(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055081
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】配線什器及び什器システム
(51)【国際特許分類】
A47B 97/00 20060101AFI20240411BHJP
A47B 13/00 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
A47B97/00 M
A47B13/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161696
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】戸塚 新平
(72)【発明者】
【氏名】秋山 真人
【テーマコード(参考)】
3B053
【Fターム(参考)】
3B053NN01
(57)【要約】
【課題】配線を接続する際の作業性、及び隣接什器とレイアウト性の双方を両立させることができる配線什器及び什器システムを提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係る配線什器は、上下方向に交差する第1方向において隣接什器に隣り合って設置される。配線什器は、隣接什器に向かい合うとともに、上下方向の一方側に向かうに従い隣接什器から前記第1方向に離間する向きに延びる傾斜面を有する本体部と、傾斜面上に配置されて配線が接続される配線接続部と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に交差する第1方向において隣接什器に隣り合って設置される配線什器であって、
前記隣接什器に向かい合うとともに、上下方向の一方側に向かうに従い前記隣接什器から前記第1方向に離間する向きに延びる傾斜面を有する本体部と、
前記傾斜面上に配置されて配線が接続される配線接続部と、を備えている配線什器。
【請求項2】
前記傾斜面は、上方に向かうに従い前記隣接什器から前記第1方向に離間する向きに延びている請求項1に記載の配線什器。
【請求項3】
前記本体部は、前記傾斜面の下端縁から下方に直線状に延びる平坦面を備えている請求項2に記載の配線什器。
【請求項4】
前記本体部は、箱状に形成されている請求項1から請求項3の何れか1項に記載の配線什器。
【請求項5】
前記本体部の内部には、前記配線接続部から延びる配線が引き回されている請求項4に記載の配線什器。
【請求項6】
前記本体部は、上方に開口する上方開口部を有し、
前記本体部の内部には、前記上方開口部を通じて物品が収容な物品収容空間が形成されている請求項4に記載の配線什器。
【請求項7】
前記配線接続部のうち、前記配線が接続される先端面は、上下方向の一方側に向かうに従い前記隣接什器から前記第1方向に離間する向きに延びている請求項1から請求項3の何れか1項に記載の配線什器。
【請求項8】
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の配線什器と、
前記配線什器に対して上下方向に交差する第1方向に隣り合って配置される隣接什器と、を備えている什器システム。
【請求項9】
前記隣接什器は、上方を向く荷重支持面を備え、
前記配線接続部は、前記荷重支持面よりも上方に位置している請求項8に記載の什器システム。
【請求項10】
前記配線什器と前記隣接什器とは、前記第1方向に当接している請求項8に記載の什器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線什器及び什器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器に対して電力供給等を行う什器として、配線什器が知られている。配線什器は、テーブルや椅子等の什器(以下、隣接什器という。)に隣り合って配置される。隣接什器の使用者は、配線什器が備える配線接続部に対して電子機器の配線を接続できるようになっている。
【0003】
例えば下記特許文献1に記載の配線什器では、配線接続部(挿し込み口)が上方を向いた状態でテーブルタップが設けられている。
また、例えば下記特許文献2に記載の配線什器は、上下方向に延びるポールと、ポールの上端部に設けられた円板状のベース部と、を備えている。ベース部の外周面には、側方を向いた状態で配線接続部(挿し込み口)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4889611号公報
【特許文献2】特許第6839063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の配線什器では、配線を接続する際の作業性、及び隣接什器とレイアウト性の双方を両立させる点で未だ改善の余地があった。
具体的に、特許文献1の構成にあっては、配線接続部が上方を向いて設けられているため、使用者は配線什器を上方から覗き込むような状態で配線の接続作業を行う必要がある。
また、特許文献2の構成にあっては、配線接続部が側方を向いて設けられているため、配線什器と隣接什器とを接近させ過ぎると、配線の接続作業が窮屈になる。一方で、配線什器と隣接什器とを離し過ぎると、レイアウト性が低下する可能性もある。
【0006】
本発明は、配線を接続する際の作業性、及び隣接什器とレイアウト性の双方を両立させることができる配線什器及び什器システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を採用した。
(1)本発明の一態様に係る配線什器は、上下方向に交差する第1方向において隣接什器に隣り合って設置される配線什器であって、前記隣接什器に向かい合うとともに、上下方向の一方側に向かうに従い前記隣接什器から前記第1方向に離間する向きに延びる傾斜面を有する本体部と、前記傾斜面上に配置されて配線が接続される配線接続部と、を備えている。
【0008】
本態様によれば、配線接続部が上下方向に交差する方向を向いて設けられるので、隣接什器の使用者が配線接続部に配線を接続するにあたって、配線什器を直上又は直下から覗き込む必要がない。そのため、配線の接続作業が簡単になる。
また、傾斜面が側方のみを向いて設けられている場合に比べ、隣接什器と配線什器とを接近させた場合であっても、配線接続部と隣接什器との距離を確保し易い。そのため、隣接什器と配線什器とのレイアウト性を確保した上で、配線の接続作業が窮屈になることを抑制できる。
その結果、配線を接続する際の作業性、及び隣接什器とレイアウト性の双方を両立させることができる。
【0009】
(2)上記(1)の態様に係る配線什器において、前記傾斜面は、上方に向かうに従い前記隣接什器から前記第1方向に離間する向きに延びていることが好ましい。
本態様によれば、配線接続部が斜め上方を向くので、配線接続部の視認性を向上させることができる。その結果、配線の接続作業をより簡単に行うことができる。
【0010】
(3)上記(2)の態様に係る配線什器において、前記本体部は、前記傾斜面の下端縁から下方に直線状に延びる平坦面を備えていることが好ましい。
本態様によれば、平坦面に隣接什器を近接又は当接させることで、配線の接続作業が隣接什器によって阻害されることを抑制した上で、隣接什器と配線什器とを接近させることができる。これにより、隣接什器と配線什器とのレイアウト性を向上させることができる。
【0011】
(4)上記(1)から(3)の何れかの態様に係る配線什器において、前記本体部は、箱状に形成されていることが好ましい。
本態様によれば、配線什器の接地安定性を向上させることができる。したがって、配線什器の転倒等を抑制できる。
【0012】
(5)上記(4)の態様に係る配線什器において、前記本体部の内部には、前記配線接続部から延びる配線が引き回されていることが好ましい。
本態様によれば、配線を箱状部内に引き回すことで、配線が配線什器の外部に露出することを抑制し、配線什器の体裁を向上させることができる。
【0013】
(6)上記(4)又は(5)の態様に係る配線什器において、前記本体部は、上方に開口する上方開口部を有し、前記本体部の内部には、前記上方開口部を通じて物品が収容な物品収容空間が形成されていることが好ましい。
本態様によれば、物品収容空間内に物品を収容することで、配線什器としての利便性を向上させることができる。
【0014】
(7)上記(1)から(6)の何れかの態様に係る配線什器において、前記配線接続部のうち、前記配線が接続される先端面は、上下方向の一方側に向かうに従い前記隣接什器から前記第1方向に離間する向きに延びていることが好ましい。
本態様によれば、配線接続部の先端面が傾斜面と同様に傾斜していることで、配線什器と隣接什器とを接近させた場合であっても、隣接什器と配線接続部との間隔を確保できる。その結果、配線の接続作業が窮屈になることを抑制できる。
【0015】
(8)本態様に係る什器システムは、上記(1)から(7)の何れか態様に係る配線什器と、前記配線什器に対して上下方向に交差する第1方向に隣り合って配置される隣接什器と、を備えていることが好ましい。
本態様によれば、上記態様に係る配線什器を備えているので、配線を接続する際の作業性、及び隣接什器とレイアウト性の双方を両立させることができる。
【0016】
(9)上記(8)の態様に係る什器システムにおいて、前記隣接什器は、上方を向く荷重支持面を備え、前記配線接続部は、前記荷重支持面よりも上方に位置していることが好ましい。
本態様によれば、配線接続部の視認性を向上させることができるとともに、配線什器のうち配線接続部の下方に位置する部分に対して隣接什器を接近させることができる。その結果、配線を接続する際の作業性、及び隣接什器とレイアウト性をより向上させることができる。
【0017】
(10)上記(8)又は(9)の態様に係る什器システムにおいて、前記配線什器と前記隣接什器とは、前記第1方向に当接していることが好ましい。
本態様によれば、配線什器と隣接什器との間に隙間が形成されることを抑制できる。そのため、配線什器と隣接什器との間に電子機器の配線が挟まることを抑制した上で、什器システムとしての体裁を向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
上記各態様によれば、配線を接続する際の作業性、及び隣接什器とレイアウト性の双方を両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1実施形態に係る什器システムの斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る配線什器の斜視図である。
【
図3】
図2のIII-III線に対応する断面図である。
【
図4】
図2のIV-IV線に対応する断面図である。
【
図6】第2実施形態に係る什器システムの側面図である。
【
図10】変形例に係る什器システムの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下で説明する実施形態や変形例において、対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。なお、以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。また、本実施形態において、「向かい合う」とは、2つの面それぞれの直交方向(法線方向)が互いに一致している場合に限らず、直交方向同士が交差している場合も含んでいる。
【0021】
(第1実施形態)
[什器システム1]
図1は、什器システム1の斜視図である。
図1に示す什器システム1は、オフィスや公共施設、学校等(以下、まとめて施設等という。)に設置される。什器システム1は、配線什器10(第1配線什器10A及び第2配線什器10B)と、第1什器ユニット11と、第2什器ユニット12と、を備えている。各図では、什器システム1の向きについて座標を用いて表している。この場合、床面Fに垂直な方向(上下方向)をZ方向(+Z側が上方)とし、Z方向から見て互いに直交する方向をそれぞれX方向(第1方向)及びY方向としている。
【0022】
本実施形態の什器システム1において、配線什器10A,10Bは、X方向に間隔をあけて一対配置されている。第1什器ユニット11は、一対の配線什器10A,10Bの間に配置されている。第2什器ユニット12は、第1配線什器10Aに対して+X側、及び第2配線什器10Bに対して-X側にそれぞれ配置されている。各配線什器10A,10Bは、何れも同様の構成である。そのため、以下の説明では、配線什器10A,10Bを区別する必要がない場合は、まとめて配線什器10として説明する。
【0023】
<配線什器10>
図2は、配線什器10の斜視図である。
図2に示す配線什器10は、いわゆるプランターボックスとして機能を有した上で、各什器ユニット11,12の使用者が用いる電子機器と外部電源との間での電力供給を中継するものである。なお、電子機器としては、パソコンやタブレット端末、無線通信用ルータ、卓上用電気スタンド、卓上用扇風機、ディスプレイ、充電器等が挙げられる。
【0024】
配線什器10は、什器フレーム20と、電源タップ21と、を備えている。
什器フレーム20は、配線什器10の外観を構成する。什器フレーム20は、X方向を短手方向とし、Y方向を長手方向とする直方体形状に形成されている。什器フレーム20は、アジャスタ22を介して床面Fに接地している。したがって、什器フレーム20の下面と床面Fとの間には、アジャスタ22の高さ分の隙間Sが形成されている。
【0025】
図3は、
図2のIII-III線に対応する断面図である。
図4は、
図2のIV-IV線に対応する断面図である。
図2~
図4に示すように、什器フレーム20は、箱状部(本体部)31と、梁部32と、載置部33と、を備えている。
箱状部31は、上方に開口する上方開口部31aを有している。箱状部31は、周壁部35と、底部36と、を備えている。
【0026】
周壁部35は、配線什器10のうち外面に露出する部分である。周壁部35は、Z方向に延びる角筒状に形成されている。具体的に、周壁部35は、Y方向で向かい合う一対の第1壁部41と、X方向で向かい合う一対の第2壁部42と、を備えている。
第1壁部41は、周壁部35のうちY方向の両端部に位置している。各第1壁部41は、Y方向を厚さ方向としてZ方向に延びている。各第1壁部41の下面において、X方向の両端部には、上述したアジャスタ22が設けられている。
【0027】
図2に示すように、第1壁部41の上端部において、X方向の両端縁は、上方に向かうに従い互いに接近する向きに延びる一対の傾斜縁41aを構成している。したがって、第1壁部41の上端部は、上方に向かうに従いX方向の幅が漸次縮小するテーパ状に形成されている。一方、第1壁部41のうち上端部よりも下方に位置する部分は、Z方向の全長に亘ってX方向の寸法が一様に形成されている。図示の例において、各傾斜縁41aは、Y方向から見てX方向に対称に形成されている。但し、各傾斜縁41aにおけるX方向とのなす角度は、互いに異なっていてもよい。
【0028】
第2壁部42は、周壁部35のうちX方向の両端部に位置している。各第2壁部42のうち一方(+X側)の第2壁部42は、一対の第1壁部41における+X側に位置する端縁同士を接続している。各第2壁部42のうち他方(-X側)の第2壁部42は、一対の第1壁部41における-X側に位置する端縁同士を接続している。なお、各第2壁部42は、何れも同様の構成であることから、以下の説明では、一方の第2壁部42を例にして第2壁部42の詳細を説明する。
【0029】
図2、
図4に示すように、第2壁部42は、起立壁45と、傾斜壁46と、を備えている。
起立壁45は、X方向を厚さ方向として、Z方向に直線状に延びている。すなわち、起立壁45の外面は、X方向の外側(+X側)を向き、Z方向に直線状に延びる平坦面を構成している。起立壁45におけるY方向の両端部は、各第1壁部41のうち傾斜縁41aよりも下方に位置する部分に固定されている。
【0030】
傾斜壁46は、起立壁45の上端部に連結されている。傾斜壁46は、起立壁45から上方に向かうに従いX方向の内側(-X側)に傾斜して延びている。すなわち、傾斜壁46の外面は、上方(上下方向の一方側)に向かうに従い-X側に延びる傾斜面を構成している。図示の例において、傾斜面がX方向となす角度θ(
図4参照)は、45°±15°の範囲に設定されていることが好ましい。傾斜壁46におけるY方向の両端部は、各第1壁部41の傾斜縁41aに固定されている。
【0031】
傾斜壁46における上下方向の寸法H1は、起立壁45における上下方向の寸法H2に比べて小さい。なお、本実施形態の傾斜壁46は、第2壁部42のうちY方向の全長に亘って形成されている構成としたが、この構成に限られない。傾斜壁46は、第2壁部42のうちY方向の一部のみに形成されていてもよい。
【0032】
図3に示すように、底部36は、Z方向を厚さ方向として、周壁部35の下端開口部を閉塞している。具体的に、底部36は、周壁部35の内側において、第1壁部41及び第2壁部42の下端部に固定されている。底部36には、底部36をZ方向に貫通する貫通孔36aが形成されている。図示の例において、貫通孔36aは、底部36のうちY方向の中央部を挟んで両側に形成されている。箱状部31の内側空間は、貫通孔36a及び隙間Sを通じて配線什器10の外部に連通している。
【0033】
梁部32は、箱状部31の内側空間において、底部36よりも上方に位置する部分に設けられている。梁部32は、X方向に延びるとともに、Y方向に間隔をあけて複数設けられている。図示の例において、Y方向の中央部に位置する梁部32は、一対の第2壁部42同士の間を接続している。Y方向の両側に位置する梁部32は、一対の第2壁部42同士、及び対応する第1壁部41の間を接続している。
【0034】
載置部33は、箱状部31の内側空間において、梁部32よりも上方に位置する部分で、周壁部35に固定されている。載置部33は、Z方向を厚さ方向とする板状に形成されている。載置部33は、箱状部31の内側空間において、X方向及びY方向の全域に亘って形成されている。これにより、載置部33は、箱状部31の内側空間をZ方向に仕切っている。
【0035】
箱状部31の内側空間において、載置部33よりも上方に位置する空間は、物品収容空間31bを構成している。物品収容空間31bは、上方開口部31aを通じて上方に開放されるとともに、載置部33上に物品が載置可能になっている。載置部33上には、例えば人工若しくは天然の観葉植物P(
図1参照)等が載置される。但し、載置部33に載置される物品としては、観葉植物P以外にも、例えば書籍や照明等、種々の物品が採用可能である。
一方、箱状部31の内側空間において、載置部33よりも下方に位置する空間は、下方空間31cを構成している。下方空間31cは、隣り合う梁部32間の隙間や貫通孔36aを通じて下方に開放されている。
【0036】
図2~
図4に示すように、載置部33には、側方切欠き部33aと、中央孔33bと、が形成されている。
側方切欠き部33aは、載置部33におけるX方向の外側に開放されるとともに、載置部33をZ方向に貫通している。図示の例において、側方切欠き部33aは、載置部33におけるX方向の両側に、Y方向に間隔をあけて形成されている。
中央孔33bは、載置部33におけるX方向の中央部において、載置部33をZ方向に貫通している。中央孔33bは、Y方向に間隔をあけて複数形成されている。中央孔33bは、X方向から見て側方切欠き部33aと重なり合わない位置に形成されている。
【0037】
電源タップ21は、各傾斜壁46に設けられている。本実施形態において、各電源タップ21は、各傾斜壁46のうちY方向の両端部にそれぞれ設けられている。以下の説明では、一の電源タップ21を例にして電源タップ21の詳細を説明する。なお、各傾斜壁46上での電源タップ21の位置や数は適宜変更が可能である。
【0038】
電源タップ21は、筐体21aと、配線接続部21bと、を備えている。
筐体21aは、周壁部35の内側空間(物品収容空間31b)から傾斜壁46の内面に固定されている。
配線接続部21bは、電子機器から延びる機器配線が接続される部分である。配線接続部21bは、筐体21aにおいてY方向に並んで複数(例えば2つ)設けられている。配線接続部21bは、筐体21aが傾斜壁46に固定された状態において、斜め上方に突出している。各配線接続部21bは、傾斜壁46に形成されたコンセント用開口46a(
図4参照)内に各別に挿入されている。
【0039】
各配線接続部21bは、コンセント用開口46aを通じて配線什器10の外部に露出している。配線接続部21bの先端面(配線が接続される面)は、傾斜面と平行に延びている。なお、配線接続部21bの先端面は、配線什器10の外部に露出する構成であれば、傾斜面に対して面一であってもよく、傾斜面に対して外側に突出していても、内側に窪んでいてもよい。また、配線接続部21bの先端面は、少なくともX方向に対して傾斜していれば、X方向とのなす角度が傾斜面の角度θと異なっていてもよい。例えば、配線接続部21bの先端面は、Z方向に沿って配置され、X方向のみを向いていてもよい。
【0040】
筐体21aには、タップ配線(配線)21cが引き出されている。タップ配線21cは、箱状部31の内側空間において、筐体21aから下方に延びている。タップ配線21cは、側方切欠き部33aや中央孔33bを通じて下方空間31cに引き回された後、下方空間31cに設けられた中継用タップ100に接続されている。中継用タップ100は、例えば床面F上のうち什器フレーム20で囲まれた部分に設置されている。中継用タップ100は、例えば貫通孔36aや隙間Sを通じて外部電源に接続されている。なお、中継用タップ100は、例えば底部36上に設置されていてもよい。
【0041】
<第1什器ユニット11>
図5は、
図1のV矢視図である。
図1、
図5に示すように、第1什器ユニット11は、長テーブル(隣接什器)60と、複数の椅子61と、を備えている。
長テーブル60は、支持脚65と、天板66と、を備えている。
支持脚65は、床面Fから起立している。本実施形態において、支持脚65は、天板66の各角部に対応する位置にそれぞれ配置されている。
【0042】
天板66は、X方向を長手方向とし、Y方向を短手方向とする平面視長方形状に形成されている。天板66の上面は、XY平面に延びる平坦面に形成されている。天板66は、各配線什器10A,10BにX方向で挟まれている。具体的に、天板66の+X側端面は、第1配線什器10Aにおける-X側の第2壁部42に近接又は当接している。一方、天板66の-X側端面は、第2配線什器10Bにおける+X側の第2壁部42に+X側から近接又は当接している。本実施形態において、天板66の上面(荷重支持面)は、傾斜壁46よりも下方に位置している。そのため、天板66におけるX方向を向く端面は、第2壁部42における起立壁45に近接又は当接している。すなわち、各配線什器10A,10Bの傾斜壁46は、天板66の上面に対して上方に突出している。
【0043】
天板66のY方向の寸法は、各配線什器10A,10B(什器フレーム20)におけるY方向の寸法よりも小さい。したがって、図示の例において、各配線什器10A,10Bは、天板66に対してY方向の両側に突出している。各配線什器10A,10Bにおける傾斜壁46のうち天板66に対してY方向の両側に突出した部分には、上述した配線接続部21bが配置されている。
【0044】
椅子61は、長テーブル60に対してY方向の両側にX方向に並んで2つずつ設けられている。各椅子61のうち、+X側に配置された椅子61に対して+X側には、第1配線什器10Aの配線接続部21bが配置されている。各椅子61のうち、-X側に配置された椅子に対して-X側には、第2配線什器10Bの配線接続部21bが配置されている。
【0045】
<第2什器ユニット12>
各第2什器ユニット12は、ベンチ(隣接什器)68と、丸テーブル69と、を備えている。各第2什器ユニット12は、何れも同様の構成をなしている。そのため、第1配線什器10Aに対して+X側に配置された第2什器ユニット12を例にして、第2什器ユニット12の詳細について説明する。
【0046】
ベンチ68は、Y方向を長手方向とする直方体形状に形成されている。ベンチ68のY方向の寸法は、第1配線什器10AにおけるY方向の寸法と同等になっている。図示の例において、ベンチ68におけるY方向の両端面は、第1配線什器10AにおけるY方向の両端面(第1壁部41)と面一に配置されている。但し、ベンチ68は、第1配線什器10Aに対してY方向の外側に突出していても、Y方向の内側に窪んでいてもよい。
【0047】
ベンチ68は、支持構造体71と、座クッション72と、を備えている。
支持構造体71は、Y方向を長手方向とする箱型に形成されている。
座クッション72は、支持構造体71の上面に設けられている。座クッション72は、弾性変形可能なクッション材が表皮材に覆われた構成である。座クッション72の上面(荷重支持面)は、使用者が着座可能な着座面を構成している。
【0048】
ベンチ68(支持構造体71及び座クッション72の少なくとも一方)における-X側端面は、第1配線什器10Aにおける+X側の第2壁部42にX方向で近接又は当接している。本実施形態において、座クッション72の上面は、第1配線什器10Aの傾斜壁46よりも下方に位置している。具体的に、座クッション72の上面は、起立壁45における上下方向の中央部に位置している。したがって、起立壁45のうち座クッション72のよりも上方に位置する部分は、背凭れとしての機能を有している。
【0049】
丸テーブル69は、ベンチ68に対してX方向の外側に配置されている。丸テーブル69の天板上には、電子機器が載置可能になっている。
【0050】
[什器システム1の使用方法]
次に、什器システム1の仕様方法として、第1什器ユニット11や第2什器ユニット12の使用者が配線什器10を使用する際の方法について説明する。
まず、第1什器ユニット11の使用者は、椅子61に着座した状態で、天板66上に電子機器を配置する。
【0051】
本実施形態において、配線什器10のうち天板66に対してY方向の外側に突出するとともに、天板66に対して上方に位置する部分には、斜め上方に向く配線接続部21bが配置されている。したがって、第1什器ユニット11の使用者は、天板66上に配置された電子機器の配線(機器配線)を、椅子61に対してX方向の外側に配置された配線接続部21bに接続することができる。これにより、第1什器ユニット11の使用者は、中継用タップ100及び電源タップ21を介して外部電源から電子機器に電力が供給された状態で電子機器を使用することができる。
【0052】
一方、第2什器ユニット12の使用者は、ベンチ68に着座した状態で、自身の大腿部の上、若しくは丸テーブル69上に電子機器を載置して電子機器を使用することができる。
【0053】
本実施形態において、ベンチ68に対して上方に位置する部分には、斜め上方に向く配線接続部21bが配置されている。したがって、第2什器ユニット12の使用者は、電子機器の機器配線を配線接続部21bに接続することができる。これにより、第2什器ユニット12の使用者は、中継用タップ100及び電源タップ21を介して外部電源から電子機器に電力が供給された状態で電子機器を使用することができる。
【0054】
ここで、本実施形態の配線什器10は、隣接什器(第1什器ユニット11又は第2什器ユニット12)に向かい合うとともに、上方に向かうに従い隣接什器から向きに延びる傾斜面を有する箱状部31と、傾斜面上に配置されて配線が接続される配線接続部21bと、を備えている構成とした。
この構成によれば、配線接続部21bが上下方向に交差する方向を向いて設けられるので、隣接什器の使用者が配線接続部21bに配線を接続するにあたって、配線什器10を直上又は直下から覗き込む必要がない。そのため、配線の接続作業が簡単になる。
また、配線接続部21b(傾斜面)が側方のみを向いて設けられている場合に比べ、隣接什器と配線什器10とを接近させた場合であっても、配線接続部21bと隣接什器との距離を確保し易い。そのため、隣接什器と配線什器10とのレイアウト性を確保した上で、配線の接続作業が窮屈になることを抑制できる。
その結果、配線を接続する際の作業性、及び隣接什器とレイアウト性の双方を両立させることができる。
【0055】
本実施形態の配線什器10において、傾斜面は上方に向かうに従い隣接什器から離間する向きに延びている構成とした。
この構成によれば、配線接続部21bが斜め上方を向くので、配線接続部21bの視認性を向上させることができる。その結果、配線の接続作業をより簡単に行うことができる。
【0056】
本実施形態の配線什器10において、什器フレーム20は、傾斜面の下端縁から下方に直線状に延びる平坦面を備えている構成とした。
この構成によれば、平坦面に隣接什器を近接又は当接させることで、配線の接続作業が隣接什器によって阻害されることを抑制した上で、隣接什器と配線什器10とを接近させることができる。これにより、隣接什器と配線什器10とのレイアウト性を向上させることができる。
【0057】
本実施形態の配線什器10は、傾斜面を有する箱状部31を備えている構成とした。
この構成によれば、配線什器10の接地安定性を向上させることができる。したがって、配線什器10の転倒等を抑制できる。
【0058】
本実施形態の配線什器10において、箱状部31の内部には、配線接続部21bから延びるタップ配線21cが引き回されている構成とした。
この構成によれば、タップ配線21cを箱状部31内に引き回すことで、タップ配線21cが配線什器10の外部に露出することを抑制し、配線什器10の体裁を向上させることができる。
【0059】
本実施形態の配線什器10において、箱状部31の内部には、上方開口部31aを通じて物品が収容可能な物品収容空間31bが形成されている構成とした。
この構成によれば、物品収容空間31b内に物品を収容することで、配線什器10としての利便性を向上させることができる。
【0060】
本実施形態の配線什器10において、傾斜壁46におけるY方向の両端部に電源タップ21が設けられている構成とした。
この構成によれば、電源タップ21同士が離間して配置されるので、複数の使用者が配線什器10を使用する場合に、Y方向で隣り合う使用者が使用すべき電源タップ21を識別させ易い。
【0061】
本実施形態の配線什器10において、配線接続部21bの先端面は、上方に向かうに従い隣接什器から向きに延びる構成とした。
この構成によれば、配線接続部21bの先端面が傾斜面と同様に傾斜していることで、配線什器10と隣接什器とを接近させた場合であっても、隣接什器と配線接続部21bとの間隔を確保できる。その結果、配線の接続作業が窮屈になることを抑制できる。
【0062】
本実施形態の什器システム1では、上述した配線什器10を備えているので、配線を接続する際の作業性、及び隣接什器とレイアウト性の双方を両立させることができる。
【0063】
本実施形態の什器システム1において、配線接続部21bが荷重支持面(天板66の上面又は座クッション72の上面)よりも上方に突出している構成とした。
この構成によれば、配線接続部21bの視認性を向上させることができるとともに、配線什器10のうち配線接続部21bの下方に位置する部分に対して隣接什器を接近させることができる。その結果、配線を接続する際の作業性、及び隣接什器とレイアウト性をより向上させることができる。
【0064】
本実施形態の什器システム1において、配線什器10と隣接什器とがX方向で当接している構成とした。
この構成によれば、配線什器10と隣接什器との間に隙間が形成されることを抑制できる。そのため、配線什器10と隣接什器との間に電子機器の配線が挟まることを抑制した上で、什器システム1としての体裁を向上させることができる。
【0065】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態に係る什器システム1の側面図である。本実施形態では、隣接什器としてカウンターテーブル150を採用している点で第1実施形態と相違している。
図6に示すように、カウンターテーブル150は、一対の支持脚151と、天板152と、を備えている。
一対の支持脚151は、Y方向に離間した状態で床面Fから起立している。
【0066】
天板152は、X方向を短手方向とし、Y方向を長手方向とする平面視で長方形状に形成されている。天板152は、一対の支持脚151の上端部間に架け渡されている。天板152におけるY方向の寸法は、配線什器10におけるY方向の寸法と同等になっている。天板152の+X側端面は、配線什器10のうち-X側に位置する起立壁45に近接又は当接している。なお、天板152のX方向の寸法が大きいものほど、X方向に対する傾斜壁46(傾斜面)の角度θを大きくすることが好ましい。
【0067】
本実施形態においても、上述した第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0068】
(変形例)
以下、配線什器10及び什器システム1の変形例について
図7~
図10を用いて説明する。
図7~
図10に示す変形例において、隣接什器としての天板付什器200は、例えば天板201と、支持脚202と、を備えている。
上述した各実施形態では、各第2壁部42のそれぞれが傾斜壁46を備える構成について説明したが、この構成に限られない。例えば
図7に示すように、傾斜壁46は、一方(例えば+X側)の第2壁部42のみに設けられる構成であってもよい。この場合、配線什器10(什器フレーム20)のうち-X側の第2壁部42は上下方向の全長に亘って直線状に延びている。
【0069】
上述した実施形態では、傾斜壁46の全体が隣接什器よりも上方に位置する構成について説明したが、この構成に限られない。例えば
図8に示すように、傾斜壁46は、天板付什器200の天板201に対して上下方向の両側に突出していてもよい。
上述した実施形態では、第2壁部42が起立壁45及び傾斜壁46を備える構成について説明したが、この構成に限られない。例えば
図9に示すように、一対の第2壁部42のうち、一方の第2壁部42は傾斜壁46のみを備え、他方の第2壁部42は起立壁45のみを備える構成であってもよい。
【0070】
上述した実施形態では、傾斜壁46が上方に向かうに従い天板付什器200から離間する向きに傾斜する構成について説明したが、この構成に限られない。例えば
図10に示すように、傾斜壁46は、下方に向かうに従い天板付什器200から離間する向きに傾斜していてもよい。
図10の例において、傾斜壁46の上端縁には、上方に向けて直線状に延びる起立壁45が連なっている。なお、第2壁部42は、下端部において上方に向かうに従い天板付什器200に接近する向きに傾斜する傾斜壁46を備え、上端部において上方に向かうに従い天板付什器200から離間する向きに傾斜する傾斜壁46を備える構成であってもよい。
【0071】
(その他の変形例)
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
上述した実施形態では、配線什器10が箱型に形成された構成について説明したが、この構成に限られない。配線什器10は、板状や、柱状等に形成されていてもよい。配線什器10を板状に形成する場合には、例えば傾斜壁のうち配線接続部21bが開口する面と反対側を向く面を、脚で支持する構成等を採用してもよい。
上述した実施形態では、配線什器10が側面視で台形状又は三角形状に形成された構成について説明したが、この構成に限られない。配線什器10は、一方の面が上方に向かうに従い隣接什器から離間する向きに傾斜する傾斜面を有し、他方の面が下方に向かうに従い隣接什器から離間する向きに傾斜する傾斜面を有する平行四辺形状に形成されていてもよい。
【0072】
上述した実施形態では、傾斜面が一面又は向かい合う一対の面に形成された構成について説明したが、この構成に限られない。傾斜面は、箱状部31の各面に形成されていてもよい。また、配線什器10のうち隣接什器と向かい合う面は、平面視で円弧状等に形成されていてもよい。
上述した実施形態では、配線什器10の箱状部31が物品収容空間31bを備える構成について説明したが、この構成に限られない。配線什器10は、物品収容空間31bを備えない構成であってもよい。
上述した実施形態では、配線接続部21bが傾斜壁46に形成される構成について説明したが、この構成に限られない。配線接続部21bは、傾斜面上で開口していればよい。
【0073】
上述した実施形態では、配線接続部21bとしてコンセントプラグの挿し込み口を例にして説明したが、この構成に限られない。配線接続部21bは、例えばUSB(Universal Serial Bus)コネクタ受け、LAN(Local Area Network)コネクタ受け等であってもよい。
上述した実施形態では、隣接什器として荷重支持面を備える構成について説明したが、この構成に限られない。隣接什器は、配線什器10に向かい合って配置されるものであれば、種々の什器が採用可能である。また、隣接什器は、床面F上を移動可能なものであって、例えば不使用時において配線什器10に対して接近し、使用時において配線什器10に離間するものであってもよい。
上述した実施形態では、タップ配線21cが箱状部31の内部空間を引き回す構成について説明したが、この構成に限られない。タップ配線21cは、箱状部31の外部を引き回してもよい。また、上述した、配線什器10を柱状にする場合においても同様である。その場合、タップ配線21cが床面F上で人の通行の妨げにならないよう、タップ配線21cを配線什器10の外周面に沿わせて下方に引き回したうえで、別途カバー部材等で遮蔽することが望ましい。
【0074】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1:什器システム
10:配線什器
10A:第1配線什器(配線什器)
10B:第2配線什器(配線什器)
21b:配線接続部
31:箱状部(本体部)
31a:上方開口部
60:長テーブル(隣接什器)
68:ベンチ