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  • 特開-植生体 図1
  • 特開-植生体 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055094
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】植生体
(51)【国際特許分類】
   A01G 24/44 20180101AFI20240411BHJP
   A01G 24/50 20180101ALI20240411BHJP
【FI】
A01G24/44
A01G24/50
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161720
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】593029880
【氏名又は名称】ロンタイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】皆川 司
(72)【発明者】
【氏名】立花 章裕
【テーマコード(参考)】
2B022
【Fターム(参考)】
2B022BB03
2B022BB05
(57)【要約】
【課題】全長にわたって一つの収容室が形成され、その収容室に肥料等の植生材料(例えば、土壌改良材、保水材、種子)が収容される。
【解決手段】 植生体(1)は、第1の方向(x方向)に第1の長さ(L1)を有し、第1の方向(x方向)に直交する第2の方向(y方向)に第2の長さ(L2)を有する基材層(2)と、植生材料(7)を収容した長尺の複数の筒袋(3)であって、複数の筒袋(3)は、筒袋(3)の長軸方向(x’方向)を第1の方向(x方向)に向けるとともに筒袋(3)の短軸方向(y’方向)を第2の方向(y方向)に向け、第2の方向(y方向)に所定の間隔をあけて整列された複数の筒袋(3)とを有する。筒袋(3)は、長軸方向(x’方向)に所定の間隔をあけて設けられた少なくとも3つの封止部(5)と、隣接する封止部(5)の間に配置されて封止部(5)によって分離された複数の植生材料収容部(4)とを備えた連包袋からなり、筒袋(3)が封止部(5)において基材層(2)に固定されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向(x方向)に第1の長さ(L1)を有し、前記第1の方向(x方向)に直交する第2の方向(y方向)に第2の長さ(L2)を有する基材層(2)と、
植生材料(7)を収容した長尺の複数の筒袋(3)であって、前記複数の筒袋(3)は、前記筒袋(3)の長軸方向(x’方向)を前記第1の方向(x方向)に向けるとともに前記筒袋(3)の短軸方向(y’方向)を前記第2の方向(y方向)に向け、前記第2の方向(y方向)に所定の間隔をあけて整列された複数の筒袋(3)と、を備えた植生体(1)において、
前記筒袋(3)は、前記長軸方向(x’方向)に所定の間隔をあけて設けられた少なくとも3つの封止部(5)と、隣接する前記封止部(5)の間に配置されて前記封止部(5)によって分離された複数の植生材料収容部(4)とを備えた連包袋からなり、
前記筒袋(3)が、前記封止部(5)において前記基材層(2)に固定されている、植生体(1)。
【請求項2】
前記封止部(5)は、前記長軸方向(x’方向)に短く且つ前記短軸方向(y’方向)に長い帯状の封着部を有する、請求項1に記載の植生体。
【請求項3】
前記筒袋(3)を構成する袋材料が前記封着部においてミシン縫い(8)されている、請求項2に記載の植生体。
【請求項4】
前記筒袋(3)を構成する袋材料が前記封着部において接着されている、請求項3に記載の植生体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は植生体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、植生材料(肥料等)を収容した長尺の筒状袋を備えた植生体が開示されている。この植生体において、筒状袋を担持する基材は、全体が又は部分的に二重のネットで構成されている。二重ネット又は二重ネット部分は、筒状袋を収容保持する収容部(袋状部)が形成され、その収容部に筒状袋が差し込まれる。
【0003】
さらに具体的に説明すると、特許文献1の図1に示されているように、ネットはその全体が長方形を有し、収容部は長辺方向に一定の間隔をあけて、また短辺方向の全長にわたって形成されており、その収容部に筒状袋が挿入される。一方、筒状袋は、ネットの短辺方向の長さとほぼ同じ長さを有し、全長にわたって一つの植生材料収容室が形成され、その植生材料収容室に植生材料が収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-92253号公報
【0005】
上述の形態の植生体は、植生地盤に植生体を敷くだけで、均一な植生等が期待できるという利点がある一方で、幾つかの問題点を有する。
【0006】
第1の問題点は、充填される植生材料の不均一性(偏り)である。
一般的に、長尺の筒状袋は、いわゆる縦型ピロー包装機を用いて製造される。縦型ピロー包装機は、上方から下方に向かって送られる包装フィルムを筒状に成形しつつ内容物を落下充填する包装機である。そのため、種子、肥料、土壌改良材の比重の違いによって、筒状袋の中でそれら植生材料の分布に偏りが発生しやすい傾向があり(例えば、ある部分には種子の割合が多く存在し、別のある部分には土壌改良材の割合が多く存在するという状態を生じる傾向があり)、結果、そのような偏りのある筒状袋を備えた植生体を土壌に敷設すると、植物の生育に偏りを生じることになる。
【0007】
第2の問題点は、植生材料袋が柔軟性に欠ける点である。
筒状袋に出来るだけ多くの植生材料を充填したり、筒状袋の破損を防止するために袋に破れ難い材料を使用すると、筒状袋の柔軟性(変形容易性)が低下する。そのため、凹凸のある地盤に植生体を敷いた場合、筒状袋は地盤の高い部分のみに密着し(地盤の低い部分には密着せず)、そのために植生体による地盤浸食防止効果や緑化効果の低下が懸念される。
【0008】
このように、特許文献1に開示されているように、筒状袋が一つの袋、すなわち、筒状袋が一つの植生材料収容室のみを有する植生体では、上述の問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、上述の問題を解消する新たな構成の植生体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために、本発明の一つの実施形態は、
第1の方向(x方向)に第1の長さ(L1)を有し、前記第1の方向(x方向)に直交する第2の方向(y方向)に第2の長さ(L2)を有する基材層(2)と、
植生材料(7)を収容した長尺の複数の筒袋(3)であって、前記複数の筒袋(3)は、前記筒袋(3)の長軸方向(x’方向)を前記第1の方向(x方向)に向けるとともに前記筒袋(3)の短軸方向(y’方向)を前記第2の方向(y方向)に向け、前記第2の方向(y方向)に所定の間隔をあけて整列された複数の筒袋(3)と、を備えた植生体(1)において、
前記筒袋(3)は、前記長軸方向(x’方向)に所定の間隔をあけて設けられた少なくとも3つの封止部(5)と、隣接する前記封止部(5)の間に配置されて前記封止部(5)によって分離された複数の植生材料収容部(4)とを備えた連包袋からなり、
前記筒袋(3)が、前記封止部(5)において前記基材層(2)に固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上述の実施形態に係る植生体において、筒袋(3)は小さな植生材料収容部(4)を連ねた連包袋であるため、植生体の全体についてみると、植生体(1)に保持された植生材料の偏りが無い。また、封止部(5)の部分で容易に折れ曲がるため、植生体(1)はその全体が凹凸のある植生地盤に密着し、一様な植物の繁茂、浸食防止効果が期待できる。さらに、筒袋(3)は、封止部(5)において基材層(2)に例えばミシン縫い(8)によって固定できるため、植生材料を収容した袋部分の強度が維持され、そこから植生材料が漏れることはない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る植生体の断面図。
図2図1に示す植生体の分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態について以下に説明する。
【0014】
[概略構成]
図1、2は、本発明の一つの実施形態に係る植生体を示す。図示するように、本実施形態の植生体1は、基材層2と、基材層2の上に配置された植生筒袋3を有する。
【0015】
[基材層]
図2に示すように、基材層2は、第1の方向(図示するx方向)に第1の長さ(L1)を有し、第1の方向に直交する第2の方向(図示するy方向)に第2の長さ(L2)を有する。例えば、一つの実施形態では、第1の長さL1は約0.5m~約2m、第2の長さL2は約1m~約25mである。
【0016】
基材層2は、シート又はネット若しくはその他のシート状材料のいずれであってもよい。
【0017】
シートには、紙、布、又は不織布が使用される。布は、綿、羊毛、麻、パルプ、絹などの天然繊維、またはレーヨン、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、アクリル繊維、ビニロン、アラミド繊維等の化学繊維の織物又は編物を含む。不織布は、綿、羊毛、麻、パルプ、絹、鉱物繊維等の天然繊維、またはレーヨン、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、アクリル繊維、ビニロン、アラミド繊維等の化学繊維を一方向又はランダムに集積して、接着剤で結合させる、機械的に絡ませる、圧力をかけた水流で絡ませる、又は熱融着繊維で結合させて製造される。紙、布、又は不織布には、植物種子、肥料、土壌改良材等の植生材料を、接着剤等によって、又はそれらを構成する繊維に絡ませて担持させてもよい。
【0018】
シートは、単一材料(紙、布、不織布)の層である必要はなく、2枚又はそれ以上の複数の材料を重ねたものであってもよい。例えば、シートは、複数枚の紙、複数枚の布、複数枚の不織布、または紙と布、布と不織布、不織布と紙、紙と布と不織布を重ねて構成してもよい。この場合、複数の材料の間に、植物種子、肥料、土壌改良材等の植生材料を挟持することができる。植物種子、肥料及び土壌改良材は、任意の2種類以上の植生材料を同じ層に配置してもよいし、それぞれの植生材料を別々の層に配置してもよい。
【0019】
シートは、水解性(水に触れると絡み合った繊維が速やかに分解して水中に分散する性質)のシート、又は水溶性(水に触れると溶ける性質)のシート(例えば、水溶性PVAフィルム)のいずれであってもよいし、水解性の材料と水溶性の材料を混合した混合シート又は、水解性シートと水溶性シートを重ね合わせた複合シートであってもよい。
【0020】
ネットには、植物繊維、合成繊維、又は鉱物繊維を編成したものが好適に使用される。植物繊維には、例えば綿、ヤシ、ジュートの繊維が含まれる。合成繊維には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、レーヨンが含まれる。鉱物繊維には、例えば玄武岩繊維が含まれる。
【0021】
その他のシート状材料としては、わら菰、ヤシ繊維又は合成繊維を絡ませてなる吸出し防止材、ジュートクロスが含まれる。
【0022】
[植生筒袋]
図1に示すように、植生筒袋3は、複数の小袋を連ねた長尺の連包袋である。連包袋は、小袋4が連続する方向(長軸方向:x’方向)に、所定の間隔をあけて封止部5が形成され、これによって隣接する封止部5の間に小袋(植生材料収容部)4が形成されている。図示するように、封止部5は、長軸方向(x’方向)に短く、短軸方向(y’方向)に長い帯状の形をしている。
【0023】
植生筒袋3を構成するシート材料には、天然繊維又は合成繊維若しくはそれらを混合した繊維からなるシート(紙を含む。)、布、又は不織布が使用される。天然繊維の代表はパルプである。合成繊維には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、レーヨンが含まれる。不織布には、基材層2に用いられる不織布の材料と同じ材料(綿、羊毛、麻、パルプ、絹、鉱物繊維等の天然繊維、またはレーヨン、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、アクリル繊維、ビニロン、アラミド繊維等の化学繊維)が用いられる。
【0024】
小袋4の中の植生材料収容室6には、植生材料7が収容される。植生材料には、植物種子、肥料、保水材、土壌改良材が含まれる。これら植物種子等の種類は限定的ではなく、植生する植物の種類、土壌環境(酸性土壌、アルカリ土壌等)、植生地の環境(温度、湿度、降雨量等)に応じて、植生体が植物の発芽及び生育に適した環境を作り出すように設計される。
【0025】
連包袋の製造には、例えば縦型ピロー包装機又は横型ピロー包装機(いずれも図示せず)が使用される。縦型ピロー包装機の場合、植生筒袋3を構成するシート材料は、例えば熱可塑性樹脂を含む材料が使用され、該シート材料を巻回したロールから連続的に供給され、複数のガイドプレートに案内されながら垂直方向(長手方向)の両縁部を重ね合わせて筒状に加工された後、該重ね合わせた両縁部を加熱溶着(ヒートシール)しつつ、送り方向に一定の間隔をあけて水平方向(短手方向)に加熱溶着(ヒートシール)されて封着部(封止部)が形成され、隣接する封着部の間に小袋が形成される。植生材料は、送り方向に関して前方の封止部が形成された後で且つ後方の封止部が形成される前に、計量された一定量の植生材料が筒状部に充填される。植生材料の充填が完了すると、後方の封止部に相当する箇所が加熱溶着されて封着部が形成される。このような過程を繰り返すことによって、複数の小袋が連続的に形成され、所定数の小袋が形成された後、封止部において切断される。
【0026】
植生筒袋3の長軸方向(図1のx’方向)の大きさと短軸方向(図1のy’方向)の大きさは、植生地盤に施す植生材料の量に応じて適宜決定できる。また、植生筒袋3の長軸方向(図1のx’方向)の長さは、図1,2に示すように、植生筒袋3が組み付けられる基材層2の第1の方向の長さ(L1)にほぼ等しくすることが好ましい。
【0027】
図1,2に示す実施形態において、植生筒袋3は3つの小袋4によって構成されている。ただし、植生筒袋3を構成する小袋4の数は限定的ではなく、少なくとも2以上であればよい。小袋4の大きさ[長軸方向(x’方向)及びこれに直交する短軸方向(y’方向)の大きさ]、すなわち、植生材料収容室の容積は、植生する地盤に応じて決定できる。
【0028】
このようにして製造された植生筒袋3は、例えば、図2に示すように、基材層2の第1の方向(x方向)に植生筒袋3の長軸方向(x’方向)を揃えた状態で、基材層2の第2の方向(y方向)に所定の間隔(ピッチ)で、基材層2の上に整列される。図2に示す実施形態では、複数の植生筒袋3が第2の方向(y方向)に隙間なく配置されているが、隣接する植生筒袋3の間に隙間を開けて所定の間隔(ピッチ)で配置してもよい。
【0029】
図2に示すように、基材層2の上に整列された複数の植生筒袋3は、隣接する小袋4の間にある封止部5が、第2の方向(y方向)に連続して現れる。
【0030】
したがって、連続する封止部5を、第2の方向(y方向)に連続的にミシン縫い8又はミシン掛けすることによって、植生筒袋3を基材層2に固定できる。このように、植生材料収容室6を囲む材料部分にミシン針が通ることはないので、小袋4に孔をあけることがない。これにより、植生体1の製造時は勿論、製造された植生体1を運搬する際に衝撃を受けても、植生体1から植生材料7が漏れ出ることがない。これにより、作業環境を清潔に保つことができる。また、植生体から漏れ出る植生材料が、ミシン掛けする際に植生体を受けるミシンテーブルの下に配置されているボビンに入り、ミシン糸の供給に障害(例えば、生産停止)を発生させるという問題もない。これにより、ミシンの稼働効率が良くなり、生産効率も改善される。
【0031】
植生筒袋3を基材層2にミシン縫い8又はミシン掛けする装置としては、特許第6796872号、特許第6886151号に提案された製造装置が好適に利用できる。
【0032】
また、植生体1は、封止部5が第2の方向に連続しているので、製造された植生体1を封止部5に沿って折り畳むことができる。したがって、第2の方向に長い植生体1の場合、これを封止部5に沿って折り畳むことによって、運搬等が容易に行える。
【0033】
さらに、封止部5は、熱融着によって二重構造となっているため、最も強度の高い部分である。これに対し、植生筒袋における袋部分(植生材料を収容している箇所)は、封止部に比べて薄く、強度の弱い部分である。そのため、袋部分にミシンを掛けると、ミシン針が通った部分から袋材料が破れ、結果として、小袋から植生材料が流出するという問題があるが、実施形態の植生体では、ミシン針が通る箇所は袋部分に比べて強度の高い封止部であるため、ミシン掛けした箇所から植生筒袋が脱落するという問題もない。
【0034】
[植生体の施工]
上述のようにして製造された植生体1を法面に施工する場合、植生体1の第2の方向(y方向)を傾斜方向に向けた状態で法面上に敷かれ、植生筒袋3の封止部5に固定具を差し込んで地盤に固定される。
【0035】
上述のように、植生体1では、封止部5が第2の方向に連続している。そのため、連続する封止部5の箇所で、植生体1は比較的容易に折れ曲がる。これにより、法面に凹凸があっても、地盤の高い箇所は勿論、窪みのある低い箇所にも植生体が密着し、結果として、降雨時に法面に沿って流れる水流によって窪みのある場所がさらに浸食されて大きな溝が法面に出来ることはない。したがって、法面の浸食が防止又は軽減され、植物の一様な繁茂状態を得ることができる。
【0036】
また、図2に示すように、植生筒袋3は、第1の方向(x方向、x’方向)の長さが短い複数の小袋4を連ねた連包体であるため、個々の小袋4の中で植生材料の偏りがあっても、第1の方向の全体についてみると、植生材料の偏りは無く、仮に偏りがあってもその程度は小さい。そのため、植生地盤の全体に亘って一様な植物の繁茂が期待できる。
【0037】
さらに、従来の植生筒袋付き植生体では、帯状ネットに該帯状ネットの長手方向に一定の間隔をあけて筒袋収容部(ポケット)を形成し、その筒袋収容部に植生筒袋を挿入する構成を採用していたが、この場合、ネットの長手方向に関する筒袋の配置間隔が筒袋収容部の間隔によって制限されてしまうという問題があるのに対して、本願実施形態の植生体1によれば、製品ごとに、植生筒袋3の間隔を植生体1の製造時に自由に調整できるため、植生地盤の状況に応じて最適の間隔に植生筒袋3を配置した植生体を提供できるという利点がある。
【0038】
[他の形態]
上述の実施形態では、植生体1を2つの層(基材層2と植生筒袋3の層)で構成したが、基材層2の下に又は植生筒袋3の上に、植生材料(例えば、種子、肥料、土壌改良材等)を含む層、不織布、吸出し防止材又はジュートクロス等を配置してもよい。これらの層は、基材層と植生筒袋を一体化する際に、同時に一体化(例えば、ミシン掛け)してもよいし、基材層と植生筒袋を一体化した後に、接着剤又はミシン掛けによって一体化してもよい。
【0039】
上述の実施形態では、それぞれの小袋4に複数の植生材料を混合して収容したが、複数の小袋に異なる種類の材料を収容してもよい。例えば、図1,2に示す3つの小袋4を備えた筒袋3の場合、中央の小袋に木本種子を収容し、両側の小袋に草本種子を収容してもよいし、また、中央の小袋に草本種子を収容し、両側の小袋に木本種子を収容してもよいし、3つの小袋にそれぞれ異なる種類の種子を収容してもよい。
【0040】
植生筒袋3の上には被覆材を配置してもよい。被覆材は、植生筒袋と一緒に一体化(例えば、ミシン掛け)してもよいし、基材層と植生筒袋を一体化した後に、接着剤又はミシン掛けによって一体化してもよい。被覆材には植生用ネットも含まれる。植生用ネットは、樹脂、木綿、ヤシ、ジュート、玄武岩繊維からなるネットのいずれであってもよい。その他、被覆材には、金網のネットも含まれる。
【符号の説明】
【0041】
1:植生体
2:基材層
3:植生筒袋
4:小袋
5:封止部
6:植生材料収容室
7:植生材料
8:ミシン縫い
図1
図2