IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士重工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-車外環境検出システムおよび車両 図1
  • 特開-車外環境検出システムおよび車両 図2
  • 特開-車外環境検出システムおよび車両 図3
  • 特開-車外環境検出システムおよび車両 図4A
  • 特開-車外環境検出システムおよび車両 図4B
  • 特開-車外環境検出システムおよび車両 図4C
  • 特開-車外環境検出システムおよび車両 図4D
  • 特開-車外環境検出システムおよび車両 図5A
  • 特開-車外環境検出システムおよび車両 図5B
  • 特開-車外環境検出システムおよび車両 図6
  • 特開-車外環境検出システムおよび車両 図7
  • 特開-車外環境検出システムおよび車両 図8
  • 特開-車外環境検出システムおよび車両 図9
  • 特開-車外環境検出システムおよび車両 図10
  • 特開-車外環境検出システムおよび車両 図11
  • 特開-車外環境検出システムおよび車両 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055137
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】車外環境検出システムおよび車両
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240411BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G08G1/09 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161816
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 英明
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA05
5H181AA21
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC04
5H181FF05
5H181FF22
5H181FF32
5H181LL06
(57)【要約】
【課題】車外環境をより適切に検出することができる車外環境検出システムを得る。
【解決手段】本発明の一実施の形態に係る車外環境検出システムは、周囲を撮像可能な撮像部と、撮像部の撮像結果に基づいて周囲の人物の移動手段を判別可能であり、移動手段に基づいて人物の移動速度を推定可能であり、人物の移動速度に基づいて人物が交差点に到達する到達時刻を算出することが可能な第1の処理回路と、到達時刻についてのデータを含む通知データを送信可能な第1の通信回路とを有する第1の車両と、通知データを受信可能な第2の通信回路と、通知データに含まれる到達時刻についてのデータに基づいて、自車両と人物との干渉可能性を算出可能であり、干渉可能性が高い場合に乗員に警告を行うことが可能な第2の処理回路とを有する第2の車両とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲を撮像可能な撮像部と、前記撮像部の撮像結果に基づいて周囲の人物の移動手段を判別可能であり、前記移動手段に基づいて前記人物の移動速度を推定可能であり、前記人物の前記移動速度に基づいて前記人物が交差点に到達する到達時刻を算出することが可能な第1の処理回路と、前記到達時刻についてのデータを含む通知データを送信可能な第1の通信回路とを有する第1の車両と、
前記通知データを受信可能な第2の通信回路と、前記通知データに含まれる前記到達時刻についてのデータに基づいて、自車両と前記人物との干渉可能性を算出可能であり、前記干渉可能性が高い場合に乗員に警告を行うことが可能な第2の処理回路とを有する第2の車両と
を備えた車外環境検出システム。
【請求項2】
前記第1の処理回路は、
前記移動手段が歩行である場合には、前記移動速度が第1の移動速度であると推定可能であり、
前記移動手段が軽車両である場合には、前記移動速度が前記第1の移動速度よりも速い第2の移動速度であると推定可能である
請求項1に記載の車外環境検出システム。
【請求項3】
前記第1の処理回路は、
前記移動手段が歩行である場合において、前記人物の身長を検出可能であり、
前記人物の前記身長に基づいて前記人物の前記移動速度を推定可能である
請求項1に記載の車外環境検出システム。
【請求項4】
前記第1の処理回路は、前記人物の移動方向を検出可能であり、
前記通知データは、前記人物の移動方向についてのデータを含み、
前記第2の処理回路は、前記通知データに含まれる前記人物の前記移動方向についてのデータに基づいて、前記人物の前記交差点への侵入方向についての情報を提示しつつ、前記乗員に警告を行うことが可能である
請求項1に記載の車外環境検出システム。
【請求項5】
周囲を撮像可能な撮像部と、
前記撮像部の撮像結果に基づいて周囲の人物の移動手段を判別可能であり、前記移動手段に基づいて前記人物の移動速度を推定可能であり、前記人物の前記移動速度に基づいて前記人物が交差点に到達する到達時刻を算出することが可能な第1の処理回路と、
前記到達時刻についてのデータを含む通知データを送信可能な第1の通信回路と
を備えた車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の外部の環境を検出する車外環境検出システム、およびそのような車外環境検出システムに用いられる車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両では、車外の人物などの車外環境を検出し、検出結果を乗員に通知するものがある。例えば、特許文献1には、車外環境に基づいてリスクを評価する車両についての技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-177494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような車両では、適切に車外環境を検出することが望まれており、車外環境をより適切に検出することが期待されている。
【0005】
車外環境をより適切に検出することができる車外環境検出システムおよび車両を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施の形態に係る車外環境検出システムは、第1の車両と、第2の車両とを備えている。第1の車両は、撮像部と、第1の処理回路と、第1の通信回路とを有している。撮像部は、周囲を撮像可能なものである。第1の処理回路は、撮像部の撮像結果に基づいて周囲の人物の移動手段を判別可能であり、移動手段に基づいて人物の移動速度を推定可能であり、人物の移動速度に基づいて人物が交差点に到達する到達時刻を算出することが可能なものである。第1の通信回路は、到達時刻についてのデータを含む通知データを送信可能なものである。第2の車両は、第2の通信回路と、第2の処理回路とを有している。第2の通信回路は、通知データを受信可能なものである。第2の処理回路は、通知データに含まれる到達時刻についてのデータに基づいて、自車両と人物との干渉可能性を算出可能であり、干渉可能性が高い場合に乗員に警告を行うことが可能なものである。
【0007】
本開示の一実施の形態に係る車両は、撮像部と、第1の処理回路と、第1の通信回路とを備えている。撮像部は、周囲を撮像可能なものである。第1の処理回路は、撮像部の撮像結果に基づいて周囲の人物の移動手段を判別可能であり、移動手段に基づいて人物の移動速度を推定可能であり、人物の移動速度に基づいて人物が交差点に到達する到達時刻を算出することが可能なものである。第1の通信回路は、到達時刻についてのデータを含む通知データを送信可能なものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一実施の形態に係る車外環境検出システムおよび車両によれば、車外環境をより適切に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施の形態に係る車外環境検出システムの一構成例を表す構成図である。
図2図1に示した車外環境検出システムの一動作例を表す説明図である。
図3図1に示した車両の一構成例を表すブロック図である。
図4A図1に示した車外環境検出システムの一動作例を表すフローチャートである。
図4B図1に示した車外環境検出システムの一動作例を表す他のフローチャートである。
図4C図1に示した車外環境検出システムの一動作例を表す他のフローチャートである。
図4D図1に示した車外環境検出システムの一動作例を表す他のフローチャートである。
図5A図1に示した車外環境検出システムの一動作例を表す他の説明図である。
図5B図1に示した車外環境検出システムの一動作例を表す他の説明図である。
図6図1に示した通知データの一構成例を表す説明図である。
図7図1に示した車外環境検出システムの一動作例を表す他のフローチャートである。
図8図1に示した車外環境検出システムの一動作例を表す他の説明図である。
図9図1に示した車外環境検出システムの一動作例を表す他の説明図である。
図10図1に示した車外環境検出システムの一動作例を表す他の説明図である。
図11】変形例に係る車両の一構成例を表すブロック図である。
図12】他の変形例に係る通知データの一構成例を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
<実施の形態>
[構成例]
図1は、一実施の形態に係る車外環境検出システム(車外環境検出システム1)の一構成例を表すものである。車外環境検出システム1は、複数の車両10(この例では2台の車両10A,10B)を有している。車両10は、自動車などの車両である。図2は、車外環境検出システム1の一動作例を表すものである。
【0012】
車外環境検出システム1では、車両10Aは、例えば、交差点100に向かって移動している人物90を検出し、その人物90が交差点100に到達する時刻(到達時刻)を推定する。車両10Aは、車車間通信を行うことにより、この到達時刻のデータを含む通知データDTを周囲の車両に送信する。車両10Bは、この通知データDTを受信し、この通知データDTに基づいて、人物90が交差点100に向かって移動していることを把握する。そして、車両10Bは、車両10Bがこの人物90と干渉する可能性(干渉可能性)を推定し、干渉する可能性が高い場合には車両10Bの乗員に警告する。これにより、車外環境検出システム1では、例えば、交差点100が見通しの悪い交差点であり、車両10Bが人物90を直接検出できない場合でも、車両10Bは、この通知データDTに基づいてその人物90の存在を把握することができるようになっている。
【0013】
図3は、車両10の一構成例を表すものである。車両10A,10Bのそれぞれは、図3に示したように構成される。車両10は、ナビゲーション部11と、撮像部14と、通信部15と、ユーザインタフェース16と、処理部20とを備えている。
【0014】
ナビゲーション部11は、車両10が走行すべき目的地までのルート(予定走行ルート)を決定するとともに、運転者に情報を提供することにより、決定したルートに沿って車両10を誘導するように構成される。ナビゲーション部11は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信部12と、ナビゲーション処理部13とを有している。GNSS受信部12は、GPS(Global Positioning System)などのGNSSを用いて、地上での車両10の位置を取得するように構成される。ナビゲーション処理部13は、道路地図についての情報を含む地図情報データベースを用いて、車両10の予定走行ルートを決定する。ナビゲーション処理部13は、例えば、地図情報データベースを記憶する記憶部を有し、記憶部に記憶された地図情報データベースを用いて予定走行ルートを決定してもよいし、例えば地図情報データベースが記憶されたネットワークサーバと通信を行う通信部を有し、このネットワークサーバから取得した情報に基づいて予定走行ルートを決定してもよい。ナビゲーション部11は、例えば、ドライバがユーザインタフェース16(後述)を操作することにより入力した目的地についての情報に基づいて目的地までの予定走行ルートを決定し、決定したルートについての情報を、このユーザインタフェース16を用いて運転者に提供する。また、ナビゲーション処理部13は、地図情報データベースに基づいて、車両10の位置や車両10の周囲の交差点についてのデータを処理部20に供給するようになっている。
【0015】
撮像部14は、車両10の周囲を撮像することにより撮像画像を生成するように構成される。撮像部14は、この例では、車両10の前方を撮像するステレオカメラを有している。なお、これに限定されるものではなく、車両10の前方を撮像する単眼カメラを有してもよい。また、撮像部14は、さらに、車両10の側方や後方を撮像するカメラを有していてもよい。そして、撮像部14は、撮像画像を処理部20に供給するようになっている。
【0016】
通信部15は、車両10の周囲の車両と車車間通信を行うように構成される。具体的には、通信部15は、例えば、V2X(Vehicle to Everything)通信や、セルラーネットワーク(移動体通信)などを用いて、車両10の周囲の車両と通信を行うようになっている。
【0017】
ユーザインタフェース16は、例えば、表示パネル、タッチパネル、各種ボタンなどを有し、ユーザの操作を受け付けるとともに、ユーザへ情報を提供するように構成される。
【0018】
処理部20は、ナビゲーション部11および撮像部14から供給されたデータに基づいて通知データDTを生成し、この通知データDTを通信部15に送信させる処理や、通信部15が受信した通知データDTに基づいて乗員に警告を行う処理を実行するように構成される。処理部20は、例えば、1または複数のプロセッサや、1または複数のメモリなどを含んで構成される。処理部20は、交差点検出部21と、人物検出部22と、到達時刻推定部23と、通知データ生成部24と、干渉可能性推定部25と、警告処理部26とを有している。
【0019】
交差点検出部21は、ナビゲーション部11から供給されたデータに基づいて、車両10の周囲の交差点を検出するように構成される。
【0020】
人物検出部22は、撮像部14から供給された撮像画像に基づいて、交差点の近くの人物を検出するとともに、その人物の移動手段を検出し、その人物の移動速度を推定するように構成される。
【0021】
到達時刻推定部23は、人物検出部22により検出された人物が、交差点検出部21により検出された交差点に到達する到達時刻を推定するように構成される。
【0022】
通知データ生成部24は、到達時刻推定部23が推定した到達時刻についてのデータを含む通知データDTを生成するように構成される。
【0023】
干渉可能性推定部25は、通信部15が受信した通知データDTに基づいて、交差点において、車両10が人物と干渉する可能性(干渉可能性)を推定するように構成される。
【0024】
警告処理部26は、干渉可能性推定部25により算出された干渉可能性が高い場合に、車両10の乗員に対して警告を行うように構成される。具体的には、警告処理部26は、例えば、ユーザインタフェース16が、乗員に対して、交差点において車両10が人物と干渉する可能性が高いことを示す情報を提示するように、ユーザインタフェース16の動作を制御するようになっている。
【0025】
ここで、車両10Aは、本開示における「第1の車両」の一具体例に対応する。車両10Aの撮像部14は、本開示における「イメージセンサ」の一具体例に対応する。車両10Aの処理部20は、本開示における「第1の処理回路」の一具体例に対応する。車両10Aの通信部15は、本開示における「第1の通信回路」の一具体例に対応する。
【0026】
車両10Bは、本開示における「第2の車両」の一具体例に対応する。車両10Bの通信部15は、本開示における「第2の通信回路」の一具体例に対応する。車両10Bの処理部20は、本開示における「第2の処理回路」の一具体例に対応する。
【0027】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の車外環境検出システム1の動作および作用について説明する。
【0028】
(全体動作概要)
まず、図1~3を参照して、車外環境検出システム1の動作を説明する。
【0029】
車両10Aにおいて、交差点検出部21は、車両10Aのナビゲーション部11から供給されたデータに基づいて、車両10Aの周囲の交差点を検出する。人物検出部22は、車両10Aの撮像部14から供給された撮像画像に基づいて、人物を検出するとともに、その人物の移動手段を検出し、その人物の移動速度を推定する。到達時刻推定部23は、人物検出部22により検出された人物が交差点検出部21により検出された交差点に到達する到達時刻を推定する。通知データ生成部24は、到達時刻推定部23が推定した到達時刻についてのデータを含む通知データDTを生成する。そして、通信部15は、この通知データDTを周囲の車両10に送信する。
【0030】
車両10Bにおいて、通信部15は、車両10Aから送信された通知データDTを受信する。交差点検出部21は、車両10Bのナビゲーション部11から供給されたデータに基づいて、車両10Bの周囲の交差点を検出する。干渉可能性推定部25は、通信部15が受信した通知データDTに基づいて、交差点検出部21が検出した交差点において、車両10Bが人物と干渉する可能性(干渉可能性)を算出する。警告処理部26は、干渉可能性推定部25により算出された干渉可能性が高い場合に、車両10の乗員に対して警告を行う。ユーザインタフェース16は、警告処理部26からの指示に基づいて、乗員に対して、交差点において車両10が人物と干渉する可能性が高いことを示す情報を提示する。
【0031】
(詳細動作)
次に、図2に示したように、車両10Aが人物90を検出することにより通知データDTを生成し、車両10Bがこの通知データDTに基づいて乗員に警告を行う場合を例に挙げて、車外環境検出システム1の動作について詳細に説明する。まず、車両10Aの動作について説明し、その後に車両10Bの動作について説明する。
【0032】
(車両10Aの動作について)
図4A~4Dは、車両10Aの一動作例を表すものである。車両10Aは、図4A~4Dに示した処理を、例えば1秒間に数回などの割合で繰り返し行う。
【0033】
まず、交差点検出部21は、車両10Aが所定のエリアを走行しているかどうかを確認する(ステップS101)。具体的には、交差点検出部21は、ナビゲーション部11から供給された車両10Aの位置についてのデータに基づいて、車両10Aが、例えば市街地エリアなど、交差点において人物と車両が干渉する可能性が高いエリアを走行しているかどうかを確認する。車両10Aが所定のエリアを走行していない場合(ステップS101において“N”)には、この処理は終了する。
【0034】
ステップS101において、車両10Aが所定のエリアを走行している場合(ステップS101において“Y”)には、交差点検出部21は、車両10Aから所定の距離内の領域に交差点があるかどうかを確認する(ステップS102)。具体的には、交差点検出部21は、ナビゲーション部11から供給された車両10Aの位置および車両10Aの周囲の交差点の位置についてのデータに基づいて、車両10Aから所定の距離内の領域に交差点があるかどうかを確認する。車両10Aから所定の距離内の領域に交差点がない場合(ステップS102において“N”)には、この処理は終了する。
【0035】
ステップS102において、車両10Aから所定の距離内の領域に交差点がある場合(ステップS102において“Y”)には、人物検出部22は、車両10Aの周囲に人物がいるかどうかを確認する(ステップS103)。具体的には、人物検出部22は、車両10Aの撮像部14から供給された撮像画像に基づいて、車両10Aの周囲に人物がいるかどうかを確認する。車両10Aの周囲に人物がいない場合(ステップS103において“N”)には、この処理は終了する。
【0036】
ステップS103において、車両10Aの周囲に人物がいる場合(ステップS103において“Y”)には、人物検出部22は、その人物の移動速度を算出することができるかどうかを確認する(ステップS104)。具体的には、人物検出部22は、車両10Aの撮像部14から供給された撮像画像に基づいて、例えば、撮像画像の画質が高いかどうかを確認し、人物が車両10Aから近い位置にいるかどうかを確認し、あるいは車両10Aとその人物との間に障害物がないかどうかを確認することにより、その人物の移動速度を算出することができるかどうかを確認する。人物検出部22が、その人物の移動速度を算出することができない場合(ステップS104において“N”)には、処理はステップS108に進む。
【0037】
人物検出部22が、その人物の移動速度を算出することができる場合(ステップS104において“Y”)には、人物検出部22は、その人物の移動速度を算出するとともに、その移動速度の算出精度を算出する(ステップS105)。
【0038】
具体的には、人物検出部22は、例えば、その人物の画像を含む、撮像タイミングが異なる2枚以上の撮像画像のそれぞれに基づいて、3次元空間におけるその人物の位置をそれぞれ算出する。撮像部14がステレオカメラである場合には、人物検出部22は、ステレオカメラにより得られたステレオ画像における視差に基づいて、車両10Aからその人物までの距離を算出することにより、その人物の位置を算出することができる。また、撮像部14が単眼カメラである場合には、人物検出部22は、その撮像画像、およびナビゲーション部11から供給された位置についてのデータに基づいて、その人物の位置を算出することができる。また、図示していないが、例えば、車両10AがLiDAR(Light Detection And Ranging)センサを有している場合には、人物検出部22は、撮像画像およびこのセンサの検出結果に基づいて車両10Aからその人物までの距離を算出することにより、その人物の位置を算出することができる。人物検出部22は、このようにして、2枚以上の撮像画像のそれぞれに基づいて、3次元空間におけるその人物の位置をそれぞれ算出する。そして、人物検出部22は、2枚以上の撮像画像に基づいてそれぞれ得られたその人物の位置の変化に基づいて、その人物の移動速度を算出することができる。
【0039】
また、人物検出部22は、撮像画像に基づいて、移動速度の算出精度を算出する。すなわち、例えば、夜の時間帯に得られた撮像画像、天候が悪い場合に得られた撮像画像、逆光の環境において得られた撮像画像は画質がやや低いので、移動速度の算出精度が低い。また、例えば、人物が遠くにいる場合には、撮像画像に基づいて人物の位置を特定する精度が低いので、移動速度の算出精度が低い。また、例えば、車両10Aとその人物の間に障害物がある場合には、撮像画像に基づいて人物の位置を特定する精度が低いので、移動速度の算出精度が低い。このように、様々なケースで、移動速度の算出精度が低くなることがあり得る。よって、人物検出部22は、撮像画像に基づいて、移動速度の算出精度を算出する。
【0040】
次に、人物検出部22は、移動速度の算出精度が所定のしきい値以上であるかどうかを確認する(ステップS106)。移動速度の算出精度が所定のしきい値以上である場合(ステップS106において“Y”)には、人物検出部22は、その人物の移動速度を、ステップS105において人物検出部22が算出した移動速度に設定する(ステップS107)。そして、処理はステップS124に進む。
【0041】
ステップS106において、移動速度の算出精度が所定のしきい値以上ではない場合(ステップS106において“N”)には、処理はステップS108に進む。
【0042】
次に、人物検出部22は、人物の移動手段は歩行であるかどうかを確認する(ステップS108)。具体的には、人物検出部22は、車両10Aの撮像部14から供給された撮像画像に基づいて、人物の移動手段が歩行であるかどうかを確認する。
【0043】
このステップS108において、人物の移動手段が歩行である場合(ステップS108において“Y”)には、通知データ生成部24は、移動手段が“歩行”である旨を通知データDTに登録する(ステップS109)。
【0044】
次に、人物検出部22は、その人物の身長を推定する身長推定処理を行う(ステップS110)。具体的には、人物検出部22は、車両10Aの撮像部14から供給された撮像画像に基づいて、身長推定処理を行う。
【0045】
次に、人物検出部22は、ステップS110において人物の身長を推定することが出来たかどうかを確認する(ステップS111)。すなわち、例えば、夜の時間帯に得られた撮像画像、天候が悪い場合に得られた撮像画像、逆光の環境において得られた撮像画像は画質がやや低いので、人物検出部22は人物の身長を推定しにくい。また、例えば、人物が遠くにいる場合には、人物の画像が小さいので、人物検出部22は人物の身長を推定しにくい。また、例えば、車両10Aとその人物の間に障害物がある場合には、その人物の一部の画像が欠落しているので、人物検出部22は人物の身長を推定しにくい。このように、様々なケースで、人物の身長を推定しにくいことがあり得る。よって、人物検出部22は、人物の身長を推定することが出来たかどうかを確認する。
【0046】
人物検出部22が人物の身長を推定することが出来た場合(ステップS111において“Y”)には、人物検出部22は、ステップS110において推定した人物の身長に基づいて移動速度を推定し、通知データ生成部24は、人物の身長を通知データDTに登録する(ステップS112)。具体的には、人物検出部22は、例えば、人物の身長がしきい値以上である場合には、その人物の移動速度を一般的な大人の歩行速度に設定し、人物の身長がしきい値未満である場合には、人物の移動速度を一般的な子供の歩行速度に設定することができる。言い換えれば、人物検出部22は、例えば、人物の身長がしきい値以上である場合には、その人物の移動速度を速い移動速度に設定し、人物の身長がしきい値未満である場合には、人物の移動速度を遅い移動速度に設定することができる。なお、これに限定されるものではなく、人物検出部22は、人物の身長に応じて、より細かく移動速度を設定してもよい。そして、処理はステップS124に進む。
【0047】
人物検出部22が人物の身長を推定することが出来なかった場合(ステップS111において“N”)には、人物検出部22は、人物の移動速度を、所定の移動速度V1に設定する(ステップS113)。この移動速度V1は、例えば、一般的な大人の歩行速度である。そして、処理はステップS124に進む。
【0048】
ステップS108において、人物の移動手段が歩行ではない場合(ステップS108において“N”)には、人物検出部22は、人物の移動手段は自転車であるかどうかを確認する(ステップS114)。具体的には、人物検出部22は、車両10Aの撮像部14から供給された撮像画像に基づいて、人物の移動手段が自転車であるかどうかを確認する。人物の移動手段が自転車である場合(ステップS114において“Y”)には、通知データ生成部24は、移動手段が“自転車”である旨を通知データDTに登録する(ステップS115)。そして、人物検出部22は、人物の移動速度を、所定の移動速度V2に設定する(ステップS116)。この移動速度V2は、例えば、一般的な自転車の走行速度であり、移動速度V1よりも速い速度である。そして、処理はステップS124に進む。
【0049】
ステップS114において、人物の移動手段が自転車ではない場合(ステップS114において“N”)には、人物検出部22は、人物の移動手段はシニアカーであるかどうかを確認する(ステップS117)。具体的には、人物検出部22は、車両10Aの撮像部14から供給された撮像画像に基づいて、人物の移動手段がシニアカーであるかどうかを確認する。人物の移動手段がシニアカーである場合(ステップS117において“Y”)には、通知データ生成部24は、移動手段が“シニアカー”である旨を通知データDTに登録する(ステップS118)。そして、人物検出部22は、人物の移動速度を、所定の移動速度V3に設定する(ステップS119)。この移動速度V3は、例えば、一般的なシニアカーの走行速度であり、移動速度V1よりも速い速度である。そして、処理はステップS124に進む。
【0050】
ステップS117において、人物の移動手段がシニアカーではない場合(ステップS114において“N”)には、人物検出部22は、人物の移動手段はスケートボードなどのボード類であるかどうかを確認する(ステップS120)。具体的には、人物検出部22は、車両10Aの撮像部14から供給された撮像画像に基づいて、人物の移動手段がボード類であるかどうかを確認する。人物の移動手段がボード類である場合(ステップS120において“Y”)には、通知データ生成部24は、移動手段が“ボード類”である旨を通知データDTに登録する(ステップS121)。そして、人物検出部22は、人物の移動速度を、所定の移動速度V4に設定する(ステップS122)。この移動速度V4は、例えば、一般的なスケートボードの走行速度であり、移動速度V1よりも速い速度である。そして、処理はステップS124に進む。
【0051】
ステップS120において、人物の移動手段がボード類ではない場合(ステップS120において“N”)には、人物検出部22は、人物の移動速度を、所定の移動速度V5に設定する(ステップS123)。そして、処理はステップS124に進む。
【0052】
次に、人物検出部22は、車両10Aから人物までの距離を推定する距離推定処理を行う(ステップS124)。具体的には、人物検出部22は、車両10Aの撮像部14から供給された撮像画像に基づいて、車両10Aから人物までの距離を推定する。撮像部14がステレオカメラである場合には、人物検出部22は、ステレオカメラにより得られたステレオ画像における視差に基づいて、車両10Aから人物までの距離を推定することができる。また、撮像部14が単眼カメラである場合には、人物検出部22は、その撮像画像、およびナビゲーション部11から供給された位置についてのデータに基づいて、車両10Aから人物までの距離を推定することができる。また、図示していないが、例えば、車両10AがLiDARセンサを有している場合には、人物検出部22は、このセンサの検出結果に基づいて、車両10Aから人物までの距離を推定することができる。
【0053】
次に、人物検出部22は、ステップS124において車両10Aから人物までの距離を推定することが出来たかどうかを確認する(ステップS125)。すなわち、例えば、夜の時間帯に得られた撮像画像、天候が悪い場合に得られた撮像画像、逆光の環境において得られた撮像画像は画質がやや低いので、人物検出部22は距離を推定しにくい。また、例えば、人物が遠くにいる場合には、測距精度が低下するので、人物検出部22は距離を推定しにくい。また、例えば、車両10Aとその人物の間に障害物がある場合には、その人物の一部の画像が欠落しているので、人物検出部22は距離を推定しにくい。このように、様々なケースで、距離を推定しにくいことがあり得る。よって、人物検出部22は、ステップS124において距離を推定することが出来たかどうかを確認する。距離を推定することが出来なかった場合(ステップS125において“N”)には、この処理は終了する。
【0054】
車両10Aから人物までの距離を推定することが出来た場合(ステップS125において“Y”)には、人物検出部22は、人物の顔面を検出する顔面検出処理を行う(ステップS126)。具体的には、人物検出部22は、車両10Aの撮像部14から供給された撮像画像に基づいて、人物の顔の画像が含まれるかどうかを判断することにより、顔面検出処理を行う。
【0055】
ステップS126において、人物検出部22が、その人物の顔面を検出した場合(ステップS127において“Y”)には、通知データ生成部24は、人物の移動方向が車両10Aに向かう方向である旨を、通知データDTに登録する(ステップS128)。すなわち、図5Aに示すように、人物検出部22が、その人物90の顔面を検出した場合には、その人物は車両10Aの方向を向いている。よって、通知データ生成部24は、人物90の移動方向が車両10Aに向かう方向である旨を、通知データDTに登録する。そして、処理はステップS130に進む。
【0056】
また、ステップS126において、人物検出部22が、その人物の顔面を検出しなかった場合(ステップS127において“N”)には、通知データ生成部24は、人物の移動方向が車両10Aから離れる方向である旨を、通知データDTに登録する(ステップS129)。すなわち、図5Bに示すように、人物検出部22が、その人物90の顔面を検出しなかった場合には、その人物は車両10Aの方向とは反対の方向を向いている。よって、通知データ生成部24は、人物90の移動方向が車両10Aから離れる方向である旨を、通知データDTに登録する。そして、処理はステップS130に進む。
【0057】
次に、到達時刻推定部23は、車両10Aから交差点までの距離を推定する距離推定処理を行う(ステップS130)。具体的には、到達時刻推定部23は、ナビゲーション部11から供給された車両10Aの位置および交差点の位置についてのデータに基づいて、車両10Aから交差点までの距離を推定する。
【0058】
次に、到達時刻推定部23は、人物と交差点との間の距離を算出し、通知データ生成部24は、この距離を通知データDTに登録する(ステップS131)。具体的には、到達時刻推定部23は、ステップS124において人物検出部22により得られた、車両10Aから人物までの距離と、ステップS130において到達時刻推定部23により得られた、車両10Aから交差点までの距離との差を算出することにより、人物と交差点との間の距離を算出する。そして、通知データ生成部24は、この距離を通知データDTに登録する。
【0059】
次に、到達時刻推定部23は、人物が交差点に到達する到達時刻を推定し、通知データ生成部24は、この到達時刻を通知データDTに登録する(ステップS132)。具体的には、到達時刻推定部23は、ステップS131において得られた人物と交差点との間の距離を、ステップS112,S113,S116,S119,S122,S123のいずれかにより得られたその人物の移動速度で除算することにより、現時点から、人物が交差点に到達するまでの時間を算出する。そして、到達時刻推定部23は、この算出結果と、現在の時刻とに基づいて、人物が交差点に到達する到達時刻を算出する。そして、通知データ生成部24は、この到達時刻を通知データDTに登録する。
【0060】
次に、通知データ生成部24は、車両10Aの走行方向を通知データDTに登録する(ステップS133)。具体的には、通知データ生成部24は、ナビゲーション部11から供給された車両10Aの位置についてのデータに基づいて、地図上における車両10Aの走行方向の方位角を算出し、この走行方向の方位角を通知データDTに登録する。方位角は、例えば、北方向が0度、東方向が90度、南方向が180度、西方向が270度として定義される。
【0061】
次に、通知データ生成部24は、交差点の識別情報を通知データDTに登録する(ステップS133)。具体的には、通知データ生成部24は、ナビゲーション部11から供給された、ステップS102において検出された交差点を特定することができる識別情報を、通知データDTに登録する。交差点の識別情報は、例えば、この交差点の地図上の座標データ(緯度および経度)であってもよいし、交差点に割り当てられた識別子であってもよい。
【0062】
そして、通信部15は、この通知データDTを、車両10Aの周囲の車両に送信する(ステップS135)。
【0063】
以上で、この処理は終了する。
【0064】
図6は、通知データDTの一構成例を表すものである。
【0065】
例えば、ステップS109において、通知データ生成部24が、移動手段が“歩行”である旨を通知データDTに登録すると、通知データDTにおいて、“移動手段:歩行”のパラメータが“01”に設定される。この場合、例えば、ステップS112において、通知データ生成部24が、人物の身長を通知データDTに登録すると、通知データDTにおいて、“身長”のパラメータがその人物の身長(この例では180cm)に設定される。
【0066】
例えば、ステップS114において、通知データ生成部24が、移動手段が“自転車”である旨を通知データDTに登録すると、通知データDTにおいて、“移動手段:自転車”のパラメータが“01”に設定される。例えば、ステップS118において、通知データ生成部24が、移動手段が“シニアカー”である旨を通知データDTに登録すると、通知データDTにおいて、“移動手段:シニアカー”のパラメータが“01”に設定される。例えば、ステップS121において、通知データ生成部24が、移動手段が“ボード類”である旨を通知データDTに登録すると、通知データDTにおいて、“移動手段:ボード類”のパラメータが“01”に設定される。
【0067】
例えば、ステップS128において、通知データ生成部24が、人物の移動方向が車両10Aに向かう方向である旨を、通知データDTに登録すると、通知データDTにおいて、“人物の移動方向”のパラメータが“01”に設定される。例えば、ステップS129において、通知データ生成部24が、人物の移動方向が車両10Aから離れる方向である旨を、通知データDTに登録すると、通知データDTにおいて、“人物の移動方向”のパラメータが“02”に設定される。
【0068】
例えば、ステップS131において、通知データ生成部24が、人物と交差点との間の距離を通知データDTに登録すると、通知データDTにおいて、“人物の交差点からの距離”のパラメータがその距離(この例では30m)に設定される。
【0069】
例えば、ステップS132において、通知データ生成部24が、人物が交差点に到達する到達時刻を通知データDTに登録すると、通知データDTにおいて、“人物の到達時刻”のパラメータがその時刻(この例では、2022年6月3日16時1分45秒10)に設定される。
【0070】
例えば、ステップS133において、通知データ生成部24が、車両10Aの走行方向を通知データDTに登録すると、通知データDTにおいて、“車両10Aの走行方向”のパラメータがその走行方向(この例では90度)に設定される。ここで、90度は、走行方向が東であることを示す。
【0071】
例えば、ステップS134において、通知データ生成部24が、交差点の識別情報を通知データDTに登録すると、通知データDTにおいて、“交差点の識別情報”のパラメータがこの例では交差点の緯度および経度に設定される。
【0072】
(車両10Bの動作について)
図7は、車両10Bの一動作例を表すものである。車両10Bは、図7に示した処理を、例えば1秒間に数回などの割合で繰り返し行う。
【0073】
まず、交差点検出部21は、車両10Bが所定のエリアを走行しているかどうかを確認する(ステップS201)。具体的には、交差点検出部21は、ナビゲーション部11から供給された車両10Bの位置についてのデータに基づいて、車両10Bが、例えば市街地エリアなど、交差点において人物と車両が干渉する可能性が高いエリアを走行しているかどうかを確認する。車両10Bが所定のエリアを走行していない場合(ステップS201において“N”)には、この処理は終了する。
【0074】
ステップS201において、車両10Bが所定のエリアを走行している場合(ステップS201において“Y”)には、交差点検出部21は、車両10Bから所定の距離内の領域に交差点があるかどうかを確認する(ステップS202)。具体的には、交差点検出部21は、ナビゲーション部11から供給された車両10Bの位置および車両10Bの周囲の交差点の位置についてのデータに基づいて、車両10Bから所定の距離内の領域に交差点があるかどうかを確認する。車両10Bから所定の距離内の領域に交差点がない場合(ステップS202において“N”)には、この処理は終了する。
【0075】
ステップS202において、車両10Bから所定の距離内の領域に交差点がある場合(ステップS202において“Y”)には、通信部15は、通知データDTを受信したかどうかを確認する(ステップS203)。通信部15が通知データDTを受信していない場合(ステップS203において“N”)には、この処理は終了する。
【0076】
ステップS203において、通信部15が通知データDTを受信した場合(ステップS203において“Y”)には、交差点検出部21は、車両10Bの周囲の交差点の識別情報と、通知データDTに含まれる交差点の識別情報とを照合する(ステップS204)。具体的には、交差点検出部21は、ナビゲーション部11から供給された、ステップS202において検出された交差点の識別情報と、通知データDTに含まれる交差点の識別情報とを照合する。これらの識別情報が一致しない場合(ステップS205において“N”)には、この処理は終了する。
【0077】
これらの識別情報が一致した場合(ステップS205において“Y”)には、干渉可能性推定部25は、車両10Bが交差点に到達する到達時刻を推定する(ステップS206)。具体的には、干渉可能性推定部25は、まず、ナビゲーション部11から供給された車両10Bの位置および交差点の位置についてのデータに基づいて、車両10Bから交差点までの距離を推定する。そして、干渉可能性推定部25は、この車両10Bから交差点までの距離を、車両10Bの走行速度で除算することにより、現時点から、車両10B交差点に到達するまでの時間を算出する。そして、干渉可能性推定部25は、この算出結果と、現在の時刻とに基づいて、車両10Bが交差点に到達する到達時刻を算出する。
【0078】
次に、干渉可能性推定部25は、人物が交差点に到達する到達時刻、および車両10Bが交差点に到達する到達時刻に基づいて、干渉可能性を算出する(ステップS207)。具体的には、干渉可能性推定部25は、通知データDTに含まれる、人物が交差点に到達する到達時刻と、ステップS206において推定された、車両10Bが交差点に到達する到達時刻との一致度合いに基づいて、車両10Bおよび人物の干渉可能性を算出する。干渉可能性推定部25は、例えば、これらの到達時刻の差が所定の時間以内である場合に、車両10Bおよび人物が干渉する可能性があると判断する。干渉可能性が無い場合(ステップS208において“N”)には、この処理は終了する。
【0079】
ステップS208において、干渉可能性がある場合(ステップS208において“Y”)には、警告処理部26は、車両10Bの乗員に対して警告を行う(ステップS209)。具体的には、警告処理部26は、ユーザインタフェース16を用いて、車両10Bの乗員に対して、通知データDTに含まれる様々な情報を伝えることにより、人物と干渉する可能性がある旨の警告を行う。
【0080】
具体的には、警告処理部26は、車両10Bの乗員に対して、人物の移動手段を伝えることができる。例えば、警告処理部26は、通知データDTにおいて“移動手段:歩行”のパラメータが“01”である場合には、交差点に歩行者が侵入する旨を伝える。人物の移動手段が自転車である場合、人物の移動手段がシニアカーである場合、人物の移動手段がボード類である場合についても同様である。これにより、車両10Bの乗員は、車両10Bと干渉する可能性がある人物の移動手段を把握することができ、その人物との干渉を特に注意することができる。
【0081】
また、警告処理部26は、車両10Bの乗員に対して、人物が子供であるか大人であるかを伝えることができる。例えば、警告処理部26は、通知データDTにおいて、“身長”のパラメータが所定の値よりも小さい場合には、子供が交差点に進入する旨を伝える。これにより、車両10Bの乗員は、車両10Bと干渉する可能性がある人物が子供であることを把握することができ、例えば急な飛び出しがあり得る子供との干渉を特に注意することができる。
【0082】
また、警告処理部26は、車両10Bの乗員に対して、交差点のどの方向から人物が交差点に進入するかを伝えることができる。
【0083】
図8は、車外環境検出システム1の一動作例を表すものである。この例では、車両10Aが送信した通知データDTにおいて、“車両10Aの走行方向”のパラメータが“90度”であり、“人物の移動方向”が“01”である。車両10Bの警告処理部26は、この“車両10Aの走行方向”のパラメータが“90度”であるので、車両10Aは東に向かって走行していると判断する。そして、警告処理部26は、“人物の移動方向”のパラメータが“01”であるので、その人物が車両10Aに向かって移動しているため、その人物は西に向かって移動していると判断する。よって、車両10Bの警告処理部26は、車両10Bの乗員に対して、人物が東から交差点に進入することを伝える。この例では、車両10Bが北に向かって走行しているので、警告処理部26は、車両10Bの前方の交差点において、人物が右から交差点に進入することを伝えることができる。これにより、車両10Bの乗員は、車両10Bと干渉する可能性がある人物が右から交差点に進入することを把握することができ、右から交差点に進入する人物との干渉を特に注意することができる。
【0084】
また、警告処理部26は、車両10Bの乗員に対して、人物が交差点からどのくらい離れた地点にいるかを伝えることができる。例えば、警告処理部26は、通知データDTにおいて、“人物の交差点からの距離”のパラメータが“30m”である場合には、人物が交差点から30m離れた地点にいることを伝える。図8に示したように、人物が西に向かって移動している場合には、警告処理部26は、人物が、車両10Bの前方の交差点から東方向に30m離れた地点にいることを伝えることができる。これにより、車両10Bの乗員は、車両10Bと干渉する可能性がある人物の位置を把握することができ、その人物との干渉を特に注意することができる。
【0085】
また、警告処理部26は、人物が交差点に到達する到達時刻と、車両10Bが交差点に到達する到達時刻との差に応じて、レベル分けを行い、そのレベルに応じて警告を行うことができる。例えば、警告処理部26は、到達時刻の差がかなり小さいほど、車両10Bの乗員に対してより強く警告を行うことができる。
【0086】
以上で、この処理は終了する。
【0087】
なお、この例では、図2に示したように、車両10Aが車両10Aの前方の人物90を検出する例で説明したが、これに限定されるものではない。例えば、車両10Aの撮像部14が、車両10Aの側方を撮像するカメラを有する場合には、図9に示すように、車両10Aは、車両10Aの側方の人物90を検出することができる。そして、車両10Aは、この人物90が交差点100に到達する時刻(到達時刻)を推定し、この到達時刻のデータを含む通知データDTを周囲の車両(例えば車両10B)に送信する。また、例えば、車両10Aの撮像部14が、車両10Aの後方を撮像するカメラを有する場合には、図10に示すように、車両10Aは、車両10Aの後方の人物90を検出することができる。そして、車両10Aは、この人物90が交差点100に到達する時刻(到達時刻)を推定し、この到達時刻のデータを含む通知データDTを周囲の車両(例えば車両10B)に送信する。
【0088】
また、車両10Aが図4A~4Dに示した処理を行い、車両10Bが図7に示した処理を行う旨記載したが、実際には、車両10Aは、図4A~4Dに示した処理だけでなく、図7に示した処理と同様の処理をも行う。また、車両10Bは、図7に示した処理だけでなく、図4A~4Dに示した処理と同様の処理をも行う。これにより、例えば、車両10Bが人物90を検出することにより通知データDTを生成し、車両10Aがこの通知データDTに基づいて乗員に警告を行うことも可能である。
【0089】
このように、車外環境検出システム1では、第1の車両(車両10A)および第2の車両(車両10B)を設けるようにした。第1の車両(車両10A)は、周囲を撮像可能な撮像部14と、撮像部14の撮像結果に基づいて周囲の人物の移動手段を判別し、移動手段に基づいて人物の移動速度を推定し、人物の移動速度に基づいて人物が交差点に到達する到達時刻を算出する第1の処理回路(処理部20)と、到達時刻についてのデータを含む通知データDTを送信する第1の通信回路(通信部15)とを有するようにした。第2の車両(車両10B)は、通知データDTを受信する第2の通信回路(通信部15)と、通知データDTに含まれる到達時刻についてのデータに基づいて、第2の車両(車両10B)と人物との干渉可能性を算出し、干渉可能性が高い場合に乗員に警告を行う第2の処理回路(処理部20)とを有するようにした。これにより、車外環境検出システム1では、例えば、見通しの悪い交差点に進入する車両10Bが、その交差点付近の人物を直接検出できない場合でも、車両10Bは、車両10Aから送信された通知データDTに基づいてその人物の存在を把握することができる。これにより、車外環境検出システム1では、車外環境をより適切に検出することができる。
【0090】
車外環境検出システム1では、第1の車両(車両10A)の第1の処理回路(処理部20)は、移動手段が歩行である場合には、移動速度が第1の移動速度であると推定し、移動手段が、例えば自転車、シニアカー、ボード類などの軽車両である場合には、移動速度が第1の移動速度よりも速い第2の移動速度であると推定するようにした。これにより、車外環境検出システム1では、例えば、撮像画像の画質が低い場合や、人物が車両10Aから遠い位置にいる場合や、車両10Aとその人物との間に障害物がある場合など、人物の位置を正確に推定できない場合でも、その人物の移動速度を推定することができる。車外環境検出システム1では、この移動速度を用いて到達時刻を推定するので、移動手段に依らない所定の移動速度を用いて到達時刻を推定する場合に比べて、到達時刻の推定精度を高めることができる。これにより、車外環境検出システム1では、車外環境をより適切に検出することができる。
【0091】
車外環境検出システム1では、第1の車両(車両10A)の第1の処理回路(処理部20)は、移動手段が歩行である場合において、人物の身長を検出し、人物の身長に基づいて人物の移動速度を推定するようにした。これにより、車外環境検出システム1では、例えば人物が子供である場合には、移動速度を遅くすることができ、人物が大人である場合には、移動速度を速くすることができる。車外環境検出システム1では、この移動速度を用いて到達時刻を推定するので、身長に依らない所定の移動速度を用いて到達時刻を推定する場合に比べて、到達時刻の推定精度を高めることができる。これにより、車外環境検出システム1では、車外環境をより適切に検出することができる。
【0092】
車外環境検出システム1では、第1の車両(車両10A)の第1の処理回路(処理部20)は、人物の移動方向を検出可能であり、通知データDTは、人物の移動方向についてのデータを含み、第2の車両(車両10B)の第2の処理回路(処理部20)は、通知データDTに含まれる人物の移動方向についてのデータに基づいて、人物の交差点への侵入方向についての情報を提示しつつ、乗員に警告を行う。例えば、図6,8の例では、通知データDTは、“人物の移動方向”のパラメータは、人物が車両10Aに向かって移動していることを示し、“車両10Aの走行方向”のパラメータは、車両10Aが東に向かって走行していることを示す。よって、車両10Bの処理部20は、この通知データDTに基づいて、人物は西に向かって移動していると判断し、車両10Bの乗員に対して、人物が東から交差点に進入することを伝えることにより、車両10Bの乗員に対して警告を行うことができる。これにより、車外環境検出システム1では、車外環境をより適切に検出し、その車外環境を適切に乗員に伝えることができる。
【0093】
[効果]
以上のように本実施の形態では、第1の車両および第2の車両を設けるようにした。第1の車両は、周囲を撮像可能な撮像部と、撮像部の撮像結果に基づいて周囲の人物の移動手段を判別し、移動手段に基づいて人物の移動速度を推定し、人物の移動速度に基づいて人物が交差点に到達する到達時刻を算出する第1の処理回路と、到達時刻についてのデータを含む通知データを送信する第1の通信回路とを有するようにした。第2の車両は、通知データを受信する第2の通信回路と、通知データに含まれる到達時刻についてのデータに基づいて、第2の車両と人物との干渉可能性を算出し、干渉可能性が高い場合に乗員に警告を行う第2の処理回路とを有するようにした。これにより、車外環境をより適切に検出することができる。
【0094】
本実施の形態では、第1の車両の第1の処理回路は、移動手段が歩行である場合には、移動速度が第1の移動速度であると推定し、移動手段が軽車両である場合には、移動速度が第1の移動速度よりも速い第2の移動速度であると推定するようにした。これにより、車外環境をより適切に検出することができる。
【0095】
本実施の形態では、第1の車両の第1の処理回路は、移動手段が歩行である場合において、人物の身長を検出し、人物の身長に基づいて人物の移動速度を推定するようにした。これにより、車外環境をより適切に検出することができる。
【0096】
本実施の形態では、第1の車両の第1の処理回路は、人物の移動方向を検出可能であり、通知データは、人物の移動方向についてのデータを含み、第2の車両の第2の処理回路は、通知データに含まれる人物の移動方向についてのデータに基づいて、人物の交差点への侵入方向についての情報を提示しつつ、乗員に警告を行うようにした。これにより、車外環境検出システム1では、車外環境をより適切に検出し、その車外環境を適切に乗員に伝えることができる。
【0097】
[変形例1]
上記実施の形態では、車両10は、車両10が人物と干渉する可能性(干渉可能性)が高い場合に、車両10の乗員に対して警告を行うようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、図11に示す車両10のように、さらに、車両10の制動制御を行うようにしてもよい。この車両10は、処理部20を有している。処理部20は、走行制御部27を有している。走行制御部27は、干渉可能性推定部25により算出された干渉可能性が高い場合に、車両10の走行制御を行うように構成される。具体的には、走行制御部27は、干渉可能性推定部25により算出された干渉可能性が高い場合に、車両10を減速するようになっている。なお、走行制御部27は、制動制御を行うだけでなく、さらに操舵制御を行うようにしてもよい。
【0098】
[変形例2]
上記実施の形態では、図6に示したように、人物の移動方向を、車両10Aから見た相対的な方向により定義し、通知データDTは、この“人物の移動方向”のパラメータおよび“車両10Aの走行方向”のパラメータを含むようにしたが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、図12に示すように、人物の移動方向を、地図上の方位角により定義してもよい。例えば、図6の例では、“人物の移動方向”のパラメータは、人物が車両10Aに向かって移動していることを示し、“車両10Aの走行方向”のパラメータは、車両10Aが東に向かって走行していることを示す。このことは、この人物は西に向かって移動していることを示す。よって、図12の例では、“人物の移動方向”のパラメータは、西方向を示す方位角“270度”にしている。例えば、車両10Aの人物検出部22は、ステップS126~S129により得られた人物に移動方向、およびステップS133により得られた車両10Aの走行方向に基づいて、人物の移動方向の方位角を算出し、通知データ生成部24は、人物の移動方向の方位角を通知データDTに登録することができる。
【0099】
[その他の変形例]
また、これらの変形例のうちの2以上を組み合わせてもよい。
【0100】
以上、実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0101】
例えば、図6に示した通知データDTは、一例であり、これらのデータのうちの一部が省かれてもよいし、他のデータが追加されてもよい。
【0102】
本明細書中に記載された効果はあくまで例示であり、本開示の効果は、本明細書中に記載された効果に限定されない。よって、本開示に関して、他の効果が得られてもよい。
【0103】
さらに、本開示は、以下の態様を取り得る。
【0104】
(1)
周囲を撮像可能な撮像部と、前記撮像部の撮像結果に基づいて周囲の人物の移動手段を判別可能であり、前記移動手段に基づいて前記人物の移動速度を推定可能であり、前記人物の前記移動速度に基づいて前記人物が交差点に到達する到達時刻を算出することが可能な第1の処理回路と、前記到達時刻についてのデータを含む通知データを送信可能な第1の通信回路とを有する第1の車両と、
前記通知データを受信可能な第2の通信回路と、前記通知データに含まれる前記到達時刻についてのデータに基づいて、自車両と前記人物との干渉可能性を算出可能であり、前記干渉可能性が高い場合に乗員に警告を行うことが可能な第2の処理回路とを有する第2の車両と
を備えた車外環境検出システム。
(2)
前記第1の処理回路は、
前記移動手段が歩行である場合には、前記移動速度が第1の移動速度であると推定可能であり、
前記移動手段が軽車両である場合には、前記移動速度が前記第1の移動速度よりも速い第2の移動速度であると推定可能である
前記(1)に記載の車外環境検出システム。
(3)
前記第1の処理回路は、
前記移動手段が歩行である場合において、前記人物の身長を検出可能であり、
前記人物の前記身長に基づいて前記人物の前記移動速度を推定可能である
前記(1)または(2)に記載の車外環境検出システム。
(4)
前記第1の処理回路は、前記人物の移動方向を検出可能であり、
前記通知データは、前記人物の移動方向についてのデータを含み、
前記第2の処理回路は、前記通知データに含まれる前記人物の前記移動方向についてのデータに基づいて、前記人物の前記交差点への侵入方向についての情報を提示しつつ、前記乗員に警告を行うことが可能である
前記(1)から(3)のいずれかに記載の車外環境検出システム。
(5)
周囲を撮像可能な撮像部と、
前記撮像部の撮像結果に基づいて周囲の人物の移動手段を判別可能であり、前記移動手段に基づいて前記人物の移動速度を推定可能であり、前記人物の前記移動速度に基づいて前記人物が交差点に到達する到達時刻を算出することが可能な第1の処理回路と、
前記到達時刻についてのデータを含む通知データを送信可能な第1の通信回路と
を備えた車両。
【符号の説明】
【0105】
1…車外環境検出システム、10,10A,10B…車両、11…ナビゲーション部、12…GNSS受信部、13…ナビゲーション処理部、14…撮像部、15…通信部、16…ユーザインタフェース、20…処理部、21…交差点検出部、22…人物検出部、23…到達時刻推定部、24…通知データ生成部、25…干渉可能性推定部、26…警告処理部、27…走行制御部。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12