(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055106
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】車両における電池の冷却構造
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6556 20140101AFI20240411BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240411BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240411BHJP
H01M 10/6563 20140101ALI20240411BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20240411BHJP
【FI】
H01M10/6556
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6563
B60K1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161742
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 遼
【テーマコード(参考)】
3D235
5H031
【Fターム(参考)】
3D235AA01
3D235BB03
3D235BB36
3D235CC15
3D235DD27
5H031AA09
5H031KK08
(57)【要約】
【課題】安全性を確保した上で電池モジュールに対する防水性能及び冷却性能の向上を図る。
【解決手段】上端部に開口が形成された収納部と吸気孔が形成され前記開口を覆うカバー部とを有し内部空間が少なくとも電池モジュールが配置される配置空間として形成された収納ケースと、前記収納ケースの外部に位置され一端部が前記吸気孔に連通される第1の連通部として設けられた第1のダクトと、前記収納ケースの内部に位置され一端部が前記吸気孔に連通される第2の連通部として設けられた第2のダクトとを備え、前記電池モジュールには複数の電池セルと前記複数の電池セルを接続する高電圧部品とが設けられ、冷却風が前記第1のダクトから前記吸気孔と前記第2のダクトを介して前記電池モジュールに向けて流動され、車両の衝突により前記第1のダクトに衝撃が付与されたときに前記第1のダクトが前記第2のダクトに対して変位可能にされた。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端部に開口が形成された収納部と吸気孔が形成され前記開口を覆うカバー部とを有し内部空間が少なくとも電池モジュールが配置される配置空間として形成された収納ケースと、
前記収納ケースの外部に位置され一端部が前記吸気孔に連通される第1の連通部として設けられた第1のダクトと、
前記収納ケースの内部に位置され一端部が前記吸気孔に連通される第2の連通部として設けられた第2のダクトとを備え、
前記電池モジュールには複数の電池セルと前記複数の電池セルを接続する高電圧部品とが設けられ、
冷却風が前記第1のダクトから前記吸気孔と前記第2のダクトを介して前記電池モジュールに向けて流動され、
車両の衝突により前記第1のダクトに衝撃が付与されたときに前記第1のダクトが前記第2のダクトに対して変位可能にされた
車両における電池の冷却構造。
【請求項2】
前記第2の連通部に少なくとも前記高電圧部品側に張り出された遮蔽部が設けられた
請求項1に記載の車両における電池の冷却構造。
【請求項3】
前記遮蔽部と前記カバー部の間に封止部材が配置された
請求項2に記載の車両における電池の冷却構造。
【請求項4】
前記第1の連通部に被取付部が設けられ、
前記被取付部が前記カバー部に取り付けられた
請求項1、請求項2又は請求項3に記載の車両における電池の冷却構造。
【請求項5】
前記被取付部と前記カバー部とがクリップにより結合された
請求項4に記載の車両における電池の冷却構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両における電池の冷却構造についての技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の各種の車両にはモーターや各種の電装部品に電力を供給するための車載用バッテリーが荷室に搭載されたものがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の車載用バッテリーは電池モジュールが収納された収納ケースがフロアパンの上側に配置されている。こうした車載用バッテリーには、収納ケースに吸気孔が形成され吸気孔にダクトを挿通させて収納ケースの外部の空気を冷却風として電池モジュールへ向けて流動させることにより電池モジュールを冷却する電池の冷却構造を備えたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のような荷室に搭載された車載用バッテリーにおいて、吸気孔が収納ケースの側面部や底面部に形成されていると、例えば、フロアパンに水等の液体が浸水したときに、吸気孔から収納ケースの内部に液体が浸入してしまうおそれがある。また、ダクトが側面部や底面部において収納ケースを回り込むようにして配置されると、ダクト(冷却経路)の長さが長くなり易い上に、ダクトが、例えば、マフラー等に近づいて配置されるためマフラー等からダクトが熱を受け易くなり、冷却効率が低下するおそれがある。したがって、電池モジュールに対する防水性能及び冷却性能の向上を図るために、吸気孔は収納ケースの上端部(上面部)に形成されることが望ましい。
【0005】
ところが、吸気孔が収納ケースの上端部に形成されると、一般に電池モジュールの上面部に設けられることが多い、例えば、バスバーのような高電圧部品と吸気孔とが接近して位置されることになる。このため、例えば、車両の後方から衝突が生じたときに、衝撃によってダクトが変形や破損して吸気孔から高電圧部品への接触が可能になってしまうと、安全性を確保することが困難になるおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、安全性を確保した上で電池モジュールに対する防水性能及び冷却性能の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車両における電池の冷却構造は、上端部に開口が形成された収納部と吸気孔が形成され前記開口を覆うカバー部とを有し内部空間が少なくとも電池モジュールが配置される配置空間として形成された収納ケースと、前記収納ケースの外部に位置され一端部が前記吸気孔に連通される第1の連通部として設けられた第1のダクトと、前記収納ケースの内部に位置され一端部が前記吸気孔に連通される第2の連通部として設けられた第2のダクトとを備え、前記電池モジュールには複数の電池セルと前記複数の電池セルを接続する高電圧部品とが設けられ、冷却風が前記第1のダクトから前記吸気孔と前記第2のダクトを介して前記電池モジュールに向けて流動され、車両の衝突により前記第1のダクトに衝撃が付与されたときに前記第1のダクトが前記第2のダクトに対して変位可能にされたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、衝突の衝撃が第2のダクトに伝達され難く第2のダクトの変形や破損が生じ難くされることにより、衝撃により第1のダクトと吸気孔との連通が解除された状態においても吸気孔と第2のダクトとの連通が解除され難く、吸気孔と配置空間とが連通されず吸気孔から高電圧部品に対して指等が接触不能な状態が維持されるため、安全性を確保した上で電池モジュールに対する防水性能及び冷却性能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図2及び
図3と共に本発明車両における電池の冷却構造の実施の形態を示すものであり、本図は、電池の冷却構造が設けられた車載用バッテリーの断面図である。
【
図2】衝突の衝撃により第1のダクトが第2のダクトに対して変位された状態を示す断面図である。
【
図3】衝突の衝撃により吸気孔の位置が変位された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の車両における電池の冷却構造を実施するための形態について、添付図面を参照して説明する(
図1乃至
図3参照)。
【0011】
<車載用バッテリーの構成等>
まず、電池の冷却構造を有する車載用バッテリーの構成等について説明する。
【0012】
車載用バッテリー1は収納ケース2と電池モジュール3と第1のダクト4と第2のダクト5を有している(
図1参照)。車載用バッテリー1において、収納ケース2と第1のダクト4と第2のダクト5と後述する冷却ファンが電池モジュール3を冷却する電池の冷却構造としての機能を有している。
【0013】
車両100には上方に開口されたフロアパン200が設けられ、フロアパン200の内側の空間が配置凹部201として形成されている。車載用バッテリー1は、例えば、配置凹部201に配置されている。
【0014】
収納ケース2は、例えば、金属材料によって形成され、収納部6とカバー部7を有している。収納部6は上方に開口された箱状に形成され、上下方向を向く底面部8と下縁が底面部8の外周縁に連続された周面部9とを有している。カバー部7は平板状に形成され、収納部6の開口を上方から覆った状態で図示しない取付部材によって収納部6に取り付けられている。カバー部7における後端寄りの部分には上下に貫通された吸気孔10が形成されている。吸気孔10の周囲には上下に貫通された図示しない複数の取付用孔が周方向に離隔して形成されている。収納ケース2の内部空間は配置空間11として形成されている。
【0015】
収納ケース2は収納部6が図示しない保持フレームを介してフロアパン200に固定されている。
【0016】
電池モジュール3は収納ケース2の配置空間11に配置されている。電池モジュール3は収納ケース2の内部において、例えば、吸気孔10より前側に位置されている。なお、収納ケース2に収納される電池モジュール3の数は一つに限られることはなく、収納ケース2に複数の電池モジュール3が収納されていてもよい。
【0017】
電池モジュール3はセルカバー12とセルカバー12の内部において並んで配置された複数の電池セル13とを有している。電池セル13にはそれぞれ上方に突出された二つの端子部14が離隔して設けられている。電池セル13は端子部14が隣り合う電池セル13の端子部14とバスバー15によって接続され、複数の電池セル13が直列に接続されている。バスバー15は高い電圧が印加される高電圧部品として設けられている。
【0018】
第1のダクト4は、例えば、樹脂材料によって形成され、収納ケース2の外部に配置されている。第1のダクト4は一端部が第1の連通部16として設けられ、第1の連通部16と図示しない他端部との間の部分が第1の中間部17として設けられている。第1の連通部16は軸方向が上下方向にされ、下端部に外方に張り出されたフランジ状の被取付部18が設けられている。被取付部18には上下に貫通された図示しない複数の挿通孔が周方向に離隔した状態でカバー部7の取付用孔と対応した位置に形成されている。第1の中間部17は軸方向が水平方向にされている。第1のダクト4の他端部には図示しない冷却ファンが取り付けられている。
【0019】
第1のダクト4は第1の連通部16が吸気孔10に上方から連通されている。第1のダクト4は被取付部18の挿通孔に挿通されたクリップ19が取付用孔に挿入されてカバー部7に取り付けられている。
【0020】
被取付部18とカバー部7の間には第1の封止部材20が配置されている。したがって、第1のダクト4とカバー部7は第1の封止部材20を上下から挟んだ状態でクリップ19によって結合されている。被取付部18はクリップ19によって第1の封止部材20を介してカバー部7に押し付けられ、第1の封止部材20が被取付部18とカバー部7の双方に密着される。クリップ19は第1のダクト4に大きな衝撃が付与されたときに破損可能なように、例えば、樹脂材料によって形成されている。
【0021】
第2のダクト5は、例えば、樹脂材料によって形成され、収納ケース2の配置空間11に配置されている。第2のダクト5は一端部が第2の連通部21として設けられ、第2の連通部21と他端部22との間の部分が第2の中間部23として設けられている。第2の連通部21は軸方向が上下方向にされ、上端部に外方に張り出されたフランジ状の受け部24が設けられている。受け部24における前側の部分は遮蔽部25として設けられている。第2のダクト5の他端部22は電池モジュール3のセルカバー12の内部に下側から連通されている。
【0022】
第2の連通部21は電池モジュール3の後方に位置された状態で吸気孔10に下方から連通されている。したがって、遮蔽部25が吸気孔10と電池モジュール3におけるバスバー15との間に位置されるため、遮蔽部25によってバスバー15が遮蔽可能な状態にされている。
【0023】
第2のダクト5は図示しない取付部材によって収納ケース2の収納部6に取り付けられている。
【0024】
受け部24とカバー部7の間には第2の封止部材26が配置されている。したがって、第2のダクト5とカバー部7は第2の封止部材26を上下から挟んだ状態にされている。カバー部7は第2の封止部材26を介して受け部24に押し付けられた状態で収納部6に取り付けられ、第2の封止部材26がカバー部7と受け部24の双方に密着される。
【0025】
このように、第2のダクト5は受け部24に対してカバー部7が第2の封止部材26を介して押し付けられた状態にされているが、カバー部7と結合されていない。したがって、収納ケース2に大きな衝撃が付与されたときにカバー部7が第2のダクト5に対して変位可能にされている。また、第2のダクト5は第1のダクト4とも結合されていないため、第1のダクト4に大きな衝撃が付与されたときに第1のダクト4が第2のダクト5に対して変位可能にされている。
【0026】
上記のように構成された車載用バッテリー1においては、冷却ファンによって第1のダクト4に取り込まれた冷却風50が吸気孔10と第2のダクト5を介して電池モジュール3へ向けて流動されることにより、電池モジュール3の冷却が行われる。
【0027】
上記のように、車載用バッテリー1においては、吸気孔10が収納ケース2のカバー部7に形成されている。これにより、万が一、フロアパン200に水等の液体が浸入したとしても吸気孔10から収納ケース2の内部に液体が浸入し難く、電池モジュール3に対する防水性能の向上を図ることができる。また、第2のダクト5が収納ケース2における配置空間11に位置され、収納部6の底面部8や周面部9よって第2のダクト5がマフラー等から受ける熱の影響が低減されるため、電池モジュール3に対する冷却性能の向上を図ることができる。
【0028】
また、第1のダクト4と第2のダクト5が上下から吸気孔10に連通され、第1のダクト4と第2のダクト5によって吸気孔10が露出されていない状態にされている。したがって、吸気孔10からバスバー15に対して指等が接触不能にされ、吸気孔10がカバー部7に形成された状態においても車載用バッテリー1における安全性の確保が図られている。
【0029】
なお、車載用バッテリー1において、高電圧部品であるバスバー15は電池モジュール3を構成する各部の中でも高温になり易い部分であるため、電池モジュール3の冷却効率の向上を図ることを目的としてバスバー15に向けて冷却風50を送る冷却経路を設けてもよい。このとき、上記のように、車載用バッテリー1においては吸気孔10がカバー部7に形成されているため、吸気孔10が電池モジュール3の上端部に位置されたバスバー15と接近して位置されている。したがって、吸気孔10からバスバー15に向けて冷却風50を送る冷却経路を設ける場合に、冷却経路のレイアウト設計を容易に行うことが可能にされている。
【0030】
さらに、第1のダクト4における被取付部18とカバー部7の間に第1の封止部材20が配置されている。したがって、被取付部18とカバー部7の間が密閉され、第1のダクト4とカバー部7の間から外部への冷却風50の流出が防止され、冷却風50の電池モジュール3への送風効率の向上を図ることができる。
【0031】
さらにまた、第2のダクト5における受け部24とカバー部7の間に第2の封止部材26が配置されている。したがって、受け部24とカバー部7の間が密閉され、第2のダクト5とカバー部7の間から外部への冷却風50の流出が防止され、第1のダクト4から吸気孔10に流動された冷却風50の電池モジュール3への送風効率の向上を図ることができる。
【0032】
また、第1の連通部16に被取付部18が設けられ、被取付部18がカバー部7に取り付けられている。これにより、例えば、車両100の走行に伴う振動等による第1のダクト4のカバー部7に対する変位が防止されるため、第1のダクト4と吸気孔10の安定した連通状態を確保することができる。
【0033】
<衝突時の作用>
次に、車載用バッテリー1における衝突時の作用について説明する(
図2及び
図3参照)。
【0034】
以下の説明においては、車両100に、例えば、トラックのような車高の高い車両が後方から衝突した場合を例として説明する。
【0035】
上記のように構成された車載用バッテリー1において、万が一、車両100が後方から衝突されたときには、第1のダクト4に後方から衝撃Fが付与される(
図2参照)。第1のダクト4に衝撃Fが付与されると、衝撃Fがクリップ19に伝達されクリップ19が破損され、第1のダクト4のカバー部7に対する結合が解除される。カバー部7に対する結合が解除された第1のダクト4は、衝撃Fによって作用する力により収納ケース2に対して前方へ変位される。このとき、カバー部7にもクリップ19を介して衝撃Fが付与される可能性があるが、クリップ19が破損されることに加えてカバー部7は収納部6に取り付けられているため、カバー部7が変位され難くされている。
【0036】
したがって、第1のダクト4に付与された衝撃Fが収納ケース2にも伝達され難く、収納ケース2の変形や破損が抑制される。また、収納ケース2に衝撃Fが伝達され難いため、収納ケース2を介して第2のダクト5に伝達される衝撃Fが小さい。このため、衝突時に第1のダクト4が前方へ変位された状態において収納ケース2と第2のダクト5が非衝突時の位置から変位され難く、吸気孔10と第2のダクト5の連通状態が維持され易い。
【0037】
上記のように、車載用バッテリー1においては、車両100の衝突により第1のダクト4に衝撃Fが付与されたときに第1のダクト4が第2のダクト5に対して変位可能にされている。これにより、衝突の衝撃Fが第1のダクト4から第2のダクト5に伝達され難く、第2のダクト5の変形や破損が生じ難くされている。
【0038】
したがって、衝突の衝撃Fにより第1のダクト4と吸気孔10の連通が解除された状態においても吸気孔10と第2のダクト5の連通が解除され難く、吸気孔10と配置空間11が連通され難く吸気孔10からバスバー15(高電圧部品)に対して指等が接触不能な状態が維持されるため、安全性を確保した上で電池モジュール3に対する防水性能及び冷却性能の向上を図ることができる。
【0039】
また、上記したように、被取付部18とカバー部7がクリップ19により結合されている。これにより、衝突により第1のダクト4に衝撃Fが付与されたときに衝撃Fがクリップ19に伝達されてクリップ19が破損され、カバー部7に対する第1のダクト4の結合が解除され、カバー部7の第2のダクト5に対する位置ズレが抑制される。
【0040】
したがって、簡素な構成で非衝突時における第1のダクト4と吸気孔10の安定した連通状態を確保した上で、吸気孔10からバスバー15に対して指等が接触不能な状態を維持することができる。また、クリップ19の破損によりカバー部7に対する第1のダクト4の結合が解除されることにより、衝突時におけるカバー部7と第2のダクト5に伝達される衝撃Fを低減することができる。さらに、クリップ19によって第1の封止部材20が被取付部18とカバー部7に押し潰された状態で双方に密着され、第2の封止部材26が受け部24とカバー部7に押し潰された状態で双方に密着さるため、第1のダクト4とカバー部7の間及び第2のダクト5とカバー部7の間の高い密閉性を確保することができる。加えて、クリップ19によって第1のダクト4のカバー部7に対する取り付けを容易に行うことができるため、車載用バッテリー1の組付作業における作業効率の向上を図ることができる。
【0041】
さらに、第2の連通部21にはバスバー15側に張り出された遮蔽部25が設けられている。これにより、衝突により第1のダクト4に衝撃Fが付与されたときに、万が一、収納ケース2が変形し吸気孔10の位置が前方へ変位した場合にも、遮蔽部25によってバスバー15が遮蔽された状態が維持される(
図3参照)。
【0042】
したがって、遮蔽部25によって吸気孔10からバスバー15に対して指等が接触不能な状態が維持されるため、車載用バッテリー1における高い安全性を確保することができる。
【0043】
なお、衝撃Fの大きさや付与される方向によっては、衝突時にクリップ19が破損せずカバー部7が第1のダクト4に伴って前方へ変位する可能性があるが、吸気孔10の変位量が第2の連通部21における遮蔽部25の張り出し量より小さい場合には遮蔽部25によってバスバー15が遮蔽された状態が維持される。特に、衝突時にクリップ19が破損しない場合には衝撃Fが小さいことが想定され、第1のダクト4とカバー部7の変位量が大きくならない可能性が高く、遮蔽部25によってバスバー15が遮蔽された状態が維持され易い。
【0044】
一方、吸気孔10の位置が大きく変位するような大きな衝撃Fが第1のダクト4に付与された場合には、クリップ19が破損されてカバー部7に対する第1のダクト4の結合が解除されるため、吸気孔10の変位が抑えられ、遮蔽部25によってバスバー15が遮蔽された状態が維持される。また、第2の封止部材26の幅を吸気孔10の変位を考慮した大きさに設定することにより、吸気孔10が変位されたときに第2の封止部材26によってバスバー15が遮蔽され、吸気孔10からバスバー15に対して指等が接触不能な状態を維持することも可能である。
【0045】
なお、車載用バッテリー1は第1のダクト4とカバー部7がクリップ19によって結合されていない構成にすることも可能である。この場合には、例えば、第1のダクト4とカバー部7が係合される係合部が設けられる等の構成にされていてもよい。
【符号の説明】
【0046】
100 車両
1 車載用バッテリー
2 収納ケース
3 電池モジュール
4 第1のダクト
5 第2のダクト
6 収納部
7 カバー部
10 吸気孔
11 配置空間
13 電池セル
15 バスバー
16 第1の連通部
18 被取付部
19 クリップ
20 第1の封止部材
21 第2の連通部
24 受け部
25 遮蔽部
26 第2の封止部材
50 冷却風