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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024055140
(43)【公開日】2024-04-18
(54)【発明の名称】車両連結装置
(51)【国際特許分類】
   B60D 1/02 20060101AFI20240411BHJP
   B62D 53/00 20060101ALI20240411BHJP
   A01B 59/00 20060101ALN20240411BHJP
【FI】
B60D1/02 Z
B62D53/00 G
A01B59/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161824
(22)【出願日】2022-10-06
(71)【出願人】
【識別番号】522394797
【氏名又は名称】有限会社鹿児島船舶塗装工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100118636
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 淳
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 恭資
【テーマコード(参考)】
2B041
【Fターム(参考)】
2B041AA07
2B041AB05
2B041AB06
2B041AC17
2B041BB12
2B041CA04
2B041CA13
2B041CB04
(57)【要約】
【課題】
車両本体が被牽引車両を牽引して柔らかな地面等の上を走行する際、車両本体や被牽引車両の車輪等が、走行する地面を掘り返したり、走行する地面に穴を掘る等して荒らすことを防止可能な車両連結装置を提供すること。
【解決手段】
車両本体を囲む円形の環状レール31と、被牽引車両から伸びる連結アーム66と、連結アーム66の先端67が挿入された連結箱41と、によって、車両連結装置3を構成し、連結箱41内に、環状レール31の外周面33に沿って接しつつ回転する外輪56を有する第1の転がり軸受55と、環状レール31の内周面32に沿って接しつつ回転する内輪60を有する第2の転がり軸受58と、環状レール31の内周面32に沿って接しつつ回転する内輪63を有する第3の転がり軸受61と、を設ける。
【選択図】 図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動機構を備える車両本体と、車両本体が牽引する被牽引車両と、を連結する車両連結装置であって、
車両本体を取り囲んで装着されている環状レールと、被牽引車両から車両本体に向かって伸びる連結アームと、連結アームの先端側に設けられた連結箱と、を有し、
連結箱は、第1、第2及び第3の転がり軸受を有し、第1の転がり軸受の外輪が、環状レールの外周面に沿って接しつつ回転し、第2の転がり軸受の外輪が、環状レールの内周面に沿って接しつつ回転し、第3の転がり軸受の外輪が、環状レールの内周面に沿って接しつつ回転し、
連結箱は、被牽引車両側に向かって開口する開口部を有し、
連結アームの先端が、開口部から連結箱内に挿入されており、
連結箱内で上下両端を固定された支柱が、連結アームの先端の孔部を、貫通しており、
連結箱内において、連結アームの先端の孔部と、第1の転がり軸受と、環状レールがとが、被牽引車両側から車両本体側に向かって順番に並んで位置し、第2の転がり軸受及び第3の転がり軸受が、環状レールより車両本体側に位置することを特徴とする車両連結装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両連結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
畑で農作物を育成する農家にとって、畑で行う作業は多岐にわたる。かかる作業として、肥料や農薬の散布作業、育てた農作物の間引き作業、実った農作物の収穫作業などがある。例えば、肥料が固形物である場合、散布場所まで肥料を運ばねばならない。また、液状の農薬や肥料を散布する場合、農薬や肥料を入れたタンクと噴霧器を背負い、農薬や肥料を畑に噴霧して回らなければならない。さらに、農作物の収穫作業においては、収穫物を入れる容器を畑の各所に配置し、収穫物が入って重くなった容器を回収する必要がある。
畑で行う作業を効率的に行うことを目的として、様々な農業用作業車が提唱されている(例えば、非特許文献1を参照)。
【0003】
非特許文献1の農業用作業車は、いわゆる4輪駆動の無人車であり、遠隔操作による無人走行を可能に構成されており、畑の中を自由に走行できる。この農業用作業車は、例えば、薬品タンクと噴霧器を搭載可能であり、薬品タンクに入っている薬品を噴霧器によって噴霧しつつ畑の中を走行する。
また、非特許文献1の農業用作業車に、別車両を牽引させたい場合がある。このような要望に応えるため、この農業用作業車に別車両を牽引するための支柱を立設することがなされている(非特許文献2を参照)。
非特許文献2の農業用作業車では、搭載していた薬品タンクと噴霧器を取り外してスペースを確保し、このスペースに、支柱を立設し、立設した支柱の先に別車両を接続している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】川島礼二郎、“世界初の量産型農業用無人車が登場! XAG×バイエル『R150』散布と運搬を自動化”、[online]、アグリジャーナル(AGRI JOURNAL)ホームページ、[令和4年8月29日検索]、インターネット<URL:https://agrijournal.jp/material/62003/>
【非特許文献2】XAG Australia facebook、[online]、[令和4年9月22日検索]、インターネット<URL:https://www.facebook.com/XAGAustralia/photos/pcb.3169800389961242/3169799769961304>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
農家が、非特許文献1の農業用作業車を使って畑に薬品を散布する場合、薬品散布のついでに他の作業を一緒に行いたいと考える場合がある。例えば、薬品散布と同時に、雑草の除去や、農作物の間引き作業を行いたいと考える場合がある。かかる場合、除去した雑草や間引いた農作物をそのまま畑に放置するわけにはいかない。そこで、非特許文献1の農業用作業車の後ろに空車両を牽引させ、この空車両に除去した雑草や間引いた農作物を積み込む。
農業用作業車の後ろに別車両(すなわち、被牽引車両)を連結して牽引する場合、屈曲自在なロープやチェーンなどを連結手段として使う。あるいは、フックなどを連結手段として使うことも可能である。
【0006】
また、非特許文献2の農業用作業車のように、支柱を立設する場合、農業用作業車が搭載していた薬品タンクと噴霧器が取り外して支柱の立設スペースを作らねばならない。この農業用作業車を使って薬品散布を行うとすれば、農業用作業車が牽引する被牽引車両に、薬品タンクと噴霧器を改めて搭載するなどしなければならない。
このようにして、農業用作業車が被牽引車両を牽引する場合、農業用作業車と被牽引車両が同じ方向に直進するのであれば、農業用作業車と被牽引車両の各車輪は、畑の地面の上をスムーズに回転して動く。通常は、これらの車輪が、畑の地面の上でむやみに空回り等することはなく、空回りする車輪が畑の土を掘り返したりすることもない。
【0007】
次に、農業用作業車が進行方向を変え、この結果、農業用作業車に牽引される被牽引車両も進行方向を変える場合を考える。
農業用作業車が進行方向を変えた直後は、通常、被牽引車両の進行方向は、農業用作業車の進行方向と同じ向きになっていない。被牽引車両の進行方向を変える力が、連結手段を支点として、農業用作業車から被牽引車両に働く。畑の地面が柔らかかったり凹凸があったりすると、農業用作業車と被牽引車両との間に働く力は、大きさや方向が一定しにくくなる。その結果として、被牽引車両は、左右に振り動かされることになりやすい。被牽引車両が左右に振り動かされると、被牽引車両の車輪が畑の地面の上を引きずられるように滑り、畑の土が被牽引車両の車輪によって掘り返される。また、被牽引車両が左右に振り動かされると、被牽引車両が農業用作業車にぶつかり、被牽引車両や農業用作業車に損傷が生じる。
【0008】
また、農業用作業車から被牽引車両に力が働くと、結果として、反作用の力が、被牽引車両から農業用作業車に働く。この反作用の力は、農業用作業車が進行方向に進むことを妨げ、農業用作業車の車輪が、畑の地面の上で滑ったり、空回りしたりする原因となり、畑の土を掘り返してしまうことにつながりやすい。
農業用作業車の車輪が、畑の土を掘り返すと、農業用作業車の車輪の周囲に、穴が掘られることとなり、掘られた穴の中に農業用作業車の車輪が落ち込んで空回りをし、さらに穴が大きくなり、農業用作業車が動けなくなってしまうことにつながる。
【0009】
被牽引車両の車輪が、畑の土を掘り返してしまう場合も同様であり、被牽引車両の車輪の周囲に穴が掘られ、掘られた穴の中に被牽引車両の車輪が落ち込んで空回りをし、さらに穴が大きくなり、被牽引車両が動けなくなってしまうことにつながる。
特に、肥沃な畑の土は、柔らかなものであることが多い。このような畑の中を農業用作業車が被牽引車両を牽引して走行する場合、農業用作業車や被牽引車両の車輪が、畑の土を掘り返す等してせっかくの畑を荒らしてしまうおそれがある。
【0010】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、畑等の地面の上を、農業用作業車をはじめとする駆動機構を備える車両本体が、被牽引車両を牽引して走行する際に、車両本体と被牽引車両が安定してスムーズに走行することができ、
車両本体と被牽引車両とがぶつかり合って損傷することを防止することができる車両連結装置を提供することを目的とする。
あわせて、本発明は、畑等の地面の上を、農業用作業車をはじめとする駆動機構を備える車両本体が、被牽引車両を牽引して走行する際に、車両本体や被牽引車両の車輪等が、走行する地面を掘り返したり、地面に穴を掘ってしまい、その地面を荒らしてしまうことを防止し抑制することができる車両連結装置を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、畑等の地面の上を、農業用作業車をはじめとする駆動機構を備える車両本体が、被牽引車両を牽引して走行する際に、被牽引車両を牽引するための支柱を車両本体に立設する必要がなく、被牽引車両を牽引するための支柱の立設スペースを車両本体に確保する必要がなく、被牽引車両を牽引するための支柱の立設スペースのため車両本体が搭載していた機器を取り外す必要もない車両連結装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係る車両連結装置は、以下の構成を有する。
駆動機構を備える車両本体と、車両本体が牽引する被牽引車両と、を連結する車両連結装置であって、車両本体を取り囲んで装着されている環状レールと、被牽引車両から車両本体に向かって伸びる連結アームと、連結アームの先端側に設けられた連結箱と、を有し、連結箱は、第1、第2及び第3の転がり軸受を有し、第1の転がり軸受の外輪が、環状レールの外周面に沿って接しつつ回転し、第2の転がり軸受の外輪が、環状レールの内周面に沿って接しつつ回転し、第3の転がり軸受の外輪が、環状レールの内周面に沿って接しつつ回転し、連結箱は、被牽引車両側に向かって開口する開口部を有し、連結アームの先端が、開口部から連結箱内に挿入されており、連結箱内で上下両端を固定された支柱が、連結アームの先端の孔部を、貫通しており、連結箱内において、連結アームの先端の孔部と、第1の転がり軸受と、環状レールがとが、被牽引車両側から車両本体側に向かって順番に並んで位置し、第2の転がり軸受及び第3の転がり軸受が、環状レールより車両本体側に位置することを特徴とする。
【0012】
車両本体は、例えば、農作業を目的とする車両(すなわち、農業用作業車)であっても良いし、他の作業を目的とする車両であっても良いし、特に作業目的を有しない車両であっても良い。
車両本体が備える駆動機構は、例えば、車輪であっても、無限軌道であっても、車輪と無限軌道とを組み合わせたものであっても良い。そして、車輪や無限軌道を回転させる動力源はモーターであっても良いし、エンジンであっても良い。
駆動機構をなす車輪は、一対又は複数対の前輪と、一対又は複数対の後輪によって構成されていても良い。また、駆動機構をなす車輪は、一個の前輪と、一対又は複数対の後輪によって構成されていても良い。また、駆動機構をなす車輪は、一対又は複数対の前輪と、一個の後輪によって構成されていても良い。
【0013】
駆動機構をなす無限軌道は、1本の無限軌道によって構成されていても良いし、一対又は複数対の無限軌道によって構成されていても良いし、車両本体前側の1本の無限軌道と、車両本体後側の一対又は複数対の無限軌道によって構成されていても良いし、車両本体前側の一対又は複数対の無限軌道と、車両本体後側の1本の無限軌道とによって構成されていても良い。
駆動機構は、1個又は複数個の前輪と、車両本体後側の無限軌道とによって構成されていても良い。この場合の車両本体後側の無限軌道は、1本のみであっても良いし、1対又は複数対であっても良い。
【0014】
駆動機構が車輪を複数個有する場合、動力源からの力が、それぞれの車輪に独立して伝わる構成であっても良いし、車両本体前側にある前輪のみに伝わる構成であっても良いし、車両本体後側にある後輪のみに伝わる構成であっても良い。
駆動機構が無限軌道を複数本有する場合、動力源からの力が、それぞれの無限軌道に独立して伝わる構成であっても良いし、車両本体前側にある無限軌道のみに伝わる構成であっても良いし、車両本体後側にある無限軌道のみに伝わる構成であっても良い。
【0015】
車両本体が、肥沃な畑のように、柔らかな地面の上を走行する場合、車両本体の駆動機構は、車両本体前側と後側とに、それぞれ左右一対の車輪を有し、動力源からの力が、それぞれの車輪に独立して伝わる構成であることが好ましい。あるいは、車両本体の駆動機構は、左右一対の無限軌道を有し、動力源からの力が、それぞれの無限軌道に独立して伝わる構成であることが好ましい。各車輪や各無限軌道が独立して回動することで、車両本体が進行方向を変える場合に、むやみにカーブをきったり、前進・後退を繰り返したりする必要がなく、その場で、容易に車両本体の向きを希望する進行方向に向けることができる。そして、柔らかな地面や砂地等の上であっても、車両本体の車輪や無限軌道が、地面や砂地を掘り返す量を最小限に抑えることができる。
【0016】
万一、車両本体の車輪や無限軌道が、地面や砂地にある穴にはまる事態に陥っても、任意の車輪や無限軌道を回動させることにより、その穴から容易に脱出できる。
車両本体は、人が搭乗して操縦するものであっても、無線や有線のリモコンによって遠隔操縦されるものであっても良い。
被牽引車両は、特に用途や種類を制限されるものではない。被牽引車両は、例えば、様々な物を搭載可能な荷台を備える車両であっても良いし、回動する鋤などによる畑の耕運機構を備える車両であっても良いし、液状薬品等のタンクと噴霧装置を備える車両であっても良い。
【0017】
被牽引車両は、1個の車輪を有していても良いし、左右一対又は複数対の車輪を有していても良い。
車両本体を取り囲んで装着されている環状レールは、車両本体を上方から見下ろしたときに、折れ曲がったりすることなく滑らかに連続してカーブする内周面と外周面を有する円形であることが好ましい。
【0018】
上方から車両本体を見下ろしたときに、車両本体の重心と、円形の環状レールの中心と、が、一致していることが好ましい。車両本体がその場で旋回して向き(すなわち、進行方向)だけを変えるとき、上方から車両本体を見下ろすと、車両本体の向きが変わるだけであり、車体本体の重心と環状レールの中心は、位置が変わらず、環状レールがその中心の周りを旋回するだけである。
連結アームは、被牽引車両から突出して伸びる部材であり、その先端には孔部が形成されている。連結アームの先端側部分は、連結箱の開口部から連結箱の中に挿入されており、連結箱を上下に貫く支柱が、連結アームの先端の孔部を上下に貫通している。連結アームの被牽引車両側部分は、連結箱の開口部から外に伸びており、被牽引車両につながっている。
【0019】
車両本体や環状レールや連結箱が左右に振れ動いたり、被牽引車両が左右に振れ動くことがあると、連結箱の中で、連結アームが、支柱を中心として回転する。この連結アームの回転は、連結箱の開口部の縁に当たって止まり、その回転を制限される。支柱を中心とした連結アームの回転が止まることにより、被牽引車両が左右に大きく振れ動くことが制限され、被牽引車両と車両本体とのぶつかりあいや、被牽引車両と環状レールとのぶつかりあいや、被牽引車両と連結箱とのぶつかりあいが、抑制され又は防止され、少なくとも、ぶつかりあうときの勢いが弱められる。その結果、被牽引車両、車両本体、環状レール及び連結箱に損傷が生じることが、抑制され又は防止される。
【0020】
また、連結箱の中で、連結アームの回転する動きが制限されることにより、被牽引車両が左右に大きく振れ動くことが抑制され、さらに、被牽引車両の車輪等が、地面の上で回転せずに横滑りすることが抑制され、被牽引車両の車輪等によって、地面が掘り返されたり、穴が掘られてしまうことも、抑制され、防止される。
連結箱の中では、第1の転がり軸受と第2の転がり軸受と第3の転がり軸受とがある。これらの軸受は、それぞれが、内輪と、外輪と、内輪と外輪との間に装填された自由に転動可能な複数の球(転動体)を有し、内輪の周りを外輪が自由に回転可能に構成されている。
【0021】
第1の転がり軸受の外輪は、環状レールの外周面に沿って接しながら滑らかに回転可能であり、第2の転がり軸受の外輪は、環状レールの内周面に沿って接しながら滑らかに回転可能であり、第3の転がり軸受の外輪は、環状レールの内周面に沿って接しながら滑らかに回転可能である。このため、連結箱は、環状レールの周囲を、環状レールに沿って滑らかに移動可能である。
車両本体が進行方向を変えると、力が、車両本体から環状レールを介して連結箱に伝わり、さらに連結箱に連なる連結アームから被牽引車両に伝わる。
【0022】
車両本体から連結箱に伝わる力によって、第1の転がり軸受の外輪が、環状レールの外周面に沿って接しながら滑らかに回転し、第2の転がり軸受の外輪が、環状レールの内周面に沿って接しながら滑らかに回転し、第3の転がり軸受の外輪が、環状レールの内周面に沿って接しながら滑らかに回転し、連結箱が、環状レールに沿って滑らかに移動する。
車両本体から連結箱に伝わる力のエネルギーは、環状レールに沿った連結箱の動きにより費やされてしまう。そして、環状レールに沿った連結箱の動きに伴って、連結箱の中で、連結アームが、支柱を中心として回転する。連結アームの回転は連結箱の開口部の縁に当たって止まることとなり、制限される。結局、車両本体から被牽引車両に伝わる力のエネルギーは、連結箱の移動や連結アームの動きによって費やされ、小さく抑制されることとなる。
【0023】
結果として、車両本体から被牽引車両に伝わる力によって、被牽引車両の車輪の回転が制限されたり抑制されたりすることが防止され、被牽引車両の車輪等が、地面を掘り返したり、地面に穴を掘ってしまうことも、抑制され、防止される。
また、被牽引車両が向き(すなわち、進行方向)を変えると、力が、被牽引車両から連結アームを介して連結箱に伝わり、さらに、連結箱から環状レールを介して車両本体に伝わる。被牽引車両から連結箱に伝わる力によって、連結箱の中で、連結アームが、支柱を中心として回転する。その回転は連結箱の開口部の縁に当たって止まり、制限される。そして、連結アームから連結箱に伝わる力によって、第1の転がり軸受の外輪が、環状レールの外周面に沿って接しながら滑らかに回転し、第2の転がり軸受の外輪が、環状レールの内周面に沿って接しながら滑らかに回転し、第3の転がり軸受の外輪が、環状レールの内周面に沿って接しながら滑らかに回転し、連結箱が、環状レールに沿って滑らかに動く。この、環状レールに沿った連結箱の動きに応じて、さらに、連結箱の中で、連結アームが、支柱を中心として回転する。この連結アームの回転は、連結箱の開口部の縁に当たって止まり、制限される。結局、被牽引車両から車両本体に伝わる力のエネルギーは、連結箱の移動や連結アームの動きによって費やされ、小さく抑制される。
【0024】
結果として、被牽引車両から車両本体に伝わる力によって、車両本体の車輪の回転等の動きが制限されたり抑制されたりすることが防止され、車両本体の車輪等が、地面を掘り返したり、地面に穴を掘ってしまうことも、抑制され防止される。
車両本体から被牽引車両に向かって力が伝わると、その反作用として、被牽引車両から車両本体に向かって力が伝わる。この反作用の力は、まず、連結アームを介して連結箱に伝わり、さらに、連結箱から環状レールを介して車両本体に伝わる。被牽引車両から連結箱に伝わる力によって、連結箱の中で、連結アームが、支柱を中心として回転するが、その回転は連結箱の開口部の縁に当たって止まり、制限される。そして、連結アームから連結箱に伝わる力によって、連結箱が、環状レールに沿って滑らかに動く。結局、被牽引車両から車両本体に伝わる反作用の力のエネルギーは、連結箱の移動や連結アームの動きによって費やされ、小さく抑制されることとなる。
【0025】
結果として、被牽引車両から車両本体に伝わる反作用の力によって、車両本体の車輪の回転等の動きが制限されたり抑制されたりすることが防止され、車両本体の車輪等が、地面を掘り返したり、地面に穴を掘ってしまうことも、抑制され防止される。
また、被牽引車両を牽引するために使う支柱を車両本体に立設する必要がなくなっており、この支柱を立設するためのスペースを車両本体にわざわざ用意する必要もなくなっており、車両本体から他の装備品を取り外す等する必要もなくなっている。さらに、車両本体から取り外した装備品を使用する必用がある場合、取り外した装備品を被牽引車両に搭載して車両本体によって牽引する必要もない。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る車両連結装置は、車両本体が被牽引車両を牽引して走行するときに、車両本体や被牽引車両の車輪等が、走行する地面を掘り返したり、地面に穴を掘ったりして、地面を荒らすことを抑制して防止することできるとともに、車両本体と被牽引車両とがぶつかり合って損傷することを抑制して防止することできる。また、車両本体が被牽引車両を牽引して走行するときに、被牽引車両を牽引するために、車両本体が既に搭載している機器を、わざわざ取り外したりする必要もないし、被牽引車両を牽引するための支柱を車両本体に立設する必要もない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】車両連結装置を備える車両本体と被牽引車両との側面図である。
図2】車両連結装置を備える車両本体と被牽引車両との上面図である。
図3】車両連結装置の拡大側面図である。
図4図3のA―A線断面図である。
図5】車両本体と被牽引車両の挙動説明図(1)である。
図6】車両本体と被牽引車両の挙動説明図(2)である。
図7】車両本体と被牽引車両の挙動説明図(3)である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しつつ説明する。本発明はこの実施形態のみに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
図1は、車両連結装置3を備える車両本体1と被牽引車両2との側面図である。図2は、車両連結装置3を備える車両本体1と被牽引車両2とを上方から見下ろしたときの上面図である。図3は、車両連結装置3の側面図であり、図4は、図3のA―A線断面図である。
【0029】
図1図2に示すように、車両本体1は、前面11側にある左右一対の車輪13、後面12側にある左右一対の車輪14を有しており、これらの各車輪13、14は、車両本体1に搭載された駆動源(図示省略)から伝わる力によりそれぞれ独立して回動可能に構成されている。
車両本体1の周囲には、円形の環状レール31が装着されている。
以下の説明において、環状レール31が描く円を含む仮想平面のことを単に平面と称し、この平面に垂直な方向を上下方向と称し、この平面に垂直な方向を向く線分のことを単に垂直線と称する。
【0030】
環状レール31は、折れ曲がりなく滑らかに連続してカーブする内周面32と、折れ曲がりなく滑らかに連続してカーブする外周面33とを有する。
環状レール31は、3本の丸棒からなる支承腕34、35、36によって、車両本体1に支承されている。支承腕34の一端は、内周面32に接続されおり、支承腕34の他端は車両本体1の前面11に接続されている。支承腕35の一端は、内周面32に接続され、支承腕35の他端は車両本体1の一方の側面に接続されており、支承腕36の一端は、内周面32に接続され、支承腕36の他端は車両本体1の他方の側面に接続されている。
【0031】
支承腕34、35、36が内周面32に接続されている位置は、内周面32の下端と上端とから等距離の高さにある位置である。
環状レール31の上下方向の幅は、h1である。
支承腕34、35、36は、水平面に平行であり、その直径はh2である。
車両本体1を上方から見下ろすと、環状レール31の中心点Oは、環状レール31の円がつくる平面に垂直な垂直線L上にあり、垂直線L上に、車両本体1の重心Gは位置している。
【0032】
被牽引車両2は、前面21側に左右一対の車輪23と、後面22側に左右一対の車輪24を有し、各車輪22、23は、自由に回動可能に構成されている。
被牽引車両2の前面21には、丸棒状の連結アーム66の末端が接続されている。
連結箱41は、前端と後端が開口する略長方体の箱であり、上面板42、下面板43、2枚の側面板44を有する。連結箱41の後端側開口部46は、上面板42と、下面板43と、2枚の側面板44とによって上下左右の四方を囲まれた口形の縁47を有し、後端側開口部46から連結箱41内に、連結アーム66の先端67が挿入されている。
【0033】
連結アーム66は、その先端67に円形の孔部68を有する。連結箱41内の後端側には、丸棒からなる支柱49が立設されており、支柱49の上端が、ナット71によって上面板42に連結箱41の外側から固定されており、支柱49の下端が、連結箱41の外側からナット71によって下面板43に固定されている。この支柱49が、連結アーム66の先端67の孔部68を上下に貫通しており、支柱49を中心として連結アーム66が回転可能に構成されている。
上面板42と、下面板43とは、平面に平行であり、上面板42と、下面板43との間の距離は、h3である。
【0034】
前端側開口部45は、上面板42と、下面板43とによって、上下を挟まれており、上面板42と、下面板43との間には、h3の距離を開けた隙間48が形成されている。
側面板44の長手方向の長さは、上面板42及び下面板43の長手方向の長さよりも短く、連結箱41を側方から見ると、前端側開口部45側においては、上面板42と、下面板43との間に隙間48が見えており、後端側開口部46側においては、上面板42と、下面板43との間に隙間は見えない。
図3及び図4に示すように、連結箱41内には、支柱49、上下1対の第1の転がり軸受55、上下1対の第2の転がり軸受58、上下1対の第3の転がり軸受61が設けられている。
【0035】
第1の転がり軸受55、第2の転がり軸受58、第3の転がり軸受61は、それぞれが、従来からある通常の転がり軸受であり、互いに同じサイズである。第1の転がり軸受55は、外輪56と内輪57とを有し、外輪56と内輪57の間には複数の転動体が装填されており、内輪57の外側を外輪56が自在に回転可能に構成されている。第2の転がり軸受58は、外輪59と内輪60とを有し、外輪59と内輪60の間には複数の転動体が装填されており、内輪60の外側を外輪59が自在に回転可能に構成されている。第3の転がり軸受61は、外輪62と内輪63とを有し、外輪62と内輪63の間には複数の転動体が装填されており、内輪63の外側を外輪62が自在に回転可能に構成されている。
【0036】
一方の第1の転がり軸受55の内輪57は、連結箱41内でナット71とボルト(図示省略)によって上面板42に固定されており、他方の第1の転がり軸受55の内輪57は、連結箱41内でナット71とボルト(図示省略)によって下面板43に固定されている。対をなす第1の転がり軸受55の各内輪57の各中心軸線は、互いに一致している。
一方の第2の転がり軸受58の内輪60は、連結箱41内でナット71とボルト(図示省略)によって上面板42に固定されており、他方の第2の転がり軸受58の内輪60は、連結箱41内でナット71とボルト(図示省略)によって下面板43に固定されている。対をなす第2の転がり軸受58の各内輪60の各中心軸線は、互いに一致している。
【0037】
一方の第3の転がり軸受61の内輪63は、連結箱41内でナット71とボルト(図示省略)によって上面板42に固定されており、他方の第3の転がり軸受61の内輪63は、連結箱41内でナット71とボルト(図示省略)によって下面板43に固定されている。対をなす第3の転がり軸受61の各内輪63の各中心軸線は、互いに一致している。
連結箱41の内部において、支柱49が貫通する連結アーム66の先端67の孔部68と、第1の転がり軸受55と、環状レール31とが、被牽引車両2側から車両本体1側に向かって順番に並んで位置しており、第2の転がり軸受58及び第3の転がり軸受61が、環状レール31よりも車両本体1側に位置している。
【0038】
一方の第1の転がり軸受55の内輪57を上面板42に固定するナット71の下端と、他方の第1の転がり軸受55の内輪57を下面板43に固定するナット71の上端と、の間の距離は、h4である。
一方の第2の転がり軸受58の内輪60を上面板42に固定するナット71の下端と、他方の第2の転がり軸受58の内輪60を下面板43に固定するナット71の上端と、の間の距離は、h4である。
一方の第3の転がり軸受61の内輪63を上面板42に固定するナット71の下端と、他方の第3の転がり軸受61の内輪63を下面板43に固定するナット71の上端と、の間の距離は、h4である。
【0039】
前述のh1とh3の間には、式(1)の関係が成立しており、前述のh2とh4の間には、式(2)の関係が成立している。
h1<h3 ・・・(1)
h2<h4 ・・・(2)
連結箱41内の前端側開口部45側において、環状レール31の一部分が、上面板42と下面板43との間の隙間48に挟まれている。隙間48内において、環状レール31の内周面32が、一方の第2の転がり軸受58の外輪59と接しており、他方の第2の転がり軸受58の外輪59とも接している。同様に、隙間48内において、内周面32が、一方の第3の転がり軸受61の外輪62と接しており、他方の第3の転がり軸受61の外輪62とも接している。また、隙間48内において、環状レール31の外周面33が、一方の第1の転がり軸受55の外輪56と接しており、他方の第1の転がり軸受55の外輪56とも接している。
【0040】
環状レール31と、連結箱41と、連結アーム66と、が、車両連結装置3を構成している。
【0041】
次に、作用について説明する。
例えば、最初、車両連結装置3を備える車両本体1と被牽引車両2とが、柔らかな肥えた土壌の畑の平坦な地面90の上に静止しており、車両本体1の前面11が北を向き、車両本体1の後面12が南を向き、被牽引車両2の前面21が北を向き、被牽引車両2の後面22が南を向いているとする(図2を参照)。この時、車両本体1の重心Gを通る垂直線Lは、環状レール31の中心点Oを通っており、垂直線Lと地面90との交点が点OM1である。垂直線Lは、被牽引車両2の重心Gを通っている。垂直線Lと地面90との交点が点OS1である。点OM1、支承腕34、連結箱、連結アーム66及び点OS1は、1本の南北方向の直線上に位置している。
【0042】
先ず、車両本体1が、まっすぐに北進する場合を説明する。車両本体1が北進するにつれて、支承腕34、重心G、中心点O、連結箱41、連結アーム66、被連結車両2及び重心Gは、1本の南北方向の直線上を一緒に北進する。
車両本体1が北進する間、地面90に多少の凹凸が存在することが原因となって、車両本体1の進行方向が北向きから多少ずれ、まっすぐ北進できない場合がある。車両本体1の進行方向が北向きから少しずれると、車両本体1の前面11の向く向きが、北向きから少しずれて変わる。車両本体1の前面11が向く向きが少し変化すると、車両本体1は、重心Gを中心にして少し旋回する。車両本体1の旋回と一緒に、環状レール31が中心点Oを中心として少し旋回する。
【0043】
式(1)と式(2)の関係が成立しているので、環状レール31が旋回する際に、環状レール31と支承腕34、35、36は、上面板42、下面板43、第2の転がり軸受58の内輪60を上面板42に固定するナット71、第2の転がり軸受58の内輪60を下面板43に固定するナット71、第3の転がり軸受61の内輪63を上面板42に固定するナット71、及び、第3の転がり軸受61の内輪63を下面板43に固定するナット71には、接触しない。
【0044】
環状レール31が少し旋回すると、連結箱41の中では、環状レール31の外周面33は、第1の転がり軸受55の外輪56と接しながら滑らかに旋回して動き、環状レール31の内周面32は、第2の転がり軸受58の外輪59と第3の転がり軸受61の外輪62とに接しながら滑らかに旋回して動く。車両本体1から連結箱41に働く力のエネルギーは、連結箱41が環状レール31に沿って滑らかに動くことに費やされてしまう。この結果、車両本体1及び環状レール31と共に北進する連結箱41の動く方向は、車両本体1から連結箱41に働く力の影響を殆ど受けず、殆ど元のままの北向きであり、連結アーム66を介して連結箱41につながる被牽引車両2も殆ど元のまま北進する。すなわち、地面90に多少の凹凸があって車両本体1の進行方向が多少左右に振れるとしても、被牽引車両2の動きには殆ど影響がない。
【0045】
また、車両本体1の各車輪13、14は、駆動原からの力によって1輪ずつ独立して回転するので、これらの車輪13、14が、地面90の凹凸に落ち込んではまりそうになったとしても、容易にその凹凸から抜け出ることができ、車輪13、14が、地面90を不必要に掘り返したりすることは、防止され抑制されている。
地面90にある多少の凹凸のせいで、車両本体1の進行方向が、北向きから多少ずれる場合、そのために、車両本体1から被牽引車両2に力が働くが、この力のエネルギーは、連結箱41が環状レール31に沿って滑らかに動くことに費やされてしまう。そして、連結箱41、連結アーム66及び被牽引車両2は、北向きに動き続ける(すなわち、北進し続ける)ことができる。
【0046】
したがって、車両本体1から被牽引車両2に力が働いても、この力のために、被牽引車両2の車輪23、車輪24の回転が妨げられることは無く、被牽引車両2の車輪23、車輪24が、地面90を掘り返したり、地面90に穴を掘ってしまうこともない。さらに、車両本体1の進行方向が多少左右に振れ動くとしても、連結箱41の中での支柱49を中心とする連結アーム66の回転の動きは、連結箱41の後端側開口部46の縁47の間に制限されている。すなわち、連結アーム66が大きく回転しようとしても、連結アーム66が縁47に当たり、その回転が止められてしまう。連結アーム66の回転が制限されていることにより、連結アーム66につながる被牽引車両2の振れ動きが制限され、被牽引車両2と車両本体1や環状レール31にぶつかることがない。
このことは、被連結車両2の車輪23,24が、地面90の上を横滑りして、地面90を掘り返したり穴を掘ってしまうことを防止し、抑制することになる。
【0047】
北進していた車両本体1が、左折して西進する場合を説明する。
北進していた車両本体1は、いったん停止する。このとき、停止した車両本体1の前面11は北を向き、車両本体1の後面12は南を向き、被牽引車両2の前面21は北を向き、被牽引車両2の後面22は南を向いている(図2を参照)。車両本体1の重心Gを通る垂直線Lは、環状レール31の中心点Oを通っており、垂直線Lと地面90との交点が点OM1である。垂直線Lは、被牽引車両2の重心Gを通っている。垂直線Lと地面90との交点が点OS1である。上方から見下ろすと、点OM1、支承腕34、連結箱41、連結アーム66及び点OS1は、1本の南北方向の直線上に位置している。
【0048】
次に、車両本体1は、その場で垂直線Lを中心として旋回して前面11を西に向ける(図5を参照)。車両本体1が、その場で旋回して向きを変える際、環状レール31は車両本体1と共に旋回する。上方から見ると、一見して、環状レール31自身は旋回していないように見えるが、支承腕34、35、36は、車両本体1と共に垂直線Lを中心として旋回して位置を変える。車両本体1の各車輪13、14が、駆動原からの力によって1輪ずつ独立して回転し、車両本体1が旋回することになる。1個ずつの各車輪13、14は、少しずつ、地面90の上で垂直線Lを中心として旋回して移動し、地面90上の全く同じ位置に留まり回転し続けることはない。したがって、車輪13、14が、不必要に地面90を掘り返したりすることは、防止され抑制されている。
【0049】
次に、前面11を西に向けた車両本体1は、西進して移動する(図6を参照)。西進した車両本体1の重心Gを通る垂直線Lと、地面90との交点は、点OM2である。西進した車両本体1に牽引されて移動した被牽引車両2の重心Gを通る垂直線Lと地面90との交点が点OS2である。点OM1と点OM2との間の距離L1は、西進した車両本体1の移動距離である。車両本体1が距離L1だけ西進すると、車両本体1と共に環状レール31も距離L1を西進する。
【0050】
環状レール31が距離L1を西進して移動すると、この環状レール31の動きに伴い、連結箱41は、環状レール31に沿って動く。このとき、連結箱41の動きを上方から見ると、連結箱41は、中心点Oを中心にして反時計回りの向きに滑るように動いて、その位置を変える。連結箱41の動きに伴い、連結箱41の中で、連結アーム66が、支柱49を中心にして回転する。回転した連結アーム66は、その中間部分が、後端側開口部46の縁47に当たり、連結アーム66の回転が止まる。連結箱41の移動と連結アーム66の回転により、連結アーム66が連なる被牽引車両2が引っ張られて動き、被牽引車両2の前面21が向く向きは、北向きから凡そ北西向きに変わる。
【0051】
次に、車両本体1が、さらに距離L2を西進する(図7を参照)。車両本体1と共に、環状レール31もさらに距離L2西方に移動する。この環状レール31のさらなる西進に伴って、連結箱41が環状レール31沿いに滑るように動き、終には、連結箱41が、車両本体1の後面12側に移動する。連結箱41が、車両本体1の後面12側に移動したとき、車両本体1の重心Gを通る垂直線Lと、地面90との交点は、点OM3であり、被牽引車両2の重心Gを通る垂直線Lと地面90との交点が点OS3である。
連結箱41が環状レール31沿いに動く間、連結アーム66は支柱49を中心として回転する。この連結アーム66の回転は、連結アーム66が連結箱41の後端側開口部46の縁47に当たることで制限されている。連結アーム66の回転が制限されることにより、連結アーム66に連なる被連結車両2の動きも制限される。この結果、被連結車両2と車両本体1とが、ぶつかりあうことが防止され抑制される。そして、連結箱41が環状レール31沿いに動くのに合わせて、被連結車両2は、その前面21を西に向ける。その後、車両本体1は、被連結車両2を牽引してまっすぐに西進することができる。
【0052】
車両本体1がL1+L2の距離を西進する間、車両本体1の各車輪13、14は、地面90の上を移動しており、地面90の上の同じ位置で回転し続けることはなく、これらの車輪13、14が、不必要に地面90を掘り返したりすることは、防止され抑制されている。
さらに、車両本体1がL1+L2の距離を西進する間、被連結車両2は、連結箱41と連結アーム66を介して車両本体1に牽引され、弧を描くようにして地面90の上を移動する。被連結車両2が移動して描く弧は、点OS1を始点とし、点OS2を通過し、点OS3に至る。被連結車両2がこの弧を描いて移動する間、被連結車両2の車輪23、23は、地面90の上を移動し続けており、地面90の同じ位置に留まって回転し続けることはない。したがって、これらの車輪23、23が、不必要に地面90を掘り返したりすることは、防止され抑制されている。
【0053】
また、車両本体1がL1+L2の距離を西進する間、力が、車両本体1から環状レール31を介して連結箱41に働き、さらに、連結箱41から連結アーム66を介して被連結車両2に働く。同時に、反作用の力が、被連結車両2から連結アーム66を介して連結箱41に働き、さらに連結箱41から環状レール31を介して車両本体1に働く。これらの力のエネルギーは、連結箱41が環状レール31に沿って滑らかに動くことに費やされ、逃がされてしまう。このため、車両本体1と被連結車両2の間で働く力によって、車両本体1の車輪13、14と被連結車両2の車輪23、23が、不必要に地面90を掘り返したりすることは、防止され抑制される。
【0054】
また、連結箱41が、環状レール31に沿って動き、この動きに伴って連結アーム66が支柱49を中心にして回転するとしても、連結アーム66の回転は、連結アーム66が縁47に当たることで抑制され、制限される。したがって、連結アーム66に連なる被連結車両2が左右に振れ動くことが抑制され、制限され、被牽引車両2が車両本体1や環状レール31にぶつかることが、抑制され、防止され、被牽引車両2や車両本体1や環状レール31に損傷が生じることが防止される。
さらには、車両本体1の周りを囲むように環状レール31を装着すれば足りるので、車両本体1によって被連結車両2を牽引するために、車両本体1が搭載する装置や機器をわざわざ取り外したりする必要はなく、取り外した装置や機器を使用するときには、これらを被連結車両2に改めて搭載しなおす必要もない。
【産業上の利用可能性】
【0055】
上記のような車両連結装置であるので、車両本体と、車両本体が牽引する被牽引車両と、を連結する車両連結装置を製造・供給する産業等において有用である。
【符号の説明】
【0056】
1 車両本体
11 前面
12 後面
13、14 車輪
2 被牽引車両
21 前面
22 後面
23、24 車輪
3 車両連結装置
31 環状レール
32 内周面
33 外周面
34、35、36 支承腕
41 連結箱
42 上面板
43 下面板
44 側面板
45 前端側開口部
46 後端側開口部
47 縁
48 隙間
49 支柱
55 第1の転がり軸受
56 第1の転がり軸受の外輪
57 第1の転がり軸受の内輪
58 第2の転がり軸受
59 第2の転がり軸受の外輪
60 第2の転がり軸受の内輪
61 第3の転がり軸受
62 第3の転がり軸受の外輪
63 第3の転がり軸受の内輪
66 連結アーム
67 連結アームの先端
68 孔部
71 ナット
90 地面
h1 環状レールの上下方向の幅
h2 支承腕の直径
h3 上面板と下面板との間の距離
環状レールの中心点
車両本体の重心
被連結車両の重心
車両本体の重心と環状レールの中心点とを通る垂直線
被牽引車両の重心を通る垂直線
、OM1、OM2、OM3 車両本体の重心を通る垂直線と地面との交点
、OS1、OS2、OS3 被牽引車両の重心を通る垂直線と地面との交点

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7