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特開2024-55078焼結助剤、凝集体、凝集体の製造方法、機能性水の製造方法
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  • 特開-焼結助剤、凝集体、凝集体の製造方法、機能性水の製造方法 図1
  • 特開-焼結助剤、凝集体、凝集体の製造方法、機能性水の製造方法 図2
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  • 特開-焼結助剤、凝集体、凝集体の製造方法、機能性水の製造方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055078
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】焼結助剤、凝集体、凝集体の製造方法、機能性水の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/63 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
C04B35/63
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161690
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】516265388
【氏名又は名称】清 泰
(71)【出願人】
【識別番号】518020624
【氏名又は名称】セラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100176337
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】木内 正人
(57)【要約】
【課題】機械的強度が高い凝集体、この凝集体に用いられる焼結助剤、凝集体の製造方法、および、凝集体を用いた機能性水の製造方法を提供する。
【解決手段】焼結助剤20は、機能性水を製造する凝集体10に用いられる焼結助剤20であって、ナノバブル水を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能性水を製造する凝集体に用いられる焼結助剤であって、
ナノバブル水を含む、
焼結助剤。
【請求項2】
前記ナノバブル水は、空気、酸素、または、窒素の気泡を含む
請求項1に記載の焼結助剤。
【請求項3】
前記気泡の径は、10nm以上800nm以下の範囲に含まれる
請求項2に記載の焼結助剤。
【請求項4】
前記ナノバブル水における前記気泡の濃度は、1×107個/mL以上である
請求項2または3に記載の焼結助剤。
【請求項5】
銀の微粒子を含む
請求項1~3のいずれか一項に記載の焼結助剤。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか一項に記載の焼結助剤を含む、凝集体。
【請求項7】
請求項6に記載の凝集体を製造する凝集体の製造方法であって、
二次粒子と前記焼結助剤とを混練して、三次粒子を製造する工程を含む、
凝集体の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の凝集体の製造方法であって、
前記三次粒子を170℃超180℃以下で焼成する工程を含む、
凝集体の製造方法。
【請求項9】
請求項6に記載の凝集体を用いた機能性水の製造方法であって、
前記凝集体を水に含浸する工程を含む
機能性水の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼結助剤、これを備える凝集体、この凝集体の製造方法、および、機能性水の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、凝集体の一例としてのセラミック凝集体を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-92234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記凝集体は、機械的強度を高める点について、なお、改善の余地がある。
【0005】
本発明の目的は、機械的強度が高い凝集体、この凝集体に用いられる焼結助剤、凝集体の製造方法、および、凝集体を用いた機能性水の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点に係る焼結助剤は、機能性水を製造する凝集体に用いられる焼結助剤であって、ナノバブル水を含む。
【0007】
上記焼結助剤は、一次粒子が凝集した二次粒子と混練され、低温焼成されることによって、三次粒子(凝集体)が製造される。上記焼結助剤によれば、ナノバブル水を含むため、界面活性効果によって、一次粒子間に好適に浸透する。一次粒子間に浸透した焼結助剤と、二次粒子間に浸透した焼結助剤とは、結合する。このため、アンカー効果によって、凝集体の機械的強度が高められる。
【0008】
本発明の第2観点に係る焼結助剤は、第1観点に係る焼結助剤であって、前記ナノバブル水は、空気、酸素、または、窒素の気泡を含む。
【0009】
上記焼結助剤によれば、凝集体の機械的強度が高められる。
【0010】
本発明の第3観点に係る焼結助剤は、第2観点に係る焼結助剤であって、前記気泡の径は、10nm以上800nm以下の範囲に含まれる。
【0011】
上記焼結助剤によれば、気泡の径が上記範囲に含まれるため、凝集体の機械的強度が高められる。
【0012】
本発明の第4観点に係る焼結助剤は、第2観点または第3観点に係る焼結助剤であって、前記ナノバブル水における前記気泡の濃度は、1×107個/mL以上である。
【0013】
上記焼結助剤によれば、気泡の濃度が上記範囲に含まれるため、凝集体の機械的強度が高められる。
【0014】
本発明の第5観点に係る焼結助剤は、第1観点~第4観点のいずれか1つに係る焼結助剤であって、銀の微粒子を含む。
【0015】
上記焼結部材を用いて製造された凝集体を水に浸漬することによって、焼結助剤から銀が溶出する。このため、銀を含む機能性水、換言すれば、抗菌性を有する機能性水を製造できる。
【0016】
本発明の第6観点に係る凝集体は、第1観点~第5観点のいずれか1つに係る焼結助剤を含む。
【0017】
上記凝集体によれば、機械的強度が高い。
【0018】
本発明の第7観点に係る凝集体の製造方法は、第6観点に係る凝集体を製造する凝集体の製造方法であって、二次粒子と前記焼結助剤とを混練して、三次粒子を製造する工程を含む。
【0019】
上記凝集体の製造方法によれば、機械的強度が高い凝集体を製造できる。
【0020】
本発明の第8観点に係る凝集体の製造方法は、第7観点に係る凝集体の製造方法であって、前記三次粒子を170℃超180℃以下で焼成する工程を含む。
【0021】
本願発明者(ら)が実施した試験によれば、焼結助剤を含む三次粒子を上記温度の範囲で焼成することによって、製造される機能性水の機能性が長期にわたり維持されることが確認された。
【0022】
本発明の第9観点に係る機能性水の製造方法は、第6観点に係る凝集体を用いた機能性水の製造方法であって、前記凝集体を水に含浸する工程を含む。
【0023】
上記機能性水の製造方法によれば、用いられる凝集体の機械的強度が高いため、機能性水を好適に製造できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、械的強度が高い凝集体、この凝集体に用いられる焼結助剤、凝集体の製造方法、および、凝集体を用いた機能性水の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施形態の凝集体の構成を模式的に示す図。
図2図1のX部分の拡大図。
図3】従来の凝集体の構成を模式的に示す図。
図4図1の凝集体の製造方法の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る凝集体の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0027】
<1.凝集体の構成>
図1は、凝集体10の構成を模式的に示す図である。図2は、図1のX部分の拡大図である。凝集体10に含まれる焼結助剤20は、水に機能性を付与する機能性付与成分を有する。このため、本実施形態の凝集体10が水に浸漬されることによって、水に機能性付与成分が溶け出すため、機能性水を製造することができる。凝集体10は、一次粒子11と、二次粒子12と、三次粒子13と、焼結助剤20と、を含む。
【0028】
一次粒子11は、酸化物または水酸化物の基本となる粒子であって、単結晶である。一次粒子11は、ゾルゲル法、または、共沈法等の公知の製造方法により製造される。ただし、公知の製造方法によって一次粒子11のみを得ることはできず、一次粒子11が凝集した二次粒子12が得られる。酸化物または水酸化物は、例えば、ケイ素またはアルミニウムの酸化物もしくは水酸化物、アルミノケイ酸塩の酸化物または水酸化物の単体または複合物である。酸化物または水酸化物は、これらを1つ以上含んでいればよく、その他の元素の酸化物または水酸化物を含んでいてもよい。
【0029】
二次粒子12は、一次粒子11を製造する際に自然に一次粒子11が集合した粒子であって、一次粒子11が物理的、または、化学的な作用により凝集した粒子である。公知の方法で製造される酸化物もしくは水酸化物の凝集体は、二次粒子12である。本実施形態の凝集体10の製造においては、市場に流通する二次粒子12が用いられる。
【0030】
二次粒子12は、一次粒子11を製造する際に自然と凝集したものであるため、その凝集に関与する結合力は、比較的弱い。このため、二次粒子12は、例えば、800℃程度の高温で焼成することにより結合を安定化させることが好ましい。
【0031】
三次粒子13は、焼成した二次粒子12をさらに凝集させ、所望の大きさに造粒して成型される。三次粒子13の造粒は、焼成した二次粒子12と、焼結助剤20とを混練することによって実施される。造粒した三次粒子13を安定化させるために、焼成した二次粒子12、および、焼結助剤20を混練した混練物を低温焼成することによって、凝集体10が得られる。
【0032】
混練物の焼成する際の温度は、高い方が、二次粒子12同士の結合強度が高くなるため、得られる凝集体10の機械的強度が高くなる。一方、本実施形態の凝集体10は、機能性水を製造するために用いられるため、焼結助剤20は、ミネラル成分および貴金属ナノ粒子等の機能性付与成分を含む。混練物の焼成する際の温度が高い程、凝集体10を水に浸漬したときに、焼結助剤20に含まれる機能性付与成分が水に早く溶出するため、機能性水の機能を長く維持することができない。このため、本実施形態では、混練物を例えば、170℃超180℃以下の比較的低温で焼成することによって凝集体10を製造する。
【0033】
焼結助剤20は、スラリー状で製造される。スラリーを形成するための水にナノバブル水が用いられる。焼結助剤20は、ナノバブル水を含むため、界面活性効果によって一次粒子11間に浸透する。このため、一次粒子11間に浸透した焼結助剤20と、二次粒子12間に浸透した焼結助剤20とが結合する。このため、アンカー効果によって三次粒子13の機械的強度が高められる。本実施形態の焼結助剤20は、以下の(A)~(D)を含む。
【0034】
(A)有機ケイ素(アルコキシシラン):10~19重量%
(B)アルミノケイ酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、ポリ塩化アルミニウムのうち少なくとも1種以上を含む無機化合物に銀の微粒子を担持したもの:15~25重量%
ただし、銀の微粒子の重量は1~5重量%であり、担持方法は、任意である。
(C)親水性有機溶媒:10~30重量%
(D)ナノバブル水:残部
【0035】
上述のとおり、焼結助剤20の主成分は常温常圧で液体である有機ケイ素である。焼結助剤20は、常温常圧で液体である有機ケイ素を1種以上含んでいれば、そのほかの有機物を含んでいてもよい。焼結助剤20は、機能性付与成分として、銀の微粒子以外に金微粒子、白金微粒子、銅微粒子等の貴金属微粒子、または、亜鉛、カルシム、カリウム等のミネラル成分を含んでもよい。親水性有機溶媒は、任意に選択可能である。親水性有機溶媒は、アルコール類が好ましい。
【0036】
本実施形態の凝集体10は、比較的低温で焼成されるため、機能性付与成分の徐放性が高い。このため、例えば、1年程度の長期にわたり毎日1リットルの機能性水を製造することができる。例えば、焼結助剤20が機能性付与成分として銀の微粒子を含む場合、凝集体10を水に8時間浸漬することによって1リットルの機能性水を製造し、機能性水に含まれる銀の濃度が0.04ppm以上である場合に、機能性水の機能性が維持されていると判定できる。
【0037】
ナノバブル水の特性については、界面活性効果によって一次粒子11間に浸透することができる範囲で任意に選択可能である。本実施形態のナノバブル水は、基材としての水、および、ナノサイズの気泡を含む。気泡に内包される気体については、任意に選択可能である。気泡に内包される気体は、例えば、窒素、酸素、または、空気を好適に用いることができる。反応を促進させる観点から、気泡に内包される気体は、酸素であることが好ましい。特に、気泡に含まれる気体の組成が酸素99%以上であることがさらに好ましい。気泡のサイズ(径)は、任意に選択可能である。気泡のサイズは、10nm以上800nm以下の範囲に含まれることが好ましい。ナノバブル水における気泡の濃度は、任意に選択可能である。ナノバブル水における気泡の濃度は、1×107個/mL以上であることが好ましい。
【0038】
<2.従来の凝集体の構成>
図3は、ナノバブル水を含まない従来の焼結助剤20Xを用いて製造された凝集体10Xの一部を示す模式図である。焼結助剤20Xは、ナノバブル水を含まないため、一次粒子11間に浸透せずに二次粒子12の表面に留まっている。
【0039】
<3.凝集体の製造方法>
図4は、本実施形態の凝集体10の製造方法の一例を示すフローチャートである。凝集体10の製造方法は、例えば、第1工程、第2工程、および、第3工程を含む。第1工程~第3工程は、例えば、凝集体10の製造装置によって実施される。
【0040】
ステップS11の第1工程では、製造装置は、二次粒子12を例えば、800℃程度の高温で焼成する。なお、焼成済みの二次粒子12を用いる場合は、第1工程を省略することもできる。
【0041】
ステップS12の第2工程は、第1工程の後に実施される。第2工程では、製造装置は、焼成された二次粒子12と、焼結助剤20と、を混練し、二次粒子を造粒する。第2工程が完了することによって、二次粒子12と、焼結助剤20と、が混練された混練物が完成する。
【0042】
ステップS13の第3工程は、第2工程の後に実施される。第3工程では、製造装置は、混練物を例えば、170℃超180℃以下の比較的低温で焼成する。第3工程が完了することによって、凝集体10が完成する。
【0043】
<4.凝集体の特徴>
焼結助剤20は、一次粒子11が凝集した二次粒子12と混練され、低温焼成されることによって、三次粒子13(凝集体10)が製造される。焼結助剤20によれば、ナノバブル水を含むため、界面活性効果によって、一次粒子11間に好適に浸透する。一次粒子11間に浸透した焼結助剤20と、二次粒子12間に浸透した焼結助剤20とは、結合する。このため、アンカー効果によって、凝集体10の機械的強度が高められる。
【0044】
<5.試験>
本願発明者(ら)は、実施例1、および、比較例1、2の凝集体を製造し、凝集体の機械的強度、ならびに、機能性付与成分の徐放性を確認する試験を実施した。なお、以下では、説明の便宜上、実施例1、および、比較例1、2の凝集体を構成する要素のうち、実施形態と同じ要素には、実施形態と同様の符号を付して説明する。
【0045】
<5-1.実施例1>
実施例1の凝集体10は、実施形態の凝集体10である。実施例1の凝集体10の諸元は以下のとおりである。
【0046】
・二次粒子12は、ジークライト株式会社製ゼオライト品番Z-05である。二次粒子12の重量は、1kgである。
・焼結助剤20は、メチルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、コロイド状金、ノルマルブタノール、イソプロピルアルコール、銀の微粒子、および、ナノバブル水を含む。
【0047】
第2工程において、二次粒子12と、焼結助剤20とを混練し、二次粒子12を5mmφの大きさに造粒した混練物を製造した。第3工程において、混練物を180℃で4時間焼成し、実施例1の凝集体10を製造した。次に、製造された実施例1の凝集体10を1リットルの水に8時間浸漬し、機能性水を製造した。水に浸漬する実施例1の凝集体10の重量は、10gである。
【0048】
実施例1の凝集体10を用いて製造された機能性水に含まれる銀の濃度を測定した。機能性水に含まれる銀の濃度は、0.10ppm以上であり、機能性水が十分な抗菌性を有していることが確認された。さらに、同試験を365回(365日)繰り返し、365回目の機能性水に含まれる銀の濃度を測定した。365回目の機能性水に含まれる銀の濃度は、0.10ppmであり、機能性水が十分な抗菌性を有していることが確認された。このため、実施例1の凝集体10は、1年程度の長期にわたり機能性水を製造できることが確認された。
【0049】
次に、実施例1の凝集体10の硬度をマイクロビッカース試験機によって測定した。実施例1の凝集体10のビッカース硬さ(HV)は、340であった。実施例1の凝集体10は、機械的強度が十分に高いことが確認された。
【0050】
<5-2.比較例1>
比較例1の凝集体10の諸元は以下のとおりである。
【0051】
・二次粒子12は、ジークライト株式会社製ゼオライト品番Z-05である。二次粒子12の重量は、1kgである。
・焼結助剤20は、メチルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、コロイド状金、ノルマルブタノール、イソプロピルアルコール、銀の微粒子、および、イオン交換水を含む。すなわち、比較例1の凝集体10の焼結助剤20は、ナノバブル水を含まない。
【0052】
第2工程において、二次粒子12と、焼結助剤20とを混練し、二次粒子12を5mmφの大きさに造粒した混練物を製造した。第3工程において、混練物を180℃で4時間焼成し、比較例1の凝集体10を製造した。次に、製造された比較例1の凝集体10を1リットルの水に8時間浸漬し、機能性水を製造した。水に浸漬する比較例1の凝集体10の重量は、10gである。
【0053】
比較例1の凝集体10を用いて製造された機能性水に含まれる銀の濃度を測定した。機能性水に含まれる銀の濃度は、0.11ppm以上であり、機能性水が十分な抗菌性を有していることが確認された。さらに、同試験を365回(365日)繰り返し、365回目の機能性水に含まれる銀の濃度を測定した。365回目の機能性水に含まれる銀の濃度は、0.02ppmであり、機能性水の抗菌性が不足していることが確認された。
【0054】
次に、比較例1の凝集体10の硬度をマイクロビッカース試験機によって測定した。比較例1の凝集体10のビッカース硬さ(HV)は、300であった。
【0055】
以上の結果より、比較例1の凝集体10は、実施例1の凝集体10よりも機械的強度が低く、かつ、長期間にわたり機能性水を製造できないことが確認された。比較例1の凝集体10は、焼結助剤20にナノバブル水が含まれないため、二次粒子12の結合力が弱く、焼結助剤20からの銀の微粒子の溶出が早く終了したためであると考えられる。
【0056】
<5-3.比較例2>
比較例2の凝集体10の諸元は以下のとおりである。
【0057】
・二次粒子12は、ジークライト株式会社製ゼオライト品番Z-05である。二次粒子12の重量は、1kgである。
・焼結助剤20は、メチルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、コロイド状金、ノルマルブタノール、イソプロピルアルコール、銀の微粒子、および、ナノバブル水を含む。
【0058】
第2工程において、二次粒子12と、焼結助剤20とを混練し、二次粒子12を5mmφの大きさに造粒した混練物を製造した。第3工程において、混練物を190℃で4時間焼成し、比較例2の凝集体10を製造した。次に、製造された比較例2の凝集体10を1リットルの水に8時間浸漬し、機能性水を製造した。水に浸漬する比較例2の凝集体10の重量は、10gである。
【0059】
比較例2の凝集体10を用いて製造された機能性水に含まれる銀の濃度を測定した。機能性水に含まれる銀の濃度は、0.10ppm以上であり、機能性水が十分な抗菌性を有していることが確認された。さらに、同試験を365回(365日)繰り返し、365回目の機能性水に含まれる銀の濃度を測定した。365回目の機能性水に含まれる銀の濃度は、0.02ppmであり、機能性水の抗菌性が不足していることが確認された。
【0060】
次に、比較例2の凝集体10の硬度をマイクロビッカース試験機によって測定した。比較例2の凝集体10のビッカース硬さ(HV)は、360であった。
【0061】
以上の結果より、比較例2の凝集体10は、第3工程における焼成温度が高いため、実施例1の凝集体10よりも機械的強度が高い一方、長期間にわたり機能性水を製造できないことが確認された。二次粒子12が強く焼結されたため、焼結助剤20からの銀の微粒子の溶出が早く終了したためであると考えられる。
【0062】
上記実施形態は本発明に関する焼結助剤、凝集体、凝集体の製造方法、および、機能性水の製造方法が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に関する焼結助剤、凝集体、凝集体の製造方法、および、機能性水の製造方法は、実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。
【符号の説明】
【0063】
10:凝集体
11:一次粒子
12:二次粒子
13:三次粒子
20:焼結助剤
図1
図2
図3
図4