(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055076
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】プローブ
(51)【国際特許分類】
G01R 1/067 20060101AFI20240411BHJP
H01R 43/00 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
G01R1/067 C
H01R43/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161686
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】I-PEX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100208591
【弁理士】
【氏名又は名称】井後 智哉
(72)【発明者】
【氏名】本村 一生
【テーマコード(参考)】
2G011
5E051
【Fターム(参考)】
2G011AA12
2G011AB01
2G011AB03
2G011AB07
2G011AC14
2G011AE00
2G011AF07
5E051GA09
(57)【要約】
【課題】プローブピンとコンタクトとの接触の信頼性を高めるプローブを提供する。
【解決手段】プローブ1は、コンタクト101を備えるコネクタ100の検査に用いられる。プローブ1は、コンタクト101に対応するように設けられたプローブピン3と、プローブピン3を内包し、プローブピン3の先端を露出させる先端部52と、プローブピン3に電気的に接続される導電部2を内包する本体部51と、を有するプランジャ5と、プランジャ5の先端部52を摺動可能に収容するハウジング7と、プランジャ5の本体部51及びハウジング7を挿入する孔が設けられたフランジ6と、フランジ6とプランジャ5との間に配置され、プランジャ5をフランジ6から離れる方向に付勢する第1のスプリング81と、フランジ6とハウジング7との間に配置され、ハウジング7をフランジ6から離れる方向に付勢する第2のスプリング82と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクトを備えるコネクタの検査に用いられるプローブであって、
前記コンタクトに対応するように設けられたプローブピンと、
前記プローブピンを内包し、前記プローブピンの先端を露出させる先端部と、前記プローブピンに電気的に接続される導電部を内包する本体部と、を有するプランジャと、
前記プランジャの先端部を摺動可能に収容するハウジングと、
前記プランジャの本体部及び前記ハウジングを挿入する孔が設けられたフランジと、
前記フランジと前記プランジャとの間に配置され、前記プランジャを前記フランジから離れる方向に付勢する第1弾性体と、
前記フランジと前記ハウジングとの間に配置され、前記ハウジングを前記フランジから離れる方向に付勢する第2弾性体と、
を備えるプローブ。
【請求項2】
コンタクトを備えるコネクタの検査に用いられるプローブであって、
前記コンタクトに対応するように設けられたプローブピンと、
前記プローブピンを内包し、前記プローブピンの先端を露出させる先端部と、前記プローブピンに電気的に接続される導電部を内包する本体部と、を有するプランジャと、
前記プランジャの先端部を摺動可能に収容するハウジングと、
前記プランジャの本体部及び前記ハウジングを挿入する孔が設けられたフランジと、
前記プランジャと前記ハウジングとの間に配置され、前記ハウジングを前記プランジャから離れる方向に付勢する第1弾性体と、
前記フランジと前記ハウジングとの間に配置され、前記ハウジングを前記フランジから離れる方向に付勢する第2弾性体と、
を備えるプローブ。
【請求項3】
前記フランジは、前記本体部を挿入する孔、及び前記ハウジングの少なくとも一部を挿入する孔がそれぞれ設けられた摺動部材を備え、
前記第1弾性体は、前記摺動部材と前記プランジャとの間に配置され、
前記第2弾性体は、前記摺動部材と前記ハウジングとの間に配置される、
請求項1に記載のプローブ。
【請求項4】
前記フランジは、前記本体部を挿入する孔、及び前記ハウジングの少なくとも一部を挿入する孔がそれぞれ設けられた摺動部材を備え、
前記第2弾性体は、前記摺動部材と前記ハウジングとの間に配置される、
請求項2に記載のプローブ。
【請求項5】
前記摺動部材は、前記摺動部材に接する前記第1弾性体の端部と、前記摺動部材に接する前記第2弾性体の端部との間を仕切るように板状に延びるリブを有している、請求項3に記載のプローブ。
【請求項6】
前記摺動部材には、前記摺動部材に接する前記第1弾性体の端部、又は前記摺動部材に接する前記第2弾性体の端部の少なくとも一方が嵌め込まれる凹部が設けられている、請求項3に記載のプローブ。
【請求項7】
前記摺動部材は、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、及びポリテトラフルオロエチレン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種で形成されている、請求項3又は4に記載のプローブ。
【請求項8】
前記本体部を取り囲むように、前記本体部に固定された追従部材と、
前記ハウジングに嵌合されており、前記追従部材を摺動可能に収容するキャップと、を更に備える、
請求項1又は2に記載のプローブ。
【請求項9】
前記第2弾性体は、前記第1弾性体を取り囲むように、前記第1弾性体と同心軸上に配置され、
前記第2弾性体の軸方向における長さは、前記第1弾性体の軸方向における長さよりも長い、
請求項1又は2に記載のプローブ。
【請求項10】
前記ハウジングは、前記第1弾性体及び前記第2弾性体を収容している、請求項1又は2に記載のプローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタの検査に用いられるプローブに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フランジと、第1プランジャと、第1弾性体と、第2プランジャと、第2弾性体と、を備えるプローブが開示されている。このプローブでは、第1弾性体がフランジと第1プランジャとの間に配置され、第2弾性体が第1プランジャと第2プランジャとの間に配置されている。第1プランジャは、第1弾性体と第2弾性体とを直列的に支持している。このプローブでは、第1弾性体の圧縮により検査対象のコネクタに対する位置決めが行われた後、第2弾性体の圧縮によりプローブピンが突出する。その結果、プローブピンとコネクタのコンタクトとが接触する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されるようなプローブでは、第1プランジャが第1弾性体と第2弾性体とを直列的に支持していることにより、第1弾性体の圧縮が第1プランジャを介して第2弾性体の圧縮に影響を与える可能性がある。その結果、従来のプローブでは、プローブピンとコンタクトとの接触の信頼性を高めることが困難であった。
【0005】
本開示は、プローブピンとコンタクトとの接触の信頼性を高めるプローブを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るプローブは、コンタクトを備えるコネクタの検査に用いられる。プローブは、コンタクトに対応するように設けられたプローブピンと、プローブピンを内包し、プローブピンの先端を露出させる先端部と、プローブピンに電気的に接続される導電部を内包する本体部と、を有するプランジャと、プランジャの先端部を摺動可能に収容するハウジングと、プランジャの本体部及びハウジングを挿入する孔が設けられたフランジと、フランジとプランジャとの間に配置され、プランジャをフランジから離れる方向に付勢する第1弾性体と、フランジとハウジングとの間に配置され、ハウジングをフランジから離れる方向に付勢する第2弾性体と、を備える。
【0007】
本開示の別の態様に係るプローブは、コンタクトを備えるコネクタの検査に用いられるプローブであって、コンタクトに対応するように設けられたプローブピンと、プローブピンを内包し、プローブピンの先端を露出させる先端部と、プローブピンに電気的に接続される導電部を内包する本体部と、を有するプランジャと、プランジャの先端部を摺動可能に収容するハウジングと、プランジャの本体部及びハウジングを挿入する孔が設けられたフランジと、プランジャとハウジングとの間に配置され、ハウジングをプランジャから離れる方向に付勢する第1弾性体と、フランジとハウジングとの間に配置され、ハウジングをフランジから離れる方向に付勢する第2弾性体と、を備える。
【0008】
本開示のプローブでは、第1弾性体及び第2弾性体がそれぞれフランジ又はハウジングに接している。換言すると、フランジ又はハウジングは、第1弾性体及び第2弾性体をそれぞれ支持している。第1弾性体の付勢力によって、フランジに対するプランジャの位置が定められるか、又はハウジングに対するプランジャの位置が定められる。第2弾性体の付勢力によって、フランジに対するハウジングの位置が定められている。このような構成によれば、フランジに対する第1弾性体の揺動方向と第2弾性体の揺動方向とが一致する。具体的には、プローブとコネクタとの接続において、フランジがコネクタに向けて押下されると、第2弾性体がハウジングを介してコネクタからの押圧力を受けて圧縮されて、プローブ(特にハウジング)とコネクタとの位置決めが行われる。位置決めの際に、第1弾性体が揺動した方向と、第2弾性体が揺動した方向とが一致する。すなわち、第1弾性体の傾きと、第2弾性体の傾きとのずれが生じない。位置決めが完了した後、フランジがコネクタに向けて更に押下されると、第1弾性体がフランジからの押圧力を受けて圧縮される。このとき、第2弾性体に接しているハウジングと、第1弾性体に接しているプランジャとの相対的な位置ずれが生じない。そして、第1弾性体の圧縮に応じてプランジャが移動することによって、プローブピンとコネクタのコンタクトとの接触が行われる。これにより、位置決めにおける第1弾性体の揺動方向と第2弾性体の揺動方向とを一致させた状態で、プランジャ及びプローブピンを移動させることができる。その結果、プローブピンとコンタクトとの接触の信頼性を高めることができる。
【0009】
フランジは、本体部を挿入する孔、及びハウジングの少なくとも一部を挿入する孔がそれぞれ設けられた摺動部材を備えてもよい。第1弾性体は、摺動部材とプランジャとの間に配置されてもよい。第2弾性体は、摺動部材とハウジングとの間に配置されてもよい。摺動部材に設けられたそれぞれの孔にハウジングの少なくとも一部及び本体部が挿入される。この場合、ハウジングと本体部(プランジャ)との相対位置が規定された上で、フランジとハウジングとの相対的な傾きが抑制されると共に、フランジとプランジャとの相対的な傾きも抑制される。ハウジングに対するプランジャの傾きが抑制されることによって、プランジャの摺動を安定化させることができる。その結果、プローブピンとコンタクトとの接触の信頼性をより高めることができる。
【0010】
摺動部材は、摺動部材に接する第1弾性体の端部と、摺動部材に接する第2弾性体の端部との間を仕切るように板状に延びるリブを有していてもよい。この場合、第1弾性体の端部と第2弾性体の端部との接触を防止できる。これにより、プローブピンとコンタクトとの接触の信頼性をより高めることができる。
【0011】
摺動部材には、摺動部材に接する第1弾性体の端部、又は摺動部材に接する第2弾性体の端部の少なくとも一方が嵌め込まれる凹部が設けられていてもよい。この場合、第1弾性体の端部及び第2弾性体の端部の少なくとも一方の位置が凹部によって規定される。これにより、第1弾性体の端部及び第2弾性体の端部の少なくとも一方の位置ずれを防止できる。その結果、プローブピンとコンタクトとの接触の信頼性をより高めることができる。
【0012】
摺動部材は、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、及びポリテトラフルオロエチレン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種で形成されていてもよい。摺動部材が摩擦抵抗の低い樹脂で形成されていることにより、プランジャ及びハウジングが摺動部材に対し容易に摺動する。これにより、プランジャ及びハウジングの摺動時の不慮の傾きが抑制される。その結果、プローブピンとコンタクトとの接触の信頼性をより高めることができる。
【0013】
プローブは、本体部を取り囲むように、本体部に固定された追従部材と、ハウジングに嵌合されており、追従部材を摺動可能に収容するキャップと、を更に備えてもよい。プランジャの先端部がハウジングに摺動可能に収容されると共に、追従部材がキャップに摺動可能に収容される。キャップがハウジングに嵌合されているため、ハウジングは、キャップ及び追従部材を介して本体部の摺動を規定していると言える。すなわち、ハウジングは、プランジャの摺動を先端部及び本体部の二箇所で規定している。ハウジングに対するプランジャの傾きが抑制されることによって、プランジャの摺動を安定化させることができる。その結果、プローブピンとコンタクトとの接触の信頼性をより高めることができる。
【0014】
第2弾性体は、第1弾性体を取り囲むように、第1弾性体と同心軸上に配置されてもよい。第2弾性体の軸方向における長さは、第1弾性体の軸方向における長さよりも長くてもよい。この場合、位置決めの際に生じる第2弾性体の力のモーメントが、第1弾性体の力のモーメントよりも大きくなる。これにより、第2弾性体の揺動に第1弾性体の揺動が容易に追従し、第1弾性体の揺動方向と第2弾性体の揺動方向との一致を容易化できる。
【0015】
ハウジングは、第1弾性体及び第2弾性体を収容していてもよい。この場合、被検査物であるコネクタ以外の製品と、第1弾性体及び第2弾性体との接触を防止できる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、プローブピンとコンタクトとの接触の信頼性を高めるプローブを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1(a)はプローブの平面図、
図1(b)はプローブの側面図、
図1(c)はプローブの別の側面図、
図1(d)はプローブの底面図である。
【
図2】
図2(a)はプローブの斜視図である。
図2(b)はプローブの別の斜視図である。
【
図3】
図3は、コネクタの外観の一例を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、プローブがコネクタに当接した状態において、
図1(a)のA-A線に沿う断面を示す断面図である。
【
図5】
図5は、プローブがコネクタに当接した状態において、
図1(a)のB-B線に沿う断面を示す断面図である。
【
図6】
図6は、ストローク状態において、
図1(a)のA-A線に沿う断面を示す断面図である。
【
図7】
図7は、ストローク状態において、
図1(a)のB-B線に沿う断面を示す断面図である。
【
図8】
図8(a)及び
図8(b)は、変形例に係る摺動部材を示す概略図である。
【
図9】
図9は、別の変形例に係るプローブがコネクタに当接した状態において、断面の一例を示す断面図である。
【
図10】
図10は、別の変形例に係るプローブがコネクタに当接した状態において、断面の別の例を示す断面図である。
【
図11】
図11は、別の変形例に係るプローブのストローク状態において、断面の一例を示す断面図である。
【
図12】
図12は、別の変形例に係るプローブのストローク状態において、断面の別の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
[概要]
本開示のプローブ1は、多芯コネクタであるコネクタ100の検査に用いられる器具である。
図1(a)はプローブ1の平面図、
図1(b)はプローブ1の側面図、
図1(c)はプローブ1の別の側面図、
図1(d)はプローブ1の底面図である。プローブ1を平面視した形状(
図1(a)参照)、及びプローブ1を底面視した形状(
図1(d)参照)はいずれも長方形に近似している。以下、当該長方形の長辺に沿う方向をX軸方向といい、当該長方形の短辺に沿う方向をY軸方向という。X軸及びY軸に直交する方向である高さ方向をZ軸方向という。X軸、Y軸、及びZ軸は互いに直交している。プローブ1は、全体としてZ軸方向に延伸する略柱状の形状を有する。
【0020】
図2(a)はプローブ1の斜視図である。
図2(b)はプローブ1の別の斜視図である。プローブ1は、Z軸方向に動作することによって、コネクタ100に電気的に接続される。以下、Z軸方向のうち、プローブ1から見たコネクタ100が位置する方向を「下」、コネクタ100から見たプローブ1が位置する方向を「上」という。プローブ1は、コネクタ100から見て上方向に配置される。
【0021】
プローブ1とコネクタ100とが接続されるとき、プローブ1を下方向に押し付けた力に対する反作用として、プローブ1に対して上方向に向けて押圧する力(以下、「押圧力」という。)が加えられる。プローブ1に対し、押圧力が加えられていない状態を初期状態といい、押圧力が加えられた状態をストローク状態という。
【0022】
図3は、コネクタ100の外観の一例を示す斜視図である。コネクタ100は、プリント基板(不図示)に配置され、プリント基板に電気的に接続されている。プリント基板には、コネクタ100以外にも様々な部品が配置されていてもよい。コネクタ100は、複数のコンタクト101と、絶縁ハウジング102と、シェル103と、を備える。
【0023】
複数(例えば10本)のコンタクト101は、プリント基板の信号導体に電気的に接続される導電性の部材である。複数のコンタクト101は、Z軸方向に沿って、プローブ1に向けてそれぞれ突出した頂部101aを有している。頂部101aは、後述する絶縁ハウジング102の第1壁部P11,P11の上面に沿って湾曲している。複数のコンタクト101は、複数の列に沿って配置されている。本実施形態において、複数のコンタクト101は、Y軸方向において対向する一対のコンタクト101A,101Aを備える。一対のコンタクト101A,101Aは、X軸方向に沿って5セット配置されている。
【0024】
絶縁ハウジング102は、複数のコンタクト101を保持する絶縁性の部材である。絶縁ハウジング102は、プローブ1から見て長方形に近似する第1部分P1と、X軸方向における第1部分P1の両端部に設けられた第2部分P2とを備える。第1部分P1は、X軸方向に沿って延びる一対の第1壁部P11,P11と、Y軸方向に沿って延びる一対の第2壁部P12,P12と、を備える。第1部分P1には、一対の第1壁部P11,P11及び一対の第2壁部P12,P12によって囲われた凹部P13が設けられている。
【0025】
シェル103は、プリント基板のグランド導体に電気的に接続される導電性の部材である。シェル103は、プローブ1から見て長方形に近似する外形の領域を包囲する。シェル103は、絶縁ハウジング102の外周を囲むように配置される。シェル103は、X軸方向に沿って延びる一対の第1側部103A,103Aと、Y軸方向に沿って延びる一対の第2側部103B,103Bと、を備える。
【0026】
[初期状態]
図4及び
図5を参照して、プローブ1の構成及び初期状態について説明する。
図4は、プローブがコネクタに当接した状態において、
図1(a)のA-A線に沿う断面を示す断面図である。プローブ1は、導電部2と、プローブピン3と、基板4と、プランジャ5と、フランジ6と、ハウジング7と、スプリング8と、キャップ9と、を備える。
【0027】
導電部2は、複数(例えば10本)の同軸ケーブル21と、複数(例えば10本)の導電部材22と、を有する。導電部2の一端は、プローブピン3に電気的に接続される。ここでの「電気的に接続される」とは、導電部2とプローブピン3とが物理的に直接接続されることによって導電部2とプローブピン3とが電気的に接続される場合だけでなく、導電部2とプローブピン3との間に配置された基板4を介して、導電部2とプローブピン3とが間接的に接続されることによって導電部2とプローブピン3とが電気的に接続される場合を含む。導電部2の他端は、例えば外部の検査設備(不図示)等に電気的に接続される。
【0028】
同軸ケーブル21は、Z軸方向に延伸する絶縁体で被覆された導体である。導電部材22は、Z軸方向に延伸する導電性の部品(例えば金属によって構成された導体又は配線)である。同軸ケーブル21は、導電部材22に電気的に接続される。導電部2は、同軸ケーブル21及び導電部材22の少なくとも一方のみで構成されていてもよい。
【0029】
プローブピン3は、針状の導電性の部品であり、例えばポゴピンである。プローブピン3は、コネクタ100の複数のコンタクト101に一対一で対応するように複数(例えば10本)設けられ、Z軸方向に沿って延伸する。プローブピン3の先端(下端)は、Z軸方向においてコネクタ100に対向する。
【0030】
基板4は、導電部2と、複数のプローブピン3とを互いに電気的に接続する略円柱状の部品である。基板4は、第1主面41と、第1主面41とは逆の面である第2主面42と、第1主面41から第2主面42に亘ってZ軸方向に設けられた側面43とを有する。第1主面41は、複数の導電部材22のピッチに対応して、導電部2に電気的に接続される。第2主面42は、複数のプローブピン3のピッチに対応して、複数のプローブピン3に電気的に接続される。第1主面41と第2主面42との間に設けられた回路等によって、導電部2と複数のプローブピン3とが電気的に接続される。このようにして、基板4は、導電部2のピッチと複数のプローブピン3のピッチとを変換する。
【0031】
プランジャ5は、柱状の形状を有する部品であり、複数のプローブピン3を内包する。プランジャ5は、本体部51と、先端部52とを有する。本体部51は、略円柱状の形状を有する導電性の部位であり、導電部2の少なくとも一部を内包する。具体的には、本体部51は、複数の同軸ケーブル21の一部、及び複数の導電部材22を内包し、これらの構成に沿ってZ軸方向に延びている。本体部51は、上面511と、底面512と、上面511から底面512に亘ってZ軸方向に設けられた側面513とを有する。底面512は、Z軸方向において基板4に対向している。底面512からは、導電部材22の先端が露出している。
【0032】
本体部51には、上面511から底面512に亘って、Z軸方向に沿った複数の貫通孔51Hが設けられている。複数の貫通孔51Hには、絶縁体Dが配置される。絶縁体Dは、導電部材22の上端及び下端をそれぞれ被覆する。複数の貫通孔51Hには、上面511からZ軸方向に沿って同軸ケーブル21が挿入される。複数の貫通孔51Hにおける同軸ケーブル21の挿入箇所の隙間は、導電性の部材であるカラーEの圧入によって埋められている。
【0033】
本体部51の上部51aには、側面513を取り囲むように追従部材Fが固定されている。上部51aは、本体部51の上端及び上端の近傍を含む領域である。追従部材Fは、略円筒状の部品である。追従部材Fは、上面F1と、下面F2と、側面F3と、を有する。
【0034】
本体部51の下部51bには、円環状の鍔部514が設けられている。下部51bは、本体部51の下端及び下端の近傍を含む領域である。鍔部514は、側面513から、底面512を取り囲むように外方に突出する。鍔部514の上面514aは、後述する摺動部材62の下面622にZ軸方向において対向する。
【0035】
先端部52は、柱状の形状を有し、複数のプローブピン3に沿ってZ軸方向に延びている。先端部52は、複数のプローブピン3を内包し、各プローブピン3の先端を露出させる。先端部52は、本体部51の下方に配置され、本体部51に固定される。先端部52は、本体部51との間で基板4を挟み込むように収容する。先端部52は、支持部521と、保持部522と、端部523とを有する。このうち、支持部521及び端部523は導電性を有し、保持部522は絶縁性を有する。
【0036】
支持部521は、円板状の形状を有し、基板4を支持する。支持部521は、上面521aと、下面521bと、爪部521cとを有する。上面521aは、基板4の第2主面42にZ軸方向において対向する。下面521bは、上面521aとは逆の面である。爪部521cは、上面521aから底面512に向けて、例えば4箇所において突出し、基板4の側面43を挟み込む。
【0037】
保持部522は、柱状の形状を有し、複数のプローブピン3を内包する絶縁性の部品である。保持部522は、上面522aと、下面522bと、突起522cと、を有する。上面522aは、基板4の第2主面42にZ軸方向において対向する。上面522aからは、複数のプローブピン3の基端(上端)がそれぞれ露出している。下面522bからは、複数のプローブピン3の先端がそれぞれ露出している。
【0038】
突起522cは、下面522bからZ軸方向の下方に向けて突出している。突起522cは、複数のプローブピン3が並ぶ複数の列の間において、複数のプローブピン3の延伸方向に沿って、複数のプローブピン3の先端よりも突出している。突起522cには、複数のプローブピン3が並ぶ複数の列に沿うと共に、突起522cの先端に向けて先細りになる傾斜面522eが設けられている。傾斜面522eは、例えば突起522cの先端を挟むように一対設けられている。
【0039】
端部523は、角筒状の形状を有し、保持部522を内包する。端部523は、下面521bから、複数のプローブピン3に沿ってZ軸方向(下方)に延伸している。端部523は、複数のプローブピン3が並ぶ複数の列を挟む。端部523の側面523aには、後述するハウジング7の内面7aから離間するように段状に窪む第1段差部523bが設けられている。第1段差部523bは、例えばY軸方向における側面523aの両端に一対設けられている。
【0040】
プランジャ5は、端部523から、複数のプローブピン3の延伸方向に沿って、複数のプローブピン3の先端よりも突出する導電性のグランド突起524を更に有する。グランド突起524は、X軸方向に沿って一対設けられると共に、Y軸方向に沿って一対設けられていてもよい。グランド突起524は、X軸方向及びY軸方向において、複数のプローブピン3が並ぶ複数の列を挟む。
【0041】
図5は、プローブ1がコネクタ100に当接した状態において、
図1(a)のB-B線に沿う断面を示す断面図である。フランジ6は、板状部材61と、摺動部材62と、ピン63とを有する。
【0042】
板状部材61は、プローブ1を検査設備に固定するための板状の部品である。板状部材61を平面視した形状は略長方形である。板状部材61は、上面611と、下面612とを有する。板状部材61には、上面611の中央から下面612の中央に亘って貫通孔61Hが設けられている。上面611を平面視したとき、又は下面612を底面視したとき、貫通孔61Hが設けられた領域は、円形にくり貫かれている。貫通孔61Hは、プランジャ5の本体部51を挿入する孔である。板状部材61には、X軸方向に沿う両端部において、上面611から下面612に亘って、貫通孔61Hを挟むように一対の孔61W,61Wが設けられている。フランジ6は、孔61Wを介してネジ止めを行うことにより、プローブ1を検査設備に固定する。孔61Wは、いわゆるネジ孔であってもよい。板状部材61には、X軸方向に沿って、上面611から下面612に亘って、貫通孔61Hを挟むように一対の孔61Pが設けられている。一対の孔61Wは、一対の孔61PをX軸方向において挟むように設けられている。
【0043】
摺動部材62は、円環板状の部品であり、例えばポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、及びポリテトラフルオロエチレン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種で形成されている。摺動部材62は、上面621と、下面622と、リブ623とを有する。リブ623は、下面622を基端としてZ軸方向に沿って下方向に延びる板状の突起である。リブ623は、摺動部材62の周方向に沿って所定の間隔で複数(例えば4つ)設けられていてもよいし、摺動部材62の全周に亘って設けられていてもよい。摺動部材62には、上面621の中央から下面622の中央に亘って貫通孔62Hが設けられている。上面621を平面視したとき、又は下面622を底面視したとき、貫通孔62Hが設けられた領域は、円形にくり貫かれている。貫通孔62Hは、プランジャ5の本体部51を挿入する孔である。摺動部材62は、板状部材61の貫通孔61Hの外周に沿って、板状部材61の下面612に配置される。貫通孔62Hは、貫通孔61Hに連通している。摺動部材62は、本体部51の側面513を取り囲む。摺動部材62には、貫通孔62Hの外周に沿って、上面621から下面622に亘って貫通孔62Wが設けられている。貫通孔62Wは、摺動部材62の周方向に沿って所定の間隔で複数(例えば4つ)設けられている(
図2(b)参照)。貫通孔62Wは、ハウジング7の少なくとも一部を挿入する孔である。貫通孔62Wは、貫通孔61Hに連通している。
【0044】
ピン63は、Z軸方向に沿って延びる棒状の部品である。ピン63は、上端部631と、下端部632とを有する。下端部632は、孔61Pに挿入され、板状部材61に固定される。
【0045】
ハウジング7は、略筒状の形状を有し、Z軸方向に沿って延伸する導電性の部品である。ハウジング7は、プランジャ5を摺動可能に収容すると共に、スプリング8を収容する。ハウジング7の内面7aは、プランジャ5の側面513及び側面523aに対向する。ハウジング7には、Z軸方向に沿った両端を開放する孔7Hが設けられている。ハウジング7は、プランジャ5の摺動に応じて、孔7Hから複数のプローブピン3の先端を外部に露出させる。ハウジング7は、筒部71と、先端部72と、リブ73とを有する。
【0046】
筒部71は、略有底円筒状の形状を有する。筒部71は、延伸方向の一方(下方)に底面711を有する。先端部72は、ハウジング7の延伸方向の一方(下方)において、Z軸方向に沿って下方向に角筒が延伸するように設けられる。先端部72は、プランジャ5の先端部52を摺動可能に収容する。
【0047】
先端部72には、ハウジング7の内面7aからハウジング7の内方に向けて段状に張り出す第2段差部72aが設けられている(
図4参照)。第2段差部72aは、例えばY軸方向における内面7aの両端に一対設けられている。第2段差部72aは、第1段差部523bにZ軸方向において対向する。初期状態において、第2段差部72aと第1段差部523bとはZ軸方向において離間している。
【0048】
先端部72の先端には、ガイド部721が設けられている。ガイド部721は、コネクタ100に対するプローブ1の位置のずれを調整する。ガイド部721の先端(下端)部分は、先端ほど厚みが薄く(開口形状が大きく)なるようにテーパ形状とされている。ガイド部721は、Z軸方向においてコネクタ100に対向する。ガイド部721は、コネクタ100のシェル103に接し、テーパ形状の傾斜に沿ってシェル103に対し摺動する。ガイド部721は、X軸方向に沿って一対設けられると共に、Y軸方向に沿って一対設けられていてもよい。
【0049】
リブ73は、筒部71を基端としてZ軸方向に沿って上方向に延伸する板状の突起である。リブ73は、筒部71の周方向に沿って所定の間隔で複数(例えば4つ)設けられている(
図2(b)参照)。リブ73は、摺動部材62の下面622から、貫通孔62Wに挿入される。
【0050】
スプリング8は、第1のスプリング81(第1弾性体)と、第2のスプリング82(第2弾性体)とを有する。第1のスプリング81は、Z軸方向に沿って延伸するコイルスプリングである。第1のスプリング81は、Z軸方向における上端部である端部81aと、Z軸方向における下端部である端部81bとを有する。端部81aは、摺動部材62の下面622に接する。端部81bは、鍔部514の上面514aに接する。すなわち、第1のスプリング81は、フランジ6の摺動部材62とプランジャ5の鍔部514との間に配置される。具体的には、第1のスプリング81は、摺動部材62の下面622と鍔部514の上面514aとの間で挟み込まれるようにして配置される。第1のスプリング81は、鍔部514を摺動部材62から離れる方向(下方向)に付勢することによって、プランジャ5をフランジ6から離れる方向に付勢する。第1のスプリング81の付勢力によって、プランジャ5の鍔部514がフランジ6から所定の間隔を空け、プランジャ5が初期位置に保たれる。第1のスプリング81は、プランジャ5を第1の位置と、第2の位置との間で移動させる。第1の位置は、ハウジング7の先端部72における孔7Hからプローブピン3の先端を露出させない位置である。第2の位置は、ハウジング7の先端部72の孔7Hからプローブピン3の先端を露出させる位置である。初期状態において、第1のスプリング81は、プランジャ5を第1の位置に保つ。
【0051】
第2のスプリング82は、Z軸方向に沿って延伸するコイルスプリングである。第2のスプリング82は、Z軸方向における上端部である端部82aと、Z軸方向における下端部である端部82bとを有する。端部82aは、摺動部材62の下面622に接する。端部82bは、筒部71の底面711に接する。すなわち、第2のスプリング82は、フランジ6の摺動部材62と、ハウジング7の筒部71との間に配置される。具体的には、第2のスプリング82は、摺動部材62の下面622と、筒部71の底面711との間で挟み込まれるようにして配置される。第2のスプリング82は、筒部71を摺動部材62から離れる方向(下方向)に付勢することによって、ハウジング7をフランジ6から離れる方向に付勢する。第2のスプリング82の付勢力によって、ハウジング7の底面711がフランジ6から所定の間隔を空け、ハウジング7が初期位置に保たれる。
【0052】
第1のスプリング81及び第2のスプリング82は、本体部51の側面513を囲い、同心軸上に配置される。ここでの「同心軸上」とは、第1のスプリング81の径方向の中心と第2のスプリング82の径方向の中心が同一の軸直線上にあることをいう。軸直線とは、Z軸方向に沿う直線である。第2のスプリング82は、第1のスプリング81を取り囲むように配置される。第1のスプリング81及び第2のスプリング82は、ハウジング7の筒部71に収容されている。第2のスプリング82のZ軸方向における長さは、第1のスプリング81のZ軸方向における長さよりも長い。第1のスプリング81の端部81aと、第2のスプリング82の端部82aとの間は、リブ623によって仕切られている。第1のスプリング81の端部81a及び第2のスプリング82の端部82aが、フランジ6によりZ軸方向において同位置で支持されていることによって、第1のスプリング81と第2のスプリング82とが並列的に配置されている。
【0053】
キャップ9は、略直方体状の部品である。キャップ9は、追従部材Fを摺動可能に収容する。キャップ9は、ハウジング7のリブ73の周囲を囲うように配置される。キャップ9は、リブ73に嵌合している。キャップ9は、上面91と、下面92とを有する。下面92は、板状部材61の上面611に対向する。
【0054】
キャップ9には、上面91の中央から下面92の中央に亘って、Z軸方向に沿った孔9Hが設けられている。上面91を平面視又は下面92を底面視したとき、孔9Hが設けられた領域は、円形にくり貫かれている。上面91における孔9Hの径は、下面92における孔9Hの径よりも小さい。キャップ9には、内面9aからキャップ9の内方に向けて段状に張り出す段差部93が設けられている。下面92における孔9Hは、板状部材61の上面611における貫通孔61Hに連通する。孔9Hには、上面91から導電部2の同軸ケーブル21が挿入される。孔9Hには、下面92からハウジング7のリブ73、プランジャ5の本体部51及び追従部材Fが挿入される。キャップ9の内面9aは、追従部材Fの側面F3に対向する。段差部93には、Z軸方向においてリブ73が突き当たるようにして接する。
【0055】
下面92には、X軸方向における両端部に複数(例えば2つ)の穴92Hが設けられている。穴92Hは、下面92から上面91に向けて、上面91には達しないように設けられている。穴92Hの最深部には、穴底94が設けられている。穴92Hには、ピン63が挿入される。穴底94には、ピン63の上端部631が当接する。ピン63の上端部631が穴底94に当接することによって、フランジ6とキャップ9とが係合される。これにより、X軸、Y軸及びZ軸方向におけるプローブ1の動きが規制される。
【0056】
[ストローク状態]
次に、
図6及び
図7を参照して、ストローク状態について説明する。
図6は、ストローク状態において、
図1(a)のA-A線に沿う断面を示す断面図である。
図6は、
図4に示される状態から、ストロークが行われた後の状態を示す。
図7は、ストローク状態において、
図1(a)のB-B線に沿う断面を示す断面図である。
図7は、
図5に示される状態から、ストロークが行われた後の状態を示す。
【0057】
ストロークは、フランジ6がZ軸方向における下方向に押されることにより行われる。フランジ6の押下によって、プローブ1がコネクタ100に押し付けられる。プローブ1には、コネクタ100から上方向に向けた押圧力が加えられる。
【0058】
プローブ1に対し押圧力が加えられると、第2のスプリング82がZ軸方向に縮んだ(弾性変形した)状態になる。ハウジング7は、フランジ6に対しZ軸方向における上方向に移動する。キャップ9の段差部93がリブ73に上方向に向けて押されることによって、キャップ9も上方向に移動する。
【0059】
図7に示されるように、ピン63の上端部631は、穴底94から離間し、フランジ6とキャップ9との係合が解除される。これにより、プローブ1は、X軸、Y軸、及びZ軸方向において可動状態になる。このことで、プローブ1(フランジ6を除く)は、プローブ1とコネクタ100との位置決め(軸ずれの調整)が可能な状態になる。
【0060】
位置決めが可能な状態では、第2のスプリング82がZ軸方向に縮んだ状態であり、第1のスプリング81はZ軸方向に縮んだ状態ではない。プランジャ5は、ハウジング7の先端部72における孔7Hからプローブピン3の先端を露出させない第1の位置にある。換言すると、プローブ1とコネクタ100との位置決めの際には、プローブピン3の先端が保護された状態である。
【0061】
位置決めの完了後、プローブ1に対し押圧力が加えられると、第1のスプリング81がZ軸方向に縮んだ(弾性変形した)状態になる。プランジャ5は、フランジ6に対しZ軸方向における上方向に移動する。プランジャ5の移動の際、プランジャ5の先端部52がハウジング7の先端部72との間で摺動すると共に、プランジャ5の先端部52に固定された追従部材Fがキャップ9との間で摺動する。プランジャ5は、ハウジング7の先端部72における孔7Hからプローブピン3の先端を露出させる第2の位置に移動する。プランジャ5が第2の位置に移動することにより、プローブピン3の先端が、孔7Hから外部に露出する。複数のプローブピン3は、複数のコンタクト101にそれぞれ接触する(
図6参照)。第1段差部523bは、プランジャ5の摺動に伴って第2段差部72aに当接する(
図6参照)。
【0062】
[変形例]
以上、実施形態について説明したが、本開示は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0063】
上記実施形態では、摺動部材62がリブ623を有していると説明したが、摺動部材62がリブ623を有していなくてもよい。
図8(a)及び
図8(b)は、変形例に係る摺動部材62を示す概略図である。
図8(a)に示されるように、摺動部材62には、凹部624が設けられていてもよい。凹部624は、下面622から上面621に向けて、Z軸方向に沿って窪むように設けられている。凹部624は、貫通孔62Hの外周及び第1のスプリング81の周方向に沿って設けられている。凹部624には、第1のスプリング81の端部81aが嵌め込まれる。
【0064】
図8(b)に示されるように、摺動部材62には、凹部625が設けられていてもよい。凹部625は、下面622から上面621に向けて、Z軸方向に沿って窪むように設けられている。凹部625は、貫通孔62Hの外周及び第2のスプリング82の周方向に沿って設けられている。凹部625には、第2のスプリング82の端部82aが嵌め込まれる。別の例では、摺動部材62には、凹部624及び凹部625の両方が設けられていてもよい。
【0065】
図9~
図12を参照して、別の変形例に係るプローブ1Aについて説明する。
図9は、別の変形例に係るプローブ1Aがコネクタ100に当接した状態において、断面の一例を示す断面図である。
図10は、別の変形例に係るプローブ1Aがコネクタに当接した状態において、断面の別の例を示す断面図である。以下、プローブ1Aについて、プローブ1とは異なる点を主に説明する。プローブ1Aは、プランジャ5及びフランジ6の代わりにプランジャ5A及びフランジ6Aを備える点でプローブ1とは異なる。
【0066】
図9及び
図10に示されるように、プランジャ5Aは、本体部51Aと、先端部52Aとを有する。本体部51Aは、鍔部514を有していない点で、本体部51とは異なる。先端部52Aは、本体部51Aの下部51bの外周を囲む筒部525を有する点で、主に先端部52Aとは異なる。筒部525には、円環状の鍔部526が設けられている。鍔部526は、筒部525のZ軸方向における上端から、円環状に外方に突出している。鍔部526の上面526aは、後述する摺動部材62Aの下面622にZ軸方向において対向する。鍔部526の下面526bは、ハウジング7の底面711にZ軸方向において対向する。
【0067】
フランジ6Aは、板状部材61と、摺動部材62Aと、ピン63とを有する。摺動部材62Aは、リブ623を有していない点で、摺動部材62とは異なる。
【0068】
第1のスプリング81の端部81aは、鍔部526の下面526bに接する。第1のスプリング81の端部81bは、ハウジング7の底面711に接する。すなわち、第1のスプリング81は、プランジャ5の鍔部526とハウジング7の筒部71との間に配置される。具体的には、第1のスプリング81は、鍔部526の下面526bと筒部71の底面711の間で挟み込まれるようにして配置される。第1のスプリング81は、鍔部526を筒部71から離れる方向(上方向)に付勢することによって、プランジャ5Aをハウジング7から離れる方向に付勢する。第1のスプリング81の付勢力によって、プランジャ5Aの鍔部526がハウジング7から所定の間隔を空け、プランジャ5Aが初期位置に保たれる。
【0069】
第2のスプリング82の端部82aは、摺動部材62Aの下面622に接する。第2のスプリング82の端部82bは、筒部71の底面711に接する。第1のスプリング81の端部81b及び第2のスプリング82の端部82bが、ハウジング7によりZ軸方向において同位置で支持されていることによって、第1のスプリング81と第2のスプリング82とが並列的に配置されている。
【0070】
図11は、別の変形例に係るプローブ1Aのストローク状態において、断面の一例を示す断面図である。
図11は、
図9に示される状態から、ストロークが行われた後の状態を示す。
図12は、別の変形例に係るプローブ1Aのストローク状態において、断面の別の例を示す断面図である。
図12は、
図10に示される状態から、ストロークが行われた後の状態を示す。
【0071】
ストロークは、フランジ6AがZ軸方向における下方向に押されることにより行われる。プローブ1Aでは、プローブ1と同様に、第2のスプリング82が圧縮することによってプローブ1Aとコネクタ100との位置決めが行われる。位置決めの完了後、プローブ1Aに対し押圧力が加えられると、摺動部材62Aの下面622bと鍔部526の上面526aとが接する。そして、鍔部526を介してフランジ6Aからの押圧力が第1のスプリング81に加えられることにより、第1のスプリング81がZ軸方向に縮み、プランジャ5Aを移動させる。
【0072】
[まとめ]
以上の例示は、以下の構成を含む。
(1)コンタクト101を備えるコネクタ100の検査に用いられるプローブ1であって、コンタクト101に対応するように設けられたプローブピン3と、プローブピン3を内包し、プローブピン3の先端を露出させる先端部52と、プローブピン3に電気的に接続される導電部2を内包する本体部51と、を有するプランジャ5と、プランジャ5の先端部52を摺動可能に収容するハウジング7と、プランジャ5の本体部51及びハウジング7を挿入する孔が設けられたフランジ6と、フランジ6とプランジャ5との間に配置され、プランジャ5をフランジ6から離れる方向に付勢する第1のスプリング81と、フランジ6とハウジング7との間に配置され、ハウジング7をフランジ6から離れる方向に付勢する第2のスプリング82と、を備えるプローブ1。
【0073】
(2)コンタクト101を備えるコネクタ100の検査に用いられるプローブ1Aであって、コンタクト101に対応するように設けられたプローブピン3と、プローブピン3を内包し、プローブピン3の先端を露出させる先端部52Aと、プローブピン3に電気的に接続される導電部2を内包する本体部51Aと、を有するプランジャ5Aと、プランジャ5Aの先端部52Aを摺動可能に収容するハウジング7と、プランジャ5Aの本体部51A及びハウジング7を挿入する孔が設けられたフランジ6と、プランジャ5Aとハウジング7との間に配置され、ハウジング7をプランジャ5Aから離れる方向に付勢する第1のスプリング81と、フランジ6とハウジング7との間に配置され、ハウジング7をフランジ6から離れる方向に付勢する第2のスプリング82と、を備えるプローブ1A。
【0074】
本開示のプローブ1,1Aでは、第1のスプリング81及び第2のスプリング82がそれぞれフランジ6又はハウジング7に接している。換言すると、フランジ6又はハウジング7は、第1のスプリング81及び第2のスプリング82をそれぞれ支持している。第1のスプリング81の付勢力によって、フランジ6に対するプランジャ5の位置が定められるか、又はハウジング7に対するプランジャ5Aの位置が定められる。第2のスプリング82の付勢力によって、フランジ6に対するハウジング7の位置が定められている。このような構成によれば、フランジ6に対する第1のスプリング81の揺動方向と第2のスプリング82の揺動方向とが一致する。具体的には、プローブ1,1Aとコネクタ100との接続において、フランジ6がコネクタ100に向けて押下されると、第2のスプリング82がハウジング7を介してコネクタ100からの押圧力を受けて圧縮されて、プローブ1,1A(特にハウジング7)とコネクタ100との位置決めが行われる。位置決めの際に、第1のスプリング81が揺動した方向と、第2のスプリング82が揺動した方向とが一致する。すなわち、第1のスプリング81の傾きと、第2のスプリング82の傾きとのずれが生じない。位置決めが完了した後、フランジ6がコネクタ100に向けて更に押下されると、第1のスプリング81がフランジ6からの押圧力を受けて圧縮される。このとき、第2のスプリング82に接しているハウジング7と、第1のスプリング81に接しているプランジャ5,5Aとの相対的な位置ずれが生じない。そして、第1のスプリング81の圧縮に応じてプランジャ5,5Aが移動することによって、プローブピン3とコネクタ100のコンタクト101との接触が行われる。これにより、位置決めにおける第1のスプリング81の揺動方向と第2のスプリング82の揺動方向とを一致させた状態で、プランジャ5,5A及びプローブピン3を移動させることができる。その結果、プローブピン3とコンタクト101との接触の信頼性を高めることができる。「接触の信頼性」とは、複数のプローブピン3の先端面と複数のコンタクト101の頂部101aとの接触を、コネクタ100の個体に依存することなく再現できることをいう。接触の信頼性を向上させることによって、コネクタ100を正確に且つ高い再現性をもって検査することができる。
【0075】
本開示のプローブ1,1Aでは、第1のスプリング81がフランジ6とプランジャ5との間に配置されるか、又はプランジャ5Aとハウジング7との間に配置されると共に、第2のスプリング82がフランジ6とハウジング7との間に配置されている。この構成により、プローブ1,1Aとコネクタ100との接続において、第2のスプリング82が必然的に第1のスプリング81よりも先に圧縮するため、位置決めが行われた後、プランジャ5,5Aが移動する。第1のスプリング81の弾性力及び第2のスプリング82の弾性力の厳密な設定が不要になるため、プローブ1,1Aの製造を容易化することができる。
【0076】
(3)フランジ6は、本体部51を挿入する孔(貫通孔62H)、及びハウジング7の少なくとも一部(リブ73)を挿入する孔(貫通孔62W)がそれぞれ設けられた摺動部材62を備え、第1のスプリング81は、摺動部材62とプランジャ5との間に配置され、第2のスプリング82は、摺動部材62とハウジング7との間に配置される、(1)のプローブ1。(4)フランジ6Aは、本体部51Aを挿入する孔(貫通孔62H)、及びハウジング7の少なくとも一部(リブ73)を挿入する孔(貫通孔62W)がそれぞれ設けられた摺動部材62Aを備え、第2のスプリング82は、摺動部材62Aとハウジング7との間に配置される、(2)のプローブ1A。摺動部材62に設けられたそれぞれの孔にハウジング7の少なくとも一部及び本体部51,51Aが挿入される。この場合、ハウジング7と本体部51,51A(プランジャ5,5A)との相対位置が規定された上で、フランジ6,6Aとハウジング7との相対的な傾きが抑制されると共に、フランジ6,6Aとプランジャ5,5Aとの相対的な傾きも抑制される。ハウジング7に対するプランジャ5,5Aの傾きが抑制されることによって、プランジャ5,5Aの摺動を安定化させることができる。その結果、プローブピン3とコンタクト101との接触の信頼性をより高めることができる。
【0077】
(5)摺動部材62は、摺動部材62に接する第1のスプリング81の端部81aと、摺動部材62に接する第2のスプリング82の端部82aとの間を仕切るように板状に延びるリブ623を有している、(3)のプローブ1。この場合、第1のスプリング81の端部81aと第2のスプリング82の端部82aとの接触を防止できる。これにより、プローブピン3とコンタクト101との接触の信頼性をより高めることができる。
【0078】
(6)摺動部材62には、摺動部材62に接する第1のスプリング81の端部81a、又は摺動部材62に接する第2のスプリング82の端部82aの少なくとも一方が嵌め込まれる凹部624,625が設けられている、(3)のプローブ1。この場合、第1のスプリング81の端部81a及び第2のスプリング82の端部82aの少なくとも一方の位置が凹部624,625によって規定される。これにより、第1のスプリング81の端部81a及び第2のスプリング82の端部82aの少なくとも一方の位置ずれを防止できる。その結果、プローブピン3とコンタクト101との接触の信頼性をより高めることができる。
【0079】
(7)摺動部材62,62Aは、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、及びポリテトラフルオロエチレン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種で形成されている、(3)~(6)のいずれかのプローブ1,1A。摺動部材62が摩擦抵抗の低い樹脂で形成されていることにより、プランジャ5,5A及びハウジング7が摺動部材62,62Aに対し容易に摺動する。これにより、プランジャ5,5A及びハウジング7の摺動時の不慮の傾きが抑制される。その結果、プローブピン3とコンタクト101との接触の信頼性をより高めることができる。
【0080】
(8)本体部51,51Aを取り囲むように、本体部51,51Aに固定された追従部材Fと、ハウジング7に嵌合されており、追従部材Fを摺動可能に収容するキャップ9と、を更に備える、(1)~(7)のいずれかのプローブ1,1A。このような構成によれば、先端部52,52Aがハウジング7に摺動可能に収容されると共に、追従部材Fがキャップ9に摺動可能に収容される。キャップ9がハウジング7に嵌合されているため、ハウジング7は、キャップ9及び追従部材Fを介して本体部51,51Aの摺動を規定していると言える。すなわち、ハウジング7は、プランジャ5の摺動を先端部52及び本体部51の二箇所で規定するか、プランジャ5Aの摺動を先端部52A及び本体部51Aの二箇所で規定している。ハウジング7に対するプランジャ5,5Aの傾きが抑制されることによって、プランジャ5,5Aの摺動を安定化させることができる。その結果、プローブピン3とコンタクト101との接触の信頼性をより高めることができる。
【0081】
(9)第2のスプリング82は、第1のスプリング81を取り囲むように、第1のスプリング81と同心軸上に配置され、第2のスプリング82の軸方向における長さは、第1のスプリング81の軸方向における長さよりも長い、(1)~(8)のいずれかのプローブ1,1A。この場合、位置決めの際に生じる第2のスプリング82の力のモーメントが、第1のスプリング81の力のモーメントよりも大きくなる。これにより、第2のスプリング82の揺動に第1のスプリング81の揺動が容易に追従し、第1のスプリング81の揺動方向と第2のスプリング82の揺動方向との一致を容易化できる。
【0082】
(10)ハウジング7は、第1のスプリング81及び第2のスプリング82を収容している、(1)~(9)のいずれかのプローブ1,1A。この場合、被検査物であるコネクタ100以外の製品と、第1のスプリング81及び第2のスプリング82との接触を防止できる。
【符号の説明】
【0083】
1,1A…プローブ、2…導電部、3…プローブピン、4…基板、5,5A…プランジャ、6…フランジ、7…ハウジング、8…スプリング、9…キャップ、51,51A…本体部、52,52A…先端部、61…板状部材、62…摺動部材、63…ピン、71…筒部、72…先端部、73…リブ、81…第1のスプリング、82…第2のスプリング、100…コネクタ、101…コンタクト、102…絶縁ハウジング、103…シェル、513…側面、523…端部、524…グランド突起、7a…内面、72a…第2段差部、81a…端部、81b…端部、82a…端部、82b…端部、522c…突起、522e…傾斜面、523a…側面、523b…第1段差部、F…追従部材。