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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055090
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】断熱材支持具及び断熱構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/76 20060101AFI20240411BHJP
   E04B 1/80 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
E04B1/76 500H
E04B1/80 100A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161716
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】596066530
【氏名又は名称】宇都宮工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】394014641
【氏名又は名称】カネカケンテック株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】土井 昌司
(72)【発明者】
【氏名】高井 克典
(72)【発明者】
【氏名】野口 白行
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 幸治
(72)【発明者】
【氏名】木村 慎吾
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DD01
2E001FA11
2E001GA12
2E001HF11
2E001LA11
(57)【要約】
【課題】架材間に配置された断熱材が目標の高さ位置よりも下方に位置することを防止する。
【解決手段】上板部(22)と、上板部(22)の側端部から下方向へ折り曲げられた脚板部(24)と、脚板部(24)の下端部から水平方向に折り曲げられた支持板部(26)と、を備える。支持板部(26)の幅方向の両側に、補強部(28)がそれぞれ折り曲げて形成され、各補強部(28)は、脚板部(24)と支持板部(26)との境界部から支持板部(26)の先端部側に向かって延びている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横架材の上面に係止される上板部と、
前記上板部の側端部から下方向へ折り曲げられた脚板部と、
前記脚板部の下端部から水平方向に折り曲げられ、断熱材の下面を支持する支持板部と、を備え、
前記支持板部の幅方向の両側に、前記支持板部を補強する補強部がそれぞれ折り曲げて形成され、
前記補強部は、前記脚板部と前記支持板部との境界部から前記支持板部の先端部側に向かって延びている、断熱材支持具。
【請求項2】
前記補強部は、前記脚板部と前記支持板部との境界部から前記支持板部の先端部にかけて連続して形成されている、請求項1に記載の断熱材支持具。
【請求項3】
前記補強部は、前記脚板部と前記支持板部との境界部に、前記脚板部の幅方向の内側に傾斜した傾斜片を有している、請求項1に記載の断熱材支持具。
【請求項4】
前記支持板部の幅寸法は、前記脚板部の幅寸法の40%以上100%未満であり、前記補強部の高さ寸法は、前記支持板部の幅寸法の7%以上50%以下である、請求項1に記載の断熱材支持具。
【請求項5】
前記支持板部の幅方向の両側に形成された2つの前記補強部のうち少なくとも一方の補強部の縁部は、鋭角に加工された部分を有する、請求項1に記載の断熱材支持具。
【請求項6】
前記支持板部の長さ寸法は、10mm以上100mm以下である、請求項1に記載の断熱材支持具。
【請求項7】
前記上板部に第1切込みが形成され、前記上板部における前記第1切込みの内側部分を立て起こすことによって、前記横架材の上面に突き刺し可能な第1突き刺し片が形成されている、請求項1に記載の断熱材支持具。
【請求項8】
前記脚板部に第2切込みが形成され、前記脚板部における前記第2切込みの内側部分を立て起こすことによって、前記横架材の側面に突き刺し可能な第2突き刺し片が形成されている、請求項1に記載の断熱材支持具。
【請求項9】
前記脚板部を2つ備え、2つの前記脚板部は、前記上板部の長さ方向の両側端部からそれぞれ下方向へ折り曲げられ、
前記上板部は、切断可能な分断部を有し、前記分断部を切断することによって分割可能になっている、請求項1に記載の断熱材支持具。
【請求項10】
横架材に取付けられ、請求項1~9のいずれか1項に記載の断熱材支持具と、
前記断熱材支持具に支持された板状の断熱材と、を備える、断熱構造。
【請求項11】
前記脚板部の長さ寸法は、前記横架材の厚み寸法と略同じであるか、又は前記横架材の厚み寸法よりも大きくなっている、請求項10に記載の断熱構造。
【請求項12】
前記支持板部は、前記断熱材を略水平方向に支持するよう前記横架材の下面よりも下側に位置している、請求項10に記載の断熱構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横架材間に配置された板状の断熱材を支持するための断熱材支持具、及び断熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
木造建築において、根太又は大引等の横架材間に板状の断熱材を配置することが広く行われている。この場合、通常では、大引等の横架材に断熱材支持具を取付け、その断熱材支持具に板状の断熱材を支持させることにより、断熱材が横架材間に配置される。
【0003】
しかし、断熱材支持具と断熱材とを備えた断熱構造においては、断熱材に荷重がかかると、断熱材支持具の受け面が垂れ下がり、断熱材が目標の高さ位置よりも下方に位置して、横架材と断熱材との間に段差が生じることがある。
【0004】
このような横架材と断熱材との間の段差の問題を解決する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、大引き又は根太等の横架材に引っ掛けられる上板部(特許文献1では幅員部と称される)と、上板部の側端部から下方へ折り曲げられた脚板部(特許文献1では側面部と称される)と、脚板部の下端部から水平方向に折り曲げられかつ板状の断熱材を支持する支持板部(特許文献1では支持部と称される)と、を備えた断熱材支持具(特許文献1で支持金具と称される)が開示されている。特許文献1に示す断熱材支持具においては、脚板部及び支持板部の長さ方向の略全域に補強リブが連続して形成されている。これにより、支持板部を補強することができ、横架材間に配置された断熱材が目標の高さ位置よりも下方に位置することを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-257718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の断熱材支持具において、補強リブによって断熱材が目標の高さ位置よりも下方に位置することを防止しているが、補強リブが脚板部の長さ方向略全域に形成されているため、補強リブが障害突起になって、大引等の横架材間に断熱材をスムーズに嵌入(挿入)できず、断熱材の施工性が低下するおそれがある。換言すれば、断熱材支持具と断熱材とを備えた断熱構造の施工性が低下するおそれがある。
【0007】
また、補強リブを脚板部の長さ方向略全域から支持板部の長さ方向略全域に形成するため、断熱材支持具の加工工数が増加して、断熱支持具の製造性(生産性)が低下するおそれがある。
【0008】
そのため、特許文献1に記載の技術と異なり、断熱材支持具の製造性を高めつつ、断熱材を安定的に受け止めることができる断熱材支持具の開発が求められていた。
【0009】
そこで、本発明の一態様は、断熱材支持具の製造性を高めつつ、板状の断熱材に荷重が掛かっても板状の断熱材が目標の高さ位置より下方に変形することを防止し得る断熱材支持具を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の課題を解決するため、本発明の一態様は、以下の通りである。
【0011】
〔1〕横架材の上面に係止される上板部と、前記上板部の側端部から下方向へ折り曲げられた脚板部と、前記脚板部の下端部から水平方向(横方向)に折り曲げられ、断熱材の下面を支持する支持板部と、を備える。前記支持板部の幅方向の両側に、前記支持板部を補強する補強部がそれぞれ折り曲げて形成され、前記補強部は、前記脚板部と前記支持板部との境界部から前記支持板部の先端部側に向かって延びている、断熱材支持具。
【0012】
〔2〕前記補強部は、前記脚板部と前記支持板部との境界部から前記支持板部の先端部にかけて連続して形成されている、〔1〕の断熱材支持具。
【0013】
〔3〕前記補強部は、前記脚板部と前記支持板部との境界部に、前記脚板部の幅方向の内側に傾斜した傾斜片を有している、〔1〕または〔2〕の断熱材支持具。
【0014】
〔4〕前記支持板部の幅寸法は、前記脚板部の幅寸法の40%以上100%未満であり、前記補強部の高さ寸法は、前記支持板部の幅寸法の7%以上50%以下である、〔1〕~〔3〕の何れかの断熱材支持具。
【0015】
〔5〕前記支持板部の幅方向の両側に形成された2つの前記補強部のうち少なくとも一方の補強部の縁部は、鋭角に加工された部分を有する、〔1〕~〔4〕の何れかの断熱材支持具。
【0016】
〔6〕前記支持板部の長さ寸法は、10mm以上100mm以下である、〔1〕~〔5〕の何れかの断熱材支持具。
【0017】
〔7〕前記上板部に第1切込みが形成され、前記上板部における前記第1切込みの内側部分を立て起こすことによって、前記横架材の上面に突き刺し可能な第1突き刺し片が形成されている、〔1〕~〔6〕の何れかの断熱材支持具。
【0018】
〔8〕前記脚板部に第2切込みが形成され、前記脚板部における前記第2切込みの内側部分を立て起こすことによって、前記横架材の側面に突き刺し可能な第2突き刺し片が形成されている、〔1〕~〔7〕の何れかの断熱材支持具。
【0019】
〔9〕前記脚板部を2つ備え、2つの前記脚板部は、前記上板部の長さ方向の両側端部からそれぞれ下方向へ折り曲げられ、前記上板部は、切断可能な分断部を有し、前記分断部を切断することによって分割可能になっている、〔1〕~〔8〕の何れかの断熱材支持具。
【0020】
〔10〕横架材に取付けられ、〔1〕~〔9〕のいずれかの断熱材支持具と、前記断熱材支持具に支持された板状の断熱材と、を備える、断熱構造。
【0021】
〔11〕前記脚板部の長さ寸法は、前記横架材の厚み寸法と略同じであるか、又は前記横架材の厚み寸法よりも大きくなっている、〔10〕の断熱構造。
【0022】
〔12〕前記支持板部は、前記断熱材を略水平方向に支持するよう前記横架材の下面よりも下側に位置している、〔10〕または〔11〕の断熱構造。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一態様によれば、断熱材支持具の製造性を高めつつ、板状の断熱材に荷重が掛かっても、板状の断熱材が目標の高さ位置より下方に変形することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態1に係る断熱構造の模式的な断面図である。
図2】実施形態1に係る第1断熱材支持具の模式的な斜視図である。
図3】実施形態1に係る第1断熱材支持具の模式的な正面図である。
図4】実施形態1に係る第1断熱材支持具の中間品を示す模式図である。
図5】実施形態2に係る第1断熱材支持具の模式的な斜視図である。
図6】実施形態2に係る第1断熱材支持具の中間品を示す模式図である。
図7】実施形態3に係る第1断熱材支持具の模式的な斜視図である。
図8】実施形態3に係る第1断熱材支持具の模式的な正面図である。
図9】実施形態4に係る第1断熱材支持具の模式的な斜視図である。
図10】実施形態4に係る第1断熱材支持具の模式的な正面図である。
図11】実施形態5に係る第1断熱材支持具の模式的な斜視図である。
図12】実施形態5に係る第1断熱材支持具の模式的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態に係る断熱材支持具は、木造建築の断熱構造において、大引等の横架材間に板状の断熱材を配置するために使用される。ここで、「横架材」とは、木造建築に用いられる横架材であって、その間に断熱材を配置するための全ての横架材が対象となる。具体的には、横架材として、大引、根太、垂木、野縁、野縁受け等の角材が挙げられる。従って、本実施形態に係る断熱材支持具は、床下の断熱構造のみに限らず、屋根の断熱構造、天井の断熱構造等にも使用される。
【0026】
本実施形態に係る特許断熱材支持具又は断熱構造において、「上面」は、断熱材が横架材間に挿入される入り口側の面を意味する。「下面」は、上面と反対側の面を意味する。更に、「横架材の側面(側端面)」は、横架材において、断熱材を配置する空間に面した面を意味する。「下方」は、横架材に対する断熱材の挿入方向を意味する。「上方」は、横架材に対する断熱材の挿入方向と反対方向を意味する。
【0027】
例えば、「横架材の上面」とは、断熱材支持具を横架材に取付ける際に、上板部が配置される側の面のことである。「横架材の側面」とは、断熱材支持具を横架材に取り付ける際に、脚板部が配置される側の面のことである。また、「支持板部の下方」とは、支持板部の鉛直方向下側のことである。
【0028】
以下、一例として、本実施形態に係る断熱材支持具を横架材として代表的な大引に取付ける場合について説明する。本実施形態に係る断熱材支持具を根太、垂木、野縁等の大引以外の前述の横架材に取付ける場合も、同様に適用することができる。
【0029】
〔実施形態1〕
図1図4を参照して、本発明の実施形態1について説明する。図1は、実施形態1に係る断熱構造10の模式的な断面図である。図2は、実施形態1に係る第1断熱材支持具14の模式的な斜視図である。図3は、実施形態1に係る第1断熱材支持具14の模式的な正面図である。図4は、実施形態1に係る第1断熱材支持具14の中間品Pを示す模式図である。
【0030】
(断熱構造10の概要)
図1に示すように、実施形態1に係る断熱構造10は、床下に用いられる断熱構造である。断熱構造10は、横架材の一例としての大引12の両側面12sを挟持するように大引12に取付けられた複数の第1断熱材支持具14と、大引12の上面12uから片方の側面12sにかけて取付けられた複数の第2断熱材支持具16と、を備えている。断熱構造10は、対向する第1断熱材支持具14同士に支持された矩形板状の断熱材18と、対向する第1断熱材支持具14と第2断熱材支持具16に支持された矩形板状の断熱材18と、を備えている。複数の断熱材18の上側には、床下地材、フローリング等の床材20が敷設されている。
【0031】
続いて、断熱構造10における第1断熱材支持具14及び第2断熱材支持具16について説明する。
【0032】
(第1断熱材支持具14の概要)
図1図3に示すように、第1断熱材支持具14は、大引12間に配置された断熱材18を支持する支持具であり、大引12の両側に断熱材18を配置する場合に好適に用いられる。第1断熱材支持具14は、大引12の上面12uに係止される上板部22と、上板部22の長さ方向の両側端部からそれぞれ下方向に折り曲げられた脚板部24と、各脚板部24の下端部から水平方向(横方向)に折り曲げられかつ断熱材18の下面18dを下方向から支持する支持板部26と、を備えている。つまり、第1断熱材支持具14は、1つの上板部22と、2つの脚板部24と、2つの支持板部26と、備えている。2つの支持板部26は、互いに反対方向に延びており、第1断熱材支持具14は、オメガ(Ω)状に形成されている。
【0033】
(中間品P)
図2図4に示すように、第1断熱材支持具14は、板金(金属板)からなる中間品Pを曲げ加工することによって製作(形成)される。中間品Pの形状は、第1断熱材支持具14の展開形状である。中間品Pは、板金に対して打ち抜き加工又はレーザ切断加工を行うことによって形成される。中間品Pは、上板部22に相当する部分Paと、2つの脚板部24に相当する部分Pbと、2つの支持板部26に相当する部分Pcと、を有している。脚板部24に相当する部分Pbは、中間品Pを折り曲げ線L1に沿って曲げ加工することによって脚板部24に成形される。支持板部26に相当する部分は、中間品Pを折り曲げ線L2に沿って曲げ加工することによって支持板部26に成形される。
【0034】
実施形態1において、中間品Pの厚み寸法、換言すれば、第1断熱材支持具14の厚み寸法は、特に限定するものではないが、好ましくは0.1mm以上2.0mm以下、より好ましくは0.2mm以上0.8mm以下、更に好ましくは0.25mm以上0.4mm以下である。中間品Pの厚み寸法が前記の数値範囲内であることにより、断熱構造10に占める第1断熱材支持具14の体積の割合が小さくなり、断熱構造10に対して断熱欠損を発生させるおそれを低減して、より優れた断熱構造10を実現することができる。
【0035】
上板部22に相当する部分Paの幅寸法及び脚板部24に相当する部分Pbの幅寸法は、それぞれ、例えば15mmであり、支持板部26に相当する部分Pc及び後述する補強部28に相当する部分Pdの幅寸法の合計は、例えば18mmである。つまり、第1断熱材支持具14を構成する中間品Pは、ダンベル形状になっている。
【0036】
(上板部22)
図1図3に示すように、上板部22は、前述のように、大引12の上面12uに係止されるものであり、大引12の上面12uに沿って延びている。ここで、「係止」とは、上板部22が大引12の上面12uに留まり、かつ、支持板部26上に断熱材18を載置したときに上板部22が大引12から脱落しない状態を意味する。係止には、上板部22が大引12の上面12uに留まる状態だけでなく、上板部22が大引12に嵌合して固定された状態、釘、爪、接着剤等を用いて、上板部22が大引12に強固に固定された状態をも包含する。
【0037】
上板部22の長さ寸法は、大引12の幅寸法と略等しく、好ましくは大引12の幅寸法に対して+0mm~+2mmの範囲内であり、より好ましくは大引12の幅寸法に対して+0mm~+1mmの範囲内である。上板部22の幅寸法は、上板部22に相当する部分Pa(図4参照)の幅寸法と同じであり、例えば15mmである。
【0038】
(脚板部24)
図1図3に示すように、脚板部24は、前述のように、上板部22の長さ方向の側端部から下方向に折り曲げられており、大引12の側面12sと断熱材18の側面18sとの間に介在している。脚板部24は、大引12の側面12sに固定されてもよい。大引12間に断熱材18を配置する前において、脚板部24は、大引12の側面12sに非接触であってもよい。
【0039】
上板部22と脚板部24とのなす角θ1は、脚板部24に生じる復元力等に応じて適宜設定される。上板部22と脚板部24とのなす角θ1は、例えば、80°以上100°以下であり、好ましくは90°以上95°以下である。
【0040】
上板部22と脚板部24とのなす角θ1が90°を超える鈍角の場合には、脚板部24は、下方向に向かって大引12の側面12sから離反するように大引12の側面12sに対して傾斜して延びる。すると、大引12間に断熱材18を配置することによって脚板部24に大引12の側面12sへ向かう方向の力が掛かったとき、脚板部24には、大引12の側面12sから離れる方向に復元力が生じ、脚板部24は、板バネとしての機能を発現する。これにより、対向する脚板部24により断熱材18を挟持することができ、断熱材18の幅寸法が隣り合う大引12の間隔寸法よりやや小さい場合においても、断熱材18の中心部が大引12間の中心部に位置するように断熱材18を位置決めすることができる。換言すれば、対向する脚板部24により断熱材18を位置ずれしないように保持することができる。
【0041】
脚板部24の幅寸法は、脚板部24に相当する部分Pa(図4参照)の幅寸法と同じであり、例えば15mmである。また、脚板部24の長さ寸法は、大引12の厚み寸法よりも小さくなっている。しかし、断熱材18の厚み寸法を大きくする観点では、脚板部24の長さ寸法は、大引12の厚み寸法と略同じであるか、又は大引12の厚み寸法よりも大きくしてもよい。
【0042】
(支持板部26、補強部28)
図1図3に示すように、各支持板部26は、前述のように、各脚板部24の下端部から水平方向(横方向)に折り曲げられており、各支持板部26は、断熱材18の下面18dを支持する。各支持板部26は、断熱材18の下面18dに沿って延びており、2つの支持板部26は、前述のように、互いに反対方向に延びている。
【0043】
断熱構造10において、支持板部26は、大引12の下面12dよりも上側に位置している。しかし、断熱構造10において、支持板部26は、断熱材18を略水平方向に支持するよう大引12の下面12dよりも下側に位置することが好ましい。この場合には、断熱構造10の断熱性能を向上させつつ、断熱材18を大引12間に安定して配置することができる。
【0044】
大引12間に断熱材18を配置する前において、脚板部24と支持板部26とのなす角θ2は、75°以上90°以下であることが好ましい。また、支持板部26の長さ寸法は、適宜設定可能であるが、第1断熱材支持具14(中間品P)に用いる板金の使用量、断熱材18の重量等を考慮して、10mm以上100mm以下が好ましい。支持板部26の長さ寸法が前記の数値範囲内であることにより、断熱材18を安定的に支持できると共に、第1断熱材支持具14の材料コストを低減することができる。
【0045】
図2図4に示すように、各支持板部26の幅方向の両側には、各支持板部26を補強する補強部28・28が断熱材を載置する側にそれぞれ折り曲げて形成されている。各支持板部26の2つの補強部28・28は、各支持板部26の幅方向の両側からの曲げ加工によって成形される。換言すると、補強部28は、上記曲げ加工によって成形された突起状を呈する曲げ片であり、当該曲げ片は、支持板部26に対して上方に曲げられている。第1断熱材支持具14は、4つの補強部28を備えている。中間品Pは、4つの補強部28に相当する部分Pdを有している。補強部28に相当する部分Pdは、中間品Pを折り曲げ線L3に沿って曲げ加工することによって補強部28に成形される。
【0046】
図2及び図3に示すように、各補強部28・28は、脚板部24と支持板部26との境界部から支持板部26の先端部側に向かって延びている。特に、各補強部28・28は、脚板部24と支持板部26との境界部から支持板部26の先端部にかけて連続して形成されている。図4に示すように、中間品Pにおいては、折り曲げ線L3は、折り曲げ線L2と交差している。それゆえ、折り曲げ線L2およびL3に沿った曲げ加工によって、補強部28は、脚板部24と支持板部26との境界部から支持板部26の先端部側に向かって延びるように成形される。さらに、当該曲げ加工により、補強部28は、折り曲げ線L2に対して、脚板部24側と支持板部26側との両方に成形される。それゆえ、上記境界部には、折り曲げ線L2だけでなく、脚板部24および支持板部26における折り曲げ線L2の近傍部分も含まれる。また、各補強部28・28は、上記境界部に、脚板部24の幅方向の内側に傾斜した傾斜片28f・28fを有している。脚板部24の幅方向の内側とは、脚板部24の幅方向の中心に向かう側のことである。脚板部24における上記境界部以外の部分には、補強部28が設けられていない。
【0047】
断熱構造10において、各補強部28・28は、断熱材18に食い込み、支持板部26で断熱材18を保持することになる。各補強部28・28は、支持板部26の一部であり、支持板部26における補強部28を除く部位と補強部28とのなす角は、略直角である。
【0048】
支持板部26の幅寸法は、脚板部24の幅寸法の40%以上100%未満であることが好ましく、50%以上85%以下であることがより好ましい。支持板部26の幅寸法を脚板部24の幅寸法の40%以上にしたのは、支持板部26の幅寸法が脚板部24の幅寸法の40%未満であると、支持板部26が幅狭になりすぎて、断熱材18の荷重を支える支持板部26の受け面積が不十分となるからである。また、支持板部26の幅寸法が脚板部24の幅寸法の40%未満であると、軟質(柔軟)な断熱材18を大引12間に配置した場合に、断熱材18への補強部28の食い込みによって、断熱材18が欠損する傾向にあるからである。支持板部26の幅寸法を脚板部24の幅寸法の100%未満にしたのは、支持板部26の幅寸法が脚板部24の幅寸法の100%超えると、補強部28を有した支持板部26の成形に必要となる板金の使用量が増加し、第1断熱材支持具14の製造コストが増加する傾向にあるからである。
【0049】
補強部28の高さ寸法は、支持板部26の幅寸法の7%以上50%以下であることが好ましく、10%以上40%以下であることがより好ましい。補強部28の高さ寸法を支持板部26の幅寸法の7%以上にしたのは、補強部28の高さ寸法が支持板部26の幅寸法の7%未満であると、補強部28による支持板部26の補強効果を十分に発現することが困難になるからである。補強部28の高さ寸法を支持板部26の幅寸法の50%以下としたのは、補強部28の高さ寸法が支持板部26の幅寸法の50%を超えると、補強部28を有した支持板部26の成形に必要となる板金の使用量が増加し、第1断熱材支持具14の製造コストが増加するだけでなく、断熱材18への補強部28の食い込みによって、断熱材18が欠損する傾向にあるからである。
【0050】
支持板部26の幅寸法は、支持板部26に相当する部分Pc(図4参照)の幅寸法よりも小さく、例えば10mm(脚板部24の幅寸法の67%)である。補強部28の高さ寸法は、例えば4mm(支持板部26の幅寸法の40%)である。
【0051】
(分断部22j)
図2及び図3に示すように、上板部22は、長さ方向の中央部に、折り曲げによって切断可能(分断可能)なV溝状に分断部22jを有しており、分断部22jは、上板部22の幅方向に沿って横断している。上板部22は、分断部22jを切断することによって分割可能になっている。分断部22jは、折り曲げによって切断可能であれば、V溝状に形成しなくてもよい。
【0052】
(第2断熱材支持具16の概要)
図1及び図2に示すように、第2断熱材支持具16は、大引12間に配置された断熱材18を支持する支持具であり、大引12の片側のみに断熱材18を配置する場合に好適に用いられる。第2断熱材支持具16は、第1断熱材支持具14における上板部22の分断部22jを切断して分割することによって形成される。換言すれば、第1断熱材支持具14は、分断部22jを介して連結した2つの第2断熱材支持具16からなる。
【0053】
第2断熱材支持具16は、大引12の上面12uに係止される上板部22と、上板部22の長さ方向の側端部から下方向に折り曲げられた脚板部24と、脚板部24の下端部から水平方向(横方向)に折り曲げられかつ断熱材18の下面18dを下方向から支持する支持板部26と、を備えている。つまり、第2断熱材支持具16は、1つの上板部22と、1つの脚板部24と、1つの支持板部26と、備えている。上板部22と支持板部26は、脚板部24に対して互いに反対方向に延びており、第2断熱材支持具16は、略Z状に形成されている。第2断熱材支持具16における上板部22の長さ寸法は、第1断熱材支持具14における上板部22の長さ寸法の半分になっている。
【0054】
(断熱材18)
図1に示すように、断熱材18は、例えば、合成樹脂発泡体、ガラス繊維、又は合成繊維等からなる。軽量で剛性が大きく、耐水性、耐圧性、断熱性能が高く、加工により厚みが容易に変更可能である点で、断熱材18の構成材料としては合成樹脂発泡体が好ましい。断熱材18を構成材料する合成樹脂発泡体としては、例えば、ポリスチレン系樹脂発泡体、ポリエチレン系樹脂発泡体、ポリプロピレン系樹脂発泡体、ポリウレタン系樹脂発泡体、フェノール系樹脂発泡体等の独立気泡を有する合成樹脂発泡体が挙げられる。
【0055】
これらの合成樹脂発泡体の中でも、高い断熱性及び低い吸水性の点から、特に、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、又はポリプロピレン系樹脂からなるポリオレフィン系樹脂押出発泡成形体、並びにポリスチレン系樹脂発泡粒子成形体がより好ましい。これらのより好ましい形態では、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、又はポリプロピレン系樹脂は、リサイクル性が高い。
【0056】
断熱材18の形状は、前述のように、矩形板状である。ここで、「矩形板状」とは、厳密に矩形状に限るものでなく、角部に丸みがある形状、及び角部が面取りされた形状を含む意味である。断熱材18の形状は、矩形板状に限るものでなく、板状であればいずれの形状であってもよい。また、断熱材18の表面に凹凸が形成されてもよい。
【0057】
断熱材18の寸法は、特に限定するものではないが、断熱材18の厚み寸法は、例えば15mm以上300mm以下である。断熱材18の長さ寸法は、例えば600mm以上4000mm以下であり、断熱材18の幅寸法は、例えば200mm以上2000mm以下である。
【0058】
(作用効果)
続いて、本発明の実施形態1の作用効果について説明する。
【0059】
第1断熱材支持具14及び第2断熱材支持具16において、前述のように、支持板部26の幅方向の両側に突起状を呈する曲げ片である補強部28がそれぞれ形成されている。各補強部28・28は、脚板部24と支持板部26との境界部から支持板部26の先端部側に向かって延びている。そのため、補強部28によって支持板部26を十分に補強して、支持板部26の強度を高めることができ、断熱材18に荷重がかかっても、支持板部26の垂れ下がりを抑えて、断熱材18の荷重を安定的に受け止めることができる。特に、各補強部28・28が脚板部24と支持板部26との境界部から支持板部26の先端部にかけて連続して形成されているため、支持板部26の強度をより高めて、断熱材18の荷重をより安定的に受け止めることができる。各補強部28・28が上記境界部に脚板部24の幅方向の内側に傾斜した傾斜片28f・28fを有しているため、支持板部26の強度を更に高めて、断熱材18の荷重を更に安定的に受け止めることができる。これにより、本発明の実施形態1によれば、大引12間に配置された断熱材18を目標の高さ位置に位置させることができ、大引12と断熱材18との段差が生じなくなる。
【0060】
第1断熱材支持具14において、前述のように、各補強部28・28は、支持板部26の幅方向の両側を折り曲げて形成されている。溶接等の曲げ加工以外の加工を行うことなく、中間品Pに対して曲げ加工を行うことによって各補強部28・28を形成することができる。これにより、本発明の実施形態1によれば、第1断熱材支持具14の加工工数の増加を抑えて、第1断熱材支持具14の製造性(生産性)を高めることができる。
【0061】
第1断熱材支持具14において、前述のように、上板部22は、分断部22jを切断することによって分割可能になっている。そのため、第2断熱材支持具16は、第1断熱材支持具14における上板部22の分断部22jを切断して分割することによって形成される。これにより、本発明の実施形態1によれば、第1断熱材支持具14から2つの第2断熱材支持具16を容易に取り出すことができ、第2断熱材支持具16の製造性(生産性)を高めることができる。
【0062】
従って、本発明の実施形態1によれば、第1断熱材支持具14の製造性及び第2断熱材支持具16の製造性を高めつつ、大引12間に配置された断熱材18を目標の高さ位置に位置させることができ、大引12と断熱材18との段差が生じなくなる。
【0063】
〔実施形態2〕
図5及び図6を参照して、本発明の実施形態2について説明する。図5は、実施形態2に係る第1断熱材支持具の模式的な斜視図である。図6は、実施形態2に係る第1断熱材支持具の中間品を示す模式図である。
【0064】
(第1断熱材支持具14A)
図5及び図6に示すように、実施形態2に係る第1断熱材支持具14Aは、大引12間に配置された断熱材18を支持する支持具である。実施形態2に係る第1断熱材支持具14Aは、一部を除き、実施形態1に係る第1断熱材支持具14と同様の構成を有している。実施形態1に係る断熱構造10(図1参照)に、第1断熱材支持具14(図1参照)に代えて、第1断熱材支持具14Aを用いてもよい。そして、第1断熱材支持具14Aの構成のうち、第1断熱材支持具14の構成と異なる点について説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0065】
第1断熱材支持具14Aを成形する前の中間品Pは、幅寸法が均一な帯形状である。上板部22に相当する部分Paの幅寸法、脚板部24に相当する部分Pbの幅寸法、及び支持板部26に相当する部分Pcと補強部28に相当する部分Pdの幅寸法の合計は、それぞれ、例えば15mmである。
【0066】
上板部22の幅寸法及び脚板部24の幅寸法は、それぞれ、例えば15mmである。支持板部26の幅寸法は、支持板部26に相当する部分Pc(図4参照)の幅寸法よりも小さく、例えば11mm(脚板部24の幅寸法の73%)である。補強部28の高さ寸法は、例えば2mm(支持板部26の幅寸法の18%)である。
【0067】
(第2断熱材支持具16Aの概要)
図5及び図6に示すように、第2断熱材支持具16Aは、大引12間に配置された断熱材18を支持する支持具であり、大引12の片側のみに断熱材18を配置する場合に好適に用いられる。実施形態1に係る断熱構造10(図1参照)に、第2断熱材支持具16(図1参照)に代えて、第2断熱材支持具16Aを用いてもよい。第2断熱材支持具16Aは、第1断熱材支持具14Aにおける上板部22の分断部22jを切断して分割することによって形成される。換言すれば、第1断熱材支持具14Aは、分断部22jを介して連結した2つの第2断熱材支持具16Aからなる。
【0068】
(作用効果)
続いて、本発明の実施形態2の作用効果について説明する。
【0069】
第1断熱材支持具14A及び第2断熱材支持具16Aがそれぞれ第1断熱材支持具14及び第2断熱材支持具16と同様の構成を有しているため、本発明の実施形態2においても、本発明の実施形態1と同様の作用効果を奏する。つまり、本発明の実施形態2によれば、第1断熱材支持具14Aの製造性及び第2断熱材支持具16Aの製造性を高めつつ、大引12間に配置された断熱材18を目標の高さ位置に位置させることができ、大引12と断熱材18との段差が生じなくなる。
【0070】
〔実施形態3〕
図7及び図8を参照して、本発明の実施形態3について説明する。図7は、実施形態3に係る第1断熱材支持具の模式的な斜視図である。図8は、実施形態3に係る第1断熱材支持具の模式的な正面図である。
【0071】
(第1断熱材支持具14B)
図7及び図8に示すように、実施形態3に係る第1断熱材支持具14Bは、大引12間に配置された断熱材18を支持する支持具である。実施形態3に係る第1断熱材支持具14Bは、一部を除き、実施形態3に係る第1断熱材支持具14と同様の構成を有している。実施形態1に係る断熱構造10(図1参照)に、第1断熱材支持具14(図1参照)に代えて、第1断熱材支持具14Bを用いてもよい。そして、第1断熱材支持具14Bの構成のうち、第1断熱材支持具14の構成と異なる点について説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0072】
(尖がった部分28t)
図7及び図8に示すように、各支持板部26の2つの補強部28・28の縁部は、鋭角となる部分28tを複数有している。各支持板部26の縁部の鋭角となる複数の部分28tは、断熱材18の下面18dに食い込み可能である。各支持板部26の2つの補強部28・28の縁部のうち1つが鋭角となる部分28tを有してもよい。
【0073】
(第2断熱材支持具16Bの概要)
図7及び図8に示すように、第2断熱材支持具16Bは、大引12間に配置された断熱材18を支持する支持具であり、大引12の片側のみに断熱材18を配置する場合に好適に用いられる。実施形態1に係る断熱構造10(図1参照)に、第2断熱材支持具16(図1参照)に代えて、第2断熱材支持具16Bを用いてもよい。第2断熱材支持具16Bは、第1断熱材支持具14Aにおける上板部22の分断部22jを切断して分割することによって形成される。換言すれば、第1断熱材支持具14Bは、分断部22jを介して連結した2つの第2断熱材支持具16Bからなる。
【0074】
(作用効果)
続いて、本発明の実施形態3の作用効果について説明する。
【0075】
第1断熱材支持具14B及び第2断熱材支持具16Bがそれぞれ第1断熱材支持具14及び第2断熱材支持具16と同様の構成を有しているため、本発明の実施形態3においても、本発明の実施形態1と同様の作用効果を奏する。つまり、本発明の実施形態3によれば、第1断熱材支持具14Bの製造性及び第2断熱材支持具16Bの製造性を高めつつ、大引12間に配置された断熱材18を目標の高さ位置に位置させることができ、大引12と断熱材18との段差が生じなくなる。
【0076】
第1断熱材支持具14B及び第2断熱材支持具16Bにおいて、前述のように、各支持板部26の2つの補強部28・28は、少なくともいずれか一方に、複数の尖がった部分28tを有している。そのため、大引12間に断熱材18を配置する際に、各補強部28・28の複数の尖がった部分28tを断熱材18の下面18dに確実に食い込ませることができる。これにより、本発明の実施形態3によれば、第1断熱材支持具14B及び第2断熱材支持具16Bによる断熱材18の固定力が向上し、断熱材18が位置ずれし難くなり、断熱構造10の施工性を高めることができる。なお、尖がった部分28tは、その機能上、2つの補強部28・28の両方に設けられることが好ましい。
【0077】
〔実施形態4〕
図9及び図10を参照して、本発明の実施形態4について説明する。図9は、実施形態4に係る第1断熱材支持具の模式的な斜視図である。図10は、実施形態4に係る第1断熱材支持具の模式的な正面図である。
【0078】
(第1断熱材支持具14C)
図9及び図10に示すように、実施形態4に係る第1断熱材支持具14Cは、大引12間に配置された断熱材18を支持する支持具である。実施形態4に係る第1断熱材支持具14Cは、一部を除き、実施形態1に係る第1断熱材支持具14と同様の構成を有している。実施形態1に係る断熱構造10(図1参照)に、第1断熱材支持具14(図1参照)に代えて、第1断熱材支持具14Cを用いてもよい。そして、係る第1断熱材支持具14Cの構成のうち、第1断熱材支持具14の構成と異なる点について説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0079】
(第2断熱材支持具16Cの概要)
図9及び図10に示すように、第2断熱材支持具16Cは、大引12間に配置された断熱材18を支持する支持具であり、大引12の片側のみに断熱材18を配置する場合に好適に用いられる。実施形態1に係る断熱構造10(図1参照)に、第2断熱材支持具16(図1参照)に代えて、第2断熱材支持具16Cを用いてもよい。第2断熱材支持具16Cは、第1断熱材支持具14Cにおける上板部22の分断部22jを切断して分割することによって形成される。換言すれば、第1断熱材支持具14Cは、分断部22jを介して連結した2つの第2断熱材支持具16Cからなる。
【0080】
(第1突き刺し片20f)
図9及び図10に示すように、上板部22には、複数の第1切込み22sが上板部22の長さ方向に間隔を置いて形成されており、各第1切込み22sは、例えばV字状に形成されている。上板部22における各第1切込み22sの内側部分を立て起こす(曲げ起こす)ことによって、三角板状の第1突き刺し片22fが形成される。換言すれば、上板部22には、複数の第1切込み22sによって複数の第1突き刺し片22fが形成されている。各第1突き刺し片22fは、大引12の上面12u(図1参照)に突き刺し可能であり、各第1突き刺し片22の先端は、尖鋭部になっている。なお、図9は、上板部22における各第1切込み22sの内側部分を立て起こす前の状態を示している。
【0081】
(作用効果)
続いて、本発明の実施形態4の作用効果について説明する。
【0082】
第1断熱材支持具14C及び第2断熱材支持具16Cがそれぞれ第1断熱材支持具14及び第2断熱材支持具16と同様の構成を有しているため、本発明の実施形態4においても、本発明の実施形態1と同様の作用効果を奏する。つまり、本発明の実施形態4によれば、第1断熱材支持具14Cの製造性及び第2断熱材支持具16Cの製造性を高めつつ、大引12間に配置された断熱材18を目標の高さ位置に位置させることができ、大引12と断熱材18との段差が生じなくなる。
【0083】
第1断熱材支持具14C及び第2断熱材支持具16Cにおいて、前述のように、上板部22には、複数の第1切込み22sによって複数の第1突き刺し片22fが形成されている。そのため、大引12に第1断熱材支持具14C又は第2断熱材支持具16Cを取付ける際に、大引12の上面12uに対して複数の第1突き刺し片22fを突き刺すことによって、大引12に第1断熱材支持具14C又は第2断熱材支持具16Cを強固に固定することができる。特に、大引12の幅方向(大引12の断面の幅方向)に沿って湾曲している場合おいても、大引12に第1断熱材支持具14C又は第2断熱材支持具16Cを強固に固定することができる。これにより、本発明の実施形態4によれば、第1断熱材支持具14C及び第2断熱材支持具16Cが大引12から脱落し難くなり、断熱構造10の施工性を高めることができる。
【0084】
〔実施形態5〕
図11及び図12を参照して、本発明の実施形態5について説明する。図11は、実施形態5に係る第1断熱材支持具の模式的な斜視図である。図12は、実施形態5に係る第1断熱材支持具の模式的な正面図である。
【0085】
(第1断熱材支持具14D)
図11及び図12に示すように、実施形態5に係る第1断熱材支持具14Dは、大引12間に配置された断熱材18を支持する支持具である。実施形態5に係る第1断熱材支持具14Dは、一部を除き、実施形態1に係る第1断熱材支持具14と同様の構成を有している。実施形態1に係る断熱構造10(図1参照)に、第1断熱材支持具14(図1参照)に代えて、第1断熱材支持具14Dを用いてもよい。そして、係る第1断熱材支持具14Dの構成のうち、第1断熱材支持具14の構成と異なる点について説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0086】
(第2断熱材支持具16Dの概要)
図11及び図12に示すように、第2断熱材支持具16Dは、大引12間に配置された断熱材18を支持する支持具であり、大引12の片側のみに断熱材18を配置する場合に好適に用いられる。実施形態1に係る断熱構造10(図1参照)に、第2断熱材支持具16(図1参照)に代えて、第2断熱材支持具16Dを用いてもよい。第2断熱材支持具16Dは、第1断熱材支持具14Dにおける上板部22の分断部22jを切断して分割することによって形成される。換言すれば、第1断熱材支持具14Dは、分断部22jを介して連結した2つの第2断熱材支持具16Dからなる。
【0087】
(第2突き刺し片24f)
図11及び図12に示すように、各脚板部24には、複数の第2切込み24sが各脚板部24の長さ方向に間隔を置いて形成されており、各第2切込み24sは、例えばV字状に形成されている。各脚板部24における各第2切込み24sの内側部分を立て起こす(曲げ起こす)ことによって、三角板状の第2突き刺し片24fが形成される。換言すれば、各脚板部24には、複数の第2切込み24sによって複数の第2突き刺し片24fが形成されている。各第2突き刺し片24fは、大引12の側面12s(図1参照)に突き刺し可能であり、各第2突き刺し片24fの先端は、尖鋭部になっている。なお、図11は、各脚板部24における各第2突き出し片24fの内側部分を立て起こす前の状態を示している。
【0088】
なお、脚板部24における各第2切込み24sの内側部分に立て起こして各第2突き刺し片24fを形成し、大引き12の側面12sに突き刺すことによって、断熱材支持具を安定的にかつ強固に固定するためには、断熱材支持具の形状として、大引12の片側のみに断熱材18を配置する場合に好適に用いられる第2断熱材支持具16Dの態様が好ましい。
【0089】
(作用効果)
続いて、本発明の実施形態5の作用効果について説明する。
【0090】
第1断熱材支持具14D及び第2断熱材支持具16Dがそれぞれ第1断熱材支持具14及び第2断熱材支持具16と同様の構成を有しているため、本発明の実施形態5においても、本発明の実施形態1と同様の作用効果を奏する。つまり、本発明の実施形態5によれば、第1断熱材支持具14Dの製造性及び第2断熱材支持具16Dの製造性を高めつつ、大引12間に配置された断熱材18を目標の高さ位置に位置させることができ、大引12と断熱材18との段差が生じなくなる。
【0091】
第1断熱材支持具14D及び第2断熱材支持具16Dにおいて、前述のように、各脚板部24には、複数の第2切込み24sによって複数の第2突き刺し片24fが形成されている。そのため、大引12に第1断熱材支持具14D又は第2断熱材支持具16Dを取付ける際に、大引12の側面12sに対して複数の第2突き刺し片24fを突き刺すことによって、大引12に第1断熱材支持具14D又は第2断熱材支持具16Dを強固に固定することができる。これにより、本発明の実施形態5によれば、第1断熱材支持具14D及び第2断熱材支持具16Dが大引12から脱落し難くなり、断熱構造10の施工性を高めることができる。
【0092】
〔他の実施形態〕
本発明の実施形態1から5においては、第1断熱材支持具14,14A,14B,14C,14D及び第2断熱材支持具16,16A,16B,16C,16Dは、板金からなる中間品Pを曲げ加工することによって製作されるが、合成樹脂からなる成形品の一部を曲げ加工することによって製作してもよい。
【0093】
〔付記事項〕
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0094】
10 断熱構造
12 大引(横架材)
12u 上面
12d 下面
12s 側面
14 第1断熱材支持具(実施形態1に係る第1断熱材支持具)
16 第2断熱材支持具(実施形態1に係る第2断熱材支持具)
18 断熱材
18d 下面
20 床材
22 上板部
22j 分断部
24 脚板部
26 支持板部
28 補強部
28f 傾斜片
P 中間品
Pa 上板部に相当する部分
Pb 脚板部に相当する部分
Pc 支持板部に相当する部分
14A 第1断熱材支持具(実施形態2に係る第1断熱材支持具)
16A 第2断熱材支持具(実施形態2に係る第2断熱材支持具)
14B 第1断熱材支持具(実施形態3に係る第1断熱材支持具)
16B 第2断熱材支持具(実施形態3に係る第2断熱材支持具)
28t 尖がった部分
14C 第1断熱材支持具(実施形態4に係る第1断熱材支持具)
16C 第2断熱材支持具(実施形態4に係る第2断熱材支持具)
22s 第1切込み
22f 第1突き刺し片
14D 第1断熱材支持具(実施形態5に係る第1断熱材支持具)
16D 第2断熱材支持具(実施形態5に係る第2断熱材支持具)
24s 第2切込み
24f 第2突き刺し片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12