IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東洋エアゾール工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-内容物噴射アクチュエータ 図1
  • 特開-内容物噴射アクチュエータ 図2
  • 特開-内容物噴射アクチュエータ 図3
  • 特開-内容物噴射アクチュエータ 図4
  • 特開-内容物噴射アクチュエータ 図5
  • 特開-内容物噴射アクチュエータ 図6
  • 特開-内容物噴射アクチュエータ 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055120
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】内容物噴射アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/20 20060101AFI20240411BHJP
   B65D 83/16 20060101ALI20240411BHJP
   B05B 9/04 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
B65D83/20 100
B65D83/16 100
B05B9/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161775
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000222129
【氏名又は名称】東洋エアゾール工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(74)【代理人】
【識別番号】100138254
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 容子
(72)【発明者】
【氏名】内田 康貴
(72)【発明者】
【氏名】松下 将士
(72)【発明者】
【氏名】上條 北斗
(72)【発明者】
【氏名】尾形 謙
(72)【発明者】
【氏名】坪内 誠
【テーマコード(参考)】
3E014
4F033
【Fターム(参考)】
3E014PB01
3E014PC14
3E014PD01
3E014PD04
3E014PE14
3E014PE15
3E014PF10
4F033RA02
4F033RC08
4F033RC15
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で、部品点数が少なく、容器が倒れても誤作動せず、コストアップを抑制可能な内容物噴射アクチュエータを提供すること。
【解決手段】本体部110と、第1てこ部材120および第2てこ部材130と、ノズル部材140とを有する内容物噴射アクチュエータ100であって、第1てこ部材120は、第1押下部121と、本体部110に回動可能に接続する第1接続部122とを有し、第2てこ部材130は、第1連接部123に押下される第2押下部131と、本体部110に回動可能に接続する第2接続部132とを有し、ノズル部材140は、ステム嵌合部141と、噴射流路142と、第2連接部133に押下されるノズル押下部144とを有し、ノズル部材140の上端は、第1てこ部材120が最も下方まで押下された際の第1押下部121の上端よりも上方に配置されていること。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の上部に嵌合する本体部と、前記本体部に回動可能に接続する第1てこ部材および第2てこ部材と、容器のステムに嵌合して容器内の内容物を噴射するノズル部材とを有する内容物噴射アクチュエータであって、
前記本体部には、容器の上部に嵌合する嵌合部とが設けられ、
前記第1てこ部材は、手や指等で押下操作される第1押下部と、前記本体部に回動可能に接続する第1接続部と、前記第1押下部と前記第1接続部とを繋ぐ第1連接部とを有し、
前記第2てこ部材は、前記第1連接部に当接して押下操作される第2押下部と、前記本体部に回動可能に接続する第2接続部と、前記第2押下部と前記第2接続とを繋ぐ第2連接部とを有し、
前記ノズル部材は、ノズル本体部と、前記ノズル本体部の下方に設けられた容器のステムに嵌合するステム嵌合部と、容器内の内容物を噴射する噴射口と、前記ステム嵌合部と前記噴射口とを繋ぐ噴射流路と、前記ノズル本体部の外方に突出形成され前記第2連接部に当接して押下操作されるノズル押下部とを有し、
前記ノズル部材の上端は、前記第1てこ部材が最も下方まで押下された際の前記第1押下部の上端よりも上方に配置されていることを特徴とする内容物噴射アクチュエータ。
【請求項2】
前記ノズル部材の上端は、少なくとも押下される前の前記第1押下部の上端よりも低い位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の内容物噴射アクチュエータ。
【請求項3】
前記本体部には、前記嵌合部よりも上方に形成された押下制限部が設けられ、
前記押下制限部の上端は、前記第1押下部の上端よりも上方に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内容物噴射アクチュエータ。
【請求項4】
前記噴射口は、前記ステムの作動方向に対して側方に向かって開口し、
前記本体部は、前記噴射口の開口方向側を開放していることを特徴とする請求項1に記載の内容物噴射アクチュエータ。
【請求項5】
押下される前の前記第1押下部は、前記第1押下部の上面が水平になるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の内容物噴射アクチュエータ。
【請求項6】
前記本体部の最外径は、容器の最外径以下であり、前記第1てこ部材、前記第2てこ部材、前記ノズル部材は前記本体部の最外径よりも内方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の内容物噴射アクチュエータ。
【請求項7】
押下される前の前記第1接続部の中心点から前記第1連接部と前記第2押下部との当接点を通る直線と、前記第2接続部の中心点から前記第1連接部と前記第2押下部との当接点を通る直線とがなす鋭角の角度は、45度以下であることを特徴とする請求項1に記載の内容物噴射アクチュエータ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に装着し、ステムを作動させて内容物を取り出し可能な内容物噴射アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器に装着し、ステムを作動させて内容物を取り出し可能な内容物噴射アクチュエータとして、特許文献1に記載の噴射装置が公知である。
【0003】
この特許文献1で公知の内容物噴射アクチュエータ(噴射装置)は、ポンプ式の吐出容器に用いるものではあるが、容器(吐出容器11)の上部に嵌合する本体部(本体31)と、本体部(本体31)に回動可能に接続する第1てこ部材(第2レバー33)および第2てこ部材(第1レバー32)と、容器(吐出容器11)のステム(27)に嵌合してエアゾール容器(吐出容器11)内の内容物を噴射するノズル部材(ポンプ部材17)とを有しているものである。
【0004】
第1てこ部材(第2レバー33)と第2てこ部材(第1レバー32)とは、リンク部材34で接続され、第1てこ部材(第2レバー33)のトリガー37を引くことで、第2てこ部材(第1レバー32)が連動して動作し、ノズル押下部(連結軸27a)を介してノズル部材(ポンプ部材17)を押し下げることができ、これによって、ノズル部材(ポンプ部材17)を直接押し込む場合に比べて軽い力でステムを押し下げることができ、ノズル部材(ポンプ部材17)内の流路を通して内容物を噴射することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-1674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献で公知の内容物噴射アクチュエータには、未だ改善の余地があった。
【0007】
すなわち、特許文献1で公知の内容物噴射アクチュエータは、容器に比べて装置構成が大きくなり、保管スペースの確保が難しくなる虞や、輸送効率が低下し、コストアップしてしまう虞があった。
また、リンク部材を介して第1てこ部材と第2てこ部材とを接続しているため、部品点数、組立工程数の増加に伴いコストアップしてしまう虞があった。
【0008】
また、トリガーが容器の側方に飛び出しており、手で握るように操作する構成のため、不意に手が触れる等して容器が倒れた際等に、トリガーが床等に接触することで誤作動し内容物が噴射してしまう虞があった。
【0009】
本発明はこれらの問題点を解決するものであり、簡単な構成で、部品点数が少なく、容器が倒れても誤作動せず、コストアップを抑制可能な内容物噴射アクチュエータを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の内容物噴射アクチュエータは、容器の上部に嵌合する本体部と、前記本体部に回動可能に接続する第1てこ部材および第2てこ部材と、容器のステムに嵌合して容器内の内容物を噴射するノズル部材とを有する内容物噴射アクチュエータであって、前記本体部には、容器の上部に嵌合する嵌合部とが設けられ、前記第1てこ部材は、手や指等で押下操作される第1押下部と、前記本体部に回動可能に接続する第1接続部と、前記第1押下部と前記第1接続部とを繋ぐ第1連接部とを有し、前記第2てこ部材は、前記第1連接部に当接して押下操作される第2押下部と、前記本体部に回動可能に接続する第2接続部と、前記第2押下部と前記第2接続とを繋ぐ第2連接部とを有し、前記ノズル部材は、ノズル本体部と、前記ノズル本体部の下方に設けられた容器のステムに嵌合するステム嵌合部と、容器内の内容物を噴射する噴射口と、前記ステム嵌合部と前記噴射口とを繋ぐ噴射流路と、前記ノズル本体部の外方に突出形成され前記第2連接部に当接して押下操作されるノズル押下部とを有し、前記ノズル部材の上端は、前記第1てこ部材が最も下方まで押下された際の前記第1押下部の上端よりも上方に配置されていることにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る内容物噴射アクチュエータは、手や指等で押下操作された第1てこ部材によって第2てこ部材を押下し、第2てこ部材でノズル部材を押下してステムを押下操作する2重てこ機構を用いているため、ノズル部材を直接押下する場合に比べて手や指等で押下する力を少なくすることができ、子供や高齢者等でも負担が少なく簡単に使用することができる。
また、ノズル部材の上端が第1てこ部材が最も下方まで押下された際の第1押下部の上端よりも上方に配置されているため、容器から内容物が継続的に噴射される際に第1押下部を押下する指や手に内容物が直接かかることを抑制できる。
また、容器が落下する等して、壁や床等に第1押下部が軽く押し付けられても、第1押下部が完全に押下される前にノズル部材が壁や床に接触するため、第1押下部は最も下方まで押下されることはなく、内容物の噴射を最小限に留めることができる。
また、第2てこ部材でノズル部材のノズル押下部を押下するため、例えば、ノズル押下部をノズル部材の下部に形成することで、第2てこ部材や第1てこ部材の設置位置を低くすることができ、これによって、内容物噴射アクチュエータ全体の高さを低く構成できる。
【0012】
請求項2に記載の構成によれば、ノズル部材の上端は、押下される前の第1押下部の上端よりも低い位置に配置されているため、ノズル部材が内容物噴射アクチュエータから露出せず、不意にノズル部材に触れて内容物が誤噴射してしまうことを防止できる。
請求項3に記載の構成によれば、本体部には、嵌合部よりも上方に形成された押下制限部が設けられ、押下制限部の上端は、第1押下部の上端よりも上方に形成されているため、内容物噴射アクチュエータの上方からの意図しない接触や、床への落下時に押下制限部が床に接触するため、第1押下部が操作されることはなく、内容物の誤噴射を防止できる。
【0013】
請求項4に記載の構成によれば、噴射口は、ステムの作動方向に対して側方に向かって開口し、本体部は、噴射口の開口方向側を開放しているため、ノズル部材を本体部より高く形成する必要がなく、内容物噴射アクチュエータ全体の高さをより一層低く構成できる。
請求項5に記載の構成によれば、押下される前の第1押下部は、第1押下部の上面が水平になるように配置されているため、手や指等を第1押下部に添えやすく、手や指で第1押下部を簡単に下方に押し下げて操作することができる。
【0014】
請求項6に記載の構成によれば、本体部の最外径は、容器の最外径以下であり、第1てこ部材、第2てこ部材、ノズル部材は本体部の最外径よりも内方に配置されているため、内容物噴射アクチュエータが容器の側方に飛び出すことがなく、効率的に整列保管、配送することができる。
また、内容物噴射アクチュエータに突出した部分がないため、シュリンク包装する際にも包装材料が少なく、シュリンク破れ等の不具合の発生も抑制できる。
請求項7に記載の構成によれば、押下される前の第1接続部の中心点から第1連接部と第2押下部との当接点を通る直線と、第2接続部の中心点から第1連接部と第2押下部との当接点を通る直線とがなす鋭角の角度は、45度以下であるため、第1てこ部材から第2てこ部材への、ステム押下方向への力を伝達しやすくなり、より一層小さい力で第1押下部を押下操作して内容物を噴射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る内容物噴射アクチュエータ100の斜視図。
図2】本発明の一実施形態に係る内容物噴射アクチュエータ100の上面図。
図3】本発明の一実施形態に係る内容物噴射アクチュエータ100の断面図。
図4】本発明の一実施形態に係る内容物噴射アクチュエータ100の、本体部110を外した状態の各部材の位置関係を示す模式斜視図。
図5】本発明の一実施形態に係る内容物噴射アクチュエータ100の、第1てこ部材120と第2てこ部材130との位置関係を示す模式断面図。
図6】本発明の一実施形態に係る内容物噴射アクチュエータ100の、押下操作手順1を示す断面図。
図7】本発明の一実施形態に係る内容物噴射アクチュエータ100の、押下操作手順2を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の一実施形態に係る内容物噴射アクチュエータ100について、図面に基づいて説明する。
なお、説明のため、図4には本体部110を、図5にはノズル部材140を図示しない。
【0017】
本発明の一実施形態に係る内容物噴射アクチュエータ100は、図1乃至図3に示すように、エアゾール容器である容器Cの容器口部Cmに嵌合されたマウンティングカップMに嵌合固定され、エアゾール製品Pとして構成されており、マウンティングカップMに嵌合固定する本体部110と、本体部110に回動可能に接続する第1てこ部材120および第2てこ部材130と、ステムSに嵌合して容器C内の内容物を噴射するノズル部材140とを有している。
【0018】
本体部110は、筒状のスカート壁111と、スカート壁111の上端部に設けられた押下制限部112と、スカート壁111の下部内周面から半径方向内方に突出形成された嵌合突起115とを有している。
また、スカート壁111の一部には、スカート壁111の側方を貫通するとともに上方を開放する側方開放部113と、側方開放部113に対向する位置でスカート壁111の側方を貫通するとともに上方を開放する操作開放部114とが設けられている。
【0019】
側方開放部113の下端のスカート壁111には、第1てこ部材120を回動可能に保持する第1受入部116が設けられ、操作開放部114の下端のスカート壁111には、第2てこ部材130を回動可能に保持する第2受入部117が設けられている。
【0020】
第1てこ部材120は、手や指等で押下操作される第1押下部121と、第1受入部116に回動可能に保持される第1接続部122と、第1押下部121と第1接続部122とを繋ぐ第1連接部123とを有し、第1連接部123の中央部には、第1連接部123を上下方向に貫通する第1挿通孔124が設けられている。
第2てこ部材130は、第1連接部123に当接して押下される第2押下部131と、第2受入部117に回動可能に保持される第2接続部132と、第2押下部131と第2接続部132とを繋ぐ第2連接部133とを有し、第2連接部133の中央部には、第2連接部133を上下方向に貫通する第2挿通孔134が設けられている。
【0021】
ノズル部材140は、下部にステムSが嵌合するステム嵌合部141と、内容物を噴射する噴射口143と、ステム嵌合部141と噴射口143とを繋ぐ噴射流路142と、ノズル部材140の下部外周面から半径方向外方に突出形成されたノズル押下部144とを有している。
【0022】
次に、本発明の一実施形態に係る内容物噴射アクチュエータ100の容器Cへの装着手順と、ステムSの押下操作手順について、図4乃至図7に基づいて説明する。
【0023】
まず、ステムSにノズル部材140のステム嵌合部141を嵌合させる。
次に、第1てこ部材120の第1接続部122を第1受入部116に保持するとともに、第2てこ部材130の第2接続部132を第2受入部117に保持した本体部110を、嵌合突起115がマウンティングカップMの下端に係合するように容器Cの上方から嵌合固定する。
【0024】
このとき、ノズル部材140を、第1てこ部材120の第1挿通孔124および第2てこ部材130の第2挿通孔134を通るように位置を合わせるとともに、噴射口143の向きが側方開放部113側を向くように本体部110の向きを合わせて本体部110を嵌合させる。
また、第1てこ部材120は、第1押下部121の上面が水平になるように配置することで、手や指等を第1押下部121に添えやすく、手や指で第1押下部121を簡単に下方に押し下げて操作することができる。
【0025】
さらに、第1押下部121の上端およびノズル部材140の上端が、押下制限部112よりも下方に位置するように配置することで、指や手などによる内容物噴射アクチュエータ100の上方からの意図しない接触や、床への落下時に押下制限部112が手や指や床などに接触するため、第1押下部121やノズル部材140が操作されることはなく、内容物の誤噴射を防止できる。
また、第1てこ部材120を操作していない状態で、ノズル部材140の上端が、第1押下部121の上端よりも低くなるように配置することで、ノズル部材140に指や手を引っ掛けてしまってエアゾール製品Pを倒すようなことがなく、不意にノズル部材140に触れて内容物が誤噴射してしまうことも防止できる。
【0026】
さらに、本体部110の最外径は、容器Cの最外径よりも小さく、第1てこ部材120、第2てこ部材130、ノズル部材140を本体部110の最外径よりも内方に配置することにより、内容物噴射アクチュエータ100が容器Cの側方に飛び出すことがなく、効率的な整列保管、配送に有利でコストアップを抑制できるだけでなく、第1押下部121やノズル部材140が本体部110の外周面から飛び出している場合に比べて、手や指を第1押下部121やノズル部材140等に引っ掛けてエアゾール製品Pを倒すようなことがない。
また、局所的に突出する箇所がないため、エアゾール製品Pにシュリンク包装する際に包装材料の消費量が少なくなるとともに、シュリンク破れ等の不具合の発生も抑制することができる。
なお、本体部110の最外径は、容器Cの最外径以下に形成されていればよく、本体部110の最外径を容器Cの最外径と同じにすれば、本体部110と容器Cとの間の段差を最小限にでき、シュリンク破れ等の不具合の発生をより一層抑制することもできる。
【0027】
次に、本発明の一実施形態に係る内容物噴射アクチュエータ100による、ステムSの押下操作手順について説明する。
【0028】
まず、第1てこ部材120の第1押下部121を手や指等で下方に押下すると、図5に示すように、第1てこ部材120は第1接続部122の中心軸T1を回転中心として時計回りに回動する。
このとき、第1連接部123は第2てこ部材130の第2押下部131に当接しているため、第1てこ部材120の回動によって第2押下部131も押下され、第2てこ部材130は第2接続部132の中心軸T2を回転中心として反時計回りに回動する。
【0029】
さらに、第2連接部133はノズル部材140のノズル押下部144に当接しているため、第2てこ部材130の回動によってノズル押下部144は押下され、ノズル部材140はステムSを押し下げる。
【0030】
このように、第1てこ部材120および第2てこ部材130を介した2重てこ機構を用いることで、力の弱い子供や高齢者等でも簡単にノズル部材140に嵌合したステムSを押し下げて内容物を噴射することができる。
これによって、ステムSから容器C内の加圧された内容物を取り出すことができ、内容物はノズル部材140の噴射流路142を通って噴射口143から噴射される。
【0031】
噴射口143から噴射された内容物は、本体部110の側方開放部113を通って内容物噴射アクチュエータ100外へ噴射され、目標の塗布対象や空間に噴射される。
内容物は、内容物の種類や容器内を加圧する噴射剤の種類、噴射口の形状等によって様々な形態で噴射され、噴射形態は特に限定されないが、例えば、霧状、泡沫状、ジェット状等の噴射形態がある
このとき、側方開放部113はノズル部材140を挟んで操作開放部114と対向する位置に形成されているため、押下操作している指や手に内容物が噴射されてしまうことがなく、安全に使用できる。
【0032】
なお、第1連接部123と第2押下部131との当接点T3は、第1てこ部材120および第2てこ部材130の位置関係によって変化するとともに、第1連接部123から第2押下部131へ伝達する力の向きも、図6に示す力Naと図7に示す力Ncのように変化し、また、第2連接部133からノズル押下部144へ伝達する力の向きも、図6に示す力Nbと図7に示す力Ndのように変化する。
【0033】
ここで、第1連接部123から第2押下部131へ伝達する力Naおよび力Ncを比較すると、力Ncの方がステムSの押下方向により近い向きで力を伝達できることがわかる。
また、第2連接部133からノズル押下部144へ伝達する力Nbおよび力Ndを比較すると、力Ndの方がステムSの押下方向により近い向きで力を伝達できることがわかる。
ステムSは内部に設けられたスプリング(図示しない)によってステムSの押下方向と逆向きに付勢されているため、ステムSは押し下げられるほどスプリング(図示しない)が圧縮されて反発力が上昇する。
【0034】
しかし、第1押下部121を最も押し下げた位置での第2連接部133からノズル押下部144へ伝達する力Ndの向きが、力Nbの向きよりもステムSの押下方向により近づくため、第1押下部121を押下する力を強くしなくても、第1押下部121の押下を始めた際に受ける抵抗と同程度の抵抗に対して第1押下部121を押下でき、簡単且つ十分にステムSを押し下げることができる。
【0035】
また、第1押下部121が押下される前の状態において、図5に示すように、第1接続部122の中心点T1から第1連接部123と第2押下部131との当接点T3を通る直線と、第2接続部132の中心点T2から第1連接部123と第2押下部131との当接点T3を通る直線とがなす鋭角Dの角度が45度以下であると、第1てこ部材120から第2てこ部材130への、ステムSの押下方向への力を強く伝達しやすくなり、指や手で大きな力をかけることなく第1押下部121を押下操作して内容物を噴射することができる。
【0036】
また、ノズル押下部144をノズル部材140の下部に配置することで、ノズル押下部144を直接押下する第2てこ部材130と、第2てこ部材130を直接押下する第1てこ部材120の位置も低くすることができるため、内容物噴射アクチュエータ100全体の高さを低くすることができ、内容物噴射アクチュエータ全体をコンパクトに構成することができる。
【0037】
以上、本発明の一実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0038】
なお、上述した実施形態では、本体部には押下制限部が設けられているものとして説明したが、本体部の構成はこれに限定されず、例えば、押下制限部がなくてもよく、押下制限部が第1押下部の上面よりも低くてもよい。
また、上述した実施形態では、本体部には側方開放部および操作開放部が設けられているものとして説明したが、本体部の構成はこれに限定されず、例えば、側方開放部や操作開放部を設けずに、噴射口が本体部よりも上方に配置されていてもよい。
【0039】
また、上述した実施形態では、ノズル部材は、第1てこ部材の第1挿通孔および第2てこ部材の第2挿通孔を通るように配置されているものとして説明したが、第1てこ部材および第2てこ部材の構成はこれに限定されず、例えば、ノズル部材を避けるように第1連接部および第2連接部を第1接続部および第2接続部からY字状に形成し、2つの第1押下部および第2押下部をそれぞれの端部に設けてもよい。
【符号の説明】
【0040】
100 ・・・ 内容物噴射アクチュエータ
110 ・・・ 本体部
111 ・・・ スカート壁
112 ・・・ 押下制限部
113 ・・・ 側方開放部
114 ・・・ 操作開放部
115 ・・・ 嵌合突起
116 ・・・ 第1受入部
117 ・・・ 第2受入部
120 ・・・ 第1てこ部材
121 ・・・ 第1押下部
122 ・・・ 第1接続部
123 ・・・ 第1連接部
124 ・・・ 第1挿通孔
130 ・・・ 第2てこ部材
131 ・・・ 第2押下部
132 ・・・ 第2接続部
133 ・・・ 第2連接部
134 ・・・ 第2挿通孔
140 ・・・ ノズル部材
141 ・・・ ステム嵌合部
142 ・・・ 噴射流路
143 ・・・ 噴射口
144 ・・・ ノズル押下部
C ・・・ 容器(エアゾール容器)
Cb ・・・ 容器胴部
Cs ・・・ 容器肩部
Cm ・・・ 容器口部
P ・・・ エアゾール製品
S ・・・ ステム
M ・・・ マウンティングカップ
T1 ・・・ 第1接続部の中心軸(中心点)
T2 ・・・ 第2接続部の中心軸(中心点)
T3 ・・・ 第1連接部と第2押下部との接点
D ・・・ T1とT3を通る直線とT2とT3を通る直線とがなす鋭角の角度
Na、Nc ・・・ 第1連接部から第2押下部に伝わる力
Nb、Nd ・・・ 第2連接部からノズル押下部に伝わる力

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7