形状を有する導電性の部品であり、複数のプローブピン3を内包する。プランジャ5は、本体部51と、先端部52とを有する。本体部51は、略円柱状の形状を有し、導電部2の少なくとも一部を内包する。具体的には、本体部51は、複数の同軸ケーブル21の一部、及び複数の導電部材22を内包し、これらの構成に沿ってZ軸方向に延びている。本体部51は、上面511と、底面512と、上面511から底面512に亘ってZ軸方向に設けられた側面513とを有する。底面512は、Z軸方向において基板4に対向している。底面512からは、導電部材22の先端が露出している。
【0033】
本体部51には、上面511から底面512に亘って、Z軸方向に沿った複数の貫通孔51Hが設けられている。複数の貫通孔51Hには、絶縁体Dが配置される。絶縁体Dは、導電部材22の上端及び下端をそれぞれ被覆する。複数の貫通孔51Hには、上面511からZ軸方向に沿って同軸ケーブル21が挿入される。複数の貫通孔51Hにおける同軸ケーブル21の挿入箇所の隙間は、導電性の部材であるカラーEの圧入によって埋められている。
【0034】
本体部51の上部51aには、側面513を取り囲むように追従部材Fが固定されている。上部51aは、本体部51の上端及び上端の近傍を含む領域である。追従部材Fは、略円筒状の部品である。追従部材Fは、上面F1と、下面F2と、側面F3と、を有する。
【0035】
本体部51の下部51bには、円環状の鍔部514が設けられている。下部51bは、本体部51の下端及び下端の近傍を含む領域である。鍔部514は、側面513から、底面512を取り囲むように外方に突出する。鍔部514の上面514aは、後述する摺動部材62の下面622にZ軸方向において対向する。
【0036】
先端部52は、柱状の形状を有し、複数のプローブピン3に沿ってZ軸方向に延びている。先端部52は、複数のプローブピン3を内包する。先端部52は、本体部51の下方に配置され、本体部51に固定される。先端部52は、本体部51との間で基板4を挟み込むように収容する。先端部52は、支持部521と、保持部522と、端部523とを有する。なお先端部52のうち、支持部521及び端部523は導電性の部品であり、保持部522は絶縁性の部品である。
【0037】
支持部521は、円板状の形状を有し、基板4を支持する。支持部521は、上面521aと、下面521bと、爪部521cとを有する。上面521aは、基板4の第2主面42にZ軸方向において対向する。下面521bは、上面521aとは逆の面である。爪部521cは、上面521aから底面512に向けて、例えば4箇所において突出し、基板4の側面43を挟み込む。
【0038】
保持部522は、柱状の形状を有し、複数のプローブピン3を内包する絶縁性の部品である。保持部522は、上面522aと、下面522bと、突起522cと、グランド板522dと、を有する。上面522aは、基板4の第2主面42にZ軸方向において対向する。上面522aからは、複数のプローブピン3の基端(上端)がそれぞれ露出している。下面522bからは、複数のプローブピン3の先端がそれぞれ露出している。
【0039】
突起522cは、下面522bからZ軸方向の下方に向けて突出している。突起522cは、複数のプローブピン3が並ぶ複数の列の間において、複数のプローブピン3の延伸方向に沿って、複数のプローブピン3の先端よりも突出している。突起522cには、複数のプローブピン3が並ぶ複数の列に沿うと共に、突起522cの先端に向けて先細りになる傾斜面522eが設けられている。傾斜面522eは、例えば突起522cの先端を挟むように一対設けられている。グランド板522dは、複数のプローブピン3が並ぶ方向に沿って平板状に広がる導電性の部材(例えば金属の板)である。グランド板522dは、保持部522に内包され、複数のプローブピン3が並ぶ複数の列の間を仕切るように配置されている。グランド板522dの下端は、突起522cに内包されていると共に、複数のプローブピン3の延伸方向に沿って、複数のプローブピン3の先端よりも突出している。グランド板522dの上端は、上面522aから露出している。グランド板522dの上端は、基板4の第2主面42上のグランド導体に電気的に接続されている。すなわち、突起522cは、グランド板522dを介してグランドに接続されている。
【0040】
端部523は、角筒状の形状を有し、保持部522を内包する。端部523は、下面521bから、複数のプローブピン3に沿ってZ軸方向(下方)に延伸している。端部523は、複数のプローブピン3が並ぶ複数の列を挟む。端部523の側面523aには、後述するハウジング7の内面7aから離間するように段状に窪む第1段差部523bが設けられている。第1段差部523bは、例えばY軸方向における側面523aの両端に一対設けられている。
【0041】
プランジャ5は、端部523から、複数のプローブピン3の延伸方向に沿って、複数のプローブピン3の先端よりも突出するグランド突起524を更に有する。グランド突起524は、X軸方向に沿って一対設けられた第1グランド突起524A,524Aと、Y軸方向に沿って一対設けられた第2グランド突起524B,524Bとを有する(
図7参照)。第1グランド突起524A,524Aは、複数のプローブピン3が並ぶ複数の列に沿う方向(X軸方向)に延び、複数のプローブピン3が並ぶ複数の列に沿う方向(X軸方向)と交差する方向(Y軸方向)において複数の列を挟む。第2グランド突起524B,524Bは、複数のプローブピン3が並ぶ複数の列に沿う方向(X軸方向)と交差する方向(Y軸方向)に延び、複数のプローブピン3が並ぶ複数の列に沿う方向(X軸方向)において複数の列を挟む。
【0042】
図6は、プローブ1がコネクタ100に当接した状態において、
図1(a)のB-B線に沿う断面を示す断面図である。フランジ6は、板状部材61と、摺動部材62と、ピン63とを有する。
【0043】
板状部材61は、プローブ1を検査設備に固定するための板状の部品である。板状部材61を平面視した形状は略長方形である。板状部材61は、上面611と、下面612とを有する。板状部材61には、上面611の中央から下面612の中央に亘って貫通孔61Hが設けられている。上面611を平面視したとき、又は下面612を底面視したとき、貫通孔61Hが設けられた領域は、円形にくり貫かれている。貫通孔61Hは、プランジャ5の本体部51を挿入する孔である。板状部材61には、X軸方向に沿う両端部において、上面611から下面612に亘って、貫通孔61Hを挟むように一対の孔61W,61Wが設けられている。フランジ6は、孔61Wを介してネジ止めを行うことにより、プローブ1を検査設備に固定する。孔61Wは、いわゆるネジ孔であってもよい。板状部材61には、X軸方向に沿って、上面611から下面612に亘って、貫通孔61Hを挟むように一対の孔61Pが設けられている。一対の孔61Wは、一対の孔61PをX軸方向において挟むように設けられている。
【0044】
摺動部材62は、円環板状の部品であり、例えばポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、及びポリテトラフルオロエチレン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種で形成されている。摺動部材62は、上面621と、下面622とを有する。摺動部材62には、上面621の中央から下面622の中央に亘って貫通孔62Hが設けられている。上面621を平面視したとき、又は下面622を底面視したとき、貫通孔62Hが設けられた領域は、円形にくり貫かれている。貫通孔62Hは、プランジャ5の本体部51を挿入する孔である。摺動部材62は、板状部材61の貫通孔61Hの外周に沿って、板状部材61の下面612に配置される。貫通孔62Hは、貫通孔61Hに連通している。摺動部材62は、本体部51の側面513を取り囲む。摺動部材62には、貫通孔62Hの外周に沿って、上面621から下面622に亘って貫通孔62Wが設けられている。貫通孔62Wは、摺動部材62の周方向に沿って所定の間隔で複数(例えば4つ)設けられている(
図2(b)参照)。貫通孔62Wは、ハウジング7の少なくとも一部を挿入する孔である。貫通孔62Wは、貫通孔61Hに連通している。
【0045】
ピン63は、Z軸方向に沿って延びる棒状の部品である。ピン63は、上端部631と、下端部632とを有する。下端部632は、孔61Pに挿入され、板状部材61に固定される。
【0046】
ハウジング7は、略筒状の形状を有し、Z軸方向に沿って延伸する導電性の部品である。ハウジング7は、プランジャ5を摺動可能に収容すると共に、スプリング8を収容する。ハウジング7の内面7aは、プランジャ5の側面513及び側面523aに対向する。ハウジング7には、Z軸方向に沿った両端を開放する孔7Hが設けられている。ハウジング7は、プランジャ5の摺動に応じて、孔7Hから複数のプローブピン3の先端及び突起522cを外部に露出させる。ハウジング7は、筒部71と、先端部72と、リブ73とを有する。
【0047】
筒部71は、略有底円筒状の形状を有する。筒部71は、延伸方向の一方(下方)に底面711を有する。先端部72は、ハウジング7の延伸方向の一方(下方)において、Z軸方向に沿って下方向に角筒が延伸するように設けられる。先端部72は、プランジャ5の先端部52を摺動可能に収容する。
【0048】
先端部72には、ハウジング7の内面7aからハウジング7の内方に向けて段状に張り出す第2段差部72aが設けられている(
図5参照)。第2段差部72aは、例えばY軸方向における内面7aの両端に一対設けられている。第2段差部72aは、第1段差部523bにZ軸方向において対向する。初期状態において、第2段差部72aと第1段差部523bとはZ軸方向において離間している。
【0049】
先端部72の先端には、ガイド部721が設けられている。ガイド部721は、コネクタ100に対するプローブ1の位置のずれを調整する。ガイド部721の先端(下端)部分は、先端ほど厚みが薄く(開口形状が大きく)なるようにテーパ形状とされている。ガイド部721は、Z軸方向においてコネクタ100に対向する。ガイド部721は、コネクタ100のシェル103に接し、テーパ形状の傾斜に沿ってシェル103に対し摺動する。
【0050】
図7は、
図1(d)の範囲R1を拡大して示す図である。ガイド部721は、X軸方向に沿って設けられた一対のガイド部721A,721Aと、Y軸方向に沿って設けられた一対のガイド部721B,721Bとを有する。一対のガイド部721A,721Aは、一対の第1側部103A,103A(
図3及び
図4参照)に接する。一対のガイド部721B,721Bは、一対の第2側部103B,103B(
図3及び
図4参照)に接する。
【0051】
図6に戻り、リブ73は、筒部71を基端としてZ軸方向に沿って上方向に延伸する板状の突起である。リブ73は、筒部71の周方向に沿って所定の間隔で複数(例えば4つ)設けられている(
図2(b)参照)。リブ73は、摺動部材62の下面622から、貫通孔62Wに挿入される。
【0052】
スプリング8は、第1のスプリング81と、第2のスプリング82とを有する。第1のスプリング81は、コイルスプリングである。第1のスプリング81は、フランジ6の摺動部材62とプランジャ5の鍔部514との間に配置される。具体的には、第1のスプリング81は、摺動部材62の下面622と鍔部514の上面514aとの間で挟み込まれるようにして配置される。第1のスプリング81は、鍔部514を摺動部材62から離れる方向(下方向)に付勢することによって、プランジャ5をフランジ6から離れる方向に付勢する。第1のスプリング81の付勢力によって、プランジャ5の鍔部514がフランジ6から所定の間隔を空け、プランジャ5が初期位置に保たれる。第1のスプリング81は、プランジャ5を第1の位置と、第2の位置との間で移動させる。第1の位置は、ハウジング7の先端部72における孔7Hからプローブピン3の先端を露出させない位置である。第2の位置は、ハウジング7の先端部72の孔7Hからプローブピン3の先端を露出させる位置である。初期状態において、第1のスプリング81は、プランジャ5を第1の位置に保つ。
【0053】
第2のスプリング82は、コイルスプリングである。第2のスプリング82は、フランジ6の摺動部材62と、ハウジング7の筒部71との間に配置される。具体的には、第2のスプリング82は、摺動部材62の下面622と、筒部71の底面711との間で挟み込まれるようにして配置される。第2のスプリング82は、筒部71を摺動部材62から離れる方向(下方向)に付勢することによって、ハウジング7をフランジ6から離れる方向に付勢する。第2のスプリング82の付勢力によって、ハウジング7の底面711がフランジ6から所定の間隔を空け、ハウジング7が初期位置に保たれる。
【0054】
第1のスプリング81及び第2のスプリング82は、本体部51の側面513を囲い、同心軸上に配置される。ここでの「同心軸上」とは、第1のスプリング81の径方向の中心と第2のスプリング82の径方向の中心が同一の軸直線上にあることをいう。軸直線とは、Z軸方向に沿う直線である。第2のスプリング82は、第1のスプリング81を取り囲むように配置される。
【0055】
キャップ9は、略直方体状の部品である。キャップ9は、追従部材Fを摺動可能に収容する。キャップ9は、ハウジング7のリブ73の周囲を囲うように配置される。キャップ9は、リブ73に嵌合している。キャップ9は、上面91と、下面92とを有する。下面92は、板状部材61の上面611に対向する。
【0056】
キャップ9には、上面91の中央から下面92の中央に亘って、Z軸方向に沿った孔9Hが設けられている。上面91を平面視又は下面92を底面視したとき、孔9Hが設けられた領域は、円形にくり貫かれている。上面91における孔9Hの径は、下面92における孔9Hの径よりも小さい。キャップ9には、内面9aからキャップ9の内方に向けて段状に張り出す段差部93が設けられている。下面92における孔9Hは、板状部材61の上面611における貫通孔61Hに連通する。孔9Hには、上面91から導電部2の同軸ケーブル21が挿入される。孔9Hには、下面92からハウジング7のリブ73、プランジャ5の本体部51及び追従部材Fが挿入される。キャップ9の内面9aは、追従部材Fの側面F3に対向する。段差部93には、Z軸方向においてリブ73が突き当たるようにして接する。
【0057】
下面92には、X軸方向における両端部に複数(例えば2つ)の穴92Hが設けられている。穴92Hは、下面92から上面91に向けて、上面91には達しないように設けられている。穴92Hの最深部には、穴底94が設けられている。穴92Hには、ピン63が挿入される。穴底94には、ピン63の上端部631が当接する。ピン63の上端部631が穴底94に当接することによって、フランジ6とキャップ9とが係合される。これにより、X軸、Y軸及びZ軸方向におけるプローブ1の動きが規制される。
【0058】
[ストローク状態]
次に、
図8~
図11を参照して、ストローク状態について説明する。
図8は、ストローク状態において、
図1(a)のA-A線に沿う断面を示す断面図である。
図8は、
図5に示される状態から、ストロークが行われた後の状態を示す。
図9は、ストローク状態において、
図1(a)のB-B線に沿う断面を示す断面図である。
図9は、
図6に示される状態から、ストロークが行われた後の状態を示す。
【0059】
ストロークは、フランジ6がZ軸方向における下方向に押されることにより行われる。フランジ6の押下によって、プローブ1がコネクタ100に押し付けられる。プローブ1には、コネクタ100から上方向に向けた押圧力が加えられる。
【0060】
プローブ1に対し押圧力が加えられると、第2のスプリング82がZ軸方向に縮んだ(弾性変形した)状態になる。ハウジング7は、フランジ6に対しZ軸方向における上方向に移動する。キャップ9の段差部93がリブ73に上方向に向けて押されることによって、キャップ9も上方向に移動する。
【0061】
図9に示されるように、ピン63の上端部631は、穴底94から離間し、フランジ6とキャップ9との係合が解除される。これにより、プローブ1は、X軸、Y軸、及びZ軸方向において可動状態になる。このことで、プローブ1(フランジ6を除く)は、プローブ1とコネクタ100との位置決め(軸ずれの調整)が可能な状態になる。
【0062】
位置決めが可能な状態では、第2のスプリング82がZ軸方向に縮んだ状態であり、第1のスプリング81はZ軸方向に縮んだ状態ではない。プランジャ5は、ハウジング7の先端部72における孔7Hからプローブピン3の先端を露出させない第1の位置にある。換言すると、プローブ1とコネクタ100との位置決めの際には、プローブピン3の先端が保護された状態である。
【0063】
位置決めの完了後、プローブ1に対し押圧力が加えられると、第1のスプリング81がZ軸方向に縮んだ(弾性変形した)状態になる。プランジャ5は、フランジ6に対しZ軸方向における上方向に移動する。プランジャ5の移動の際、プランジャ5の先端部52がハウジング7の先端部72との間で摺動すると共に、プランジャ5の先端部52に固定された追従部材Fがキャップ9との間で摺動する。プランジャ5は、ハウジング7の先端部72における孔7Hからプローブピン3の先端を露出させる第2の位置に移動する。プランジャ5が第2の位置に移動することにより、プローブピン3の先端が、孔7Hから外部に露出する。
【0064】
図10は、
図8の範囲R2を拡大して示す図である。複数のプローブピン3は、複数のコンタクト101にそれぞれ接触している。第1段差部523bは、プランジャ5の摺動に伴って第2段差部72aに当接する。突起522cは、複数のコンタクト101が並ぶ複数の列の間に進入する。第1グランド突起524A,524Aは、複数のコンタクト101が並ぶ複数の列をY軸方向において挟む位置に進入する。クリアランスC1,C1は、第1グランド突起524A,524Aの進入によって減少している。クリアランスC3は、突起522cの進入により減少している。
【0065】
図11は、
図9の範囲R3を拡大して示す図である。第2グランド突起524B,524Bは、複数のコンタクト101が並ぶ複数の列をX軸方向において挟む位置に進入する。クリアランスC2,C2は、第2グランド突起524B,524Bの進入によって減少している。クリアランスC3は、突起522cの進入により減少している。
【0066】
[まとめ]
以上の例示は、以下の構成を含む。
(1)複数の列に沿って配置された複数のコンタクト101を備えるコネクタの検査に用いられるプローブ1であって、複数のコンタクト101に対応して、複数の列に沿って配置された複数のプローブピン3と、複数のプローブピン3を内包する導電性のプランジャ5と、複数のプローブピン3が並ぶ複数の列の間において、複数のプローブピン3の延伸方向に沿って、複数のプローブピン3の先端よりも突出する突起522cと、プランジャ5を摺動可能に収容し、プランジャ5の摺動に応じて複数のプローブピン3の先端及び突起522cを露出させる導電性のハウジング7と、を備えるプローブ1。
【0067】
本開示のプローブ1では、複数のプローブピン3が並ぶ複数の列の間において、突起522cが複数のプローブピン3の先端よりも突出している。このような構成によれば、コネクタ100の検査時において、複数のプローブピン3が複数のコンタクト101にそれぞれ接触すると共に、複数のコンタクト101が並ぶ複数の列の間に突起522cが進入する。すなわち、複数のコンタクト101が並ぶ複数の列の間におけるクリアランスC3が減少する。これにより、複数のコンタクト101が並ぶ複数の列の間における電磁的絶縁性を確保することができる。その結果、コネクタ100の検査時の特性インピーダンスと、コネクタ同士の嵌合時の特性インピーダンスとを整合させることができる。
【0068】
プローブ1によれば、複数のコンタクト101が並ぶ複数の列の間に突起522cが進入することにより、複数のコンタクト101に対する複数のプローブピン3の脱落を防止できる。具体的には、接触ピン33が複数のコンタクト101にそれぞれ接触した際、バレル31と接触ピン33との間のクリアランスに起因して、接触ピン33がX軸方向又はY軸方向に傾く場合があり得る。この場合、接触ピン33が突起522cに当接することにより、接触ピン33の傾きが抑制される。これにより、複数のコンタクト101に対する複数のプローブピン3の脱落を防止できる。換言すると、複数のコンタクト101と複数のプローブピン3との接触の信頼性を向上させることができる。「接触の信頼性」とは、複数のプローブピン3の先端面と複数のコンタクト101の頂部101aとの接触を、コネクタ100の個体に依存することなく再現できることをいう。接触の信頼性を向上させることによって、コネクタ100を正確に且つ高い再現性をもって検査することができる。
【0069】
(2)突起522cは、導電性の部材を介してグランドに接続されている、(1)のプローブ1。突起522cがグランド電位を有することによって、複数のプローブピン3が並ぶ複数の列の間において、複数のプローブピン3と複数のコンタクト101との接触箇所が電磁的に遮蔽される。その結果、特性インピーダンスの整合を向上させることができる。
【0070】
(3)プランジャ5は、複数のプローブピン3が並ぶ複数の列を挟む端部から、複数のプローブピン3の延伸方向に沿って、複数のプローブピン3の先端よりも突出するグランド突起524を有する、(1)又は(2)のプローブ1。コネクタ100の検査時において、複数のプローブピン3を挟み、且つ複数のプローブピン3の先端よりも突出したグランド突起524が、複数のコンタクト101が並ぶ複数の列を挟む位置に進入する。複数のコンタクト101を挟む位置におけるクリアランス(例えばクリアランスC1,C1及びC2,C2)が減少することにより、外部からのノイズの影響を抑制することができる。その結果、特性インピーダンスの整合を向上させることができる。
【0071】
プローブ1によれば、複数のコンタクト101が並ぶ複数の列を挟む位置にグランド突起524が進入することにより、複数のコンタクト101に対する複数のプローブピン3の脱落を防止できる。具体的には、接触ピン33がX軸方向又はY軸方向に傾いた場合、接触ピン33がグランド突起524に当接することにより、接触ピン33の傾きが抑制される。これにより、複数のコンタクト101に対する複数のプローブピン3の脱落を防止できる。その結果、複数のコンタクト101と複数のプローブピン3との接触の信頼性を向上させることができる。
【0072】
(4)グランド突起524は、複数のプローブピン3が並ぶ複数の列に沿う方向において、複数の列を挟む第1グランド突起524A,524Aと、複数のプローブピン3が並ぶ複数の列に沿う方向と交差する方向において、複数のプローブピン3が並ぶ複数の列を挟む第2グランド突起524B,524Bとを有する、(3)のプローブ1。この場合、第1グランド突起524A,524A及び第2グランド突起524B,524Bが、複数のプローブピン3が並ぶ複数の列を二方向から挟む。コネクタ100の検査時において、第1グランド突起524A,524A及び第2グランド突起524B,524Bが、複数のコンタクト101が並ぶ複数の列を二方向から挟む位置に進入する。これにより、複数のプローブピン3とコンタクト101との接触箇所が第1グランド突起524A,524A及び第2グランド突起524B,524Bによって囲まれる(四方向から挟まれる)ので、外部からのノイズの影響を一層抑制することができる。その結果、特性インピーダンスの整合を向上させることができる。
【0073】
(5)プランジャ5の側面523aには、ハウジング7の内面7aから離間するように段状に窪む第1段差部523bが設けられており、ハウジング7の先端部72には、ハウジング7の内面7aからハウジング7の内方に向けて段状に張り出す第2段差部72aが設けられており、第1段差部523bは、プランジャ5の摺動に伴って第2段差部72aに当接する、(1)~(4)のいずれかのプローブ1。コネクタ100の検査時において、第1段差部523bが第2段差部72aに当接することにより、プランジャ5の振れが低減される。これにより、複数のプローブピン3と複数のコンタクト101との位置ずれを防止できる。また、ハウジング7とプランジャ5との接触箇所が安定するため、グランド電位の安定化を図ることができる。
【0074】
(6)突起522cには、複数の列に沿うと共に、突起522cの先端に向けて先細りになる傾斜面522eが設けられている、(1)~(5)のいずれかのプローブ1。複数のコンタクト101が並ぶ複数の列の間に突起522cが進入する際に、突起522cが複数のコンタクト101又は複数のコンタクト101を保持する絶縁ハウジング102に接触する場合があり得る。突起522cに傾斜面522eが設けられていることにより、突起522cが複数のコンタクト101又は絶縁ハウジング102に接触することによる接触箇所の損傷を防止できる。
【0075】
[変形例]
以上、実施形態について説明したが、本開示は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0076】
上記実施形態では、コネクタ100がプラグコネクタである例を説明したが、コネクタ100はリセプタクルコネクタであってもよい。複数のコンタクト101は所謂リセプタクルコンタクトであってもよい。リセプタクルコンタクトは、例えば金属板が折り曲げられることにより、プラグコンタクトを挟むように設けられる。このようなリセプタクルコンタクトを備えるリセプタクルコネクタにもクリアランスが設けられ得る。この場合においても、本開示のプローブ1によれば、リセプタクルコネクタの検査時の特性インピーダンスと、コネクタ同士の嵌合時の特性インピーダンスとを整合させることができる。
【0077】
上記実施形態では、保持部522が複数のプローブピン3を内包する絶縁性の部品であると説明したが、これに限られない。例えば、保持部522は、複数のプローブピン3をそれぞれ被覆する絶縁体と、該絶縁体を内包する導電性の部品とを有する部品であってもよい。該導電性の部品は、先端部52と一体的に設けられていてもよい。
【0078】
上記実施形態では、グランド板522dの上端が、基板4の第2主面42上のグランド導体に電気的に接続されていると説明したが、グランド接続の箇所はこれに限られない。例えば、グランド板522dは、複数のプローブピン3が並ぶ複数の列に沿って延び、X軸方向において保持部522から露出して、プランジャ5の先端部52にグランド接続されていてもよい。
【0079】
グランド突起524には、複数のプローブピン3が並ぶ複数の列に沿うと共に、グランド突起524の先端に向けて先細りになる傾斜面が設けられていてもよい。この場合、グランド突起524が複数のコンタクト101又は絶縁ハウジング102に接触することによる接触箇所の損傷を防止できる。
【符号の説明】
【0080】
1…プローブ、2…導電部、3…プローブピン、4…基板、5…プランジャ、6…フランジ、7…ハウジング、8…スプリング、9…キャップ、31…バレル、32…コイルスプリング、33…接触ピン、51…本体部、52…先端部、61…板状部材、62…摺動部材、63…ピン、71…筒部、72…先端部、73…リブ、81…第1のスプリング、82…第2のスプリング、100…コネクタ、101…コンタクト、102…絶縁ハウジング、103…シェル、513…側面、523…端部、524…グランド突起、7a…内面、72a…第2段差部、522c…突起、522d…グランド板、522e…傾斜面、523a…側面、523b…第1段差部、524A…第1グランド突起、524B…第2グランド突起、C1,C2,C3…クリアランス、F…追従部材。