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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055096
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】配線モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/591 20210101AFI20240411BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20240411BHJP
   H01M 50/298 20210101ALI20240411BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20240411BHJP
   H01M 50/557 20210101ALI20240411BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20240411BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240411BHJP
   H01M 50/569 20210101ALI20240411BHJP
   H01M 50/50 20210101ALI20240411BHJP
【FI】
H01M50/591
H01M50/211
H01M50/298
H01M50/548 301
H01M50/557
H01M50/588 101
H01M50/204 401D
H01M50/569
H01M50/50 201Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161726
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高田 孝太郎
(72)【発明者】
【氏名】中山 治
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 克司
(72)【発明者】
【氏名】辻 大輝
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA03
5H040AS07
5H040AT04
5H040AT06
5H040AY06
5H040DD03
5H040DD13
5H040FF02
5H040NN03
5H043AA13
5H043AA19
5H043AA20
5H043CA05
5H043CA08
5H043FA02
5H043GA23
5H043GA25
5H043JA13D
(57)【要約】      (修正有)
【課題】第1電線の配索作業が容易である配線モジュールの提供。
【解決手段】電極端子を備える複数の蓄電素子を積層した電池積層体の配線モジュールで、1つ以上の第1電線、第1電線を収容する収容部を備えるプロテクタを備え、収容部は底部、底部の一方の側縁から配索方向と直交する第1方向に延びる1つ以上の第1側片、底部の他方の側縁から第1方向に延びる1つ以上の第2側片、第1側片と配索方向に隣接する1つ以上の第1空間、第2側片と配索方向に隣接する1つ以上の第2空間を有し、第1側片と第2側片は配索方向と第1方向に直交する第2方向に互いに重ならず、第1側片及び第2側片は第2方向に撓み変形可能で、第1側片は第2空間に臨み、第2側片は第1空間に臨み、第1側片は第2空間側に突出する第1爪部を備え、第2側片は第1空間側に突出する第2爪部を備え、第2方向の第1爪部と第2爪部間の最小寸法は第1電線の外径より小さい。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極端子を備える蓄電素子が複数個積層されて構成された電池積層体に取り付けられる配線モジュールであって、
少なくとも1つの第1電線と、前記第1電線を配索する配索方向に延びるとともに前記第1電線を収容する収容部を備えるプロテクタと、を備え、
前記収容部は、底部と、前記底部の一方の側縁から前記配索方向と直交する第1方向に延びる少なくとも1つの第1側片と、前記底部の他方の側縁から前記第1方向に延びる少なくとも1つの第2側片と、前記第1側片と前記配索方向に隣接して設けられる少なくとも1つの第1空間と、前記第2側片と前記配索方向に隣接して設けられる少なくとも1つの第2空間と、を有し、
前記第1側片と前記第2側片とは、前記配索方向及び前記第1方向の双方に直交する第2方向について互いに重なり合わない配置とされ、
前記第1側片及び前記第2側片は、前記第2方向に撓み変形可能とされ、
前記第1側片は、前記第2方向における前記第2側片側に前記第2空間に臨み、
前記第2側片は、前記第2方向における前記第1側片側に前記第1空間に臨み、
前記第1側片は、前記第1側片の前記第1方向における端縁から前記第2空間側に突出する第1爪部を備え、
前記第2側片は、前記第2側片の前記第1方向における端縁から前記第1空間側に突出する第2爪部を備え、
前記第2方向における前記第1爪部と前記第2爪部との間の最小寸法は、前記第1電線の外径より小さくなっている、配線モジュール。
【請求項2】
前記第1側片と前記第1空間とは、前記配索方向について交互に配され、
前記第2側片と前記第2空間とは、前記配索方向について交互に配されている、請求項1に記載の配線モジュール。
【請求項3】
前記第1電線と異なる第2電線をさらに備え、
前記プロテクタは、前記第2電線が前記配索方向に配索される配索部を備え、
前記配索部は、底壁部と、前記底壁部の両側縁から前記第2方向に延びる一対の側壁部と、を備え、
前記側壁部は、前記底部を兼ねている、請求項1または請求項2に記載の配線モジュール。
【請求項4】
前記電極端子に接続される複数の導電部材をさらに備え、
前記プロテクタは前記第2方向に貫通する貫通孔を有し、
前記貫通孔を介して前記電極端子と前記導電部材とが接続されるようになっている、請求項1または請求項2に記載の配線モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車等に用いられる高圧のバッテリーパックは、通常、多数のバッテリーセルが積層され、配線モジュールによって直列あるいは並列に電気接続されている。このような配線モジュールとして、従来、特開2016-122577号公報(下記特許文献1)に記載のものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載の配線モジュールは、バスバーと、温度検知部材と、バスバー及び温度検知部材を保持する絶縁プロテクタと、を備える。バスバー及び温度検知部材はそれぞれ電線を介して配線モジュールの外部の機器に接続されている。絶縁プロテクタは、電線を収容するための電線収容溝を有する。電線収容溝の一対の溝壁部の上端縁には、一方の溝壁部から他方の溝壁部へと向けて突出する規制片が設けられている。規制片は、電線収容溝から電線が飛び出すことを規制している。規制片は一対の溝壁部の双方に設けられており、対応する一対の規制片は互いに近づくように配されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-122577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の構成において、電線収容溝内に電線を収容する際には、規制片を撓ませることにより、互いに対向する一対の規制片の間隔を電線の外径より広げて、一対の規制片の間に電線を導入する作業が必要となる。
【0006】
この種の配線モジュールにおいて、より容易に電線を絶縁プロテクタに配索することができる構成が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の配線モジュールは、電極端子を備える蓄電素子が複数個積層されて構成された電池積層体に取り付けられる配線モジュールであって、少なくとも1つの第1電線と、前記第1電線を配索する配索方向に延びるとともに前記第1電線を収容する収容部を備えるプロテクタと、を備え、前記収容部は、底部と、前記底部の一方の側縁から前記配索方向と直交する第1方向に延びる少なくとも1つの第1側片と、前記底部の他方の側縁から前記第1方向に延びる少なくとも1つの第2側片と、前記第1側片と前記配索方向に隣接して設けられる少なくとも1つの第1空間と、前記第2側片と前記配索方向に隣接して設けられる少なくとも1つの第2空間と、を有し、前記第1側片と前記第2側片とは、前記配索方向及び前記第1方向の双方に直交する第2方向について互いに重なり合わない配置とされ、前記第1側片及び前記第2側片は、前記第2方向に撓み変形可能とされ、前記第1側片は、前記第2方向における前記第2側片側に前記第2空間に臨み、前記第2側片は、前記第2方向における前記第1側片側に前記第1空間に臨み、前記第1側片は、前記第1側片の前記第1方向における端縁から前記第2空間側に突出する第1爪部を備え、前記第2側片は、前記第2側片の前記第1方向における端縁から前記第1空間側に突出する第2爪部を備え、前記第2方向における前記第1爪部と前記第2爪部との間の最小寸法は、前記第1電線の外径より小さくなっている、配線モジュールである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、第1電線の配索作業が容易である配線モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態にかかる蓄電モジュールの正面図である。
図2図2は、電線収容部周辺を示す蓄電モジュールの拡大正面図である。
図3図3は、図2のA-A断面図である。
図4図4は、電線収容部周辺を示す蓄電モジュールの拡大側面図である。
図5図5は、電線収容部周辺を示す蓄電モジュールの拡大斜視図である。
図6図6は、電池積層体の前部の斜視図である。
図7図7は、ラミネート型電池の要部を示す斜視図である。
図8図8は、他の実施形態にかかる電線収容部周辺を示す蓄電モジュールの拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。
【0011】
(1)本開示の配線モジュールは、電極端子を備える蓄電素子が複数個積層されて構成された電池積層体に取り付けられる配線モジュールであって、少なくとも1つの第1電線と、前記第1電線を配索する配索方向に延びるとともに前記第1電線を収容する収容部を備えるプロテクタと、を備え、前記収容部は、底部と、前記底部の一方の側縁から前記配索方向と直交する第1方向に延びる少なくとも1つの第1側片と、前記底部の他方の側縁から前記第1方向に延びる少なくとも1つの第2側片と、前記第1側片と前記配索方向に隣接して設けられる少なくとも1つの第1空間と、前記第2側片と前記配索方向に隣接して設けられる少なくとも1つの第2空間と、を有し、前記第1側片と前記第2側片とは、前記配索方向及び前記第1方向の双方に直交する第2方向について互いに重なり合わない配置とされ、前記第1側片及び前記第2側片は、前記第2方向に撓み変形可能とされ、前記第1側片は、前記第2方向における前記第2側片側に前記第2空間に臨み、前記第2側片は、前記第2方向における前記第1側片側に前記第1空間に臨み、前記第1側片は、前記第1側片の前記第1方向における端縁から前記第2空間側に突出する第1爪部を備え、前記第2側片は、前記第2側片の前記第1方向における端縁から前記第1空間側に突出する第2爪部を備え、前記第2方向における前記第1爪部と前記第2爪部との間の最小寸法は、前記第1電線の外径より小さくなっている。
【0012】
このような構成によると、第1側片及び第2側片は、第2方向に撓み変形可能であるから、第1側片または第2側片を撓ませることにより、第1爪部と第2爪部との間隔を広げて第1電線を収容部内へと導入する作業が容易になる。また、第1側片と第2側片とは、互いに第2方向に対向しない配置とされているから、第1電線を収容部内に導入するために必要とされる第1側片または第2側片の撓み量が小さくなる。したがって、第1電線を収容部に収容しやすい。
【0013】
(2)前記第1側片と前記第1空間とは、前記配索方向について交互に配され、前記第2側片と前記第2空間とは、前記配索方向について交互に配されていることが好ましい。
【0014】
このような構成によると、第1側片と第2側片とが配索方向について交互に配置されるため、第1電線が収容部内に保持されやすい。
【0015】
(3)上記の配線モジュールは、前記第1電線と異なる第2電線をさらに備え、前記プロテクタは、前記第2電線が前記配索方向に配索される配索部を備え、前記配索部は、底壁部と、前記底壁部の両側縁から前記第2方向に延びる一対の側壁部と、を備え、前記側壁部は、前記底部を兼ねていることが好ましい。
【0016】
このような構成によると、プロテクタにおいて、第1電線が収容される収容部、及び第2電線が配索される配索部が占めるスペースを小さくすることができる。
【0017】
(4)上記の配線モジュールは、前記電極端子に接続される複数の導電部材をさらに備え、前記プロテクタは前記第2方向に貫通する貫通孔を有し、前記貫通孔を介して前記電極端子と前記導電部材とが接続されるようになっていることが好ましい。
【0018】
このような構成によると、プロテクタと電池積層体とは第2方向に組み付けられるが、第1側片及び第2側片は第2方向に撓み変形可能であるから、プロテクタを電池積層体に組み付けた後でも、第1電線を収容部内に収容しやすい。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0020】
<実施形態>
本開示の実施形態について、図1から図7を参照しつつ説明する。本実施形態の配線モジュール20を備えた蓄電モジュール10は、例えば、電気自動車またはハイブリッド自動車等の車両に搭載されて、車両の駆動源として用いられる。以下の説明においては、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材の符号を省略する場合がある。以下では、矢線Xの示す方向を前方、矢線Yの示す方向を左方、矢線Zの示す方向を上方として説明する。本実施形態では、上下方向は配索方向の一例、左右方向は第1方向の一例、前後方向は第2方向の一例である。
【0021】
[電池積層体]
蓄電モジュール10は、図6に示す電池積層体11Lと、図1に示すように電池積層体11Lに取り付けられる配線モジュール20と、を備える。
【0022】
[ラミネート型電池、電極リード]
図6に示すように、電池積層体11Lは、ラミネート型電池11(蓄電素子の一例)が積層方向(左右方向)に複数個(本実施形態では18個)積層されて構成されている。なお、図6においては、電池積層体11Lの前側部分のみを示している。図7に示すように、ラミネート型電池11は、前後方向に長く、左右方向に扁平な形状をなしている。ラミネート型電池11の内部には、蓄電要素(図示せず)が収容されている。ラミネート型電池11の前後方向の両側には、一対の電極リード12(電極端子の一例)が配置され、互いに反対方向を向くようにして突出している。一対の電極リード12は、板状をなし、互いに反対の極性を有している。
【0023】
図6に示すように、電池積層体11Lには、左右方向に連続して並ぶラミネート型電池11の4つの電極リード12が電気的に接続された接合部13が設けられている。すなわち、4つの電極リード12が、略直角に左方または右方に折り曲げられ、重ね合わせられて、レーザー溶接により接合されることにより、接合部13が構成されている。接合部13を構成する電極リード12は、接続電極リード12Aとされている。4つの接続電極リード12Aのうち、右側に配される2つの接続電極リード12Aと、左側に配される2つの接続電極リード12Aとは、反対の極性を有している。例えば、右側の2つの接続電極リード12Aが正極とされ、左側の2つの接続電極リード12Aが負極とされている。したがって、電池積層体11Lにおいて、接合部13は、並列接続された2つのラミネート型電池11を直列接続している。電池積層体11Lは前部に4つの接合部13を備える。なお、図示しないものの、電池積層体11Lは後部にも4つの接合部13を備える。
【0024】
電池積層体11Lは、前部の左端部に出力部14を備える。なお、図示しないものの、電池積層体11Lは、後部の右端部にも出力部14を備える。出力部14は、電極リード12のうち、接合部13を構成しない2つの電極リード12が接合されることで構成されている。出力部14を構成する電極リード12は、出力電極リード12Bとされている。1つの出力部14を構成する2つの出力電極リード12Bは、互いに同じ極性を有している。出力部14は、電池積層体11L全体の正極あるいは負極を構成している。すなわち、例えば前部の出力部14が電池積層体11Lの総正極である場合、後部の出力部14は電池積層体11Lの総負極である。
【0025】
[配線モジュール]
図1に示すように、本実施形態の配線モジュール20は、接続電極リード12Aに接続される端子30(導電部材の一例)と、出力電極リード12Bに接続されるバスバー40(導電部材の一例)と、第1電線W1と、端子30に接続される第2電線W2と、端子30とバスバー40と第1電線W1と第2電線W2とを保持するプロテクタ50と、を備えている。以下では、蓄電モジュール10の前側に配される配線モジュール20の構成について詳細に説明する。図示しないものの、蓄電モジュール10の後側に配される配線モジュール20は、蓄電モジュール10の前側に配される配線モジュール20と同様に構成されている。
【0026】
バスバー40は、板状の形状をなし、導電性の金属板材を加工することにより形成されている。図1に示すように、バスバー40は、上下方向に延びる第1部分40Aと、第1部分40Aの上端部に接続される第2部分40Bと、を備える。第1部分40Aは、前後方向に扁平とされている。第2部分40Bは、第1部分40Aの上端部から右方に延びており、上下方向に扁平とされている。バスバー40は、プロテクタ50のバスバー保持部53に保持され、第1部分40Aの上下方向中央部において出力電極リード12Bに接続されている。第2部分40Bの右端部には、バスバー側接続部41が設けられている。
【0027】
図示しないものの、バスバー側接続部41は、ボルトが挿通される挿通孔を有する。バスバー側接続部41の上には、外部接続端子(図示せず)が重ねられ、バスバー側接続部41にボルト締結されるようになっている。これにより、バスバー側接続部41は、外部接続端子と電気的に接続される。外部接続端子は、図示しない外部機器と蓄電モジュール10とを接続するために用いられる。
【0028】
端子30は、導電性の金属板材を加工して設けられている。図1に示すように、端子30は、本体部31と、本体部31から右方に延設された接続部32と、本体部31から上方に延びる電線接続部34と、を備える。本体部31はプロテクタ50の端子収容部54に収容され、保持されている。接続部32は、接合部13あるいは接合部13を構成する接続電極リード12Aの一部に面接触して接続される態様とされている。すなわち、端子30は、隣り合う接続電極リード12A間を接続するための部材ではなく、予め接続された接続電極リード12A(接合部13)と第2電線W2との間を接続するための部材である。電線接続部34は第2電線W2に圧着されるかしめ片を有する。
【0029】
[第2電線]
第2電線W2の一方の端部は端子30に接続されている。図1では図示を省略しているが、第2電線W2の他方の端部は、コネクタ等を介して外部のECU(Electronic Control Unit)等に接続されている。ECUは、マイクロコンピュータ、素子等が搭載されたものであって、各ラミネート型電池11の電圧、電流、温度等の検知や、各ラミネート型電池11の充放電制御コントロール等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。すなわち、本実施形態の第2電線W2はいわゆる電圧検知線である。第2電線W2は、プロテクタ50の配索部55及び配索溝部56の内部に配されている。
【0030】
[第1電線]
配線モジュール20は複数(本実施形態では8本)の第1電線W1を備える。第1電線W1は、プロテクタ50の収容部60及び配索溝部56の内部に配されている。第1電線W1は第2電線W2とは異なる電線である。第1電線W1は、例えば電池積層体11Lの温度を測定するためのサーミスタ(図示せず)に接続されている。
【0031】
[プロテクタ]
プロテクタ50は、絶縁性の合成樹脂からなり、板状をなしている。図1に示すように、プロテクタ50は、電池積層体11Lに対して位置決めされるプロテクタ本体51を備える。プロテクタ本体51の上下方向の中央部には、左右方向に並列して、電極収容凹部52(貫通孔の一例)が設けられている。電極収容凹部52は、前後方向に貫通形成され、上下に長い矩形状をなしている。電極収容凹部52は、接合部13及び接続電極リード12Aを受け入れる接続電極収容凹部52Aと、出力電極リード12B及び出力部14を受け入れる出力電極収容凹部52Bと、から構成されている。
【0032】
出力電極収容凹部52Bの上側及び下側には、バスバー40を保持するバスバー保持部53が設けられている。上側のバスバー保持部53の右側には、バスバー40をボルト締結するためのボルト締結部53Aが設けられている。接続電極収容凹部52Aの左斜め下側には、端子30の一部を収容する端子収容部54が設けられている。
【0033】
[配索部]
接続電極収容凹部52Aの左側には、配索部55がプロテクタ本体51から後方に凹んで形成されている。配索部55は上下方向に延びる溝状をなしている。配索部55は下方において端子収容部54と連通している。配索部55は上方において配索溝部56と連通している。図2に示すように、配索部55は、底壁部55Aと、底壁部55Aの左右方向における両側縁から前方に延びる一対の側壁部55Bと、を備える。本実施形態の配索部55は、一対の係止片55Cを備える。一対の係止片55Cは、一対の側壁部55Bの前端部から左右方向に対向して互いに近づくように延びている。図3に示すように、一対の係止片55Cは、第2電線W2を前方から押さえ、第2電線W2が配索部55から外部へ抜けることを抑制している。一対の係止片55Cの左右方向における間隔L2は、第2電線W2の外径D2より小さく設定されている。
【0034】
図1に示すように、配索溝部56は左右方向に延びる溝状をなし、配索部55と同様に2つ設けられている。2つの配索溝部56のうち、下側に配される配索溝部56は、配索部55と連通しており、複数の第2電線W2を収容している。上側に配される配索溝部56は、収容部60と連通しており、複数の第1電線W1を収容している。
【0035】
[収容部、底部、第1側片、第2側片]
右から2番目の配索部55の左側には、第1電線W1を収容する収容部60が配されている。収容部60は、側方の壁部が一部切り欠かれた溝状をなしている。収容部60は、第1電線W1を配索する配索方向(上下方向)に延びている。図2から図5に示すように、収容部60は、底部61と、複数(本実施形態では3つ)の第1側片62Aと、複数(本実施形態では2つ)の第2側片62Bと、を備える。第1側片62Aは、底部61の前側の側縁から左方に延びている。第2側片62Bは、底部61の後側の側縁から左方に延びている。第1側片62Aと第2側片62Bとは、前後方向に互いに重なり合わないように配されている。第1側片62A及び第2側片62Bは、前後方向に撓み変形可能とされている。図3に示すように、底部61は、右から2番目の配索部55の左側に配された側壁部55Bの前側略五分の四の部分とされている。
【0036】
[第1空間]
図4に示すように、左右方向に第1側片62Aと隣接する位置には、第1空間S1が設けられている。収容部60は、2つの第1空間S1を有する。第1空間S1は、第1側片62Aの上下方向の側縁と、底部61の前側の端縁と、により包囲されている。第2側片62Bは、前方に第1空間S1に臨むように配されている。
【0037】
[第2空間]
左右方向に第2側片62Bと隣接する位置には、第2空間S2が設けられている。収容部60は、3つの第2空間S2を有する。第2空間S2は、第2側片62Bの上下方向の側縁と、底部61の後側の端縁と、により包囲されている。第1側片62Aは、後方に第2空間S2に臨むように配されている。
【0038】
[第1爪部、第2爪部]
第1側片62Aは、その左端縁から第2空間S2側(後側)に突出する第1爪部63Aを備える。第1爪部63Aは、側面視において略台形状をなし、先端側(後側)に向かうにつれて幅狭に形成されている。第2側片62Bは、その左端縁から第1空間S1側(前側)に突出する第2爪部63Bを備える。第2爪部63Bは、側面視において略台形状をなし、先端側(前側)に向かうにつれて幅狭に形成されている。図3に示すように、前後方向における第1爪部63Aと第2爪部63Bとの間の最小寸法L1は、第1電線W1の外径D1より小さく設定されている。第1爪部63A及び第2爪部63Bは、左方から第1電線W1を押さえて、第1電線W1が収容部60から外部へと抜けることを抑制している。
【0039】
本実施形態では、図4に示すように、第1側片62Aと第1空間S1とは上下方向に交互に並んで配されており、第2側片62Bと第2空間S2とは上下方向に交互に並んで配されている。すなわち、第1側片62Aと第2側片62Bとの位置関係としては、第1側片62Aと第2側片62Bとは、上下方向についてジグザグ状をなして交互に並んで配されている。これにより、第1電線W1を安定的に収容部60内に収容することができる。
【0040】
[収容部への第1電線の導入]
収容部60に第1電線W1を導入する際には、第1側片62Aを前方へ撓ませ、第2側片62Bを後方へ撓ませる。これにより、第1爪部63Aと第2爪部63Bとの間隔を広げて第1電線W1を第1爪部63Aと第2爪部63Bとの間に導入することができる。すなわち、第1爪部63A及び第2爪部63Bではなく、第1側片62A及び第2側片62Bを撓ませることができるため、従来構成(特許文献1の電線収容溝や、本実施形態の配索部55等)に比べ、第1電線W1の収容部60への導入が容易になっている。
【0041】
また、第1電線W1を収容部60に収容する際、第1電線W1の前後方向における一方側に側片(第1側片62Aまたは第2側片62B)が配され、他方側に空間(第2空間S2または第1空間S1)が広がっている。簡単のため、前側に第1側片62Aを備え、後側に第2空間S2を有する収容部60の部分構造(第1ユニット60Aとする)について説明する。第1ユニット60Aに第1電線W1を導入するには、第1側片62Aの第1爪部63Aが第1電線W1に干渉しないように、第1側片62Aを前方に撓ませる。このとき、第1電線W1は、後方に広がる第2空間S2に進入してもよい。よって、第1電線W1を第1ユニット60Aに収容するために必要とされる第1側片62Aの撓み量が小さくなっている。後側に第2側片62Bを備え、前側に第1空間S1を有する収容部60の部分構造とされる第2ユニット60Bについても、同様のことがいえる。したがって、収容部60に第1電線W1を導入する際、第1側片62A及び第2側片62Bを大きく撓ませなくてもよいから、収容部60内に第1電線W1を収容する作業が容易になっている。
【0042】
一方、本実施形態とは異なり、第1側片と第2側片とが前後方向に対向して配されている場合には、第1電線を収容部に導入する際、第1爪部と第2爪部の双方が第1電線に干渉しないように第1側片及び第2側片を撓ませなければならない。このときの第1側片及び第2側片の撓み量は、上記の撓み量よりも大きくなる。
【0043】
[実施形態の作用効果]
実施形態によれば、以下の作用、効果を奏する。
実施形態にかかる配線モジュール20は、電極端子(電極リード12)を備える蓄電素子(ラミネート型電池11)が複数個積層されて構成された電池積層体11Lに取り付けられる配線モジュール20であって、少なくとも1つの第1電線W1と、第1電線W1を配索する配索方向(上下方向)に延びるとともに第1電線W1を収容する収容部60を備えるプロテクタ50と、を備え、収容部60は、底部61と、底部61の一方(前側)の側縁から配索方向と直交する第1方向(左右方向)に延びる少なくとも1つの第1側片62Aと、底部61の他方(後側)の側縁から第1方向に延びる少なくとも1つの第2側片62Bと、第1側片62Aと配索方向に隣接して設けられる少なくとも1つの第1空間S1と、第2側片62Bと配索方向に隣接して設けられる少なくとも1つの第2空間S2と、を有し、第1側片62Aと第2側片62Bとは、配索方向及び第1方向の双方に直交する第2方向(前後方向)について互いに重なり合わない配置とされ、第1側片62A及び第2側片62Bは、第2方向に撓み変形可能とされ、第1側片62Aは、第2方向における第2側片62B側に第2空間S2に臨み、第2側片62Bは、第2方向における第1側片62A側に第1空間S1に臨み、第1側片62Aは、第1側片62Aの第1方向における端縁から第2空間S2側に突出する第1爪部63Aを備え、第2側片62Bは、第2側片62Bの第1方向における端縁から第1空間S1側に突出する第2爪部63Bを備え、第2方向における第1爪部63Aと第2爪部63Bとの間の最小寸法L1は、第1電線W1の外径D1より小さくなっている。
【0044】
このような構成によると、第1側片62A及び第2側片62Bは、第2方向に撓み変形可能であるから、第1側片62Aまたは第2側片62Bを撓ませることにより、第1爪部63Aと第2爪部63Bとの間隔を広げて第1電線W1を収容部60内へと導入する作業が容易になる。また、第1側片62Aと第2側片62Bとは、互いに第2方向に対向しない配置とされているから、第1電線W1を収容部60内に導入するために必要とされる第1側片62Aまたは第2側片62Bの撓み量が小さくなる。したがって、第1電線W1を収容部60に収容しやすい。
【0045】
実施形態では、第1側片62Aと第1空間S1とは、配索方向について交互に配され、第2側片62Bと第2空間S2とは、配索方向について交互に配されている。
【0046】
このような構成によると、第1側片62Aと第2側片62Bとが配索方向について交互に配置されるため、第1電線W1が収容部60内に保持されやすい。
【0047】
実施形態にかかる配線モジュール20は、第1電線W1と異なる第2電線W2をさらに備え、プロテクタ50は、第2電線W2が配索方向に配索される配索部55を備え、配索部55は、底壁部55Aと、底壁部55Aの両側縁から第2方向に延びる一対の側壁部55Bと、を備え、側壁部55Bは、底部61を兼ねている。
【0048】
このような構成によると、プロテクタ50において、第1電線W1が収容される収容部60、及び第2電線W2が配索される配索部55が占めるスペースを小さくすることができる。
【0049】
実施形態にかかる配線モジュール20は、電極端子に接続される複数の導電部材(端子30及びバスバー40)をさらに備え、プロテクタ50は第2方向に貫通する貫通孔(電極収容凹部52)を有し、貫通孔を介して電極端子と導電部材とが接続されるようになっている。
【0050】
このような構成によると、プロテクタ50と電池積層体11Lとは第2方向に組み付けられるが、第1側片62A及び第2側片62Bは第2方向に撓み変形可能であるから、プロテクタ50を電池積層体11Lに組み付けた後でも、第1電線W1を収容部60内に収容しやすい。
【0051】
<他の実施形態>
(1)上記実施形態では、複数の第1電線W1は結束されない状態で収容部60内に収容されていたが、これに限られることはない。例えば、図8に示すように、配線モジュール20は、複数の第1電線W1を結束する結束部材BMをさらに備え、結束部材BMにより結束された複数の第1電線W1が収容部60内に収容される構成としてもよい。ここで、結束部材BMには、熱収縮チューブやコルゲートチューブ等を用いることができる。結束部材BMにより複数の第1電線W1を結束することで、複数の第1電線W1を一括して収容部60内に収容することができる。
【0052】
(2)上記実施形態では、第2電線W2は電圧検知線とされ、第1電線W1は第2電線W2とは異なる構成であったが、これに限られることはなく、第1電線は電圧検知線でもよい。
(3)上記実施形態では、配索部55の側壁部55Bは、収容部60の底部61を兼ねている構成としたが、これに限られることはない。例えば配索部を設けなくてもよいし、配索部を設け、その側壁部が収容部の底部を含まないようにしてもよい。
(4)上記実施形態では、第1側片62A及び第2側片62Bはジグザグ状をなして交互に配置されていたが、これに限られることはなく、第1側片及び第2側片は交互に配されなくてもよい。
【符号の説明】
【0053】
10: 蓄電モジュール
11: ラミネート型電池
11L: 電池積層体
12: 電極リード
12A: 接続電極リード
12B: 出力電極リード
13: 接合部
14: 出力部
20: 配線モジュール
30: 端子
31: 本体部
32: 接続部
34: 電線接続部
40: バスバー
40A: 第1部分
40B: 第2部分
41: バスバー側接続部
50: プロテクタ
51: プロテクタ本体
52: 電極収容凹部
52A: 接続電極収容凹部
52B: 出力電極収容凹部
53: バスバー保持部
53A: ボルト締結部
54: 端子収容部
55: 配索部
55A: 底壁部
55B: 側壁部
55C: 係止片
56: 配索溝部
60: 収容部
60A: 第1ユニット
60B: 第2ユニット
61: 底部
62A: 第1側片
62B: 第2側片
63A: 第1爪部
63B: 第2爪部
BM: 結束部材
D1: 第1電線の外径
D2: 第2電線の外径
L1: 前後方向における第1爪部と第2爪部との間の最小寸法
L2: 一対の係止片の左右方向における間隔
S1: 第1空間
S2: 第2空間
W1: 第1電線
W2: 第2電線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8