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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055088
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】スイッチング素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20240411BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240411BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20240411BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
H01L29/78 652S
H01L29/78 652F
H01L29/78 652K
H01L29/78 652J
H01L29/78 653A
H01L29/78 658G
H01L29/78 652T
H01L29/78 655A
H01L29/78 655G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161714
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 順
(57)【要約】
【課題】 狭チャネル効果を備えるスイッチング素子において、ソース領域のコンタクト抵抗を低減するとともに電流を分散させる。
【解決手段】 スイッチング素子は、半導体基板に設けられた複数のトレンチ内に配置されたゲート電極と、ソース電極を有する。前記各トレンチが、・隣り合う前記トレンチに挟まれた半導体領域である各トレンチ間領域が、複数の幅狭部と前記各幅狭部よりも第2方向における幅が広い複数の幅広部を有する、・前記上面において、第1方向に沿って前記幅狭部と前記幅広部が交互に配置されるとともに前記第2方向に沿って前記幅狭部と前記幅広部が前記トレンチを介して交互に配置される、という条件を満たすように、前記上面において前記第2方向に変位しながら前記第1方向に伸びている。ソース領域が、前記幅狭部と前記幅広部に跨って分布しており、前記幅広部内で前記ソース電極に接している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子であって、
半導体基板(12)と、
前記半導体基板の上面に設けられた複数のトレンチ(20)と、
前記各トレンチの内面を覆うゲート絶縁膜(42)と、
前記各トレンチ内に配置されており、前記ゲート絶縁膜によって前記半導体基板から絶縁されているゲート電極(44)と、
前記半導体基板の前記上面に設けられたソース電極(48)、
を有し、
複数の前記トレンチが、前記上面において前記各トレンチの長手方向が第1方向となるように配置されており、
複数の前記トレンチが、前記上面において前記第1方向に対して交差する第2方向に間隔を空けて配置されており、
前記各トレンチが、
・隣り合う前記トレンチに挟まれた半導体領域である各トレンチ間領域(30)が、複数の幅狭部(31)と前記各幅狭部よりも前記第2方向における幅が広い複数の幅広部(32)を有する、
・前記上面において、前記第1方向に沿って前記幅狭部と前記幅広部が交互に配置されるとともに前記第2方向に沿って前記幅狭部と前記幅広部が前記トレンチを介して交互に配置される、
という条件を満たすように、前記上面において前記第2方向に変位しながら前記第1方向に伸びており、
前記半導体基板が、
前記各トレンチ間領域内に配置されており、前記幅狭部と前記幅広部に跨って分布しており、前記幅広部内で前記ソース電極に接しており、前記幅狭部内で前記ゲート絶縁膜に接しているn型のソース領域(50)と、
前記各トレンチ間領域内に配置されており、前記幅狭部内の前記ソース領域の下側で前記ゲート絶縁膜に接しているp型のボディ領域(52)と、
前記各幅狭部内から前記複数のトレンチよりも下側の領域まで分布しており、前記幅狭部内の前記ボディ領域の下側で前記ゲート絶縁膜に接しているn型のドリフト領域(56)、
を有するスイッチング素子。
【請求項2】
前記ボディ領域が、前記幅狭部と前記幅広部に跨って分布しており、前記幅広部内で前記ソース領域の下側に配置されており、
前記ドリフト領域が、前記幅広部の下部と前記幅狭部の下部に跨って分布している、
請求項1に記載のスイッチング素子。
【請求項3】
前記半導体基板が、前記ボディ領域に接しているとともに前記幅広部側の前記トレンチの側面と前記トレンチの底面との間の角部において前記ゲート絶縁膜に接しているp型の電界緩和領域(54)を有する、請求項2に記載のスイッチング素子。
【請求項4】
前記幅狭部と前記幅広部の間の各境界部(33)において、前記幅広部から前記幅狭部に向かうに従って前記トレンチ間領域の前記第2方向における幅が徐々に狭くなっている、請求項1~3のいずれか一項に記載のスイッチング素子。
【請求項5】
前記半導体基板の前記上面に、前記幅狭部を挟んでいるトレンチどうしを接続する接続トレンチ(24)が設けられている、請求項1~3のいずれか一項に記載のスイッチング素子。
【請求項6】
前記各幅狭部において、前記幅広部から前記幅狭部の中央部に向かうに従って前記幅狭部の前記第2方向における幅が徐々に狭くなっており、
前記幅狭部の前記中央部において、前記幅狭部の両側に位置する前記トレンチどうしが繋がっている、請求項1~3のいずれか一項に記載のスイッチング素子。
【請求項7】
前記ソース領域が、前記各幅狭部内で前記ソース電極に接している、請求項1~3のいずれか一項に記載のスイッチング素子。
【請求項8】
前記ボディ領域が、前記各幅広部内で前記ソース電極に接している、請求項1~3のいずれか一項に記載のスイッチング素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、スイッチング素子に関する。
【0002】
特許文献1には、トレンチゲート型のスイッチング素子が開示されている。このスイッチング素子は、間隔を空けて配置された複数のトレンチを有している。各トレンチ内にゲート電極とゲート絶縁膜が配置されている。一対のトレンチの間にn型のソース領域とp型のボディ領域が設けられている。ソース領域は、各トレンチの上端部でゲート絶縁膜に接している。また、ソース領域は、半導体基板の表面に設けられたソース電極に接している。ボディ領域は、ソース領域の下側でゲート絶縁膜に接している。ボディ領域の下側には、n型のドリフト領域が設けられている。各ゲート電極に所定の電位を印加することで、トレンチ近傍のボディ領域にチャネルが形成される。すなわち、ボディ領域の両側面にチャネルが形成される。チャネルによってソース領域とドリフト領域が接続され、スイッチング素子がオンする。特許文献1には、一対のトレンチの間の間隔(すなわち、トレンチに挟まれたボディ領域の幅)を狭くすることで、ボディ領域の両側面に生じるチャネルが結合されることが記載されている。2つのチャネルが結合されることで、チャネル内の電子濃度が上昇し、チャネルの移動度が上昇する。以下では、トレンチの間の間隔を狭くすることでチャネル移動度が上昇することを、狭チャネル効果という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】英国特許出願公開第2572442号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術によれば、トレンチの間の間隔を狭くすることで、チャネルの移動度を上昇させることができる。しかしながら、トレンチの間の間隔を狭くすると、トレンチの間に配置されているソース領域がソース電極に対して接触する面積が小さくなる。このため、ソース領域のソース電極に対するコンタクト抵抗が高くなる。このように、単純にトレンチの間の間隔を狭くすると、チャネルの移動度が上昇する一方でソース領域のコンタクト抵抗が高くなり、スイッチング素子で生じる損失をそれほど低減することができない。
【0005】
また、図12は、ソース領域のコンタクト抵抗を低減するために新規に検討されたトレンチの配置である。図12では、半導体基板の表面に、狭い間隔で複数のゲートトレンチが配置された領域200と、ゲートトレンチが配置されていない領域300が設けられている。領域200内では、ゲートトレンチがx方向に間隔を空けて配列されている。領域200と領域300は、y方向に交互に配列されている。ソース領域は、各ゲートトレンチの間の領域(すなわち、幅が狭い領域)から領域300に跨って分布している。ソース領域は、ゲートトレンチが存在しない領域300内でソース電極に接している。図12の構造では、スイッチング素子がオンすると、領域300内でソース電極からソース領域に電子が流入する。領域300内のソース領域に流入した電子は、y方向に沿って領域200(すなわち、ゲートトレンチの間のソース領域)に流れ、領域200内でチャネルへ流れる。面積が広い領域300内では、ソース領域がソース電極に低いコンタクト抵抗で接している。また、領域200内では、狭チャネル効果により高いチャネル移動度を実現される。このように、図12の構造によれば、ソース領域のコンタクト抵抗を低減しながら高いチャネル移動度を実現できる。
【0006】
しかしながら、図12の構造では、領域300にチャネルが形成されないので、チャネルを通過した後の電子が領域300にほとんど電流が流れない。すなわち、領域300における電流密度が低く、領域200に電流が集中する。このため、電流集中により抵抗が増加する。また、電流集中による局所的な温度上昇が生じ、スイッチング素子の耐久性に問題が生じる。本明細書では、狭チャネル効果が得られるスイッチング素子において、ソース領域のコンタクト抵抗を低減するとともに電流を分散させる技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書が開示するスイッチング素子は、半導体基板と、前記半導体基板の上面に設けられた複数のトレンチと、前記各トレンチの内面を覆うゲート絶縁膜と、前記各トレンチ内に配置されているとともに前記ゲート絶縁膜によって前記半導体基板から絶縁されているゲート電極と、前記半導体基板の前記上面に設けられたソース電極、を有する。複数の前記トレンチが、前記上面において前記各トレンチの長手方向が第1方向となるように配置されている。複数の前記トレンチが、前記上面において前記第1方向に対して交差する第2方向に間隔を空けて配置されている。前記各トレンチが、・隣り合う前記トレンチに挟まれた半導体領域である各トレンチ間領域が、複数の幅狭部と前記各幅狭部よりも前記第2方向における幅が広い複数の幅広部を有する、・前記上面において、前記第1方向に沿って前記幅狭部と前記幅広部が交互に配置されるとともに前記第2方向に沿って前記幅狭部と前記幅広部が前記トレンチを介して交互に配置される、という条件を満たすように、前記上面において前記第2方向に変位しながら前記第1方向に伸びている。前記半導体基板が、ソース領域と、ボディ領域と、ドリフト領域を有する。前記ソース領域は、前記各トレンチ間領域内に配置されており、前記幅狭部と前記幅広部に跨って分布しており、前記幅広部内で前記ソース電極に接しており、前記幅狭部内で前記ゲート絶縁膜に接しているn型領域である。前記ボディ領域は、前記各トレンチ間領域内に配置されており、前記幅狭部内の前記ソース領域の下側で前記ゲート絶縁膜に接しているp型領域である。前記ドリフト領域は、前記各幅狭部内から前記複数のトレンチよりも下側の領域まで分布しており、前記幅狭部内の前記ボディ領域の下側で前記ゲート絶縁膜に接しているn型領域である。
【0008】
このスイッチング素子では、各トレンチ間領域が、幅狭部と幅広部を有している。幅狭部内のボディ領域では、狭チャネル効果により高いチャネル移動度を実現することができる。また、ソース領域は、幅狭部から幅広部に跨って分布しており、幅広部内でソース電極に接している。幅広部の幅が広いので、ソース領域はソース電極に対して低いコンタクト抵抗で接触している。このように、このスイッチング素子の構造によれば、狭チャネル効果によって高いチャネル移動度を実現できるとともに、ソース領域のコンタクト抵抗を低減することができる。また、幅広部は、電流が流れる構造とすることもできるし、電流が流れない構造とすることもできる。幅広部に電流が流れる構造の場合であっても、幅広部では狭チャネル効果が得られないので、幅広部に流れる電流は幅狭部に流れる電流よりもはるかに小さい。このスイッチング素子では、幅広部と幅狭部が第1方向及び第2方向において交互に配置されている。このため、幅狭部が分散して配置されている。したがって、このスイッチング素子の構造によれば、半導体基板に分散して電流を流すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1のスイッチング素子の縦断面を含む斜視図。
図2】実施例1のスイッチング素子のx方向に沿う縦断面を示す図。
図3】実施例1のスイッチング素子のy方向に沿う縦断面を示す図。
図4】実施例1のスイッチング素子の上面におけるトレンチの配置を示す平面図。
図5】実施例1の変形例1のスイッチング素子のx方向に沿う縦断面を示す図。
図6】実施例1の変形例2のスイッチング素子のx方向に沿う縦断面を示す図。
図7】実施例2のスイッチング素子の上面におけるトレンチの配置を示す平面図。
図8】実施例3のスイッチング素子の上面におけるトレンチの配置を示す平面図。
図9】実施例3のスイッチング素子のトレンチ形成工程の説明図。
図10】実施例4のスイッチング素子の上面におけるトレンチの配置を示す平面図。
図11】実施例4の変形例のスイッチング素子の上面におけるトレンチの配置を示す平面図。
図12】比較例のトレンチの配置を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書が開示する一例のスイッチング素子では、前記ボディ領域が、前記幅狭部と前記幅広部に跨って分布しており、前記幅広部内で前記ソース領域の下側に配置されていてもよい。前記ドリフト領域が、前記幅広部の下部と前記幅狭部の下部に跨って分布していてもよい。
【0011】
本明細書が開示する一例のスイッチング素子では、前記半導体基板が、前記ボディ領域に接しているとともに前記幅広部側の前記トレンチの側面と前記トレンチの底面との間の角部において前記ゲート絶縁膜に接しているp型の電界緩和領域を有していてもよい。
【0012】
この構成によれば、トレンチの角部においてゲート絶縁膜に高電界が印加されることを防止できる。
【0013】
本明細書が開示する一例のスイッチング素子では、前記幅狭部と前記幅広部の間の各境界部において、前記幅広部から前記幅狭部に向かうに従って前記トレンチ間領域の前記第2方向における幅が徐々に狭くなっていてもよい。
【0014】
この構成によれば、各境界部においてゲート絶縁膜に高電界が印加されることを防止できる。
【0015】
本明細書が開示する一例のスイッチング素子では、前記半導体基板の前記上面に、前記幅狭部を挟んでいるトレンチどうしを接続する接続トレンチが設けられていてもよい。
【0016】
この構成によれば、スイッチング素子の製造過程において幅狭部の破損を抑制できる。
【0017】
本明細書が開示する一例のスイッチング素子では、前記各幅狭部において、前記幅広部から前記幅狭部の中央部に向かうに従って前記幅狭部の前記第2方向における幅が徐々に狭くなっていてもよい。前記幅狭部の前記中央部において、前記幅狭部の両側に位置する前記トレンチどうしが繋がっていてもよい。
【0018】
この構造によれば、より高い狭チャネル効果を得ることができる。
【0019】
本明細書が開示する一例のスイッチング素子では、前記ソース領域が、前記各幅狭部内で前記ソース電極に接していてもよい。
【0020】
この構成によれば、ソース領域のコンタクト抵抗をより低減できる。
【0021】
本明細書が開示する一例のスイッチング素子では、前記ボディ領域が、前記各幅広部内で前記ソース電極に接していてもよい。
【0022】
この構成によれば、この構成によれば、ボディ領域のソース電極に対するコンタクト抵抗を低減できる。
【実施例0023】
図1~3に示す実施例1のスイッチング素子10は、半導体基板12を有している。半導体基板12は、SiCにより構成されている。なお、半導体基板12は、Si、GaNなどの他の半導体材料により構成されていてもよい。以下では、半導体基板12の上面12aに平行な一方向をx方向といい、上面12aに平行でx方向に対して直交する方向をy方向という。
【0024】
図1、2に示すように、半導体基板12の上面12aには、複数のトレンチ20が設けられている。図4は、上面12aにおける各トレンチ20の配置を示している。各トレンチ20は、上面12aにおいて各トレンチ20の長手方向がy方向となる向きで配置されている。各トレンチ20は、x方向に往復するように屈曲しながらy方向に伸びている。すなわち、各トレンチ20は、x方向への変位と-x方向への変位を交互に繰り返しながらy方向に伸びている。したがって、各トレンチ20は、自身の中心線からx方向に変位している第1部分21と、自身の中心線から-x方向に変位している第2部分22を有している。各トレンチ20において、第1部分21と第2部分22がy方向に沿って交互に配置されている。複数のトレンチ20は、x方向に間隔を空けて配列されている。各トレンチ20は、自身の第1部分21から見てx方向及び-x方向に隣のトレンチ20の第2部分22が配置され、自身の第2部分22から見てx方向及び-x方向に隣のトレンチ20の第1部分21が配置されるように配列されている。各トレンチ20の間には、隣り合う一対のトレンチ20によって挟まれた半導体領域(以下、トレンチ間領域30という)が存在する。各トレンチ間領域30は、幅狭部31と幅広部32を有している。幅広部32のx方向における幅は、幅狭部31のx方向における幅よりも広い。幅狭部31は、自身から見てx方向に存在する第2部分22と自身から見て-x方向に存在する第1部分21によって挟まれた部分である。幅広部32は、自身から見てx方向に存在する第1部分21と自身から見て-x方向に存在する第2部分22によって挟まれた部分である。上面12aにおいて、幅狭部31と幅広部32がy方向に沿って交互に配置されている。すなわち、各トレンチ間領域30において、幅狭部31と幅広部32がy方向に沿って交互に配置されている。また、上面12aにおいて、x方向に沿って幅狭部31と幅広部32がトレンチ20を介して交互に配置されている。すなわち、いずれの幅広部32の位置でも、その幅広部32を横切ってx方向に伸びる直線(例えば、図4の仮想線A1)に沿ってみたときに、幅狭部31と幅広部32がトレンチ20を介して交互に配置されている。
【0025】
図1、2に示すように、各トレンチ20内には、ゲート絶縁膜42とゲート電極44が配置されている。なお、図4では、各トレンチ20内のゲート絶縁膜42とゲート電極44の図示を省略している。ゲート絶縁膜42は、トレンチ20の内面を覆っている。ゲート電極44は、ゲート絶縁膜42によって半導体基板12から絶縁されている。
【0026】
図2、3に示すように、半導体基板12の上部には、層間絶縁膜46とソース電極48が設けられている。なお、図1では、層間絶縁膜46とソース電極48の図示を省略している。層間絶縁膜46は、ゲート電極44の上面を覆っている。ソース電極48は、層間絶縁膜46と半導体基板12の上面12aを覆っている。ソース電極48は、層間絶縁膜46が存在しない範囲で、半導体基板12の上面12aに接している。各ゲート電極44は、その上部の層間絶縁膜46によってソース電極48から絶縁されている。
【0027】
図1~3に示すように、半導体基板12の下部には、ドレイン電極49が設けられている。ドレイン電極49は、半導体基板12の下面12bに接している。
【0028】
図1~3に示すように、半導体基板12は、ソース領域50、ボディ領域52、電界緩和領域54、ドリフト領域56及びドレイン領域58を有している。
【0029】
図1に示すように、ソース領域50は、n型領域であり、各トレンチ間領域30内に配置されている。ソース領域50は、半導体基板12の上面12a近傍の表層部に設けられている。図3に示すように、ソース領域50は、幅狭部31と幅広部32に跨って分布している。図2、3に示すように、ソース領域50は、幅狭部31及び幅広部32内でソース電極48にオーミック接触している。図1、2に示すように、ソース領域50は、幅狭部31及び幅広部32内で、ゲート絶縁膜42に接している。
【0030】
図1に示すように、ボディ領域52は、p型領域であり、各トレンチ間領域30内に配置されている。図3に示すように、ボディ領域52は、幅狭部31と幅広部32に跨って分布している。ボディ領域52は、コンタクト領域52aと低濃度領域52bを有している。コンタクト領域52aのp型不純物濃度は、低濃度領域52bのp型不純物濃度よりも高い。図1~3に示すように、コンタクト領域52aは、幅広部32内であって、半導体基板12の上面12a近傍の表層部に設けられている。コンタクト領域52aは、幅広部32内でソース電極48にオーミック接触している。低濃度領域52bは、幅狭部31と幅広部32に跨って分布している。低濃度領域52bは、コンタクト領域52a及びソース領域50に対して下側から接している。低濃度領域52bは、幅狭部31及び幅広部32内のソース領域50の下側でゲート絶縁膜42に接している。
【0031】
電界緩和領域54は、低濃度領域52bよりも高いp型不純物濃度を有するp型領域である。図1、2に示すように、電界緩和領域54は、各幅広部32内からその両側のトレンチ20の下部まで分布している。図1~3に示すように、電界緩和領域54は、幅狭部31とその下部には存在していない。電界緩和領域54は、幅広部32内の低濃度領域52bに対して下側から接している。電界緩和領域54は、幅広部32内の低濃度領域52bの下側でゲート絶縁膜42に接している。より詳細には、電界緩和領域54は、幅広部32内のトレンチ20の側面とトレンチ20の底面に跨る範囲でゲート絶縁膜42に接している。したがって、図2に示すように、電界緩和領域54は、幅広部32側のトレンチ20の側面とトレンチ20の底面との間の角部C1においてゲート絶縁膜42に接している。電界緩和領域54は、幅狭部31側のトレンチ20の側面とトレンチ20の底面との間の角部C2には接していない。
【0032】
ドリフト領域56は、ソース領域50よりも低いn型不純物濃度を有するn型領域である。図1~3に示すように、ドリフト領域56は、複数のトレンチ20の下側の領域(より詳細には、各トレンチ20の下部、各幅狭部31の下部、及び、各幅広部32の下部に跨る範囲)に分布している。また、ドリフト領域56は、各幅狭部31にも分布している。すなわち、ドリフト領域56は、各幅狭部31内から複数のトレンチ20の下側の領域まで分布している。ドリフト領域56は、幅狭部31内の低濃度領域52bに対して下側から接している。ドリフト領域56は、幅狭部31内の低濃度領域52bの下側でゲート絶縁膜42に接している。したがって、ドリフト領域56は、角部C2でゲート絶縁膜42に接している。また、ドリフト領域56は、電界緩和領域54の側面及び底面に接している。
【0033】
ドレイン領域58は、ドリフト領域56よりも高いn型不純物濃度を有するn型領域である。図1~3に示すように、ドレイン領域58は、ドリフト領域56に対して下側から接している。ドレイン領域58は、半導体基板12の下面12bにおいてドレイン電極49にオーミック接触している。
【0034】
次に、スイッチング素子10の動作について説明する。スイッチング素子10は、MOSFET(metal-oxide-semiconductor field effect transistor)である。スイッチング素子10の使用時には、ドレイン電極49に対してソース電極48よりも高い電位が印加される。また、ゲート電極44の電位は、ドレイン電極49及びソース電極48に対して独立して制御される。ゲート電極44にゲート閾値以上の電位が印加されると、ゲート絶縁膜42近傍の低濃度領域52bに反転層が形成される。幅狭部31内に形成された反転層によってソース領域50とドリフト領域56が接続される。すなわち、幅狭部31内に形成された反転層は、チャネルとして機能する。なお、幅広部32内にも反転層が形成されるが、幅広部32内の低濃度領域52b(すなわち、反転層が形成される領域)の下側には電界緩和領域54が設けられているので、幅広部32内に形成された反転層はチャネルとしては機能しない。幅狭部31の幅(すなわち、幅狭部31を挟む一対のトレンチ20の間の間隔)が狭いので、幅狭部31内では、その両側のゲート絶縁膜42に沿って形成されるチャネルが互いに結合する。したがって、幅狭部31内の低濃度領域52b全体がチャネルとなる。また、このようにチャネルが結合することで、狭チャネル効果が生じ、幅狭部31内のチャネルの移動度が極めて高くなる。例えば、SiCでは、幅狭部31の幅(すなわち、幅狭部31におけるトレンチ20の間隔)を300nm以下とすると狭チャネル効果を得ることができ、幅狭部31の幅が狭いほどチャネル移動度が高くなる。例えば、幅狭部31の幅を100nm以下とすると、効率的に狭チャネル効果を得ることができる。幅狭部31内に形成されたチャネルによってソース領域50とドリフト領域56が接続されると、ソース電極48から、ソース領域50、チャネル、ドリフト領域56、ドレイン領域58を介してドレイン電極49へ電子が流れる。このため、スイッチング素子10がオンする。ゲート電極44の電位をゲート閾値未満の電位に引き下げると、チャネルが消失し、スイッチング素子10がオフする。
【0035】
図3の矢印101~103は、スイッチング素子10がオンしたときに電子が流れる経路を示している。ソース電極48は、幅狭部31内と幅広部32内でソース領域50にオーミック接触している。したがって、図3の矢印101、102に示すように、幅狭部31内と幅広部32内でソース電極48からソース領域50に電子が流入する。幅狭部31の幅が狭いので、幅狭部31内のソース領域50のソース電極48に対する接触面積は小さい。したがって、幅狭部31内のソース領域50のソース電極48に対するコンタクト抵抗は極めて高い。このため、矢印101のように幅狭部31内でソース電極48からソース領域50に流入する電子は極めて少ない。これに対し、幅広部32の幅が広いので、幅広部32内ではソース領域50のソース電極48に対する接触面積が広い。したがって、幅広部32内のソース領域50のソース電極48に対するコンタクト抵抗は低い。このため、矢印102のように幅広部32内でソース電極48からソース領域50に流入する電子は多い。したがって、スイッチング素子10がオンしたときの主な電子の流入経路は、矢印102に示す経路である。矢印102のように幅広部32内でソース電極48からソース領域50に流入した電子は、矢印103に示すようにソース領域50内を通って幅広部32から幅狭部31へ移動し、幅狭部31内で低濃度領域52b(すなわち、チャネル)に流入する。幅狭部31内のチャネルの移動度が高いので、電子は低損失でチャネルを通過することができる。チャネルを通過した電子は、ドリフト領域56とドレイン領域58を通ってドレイン電極49へ流れる。
【0036】
以上に説明したように、スイッチング素子10では、幅広部32内でソース領域50が低いコンタクト抵抗でソース電極48に接しているので、幅広部32内で電子がソース領域50に流入するときに損失が生じ難い。また、幅広部32内でソース領域50に流入した電子は、幅狭部31内のチャネルを通ってドリフト領域56へ流れる。幅狭部31内のチャネルでは狭チャネル効果によって高い移動度が得られるので、電子がチャネルを通過するときに損失が生じ難い。したがって、スイッチング素子10のオン抵抗は、極めて低い。
【0037】
また、電子は、幅狭部31内でチャネルからドリフト領域56に流入するので、幅狭部31の下部のドリフト領域56に高密度で電子が流れる。他方、幅広部32の下部のドリフト領域56にはほとんど電子が流れない。したがって、幅狭部31の下部では幅広部32の下部よりもドリフト領域56に高密度に電流が流れる。スイッチング素子10では、図4に示すように、各トレンチ間領域30において幅狭部31と幅広部32がy方向において交互に配置されている。また、x方向において、トレンチ20を介して幅狭部31と幅広部32が交互に配置されている。すなわち、x方向とy方向のそれぞれにおいて、幅狭部31が分散して配置されている。このように幅狭部31を分散して配置することで、ドリフト領域56内における電流集中を抑制することができる。これにより、スイッチング素子10のオン抵抗がさらに低減される。また、幅狭部31の下部では幅広部32の下部よりもドリフト領域56に高密度に電流が流れるので、幅狭部31は幅広部32よりも高温になり易い。高温になり易い幅狭部31を分散して配置することで、半導体基板12内で極端な温度勾配が生じることが抑制される。これにより、半導体基板12に加わるストレスが軽減され、スイッチング素子10の耐久性を向上させることができる。
【0038】
また、スイッチング素子10では、ソース領域50が、幅広部32内だけでなく幅狭部31内でもソース電極48にオーミック接触している。このため、図3の矢印101に示すように、少量ではあるが幅狭部31内でもソース電極48からソース領域50に電子が流入する。矢印101に示すように流入する電子も、電流に寄与する。したがって、スイッチング素子10のオン抵抗がより低減されている。
【0039】
また、スイッチング素子10がオフすると、低濃度領域52b及び電界緩和領域54からドリフト領域56内に空乏層が広がり、空乏層内で電界が発生する。このとき、ゲート絶縁膜42に高電界が加わると、ゲート絶縁膜42が絶縁破壊するおそれがある。特に、トレンチ20の下端の角部C1、C2では、高い電界が生じ易く、ゲート絶縁膜42が絶縁破壊し易い。これに対し、スイッチング素子10では、電界緩和領域54が角部C1を覆っているので、角部C1に高い電界が印加されることが防止される。また、電界緩和領域54は、低濃度領域52bから各トレンチ20よりも下側まで伸びている。このため、ドリフト領域56が空乏化したときに、電界緩和領域54に挟まれた範囲内のドリフト領域56に電位差が生じ難い。したがって、角部C2に高い電界が印加されることが防止される。このように、電界緩和領域54によって、ゲート絶縁膜42に加わる電界を低減することができる。
【0040】
また、図12に示す比較例のスイッチング素子では、複数のゲートトレンチが設けられた領域200とゲートトレンチが設けられていない領域300がy方向に沿って交互に配列されている。このため、y方向に伸びるゲートトレンチが領域300によって分断されており、各領域200の間でゲートトレンチが繋がっていない。したがって、領域200ごとにゲート電極に対する配線(いわゆる、ゲート配線)を設ける必要がある。このため、ゲート配線が複雑化し、ゲート配線によって占有される半導体基板表面の面積が広くなる。このため、スイッチング素子のチップサイズが大きくなる。これに対し、スイッチング素子10では、y方向においてトレンチ20(すなわち、ゲート電極44)が連続して伸びているので、ゲート配線を単純化することができる。したがって、ゲート配線によって占有される面積が小さく、スイッチング素子10のチップサイズを図12に示すスイッチング素子よりも小さくすることができる。
【0041】
なお、上述した実施例1では、低濃度領域52bの下面全体に電界緩和領域54が接していた。しかしながら、図5に示すように、低濃度領域52bの下部に部分的に電界緩和領域54が設けられていない箇所が存在していてもよい。この構成でも、角部C1を覆うように電界緩和領域54が設けられているので、角部C1、C2における高電界の発生を抑制できる。
【0042】
また、ゲート絶縁膜42の耐圧が高い場合には、図6に示すように、電界緩和領域54が設けられていなくてもよい。なお、図6の構成では、幅広部32内の低濃度領域52bの下側に電界緩和領域54が存在しないので、幅広部32内の低濃度領域52bに形成される反転層がチャネルとして機能する。但し、幅広部32内のチャネルでは狭チャネル効果が生じないので、幅広部32内のチャネルの移動度は幅狭部31内のチャネルの移動度よりも低い。このため、この場合でも、ドリフト領域56内の電流密度は、幅狭部31の下部で幅広部32の下部よりも高くなる。したがって、図4のように幅狭部31を分散して配置することで、ドリフト領域56内における電流集中を抑制できる。
【実施例0043】
図7は、実施例2のスイッチング素子の上面12aを示している。なお、図7では、トレンチ内のゲート絶縁膜42及びゲート電極44の図示を省略している。図7は、幅狭部31と幅広部32との間の境界部33を拡大して示している。境界部33以外については、実施例2のスイッチング素子は、実施例1のスイッチング素子10と同じ構成を有している。
【0044】
図7に示すように、上から見たときに、境界部33のx方向の幅(すなわち、トレンチ間領域30のx方向の幅)は、幅広部32から幅狭部31に向かうに従って徐々に狭くなっている。このため、各トレンチ20の各屈曲部20aの角度θが、鈍角となっている。
【0045】
実施例2でも実施例1と同様に、スイッチング素子がオンする場合に、図7で矢印110に示すように電子がソース領域50内を幅広部32から幅狭部31に向かって流れる。このとき、境界部33の幅が徐々に狭くなるので、電子が流れるときに境界部33の抵抗が幅狭部31に近い位置ほど高くなる。このように、境界部33の抵抗が徐々に高くなることで、各トレンチ20の屈曲部20aにおいてゲート絶縁膜42に印加される電界を緩和することができる。このように、実施例2のスイッチング素子では、境界部33近傍のゲート絶縁膜42を高電界から保護することができる。
【実施例0046】
図8は、実施例3のスイッチング素子の上面12aを示している。なお、図8では、トレンチ内のゲート絶縁膜42及びゲート電極44の図示を省略している。図8に示すように、実施例3では、半導体基板12の上面12aに接続トレンチ24が設けられている。接続トレンチ24以外については、実施例3のスイッチング素子は、実施例1のスイッチング素子10と同じ構成を有している。
【0047】
図8に示すように、接続トレンチ24は、各幅狭部31のy方向における中央部に設けられている。各接続トレンチ24は、x方向に沿って伸びており、幅狭部31を挟んでいる一対のトレンチ20どうしを接続している。接続トレンチ24内には、トレンチ20内と同様に、ゲート絶縁膜42とゲート電極44が配置されている。すなわち、接続トレンチ24内には、トレンチ20内から連続するようにゲート絶縁膜42とゲート電極44が配置されている。接続トレンチ24内でも、ゲート電極44がゲート絶縁膜42によって半導体基板12から絶縁されている。
【0048】
スイッチング素子の製造工程では、図9に示すように、エッチングによって半導体基板12の上面12aにトレンチ20が形成される。エッチング工程における温度変化等によって、トレンチ間領域30にy方向に沿って圧縮応力や引張応力などの応力が加わる。接続トレンチ24が存在しない場合、幅狭部31に対してy方向に沿って加わる応力によって、幅狭部31を構成する半導体層にクラックが生じるおそれがある。これに対し、図9のように接続トレンチ24が設けられていると、接続トレンチ24によって幅狭部31がy方向において2つに分離されるので、幅狭部31に加わる応力が大幅に緩和される。これによって、幅狭部31を構成する半導体層の破損が抑制される。
【実施例0049】
図10は、実施例4のスイッチング素子の上面12aを示している。なお、図10及び後述する図11では、トレンチ内のゲート絶縁膜42及びゲート電極44の図示を省略している。実施例4では、各トレンチ20が曲線状に蛇行しながらy方向に沿って伸びている。また、各幅狭部31のy方向における中央部31aで、隣り合うトレンチ20どうしが繋がっている。その他の構成については、実施例4のスイッチング素子は、実施例1のスイッチング素子10と同じ構成を有している。
【0050】
図10に示すように、各幅狭部31のx方向における幅は、幅狭部31の中央部31aに向かうに従って徐々に狭くなっている。また、幅狭部31の中央部31aにおいて、幅狭部31を挟む一対のトレンチ20どうしが繋がっている。したがって、中央部31aの近傍の部分Eにおいて、幅狭部31は最小の幅を有する。このため、部分Eでは、狭チャネル効果によって最も高いチャネル移動度が得られる。したがって、実施例4によれば、スイッチング素子のオン抵抗を極めて低減することができる。
【0051】
また、実施例4では、幅狭部31の中央部31aにおいてトレンチ20どうしが繋がっているので、製造誤差によってトレンチ20のx方向における相対位置にばらつきが生じたとしても、幅狭部31内に最小の幅を有する部分Eを確実に形成することができる。このため、トレンチ20のx方向における相対位置ばらつきに起因するチャネル移動度のばらつきを抑制することができる。したがって、実施例4によれば、スイッチング素子のチャネル移動度の製造ばらつきを抑制することができる。
【0052】
なお、実施例4では、各トレンチ20が曲線状に蛇行していた。しかしながら、図11に示すように、各トレンチ20が折線状に伸びていてもよい。図11の構成でも、幅狭部31に最小の幅を有する部分Eを形成することができる。
【0053】
なお、上述した実施例では、スイッチング素子としてMOSFETについて説明した。しかしながら、IGBT(insulated gate bipolar transistro)などの他のスイッチング素子に本明細書に開示の技術を適用してもよい。
【0054】
以下に、本明細書に開示の技術の構成を列記する。
(構成1)
スイッチング素子であって、
半導体基板と、
前記半導体基板の上面に設けられた複数のトレンチと、
前記各トレンチの内面を覆うゲート絶縁膜と、
前記各トレンチ内に配置されており、前記ゲート絶縁膜によって前記半導体基板から絶縁されているゲート電極と、
前記半導体基板の前記上面に設けられたソース電極、
を有し、
複数の前記トレンチが、前記上面において前記各トレンチの長手方向が第1方向となるように配置されており、
複数の前記トレンチが、前記上面において前記第1方向に対して交差する第2方向に間隔を空けて配置されており、
前記各トレンチが、
・隣り合う前記トレンチに挟まれた半導体領域である各トレンチ間領域が、複数の幅狭部と前記各幅狭部よりも前記第2方向における幅が広い複数の幅広部を有する、
・前記上面において、前記第1方向に沿って前記幅狭部と前記幅広部が交互に配置されるとともに前記第2方向に沿って前記幅狭部と前記幅広部が前記トレンチを介して交互に配置される、
という条件を満たすように、前記上面において前記第2方向に変位しながら前記第1方向に伸びており、
前記半導体基板が、
前記各トレンチ間領域内に配置されており、前記幅狭部と前記幅広部に跨って分布しており、前記幅広部内で前記ソース電極に接しており、前記幅狭部内で前記ゲート絶縁膜に接しているn型のソース領域と、
前記各トレンチ間領域内に配置されており、前記幅狭部内の前記ソース領域の下側で前記ゲート絶縁膜に接しているp型のボディ領域と、
前記各幅狭部内から前記複数のトレンチよりも下側の領域まで分布しており、前記幅狭部内の前記ボディ領域の下側で前記ゲート絶縁膜に接しているn型のドリフト領域、
を有するスイッチング素子。
(構成2)
前記ボディ領域が、前記幅狭部と前記幅広部に跨って分布しており、前記幅広部内で前記ソース領域の下側に配置されており、
前記ドリフト領域が、前記幅広部の下部と前記幅狭部の下部に跨って分布している、
構成1に記載のスイッチング素子。
(構成3)
前記半導体基板が、前記ボディ領域に接しているとともに前記幅広部側の前記トレンチの側面と前記トレンチの底面との間の角部において前記ゲート絶縁膜に接しているp型の電界緩和領域を有する、構成2に記載のスイッチング素子。
(構成4)
前記幅狭部と前記幅広部の間の各境界部において、前記幅広部から前記幅狭部に向かうに従って前記トレンチ間領域の前記第2方向における幅が徐々に狭くなっている、構成1~3のいずれか一項に記載のスイッチング素子。
(構成5)
前記半導体基板の前記上面に、前記幅狭部を挟んでいるトレンチどうしを接続する接続トレンチが設けられている、構成1~3のいずれか一項に記載のスイッチング素子。
(構成6)
前記各幅狭部において、前記幅広部から前記幅狭部の中央部に向かうに従って前記幅狭部の前記第2方向における幅が徐々に狭くなっており、
前記幅狭部の前記中央部において、前記幅狭部の両側に位置する前記トレンチどうしが繋がっている、構成1~5のいずれか一項に記載のスイッチング素子。
(構成7)
前記ソース領域が、前記各幅狭部内で前記ソース電極に接している、構成1~6のいずれか一項に記載のスイッチング素子。
(構成8)
前記ボディ領域が、前記各幅広部内で前記ソース電極に接している、構成1~7のいずれか一項に記載のスイッチング素子。
【0055】
以上、実施形態について詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独あるいは各種の組み合わせによって技術有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの1つの目的を達成すること自体で技術有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0056】
12:半導体基板、20:トレンチ、30:トレンチ間領域、31:幅狭部、32:幅広部、48:ソース電極、50:ソース領域、52:ボディ領域、56:ドリフト領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12